カニ日記

息子のことを中心とした

魚が踊る水面はきれいだった

2月13日(火)
朝。パン。サイは今日もパンツを履いて行く。シーツをつけていたらまた遅刻してしまった。仕事がほとんど手につかないほど気が滅入っていたので、本当にどうにかしなきゃいけない。お昼、パン美人に話を聞いてもらい助言などしてもらう。夕食はきゃべつの味噌汁、出し巻卵、トマト、お惣菜。心臓がずっとドキドキして頭が痛い。入浴後、就寝。

2月14日(水)
朝。サイはバナナとパン。私はパン。二人ともいつもより早く起きたのに出発はぎりぎり。恐竜のリュックを私が持ち、サイはマイメロの手提げに色々詰めて登園。強い曲が聴きたいと思い、満員電車の中で『ドグマ・マグマ』を聴く。出社して、上司に感謝の言葉が予め書かれたチョコレートを渡す。去年おしゃれな感じのチョコを渡したら反応が薄かったので今年はギャグっぽいものにした。でもやはり反応は薄かった。目もくれず鞄に仕舞われた。もう辞めようかなと思ったけど毎日助けてもらっているし御礼という意味で。人に物を買ったり贈るのは嫌いじゃない。

お昼。人と話がしたいと思い、先週ランチをしたお母さん社員さんとまたランチをする。家事の手抜き加減とかけっこう感覚として気の合う方だなと思っている。話すと少しだけ楽になった。複数は苦手だけど一対一の付き合いが私はやっぱり好きらしい。

夕方、お迎え。保育園に向かう電車の中で『東京と今日』という大森靖子さんの新曲のMVを観ながら帰る。きりが悪く電車を降りた後少しだけ立ち止まって観ていたら閉園時間ぎりぎりになる。最後の二人だった。Sくんとサイがぽつんと教室にいた。「動画を観ていました」とはまさか言えず、「電話しようと思いましたよ」と言う先生に何度も謝ってサイを抱き締める。いつもお迎え時は騒がしいが、誰もいない保育園はひっそりしていて別の世界のようだった。『東京と今日』を歌いながら家まで自転車を漕ぐ。サイに何のうた?と言われた。サイと週末コンビニで買い込んだ冷凍食品を食べた。私はビールを飲んだ。その後、二人でMVを観た。サイは唯一分かる「東京」という言葉に反応していた。ここが東京で、東京に住んでいることを少し前からサイはちゃんと自覚している。

入浴、就寝。寝るまでに30分くらいかかるものの、本当にすぅーっと目を閉じて眠るようになって、1時間も2時間も大きな声で泣き止まず暗闇で揺らし続けていた赤ちゃんの頃が嘘みたいだ。友達に少しだけ電話してから寝た。


2月15日(木)晴れ 春のように暖かい
朝。朝食をサイが用意してくれた。びっくり。難しい顔をしてウェイターのように両手にスティックパンが2つずつ載った皿を持ち、慎重にテーブルまで運んでいた。サイの分は洗うのが面倒で誕生日とかイベントごとの時しか出さない新幹線のお子様ランチプレートにのっていた。私のは私がいつも使っているお皿だった。すごい。そしてなぜかパンを二つ積み上げた盛り付けがなされており、「サンドイッチですどうぞ〜」と言われた。あまり美味しくないパンだったけど嬉しくて美味しいね、と言いながら食べたら本当に美味しく感じた。

終業前、ニュースで「さいあくななちゃん」が岡本太郎賞を受賞したと知り嬉しくて席でこっそり泣いた。退社後、お迎え。家に食材がなく夕食をサイゼリヤで済ます。イカとかポテトとかチキンとか食べたいものを食べた。サイゼリヤは安くて美味しい。ワインが100円なので一人暮らしの時もよく行っていた。スーパーで食べてみたかったルマンドアイスを買ってから帰宅。

湯船に浸かりながらサイに「ななちゃん覚えてる?ピンクの絵の?」と聞くと「うん」と返ってきた。去年何度か展示に行ってななちゃんに会ったり絵を見たことをちゃんと覚えているようだった。サイは大抵の大人に人見知りをするが、ななちゃんには異様なほど懐つく。二人で会話もする。私が入れない美しい世界がそこにできていた。ななちゃんは小さい子どもの心を引き寄せる何かを持っているのかもしれない。「ななちゃんね、一番に選ばれたんだって」「いちばん?なんで?」賞の概念を説明するのが難しい。競争でもないし。「ななちゃんの絵が一番いいですねって言われたんだよ、一等賞なんだよ」サイは不思議そうに少し考えた後、「……おいわい?…だよね?」「そう!お祝い!」それから二人でぱちぱち手を叩いたりリーグ優勝した野球チームのようにばしゃばしゃと空容器に汲んだお湯を頭からかけ合った。わーい。入浴後、就寝。芸術は賞が全てでないけど、自分が好きな人が名誉ある賞を獲得するとこんなに嬉しいんだな、とまた泣いた。世の中捨てたもんじゃないなと思った。明日から頑張ろう。ななちゃん、おめでとう、そしてありがとう。絵は一生大事にするね。


2月16日(金)晴れ また冬に逆戻り
深夜に起きて、『anone』の録画を観た。このドラマは俳優がいいと思う。主役の二人はもちろん小林聡美阿部サダヲもいいし、娘さん役の女優さんもいい。観終った後、『ねぽりんぱほりん』で観て気になっていたホストクラブの仕組みを調べたり(「ネオホスト」という新しい言葉を知った)ホスト通いで破産した人のブログを読み、その後明け方まで文字フォントがのっているサイトで美しいフォント(「ぶどう」というフォントが好き)をひとつずつ見ていた。もっとやることはあるのに無駄といえば無駄なことに時間を割いてしまった。結果、寝坊した。

目覚ましを間違って早く設定して二度寝したのも敗因。サイが何度も「おきてよ~!」と起こしてくれたのに起きれなかった。ごめんねと謝って自分の支度をしている間に急いでパンを食べさせる。くるみパンのくるみを嫌がって取り除こうとしたのか数分後戻ると無残な姿になっていた。一瞬もう午前は休んでしまおうかと思ったけど来週休む予定があるので保育園に行った後遅刻しつつも出社した。最近遅刻しすぎでいかんなぁと反省している。タイムカード推し忘れという小細工で乗り切っているが何度もしていては怒られそう。

退社後、高円寺JIROKICHIにて我が民に非ズのライブ。初めて観に行った。想像以上に圧倒された。思うことがたくさんあるので感想を別途書きたい(ここに途中まで書いていたら膨大になった)。町田康さんがやっぱり好きだ。そう確信したライブだった。終演後、数年前の記憶で好きな古着屋を探すが道に迷い辿り着けず。代わりに良さそうな古本屋を見つけて入店。楳図かずおの未読漫画2冊と欲しいが高くて渋っていた『楳図かずお論』を購入。帰り道、うどん屋でかきあげうどん。半熟卵のかきあげが美味しかった。22時半にかきあげを一気に食べたから帰りの電車でお腹が痛くなる。遅い時間帯に調子に乗って飲食してはいけないなと思った。


2月17日(土)
朝。パンとヨーグルト。洗濯。サイがかるたを作って欲しいと言うので画用紙を切ってアンパンマンのキャラクターと頭文字を描いた絵札だけ作る。文字にどんどん興味が出てきたらしい。それから缶ビールを持ってサイと出かける。途中で移動スーパーやコンビニでそれぞれ食べたい物を調達して公園へ。寒いし中の飲食スペースで食べようと思ったらママさんバレーの集団が宴会していてびびって退散。まだ寒いが真冬の頃よりは暖かく外で食べるのも楽しかった。それから公園中を探検家になって走り回るサイに着いて目的もなく走り回った。次第に空が曇って本当に寒くなってきたので帰ろうとすると先ほどのママさんバレー集団が大勢巨大テレビのまわりに集まっていて、スケートっぽい映像が見えた。「あ、フィギア!」と思って全速力で自転車を漕いで帰宅。

テレビをつけたら羽生選手も宇野選手も滑り終わった後でリプレイ映像が流れていた。画面右上に「羽生66年ぶり連覇、宇野銀!」と書かれていたのでそういう結果だと知った。リアルで観たかったなぁ。仕方ない。スポーツが嫌いなのでオリンピックには興味がないがマラソンとフィギアスケートだけは別でいつも楽しみにしている。リプレイ映像で観た羽生選手の表情が忘れられない。羽生選手の精神にいつも驚かされる。全身全霊という言葉がこれほど似合う人はいないのでは。インタビューで「オリンピックに特別な思いはない」と答えた宇野選手もいい選手だなと好感が持てた。サイは最初、両選手の真似をして飛ぶふり等していたが、飽きたのか私が彼らをすごいなぁと褒めるから嫉妬したのか機嫌が悪くなりケーブルテレビにチャンネルを変えられた。どうしようもないので二人で昼寝。

起きたら真っ暗になったので買い物に行く時間がなく、夕食は簡単に済ます。入浴後、就寝。


2月18日(日)
朝。パンとヨーグルト。サイはバナナ。洗濯、掃除。むしゃくしゃした時に何も考えずがーってどんどん要らないものを捨てながら片付けるのが気持ちが良い。部屋も綺麗になるし。完全に綺麗になる一歩手前で疲れて辞めて楳図かずおの短編集『蟲たちの家』を読む。スプラッター的な要素が少ない代わりに人間の感情や欲から生まれる恐怖が描かれていて面白かった。楳図作品は何を読んでも面白い。サイとKは外で食べたので、昼ごはんを食べ損ねる。サイ帰宅後、昼寝。その後、準備してるとあっという間に出発時間になった。サイと駅まで行き、駅でKにサイを預け大森靖子さんのファンクラブイベントへ。

三か月ぶりだったので朝から緊張していた。『裏』や聴いたことのない曲が聴けたのも嬉しかったが、半年ぐらいライブで聴きたいなと思い続けていた『非国民的ヒーロー』を歌ってくれたことが何より嬉しかった。大森さんに小学生というか幼稚園児みたいなプレゼントを渡して言葉を失っていたら「今の髪型似合うね」と褒めてくださり、動揺して狼狽えていたら「いつも可愛いね」って言ってくださって頭が真っ白になった。大森さんこそ可愛い(外ハネの可愛さは異常だった)のに「可愛いですね」って返せなかった自分が嫌になった。返すどころか言いたいことは何も言えなかった。ぼーっとした頭で帰宅しアイスを食べてお風呂に浸かり布団に入った。

小さい頃から不細工と言われて育ったし学校で顔面を揶揄されることもあったから自分のことを「可愛い」と一度も思ったことはないし間違っても思ってはいけないと信じてきた。だから言われるとびっくりするが本当に嬉しい。「きれい」とか「かっこいい」よりずっと特別な言葉。「面白い」も同じぐらい嬉しいけど「可愛い」の絶大さには叶わない。それを好きな人が言ってくれた。サイも言ってくれる。勘違いでも自惚れでも喜びたい。

 

すぐに消えそうにない問題はあるけど水面で魚が跳ねるように嬉しいことがある一週間だった。

強くて優しくなりたいしビールだって飲みたい

2月5日(月)
サイはバナナ2本。今日からリュックで登園。サイは恐竜のリュックを張り切って背負っていた。リュックの中にサイが自分で用意するものを入れたりシーツをつけていたら会社を遅刻した。あーあ。

出社した途端、身体が末端から痺れて変な悪寒と吐き気がしたので早退して帰宅。即布団にイン。暗くなるまで眠ったら少し楽になった。大森さんのツーマンライブの当日券が出ていると知ると行けるような気がしてきたが、まだ月曜で明日もあるしな等と考えていたら結局布団から出られなかった。

お迎えを代わってもらう。帰宅して私が居間にいないと感じ取ったサイは寝室にやって来て寝ている私を見て「しんどいの?おちゃのみなよ」と心配して私が枕元に置いていたペットボトルのお茶のキャップを外して渡してくれた。いつも優しいなぁ君は。「ママ、すきだよ」としきりに言ってくれる。あぁ優しいな。「ママも好きだよ」と返す。「大丈夫?」の代わりに「好きだよ」と言ってくれる君が将来幸せに暮らせますように。

出汁巻だけ自分で作り、あとは昨日の残りの肉を焼いて食べた。卵と肉という好きなものだけ食べていたらKに「野菜も食べろ」と促される。体調が悪い時は好きなものを好きなように食べていいと私は信じている。両親、特に父親は食事マナーに厳しく、ごはん一粒でも茶碗に残すと頭を平手で叩かれた。苦手な野菜も残すことは許されず夕食の時間をとうに過ぎて家族がテレビを観ていても嗚咽しながら食べた記憶がある。でも風邪や体調が悪い時だけは特別で、好きなものだけ食べることを許された。だから体調が悪くなると食事地獄から免れる!と嬉しかった覚えがある。という感覚が大人になった今も残っているので当たり前だと思っていた。しんどい時はできるだけ嫌なことを避けたい。サイはKとお風呂に入り寝る段階になって布団に来た。お互いの瞳に映る自分の顔をお互い観察した。サイの瞳に映った私の顔は沼から這い上がってきた人のような酷い有様だった。サイと絵本を読んだ後一緒にまた眠った。

2月6日(火)晴れ
明け方起きてお風呂に入りまた寝る。朝起きたら腰が痛い。ベッドが良くないのか体調不良か。サイを抱き上げるのもなかなか辛かった。老化なのかこれは。朝食はバナナ、蒸しパンを半分ずつ。サイが分けてくれたバナナを食べずに皿に置いたままぼんやりしていたら「はい、バナナあるからね、たべてね」と言われる。保育園の先生の真似をしているのかもしれない。サイは「きょうのごはんなにかなぁ」と読めないのに冷蔵庫に貼ってある献立表を眺めていたので「えーと、ビビンバだよ今日は」と言うと「え?ベビーカー?」と返ってくる。「ビビンバ」なんて私も大人になってから知ったから知らないよね。昨日に続き今日もパンツを履いていった。お尻の辺りのシルエットが違うのであぁパンツ履いてるなとしみじみした。漏らすかな。どきどき。

昼間、投稿した短歌が雑誌に載っていないか本屋さんに確認しに行くも載っていなかった。また投稿しよう。

夕方お迎え。サイはパンツを漏らしたようでオムツを履いていた。少しずつがんばろうと内心で声をかけてあえて何も言わなかった。本人は分かっていると思ったから。サイは昼間熱があったらしく、お迎え時も微熱があって機嫌が悪かった。「こしがいたい~ぐあいがわるい~」と言われながら帰宅するとお腹が空いたとぐずったのでバナナとパンを食べさせた。夕食は鶏挽肉を適当に味付けして肉みそ丼。私が生卵(フライパンをすぐ洗うのが面倒で目玉焼き断念)を割り入れているのを見て「サイくんもやりたい」と言ったので生卵を一つ渡すとなかなか上手に割っていた。生卵が食べられるようになれば大分楽だ。それでもバナナとパンで満腹だったのかほとんど食べ残したので私が全部食べた。お風呂に入りたくないと言うので私もお風呂に入るのを諦めて一緒にお絵かきをした後、サイの新しい上履きにサイの希望を聞いてしょくぱんまんドキンちゃんを描いた。今履いている上履きが小さくなったので大きいサイズのを買った。前も絵を描いたが「てんどんまんとかまめしどん」だったので希望の組み合わせが大人になったなとしみじみした。絵本を読みながら就寝。


2月7日(水)晴れ
6時頃に目が覚め、慌ててお湯を沸かしてお風呂に入る。サイも起きる。パンとバナナ。夜中起きずに朝まで眠ったら体調が良くなった。夕方、お迎え。今日は熱が上がることもなかったとのこと。夕食は肉みその残りで焼うどん。サイはうどんを嫌がり結局白ご飯を食べた。入浴後、就寝。


2月8日(木)
サイを寝かす前に洗濯機のスイッチを押したがそのまま一緒に朝まで寝てしまい、大量の洗濯物は数時間放置された。早朝慌てて干す。洗い終わった洗濯物の上から深夜に帰宅したKの洗う前の洗濯物が入れられており、とても悲しい気持ちになった。午後から会社を休む予定だったが、色々と間に合わず一日休んだ。休むと決めたら保育園へ行くのもゆっくりになってしまい、着くと遊びが始まっていた。サイは遊ぶ子達には混ざらず、支度をする私の後ろにひよこの子どものようにくっついて歩いきまわった。時間があったので先生とトイレのことなど話す。家に戻ってから午前中はだらだらと過ごしてしまい、午後から行きたかった展示に出かけた。展示を見た後、友人と少しお茶をし急いで帰宅。会社を休んだことは黙っていた。夕食後、就寝。


2月9日(金)
朝。パン、バナナ。珈琲を立ちながら飲んでいたら「たってのんじゃだめだよ」とサイに注意される。スマホを家に置き忘れる。サイが39度の熱を出したと私の携帯に連絡があったが出ないので、Kに連絡があったらしい。帰宅すると二人はいない。間もなく帰ってきたが、なぜか耳鼻科に連れて行っていた。小児科に連れて行って欲しかった。インフルではなかったとのこと。夕食はお惣菜で済ます。バナナを2本食べたらしくサイはほとんど食べない。お風呂は入れずに寝かせる。展示の感想を書いたがまとまらず、何だか納得いかない。


2月10日(土)
二人でゆっくり朝ごはん。土曜は急がなくていいのでほっとする。サイはまた熱が上がってぐったりしていた。居間に布団を敷く。昼食をほとんど食べず横たわりながらアンパンマンを観たり、泣いたりぐずったりが永遠のようで、赤ちゃん時代を思い出した。結局昼寝はせず、夕方になる。夕食はサイが好きなものがいいと思って、ソーセージと玉ねぎのスープ、おにぎり、出し巻卵。最近ちょっと目を離すと何でも勝手に一人でやろうとしている(前はやりたいと事前申請があった)ので面白いが時々ひやひやする。お風呂は入れずに就寝。私もお風呂に入れなかった。


2月11日(日)
朝風呂。地獄の日曜日。書きたくもないこと。何度も思っているが分からないが現状を変えなければ。サイと散歩をかねてコンビニまで歩いて行き、冷凍食品やパンやアイスを買い込んでいたら、レジの若い女の子の店員さんが私の持っていた縷縷夢兎と大森さんの伊勢丹コラボトートを指さし、「私も好きです、展示いきました!」と言った。急に可愛い店員さんに話しかけれたので動揺してしまい「え、あぁ!私も行きました」と言うと「綺麗でしたよね~」と返ってきた。そう来ると思わなかったから「えぇ」と言った後愛想笑いしてしまった。綺麗か…たしかに綺麗だった。大チャンスだったのに大森さんの話をする余力はなかった。帰りながら今日一つでも嬉しいことがあってよかったなと思った。ピカチュウのソフビ人形みたいなのを買わされた。帰って開封したサイはピカチュウの表情が怒っているのを見て「なんでおこってるの?」と聞く。「何でだろうねぇ」私はゲームボーイ(まだ緑の画面の時)をやったことぐらいしかなくポケモンに詳しくないので分からない。

夕食はオムライスとスープ。サイ自ら卵を冷蔵庫から取り出したが落としてしまう。もう一つの卵をサイと一緒に割る。だんだん慣れてきたよう。ケチャップでアンパンマンの顔を描いたら大喜びしていたが、味付きごはんが嫌だったようでほとんど食べなかった。入浴(サイ二日ぶり)後、就寝。


2月12日(月)
地獄の祝日。ちょっとだけ期待して昨日のコンビニに行ってみるも(というかほぼ毎日行っている)男の店員だった。サイが昼寝したら録画した『anone』を観た。田中裕子さん演じるアノネさんが焼うどんを食べるシーンがとてもよかった。『Woman』の時の素麺も好きだし、麺類を食べる田中裕子さんが私は本当に好きらしい。食べている演技が素晴らしい人っていいな。演技じゃなくて、ちゃんと「今この世界で食べている」という感じがするし、色んな感情と一緒に咀嚼している感じがして美しい。私は自分がどんな食べ方をしているのか分からないが手前に鏡でもない限り食べている己の姿を見る機会はそうないので、もしものすごく嫌な感じの食べ方をしていたら誰かと食事する時、同席している人に不快感を与えているかもしれないとふと考えた。そういうものあるから対面座りが嫌いだ。関係ないけどパン美人のビールをごくごく飲む姿が好きだ。あと飲み会で率先して焼き鳥を串から外す人は嫌いだ。

夕食はキャベツ肉みそ炒め、出し巻卵。入浴後、就寝。寝る前に「サイくんは大人になったら何になりたい?」と聞いたら「ママ!」と答えたので「ママになって何するの?」と聞いたら「ビールのむの!」と当然でしょという顔で言われた。私=ビールなのか、思わず笑ってしまった。大人になったら一緒にビール飲もうねと約束した。「ママはおっきくなったら何になりたいの?」と聞かれた(前も同じ問いを受けたような…)ので「アンパンマンみたいに強くて優しくなりたいな」と言った。この質問してくれる度に錯覚かもしれないがまだ何かになれるみたいで少しだけ救われたような気持ちになる。パンク寸前だけどがんばらなきゃいけない。

傘の妖精(推定50代男性)が今日も笑って過ごせますように

やけに長いがちょっとしたことが大事だったりするので記しておきたい。



1月29日(月)晴れ 相変わらず寒い
朝起きて母が送ってくれたデメルのケーキを台所で立ったまま食べた。そうしたらサイが起きた。パンを食べるか聞いたらバナナがいいということだったので1本渡す。皮を剥こうとすると自分でやると言うのでヘタだけ外す。いつもちょうだいと言っても絶対にくれないのに、急にバナナを少しちぎってくれた。「え、サイくんたべていいよ」と言うと「いいからたべなよ、ねっ」と渡される。どっちが子どもだか分からない。

今日からオムツを辞めてパンツにしませんかと言われていたので本人の意思を確認した。「パンツはいていく?」「うん」「トイレにいかなきゃ漏れちゃうよ、それでも大丈夫?」「うん、だいじょうぶだよ!」というやり取りをした後トレパンをはかす。保育園に着いて先生に伝える。

昼、パン美人が誕生日のお祝いと称して手作りのサンドイッチとスープを作って来てくれた。サバと紫蘇、ゆで卵、生ハムアボガドの三種類にさつま芋のスープ。字だけでもう美味しそう。スモークした鯖!あまりにも美味しかったので「これは人間の作ったものですかすごい」と言うと「だいたいの物は人が作ったものですよ」と言われる。結婚してくれ。その後、半年くらい前に一緒に蕎麦屋に行った時、私が使ってみて殻をカットする快感を気に入ってこれ欲しいなと一度だけ言った「うずらの生卵カット専用はさみ」とピンクのイヤリングをくれた。うずらの生卵は買ったことがないが、あの快感を味わうために買おう。うずらの生卵をはさみで切ったことがない人は人生損しているかもしれない。髪をかなり短く切ったので耳につけるアクセサリーが気になっていた。嬉しい。

夜。ファミマに寄ったら節分巻のチラシがあってもうそんな時期かと思った。サンリオの絵が描いてあったのでサイは喜んでいた。連絡帳を見ると途中で漏らしてパンツが濡れてしまったとのこと。まあゆっくりやればいい。夕食後、入浴。サイは最近、粒状タイプの入浴剤を一粒だけお湯に入れるのが好きだ。5ミリくらいの緑色の粒を一つえいやっと湯船に投げ込んでいた。入浴後、就寝。


1月30日(火)晴れ
明け方に起きてそのまま朝まで書き物をしていたらサイが起きた声がした。寝室に行き私も布団に潜りこんで二人でごろごろした。そうしたら急にほっぺにちゅーしてくれた。初めて。私はサイにあまりやらないのでどこでこんなの覚えたんだろう。「どうしてちゅーしたの?」と聞くと「ちゅーしたいなっておもったから」だって。だんだん大人になっていくのだなと嬉しいような悲しいような気持ちになった。パンツを履くかと聞いたら「いや、いい」とのこと。ちょっと壁にぶつかってしまうとやる気が消えていくのは私に似ているかもしれない。強制はしたくないのでサイのやる気に任せようとまたオムツで登園した。

夕方、お迎え。サイは帰り道「ねこちゃんがほしい」と言った。「え、お人形じゃなくて本物の?」「うん」「動物の?」「うん、しろいねこちゃんがサイくんのおうちにきてほしい」「そっか、白い猫ちゃん可愛いだろうね、でも本物の猫ちゃんはニャーって泣くしトイレもするしご飯も食べるしずっと大事にしなきゃいけないんだよ」という会話をした。動物を飼うのはなかなか決断の要ることだし私も金魚とザリガニ以外経験がない。良いともダメとも言えなかった。

豚汁の残りに冷凍うどんを投入しただけの手抜きご飯。サイはこんにゃくの粒を「つぶつぶがある~」と気持ち悪そうに嫌がった。入浴後、二人でアンパンマン(手品師ドロンガの話、かなり面白い)を観たりブロックで家を作る。サイはブロックの箱に貼ってある写真の見本通りに作ろうとする。ほとんど同じように再現できていて、そういう才能があるのかすごいと思った。パズルも得意だし、何かを記憶してその記憶に基づいて当てはめたり再現する能力が優れているのかもしれない。その代り、自由に何か描いたりするのが割と苦手なようである。得意苦手を伸ばしたり補ってサイが楽しいと思えることをやっていけたらいいなと思っている。そういえば去年サイの誕生日に買ったピアノが完全に置物になってしまっている。入浴後、就寝。

サイは寝る前に私とサイが翌朝食べるお菓子を甲斐甲斐しく2個用意し並べていた。サイが寝たらAmazonアンパンマンのパンツ(先生からトレパン辞めてと言われたので)を発注。パンツでも子ども服でもそうだが、男の子用は青カッコいい、女の子用はピンク可愛いと決めつけてデザインするのは辞めてほしい。サイはピンクとかキティちゃんとか好きなのにそういうデザインの男の子用パンツはなかった。サイが今一番ほしいのは「機関車トーマスのドレス」らしい。「めばえ」のトーマス衣装コンテストのページで女の子が着ていた、トーマス風の配色でチュチュがついたドレス。可愛いね。


1月31日(水)晴れ
早朝に起きて久しぶりに絵を描いた。新衣装のナナちゃんの絵。絵は上手くないが絵を描いている時が一番集中できるというか他のことを考えなくて済む。サイが起きたので終了する。昨日サイが用意したお菓子を一緒に食べる。いただいた菓子折りに入っていた犬の形の最中。袋を開けるのに失敗してサイの犬は顔が割れていたので、「交換してあげるよ」と言うと私のお皿に顔なし犬が来た。それからサイは苺とスティックパンも食べた。靴下を片方だけ自分で履いた。偉い。

夜、itunesで買った相坂優歌さんの『瞬間最大me』(作詞作曲/大森靖子)をリピート再生しながら買い物して帰る。マルエツのパンコーナーに売っている「クリスピーフライドポテト」が好きで世の中のポテトで一番美味しいと思っている(異論は認める)のだが、あまり見かけない。半年ぶりくらいに再会して嬉しくて割引シールが貼られたパックをカゴに入れた。夕食はソーセージとほうれん草と卵の炒め物、マルエツのポテト、なめことオクラのお味噌汁。私はビールとポテトだけ。冷めたやつも美味しいがトーストして温め直しても美味しい。サイはお風呂でまた頬にちゅーしてくれた。本当に「ちゅー」と音がするからこれはキスではなくちゅー。「ママはドロンガみた?」と耳打ちされたので「うん、昨日サイくんと一緒にみたよ」と返した。入浴後、就寝。

『瞬間最大me』はYoutubeに上がっているMVで聴いた時はリズムや音がいいなと思ったがあまりピンと来ず、改めて曲だけで聴くとこの曲がとても好きだと感じて、大森さんの提供曲でこんなに好きというか共感(まだはっきり分からないが)したのは初めてかもしれない。感想をメモしていたが、大森さんのライナーを読むとこれはもっと慎重に聴かなければ、ばーっと聴いて分かった気になってはいけないと思い聴くのを一旦辞める。それから、好きな音楽や芸術に対する気持ちを言葉にしてブログやツイッターで公開すること自体どうなんだろうという気持ちになった。

ふと、「マルエツ クリスピーフライドポテト」で検索してみたらそれらしいのは出てこず、このポテトの美味しさはまだネットの海に流れていないぞと自分の感性(対象がスーパーの惣菜ポテトという極小な感性)が少しだけ誇らしくなった。『anone』の第3話(先週分)を観てから明け方就寝。阿部サダヲが演じている男の家にスノードームがたくさん置いてあるのがいいな。月を見逃した。1月が終わる。春が待ち遠しい。


2月1日(木)曇りのち雨
2月になった。相変わらず寒い。考え事をしながら眠るといい夢を見ない。仕事を辞めさせられた後、知らない人に食べたくない弁当を選ばされる夢。麻婆豆腐とチキンライスと焼売の弁当があり、消去法で焼売を選んだがうーんという夢。

かなり寝坊したがサイが床で食べたい(室内ピクニックブームの到来か)と言ったため布を敷いてパンと苺とヨーグルトを並べて忙しなく食べる。忙しないピクニック。出際に「どんな色がすき?」という歌がEテレから流れてくる。懐かしい。歌う前にお兄さんが「冬の色は何色だと思いますか?僕は白かなぁ…お姉さんは?」と聞き、お姉さんは「オレンジ!甘いみかんの色だから」と言った。いい台詞(?)だなと思った。サイと「どんな色がすき?」をずっと歌いながら保育園まで自転車を走らせた。もう雪はほとんど残っていない。今日からリュックで登園させて下さいと達しが来ていたのにすっかり忘れていた。先生に謝る。というかあの恐竜のふざけたようなリュックで大丈夫なのか、買わなきゃいけない。

夕方、お迎え。雨が降っていたが傘もカバーも何もかも忘れた。他のお母さんはちゃんと用意していた。私の悪い癖でよほどの予定がない限り天気予報を見ないので、サイがいるいないに関係なく濡れて帰ることが多い。でも変なケチ根性でビニール傘を買うのを渋り何とかやり過ごす。サイが生まれるうんと前、仕事帰りにざあざあ降りの豪雨で、傘がないのはさすがにヤバいとなったがコンビニもタクシーも見つからず、まあシャワーだと思おうと諦めるように歩いていたら、前から歩いて来た50代くらいのスーツを着た見知らぬおじさんが突然自分の差していた傘をずぶ濡れの私に押し付けるように渡し走り去った、ということがあった。「えっあっ、ありがとうございます!」と慌てて言ったが足早過ぎて聞こえていたか分からない。一瞬の出来事すぎて幻覚というか妖精だったのかなと思っているが傘は確かにもらった。その日以来雨が降る度にその見知らぬおじさんのことを思い出しては彼の幸せを願う。彼が会社で嫌な思いをしませんように、彼が美味しいものを食べられますように、彼が面白い話を聞いて笑えますようにって。

二人で濡れ鼠になって凍えながら帰宅。暖房をつけて急いでサイの頭をタオルで拭いて乾かしていたらサイは私からタオルを奪って「サイくんふいてあげるからね」と私の頭を拭いた。それから私の手とコートが濡れていることを心配した。優しいな君は。その優しさが何かによって失われないでほしい。

サイがお腹が空きすぎて騒いだので、夕食前に「ままどおる」とパンとヨーグルトを食べさせた。お腹が空いた状態で菓子など与えて夕食を残すことは如何かと感じていたが親の都合で空腹になっているのを泣いて我慢しろとは勝手だなと思い最近は気にせず与えてしまっている。先日実家に帰った時、夕食前に与えていたら母にあり得ないと言われた。両親は特に食事に関しては躾に厳しかった。当時は辛かったがおかげで今自分は食事マナーがそれなりに(とは言え頻繁に食べこぼす)身に付いているからよかったのかもしれないが、私は私のやり方でサイを育てたいから同じようにする必要はないと思っている。夕食は鳥胸肉のオーロラソース和え、トマト、納豆、昨日の残り。サイはやはり最後まで食べなかった。入浴後、就寝。サイはお風呂でひらがなポスター(こういうの貼る親絶対嫌だけど付録についてきたしアンパンマンに喜ぶから貼ってる)を読み上げていき、聞かれたら教えるくらいなのにいつの間にかかなり習得していてびっくりした。


2月2日(金)雪のち曇り
起きて暗かったから夜中かと思ったら朝だった。サイも目が覚めた。「雪降ってる?」と布団から出られないままサイに聞くとサイは布団から跳ね起きて窓を覗いて「ゆきふってるー!」と言った。それから窓を開けて二人で雪が降る様子を眺めた。肌に触れる空気は冷たいが綺麗だった。「ぶりぶりふってるねー」とサイは喜んでいた。サイはなぜか雪を「しんしん」とか「ひらひら」でなく「ぶりぶり」降ると言う。空のお尻から降っているみたいで面白い。綺麗とされがちな雪に汚い感じの表現をもってくるのが良いなって思う。オムツを替えた後、「あぁ、あしにつぶつぶがあるんですけど」と世界の終りが来たような声でサイは言い、何事かと思いきや鳥肌だった。鳥肌を初めて見て戸惑うなんて、あぁ可愛いな。ですます調なのがまた可愛い。私にとって当たり前でやり過ごすことがサイには当たり前でなく初めてを一緒に見させてくれる。それがサイといて一番楽しいこと。家を出る前にEテレで「ブレーメンの音楽隊」の歌が流れていて、これって人生の歌なんじゃないかと思い涙がせり上がってきた。私は音楽の入り口が針穴だけど童謡に関しては抵抗が少ない。好きな歌も嫌いな歌もああるが聴きたいという姿勢になる。

雪のせいで30分くらい会社を遅刻したが他の人はいつも通り来ていた。社員証に使っている全員分の個人顔写真が社内共有フォルダで公開されるという羞恥プレーが実施されたので許可とか無視して自分の写真を秒で削除した。メールに顔写真設定しなければならない制度(強制)の関係なのだが、最後の一人になっても絶対やりたくない。もしやらなければクビだと脅されたら10mくらい離れて撮ったピンぼけ写真にするしかない。

夕方、お迎え。疲れすぎてコンビニで冷凍パスタを2種類買ってサイと半分ずつ食べた。こういうの、Kに見つかればきっと怒られる。でも後片付けが少ないとサイと過ごす時間は増える。それは良いことだ。サイとアンパンマンを観る。ロールパンナちゃん可愛いなぁ本当に。入浴後、就寝。寝落ちせずに済んだので録画した『anone』第4話を観る。母と息子の話は自分に重ね合わせて将来を想像して辛くなった。3話までるい子さん(小林聡美)にイマイチ共感できなかったけど「アオバ」が出てきて好きになってきた。あと、田中裕子さんの注意深く見なければ気が付かないような演技や表情が本当に好き。例えば誘拐されたと知らされた時に「気が動転してて」と言った時の一瞬見せた無表情とか。二人ともすごい女優さんだ。


2月3日(土)曇り
朝ごはんのち洗濯。何もしないで好きなだけ寝て起きて好きなように休みを過ごせたらなぁと思うけど「なかった過去について考えることほど残酷で悲しいことはない」(うろ覚え)というるい子さんの言葉を思い出し洗濯を干すことに専念する。パンツが届いたので見せるとサイは機嫌良く履いた。結局すぐ漏れたけどパンツのすぅすぅした感覚を気に入った様子。

サイを耳鼻科に連れて行こうと思ったがなぜか医療証が見つからず断念する。準備はしたので出かける。サイがめばえを買いたいと言うので電車に乗っていつもと違う本屋さんに行ってみることにした。だが駅に着くまで二人とも空腹が持たず公園に併設されているお茶屋さんみたいなところに初めて入る。サイは食べこぼすので大きなテーブルに横並びで座ろうとするとサイが嫌だというので小さなテーブルに差し向かいで座る。私達の他はおじさん二人組がいたが早々に食べ終えていなくなった。私達だけになった店内はしーんとしていてサイと二人で遠いところへ旅行へ来ているような気持ちになった。焼きそばと卵丼を発注。最初卵丼でなくて親子丼を頼んだがなかった。「ないです!」のおばちゃんの言い方があまりにも強気で怖くて「親子丼なんてあり得ないわ、それでも人間なの?はぁ!?」と言う顔をしていたので内心で可笑しいなと笑って「すみません卵丼はありますか?」と聞いたら「仕方ない」という顔をされた。仕方なく受け入れられた卵丼は美味しかった。サイが残した分まで食べたのでお腹がきつくなった。
お腹が満たされて二人で機嫌良く駅まで歩き電車に乗った。サイは遠征だと勘違いして座席に座るとお菓子を広げようとしたので「すぐ着くよ」と制止した。暖かくなったら遠征もしようね。あまり降りたことのない駅で降りてみたが書店がどこにあるか分からず無駄にうろうろしたためサイの機嫌が悪くなった。なんとか書店を見つけると節分の子ども向け工作ワークショップをやっていた。サイにやるか聞くと「やりたい」と言ったので参加する。乗り気だったわりに出来上がったら「めばえ」のことで頭がいっぱいで反応は薄かった。約束どおり「めばえ」と自分用にポケットサイズの辞書を買った。言葉をネットで調べがちだけれど紙で見たいし、ぱらぱら読んでも面白いかなと思ったから。600円でこんなに言葉が載ってるなら安い!と買ってしまった。店を出たらポスターで広辞苑の改訂版が10年ぶりに刊行されたと知る。あーしまったと思ったけど広辞苑は情報が多すぎるからポケットサイズでちょうど良い。広辞苑はまた改めて。

書店の近くにペットショップがあったので最近サイが白猫を飼いたいと言っていたのを思い出し入店する。飼う気はまだないけど。サイは犬には目もくれず、何匹か猫がいるガラスの前に行き「ねこちゃーん」と大きな声でガラス越しに呼びかけていた。寝ている猫、起きているがぼんやりしている猫、じゃれあっている猫、飛び回っている猫、色んな猫がいた。サイは喜んでいたが普段ぬいぐるみに言う「かわいい~」とは違う何かを感じていたような顔をしていて、入店してよかったなと思った。猫を見ると20歳の時ホームステイ先にいたラッキーという雄猫を思い出す。ホームステイ先の家族が嫌いではないけどうまく馴染めなくて、でもラッキーとはなぜか仲良くなれた。広い庭で放し飼いだったからいつも身体が汚れていてふてくされたような顔で寄って来た。帰国後事故で亡くなったと聞いた時はわんわん泣いた。だから猫は好きだけど簡単に飼えないなとは思っている。サイと熱帯魚コーナーを見て、綺麗だな魚なら飼えるかないや場所がと考えて店を出る。

駅で恵方巻きを買って帰宅。寿司だと思えないような光景で山盛りに積まれていて売る人も殺気立っていた。節分だからと律儀に買う自分が何だか嫌で「恵方巻きが食べたい」自分を無理矢理演じる。夕食は恵方巻き(丸かじりに全く拘わりがないので食べ易さを重視して普通に切った)、すまし汁。サイは近所に来た鬼をKと見に行ったが怖がっていなかった。「鬼いた?」と聞くと「うん、いたよ」と近所のおじさんがいたみたいに言われた。去年はあんなに怯えていたのにね。Kに「恵方巻きは作った方がいい」と言われたが無視した。入浴後、就寝。


2月4日(日)曇り時々晴れ
早朝に目が覚めたので、相坂優歌さんが「大切なもの」として大森さんに渡した『月曜日の友達』という漫画を読む。絵がとても美しい。特に水しぶきなどを表現するのに水玉というか丸がたくさん描かれていていいなと思った。台詞がト書きのようで台詞らしくなく文字数も多いので噛み締めるように読んだ。もうすぐ出る2巻が出るらしく楽しみ。サイが起きて朝ごはん、洗濯、掃除など。

昼食後、サイと昼寝。途中で起きて「アンパンマンやなせたかし特集」のユリイカを読む。アンパンマンを深く勉強しようと思って漫画と一緒にAmazonで取り寄せた。想像以上に読み応えがあり、『アンパンマン』の奥深さを知る。例えばアンパンマンはやなせ氏の初期漫画では顔をちぎって食べさせるのではなく、お腹が空いた人に顔を差し出して齧り取らせていた、それには重要な意味がある、など。アンパンマンが一切食事をしない点にも触れられていたし、「食べる」行為に深く言及されていた。キリスト教と関係あるかなと思っていたが日本神話にも関係がありそう。まだまだ勉強したい。やなせ氏が書いた文章が面白いので自伝も読んでみたい。

サイ昼寝から起きて洗濯物を取り込んだり夕食の準備。サイは夕食前にバナナを2本も食べた。夕食はいただきもののいい牛肉があったのですき焼き。サイに初めて生卵を食べさせた。サイの器に卵を割ると双子の卵でびっくりした。私も初めて見た。だから黄身の味が濃かったようでサイは初めての生卵を恍惚とした顔で堪能していた。明日からまた一週間が始まる。傘のおじさん元気かな。

かわいいは魔法

一週間日記をつけるのを辞めたが印象に残ったことをメモ的に記録しておきたい。

-----------------------------

雪が道路に残る中で半ば無理やり自転車を走らせた。空は晴れていて気持ちよく白い雪が眩しかった。サイは自転車の前かごに乗りながら「わぁぁぁ~!!!」と興奮気味に叫んでいた。転倒しないように神経をものすごく集中させたので会社を遅刻したし疲れたけど楽しかった。


サイは雪が降った翌朝「ゆきだるまつくりたい」と保育園に行くのを渋って泣いた。保育園に着いて先生に「今日は雪だるま作りたいって言ってなかなか家を出てくれなかったんです」と言ったからか、その日先生はサイと他の子どもと一緒に園庭に出てアンパンマンの雪だるまを作ってくれたと連絡帳で知った。いい先生だなと思った。サイは雪だるま作りの経験(年始)があることを自慢して得意気だったらしい。


サイは自作の歌や言葉を突然声に出しそれを一緒にまたは私一人で歌うように命令してくることが多いのだが、「チンチラチンチラあめまつげ~」というサイが作った歌を朝ご飯を食べながら一緒に歌った。食後、その歌に変な振付を付けて踊って見せたら気に入ってくれて二人で一緒に部屋を踊りながら歩いた。お尻を振りたいと言っている方がいたが、私も嫌なことや悲しいことがあったらこの歌を歌おう。


1月26日(金)の放送「ちびぞうくんといとまきおばさん」からドキンちゃんの声が鶴ひろみさんから冨永みーなさんに変わった。年末のクリスマスSPを除くとアンパンマン放送開始から初めてのことなので歴史的な大事件だと構えて昼間からそわそわし、帰宅して録画を観ていたらサイは全く気付いていなかったのでドキンちゃんドキンちゃんなんだなと思って変わったことは言わずにおいた。もう一本の「プリンちゃんとエクレアさんとくらやみまん」は子どもには少し難しそうな話だった。やなせたかしがどういう意図で作ったかわからないが、くらやみまんは結局個々にある心の闇を暗喩している気がした。鶴さんが亡くなってからこういういつもと雰囲気が違うストーリーが増えた気がする。


サイは社長として勤務していた「ぺんぎんちゃんのおしごと」(詳しくは別日記参照)を辞めたらしい。経営不振で倒産というか廃業したらしい。今は新規事業「ドキンちゃんのおしごと」をしているとのこと。どんな会社か聞いたら、会社の隣にショップが併設されていてそこで販売しているグッズを制作しているとのこと。今イチオシのグッズは「ハートの珈琲」とのこと。可愛いハート型のカップに入った珈琲らしい。サイは最近なぜか「珈琲」という単語を会話で積極的に使う。「それほしいなぁ」と言うと「かいにいこうね」と約束してくれた。


「サイくんの次はママだよ」と言ったの覚えていたのか数週間前から私の誕生日がいつなのか何度も聞かれていた。ケーキを食べたいだけかもしれないけど。誕生日の朝、サイが寝起き一番におめでとうと言ってくれた。いつも以上にぎゅーっと抱きしめた。あと友達二人とパン美人と実家の家族がLINEでお祝いしてくれた。祝われたいとあまり思わない(特にSNS上は苦手)がそれは別として単純に嬉しかった。


寝る前のスキンケアをさぼってサイと布団に入ったら「きょうはおけしょう(顔に塗るもの全般をサイは化粧と呼ぶ)しないの?」と聞いてきてよく見ているなぁと思った。「やってないよ、不細工だよね」と聞いたら「かわいいよ」と顔をくっつけて言ってくれた。魔法の言葉。

いつかサンプラザいこうね

1月15日(月)快晴
ここのところずっと晴れていて嬉しい。目が覚めてから1時間くらい布団から出られなくて、ああもう今起きなくては遅刻する、いっそ休んでしまおうかと思ったらサイが目を開けた。そして私を見てにーっと笑った。よし会社に行くぞと思った。サイのおかげで毎日出社できている。サイは私が朝ごはんを食べる前に着替えると怒る。自分はパジャマのまま食べるから同じタイミングで着替えようよということなのか、もっと家モードでいてよということなのか理由は分からないけれど。イングリッシュマフィンにサイの好きなハムをぺろっと載せたら喜んでいた。案の定ハムだけ先に食べていた。食後、かばんがないと騒いでいた。部屋の隅に落ちていたぼろぼろになったアンパンマンの手提げを渡すと中に色々詰めていた。保育園バッグはこれとは別なのでサイの「かばん」には要は園生活に必要のないものが入っている。玩具だったり紙屑だったりペンだったり使わないけどサイがその日持って登園したいと思う物。他の子はどうか知らないがサイは1歳になる前からこのスタイル。

夜。ささみのチーズはさみ焼き、オクラとトマトとハムのペンネ、ごはん(炭水化物被り)。入浴。サイとお風呂で手品を見せ合ってゲラゲラ笑った。手品といっても耐水シートに相手が見てないうちに人形を入れてシート丸めて広げてあれぇ人形が出てきました不思議ですね、という遊び。最初私が手品風に人形を出したら大喜びでサイも真似をした。人形を入れる時隠しきれてなくて大バレなのが可愛い。サイは寝る前にデュプロで車輪付きの家を拵えていてすごいなぁと思った。朝せっせと何か詰めていた手提げバッグを開けるとままごとの野菜がいっぱい入っていた。就寝。


1月16日(火)快晴 春のように暖かい(と会社の人が言っていた)
朝。みかん、クリームパン。昨日の夕食の残りをお弁当に詰めて蓋をしようとしたらサイが「みせてみせて」と言うから見せたら「サイくんもままのおしごといきたい、そのおべんとうたべたいよ」と言われたので困った。「ママのお仕事に来ても面白くないよ、こわーいおじさんいるよ」と言っても「いきたいいきたい」と繰り返すから「ママのお仕事でサイくんは何するの?」と聞くと「みんなにおはなしするよ」と自信満々に言っていた。サイが会社の偉い人のデスクをまわって色んな話をする姿をつい想像した。保育園に向かう途中で「きょうおべんとうつくってね」「え、晩御飯お弁当がいいの?」「うん」「おにぎりはまるいの3こね」「う、うん」という会話をしたため夜は弁当を作ることになった。

お迎え、のち薬局に寄って買い物。家にあるのと同じアンパンマンのラムネをついている絵が違うという理由だけで欲しがったので制止した。不服そうだったので、そのマイクにすれば?と提案したら嬉しそうに赤いマイクを選ぶ。先端に紐のついたカラフルなマイクは私の幼少期からあった。何十年もあるということになる。これほどの消費社会でずっと生き残っているなんて需要があるということか製造元の会社が資金潤沢なのか。すごいな。薬局を出たらサイはマイクのスイッチを探していたが「そんなものないよ」というとそのまま赤いマイクを口に当て「ありの~ままの~きてぃちゃんが~」と謎の歌を熱唱しながら帰った。おそらくこの歌はピューロランドのパレードで聴いた歌を再現している。アナ雪ではない。

約束通り夕食は弁当箱で食べた。サイは嬉しそうだった。マイメロの弁当箱にラップに包んだおにぎりを入れると「あんぱんまんとかれーぱんまんかいてね」とマジックを持って来たのでそうした。「ままはおおもりさんかいたらいいよ」と指示されたので大森さんとナナちゃんを描いた。意見する3歳児と従うおばさんの図。アルフォートもお弁当に入れろと言われたがこれは食後に食べようと提案した。好きなおかずだけ一気に食べ(卵焼きに至ってはいつ食べたか見えないほど早かった)、アルフォートに取り掛かろうとしていたのでオクラ食べなきゃおやつはダメだよ、と言うと嗚咽しながらオクラの薄切りを2つ食べたので合格とした。
入浴後、就寝。寝る前にまたデュプロで力作を拵えていた。同じ側に積み上げすぎて倒れるので「バランスが大事だよ」と言うと難しい顔をしていた。


1月17日(水)雨
朝。空はどんよりしている。サイが起きる前にチップスターを一気食いした。サイはみかんとチョコクロワッサン。
夜。サイはひらがなをついに覚えたらしく、何となくお風呂に貼ってあるが見たこともないと思っていた幼児雑誌の付録のアンパンマンひらがなポスターをみて、画数の少ない「く」や「し」を得意気に発音しながら指さしていた。「くりーむぱんだちゃんのく!」「しょくぱんまんのし!」などとキャラクターで覚えているらしい。サイの名前も教えてあげると嬉しそうにゆび指しながら発音していた。記憶力が凄まじい。なぜか「サイくん、えいごわかるんだからね!」と平仮名を英語だと思い込んでいるのが可笑しかった。英語なんてどこで知ったのだろうか。よく考えれば前に保育園に行った時、他の子に「○○ちゃんのくつしたにはえいごがかいてあるんだよ」と英字がプリントされた靴下を見せられたことがある。「(よく分からないけどなんか難しくてカッコいい文字の)英語を知っている」が3歳児の間でステータスなのかもしれない。文字だけ見て分かるらしいひらがなは「し、く、ち、こ、あ」と名前の文字。人間ってこうやって言語を覚えていくのだなぁとしみじみした。入浴後、就寝。

1月18日(木)晴れ
体調不良。夕食は鶏挽肉の親子丼。入浴後、就寝。サイと寝る前に枕を頭の後ろに当てて毛布にくるまりながら絵本を読むのが最近のお気に入り。

1月19日(金)晴れ
体調不良。夕食はカジキの醤油バター焼、ブロッコリーとチーズのオムレツ。飲酒と迷惑行為について考える。入浴後、就寝。

1月20日(土)曇りのち晴れ
朝。洗濯、掃除。サイの予防接種。なんと四種混合の追加を忘れていたので次に受ける日本脳炎の前に慌てて接種。少しでも怖い気持ちを減らすためにサイと私が「やさしい先生の病院」と呼んでいる小児科に行く。呼び名の通りその小児科の女の先生はとても優しい。けっこうお歳を召されているが子どもと向き合うようにやさしく話しかけながら診てくれるので、今まで嫌な思いをしたことがない。出発が遅くなり診察終了時間ぎりぎりになったが特別に注射を打ってくれた。そういうところも優しい。注射の際、サイは「いたい~」と歯を食いしばって目から涙を流していたが声をあげてわんわん泣くことはなかった。偉い。偉かったね痛かったね、と抱き締めた。注射後30分程は帰らないで別室で大人しくしておくように言われたためそうする。その部屋がまた好きで好きで。小さい頃遊びに行った大叔母のお家、みたいな感じ。そんな人はいないけれど。籐籠でできたソファがあり、子どもが安心するようにキャラクターの人形やぬいぐるみが置いてある静かで明るい部屋。最期はこういう部屋で死にたい。

小児科を出るとけっこういい時間になっていたので、帰り道にある入ったことのない蕎麦屋に寄る。店の前のショーケースの食品サンプルの海老天や蕎麦がどれも埃をかぶって黒ずんでいた。入店すると窓際でおじさんが一人鍋焼きうどんを食べながら缶チューハイをグラスに注いでいた。あとは家族連れとおばあさん。客はそれだけだった。サイが天丼を食べたいというので天丼蕎麦セットを頼み、私はセットの蕎麦とサイの食べない天ぷらと残ったご飯を食べた。サイは天丼を夢中で食べていた。蕎麦の汁が真っ黒で今まで食べた中で一番塩辛かった。東京にいる!という実感がした。おじさんはチューハイを二缶空けると会計して店を出た。おばあさんと家族連れも出た。代わるように欧米系と思わしき外国人の男性が一人入店した。席に着きたそうに立っていたが店の人は現れない。イラつくこともなくじっと待つ男性。ほどなくして洗い物をしていた店のおじさんが奥から出てきて私も安心した。ゆび指しで南蛮蕎麦を注文していた。男性がこの真っ黒な蕎麦汁をどう思うか個人的に気になったが南蛮蕎麦が来る前に私達は食べ終わったので会計をして店を出た。会計する時、店のおじさんはやっぱり姿が見当たらなかった。静かな昼下がりだった。

帰宅してサイを昼寝させる。今日は大森靖子さんのライブ。十五箇所で行われたMUTEKIツアーのファイナル。サイが寝てから大慌てでナナちゃんの形の団扇を作る。今回、席が前方の良席で大森さんの視界に入るであろう場所だったから何かしたいと思っていた。団扇は前々から作りたいと思っていたアイテムの一つだった。その方面に詳しくないが、昭和のアイドルみたいなフォントでいかにもなやつを作りたかった。100均で材料を揃えたのはいいが体調が悪かったりして作り出せなかった。昔から何をするにもいつもぎりぎりだなぁと思いながらピンク色の絵の具でレタリング(PCを起動させるのが面倒でフリーハンドでやった)した文字を塗った。未完成のうちにサイが起きてしまい、あとは身支度に時間を当てて電車に乗りながら細部を仕上げた。出る前、サイに最初は「おしごとだよ」と言ったが嘘をつくのもなぁと思い「じつはね、お仕事じゃないの。大森さんの歌を聴きに行くんだ。」と言うと「サイくんもおーもりさん行きたい!」と騒いだ。「ごめんね、今日は連れて行けないんだよ」と何とか宥めて出発した。いつか一緒にホールのライブ行こうね。約束するよ。ここからはライブの感想として別途記述したい。

1月21日(日)快晴
ライブの余韻で一日中ぼんやりしていた。とはいえ洗濯もするしサイと遊ぶし余韻に浸ってばかりもいられなかった。できれば私が画家で一等好きなルノワールの絵画みたいに昨日の光景を頭に浮かべて恍惚としていたかった。サイがお昼にまたお弁当を食べたいと言ったため、お弁当を作って、床にテーブルクロスを敷いてその上にぬいぐるみ達を並べてピクニックをした。床で食べると新鮮で楽しかった。食事のマナーに厳しい親だったので自分の幼少期にこんなことしたら絶対に怒られたが、サイには自分が体験したことのないことも含めてできる限り色々な面白い経験をさせてあげたいなと思っている。親が選別してはいけない。よほどマナーが悪かったり人を傷付けたり危険がなければ何でもやってみようというスタンスにしている。

作る気が起こらず夕食は買った惣菜で済ます。サイはまたお弁当がいいというので、お弁当箱に惣菜を詰めた。入浴後、就寝。夜中に目が覚めてまた余韻に浸る。明日は雪が降るらしい。

くじらのお化けはお姫さまを食べようとして石にされ空に上がった

1月10日(火)曇り
朝。サイはみかんを2個食べた。バタバタで出発。シーツつけで電車乗り遅れる。やる気ないなぁと思っていたらいつもお菓子やパンをくれる慈悲にあふれた社員さんから可愛い犬のパンをもらった。お昼はパン美人と食べた。正月に買ったパン美人の好きな煎餅をあげたら喜んでくれた。「勝手にふるえてろ」を勧めた。言われて気付いたが、パン美人は松岡茉優に似ている。似てる似てる、と言うとうみさんはメーテルに似ているねと言われた。全く似ていないし全999ファンに袋叩きに合うだろう。

夜。部署の新年会。私の所属している部署が春に今の勤務地から別の場所に移動する噂とのこと。今より家から遠くなる。保育園送迎など時間ぎりぎりの生活をしているので春からのことを考えると不安になった。やっていけるのだろうか、いっそ転職した方がいいのでは。と考えていたらそれがそのまま声に出てしまって不穏な空気を生み出してしまった。嗚呼。まあ甘いものでも食べなよと部長に言われてみんなでアイスを食べて解散した。コーンをなかなか食べないから一緒に食べた方がいいよと部長に何度も言われたが私はアイスが少なくなるまでコーンに手を出さない派だ。新年会が長引いたせいで先週から楽しみにしていた大森さんがゲスト出演するNHKFMラジオを聴き逃した。


1月11日(水)快晴
なかなか布団から出られず寝坊。サイもなかなか起きなかった。サイと犬のパンを食べた。美味しかった。

昨日新年会で転職したいとつい言ったばかりに午前中上司に呼び出される。上層部が信頼できない会社に期待が持てないこと、給与減によりモチベーションが一気に下がったこと、など今思っている気持ちを正直に話した。上司は上司で会社に対して感じる違和感や考えを私に話した。それから人生相談会みたいになった。子どもがいるって羨ましいと言われた。結局何か仕事以外で好きなこと大事なことを一つでも持っていることが前を向くことに繋がるよね、という話になった。だとしたら私はサイと大森さんかなと心の中で考えた。

昼休み、外でうどんでも食べようかとフラフラしてたら別のフロアの、サイと同じくらいの歳の子を持つ女性社員さんに偶然会った。歩きながら何となく話しているうちに一緒に昼食を食べることになった。お互い胃腸の調子が万全でないので新しくできた定食屋さんで生姜挽肉豆乳鍋を食べた。境遇が私に似ていて抱えている問題をよく理解してくれて救われるような思いだった。慰めはいらない。解決策がほしい。とりあえず、サイズアウトした子ども服や使わなくなった玩具をフリマサイトに出品すれば前向きになれるよとアドバイスしてもらった。何だそれと思う人もいるかもしれないがそうなのだ。結局要らないものが多すぎる。少額とはいえ要らないものを売って得たお金は貯金したり好きなことに遣ったりできる。それが問題解決への糸口にもなる。フリマサイトにはあまり良い印象はないので使ったことはないけれど使い方次第だと思うので調べてみたい。

お迎え。朝と同じように歌いながら帰ろうと思ったら「かえりはうたわないで」とサイに制止される。帰りは歌うような気分じゃないらしい。「あさだけね」と言われる。失敬。疲れていたのでコンビニで夕食を調達した。「はちまき!はちまき!」と騒ぐから何かと思ったら「春巻き」のことだった。「春巻きって言うんだよ」と教えると「ちがうよ、はちまきだよ!」と返って来た。まあいいか。サイが胸に抱えて持ち帰った春巻きは思ったのと違ったらしく、また筍が嫌だったらしく解体しただけで結局私が食べた。夕食後、入浴。サイは突然自分で身体と頭を洗いたいと言い出しポンプの押し方を教えると真似をして出して洗い始めた。ちょっと手伝ったが上手にできていた。すごい、偉い、もうお兄ちゃんだねと褒めたら喜んでいた。入浴後も一人でパジャマに着替えてオムツでなくトレパンを履いた。急にどうしたのだろう。いただいた大量のアンパンマンDVDのうち一枚に私が昔好きだった「アンパンマンとバレンタインデー」(あとで調べたら1990年の放送!)が収録されていることが分かり嬉しくなり、それを二人で観てから就寝。

今日一日、自分の性格について考えていた。この酷いほどの自己卑下は幼少期の経験によるものなのかどうか、とか。とにかく小さい頃から何かして両親に褒められた記憶があまりない。だからという訳ではないが、サイにはとにかくなんでも大げさなくらい褒めるようにしている。椅子の上でくねくね踊ったら最高(危ないけど)、変顔したら大笑い、自作の歌を歌ったら天才、絵を描いたら上手、とにかく毎日過剰に褒めて褒めまくっている。嘘じゃないから。本当にすごいと思っている。それで大人になって自分がすごくも何ともなく無能だと気づいて悩んだところで問題あるだろうか、その時はその時だ。


1月12日(木)快晴
珍しく朝まで眠れたのたので頭がすっきりした。また「生きてるパンをつくろう」を二人で熱唱しながら保育園に向かっていると道を歩いていた老夫婦に笑われてちょっと恥ずかしかった。「なんでわらったのかな」とサイは不思議そうにしていた。この歌の「死んでしまう」というフレーズが好きで、最後は三回繰り返される。MVになるとジャムおじさんとバタコさんが「しーんでしまうーー!」と明るい表情で歌い上げる。去年10月に放送された30周年記念回「アンパンマンとどろんこ魔王」にもこの曲が挿入されていたが「死んでしまう」という歌詞は放送倫理上の理由なのか全く別の言葉にすり替えられていた。とても悲しかった。

お昼。訳あってパン美人が作ってくれたサンドイッチを食べた。めちゃくちゃ美味しかった。レンコンにバルサミコと柚子が和えてあったり(あまりに美味しいので何の味か聞いた)、ひと手間が加えられていてまるでお店のサンドイッチのようだった。というかどこかで食べたのより美味しかった。パン美人に仕事を辞めてサンドイッチ屋さんになった方がよいと勧めた。パン美人の話を聞いていると大変なのは自分だけではないなという気持ちになった。

夕方、スーパーで買い物をして帰る。苺味のアルフォートを買った。ピンク色で可愛い。この時期、ピンク色のお菓子が並び始めるから嬉しい。春だ。夕食は冷蔵庫に残っていた豆腐(一応水切りした)に茹でたほうれん草、餅(鏡餅を薄く切ったもの)、カマンベールチーズを耐熱皿に放り込んで牛乳で溶いたパスタ用のたらこソースをかけて焼いたもの。何も見ずに適当に作ったがびっくりするくらい美味しかった。カロリーさえ気にしなければ牛乳を生クリームにしたらもっと美味しいかもしれない。入浴後、就寝。サイは眠る前いつもよりぐずってちょっとしんどかった。


1月13日(金)快晴
サイは最近私より起きるのが遅い。日が差さないと起きない。電気がなかった古代の人はきっとそうだったと思うし、それが生き物のリズムとして真っ当な気がする。私は太陽に関係なくアラームなしで大体いつも同じ時間に起きれるようになった。老化だろうか。起きたら始業時間だった入社当時が懐かしい。とはいえ、寒くて布団から出られないでいたら二度寝したりしてしまうので意味がない。出社した瞬間、あー今日は無理だと思った。風邪をひいている分けではないのにしんどくて無理だった。それで体調不良を理由に午後から早退した。「体調不良」とか「私用のため」とか安直に遣い過ぎているなとは思う。

なんとなく家に帰らず、サンシャインまで行きプラネタリウムに行った。こちらの席がお勧めです、と言われるがまま窓口のお姉さんに選んでもらった席に行くとカップル達がたくさんいてうっとなった。私がシートの背もたれを倒すのに手間取っていたら隣のカップルの女の人が教えてくれた。たまたま観た回が「ヒーリング」と銘打ったものだったためか癒し効果を狙ったアロマ的な香りが上映中ずっと漂っていた。序盤から「癒されますね」「気持ちがいいですね」などキーワードがナレーションの随所に挟み込まれ、「お前は癒されたいんだろう?どうだ?」と言われている感じもしたが言葉は別として実際心地よかった。寝たらもったいないと思ったが、四季の星座の紹介があった後CGで壮大な自然風景が映し出されて相変わらずぼそぼそとした声で自然の歴史を説明するくだりになると次第に眠くなってきて半分夢の中だった。気が付いた時には終わっていた。リクライニングの仕方を教えてくれた隣のカップルの女の子が恋人に「も~寝てたの?」と言い恋人は「うん途中ちょっとだけ・・いや起きてたよ」と答えていた。私にもかつてそんな会話をする時期があったのだろうか。くじら座という星座があることを今回初めて知った。でも普通の鯨の姿ではなく怪物のようだった。後で調べたらやはり神話上の海の化け物らしい。私はおそらく星自体より、星座のモチーフや神話が好きなのかもしれない。子ども向けでいいから星座にまつわる神話が書かれた本があれば読んでみたい。

下まで降りると小腹が空いたので目についたディッパーダンでバナナチョコアイスのクレープを食べた。ディッパーダンには幼少期の記憶がつきまとう。ダイエーのフードコートにあったけどそれなりの値段がするので毎回は食べさせてもらえなかった。だからたまに買ってもらうと嬉しかった。丸い鉄板の上に窓ふきワイパーみたいな棒でくるっと広げられクレープの皮が湯気を立てて焼かれていくのを眺めるのが好きだった。おかず系とか色々あるけど毎回チョコバナナを選んでいた気がする。最初にアイスを食べてしまい最後の方は安っぽいバナナの味と生クリームの味しかしなくなるところも昔と全然変わっていなかった。ディッパーダンがこの先もずっとこのままでありますように。

何事もなかったような顔で帰宅し夕食を作って食べた。寒かったのでベーコンと野菜の洋風煮込みうどん。食が進んでいないとKに「何食べたの?」と聞かれたがプラネタリウムを観てクレープを食べたことは言わなかった。サイと入浴後、就寝。


1月14日(土)快晴
朝からサイと友達親子と上野動物園へ行った。サイはお昼ご飯を食べている時はテンションがおかしかったが、動物園の中に入ると興味深々で柵の側に寄って動物を観察していた。子ども向けに見易いようにされている小動物や鳥類をすごいとか可愛いとか何も言わずただ黙ってじっと見ていた。サイの好きなペンギンがいたから「ペンギンいたよ」と言うとなぜかその横にあったペンギンの人形のところに駆け寄って行った。実物のペンギンは少し見たあともう見るのを辞めてしまった。想像と違って怖かったのだろうか。寒くて室内にいるキリンやカバを裏側から見た。サイはカバのおしり!とか臭い!とか大きな声で子どもらしいコメントしていた。私は一番好きなキリンに会えて嬉しかった。その後、熱帯生物の建物に入った。中は暖かくて湿度が高くむっとしていた。ああ夏ってこんな感じだったなと思い出した。サイは魚や爬虫類をやはり興味津々で見ていた。目を開けたまま微動だにしない鰐を見てサイは私に「しんでるよ!」と教えてくれた。「死んでないよ、寝てるだけだよ」と言っても「しんでる!しんでる!」と鰐は死の宣告を受け続けた。最後にサイが前日から見たいと言っていたライオンを見に行ったがライオンがいるはずの自然を模したスペースには何もいなかった。鎖に繋がれた血のついた巨大な骨が転がっていてそこに小さな鳥たちが集まっているだけだった。サイは残念そうにしつつ、途中の売店で見たアイスが食べたいと騒ぎ出した。もう動物とかどうでもいいという感じだった。正直でよい。
それまでにおやつやフランクフルトを食べさせていたのでアイスの件はごまかしつつ動物園を出て、駅で友達と別れてからパンダのお弁当を買って帰った。今回ベビーカーで行かなかったからたくさん歩いて私もサイもくたくたに疲れたけどとても楽しかった。お天気もよかったし。最寄駅に着いたら空が暗くなり始めていて、サイと家までとぼとぼ歩いていると長旅から帰って来た気分だった。歩きながら「ライオンさんいなかったね」「残念だったね、また行こうよ」「うん」という会話をした。お弁当を食べた後、二人で熱い湯に入っていつもより早めに布団に入った。サイは眠る前にペンギンや虎のぬいぐるみに「(きみたちの)おかあさんいたからね」と報告していた。


1月15日(日)快晴
いつも日曜日が来るのが怖い。午前、数々の憂鬱。午後、我慢できなくなって逃避。「化粧品を買いに行く」という名目は何かが無くなったり使い切ったまま生活するのが許せない人には効果があるらしい。電車に乗りながら自分の選んだ人生について考えて暗くなった。お気に入りの場所でビールを飲んだ後、こういう時はお花を買おうと思って花屋に寄ってピンクと黄色と水色のスイトピーを買ってから帰った。化粧品は買わなかった。帰宅して早速飾ると少しだけ心が晴れた。サイは「どこでおはなかってきたのー?」と興味津々だった。夕食は適当に作った炒めものと味噌汁。入浴後、就寝。

どうにもこうにもならないけど出口へ繋がるドアを見つけない限り始まらない。たしか、「不思議の国のアリス」でアリスは突然現れたケーキを食べて巨大化し、その身体ではもう通ることのできない小さなドアの隙間から見える外の世界を見てしくしく泣いた。それと似たような気持ち。流した涙は溜まりやがて海になりアリスは外に泳ぎ出ることができた。私は泣いたところでどうしようもない。

おおきくなったらなんになろう

日記をさぼっていたら年が明けてしまった。年末、ろくに掃除もせずやるべきこともせずだらだらと過ごした。大晦日は帰省土産や必需品の買い物をして蕎麦を食べて久しぶりにテレビを少し観てからいつも通りお風呂に入り、寝る前にらくがき帳にサイと動物の絵を描いた。サイはいつの間にかブタの絵まで描けるようになっていたので感心した。サイと布団に入って寝落ちして起きたら新しい年になっていた。絵を描いていたからか絵の上手い人の横で四苦八苦しながら猫のスケッチをする初夢(初夢の定義が分からないが元旦にかけて見る夢でいいなら)を見た。


1月1日(月)元旦
Kの地元に帰省。上の方の寒いところ。寒いのが苦手なのと穏やかに過ごしたかったので帰省を反対したが、Kはサイにどうしても雪を見せたいと言って聞かなかった。最近何事にも反発する力が劣ってきたため、どうでもいいやと思って放っておいたら日程が組まれていた。

飛行機で着くと義両親が空港まで迎えに来てくれた。車で実家に行くといういつもの流れ。雪は降っていなかったが辺り一面雪景色。実家に着いてお昼ごはんを食べた後サイを昼寝させようとしたが寝ず、私だけが寝ていた。そうすると姪っ子達がやってきて寝ていられなくなった。急に起きて出て行ったので義兄にぎょっとされた。サイは兄弟がいないので姪っ子達に会うと喜ぶ。
部屋で少し遊んだ後、全員完全防備になりソリやシャベルを各々持ち庭に出て雪遊びをした。よく考えたらこういうことをするのは初めてだ。サイももちろん初めてで、最初は積もった雪の上を歩くのを怖がっていた。が次第に楽しくなってきたようだった。義父らが雪の塊を二つ重ねて雪だるまの基礎を作ったが顔をどうしたらよいか分からない感じだったので耳をつけてナナちゃん雪だるまを作ることにした。大まかに雪を固めてから手やシャベルで細かく削っていく作業が思いの他楽しく、姪達のことを忘れて一人で作業に没頭した。雪像作りがこんなに楽しいとは。初心者だから上手くいかないところも多かったがとにかく楽しかった。そういう仕事をしたいとさえ思った(素人の考え)。完成するとサイだけ喜んでいた。ナナちゃんを知らない残りの人はただすごいね~という感じだった。写真を撮っていると姪達がシャベルを持って来て雪だるまに攻撃し始め、ナナちゃんは瞬く間に破壊された。味方であるはずのサイまで途中から破壊行為に加担。がーん。義父は哀れみの目でこちらを見ていた。

冷えてくたくたになった身体で部屋に戻り、それからは酒と海鮮が無限に出てくるエンドレス宴会。最後まで付き合っていると大変だと過去何回かで学んでいたので序盤で離脱して姪達と遊んでいた。そういえば昔からこうやって親戚達が集まる宴会があれば途中で抜け出して子どもだけで遊んでいたなと思い出した。飲食や理解できない話に没頭する大人達から隔離されたヘンリー・ダーガーの絵みたいな子ども達だけの世界が好きだった。普段サイと過ごしているので女の子が新鮮だった。今どきの女の子が何に興味があるのか知りたくて「今好きなものは何?」と聞いてみたりした。にゃんこスターが好きということだったが私は顔ぐらいしか分からず盛り上がらなかった。それから姉妹のお姉ちゃんの方が遠慮がちに「ねえ、携帯もってる?」と私に聞いたのであーあれだなと分かった。雪遊びの時、最後に自撮りアプリで撮ったら思いの他喜んでいたのでそれをまたやりたいということだった。再びアプリを起動させ姉妹と私で自撮りをしそれに落書きやスタンプをして遊んだ。大盛り上がりだった。そういうの好きだよね、分かるよ、おばちゃんもプリクラができた時嬉しかったもん、と思ってにやにしていた。姪達の落書きやスタンプの世界観が子どもならではというか、自由で奇抜で面白くてみんなでゲラゲラ笑った。
姪達が帰るとどっと疲れてサイと朝まで寝た。


1月2日(火)
朝食を食べた後、義父とKとサイと私の四人で近くの温泉に行った。サイは初めての温泉。Kがサイを連れて行ったので私は一人でゆっくり入ることができた。隣の男湯からサイの「おかあちゃーんどこー?」という叫び声が何度も聞こえてきた。雪見風呂もいいなぁと思って露天風呂に行くと寒すぎてお湯がただの水になっていたので慌てて中の湯に戻った。上がって髪を乾かしていると地元の人と思わしき60代くらいのおばさまに話しかけられた。方言が分からず聞き返すと私の持っていたmina perhonenのバッグの刺繍は自分で刺したのかという質問だった。「いえ、買ったものです」と答えると「そんなのどこに売ってるの、珍しいわねぇ」とまた聞かれたため正直に「東京で買いました」と答えたら「ここの人じゃないでしょ」と言われた。それで自分がここにいる経緯を簡単に説明した。するとおばさまは目を細めながら「江東区には亀井堂があるでしょ」と言ったが分からなかったので申し訳ない気持ちになって「私は東京の人間じゃないんです」と言う必要もない言い訳をした。いまだに東京について何も知らないんですと心の中で付け加えた。皆川さんデザインの物を着用していると高確率で50-60代の女性にそれは手作りかと尋ねられる。手作業であると思われるのはある意味皆川さんが望むことかもしれない。(*あとでよくよく考えると「江東区には亀戸があるでしょ」だったと気づいて恥ずかしくなった。でも亀戸にも詳しくない。)

お湯を出たらビールが飲みたいなと考えていたが既に出た義父らがジュースを飲んで待っていてそういう感じじゃなかったので空気を読んで諦めた。サイがアイスを食べたいと騒いだので一つ買って車で食べた。それから水辺の方に行き、白鳥を観に行った。たくさんいるはずらしいが1羽しかいなかった。あとは鴨がたくさんいた(私は白鳥の子どもだと勘違いしていた)。車が岸部に着いた途端、鴨達がいっせいに水辺からトコトコ歩いて集まってきたのが面白かった。戻る途中で三人でラーメンを食べた。人気店らしく食べログのポスターが貼ってあった。こういうのを貼るところがこの土地っぽいなと思った。魚で取った出汁のスープは美味しかった。お湯に入って食事したら身体が暖まって睡魔が押し寄せてきたのでサイを寝かせるという名目で昼寝した。サイは実際寝ずにどこかへ行ってしまったけど誰も来ないのでこっそり一人で寝ることに成功した。ストーブで暖まった部屋で毛布にくるまって遠のく意識の中ぬくぬくしていたらKにいつまで寝てるんだ起きろ10分後に出発だと叩き起こされた。悲しかった。それからまた姪っ子達と合流し地元の民芸館に行った。行ったけど寒くて何を見たかあまり覚えていない。夕方家に戻り今度は肉と酒の宴会。焼かれる肉をアサヒスーパードライで流しながらひたすら食べ続けた。また早々に離脱して、というかこれ以上食べられませんと思い日本酒を飲みながらテレビを観ていた。NHKBS1でやっていたネパールの生き神クマリのドキュメンタリーが面白かった。義父は他のチャンネルを観たそうだったが気を遣ってくれた。3歳でこれから神として生きる女の子と初潮を迎え人間としての生活に戻る12歳の少女の様子が描かれていた。クマリについて個人的に興味が湧いたので本があれば読んでみたいと思った。それが終わったらドバイの砂漠にある戦争支援物資を提供する非営利団体の倉庫の様子を伝えるドキュメンタリーになった。そこで働く人は前は一般企業で働いていたらしく、「会社の利潤を追求するために働くことに疲れてしまったんです。それに比べて今の仕事はやりがいがあります。」と言っていた。あー、分かるなーと思った。利潤とかもういいよ。仕事の事を思い出して嫌になってきたので観るのを辞め、サイと寝た。


1月3日(水)
朝食を食べバタバタと荷物をまとめて東京に戻った。帰りは新幹線。昼から缶ビールを飲みながら雪景色を眺めるのは悪くなかった。サイは珍しく大人しくしていてくれたので本を読むことができた。家に帰って荷物を整理したり、年賀状を書いたり(今年は来たものに返すスタイル)した。年賀状に筆ペンでベタ塗りしているとKが「そんな使い方するな、どういうつもり」と激怒した。塗っていたのは一枚だけだったし意味が分からなかった。それからもサイが悪さをしたときに私がトイレに行っていたら「トイレなんか行くな」と理不尽なことでKは責め続けてきて、あーまた始まったとうんざりした。嫌な気持ちで入浴後、就寝。あまりにも絶望的な気持ちになっていたので友達に相談したら的確かつ前向きなことを言ってもらえて少し安心して眠れた。


1月4日(木)
サイは保育園初め。サイには悪いが私はもう一日冬休み。朝から年末に観たくて観れなかった映画「勝手にふるえてろ」を観て、デパートのセールで靴と靴下をそれぞれ2足ずつ買った後、別の映画館に行き「ギフテッド」を観た。映画館をハシゴしたのは初めてだったがどちらも面白い映画だった。感想をまた書きたい。急いで電車に乗りお迎えに行き帰宅して夕食。いただきものの良い豚肉があったので肉じゃがにした(本当はハヤシライスがよかったけどルーがなかった)。観た映画のことを考えながら入浴後、就寝。


1月5日(金)
仕事初め。サイと「生きてるパンをつくろう」をやけ気味に熱唱しながら保育園まで自転車を走らせた。あけましておめでとうございます今年もよろしくお願いします、がいつまで経ってもうまく言えない。年末年始に人のいなかったフロアは冷え切っていて末端冷え性には厳しかった。寒さのせいか単なるやる気のなさか完全に集中力を欠いてしまった。
お迎え、夕食(肉じゃがの残りに卵とチーズを入れたらダッカルビみたいになった)、入浴、就寝。


1月6日(土)
朝ごはん、洗濯のちサイを耳鼻科に連れて行く。年末に予防接種した場所だったので「ちゅうしゃしない?」と怯えていた。鼻を吸われて大声で泣いて身をよじっていた赤子時代が嘘のように大人しく座っていた。耳鼻科の後、駅前のパン屋でサイとそれぞれ好きなパンを食べる。小さなテーブルを挟んで二人で向い合せに座り、私がキャベツをこぼしているとサイが「こぼれてるよ」と指摘してくるなど付き合って5年になるカップルという感じだった。ついこないだまで小さくて何もできなかったのに今や大人みたいに椅子に座って食べたりパンをちぎって私に分け与えてくれるなんて何とも不思議だなぁと思った。
その後公園へ行った。以前Yちゃんと行った立派なすべり台がある公園。はしゃいで滑るサイを遊具に座って部外者的な目線でぼーっと眺めていたら「ままもきてよ」と催促されたため、サイの後に続いて何度も滑る。追いかけっこみたいにしたら喜んでいた。それから砂場で遊んだ。元々置いてある誰の物か分からないスコップや型がある。途中からサイより少し大きい男の子が来て、サイが手に持っていたスコップを何も言わず奪い取ったので「だめだよ」とその子を制止した。砂場や公園では知らない子ども同士が居合わせて独特の世界が生まれる。遊具や場所を巡って問題も起こる。大人はできる限りその世界に参加してはいけないと私は思っていて、問題がどうしても解決しないときやどう考えても一方が悪い反則行為があった時のみ介入する。試合の監督のような。大体の場合、各チームの監督(親)はチームの選手(我が子)が違反している時に笛を鳴らすのが暗黙の了解となっているが、どういう分けだかサイのスコップを奪った子の親が見当たらなかった。それで私は相手チーム(他人の子)を注意することになった。後で探してみると父親は砂場から離れた場所で子ども達を見もせずに呑気に柔軟運動をしていた。近くにいなくてもいいからちゃんと見てなさいよと私はその父親に少し苛立った。その後も観察しているとその父親は二人いる子どもを完全に放っておいて体操をしたり老人と話し込んだりしていた。だから構ってもらえない子どもが私のところに何度も来た。あー。

そういうことでやや疲れて、買い物をしてサイと夕方まで昼寝した。夕食はハヤシライス。夜Kは飲み会で遅くなる(そういう時はいつも明け方帰宅)と聞いていたのでサイが寝たら一人の時間を満喫しようと思っていたのに10時半頃酔って帰宅した。居間に携帯を置いたままだったので取りに行くと「なに!?」とイラついたように言われる。こっちの台詞だよ。新年で飲み過ぎたのかいつも以上に酔っている気がした。Kがずっと居間で倒れているせいで寝室から出られずやりたいこともできないで悶々としているうちに眠ってしまった。


1月7日(日)
朝食、洗濯。Kが思いつきで「アンパンマンミュージアムにいこうか」とサイに言い、サイはその気になってしまった。私はお正月疲れでAMに行く体力など到底ないから行きたくないと言うと二人で行くと言ってKはサイを連れて横浜まで行った。ゆっくり部屋の掃除でもするか、と思っていたら友達とタイミングが合い、パフェを食べに行くことになった。等々力という初めて行く場所だった。「などなどちから」だと思っていたら違った。電車の中で到着時刻を確認し合っていると友達と自分が全く同じ電車に乗っていることに気づき、お互い何号車に乗っているか聞き合ったりして嬉しくなった。一杯3000円もする紅白をイメージした洋梨のパフェは食べたことのないものだった。瑞々しい洋梨ゴルゴンゾーラジェラート洋梨のソルベ、カモミールジュレが融合してとてつもない化学反応を起こしていた。パフェというよりこれは思想だなと思った。思想を食べている。季節で変わるらしいのでまた来てみたいなと思った。その後二人で行く宛もなくただ話しながら街を歩きまわった。人は目的なく歩くことが出来る人とそうでない人の二種類に分けられると思うが、私は行き先も気にせず一緒に散歩してくれる人が本当に好きだ。自由が丘まで何駅か歩き続け途中気になったお店を覗いたり観察した。最後にのぞいた、おじさんが一人でやっているどこかの国の人が作ったフェルト製品が並ぶ怪しいお店でフェルトのバッグとネズミのキーホルダーを買った。近日閉店につき半額ということだったが定価が分からないのでそれも怪しい。とても楽しい一日だった。

帰宅するとサイは興奮状態でアンパンマンショーを再現していた。夕食は昨日の残りのハヤシライスと散歩途中で買ったコロッケ。入浴後、就寝。サイはAMで色々な着ぐるみが現れても頑なに距離を置いていたらしく、なぜか聞くと「きゅー(抱きつくの意)したくなかったの」と言っていた。成長して着ぐるみにむやみやたらと接触するのが照れ臭くなったのかもしれない。


1月8日(月)
明け方まで何をするわけでもないのに夜更かししたせいで朝なかなか起きられずにいたらKが起きろ起きろと煩かった。朝食、洗濯。朝から天気悪。
なので今更ながら大掃除的なことをする。掃除というよりただ要らないものを捨てまくっただけ。昼うどん。午後からサイと昼寝。私は途中で起きて買ったまま読めないでいたBRUTUS 1月号「危険な読書」を読む。町田康のインタビューを中心に興味深い頁ばかりだった。読みたい本にペンで印をつけたがほとんどが絶版だった。夕方サイ起床。サイがダイニング椅子を勝手に移動させたのでそのままサイの頭にバンダナを巻いてあげてお店屋さんごっこをした。椅子の向こうから私がすみません~と言いサイが応じる、みたいな。ほとんどエアでやったけど楽しかった。夕食はハヤシライスがまだあったのでそれをソースに変えてハンバーグにした。サイはよく食べてくれた。Kはスープの味が薄いと文句を言っていた。無視した。入浴後、就寝。

数日前からあることでコミュニケーションがうまく図れず、自己嫌悪になっている。昔から容姿に自信がないがそれはどうしようもないとして、発言や言動で人に不快感を与えたり迷惑かけたくないようにといつも願っている。のに、うまくいかない。結局一切人と関わることを辞めた方がいいのだろうか思い湯船で泣いた。ふとサイに「おおきくなったら何になりたい?」と聞いてみた。少し考えて「アンパンマン!」と返ってきた。「そっか~、アンパンマンみたいに優しくなれるといいねぇ」「うん」それから、絞り出すようにサイは私に「ママはもうおっきいけどなにになりたいの?」と聞いた。聞かれると思わなかった。私がもう大人だということもサイは分かっている。「ママもアンパンマンかなぁ」「えー、カレーパンマンにしなよ」「う、うん」
小さい頃から何になりたいか明確に分からないまま大人になってしまった。サイの言うとおり大きくなってしまってるけど今から何かになれるのだろうか、間に合うのだろうか。

『おおきくなったらなにになろう』

(サイが最近よく保育園でやっている手遊び歌)
大きくなったらなんになる 大きくなったらなんになる 1のゆびでなんになる チクッとちゅうしゃの おいしゃさん.
大きくなったらなんになる 大きくなったらなんになる 2のゆびでなんになる かみのけきります とこやさん.
大きくなったらなんになる 大きくなったらなんになる 3のゆびでなんになる クリームまぜるよ ケーキやさん.
大きくなったらなんになる 大きくなったらなんになる 4のゆびでなんになる みんなをまもるよ おまわりさん.
大きくなったらなんになる 大きくなったらなんになる 5のゆびでなんになる どすこいどすこい おすもうさん.