カニ日記

日記のような記録

夏のおわりのビールとかき氷

秋の気配。そろそろ夏も終わりか。生活が少しずつ落ち着いてきたので日記を再開。

8月24日(金)
お昼に仕事の出先でたまたま入ったイタリアンのお店がとても美味しかった。広い店内で動き回る店員さんが気取り過ぎずかといって感じ悪くもなく、ほどよい距離感で見放されていて、スパイスやハーブが利いたピザや癖のあるチーズが和えられたパスタは普段食べ慣れていない外国の味がして、私はたった今イタリアの観光地にいるのでは、旅行三日目で少し疲れが出てきた頃で明後日帰国するのでは、ここはガイドブックに載っていないが地元民の評価が高いと噂の食堂では、と錯覚した。一緒に食べていた人にそれを言うと分かったような分からないような感じだったが「荷物になるからおみやげは明日買った方がいいですね」と言うと「そうですね」と乗ってくれて嬉しかった。いつもお弁当かコンビニなので、たまに外で食べると嬉しい。まだまだ蒸し暑い。

夜、一度家に帰って簡単にごはんを食べてからサイと近所の盆踊りに出かけた。駅前広場の中心に櫓が設置され、広場の端にかき氷やたこ焼きの屋台が数軒出ている小さな規模の盆踊り。ビールが売っていないことに気づき飲みたいなぁとそわそわしていたら、広場の向かいの居酒屋さんが盆踊りに合わせて持ち帰りビールなるものを350円で提供していた。やったー、生ビール久しぶり!!サイがかき氷を欲しそうに眺めていたので一つ買った。蛇口のついた透明の箱に入った赤や黄色や青の色鮮やかな科学的な色をしたシロップが味の表記と共にずらっと一列に並んで屋台の光で照らされて発光していて、夢の中でいつか見た光景のような、この世のものでないくらい美しかった。サイと一緒に蛇口を捻って色んな味のシロップを少しずつかけた。サイのカラフルなかき氷と私の透明カップに入った生ビールをコツンとぶつけて乾杯した。ああ夏。周りを見渡すとビールを飲んでいる人は誰もおらず、土地柄なのか、と小さくなっていたら赤ちゃんを連れたお母さんが私と同じ生ビールを飲んでいて仲間を見つけたような気持ちになり心の中で乾杯した。抱っこひもをしたお父さんと赤ちゃん、浴衣を着た美しい青年、生き生きした表情のおばあちゃん達、櫓の周りでぐるぐる周りながら踊る人を見ていたら人の原始的な衝動のようなものを見た気がして、胸がしめつけられてその光景を見ながら急に泣きそうになった。今まで盆踊りを見てこんな気持ちになったことはなかった。アンパンマン音頭が始まって、サイに踊るか聞いたらそれまで張り切っていた割りにいざとなると怯んで踊りたくないと言った。だから子ども達が踊る様子を二人で外から眺めた。子どもだけもらえるお菓子をもらって帰ろうとしたらサイがスーパーボールすくいがやりたいと言って聞かず、あー絶対ゴミになるなーと思ったが体験料だと思ってOKした。水の中を流れるプールのようにぐるぐる泳り続けるスーパーボールがキラキラして綺麗だった。サイは慎重に掬って大漁だったがそれは練習で本番では一掬いよと店のおばさんのルールを守って一回だけにした。家に帰ってピンクのボールがかわいいね、と言って二人で眺めた。踊ったわけではないしただ外でビールを飲んだだけだがこの夏初めて夏らしいことができた気がした。


8月25日(土)
午前中、洗濯掃除。昼、Kくんのお母さんが遊ぼうと誘ってくれたので図書館。数か月ぶり。先日生まれたばかりのKくんの弟に初めて会った。抱かせてもらうといい匂いがして暖かくて「赤ちゃんは無条件でかわいい」という忘れかけていた感覚が蘇ってきて変な声が出た。私が笑いかけると歯のない口を開けて笑ってくれた。あああかわいい。サイは私が赤ちゃんを抱いているのを見て嫉妬しているようだった。その後マクドナルド。子連れ外食はファミレスかファーストフード店くらいしか行き先がない。

別れてスーパーと商店街に寄る。魚屋さんが改装中で閉まっていた。残念。八百屋さんでトマトととうもろこしと梨を買う。商店街の入り口にある入ったことのない昔からありそうな本屋さんに入ってみたら、置かれている本のラインナップが最高で「あぁ~~いいよいいよ~」と心の中で絶叫していた。店は狭く置かれている冊数は多くないが、漫画棚には萩尾望都高野文子杉浦日向子つげ義春が数冊ずつ置いてあり、文学棚には町田康の『ギケイキ』がありうおおおおとなった。版元から送られてくる新刊を何となく並べるのではなく、ちゃんと売りたい本を置いている感じが最高だなと思った。こういう街の書店に数年に一度出会うことができると書店で本を買う意味を見出せて嬉しくなる。スタンプカードも作ってもらった。サイが欲しいと言った『おしりたんてい』と私は日記特集の『kotoba』という雑誌を買う。初めて買う雑誌だし雑誌にしては高かったが日記を書くことと読むことについて作家を挙げて書かれていて、これは読みたいと思った。カルチャー誌というのだろうか、こういう雑誌が最近どんどん廃刊になっているのが寂しい。ネットで記事を読むより紙を指でめくりながら読む方が何となく私には合っている気がする。とはいえ贅沢できないから今後は本当に必要だと思うものだけ買わなくてはいけない。

帰って布団で寝転がりながら『おしりたんてい』を読んで昼寝。『おしりたんてい』はアニメで先に知った。本は途中迷路やクイズもあって小学生低学年向けのようでサイには少し難しかったようだが喜んでいた。ポプラ社なので構成がゾロリに似ている。アニメの声を真似して低い声で読んだら喜んでくれた。しかしおしりをそのまま顔面にしたキャラクターってアラレちゃんのニコチャン大王以来の衝撃では…。子ども達の間で流行っているらしいが、子どもはおしりがとにかく大好きなのでそりゃあ受けがいいに決まっている。でもおしりたんていは下品な発言はせず、常に紳士な態度(そしてなぜか七三分け)なのでNHKでもアニメ放映できるのだろう。夕食は冷やしうどん。手抜き。


8月26日(日)
ルパトレンジャーは相変わらず面白かった。圭一郎がジャングラーの攻撃で記憶を失くしそれを皆で取り戻す話。最近観始めた人に理解してもらえるよう、という大人の事情か回想が入って過去の放送の映像が多く流れた。サイは過去に観たものを覚えているようだった。圭一郎役の俳優さんの劇画みたな表情がいいし、他の俳優さんの演技も素晴らしく、撮影が進んで最初よりお互い息が合っているのが伝わってきて嬉しくなる。戦闘シーンももちろんかっこいいがレンジャーの時は違う俳優さん(多分)なので、変身前の素の時の彼らが何気ない会話したり花火を見ているシーンが個人的にぐっとくる。仲が良いのに深く交わり過ぎない絶妙な関係を保つ彼らがいる世界が終わってしまったら悲しいなと既に最終回のことを考えて寂しくなってしまった。はなのおばあちゃんが出て来るプリキュアもよかった。はな(キュアエール)は人や物に感銘を受けると「めっちゃいけてる~!」と言うがその言い方が好きだ。真似して叫びたくなる。


8月27日(月)
朝からサイとクッキーを食べた。挨拶用に買って余ったやつ。私はクッキーが好きなのでサイが起きる前にも台所で立ったまま2枚食べたことはサイには内緒だ。サイは珈琲味の茶色いクッキーを「これはおかあちゃんね、おとなだから」と私にくれ、自分はピンク色のジャムがついたクッキーを選んでいた。

夕食は昨日の残りの親子丼。昨晩食べてお弁当にもしたのでさすがにもう飽きた。でも雨が降りそうだったので別の食材やおかずを買いに行けなかった。サイは昨日と同様拒否したので(あんなに大好物だったのに…涙)、ポケモンカレーに親子丼の具をちょっと混ぜてごまかした。私も味を変えたくて親子丼の上から余ったポケモンカレーをかけてみたらまあまあ美味しかったが甘すぎたのでもう少し辛いカレーが食べたいなと思った。サイは人参を食べると約束してアイスを食前に食べたのに、人参を食べなかった。叱りたくなくて「えぇーかなしいな」と残念そうに言うと二つ三つ食べてくれたので合格とした。

夕食後、雨が降り出し雷がゴロゴロ鳴っていた。サイと布団でシェルターを作って隠れて「わーこわい!にげろ!」と言って遊んだ。

さくらももこさんが亡くなったと知り驚く。乳がんだったとのこと。他人事とはまったく思えず最近さぼってしまっていた検診に近いうちに行こうと改めて思ったり、自分が今死んだらサイはどうなるのだろうとすごく考えた。『永沢君』を本棚から取ってめくっていたらサイは「たまねぎくんだー」と喜んで読み始めた。読むとはいえ文字が読めないので絵を眺めるだけだが。私が一週間ほど前にその時既にさくらさんが亡くなっていたとは知らずサイが初めて『ちびまる子ちゃん』を手に取り読んでいたので「これは永沢君、たまねぎみたいでしょ」と教えてあげたことをちゃんと覚えているようだった。サイが自分の好きな漫画を手に取ったのとその作家が亡くなった時期が偶然重なったのは不思議だがそういうものなのかもしれない。亡くなった知らせを受けて急にこの作品が好きだと主張したり想いを綴るのは鳥肌が立つというか違和感がある気がするが、さくらさんについて思うことがたくさんあるので気持ちの整理がついたら追悼の意を込めて書きたいなと思っている。朝までぐっすり寝た。


8月28日(火)
朝起きてドンドンという音がしていたので「おまつりかな」とサイは私に聞いたがそれは近くの中学校(?)でサッカーを練習している音だった。こんなに朝早くから偉いなぁとかつて自分も若かった時が遠い過去のように思えた。今日は顔の調子がまあまあよかった。とはいえそれは自分の中でのこと。よく眠った上に雨あがりの湿気で肌がいつもより乾燥しておらず髪が落ち着いていただけかもしれない。最近化粧を薄めにしている。日焼け止めと下地の上に薄くリキッドを塗りフェイスパウダーでおしまい。目はマスカラとシャドウはせずアイラインのみ。忘れた時にキオスクで適当に買ったレブロンの赤リップは皮が剥けないし取れにくくて発色がいい。伊勢丹に行きたい。秋色の口紅がほしい。基礎化粧品は面白くないが、色つきのメイクは絵の具を選ぶみたいにわくわくする。仕事以外何も予定はないがお気に入りのワンピースを着たら気分が上がった。

帰りにコンビニに寄ったらサイはプリキュアのぬりえが欲しいと言って聞かなかったので数日間おやつを買わないという約束で買った。帰宅したらいつも食べるおやつも食べずテーブルに座ってぬりえに没頭し始めた。買ったぬりえにおまけでついてきたルパパトのぬりえをしていて、色も綺麗でものすごく上手に塗れていたので驚いた。数か月前まで枠内に違う色を塗ることが理解できず癇癪を起していたサイが今ではこんなに…と思うと涙ぐんでしまった。「ないちゃうよ~」と言うと「おかあちゃんのことすきだからなかないでよ」と言われた。夕食ができても「たべない」の一言で締め切りに追われた漫画家のように集中していた。だからテーブルの隅にごはんを置いて「先に食べるね、サイくんのはここ置いとくね」と断って自分だけ食べていたら「うん」と言いまだ塗っていた。嵌らないと注意力散漫だが嵌ると物凄い集中力を発揮するところが私に似ている。サイは色鉛筆を握りながらもう片方の手で食事していて本当に忙しい漫画家のようだったので笑った。自分の親は食事のマナーに厳しかったのでこんなこと絶対許されないだろうが、私はサイが今したいことが周りの迷惑にならないならできるだけ優先させてあげたいので塗りたいなら好きなだけ塗ればいいと思った。食事を終えてもサイはまた塗り絵をしていた。すごいね~と褒めると満足そうだった。鉛筆削り(ハンドルの)の使い方を初めて教えたら興味津々でやりたがり、何度か一緒に削った後は自分で削っていた。削れた部分が落ちて溜まっていくのを「きれい~」「あかいいろだ~」「あおいね~」と眺めていた。結局お風呂に入った後も布団の上に色鉛筆を持ち込んだくらいだった。


8月29日(水)
サイは朝起きるなり、怖い夢を見たと言って泣いた。どんな夢か聞いたら私が車に乗ってぶおーんとどこか遠いところに走り去ってしまう夢らしい、。「大丈夫、絶対どこにも行かないよ」と抱きしめた。それから朝ごはんにバナナを二本食べた。私はいただいたスコーン。保育園に行きたくない、家でぬりえをしたいから手伝って欲しいとぐずられたので「帰って来てからしよう」と宥めたが納得いかないようだった。どうしてもぬりえをしたいと言ったので「保育園に持って行ってもいいんじゃない?」と提案すると「せんせいにだめっていわれちゃうよ」と言うので「大丈夫、先生には話しておくから」と言うとそこまでするのもなと思ったらしく結局諦めた。持って行くならそれでもいいと思ったのだが。

昼休みに入ったことのない雑貨屋さんになんとなく入ってみたら店のマダムが偏った趣味で選んだらしい雑貨が自分の好みドンピシャであれもこれも欲しくなった。ネコのスリッパやアンティークの食器、人魚のブローチ、美しい包み紙の外国の石鹸…どれも欲しかったが、我慢して週末に結婚パーティーがある知人のお祝いにプレゼントを買って店を出た。ほくほくした気持ちになった。

お迎え。サイは私に見せようとブロックで作ったトラックとクレーンを解体せずに置いておいてくれたらしい。でも見せずに教室を出てしまったため何か私に言いたそうにもじもじしていた。どうしたの?と聞いていると先生が出てきて「サイくん、ママに見せるんじゃなかったっけ」と言ってくれたのでサイはほっとしたようだった。ちゃんとタイヤもついていてすごい。見せようと置いててくれたなんてああ本当にかわいい。見せた後は意外にあっさりとブロックを解体して箱に入れているのを横で待っている間、教室に担任の先生がいたので「急にぬりえが好きで没頭して食事中もやるくらいなんですけど保育園でもやってるんですか」と聞いてみたら「そうなんですよ、こんな感じのをやっています」とぬりえの用紙を見せてくれた。それから、「これは私達が普段つかっている道具箱なんですけど」と先生がそれぞれ使っている道具箱を指さして「この箱についている顔は実は全部サイくんが描いたんです」と教えてくれた。箱には丸く切った紙にそれぞれの先生の似顔絵が描かれていて、どれも目や口のバランスに変化があり表情豊かでひとつひとつ違った。私はサイがここまで絵が描けると知らなかったので心底驚いた。「ええ!!?サイくんがこれ全部描いたの?」と聞くとサイは照れくさそうに頷いた。知らなかった。いつの間にこんなに絵が上手に…。涙が込み上げてきたが先生の前で泣くのは恥ずかしいので我慢して「すごいですねー」と笑ってごまかした。サイはいつも私に「○○かいて~」と言い自分は描かずに私が絵を描くのいつも隣で見ていた。それをずっと見ていたからだろうか。サイは絵を描くのは嫌いだとずっと思い込んできた。まだまだ知らないサイがいることが私は嬉しくて驚いたし、もっと色んなサイを見つけたいと思った。

百均、薬局、スーパーに寄って帰宅。百均にハロウィンの飾りが売っていて「はろうぃんだね」と教えてくれた。サイは何でも知ってるなぁ。夕食、入浴、就寝。サイが寝た後アイスを食べようと思っていたが朝まで寝てしまう。


9月1日(土)曇り時々雨
Nさん・Hさん夫妻の結婚パーティーに呼んでいただいたのでサイと参加した。パーティーは難しいかなと思っていたら小さな温泉をまるごと貸し切った気取らない宴会で子どもも大歓迎と夫妻から聞いていたので参加することにした。いつもは乗らない東急池上線に乗り会場の最寄駅で下車する。池上線の車両で偶然知り合いに会い、ほっとする。サイは知り合いの気を引こうと車内でも駅に着いてからもテンションが異様に高かった。「やまんばがくるよ」と言ってもなかなか大人しくしてくれなかった。保育園で読んでもらった絵本で山姥が出てきたらしい。どんな話か知らないが我が家では「普段は富士山に住んでいてサイが悪いことをしたときに怒って下山して家まで来る」という設定にしている。なぜ富士山かというとサイの知っている唯一の山が富士山だから。

夫妻の結婚式の写真を次々に映しながらNさんがスライドショー的にコメントしたり(これがめちゃくちゃ面白かった)、ケーキ入刀の代わりにスイカ割りをしたり、アンケート用紙に書いた質問に二人で答えたり、参加者飛び入りのカラオケ大会が行われたり、宴会の最初から最後まで二人の人柄が溢れ出るあたたかくて緩やかな時間だった。Nさんの友人の狐火さんという方が朗読調のラップを披露していた。狐火さんのライブを観たことはなかったので嬉しかったが途中サイがトイレに行きたいと言い全部は聴けなかった。詩やラップの世界に詳しくないが、元々音楽より本の方が親しみ易い私にとって、台詞が語られるように歌われるこのような音楽のスタイルは馴染み易く興味深かった。狐火さんのパフォーマンスや歌詞はこれまで生きてこられた情景や感情が高音で炙り出され言葉が次々と浮かび上がるのが目に見えるようでひりひりした。私も他の人も皆惹きこまれるように聞き入っていた。

会場の温泉は絨毯に染みついた子どもの頃知っていたような匂いや籐で編まれた椅子、そこへ降り注ぐ光、瓶ビールとコップを出してくれるエプロンをつけたおばちゃん達の人柄の良さ、そのどれもが愛おしく、大いに盛り上がる宴会のふとした瞬間に歴史の陰にすっと入り込みたった一人で埋没できるような不思議な心地良い暗さがあった。大人数の集まりが苦手でパーティーなど避けて生きてきた私でも居られる場所だった。そういう場所をお祝いの場として選んでくれた二人に愛おしさを感じた。参加者が楽しそうに酔って笑ったり歌ったりしている様子をサイといることであまり酔わずにいた私は少し離れて座って微笑ましく眺めていた。そういう私みたいな人は何人かいた。自由だった。日も暮れて窓の外がすっかり暗くなった頃、集合写真を撮って解散した。傘がなかったので降り出した雨が止むのをロビーで待っているとまたどこか遠い旅先に来た錯覚がした。帰りの電車でたまたま狐火さんと一緒になり、宴会中に伝えられなかったライブの感想など伝えた。行きと同じようにサイのテンションは爆上げで落ち着きがなかったが最寄駅で降りる直前に電池切れになり突然パタンと眠った。駅を降りてサイを起こし、富士そばへ行き二人で並んでそれぞれうどんとラーメンを食べた。ラーメンは初めて食べたが美味しかった。そして居心地が良い。富士そば愛してる。帰宅してサイは体力の限界という感じですぐに眠った。私は何だか眠れず二人からもらった手紙を読んだり電話したりしてから明け方眠りに就いた。


9月2日(日)雨時々曇り
ゆっくり起きてプリキュアとルパパト。友達にもらったお花が可愛い。サイと一緒に「おいしい~?」と話しかけながら水をやった。遅めのお昼でマクドナルド。テラス席しか空いていなかったが暑くなくて気持ち良かった。毎年食べ逃していたが五年越しくらいで念願の月見バーガーを食べられて満足。これで無事に秋を迎えられるかも。私は早々に食べ終えたがサイは玩具の組み立てに夢中で結局食べ残したチーズバーガーを私が無理矢理食べた。その後買い物。鮭を買いたかったが商店街の魚屋はまだ改装中だった。店の前で「あーまだかー」と独り言のように言うと知らないおばさんが「私も毎日来てるのよね、でも○日からだって!」と声をかけてくれた。八百屋でこないだ買って甘くて瑞々しかった梨を二つ。私は帰って昼寝したかったがサイは公園に行きたいと言い、しばらく滑り台や遊具で遊ぶ。サイは自分より幼い子に「あぶないよそこは」「ほらやってごらん」などしきりに話しかけてお兄さん面をしていた。

帰って夕食前に昼寝し出したサイは夕飯ができても起きず私は一人で先に食べた。いつも眠る時間になっても起きず何も食べていないのが少し心配だったが起こすのもなと思い様子を見つつ放っておいた。生まれた直後からよく眠る子だった。産院を退院して3日後くらいから夜泣きはあったが夜から朝まで何時間も眠ることもあり、いい子だなと思っていたら検診で助産婦さんに「それはダメです、起こして授乳しなさい」と怒られてたのがどうも納得いかなかった。眠っている人を起こすことがどうしてもできない。

思いも寄らず静かな夜を迎えたので前野健太さんのラジオ「前野健太のラジオ100年後」をじっくり聴くことができた。歌詞の朗読コーナーが特によく、偶然にも大森さんの『死神』が朗読されていた。今まで名前と顔くらいしか知らなかったが前野さんの語り口や話に感動し、その余韻のまま公式サイトに上がっているMVを全て観た。曲もすごく気に入って久しぶりにはまりそうな人に出会えたことで気分が高揚した。しかしあの色気はなんなんだ。好きになってしまう。ファンは前野さんのことをマエケンと呼ぶらしい。長年のファンからすれば今更魅力に気づいたのかという感じだろうが私はいつだって人より何歩も遅い。まだまだ知らない人が世の中にたくさんいる。知らずに死ぬのはとても悲しい。だから人生もそろそろ折り返し、ぼんやりしてないでアンテナをぴんと張っておかないと。結局サイは夜中に一度起きた後またすぐ眠り明け方まで起きなかった。土曜日の疲れがたまっていたのかもしれない。朝、少し肌寒かったので湯を溜めて二人で浸かってから新しい一週間を迎えた。


嫌なことを一掃したいが終戦後の地雷のように残り続ける。しかし平穏な毎日が過ごせることが今は嬉しい。今まで何気なく聞いていたプリキュアのキャッチフレーズが最近胸に響く。「輝く未来」だなんて小学生の書初めかよと最初は思ったけれど未来が輝きを失って朽ち果てていたら悲しい。とはいえ天地創造や他力本願でなく自己発電で輝かせなけばいけないし結局キラキラの尺度は自分でしか判断できない。平成最後なんて言っている場合ではなく、もっと尺度の大きな、いつだって人生が終わる可能性と共に生きているという気持ちが最近ずっとある。だからしたいことは今しないと。などと考え自転車を漕ぎながら台詞を空に向かって叫んでみる。

なんでもできる、なんでもなれる、輝く未来を抱きしめて。

サンドイッチとか火星とか終戦とか

7月30日(月)
休みを取り朝から家電を買いに行く。買ったのは冷蔵庫・洗濯機・電子レンジ・炊飯器・掃除機・扇風機・テレビ・レコーダー。家電にこだわりがないのでそれぞれ5分ぐらいで決める。型落ち品や中古品も入れて大分安く抑えた。好きな洋服だと迷ったりするが、興味がないものに対しては決めるのが早い。担当してくれた中国人と思わしき店員さんはとても真面目そうで仕事ができそうだった。

お昼にローストターキーのサンドイッチを食べた。美味しかった。私はパンがトーストされているタイプの温かいサンドイッチが好きだ。ターキーを食べると留学中ホームステイしていた家でクリスマスに食べたチキンを思い出す。パサパサしていてあまり美味しくなかったのに肉の味がなぜか忘れられない。張り切っていたホストマザーの表情も何年経った今でも頭に焼き付いている。

夕食はサーモンのソテー、卵焼き、トマト、とうもろこし、ごはん。サイは鮭が好きなのでよく食べてくれた。おいしいねって笑い合った。


7月31日(火)
近所に住んでいる友人とある要件で数日前からやり取りをしていて、帰りの電車に乗りながら「またごはん食べに行こうね」と社交辞令でなく本当に行きたいなと思って返したら「今日はどう?」と聞かれて急遽会う事に。近所なのにずっと会わなくて連絡も取らなくて、思えば約一年ぶり。ふとしたタイミングで唐突に誘ってくれる人が私は好きだ。ちなみに関西人の「また」は「二回目」という意味ではなく、「今度」の意。無意識につかうとよく勘違いされる。帰宅して急いで晩御飯を作ってから家を出る。友人と一緒に友人行きつけのごはん屋さんでたくさん(全部美味しい!)頼んでお腹いっぱい食べてからコンビニで金麦を買い公園で飲んだ。夜は外で発泡酒を飲むのが結局一番心地良いのではないかと思う。私はその子が好きな人の話をするのを横でずっと聞いいて、苦しくなったり嬉しくなったりした。友人とまたね、と言って別れた帰り道、初めて火星を肉眼で観た。赤く光っていて、火星って本当に赤いんだなと驚きつつ人が人を好きになる気持ちは何よりも尊くて美しいなと思った。夜に人に会えるのもこれで当分ないだろうな。


8月1日(水)
今日から8月。この暑さは尋常じゃない。どこか地球外に来たようだ。保育園に行くと園児の圧倒的人気を誇るかわいいC先生が窓ガラスの内側にピンクの大きな模造紙を貼っていて、そこに緑のクレヨンで何やら描いていた。興味深そうにそれを見つめる子どもたちと一緒に私も見守った。先生が「これは海なんです…ピンク色しかなくて…」とはにかみながら教えてくれたのが可愛かった。ピンク色の海。いいなぁ。泳ぎたいなぁ。

夕方お迎えに行くと、朝は何もいなかったピンクの海に折り紙でできた鮮やかな魚やイカやたこがたくさん泳いでいた。サイはどこかに走り去っていなくなったので誰もいない教室で私は一人子ども達の描いた不思議な顔をした生き物たちがゆらゆら泳いでいるのを見ていた。サイは園庭で走り回ったり滑り台を逆走してはしゃいでいた。ねだられてコンビニでアイスを買った。

帰宅して汗だくだったので嫌がるサイをこわいトカゲが来るよ!と騙し騙し(最近トカゲに怖がる)二人でシャワー。昨日の残りの焼きそば。サイはあまり食べずトマトだけ。食後にアイス。ルパトレンジャーを観てから就寝。先にシャワーを浴びると時短になる。


8月2日(木)
夜中に起床して明け方まで荷造り。眠くなり二度寝したらいい時間にサイに起こされる。いつもなかなか起きないのに今日は「はやくおきてよ!」と叱られどちらが親か分からなかった。サイは昨日はあまり食べなかったメロンをおかわりした。C先生がいて紙の魚を持っていたので「すごくいいですね、ここにもっと魚が増えるんですか」と聞くと「いえ、残った魚は魚釣りにするんです」と教えてくれた。「イカとかたこもいてかわいいですね」と言うと「どこかにサイくんが作ったのもありますよ」と教えてくれる。でも先生は覚えていないようでサイに「どれかわかる?」と聞くとサイはピンクの海の中から「これ!」と自分が作ったたこを指さして教えてくれた。間抜けた顔でかわいかった。

今日は一段と温度が高く日差しがきつい。アスファルトからの照り返しがすごくて、これから私は炙り焼きにされて巨人に提供されるのではと思った。お昼に好きなハンバーガー屋さんでサンドイッチを食べる。月曜日にサンドイッチを食べたらここのサンドイッチが食べたくなったから。今日の日替わりはハムとアボガドだった。やったー。ハンバーガー屋さんは夫婦で経営されていて、男の子が一人いる。ふと店内を見るとサイよりもう少し大きい小学生くらいの男の子がお母さんにエプロンをつけてもらっていた。夏休みだからお店を手伝うらしかった。その姿を見て、あれ、ついこの間まで赤ちゃんだったのになぁと親戚のおばさんのように驚く。この子がまだ赤ちゃんで厨房でハンバーガーのパテを焼くお母さんの背中に負ぶわれていた姿が思い出された。会計時にお母さんに聞くと今小2らしい。ひええ。「赤ちゃんだったのに」と私が言うと笑っていた。あの時0歳だったとするともう7年も経ったのか、信じられない。二十代以降自分自身の中で時間の経過をあまり感じなくなった。頭の中で考えていることもずっと変わらない。なのに子どもがわっと成長しているのを見ると時間の経過が確かにあったことを急に実感してドキドキする。サイを見ていてもそう。夜中にカメラロールでサイが小さかった頃の写真を見ているとあれこんな小さかったのに(物理的な意味で)と自分だけ時間軸から置いていかれてしまったような寂しさを僅かに感じる。小学生になったサイはどんな風だろうか。今よりもっと色んな場所に一緒に出掛けられるだろうか。美術館とか博物館とかプラネタリウムとか。寂しいなんて言ってる場合じゃない。楽しみだ。


8月8日(水)
サイは朝手紙を渡してくれた。どこからか持ち出したらしいサンリオの封筒の中にルパンイエローのカードが一枚だけ入っていた。「わーありがとー!!」と言うと「おしごとにもっていってね」と嬉しそうにする。サイは私が好きな人や物をよく覚えていて、時々こうやって喜ばせようとしてくれる。可愛い。


8月15日(水)
終戦記念日。私にとっても冗談抜きで終戦。自分の人生の中で色んな時代があるとするならば、ひとつの時代が終わった。朝から困らないよう事前に自分で紙にメモしていた通りに一つずつ動いてお昼を過ぎた頃に無事全部を終えた時はこれまで一度も感じたことのない、言葉にならない達成感を感じた。

数日間手伝いに来てくれていた母が新幹線で地元に帰るので見送りに東京駅まで一緒に行き、大丸に入っているイノダコーヒーでビーフカツサンドとビールを頼んだ。窓際の席で東京のビル群をぼんやりと見下ろしながら食べたビーフカツサンドは今まで食べたカツサンドの中で一番美味しかった。以前京都に行った時、イノダコーヒーで絶対食べようと目論んでいたのだがいざメニューを開くと今これを食べるべきでないような気がして、その時は結局ハムサンドを食べた。ハムサンドも美味しかったがこの二千円もするカツサンドをしかるべき時が来たら絶対食べようと心の中で誓った。イノダはきっと関西人からしたらベタな喫茶店だし、今更取り立てて観光で行く場所でもないかもしれないが私はずっと大好きだ。あの雰囲気が。東京駅にあることは知っていたがタイミングを失ってまた今度でいいか、を繰り返していた。今日は絶対忘れられない日になるであろうと思ったので、ずっと食べたかったものを食べた。イノダが好きな母も気に入っていた。自分の分は自分で払うつもりだったのに母はこれからがあるでしょうと奢ってくれた。それから地下でお菓子を買って「サイくんと食べて」と持たせてくれた。母を見送った後、再び大丸に戻ってずっと欲しいと思っていたが買いに行く時間がなかったかわいいネコのリップを買った。ケースも、口に塗るリップの部分も猫の形になっている。とにかくかわいい。

夕方、お迎え。サイはMちゃんという今まであまり絡んだことのない子と園庭で追いかけっこのようにけらけら笑いながら走り回っていて、お盆だからか園庭には二人しかいなくて恋人同士みたいだった。走り疲れたサイが「つかれたからやすもうよ」とラブホテルに分かり易く誘う男のような口調でMちゃんを手を導いて二人で花壇の前で腰かけていた。Mちゃんのお母さんと初めて話した。Mちゃんはプリキュアが好きらしい。「うちの子も好きですよ」と言うと「へぇ男の子でも好きなんですね」と驚かれた。Mちゃんと共通の話題ができたと嬉しくなった私は「プリキュアすきなの?」とMちゃんに話しかけて推しを聞こうとしたら(おばちゃんはルールーが好きだよ、まで言う準備をしていた)Mちゃんは満面の笑みで着ていたワンピース風のTシャツをまくってプリキュアのシャツを見せてくれた後またサイと走り去った。お母さんによると、Mちゃんはプリキュアになりたいらしく、そういうワンピースっぽい服を着たり、髪を伸ばしているらしい。普段サイといると髪を結わいたり一緒にかわいい服を選んだりすることがないので女の子もいいなと思った。ないものねだりだが。

帰宅して夕食準備をしている間にサイは母がくれたお菓子を二つも食べた。それからこないだ気に入って買って届いたばかりの小さな白い天板のテーブルに二人で向かい合って座り、乾杯した。今日は記念日だからちょっと高いビールをコンビニで買ってみたらクセのある味で、普通にスーパードライでよかったなと思った。卵焼きが綺麗に焼けた。食後にサイとアイスを食べた。それから布団を舟に見立てて魚釣りごっこをした。めちゃくちゃ楽しかった。釣竿が欲しいというのでそこらへんにあった紐を渡したらミニカーとマクドのチラシをそのまま先端に結び付けるように指示された。雑な餌だ。「さめがきたぞー」と言ったあと自分で鮫になったり忙しかったが楽しかった。その後お風呂に入って寝た。サイは今日もルパンイエローとパトレン2号の人形をお風呂に入れて泡だらけにしていた。私は明け方まで眠れなかった。東京駅を歩いた時に受けたあの生暖かい風の感覚とその時の気持ちを一生忘れないだろうな、などと考えていた。


海が見たい。揺らめく水面や画用紙みたいな空がずっと向こうの先まで続いているのを見るといつも安心する。

暗闇で光るプラスチックのティラノサウルスみたいに今日と明日とそのまた先を

楽しそうに見えるが嫌な部分を排除して書いているのでけっしてそういう分けではない。でもサイと交わした会話や嬉しいと思った瞬間はこんな時だからこそ記録しておきたい。

 

7月23日(月)
今後の人生を左右する重大なことが決まった。地獄の修行のように人生最大の苦難が訪れている。でもやるしかない。苦しくて深夜に好きな人にメールした。プライベートなことは言わないと決めていたのについ送ってしまった。夜中なのに数分後「お疲れ様」とすぐ返ってきてやっぱりすごい人だなと思った。みんなが好きな可愛くてかっこよくて美しい人。だけど私が好きな人。私は友達と呼べる人や信頼できる人がほとんどいない。子どもの頃から一人で行動することに慣れてきたので他者と一緒に何かするという概念がそもそもあまりない。だから集団行動ができない。大勢の飲み会が未だに苦手。SNSで誰かが誰かと遊びに行ったというような投稿をみると別に何とも思わないが、なるほどそういうことがあるのかと別世界の出来事ように感じる。でも全くいない分けでない。数少ない大切な人はいる。本当に少ないから一生付き合っていくのだろうなと思う。今まで話を聞いてくれた人、心配してくれた人、遠くから見守ってくれている人、心からありがとう。


7月24日(火)
サイは最近片方ずつ違う種類の靴下を履いて登園するのにはまっている。彼なりのおしゃれなのかもしれない。だから今日はどれにしますか、と聞く。最近のお気に入りはピューロランドで買ったピンクのマイメロ靴下。マイメロを履いて行ったら好きな女の子に褒められたらしい。

夕方駅から保育園に向かう途中、私のことが大好きなKくんとすれ違ったので「Kくん~♡」と呼びかけたらめちゃくちゃ嬉しそうにしてくれた。か、かわいい。Kくんは自転車風のバイクに乗っていた。横にはおじいちゃん。アイコンタクトして再び漕ぎ出すと背後から「サイくんママ~~♡」と聞こえたので止まって振り返るとKくんが止まってこちらを振り返っていた。本当にかわいいなもう。Kくんが成人したら絶対Kくんとサイと三人で飲むって私は決めている(勝手に)。その頃行きつけになっているであろう街の小さな飲み屋に行って「二人とも好きなの頼みな」とか威勢よく言って好きな女の子の話とか聞きたい。「それはちょっと距離置いた方がいいんじゃない」とか日本酒と焼き鳥を挟んでアドバイスしたい。お節介婆。若い子の恋愛の話を聞くのがとにかく好きだ。相談してくれるような若い人は実際周りにいないが。


7月25日(水)
朝家を出る時、サイに「きょうぜったいおむかえきてね」と言われたので「うん絶対行くよ」と約束した。絶対なんかないけれど言いたい時はある。夕方お迎えに行ったら実際そんなに嬉しそうではなかったが最近サイは照れ隠しをする。二人で保育園の入り口においてある虫かごに入った蝶のさなぎを観察した。昨日青虫だったのがさなぎになっていて、でもまださなぎになったばかりで半分くらい身体が青虫の緑色でもう半分くらい白い殻になっていた。その混ざり合っている感じがグロテスクで異様で、生き物ってすごいなと単純に思った。サイは給食サンプルを指さしてその日何を食べたかいつも教えてくれる。おやつに枝豆を食べたらしい。「枝豆嫌いでしょ食べられた?」と聞くと「うん」と自信満々だった。園庭をぐるぐる走り回ってから帰宅。子どもは本当に意味なく走る。

「汝、我が民に非ズ」のファーストアルバム『つらい思いを抱きしめて』が届いた。9月の発売に先駆けてライブ会場でのみ先行販売とのことだったが、調べたらネットでも販売していた。ライブに行けないので嬉しい。こういうのをサーチする能力だけは私はずば抜けている。サイは自分のルパンレンジャーパンツが届いたと思って勢いよく段ボールを開封したがパンツでないと分かるとがっかりしてCDを投げ捨てる。食後にアイスを食べた。サイは私が早く食べ過ぎるといけないと、いつも途中で私の食べかけのアイスを「もっといてあげるよ」と奪ってそれを持ちつつ自分のアイスを食べる。謎のお節介。


7月26日(木)
通園途中にサイが鼻血を出す。子どもの血って綺麗だなと鼻を拭きながら思った。

サイとサイゼリヤで食べて帰る。行く途中自転車で坂道をくだったら気持ち良かった。二人で「さんぽみち」を歌う。サイは「蜘蛛の巣くぐって」のところがいつも「果物くぐって」になる。サイはお子様ランチ、私はイカのマリネ、お子様ポテト、旨辛チキン、ワイン。いつも同じものばかり食べている。帰りにスーパーに寄るとルパトのプラモデルの最新シリーズ、エックスが出ていたので、そのうちの一つ「エックストレインシルバー」を買う。生鮮コーナーにあるテレビでレシピ動画が流れていて、サイはそれを見つけると「みて!すごーい!」と私の腕を引っ張る。サイは料理に興味津々である。時々手伝わせているうちに生卵だって上手に割れるようになった。「サイくんはお料理好き?」と聞いたら「うん!」と興奮気味に答え、美味しそうだねと言い合いながら画面の中で我が家で作ることのない分厚いステーキが出来ていく様子を二人で見守った。それから果物コーナーでいつものようにゼスプリのキウイくんに話しかける。キウイくんはキウイの身体をした兄弟のぬいぐるみで私達のお気に入り。行く度に話しかけて癒されている。今日はハイタッチした(動かしているのは私だが)。サイは喜んで売り物のキウイを「はいどうぞ」と甲斐甲斐しくキウイくんに食べさせていた。共食い…。キウイくんのぬいぐるみが欲しすぎて、ネットで調べたらどこかから流れたものが入手可能だと分かった。兄弟で四千円で販売されていて、高いか安いか分からないままこれ以上ぬいぐるみを増やしていいものかと保留にしている。帰り道空を見上げると満月が綺麗だった。「月がきれいだよ、見える?」と聞くと「うん、あかるくて、つきがサイくんのおうちまできたらあさになっちゃうね」とサイは言った。急に秋のように涼しくなった。エアコンを久しぶりにつけなかった。

ルパンエックスのプラモデルを組み立てる。小さくて難しかったが完成したらかっこよかった。サイも喜んでいた。残りも順に買ってロボットを完成させたい。いつだったか遠い過去、ディアゴスティーニの暗闇で光るティラノザウルスを毎週組み立てて完成させるのが楽しみだった。CMで見て安かったという理由で恐竜がそんなに好きでもないのに創刊号を買ってティラノザウルスの顔ができたら思いのほか嬉しかった。身体も見たい完成させたいと思って親に嫌がられながら毎週買ってもらった。ティラノザウルスの最後のパーツの号に次のトリケラトプスの断片がついてきたがそれ以降続くと困るからもう辞めろと言われた。確かにこういうのは終わりがない。不明瞭なものが手を加えることでだんだん確かになっていく過程が私はけっこう好きらしい。ジグソーパズルや塗り絵も好きだ。数学も好き。サイの組み立て好きは私の遺伝かもしれない。

いつもの寝室とは別の部屋に二人で一枚の布団を敷いて寝た。「ほいくえんみたい~」とサイは喜んでいた。


7月27日(金)
やるべきことを少しずつこなしているつもりだが思うように進まない。もう金曜日だ。朝から涼しくて気持ちが良い。クーラーをかけて寝なかったら急に体調が良くなった。暑すぎると仕方ないが私の身体はクーラーとの相性が悪いらしい。サイもまったく起きて来なかった。出発直前にサイがざーっと漏らしてしまい、下着もズボンを取り替えたり床を拭いたり時間がなくなって焦った。普段ならイライラすることはないが、急いでいたのでサイにイラついた態度を見せてしまい、申し訳なかったなと思って後でごめんねと言った。言い訳かもしれないが子どもがいると時間通りに動くことが本当に難しい。会社はその辺を考慮してくれるようになればいいのになと甘いことを考えてしまう。なんとか遅刻せずに出社。


7月28日(土)
朝からサイと美容院に行った。電車に乗って表参道まで。数か月前から私が担当してもらっている人にサイは初めて切ってもらう。前の美容師さんが美容師を辞めるということで姉妹店の今の美容師さんに変わった。何もない限り同じ美容師さんに切り続けてもらいたいタイプなので、地元にいた時はずっと同じ人(女性)に切ってもらっていたし、上京してから9年ほどその辞めた人(男性)に切ってもらっていた。今の美容師さんになる時、合わなかったらどうしようとドキドキしていたが、とてもいい人だったので安心した。まず見た目が私が好きな感じで服装もお洒落(白いTシャツに無地のパンツ、みたいなさらっとした格好)で、話していて始終穏やかで苦にならない。冷静で礼儀正しく、淡々としていて場を盛り上げるような感じではないがそこがいい。髪を切ってもらう時に「最近どう?」とか馴れ馴れしく聞かれると嫌悪感を感じてしまうので。またカット技術が優れていて私が「スケボーに乗ってる中学生みたいな感じにしてください」と無理のあるオーダーをしても馬鹿にして笑ったりしないで、それはどういうイメージなのか真剣に聞いてなりたい感じの髪型にしてくれるので信頼できるなと感じている。前髪が特に良い感じ。こちらが話す内容を理解して共感してくれるのも嬉しい。サイも気に入ったようで最初は緊張していたが途中から自ら話しかけて美容師さんを驚かせていた。美容院を出て「またあのおにいちゃんにきってもらいたいな」と言っていた。サイがそういうことを言うのは珍しい。近くにある私が好きなパン屋のテラス席でサイと向かい合って食べた。気温がいつもより低く、「ピクニックみたいだね」とサイは喜んでいた。私はハートランドを飲んだ。それからフライングタイガーで新しい家に敷くマットを買った。そう、来週サイと新しい家に引っ越しする。かわいい家にしようねと言ったら「かっこいいいえにしたい!」と言われたので「かっこよくてかわいい家」にテーマが決まった。サイはタイガーで買ったピンクの300円のサングラスをかけてパリピみたいにテンション上げ上げで帰ったが疲れたのか電車で熟睡した。帰りに雑貨屋でマイヤーのフライパンが半額で4千円だったので、高いか安いか分からないが深さもあり良いと思って買った。フライパン一つあれば当分なんとかなるだろう。家に帰ってマットを広げたら想像以上に派手だった。サイはマットの上に載ってけらけら笑っていた。


7月29日(日)
朝から荷造りと断捨離しまくる。捨てる時は案外迷いがないタイプなのでじゃんじゃん投げ捨てる。ゴミ袋の塊が次々と出来て、私はこんなにもたくさんのゴミと暮らしていたのかと恐ろしくなる。本も全部は持っていけないから持って行く本、売る本、捨てる本に分ける。それでも段ボール5箱以上になる。サイと夕方スーパーに行ってまたルパンエックスのプラモデルを買う。キウイくんにも挨拶した。

 

やるべきことが簡単ではなく苦しいけど苦しいと言ってる場合ではない。ひとつずつやるしかない。そんな日々。

花火がみたい

クレヨンしんちゃんの声優交代がまだ受け入れられないでいる。今の声優さんだってなんとかしんちゃんを演じようとしているのだ。だから批判はしたくないが子どもの時から聞いていた声が突然変わった衝撃は大きい。

 

7月9日(月)
帰宅して家に入る前、サイに突然「おかあちゃんのおねがいごとしといたよ」と言われる。「えぇありがとう~何お願いしてくれたの?」「おかあちゃんにかわいいおけしょうがいっぱいとどきますように!って」私は最近何でもネットで買うので欲しいものは玄関から届くシステムだとサイは思っている。私が化粧している時いつもうっとりした顔で化粧品を触っているので「何かキラキラしていいもの」と思っているのかもしれない。サイは七夕の短冊に書く時に何が欲しいか聞いても自分が欲しい物は言わなかった。優しいなぁ、ありがとう。

日曜日から作っていたルパンカイザーのプラモデルが完成した。できたダイヤルファイター(ルパンレンジャーの乗り物)を合体してルパンカイザー(ロボット)ができるとサイは大喜び。ガチャガチャより少し単価が高いが自分で組み立てる楽しみがあるし細部までよく出来ているので今までガチャガチャしていたのが何だったのだろうと反省。サイは何か組み立てるのが好きなのでプラモデルに興味津々だ。私が難しいところをやり、できそうなところをサイに手伝ってもらう。プラモデルがこんなに楽しいとは知らなかった。カチッと小さい部品同士がはまって次第に形が出来上がるのが余りにも快感なのでもっともっと組み立てたい。寝る前にベッドの上で動物や変装ができるアプリで自撮をして遊んでから寝た。サイは変身するのが大好きだ。夜中に起きてやりたいことがあったが朝まで寝てしまう。

 

7月10日(火)
朝ごはんに今年初スイカ。サイは器用に種を避けて食べていた。残ったスイカの汁を牛乳と混ぜて満足そうにしていた。ルパンカイザーのプラモデルを持って登園。

夜、新宿タワレコにて大森靖子さんのアルバムリリース記念イベント。イベント前にお気に入りの花屋さんに寄り、『クソカワPARTY』のイメージでお花を選んでプレゼントしたら思いのほか喜んで下さった。花屋さんで花束を買う時間がどうしようもなく好きだ。その花屋さんに置いてある花は好きな感じの色や種類の花が多い。そして他のお店より断然安くて鮮度が良い。花が生き生きしている。束ねたロン毛でタンクトップの独特の見た目をした男性が多分店長で、最初は抵抗があったが見た目とは裏腹に驚くほど花束を作るセンスが良いし優しい。同じお店でももう一人いる若い女の人が作るのと全然違う。女の人はやや冷たくて、その人が作る花束もあまり好きではない。でもその女の人に練習させるためか最近店長はあまり作ってくれなくなった。今日はたまたま女の人が外出するタイミングだったため、ロン毛店長だった。やったー。私がこの花は絶対に入れたいんです、でもこれも入れたいと言うといい感じにアレンジしてくださり、更に友達にもあげようともう一つ頼んでもまたいい感じの花束を作ってくれた。

大森さんは「ドライにするね」と言ってくださり、帰りながら大森さんが以前気に入った紫陽花と赤い花を吊るしてドライフラワーにしたというライブのMCでされていた話を思い出しじわじわと嬉しくなった。朝からあることで沈んでいたが、好きな人に会うと自分でも驚くほど生きている実感を得られる。


7月11日(水)
サイはポケモンパンについていたピチュウのシールに喜ぶ。保育園で縁日ごっこをするらしく、また甚平を着て行く。今日は嫌がらず着てくれた。Amazonで届いた漫画を開けていたら「おかあちゃんえほんかいすぎ!」と言われる。サイは漫画のことを絵本と呼ぶ。確かに買い過ぎかもしれない。甚平姿の写真を撮ろうとしたら変顔ばかりされたが撮影には応じてくれる。

昼休みに銀行に行く途中、横断歩道のところで花屋のロン毛店長が買ったお弁当を下げてお店に戻るところを目撃した。弁当が入ったビニール袋と束ねられた髪を見つめながら「昨日はかわいいお花ありがとう、おかげで喜んでもらえました」と心の中でお礼を言った。ひとつ頑張ったことがあったので、ミニストップで静岡クラウンメロンソフトを買った。予想以上に美味しかった。持ち帰りにすると傾かないよう紙のスタンドに入れ溶けないよう上から最中のフタを被せてくれ配慮が細やかだなと思った。ちょっと暑かったが公園で座って食べた。スーツの男性が何人か放心していた。蝉が鳴いている。まぎれもない夏が来た。

帰宅するなりサイは縁日ごっこで買った品物を一つ一つ袋から出して嬉しそうに見せてくれた。紙皿でできたカメ、発砲スチロールでできた魚、ネコのお面…最近すっかり幼児らしさが抜けて言動が大人と変わらなくなってきたがこういう時は実に子どもらしいなと感じる。また自撮アプリで遊んでから寝た。


7月12日(木)
帰りにローソンをまわってルパトレンジャーとプリキュアのスタンプラリーをしてから回転寿司を食べて帰った。サイは納豆巻、たまご、海老、穴子といういつものラインナップ。穴子のことを「おさかな」と言う。シャリを少し残したのでそれは私が食べる。私はサーモン、焼きサーモン、炙りサーモン、アボガド巻、炙りしめ鯖。寿司屋でもらった棒付き飴の棒をふざけて口に入れて危ないので注意するとサイの機嫌は最悪に。とにかく私が怒る素振りを見せるといつもスイッチが入る。機嫌を直してもらおうとコンビニに寄るもギャン泣き。折り紙が欲しいというので許可したらプリキュアの玩具付お菓子も欲しいと駄々をこねられ二つは買えないと断ると更に絶叫泣き。アイスで気を逸らそうとするもダメ。無理矢理お菓子を辞めさせて帰宅。まだギャーギャー泣いていたので、とっさに置いてあった大森さんのアルバムについてきたナナちゃんのキーホルダーと生写真を見せたら握りしめて泣き止む。それでもアイスをくれず独り占めしようとするので放っておいたら案の定途中からお腹いっぱいになって私にくれる。入浴後、就寝。


7月13日(金)
今後に関わる重要な要件があったので午前休。もう後には戻れない。色々と分刻みでハシゴしていたら午後の出社時間ぎりぎりになり会社の最寄駅の小諸そばであなご天ざる蕎麦を一気食い。いつ行ってもこの小諸そばには女性客がいない。なぜだ。急いでいたのに前に並んだおじさんが食券機の前で5分くらい悩んでなかなかボタンを押さなかったので心の中で「早くしてくれ~」とせっついてしまった。おじさんは食べたいものがなかったのかもしれない。私は普段のろのろしているが、食券を買うのとSuicaのチャージについてはめちゃくちゃ動作が早い自信がある。いかに後ろの人に早いなと思わせるか、と自分の中でゲームをしている。

夕方お迎え。サイと昨日とは別のローソンに行く。スタンプがないな~とサイと探していたら小学生くらいの男の子が「こっちにありますよ」と律儀に教えてくれる。教えてくれた通り、レジ横のポットの隣に追いやられるようにあった。「ありがとう」と言った。初対面時や仲良くなっても敬語を自然に遣う人が私はけっこう好きなのだが(友達が旦那さんと敬語で会話していてあぁいいなと思った)、敬語を使う小学生男子には特にグッとくる。サイもそうなってほしいな。今は下品な言葉を毎日絶叫しているのでその道へは遠いが。晩御飯は冷やしぶっかけうどん。ローソンで買ったサラダチキンとトマトと揚げ焼きしたオクラをのせた。うどんを氷で冷やそうとしたらサイは冷凍庫が製氷皿を出して率先して手伝ってくれる。製氷皿から氷が外せず苦戦していたので捻るとうまく取れるよと教えると不思議そうにしていた。数日前から製氷皿にやたら興味を示しているので、ブロックの感覚なのかもしれない。サイは冷たいうどんや冷麺なら食べてくれるが素麺は食べない。覚えておこう。


7月14日(土)
暑すぎて昼間は結局どこにも出かけなかった。サイが昼寝から起きて陽が沈んでから昨日とはまた別のローソンに行く。これでスタンプが4つ揃った。プリキュアとルパトレンジャーのシールをもらうと満足そうにしていた。帰りに猫がいてかわいかったので、サイが持っていたメロンパンナのぬいぐるみ(あちゃ)を動かして「ひゃあぁぁぁ~かわいい~~」など声を出していたら暗くて見えなかったが猫の世話をしている人が側にいることに気がつき、あ、しまったと思った。失笑されて恥ずかしかったので退散。今日も冷やしうどん。


7月15日(日)
朝からピューロランド。今日で三回目。三回とも同じ人と。初めて行った時は確かサイがお腹にいる時だった。前回は3歳になる前だったのでチケット代がかからなかった。今回初めてチケット代がかかる。あの時お腹にいたサイが…と感慨深かった。総選挙でシナモンロールが優勝した関係で、白と青の無地を組み合わせた洋服で行けばチケットがかなり安くなると事前に公式サイトで知ったので私もサイもそうした。サイにはユニクロで買ったサンリオのキャラクターが大集合しているめちゃくちゃかわいいTシャツを着せた。「次から無地でお願いしますね」と言われたが柄がサンリオだったからかギリギリOKだった。中に入り、今日の目的であるサイとクロミちゃんの接触のために有料予約券を入手しなければならないので係の人にどこでもらえるか聞いた。やや年配のスタッフはとても親切で、やっぱサンリオ最高と序盤から気分が良くなる。ディズニーランドの接客も素晴らしいがそれとまた違う。もっとこう、商店街のおばあちゃん的な接客というか。距離は近いが礼儀があって。伊勢丹の接客に近いかもしれない。サイが好きなクロミマイメロの友達で、ドクロがついた黒い頭巾を被ったうさぎだ。詳しく知らないが、愛くるしいマイメロに比べてちょっとダークで性格が捻くれていそうな感じ。目つきが可愛い。サイに言われるまで私もそんなに注目したことがなかった。キティやシナモンではなくクロミを推すサイはなかなかいいセンスをしているなと親バカながら思っている。海の家を模したスペースに時間交代で着ぐるみと一緒にゲームができて、更に課金すれば接触が可能ということだった。海の家は昨日始まったばかりだったので長蛇の列ができていて、これを並ぶのかと列が苦手な私はめげそうになったがサイの夢のためと思って我慢して1時間くらい並んだ。しかし整列の途中で接触券は人気のキャラクターから売り切れていき、クロミは最後まで残っていたがあと5人くらいでやっと買えるという時に売り切れて買えなかった。悲しかった。子ども優先してほしいなと少し思ったが大人だって会いたいし課金するのに大人も子どももないかと落ち込んだ。サイに「クロミちゃんに今日は会えないよ」と伝えた。残念そうにしていたが、気分を切替えるためにレストランでかわいいごはんを食べたら落ち着いたようだった。昼食後、パレードが始まったが前回見たのと同じだったし人が多すぎたので後ろの方からチラ見した。でもいい感じにスペースが空いていたので意外によく見えた。ちょうどクロミちゃんが通ったのでサイを肩車した。サイは喜んでいた。接触できないけど推しが踊るところを見られてよかった、と私も安堵した。もうこの辺り全てがオタクの考え方だ。ピューロランドはアイドル文化をうまく取り入れているのでオタクは馴染易い世界だと思う。その後「KAWAII KABUKI ~ハローキティ一座の桃太郎~」を鑑賞。これも大分並んだ。サイはその間ぐずらず偉かった。ずっと観たいと思っていた「かわいい」と歌舞伎が融合したミュージカルは想像を上回るぶっ飛び具合と面白さで私はげらげら笑っていた。隈取したキティやシナモンのビュジュアルがまずすごい。サイも受けていた。歌舞伎は詳しくないが、松竹が監修しているらしいのでなかなか本格的だと思えば急に激しいダンスが繰り広げられたり、この真面目なのに狂っている感じがサンリオの「かわいい」だなと思った。歌舞伎に圧倒されたのであとはカフェで休んだりゆっくりしていた。サイがやりたがったのでキティのポップコーンマシンをしてからピューロランドを出た。駅に向かう途中、空に目をやるとピンク色とブルーグレーが曖昧に混ざる空に猫の目のような細い三日月が浮かんでいた。美しかった。

同行者と別れて帰宅する途中、サイが寝てしまったので一人でサイと荷物を抱えて駅の階段を上がり下がりしなくてはならず体力的に相当きつかったがこんなことでしんどいと思ってはいけないと耐えた。サイは私の推しTiny Poemのプラスチックチェスト(初めて現行商品を見たので即買いした、ちなみにTiny Poemは総選挙68位)を「これサイくんの!」と言って奪い、サイに買ったキティちゃんのドールハウスの家具を嬉しそうにチェスト詰めていた。アクセサリー入れにしようと思ったのに、まあいいか。最近かわいいものがサイと取り合いになる。シャワーを浴びて就寝。


7月16日(月)
サイと昨日観れなかったルパトレンジャーとプリキュアを観る。ルパトレンジャーはルパンブルー(宵町透真)に焦点を当てた回だった。ジャングラー(悪者)がブルーの料理を食べて美味しすぎて悶絶しているところとか、げらげら笑った。エックス登場以来、劇的に面白くなった。強化アイテムが多すぎて何が何か分からずついていけなくなってきたので本があれば調べてみたい。ルパンブルー役の濱正悟さんの低い声が好きで台詞を真似したらサイは喜んだ。顔もけっこう好きかもしれない。調べたらエイベックス所属だった。濱さんはカレー好きらしい。プリキュアも面白かった。えみるとルールーが登場するだけで血圧が上がる。ギターの音色で攻撃するってどう考えてもカッコ良い。パップルが元気そうでよかった。週に一度の楽しみ。

暑くて昼から缶ビールを開けた。昼食後サイと昼寝。結局陽が落ちるまで出られなかった。夕食は冷蔵庫の残り野菜カレー。これからの問題が多すぎる。昔から真面目に生きてきたつもりなのになぜこんなことになってしまったのだろうか。サイとレンジャーやプリキュアを観たり二人で美味しいねって食べて楽しく暮らしたいだけ。普通に生きたいだけ。普通に。多くを望んでいないのにその普通が遥か遠くにある。誰にも頼らないと決めている。死ななければ大丈夫。意外に根性あるよね、と昔から言われてきた。あと少しだ。人混みは嫌いだが季節が終わる前に打ち上げ花火が見たい。まだ見たことないサイにも見せてあげたい。何と言うだろうか。

フルーチェつくりたいこの夏こそ

またしばらく日記を放置していた。
その間に実家に帰省したり夏が到来したり。毎日蒸し暑い。すでに夏バテ。夏の果て。湿度が低くて海が見える外国に行きたい。村上春樹の『スプートニクの恋人』に出て来るところ、あれはどこだったけ。あそこに行きたい。

 

6月18日(月)曇り
朝から大阪で大きな地震地震があったからと言っていちいち騒いだりしない。余程でない限り地元の家族や友人へ安全確認もしない。阪神淡路大震災を経験したからか、地震は特別なことでないと身体に染みついてしまっているのかもしれない。サイはEテレに突然出た「地震が来ます」の音と警告表示を見て笑っていた。別に不謹慎だと叱るべきことではない。「地震」という言葉も概念も知らない子どもにとってはおかしな音が鳴り変な表示が出ている、という事実がそこにあるだけだ。逆に地震があったからといって急に禍々しい音が鳴りテレビは中断され粛々としなければいけない、大人は急に深刻そうな態度を取り、思い出したように災害時の心得を発信するような世の中の空気がどうしても耐えられない。揺れている街の映像を見て「ばあばのお家は大丈夫かな」と独り言のように言うと「ばあばともうあそべなくなるかな」と少し心配そうにしていた。「大丈夫だよ」と言った。

ニュースで9歳の女の子が倒壊したプールの壁に挟まれて亡くなったと知った。苦しい。高齢の方だったら亡くなってもいいという分けではないが、どうしてもサイが生まれてから子どもが亡くなったニュースに敏感になってしまう。その女の子は翌朝、地震が起こって死んでしまうことを知らないまま、いつも通り宿題をして晩御飯を食べて眠って朝起きて支度をして学校まで歩いていて突然九年か十年生きた人生の終わりを迎える。と想像したら苦しくてなぜこの子は死ぬ必要があったのかと悔しくなる。かと言ってテロで外国の子どもがたくさん亡くなっているニュースに対しても毎回同じ感情を持つかと問われればイエスと言えない。状況が想像できる子の死にだけ苦しさを感じる自分の都合の良さに更に苦しくなる。


6月22日(金)
退社後本屋さんに寄り先輩におすすめしてもらった高橋久美子さんの『いっぴき』を購入。少し読んだら面白くて買ってよかったなと思った。週末Aちゃんの家に持って行く美味しそうなおつまみを買った。箱も可愛い。でもお祝いはこれと言って良いものが見つからなかった。焦って変なものを買いたくないので辞める。ただでさえ暑いのに大森さんのLINELIVEを観たら体温が上がってすごい汗をかいた。好きな人が出ているテレビや配信を観るといつも心拍数が上がる。これは昔から。目の前にいるより画面越しの方がなぜかドキドキする。


6月23日(土)
雨。昼前、サイと出発し公園に併設されている行ったことのない喫茶店に行ってみた。私はたらこスパゲッティ、サイは食べたいと言ったハヤシライスをほぼ一人で完食した。雰囲気も良くて安くて美味しかったので「ここいいねぇ」と二人でへらへらしていた。サイは後ろの席の女性二人組の一人がもう一人の話を聞きながら相槌を打っている様子を真似して「んーんーんーって言ってるね」と私にいちいち教えてくれた。観察力が凄まじく、見たことをすぐに声に出して報告するので当人に聞こえていないかと冷や冷やする。サイはハヤシライスのルーでTシャツを汚していて指摘すると笑っていた。汚れてはいけない服なんてほとんど着せたことがないので、汚れても特に気にしない。昼食前の機嫌は最悪だったが食後は一変して機嫌が良く「お腹空いてたんだね」と言うと「そうだよ、もうサイくんないてないでしょ」とドヤ顔で言われる。だんだんとやり取りが大人同士のようになってきた。私も子どもだと思って接していない。お笑いの相方って感じ。

それから駅まで歩き電車に乗って数駅隣のわりと大きな駅に行く。ダイソーに行きたかったというただそれだけなのに雨も降って道もよく分からないし着くまでに疲労した。サイはダイソーの化粧品や美容関連グッズのフロアでサンリオの商品や細々した小物をみて「ひゃあ~かわいい~!!」と高い声を上げて大喜びしていた。その様子を見て40代くらいの女性が微笑んでいたらサイは「おばさん!」と指差して大きな声で叫んだので気まずくなって別の場所に逃げた。すいません、って言うのもなんか違うかなと思って逃げた。何歳であれ女性に目の前で「おばさん」呼ばわりしないよう教育が必要だ。要らないものを手に取って「これいるよね?」と聞いてくるので戻すのが大変だった。おもちゃのフロアで何でも好きなのを選んでいいよと言うと迷いに迷ってハンバーガーのままごとセットを選んだ。レジの近くにフルーチェが売っていた。小さい頃フルーチェを食べたいといくら騒いでも親は買ってくれなくて、拗らせて大人になったら絶対自分で作って思う存分食べるぞと思っていたが実際大人になるとなぜか手に取らなかった。でもサイと作ると楽しいかなと思ってひとつ買ってみた。ついにこの夏フルーチェへの憧れが昇華されるのか。疲れたのでサンマルクで二人でひとつ、サイが選んだベリーのパフェを食べた後、スーパーで買い物をして帰宅。サイは不二家にいた触るとしゃべるペコちゃんに興味津々だったが、照れていた。最近大人の女性に照れるが、ペコちゃんにまで照れるとは。触っているとペコちゃんが「きみの誕生日はいつ?教えて!」「外から帰ったら手は洗った?」など脈略のないことを唐突に言うのでシュールだった。サイは「3月だよ」などと間違って答えていた。駅構内のお店でセールをしていたがサイがマネキンのスカートの中に頭を突っ込んでパンツを履いているか確認してゲラゲラ笑ったり、走り回ってすぐどこかに消えるので全然落ち着いて見れず結局何も買わずに帰った。

サイは夕方から20時すぎまで昼寝して、全然起きなかったので不安になったらようやく起きて、ご機嫌で晩御飯を食べた。鮭のバター醤油焼きが美味しくできた。


6月24日(日)
日曜日のプリキュアがいつの間にか二人の楽しみになっている。プリキュアが始まる前に朝ごはんも済ませ、万全にして備える。今日は先週プリキュアになったえみるとルールーが色々と葛藤しつつプリキュアとしての道を進もうとする回だった。二人の絡みが百合っぽいので毎回ドキドキする。ルパンレンジャーはルパンXとパトレンXという両方になれる新しいキャラクターが登場する。怪盗と警察のどちらの味方が分からず、ルパトレンジャー達を翻弄している感じが最高に面白かった。変身シーンもカッコ良かった。すぐにXの玩具のCMが流れ出すのがニクいなぁと思いつつ、なぜか私が欲しくなった。シルバーとゴールドって色がいい。私が「エックスカッコいいねぇ初めて登場したねぇ」と興奮していたらサイは「これしってるよ、サイくんのえほんにのってた」と大人みたいな表情で冷静に言い放ち、今月号の『おともだち』を見せてくれる。本当だ。一緒に見ていたのに何も気付かなかった。サイの記憶力と観察力は本当にすごい。

昼過ぎ、去年結婚したAちゃんの家にサイと遊びに行った。普段乗らない電車に乗り私がうまく乗り換えができなかったせいで予定より遅れてしまった。サイはお腹が空いて機嫌が悪くなった。東京にもう10年くらいいるのに、どうして電車にうまく乗れないのだろうか。路線検索で調べても自分がどこにいるか分からず気付いたら乗り換え駅を過ぎているなんてことがよくある。

Aちゃんの家は色調が統一されていて(真似したい…)置いてある家具や小物が全部かわいくて、でも生活の営みが感じられて外国のアパートメントのようで居心地が良かった。イギリスに留学していた時ホームステイしていた家を思い出した。Aちゃんはおつまみを作ってくれていたり、成城石井で買ったというラベルが可愛い色んな種類のビールやお酒を用意してくれていて、全部美味しくて楽しかった。サラダのドレッシングが美味しかったので作り方を聞いたらビールを飲みつつすぐレシピをラインしてくれてAちゃんのこういうところが私は好きだなと思った。持て余していたサイのためにネットフリックスでピングーを流してくれて、そのピングーが今のCGでなく初期のクレイアニメだったので二人で興奮した。クレイアニメのピングーはあまりにもかわいい。ピングーが伸び縮みするのが面白かったのか、サイもげらげら笑っていた。サイは私とサイで行く前にケーキ屋さんで買って持って行ったケーキを食べたくて、Aちゃんに「はやくケーキだしてよ」とせがんでいた。いかにも子どもらしい。あー帰りたくないなと思ったけれど泊まるわけにも行かないので夕方ごろ、そろそろ帰ろうかなと思っていたら事件があった。むっ臭いなと思っていたら大変なことになっていた。サイはしたことが恥ずかしかったのか隠して見せてくれない。結局シャワーを借りてサイを洗ったり、今日に限ってサイの着替えがなくAちゃんの服を借りたり散々だった。でもAちゃんは全然嫌な素振りを見せず優しかった。サイを自分の好きな場所に連れて行くことはやっぱりまだ難しいなと反省した。

落ち着いてからAちゃんに駅まで送ってもらい三人で最寄駅まで歩いた。サイはAちゃんのグレムリンTシャツをワンピースみたいに着て歩いていた。夕方の生温い空気が気持ち良かった。それからAちゃんと別れてバスと電車に乗って帰宅した。サイは眠気で機嫌が悪くなり、バスの中でわんわん叫び泣いた。窓の外の景色で気を逸らしたり何を言っても泣き止まず、どうしようもなかった。終点で降りる時、乗客の冷たい視線を感じた。
機嫌直しに本屋で粘土を買って帰宅。夕食後、Aちゃんにもらった花束を生けた。可愛い。遊びに行ってお花を持たせてくれるなんて、Aちゃんがやっぱり好きだなと思った。サイと粘土でお寿司を作ってから寝た。


6月25日(月)
サイは疲れていたのかいつもの時間になっても起きず私はどうしても寝ている人を起こせないのでどうしようと思っていたら出発時間を迎えてしまい半休を取った。サイを保育園に連れて行くともうすぐ始まるプールに備えて着替えの練習をしていた。着替え用のスナップがついたタオルを肩に巻くよう先生は子ども達に指示するも、子ども達は男の子も女の子も素っ裸ではしゃいだり、裸で立ったままぼんやりしている子もいた。なぜ無理矢理隠すことを覚えさせるのか私には分からなかった。そういうのは自然に覚えていくものじゃないだろうか。サイは園に着くのが遅く、乗り遅れていたのでその様子を部外者のように眺めていた。

帰宅したら暑くてどうしても我慢できずビール缶を開けた。それからお気に入りの白シャツや白いブラウスを一気に洗濯した。襟や袖をごしごし洗うのが気持ち良い。洗濯している間に録画したまま観ていなかった大森さんが出演したハロプロ特集の「関ジャム」を観た。高橋愛さんの話になると泣いた。ハロプロがやっぱり好きだなと思った。大森さんが歌いながら解説されていたのがさすが歌手という感じだし、言葉だけではピンとこないが音で聴くと説得力があってよかった。松岡茉優さんが冒頭で「あっつー!」と言われていたのは分かるなと感じた。好きなものや人の話になると私も体温が一気に上昇して変な汗をかく。松岡さん好きだなぁ。『万引き家族』観たいなぁ。

この日差しの中出勤するのが億劫になり、結局一日休んだ。でもこれと言って大して何もしなかった。夕方お迎えに行ってサイと帰宅。西日が綺麗だった。あまりに綺麗だったので『死神』の歌詞のように、西日に「やりつくしたか」って言われている気持ちになった。自転車に乗りながら私がプリキュアの歌を歌っていると「うるさーい!」と叱られた。そのサイの声が建物に反響して二重に聞こえたのを面白がってサイは何度も叫んだ。「おそらからサイくんのこえがするよね」「うん」「ひこうきのひと、びっくりしちゃうかな」「そうだねぇ」サイと会話するのが最近本当に楽しい。お風呂上りにまたサイと粘土をした。いくら軍艦のいくらの粒を丸めてつくったら「すごいーじょうずー!」と褒められた。サイは何か形作るよりも色の違う粘土を捏ねて混ぜたら何色になるのか一通り試して、カラフルな大小の球体がいくつもできていた。それを並べて「これはうちゅう!きゅーれんじゃー!」と言っていた。キューレンジャーを一度も観たことないのに好きなのはなんでだろうか。レンジャーの名前とか、やけに知識もある。サイはカメレオングリーンが好きらしい。更に球体を爪楊枝に刺して団子にしていた。濁った紫や茶色の毒々しい団子ができていた。ナナちゃんを作ったら「うわぁーナナちゃんだー」と言い愛おしそうに眺めていた。サイの足の裏にたくさん粘土が貼り着いていて、取ってあげるとくすぐったそうに笑っていた。


6月26日(火)
朝、起こそうかと思ったタイミングでサイが起きてくれた。自分で起きると機嫌がいい。私がトイレに行っている間にサイは私とサイのさくらんぼをちゃんと洗って皿に並べていた。ヨーグルトも冷蔵庫から出していた。なんて偉い子だ。天才か。私がさくらんぼを口に入れようとすると「たねあるからね」と教えてくれる。わざと種があるのを知らない顔をして口にいれ、サイがこいつ種を飲み込むんじゃないだろうなと不安そうにしたところでぺっと種を出して見せるとげらげら笑っていた。二人で笑っていたら「サイくんとおかあちゃん、きょうからなかよくなったね」と言われたので更に笑った。「えっ生まれた時からけっこう仲いいでしょ」と返すとにやにやして「うん、なかよしだよね」と言った。可愛い。本当に可愛い。

夕方、お迎え。サイは園庭に出て全速力で走り回っていた。わけもなく走る、ということを子どもはよくするが大人はしない。当たり前だが。でも大人は何をするにも目的を持とうとし過ぎなのではないか、とこういう姿を見ているとよく感じる。「早く帰ろうよ~」と言っても「まだはしりたいんだ」と『炎のランナー』の主人公みたいなことを言ってくるからそう言うなら走りたいだけ走ればいいよと思ってぼんやり見ていた。犬みたいに走り回っていた。帰り、自転車に乗りながら大きい声を出して反響させ、「そらからサイくんのこえきこえるねぇ、ひこうきのなかのひとびっくりするよねぇ」と昨日と同じことを言った後、「おかあちゃんのうたにもびっくりしちゃうよ」と言われる。「おかあちゃんの声そんな大きいかな?」「うん」。自分の声が空まで届いていると考えたら可笑しいなと思ったその空が綺麗だった。雲と空の青がまだらに混ざり合って。スーパーに寄って帰宅したらいつもより少し遅くなった。サイがうどんが食べたいと言うので冷やしうどんとおかずという謎の夕食になった。私はうどんの代わりにビール。食後にサイだけアイスを食べた。入浴後、就寝。風が強く吹いて気持ちの良い夜だった。可愛いと思って買った新しい下着が自分にはあまり似合わなくて悲しくなった。


6月27日(水)
朝起きてすぐ、サイが私のスマホのSiriで呼び出して『流星ヘブン』を流した。ピアノの音が寝起きには心地良いということに今日初めて気づいた。一緒に歌っていたら「おかあちゃんはうたわないで!」とキレられたので黙っていたら、布団に頬杖をついて大森さんの声に耳を傾けていた。可愛い。それからプリキュアのテーマソングを呼び出して流す。好きな曲を聴いて起床するのは目も覚めていいかもしれない。コーンフレーク。最初、え、またかと嫌そうにされたが「これ昨日買った新しいコーンフレークだよ」と言うと食べる気になったようだった。粘土のお寿司のネタが壊れた(自分で壊した?)ことを気にして作り直すように言われるが時間がないので今日の夜やろうね、と約束した。

帰りにタワレコに寄り大森さんのアルバムを予約し、チャットモンチーの最後のアルバムを購入した。暑すぎてノースリーブになったがノースリーブで街を歩いたことがほとんどないので悪いことをしているような気がした。レースが気に入って買ったそのブラウスを見てサイに「(レースの)カーテンとおんなじだね」と言われた。好きなレースの系統がカーテンでもブラウスでも同じらしい。早くも夏バテで夕食をあまり食べられなかった。サイもあまり食べなかった。やはりうどんの方がいいのか。お風呂に入り、サイの機嫌が急に悪くなったので、浴槽の真ん中に蓋を置き両端の隙間を空けてそこに一人ずつ入ってパーティーみたいにしたら予想外に喜んで機嫌を直して笑ってくれた。サイが寝た後、考え事をして眠れずソファに横たわっていたらいつの間にか寝落ちしていて大森さんが夢に出てきて絵を描いてくれた。優しかった。明け方、手と足の爪にネイルをした。手はほぼ透明のパールのような色、足はオレンジ。


6月28日(木)
好きな人に会うから持っている中で一番お気に入りのワンピース(伊勢丹で清水買いしたルル・ロジェッタ、ルルが最近気になる、AWも可愛い予感しかない)に帰省した時に一目惚れして即買いした子どもが履くようなラメ入りビニールサンダル(これは激安)に少し前に買ったクマのおっきなイヤリング。はぁかわいい(服と靴とアクセサリーが)。と思っているとまるで自分がかわいいような錯覚になるので好きなものを纏うのはいいかもしれない。

などと調子に乗っていたら大森さんに全然うまく話せなくて落ち込んだ。ちゃんと話そうと思って手紙もお土産も持たずに行ったら変な間ができてしまい嫌われているんじゃないかとさえ思ってしまった。好きな人にもっと笑ってもらえるような気の利いたことが言いたい。面白くなりたい。面白いおじさんになって「うけるー!」って言われたい。会った方何人かがアクセサリーやサンダルを「かわいい」って褒めてくれたのが嬉しかった。かわいいって言ってくれた人がかわいいし、全員数日以内に必ず良いことが訪れるでしょう、と心の中で予言した。頼んだ豚丼がオーダーミスで来なかったため、空腹と悔恨でふらふらになりながら改札をくぐったらホームでたまたま一緒になった大森さんファンの方々と話していたら癒された。幼少期の記憶の話になり、みなさん覚えていますか?と聞くとあまり覚えていない人と覚えている人と。人に寄るのかもしれないし、男女で違うのかもしれない、ということを聞き興味深かった。サイは今経験していることを大人になって完全に忘れてしまうのだろうか。あの時、宙を舞うルパンレンジャーを一緒にみたことも、それに憧れてトランポリンで空を飛んだことも。帰ってから大森さんと撮った写真を見たらそこに写った私は何一つかわいくなく生酢を飲んで我慢している老婆のようでまた病んだ。全然眠れず明け方ようやく寝た。


6月29日(金)
サイは今日プールがある。Amazonで頼んだ水泳帽が間に合ってよかった。サイの希望でピンクの帽子。何でもAmazonで頼むのでヤマトの人がほぼ毎日うちに来る。暑い中申し訳ないのでなるべくまとめて頼んだ方がいい。水曜日だったかヤマトの人がクロちゃんという猫の着ぐるみを連れてサイの保育園に出張交通安全教室としてやって来たらしく、クロちゃんに会ったと喜んでいた。クロちゃんをググったらめちゃくちゃ可愛くて私も会いたいと思った。それ以来ヤマトのトラックについている黒猫を見ると「あっクロちゃんいたよ!」と教えてくれる。

午後半休。神保町へ。じりじりと日差しが暑い。ボンディでカレーを食べ、みわ書房で集めているロアルド・ダールの旧訳本(帰って本棚を見たら持っていた、がーん)、同じビルの漫画専門店(永久に見ていられそうなお店)で手塚治虫の『ルードウィヒ・B』というベートーベンの生涯を描いた漫画を購入。手塚治虫は作品数が多すぎて把握しきれていないし全部集めるのは大変そうだから面白そうだなと直感で思ったものを少しずつ買って読むようにしている。手塚作品で特に好きなのは『ぱるぼら』と『MW』。昨日ロフトの二階席の漫画棚から何となく手に取って読んだ岩館真理子の『冷蔵庫にパイナップル・パイ』がなんだこれはというくらい面白かったのであったら欲しいと思ったがそれは売っていなかった。Amazonで頼もう。こうやってどんどん漫画が増えていく。恐ろしい。それから書泉グランデへ行き大森さんのおすすめ本が並んだ棚を見に行く。好きな人が本を刊行して書店で棚が作られておすすめ本と並んでいる光景がたまらなく愛おしい。余計なお世話だがせっかくの選書だからレイアウトとかもっとこうしたいなと妄想した。書店でアルバイトをしていた大学生の時、棚を作るのが何よりも好きだった。バイト先の店長がやる気がなく、学生の私に自由に選書して棚作ってよと言ってくれた時が一番わくわくした。好きな本を並べたら返品不可の版元が入っていて怒られたり。思い入れのある絵本を置いたら買ってくれた人がいてレジ打ちしながら泣きそうに嬉しかったり。大森さん選書本(『生活』という漫画が面白そうだった)と迷って、結局三冊目の『超歌手』を購入。サイン本を持ち歩くのが気がひけたのでこれで心置きなく持ち歩けるしボロボロになるまで読める。何回も何回も読みたい。

夕方、駅に着いて保育園まで自転車を漕いでいると夕方の生温い風が顔に当たって気持ち良かった。サイとサイゼリアで食べて帰る。100円グラスワインがいつだって正義。お子さまランチがリニューアルされていて、グミの代わりにプリンがついていたのでサイは喜んでいた。ちょーだいと言うといつもくれないのに一口くれた。私は旨辛チキンとイカのマリネ。サイと冷たいかぼちゃのポタージュ。二人で真剣に間違い探しをしたり美味しいねっていいながら食べた。帰宅してからスーパーで買ったルパンレンジャーのプラモデルのようなものを組み立てた。子ども用とはとても思えないほど難しかったがサイは組み立てるのを楽しんでいたし完成するとしっかりした作りだったのでまた買ってもいいかなと思った。大森さんのLINELIVEを途中まで観てから寝た。サイは「おーもりさーん」と画面の中の大森さんに必死に話しかけていたし、大森さんが少し前のレコーディング映像に副音声でコメンタリーをしているのを観て「おおもりさんっていっぱいいるのかな、どっちがにせものかな」と真剣な顔で言ってきて可愛いなと思った。プールはどうだったか聞くと、「プールさん~~」とみんなで呼ぶとカラフルな飾りを身体につけたプールさん(先生)がやってきてそれに揉まれて遊んだ、と一生懸命説明してくれた。プールの擬人化とは、なんて面白いのだろう、私もプールさんと戯れたいと思った。多分来週からが本番でイメージをつかむ練習だったのかもしれない。問題は何一つ解決していないし夜中になると不安に押し潰されそうになるが、愛おしい嬉しいと思うその瞬間がどこかへ飛んで行ってしまわないよう掴んで抱き締めておきたい。と思った日だった。


6月30日(土)
朝ご飯、洗濯のち出発。サイと朝から頑張った。サイもだんだん慣れてきてくれてぐずることが少なくなった。暑くてすぐにバテてしまった。希望が見えた気がした。昼過ぎに終わり、サイがハッピーセット食べたいというのでマクドナルドのテラス席で食べた。サイはおもちゃが欲しかっただけでほとんど食べず結局私が食べた。レモン味の裏・コークが美味しかった。テラス席は日光が当たらず時々風が吹いて心地良かった。サイが隣の席の女の子が食べているのを見てアイスを欲しがったのでまた買いに行く。帰宅してシャワーを浴びてクーラーをかけた部屋で昼寝。夏はこれに尽きる。夕食は豚肉とズッキーニの塩麹焼き、トマト。今度は湯に浸かってから就寝。サイに欲しいと言われたのでルパンレンジャーの枕を買ったら喜んでいた。こういうキャラクターがプリントされた派手な枕が懐かしい。私は眠れず明け方まで雑誌を読んだり考え事をして起きていた。夏の夜明けが好きだ。


7月1日(日)
もう7月だなんて。早いなぁ。日曜日の楽しみはプリキュア。サイと本気で毎週観ている。今回は敵のパップルが印象的な回だった。パップルはクライアス社の社員だがいつも発注したオシマイダーをプリキュアに倒されて上司や同僚に見下されている。おまけに好きな人にも振り向いてもらえず…悪役は悪役でも一人の人間として描かれていていいなぁと思った。バブルキャラ(?)のパップルはいつも面白い感じだが彼女にも悲哀があり最後に自らオシマイダーになることで自分を終わらせようとする。切ない。でも愛のプリキュアであるえみるとルール―(キュアキュアアムール)が彼女の心の中まで入り込んで抱き締めて寄り添う。そこには敵とか味方とかなく。あぁぁー。素晴らしい回だった。いつもオシマイダーが消える時に言う「やめさせてもらいます」という台詞がなく、すぅーと空に上がって消えていくパップルが折り合いをつけた上で消えるという感じで良かった。次回予告ではぐたんが連れ去られたのをサイはずっと気にしていた。プリキュアの余韻がすごかったのでもう一度観てルパトレンジャーは観なかった。

簡単なお弁当を作って図書館へ。公園よりは暑さがマシだろうと思ったから。飲食可能なスペースでサイとお弁当を広げて食べた。私はこっそり家から持ってきた缶ビールを飲んだ。別に禁止とはどこにも書かれていないのでこそこそ隠す必要はないのだが、酒類が一切売っていない公共図書館で飲酒する恥ずかしさみたいなのを少しだけ感じた。じゃあ飲むなよという感じだが。それから児童書コーナーでサイが紙芝居を読んでくれたり幼児雑誌を読むのを横で座って見ていたが横で半分寝ていた。神保町もだし、本がたくさんある場所が落ち着くなぁと思った。サイと玩具で遊んでいると「お腹空いた」とリュックからお菓子を出して食べようとするので止めてまた飲食スペースに行った。でも席が空いていなかった。私はアイスが食べたかったがサイが苺ショートを食べたいと言うので併設されている喫茶店でケーキを二つ買い外のテラス席で食べた。テラス席が好きだなと自覚している。日陰があったので助かったがじりじりと暑かった。隣に父と小学生くらいの息子の親子がいて、お父さんが缶チューハイを飲んでいて親近感を覚えた。「この後、自転車乗りに行きたい」「えー今日はやめとこう。おまえプールもしてきたんだろ今日、疲れてないのか」「全然。疲れてるのはお父さんでしょ!」「・・・・」という会話が聞こえてきて微笑ましかった。

サイと再び室内で遊んだ後スーパーに寄って帰宅。プリキュアのビニールバッグがついている『たのしい幼稚園』最新号を買わされる。帰宅してシャワー。サイは夜まで昼寝をしていた。食べたいと言った素麺を嫌がり、ごはんがいいと言われたので出したらそれも食べなかった。炭水化物を最近食べない。OLか。入浴後、就寝。サイはプリキュアのバッグを大事そうに持って寝た。


例年よりも早すぎる梅雨明け宣言。大嫌いな夏が呼んでないのに遊びに来た親戚のようで戸惑いつつ、秋が来る頃には心から笑えるようになりたい。

紫陽花の涙

6月4日(月)

昨日サイとヒーローショーを観て楽しく遊んでいると考えずに済んだが、職場に向かっていると先の不安がずんとやって来て朝からどんよりとした気分だった。昼にパン美人と話して少しだけ気分が晴れた。夜、昨日食べたいと言われたが作れなかったため、サイとの約束どおりハンバーグを作った。新玉ねぎだと炒めずに肉と混ぜられるし、多めに入れてもじっくり焼くと甘くて美味しかった。取り立ててここに記す必要もないが私は新玉ねぎが好きだ。味も色も形も。絵に描きたくなる。サイはよく食べてくれた。


6月5日(火)
それぞれシリアルを食べてバタバタ出発。日差しがきつい。首が焼ける。どんなにダサくてもいいから首が絶対焼けない装備があったら欲しい。

夜。お迎えに行って教室の窓越しにサイと目が合うと、警察官のように額に手を当てキリっとした顔をされた。だから今日は応戦にきた味方という設定にした。いつものようにHくんと園庭で暴れまわる。やはりHくんのお父さんと私は口を利かずぼんやり二人を眺める。Hくん家は私が勝手に妄想していた父子家庭ではなかった。もうすぐ二人目が生まれるからHくんのお母さんはお迎えに来られないだけだった。ということが先週の懇談会で分かった。それはいいことなのだけれど誰もがきっちりした家族であることに少しだけ孤立を感じている。そもそも「家族」という概念が苦手だ。屈託のない笑顔でHくんに「あしたサイくんちいくからね!」と言われる。二人で勝手に約束したらしい。もっと別の言い方ができたかもしれないが私はモヤモヤと考えていたのでつい、「うーん明日は難しいなぁ」とはっきり言ってしまった。「また来てね」となぜか言えなかった。それを聞いたHくんのお父さんが「こらっ何言ってんだ」とHくんに言った。いや、子どもの話だし全く迷惑とかではないんです、ただ私がモヤモヤしていたせいでうまく答えられなくてすみません、と内心で思ったが口には出さなかった。

帰宅した途端、サイは機嫌が悪く大きな声で泣き喚く。これは他の子もそうらしいが、保育園では泣くことが一切ないらしい。お菓子を食べるか聞いてもダメ。ソーセージを食べたいというので渡したらビニールが綺麗に開けられず(手伝っても怒る)また喚き散らす。でも構ってばかりもいられないので晩御飯を作る。「今日はサイくんの好きな親子丼だよ~」と言っても「たべない!おなかいっぱい!」の一点張り。食卓に座るように言うとサイが私の椅子に座って私がベビーチェアに座るよう怒りながら指示してきたので従った。機嫌が悪い時、これ見よがしにフォークで汁物を飲もうとしたり、服を変な風に着て「みてよ!」と言い、「ルールや常識に反抗している俺」をアピールして更に私を怒らせようとする時がある。私も強要されることもある。でもそれが食べ物を粗末にするなど、許せないことでなければ「別にいいんじゃない?」と言ってやらせるし一緒にやる。何でも臨機応変にやらなきゃいけない。まだ不機嫌だったが「ちょっと食べてみてよ」と言うと親子丼を渋々口に入れ、好きだから美味しかったようでそれから大人しく食べ始めた。やれやれ。自分で指示した癖にベビーチェアに座っている私を見て「おかあちゃんそのいすすわれるの?おしりちっちゃくなったから?」と聞かれたので笑ってしまった。食後にアイス。

サイは落ち着きを取戻し、お店屋さんごっこをしていた。私は疲れてソファに座って放心していた。部屋が荒れ狂っていたが今はこれに対応できない、と思った。イヤイヤ期が再来したのは、私の最近の不安が顔に出てしまっているからだろうか、などと考えていた。育ってきた環境からか、何か良くないことがあると自分をすぐに責めてしまう思考回路が身体に烙印のように染みついていて、いい加減その烙印を消したいと思っていても、拭えていないことを時々実感する。何かある度に「○○が悪い」といつも言われてきた。だから私はサイにそういうことは絶対言わないと決めている。「サイが○○してくれたから良かった」と積極的に言うようにしている。子どもを泣き止ませない親がどうたら、という話を最近よく聞くが子どもが泣く理由も知らない癖によく言えるなと思う。子どもの本当の気持ちなんて、どれだけ偉い大人が分析しようが研究しようが、結局その子自身にしか分からない。親が聞いても泣いている原因が何か納得する答えが得られず推測するしかない場合が多い。子どもだって大人と変わらず一人の人間だ。大人に分かられてたまるか、という気持ちくらいあるはずだ。入浴後、就寝。サイが寝た後片付けをする予定が朝まで眠ってしまった。


6月6日(水)曇り時々雨
「6月6日に雨ざあざあ降ってきて」という絵描き歌があったなぁと急に思い出した。雨が降りそう。梅雨が近づいている。寝起きはまあまあ良かったが、サイは朝から超がつくほど機嫌が悪かった。最近イヤイヤ期が王政復古。ギャーギャー全力で泣き喚きながら朝ごはん食べたくないと言い続ける。食べたくないなら一食ぐらい抜かしても仕方がないと一人で先に食べようとすると「たべちゃだめーー!!ぎゃーー」と私が食べるのさえ阻止してくるから困った。それから「おなかがすいたーーぎゃーー」。用意すると「ここでたべたくないぎゃー」と泣き続ける。結局サイは台所で立ったままヨーグルトを食べ(ここに置いてと言われた指示どおりにしたのに「とどかないーーぎゃー」)、最終的に自転車に乗りながらあんぱんを食べた。やれやれ。イヤイヤ期は慣れたが、出発前など時間がない時は本当に勘弁してほしいなと思う。あまりにも酷いと手がつけられないので言い争うようなことはせず、例えあり得ないことを言われてもサイの言う通りにするか後は黙って放置している。

餃子が焦げて皮が全部フライパンにくっついて剥がれた。悲しい。サイは練習中のお箸がうまくつかえず癇癪を起していた。イライラしたのかお皿に入れたポン酢をわざとテーブルにぶちまけたので叱った。サイは私が叱ると必ず泣く。私だってなるべく叱りたくないけれど食べ物を床に投げたり遊びで無駄にした時は叱るようにしている。わんわん泣き続ける。なぜ私に叱られたか、どこが悪いのか全く理解してもらえなくて、それを伝えるのが難しい。食後にアイスを食べて機嫌が直った。私がネットで一目惚れして買ったぬいぐるみについて、「ねぇ、かわいい白くまのお人形買ったよ」と言うと「おかあちゃんはおとなでしょ!おにんぎょうもったらだめ!」と言われる。そうか、でも大人だってぬいぐるみを持ちたくなる時もあるんだよ。入浴後、就寝。ライブのことを考えたらドキドキして明け方まで眠れなかった。少し部屋の片付けをした。


6月7日(木)曇り
明け方まで眠れなかったせいで寝坊。サイは機嫌がよく大人しく朝ごはんを食べてくれた。よかった。ルパンイエローのカードを持ってきて「これなんていうなまえ?」と聞くので「ルパンイエローでしょ」と言うと「ちがう!おかあちゃんがきのう(先日の意)いってたやつ!」「ん?あ!うみかちゃん?」「そう」にやにや。「変身する前の女の子の時はね、うみかちゃんって言うんだよ」と教えた。いまいちピンときていないようだった。プリキュアもだが、変身前後で違う名前になるのがいまいち理解できないらしい。

夜。恵比寿にて大森靖子さんのライブ。COCOROMツアー初日。3月以来。初めてのリキッドルーム。会場から開演までいつも愉快な話をしてくれる知り合いが偶然隣にいたので緊張が紛れた。でもライブ前の緊張でうまく会話できなかったことを後から申し訳なく思った。ライブ開始早々それが何か特定できないが今までにない感情が湧き、終演後もその感情はまだ言語化すらされていない。来週の神戸公演を観たら分かるだろうか。少し髪を切って、胸元に黒いリボンタイがついた真っ赤なワンピースを着た大森さんは性別や年齢のない世界の主人公みたいで、異世界的な可愛さに混乱した。

ライブで大森さんが着ている服(ワンピース)がどんぴしゃ好みな時が多い。好みというか、正確には自分には似合わなさそうで着る勇気がないけど好きだなと思う服をいつも着てらっしゃるのでうっとり眺めてしまう。大森さんはレースや切り返しなどディティールに作り手の想い入れがあるような洋服をよく纏われている。MCで言われていた、ライブ用衣装を選ぶ際、「ぶりぶりしすぎずかわいくてカッコいい服」を選んでいるというのが同年代として物凄く共感できた。近頃、ブリブリした服を纏うのが怖くなったし、なんて可愛い服だとときめいて試着するとあれ何かおかしいなと違和感を感じることが前より多くなった。でも妥協して無難な服を着るのは嫌だ。好きな服を纏いたい気持ちとそれを纏った自分を見つめる自分とのせめぎ合い。若い時にはこういう感情はなかった。年齢なんて気にせず好きな服を着るのがもちろん一番良いに決まってるが、悲しいことにそう思うことができない。帰宅してからライブのことや他の考え事をしていたら明け方になった。


6月8日(金)
金曜日のお迎えは子ども達が園を出た後園庭で走り回って遊んでいても親は明日が休みということで何となく許容していて、他の曜日に比べて弛緩した空気が流れているのを感じ取る。私はそれがけっこう好きだ。疲れているけど笑っている、みたいな。他の曜日はそうはいかない。この後帰宅して夕食を作って食べさせてお風呂に入れて歯磨きして寝かせる、その一連のタスクをどうこなすかそれに必要な自分の体力はあと何パーセントか…、と脳内で算出しているようなコンピューターぽい顔をどの親もしている。走り回ってる子どもたち微笑ましいわね、なんて顔は誰一人していない。一つのタスクがずれたらゴール(寝かしつけ)の時間がずれ、そうすると寝る前にギャン泣き、次の朝起きてくれないなど更に影響が及ぶ。だからとにかく早く帰りたい。それが金曜日となると、うまくいかなくても所詮次の日は休みという余裕から脳内算出を辞めるため、ゆるっとした空気が流れる。子どもも空気を感じ取ってぐずりも少ない。先生もどことなくいつもより嬉しそう。だから休日前は全員気分が良い。とはいえ、土曜日働いている方もいるだろうが。

食材がなかったのでソーセージとトマトの卵炒めという朝食みたいな夕食。サイはトマト炒めを食べてくれなかった。ソーセージの皮を嫌がって器用に剥いていた。夕食後、アンパンマンを観てから入浴後、就寝。


6月9日(土)晴れ
午前中、洗濯片付けなど。あまりにも暑いので今年初クーラーをいれた。前はいつまでクーラーを入れずにいられるか我慢大会みたいなことをしていたが、サイも私も暑さでイライラするより快適に過ごしたい。

午後からサイと一緒に渋谷・大盛堂書店にて行われた大森靖子さん新著『超歌手』サイン会。大森さんのサイン会は初めてだったのでどんなのだろうかと朝から緊張していた。ベビーカーなしでサイを連れて渋谷の街を歩くのは初めてだったのでそれだけで疲れてしまう。大盛堂書店はスクランブル交差点を渡ってすぐ目の前にある小さな書店で、サイン会が開催されると知り始めてその存在を知った。Wikipediaやネットで拾った記事を読んだ限り大盛堂書店は歴史ある書店のようで、元軍人の創始者・舩坂弘氏はなかなか凄まじい人生を送ってきた人物ということが分かった。地獄のような戦場で何度も死の淵に立たされながら這い上がって生き長らえた伝説のような逸話は「生」への執念すら感じる。そんな人が始めた書店は渋谷のド真ん中にあり、大型書店が次々と台頭する中で同じ場所で経営を続けてきたのは船坂氏の生き様に通じるのかもしれない、などと考えつつ街の書店ファンとして一体どんな書店なのだろうとわくわくしていた。

作家などのサイン会では大勢の人が同じ会場に集まって混雑するのを避けるため、大体の場合においてそれぞれ整理番号に応じた集合時間が決められていることが多い。今回もそうだったが、おそらく細かく時間が設定され、広くはない店内に人が溢れないよう細心の注意が払われている感じだった。冷房も利いていて待つ場所がきちんと決められていたので、待っている時間は長かったがストレスは感じなかった。この書店はすごい、とその時点で感じた。サイも買った幼児雑誌を読んだり、前にいたサイの好きなお姉さんに構ってもらったおかげで機嫌良く待っていた。順番が近づいてくると大森さんが話している声がしたが、想像以上に一人あたりの時間が長く、そんなに話せる感じなのかと更に驚いた。サイン会は私の知る限り、著者が署名するのを見守って握手しておしまい、ということが多いので、署名中に話しかけない限りは何か話したくても話せないまま終わることが多い。一人ずつと友達のようにじっくり対話しようとする大森さんに触発され、みんなそんなに喋るのかというほどよく話していた印象だった。大森さんはやっぱり優しい人だとしみじみしていたら順番が来て、後ろに人がいることで上手く話しかけられず黙っていたら着けていたお気に入りのネックレスを褒められたが明るい返しができず、その後もまごまごしていたら「ブログ読んだよ」と言ってくださった。そこは「ありがとうございます!」、と言うべきなのになぜかお礼が言えず狼狽えていた。サイはサイで朝即席で作ったナナちゃんのTシャツを着ていたから「ナナちゃんのこと好きなんでしょ」と言われたが黙っていて、「好きなくせに~」と言われて更に固まっていた。サイに言われていたが大森さんに好きな気持ちを素直に表せない自分に言われているような気持ちにもなって、あぁと感極まっていた。来る前にサイと選んだ大森さんのプレゼントとサイが描いた大森さんの絵をサイから渡してもらおうとするもサイは断固拒否し、大森さんが笑って「ちょうだいよ~」と手を差し出すも固まっていたため、私から渡した。親子でどうしようもないなと思いつつ退散しようとすると、大森さんが握手を求めてくださり、握手のことをすっかり忘れていたので動揺して握手をし、サイは握手を嫌がるだろうと思った大森さんはハイタッチしようとサイに向けて掌をすっと差し出した。サイはどうするかなと見守っていたらそこだけは真面目くさった顔でそっと大森さんの手に自分の手を合わせ、でも恥ずかしいので反抗期の中学生みたいに顔をぱっと背けて終了した。大森さんが広げたパーの手が少しマジックで汚れていたのがたまらなく可愛いなと思った。

せっかく二冊あるのでサイと私の名前をそれぞれ書いてもらった。署名は本当に丁寧で絵もかわいくて愛おしかった。サイが大きくなるまで大事に置いておきたい。私は奥付に署名してもらった。地味だしスペースがやや狭かったが、「大森靖子」と書いてある奥付に今日の日のことを刻んでいただきたいと思った。奥付はその著作が存在する証だと思っている。本が生きた証。私の名前を書いてもらった署名には「ちょーえらい!!!」というメッセージが添えられていて、人から偉いと言われたのなんて最近記憶にないし、毎日自分が子育てや仕事や家事をしていることに対してこなせているという意識が全くないため、偉いだとか思ったことはなかった。そうか、私は偉かったのかと、好きな人に言われて初めて気付き涙が出るほど嬉しかった。

サイン会終了後、お店の外で知り合いと話したりしていたが、サイも私も空腹が限界に達しその場を離れた。サイはその間、少しもぐずらず偉かった。乗り換えの駅で二人でラーメンと蕎麦を食べて帰宅した。サイは寝る前に大森さんのことや会った人のことを一人一人回想していて、私が気付かないようなことも教えてくれて、固まっていたり無反応だったが実は周りをよく見ていて、受けたものをじっくり反芻していたことを知った。サイのそういうところが私は好きだ。苦手な渋谷の喧騒に疲れたが好きな人に会いに行けた。ありがとう、サイ。


6月10日(日)雨
朝から雨。朝ごはんを食べてプリキュア。三週連続泣いた。プリキュアは「なりたい自分になる」をきっとテーマにしていて、性別や立場にとらわれず自分のやりたい夢を叶えればいいと主張しているストーリーが多いのだが、今週はアンリという男の子がファッションショーでドレスを着て歩くこととえみる(女の子)とルールー(アンドロイド)がヒーロー(プリキュア)を目指すことを中心に話が進んでいた。えみる兄の「ヒーローって男のための言葉だよ。女の子は守られる側だろ」という発言は今時こんなこと言う人いるのか、とやや時代錯誤な気もしたが、子どもに訴えかけるにはそれくらいはっきりした台詞が必要なのかとも思った。それでも「僕は自分のしたい格好をする。自分で自分の心に制約をかける、それこそ時間の無駄。人生の無駄だ。」というアンリの言葉は自分に言われているようで、色々と考えされられた。

それから幼児雑誌の付録のお茶セットで遊ぶ。サイは気に入った様子で紙のテーブルに甲斐甲斐しくお茶やお菓子(紙)を用意し、ぬいぐるみ達を呼んでパーティーを開いていた。この子にはこのケーキと配分していた。moppyで買った新入りの白いクマに昨日はちょっと冷たかったが、今日は少し優しくかった。

そうこうしていたらお昼になったが冷蔵庫に食材が何もない。雨の中買い物に行くのが面倒だなぁと思って戸棚を漁ったらホットケーキミックスを見つけたのでそれでホットケーキを焼いた。サイは粉を混ぜたりフライパンに生地を流し込むのをやりたがったので、熱いフライパンに手が触れないよう注意してやらせた。二人で生地が膨らんでいき、ぷつぷつと穴が空く様子を観察した。「ほら、見てごらん、穴がぷーって膨らんでそれがぱんってなるよ」と教えるとじっと見て「わぁーーー」と喜んでいた。静かで平和な時間だった。結局サイはホットケーキにバターを乗せるところまでうきうきとやったにも関わらず、一口も食べなかった。だから私が全部食べた。サイは私が食べようと思っていた冷凍パスタを食べた。ホットケーキというのは作る過程の方が断然楽しい。食べるとあれこんなもんか、という味だ。

サイが昼寝したら私は『超歌手』を少しだけ読んだ。わりと速読だと自負しているが、冒頭から読んでいると涙がどんどん溢れてきてその度に鼻をかんだりしていたのでなかなか先に進めない。本を読んでこんな状態になったのは初めてだ。やっぱり大森さんの書く文章が好きだなと思っていたらサイが起きたので中断。それから二人で夕食の買い物に出かけた。自転車で行ってもよかったが、紫陽花が見たいと思いそれぞれ長靴とレインコートを装備して歩いていくことにした。しとしとと雨が降る中咲き誇る満開の紫陽花は美しかった。泣いているようだった。サイと綺麗だねぇ可愛いねぇと言い合った。何色もグラデーションになっている紫陽花の色合いが好きだなと思った。買い物をして、また徒歩で帰ろうと道を歩いていたらサイが突然「おかあちゃんきらい!」と言いわんわん泣き出した。泣くのはどんどん酷くなり、何を言っても泣き止まず、「アイスたべたい!!」など泣いている理由も変わっていった。多分雨の中歩くのが疲れたのだと推測した。その場から動こうとしなかったので先に行くよと少しだけ先に歩いたら更にギャン泣きし、絶叫していた。振り返ると顔をぐしゃぐしゃに塗らして青いレインコートを着たサイがぽつんと立っていた。その後ろに満開の紫陽花が咲き乱れていて。雨がざあざあ降っていて。この光景はきっともう今この瞬間しかないだろうな、いつか忘れてしまうんだろうな、とサイが泣いているにも関わらず私は愛おしくなった。サイは結局家に帰るまで泣き止まなかった。夕食は30分で作ったトマトキーマカレー。なかなか美味しくできたがサイには辛かったのか一口くらいしか食べなかった。サイに「さっきサイくんないてたでしょ」と言われたので「うん、なんで泣いてたの?」と聞くと「おかあちゃんがきらいだったの、でもいまはすきだよ」と言われた。よく分からないがいちいち言うのが可愛いなと思った。入浴後、就寝。いよいよ梅雨だ。

君が夕焼けで泳ぎたいなら

5月28日(月)

カニパン。バタバタ出発。午前中でバタバタ退社。時間がなく小諸そばで立ち食い蕎麦。いつ行っても女性客がいない。気にしないが。小諸そばの店員が着ている刺繍入シャツが可愛い。

午後から保育園でクラス懇談会。一年に一度あり、園児の普段の様子をビデオや写真で見せてもらったり、親同士で意見交換したりする会。これだけは毎年出るようにしている。園児達が別の部屋で昼寝している間に行われるので教室に入ると園児用のテーブルと椅子が設置され名札が置かれていた。テーブルごとに5,6人の親が座るようになっている。それが6テーブルほど。数分前に着くとほとんどの親が着席していて、私のテーブルの親達も和やかに談笑していた。こういう時に私はまずは入っていけない。挨拶だけし園児用の椅子の窮屈さに戸惑いつつ黙って他の親が話すのを眺めていた。

まもなく先生が話し始めてほっとしていたら「ではまずは自己紹介をお願い致します。お名前とお子さんの可愛いと思うところをお一人ずつお願いします。」と言われてげっとなる。大勢の前で話すのが嫌いなので自己紹介が苦手だ。名前を言うだけならまだしも何かコメントしろと言われるのが一番苦しい。幸い順番は後の方だった。Kくんのお母さんは「お腹がでているところが可愛いです」と言い笑いを誘っていた。上手い!と思った。上手い下手ではないが、こういう時いかに端的に分かり易く言えるかどうかなのではないかと思っている。他のお母さんは「全速力で走って来るのが可愛いです」「歌ったり踊ったりしているのが可愛いです」「ママかわいいって毎日言ってくれるのが可愛いです」うーん。何を言おう。全部可愛いに決まっている。「イヤイヤ期で特にないです」と言っている人がいてそれは悲しいなと思った。まとまらないまま自分の順番がきて、「最近ピンク色が好きで。可愛いものやキラキラしたものが好きです。プリキュアも好きです。お化粧もやりたがります。」と可愛い物にときめいているサイが可愛いということを伝えた(つもり)。可愛い物が好きってそれ自体可愛いと思うから。意外そうに笑っていた親もいたが、好きだと思う物に男も女もない。好きなものは好きで良い。

それからビデオや写真で普段の園での様子を観て、サイはあまり写っていなかったが他の子の姿を観て泣きそうになった。でも恥ずかしいので堪える。最近、涙腺が緩い気がする。老化か。次にテーブルごとにそれぞれの悩みを打ち明け合う時間となった。私はまた黙っていたが、求められると一応意見した。「絵がうまく描けていないのが心配」と嘆いているお母さんがいて、申し訳ないが心底どうでもいいと思ってしまった。サイも他の子に比べてきっと上手くない(他の子が描いた絵を見て線や形が出来すぎていてびっくりしたことがある)が別に気にしたことはない。好き嫌いがあるし、そもそも絵が「上手い」ってなんだよとちょっと苛立ってしまった。3歳にして親に絵が上手いとか下手とか大人の主観で決められるなんて、私が子どもだったら悲しくてもう二度と描きたくなくなる。幼稚園受験だとこういうのあるんだろうな。円が描けますか、線が描けますか、とか。早い段階から義務教育までとにかく規定に沿うばかり求められるときっと子どもは自由や発想力を失っていく。いつの時代だ。私が通っていた幼稚園は正にそんな感じだったので、幼稚園に行くのが苦痛で居場所がなかった。だから私はサイがよく分からない絵を描いてきても全力で褒めるし本気で良いと思っている。

最後に園長の挨拶などがあり、サイがいつも食べているおやつを試食した。バナナケーキだった。園長が「お味はいかがですか」と言い親が「おいしいです」と返す中、私の好きな性格の悪い保健師さんが苦々しい顔で横から「私はバナナをケーキに入れるのなんて絶対嫌ですけどね」と彼女らしい捻くれたコメントをし、親達の笑いを誘っていた。この人やっぱ好きだなぁと思った。いつも不機嫌な話し方をするので最初はなんて性格の悪い人だと思ったが、その素直さというか大人気のなさがだんだん好きになってきた。仲良くはなれないと思うが。昼寝から起きたサイ達が教室に戻り、サイがおやつを食べるのを横で付き添ってから一緒に園を出た。

まだ明るかったが気疲れしていたので知っている親に軽く挨拶するくらいでそれ以上のことはしなかった。こうやって早く終った日は公園で遊ぶこともあるが、幸い誘って来る人もいなかった。なのでサイと二人で薔薇を見に行った。毎年この場所で見るのがお決まりだが今年はまだ見れていなかった。枯れて切られているものもあったが様々な色の薔薇が咲いていて綺麗だった。サイが去年より落ち着いていたので薔薇の名前と解説をじっくり読んだ。匂いもそれぞれ違ってフルーツの香りがする薔薇もあった。お花はいい。それから売店でアイスを買いベンチに並んで食べた。緩やかな時間だった。サイはいつか大きくなって私とここで薔薇を見てアイスを食べたことも忘れるだろう。でも何かしら記憶の断片に残ってくれたら嬉しいなと思った。予防接種をしてから帰宅。平日に時間があると色々なことができる。夕食はズッキーニと豚肉の青じそポン酢炒め、トマトとアボガド、冷奴。サイはズッキーニを切っている段階から嫌がって、「これたべないからね」と念押しされた。夕食後、就寝。


5月29日(火)
今朝もカニパン。「そんなに美味しくないけど可愛いからいい」と二人とも思っている表情で食べた。サイは私が昨日飲んだサイダーの瓶に牛乳を入れて飲みたがった。仕方がないので入れて渡すと愛おしそうにしていた。

最近お迎えに行く時、平和な国(教室)の陣地に乗り込んできた弱い敵というスタンスで迎えに行っている。お迎えに行く時に小芝居する人は私以外いなくて、他の親は「お迎えに来ましたー」と言いながら明るく扉を開けるのだが、それがどうも恥ずかしくてできない。まず窓からそっと覗いてサイを確認してしまう。サイが私に気付く瞬間を見たいのかもしれない。レンジャーにはまっているからかサイが戦いモードで部屋から出て来るのが面白くて、じゃあ私は弱い敵になろうと窓越しにサイと目が合った段階で「ついに見つけたぞ」というちょっと悪い表情をすることにした。するとサイが窓まで駆け寄ってきて来たなーとレンジャーっぽいポーズを構え私も謎のポーズで応対する、そして二人でじりじり扉まで行って決戦、という小芝居に最近はまっている。先生はそれを急かすでもなく見守ってくれる。よく考えると普通にお迎えに行くよりよほど恥ずかしいのだが。

いつも通り庭園で走り回って帰宅。魚岸揚げにチーズを乗せて焼いた。サイは魚岸揚げが好きだったはずなのにチーズが嫌だったのかほとんど食べなかった。でもアイスで釣ると野菜は何とか食べてくれた。食後に二人でアイス。それから久しぶりにアンパンマンを観た。もう好きじゃないかと思っていたので自分から観たいと言ってくれて嬉しかった。マグカップに絵を描くワークショップを開いているマグカップマン(色んなのがいるなぁ)の元でドキンちゃんにプレゼントしようとバイキンマンドキンちゃんの顔を描いたマグカップを作ったが、うまく絵が描けなかったことで自信なさそうにそれを渡すラストが本当に良い。ドキンちゃんはもらったカップを持ってふーんという顔をした後文句を言うのかと思いきや「おちゃにしよっか?」と言う。それがとてもいい。バイキンマンドキンちゃんの意外な反応に驚いて「ハヒー」と言うのだが、それも可愛い。サイはこの最後の部分が理解できなかったらしく、なんでバイキンマンは「ハヒー」って言ったの?と聞いてきた。だから二人の感情を説明した。「ハヒー」には驚きと喜びが混ざっている。台詞を聞き流さずにどうしてここでこういう反応をするのだろう、と引っかかってくれたのは嬉しい。

お尻が大きいのが嫌だなーと気にしていたら「おくすりのんだらいいじゃん」と提案される。「そんな薬あるの?」「うん、サイくんのおしごとにうってるよ」「(え、やばそうな職場…)高いんじゃない?」「にひゃくえん!」「えええ!安いね!」200円で小尻が手に入るなら即購入したいと伝える。自社製品に自信満々のサイ。ペンギンのおしごと(過去日記参照)は確か倒産したから別の事業を始めたのか。入浴後、就寝。


5月30日(水)
朝。バナナとコーンフレーク。バタバタ出発。自転車に乗りながら私がプリキュアの曲を適当に歌っていると歌詞が曖昧なことに苛立たれる。ちゃんと覚えておかないとな。

昼。こぶしファクトリーのCDを会社の先輩に貸した。気に入ってくれるといいな。こぶしのどこがいいか、ひたすら一方的に語ってしまった。追加公演が発表されたので、6月のライブに行きたくてきりきりしている。

夜。雨。珍しく朝雨カバーを持って出た。偉い。とはいえ他の人にとっては普通のこと。サイと朝、帰りにコンビニに行く約束をしていた(プリキュアの玩具付菓子が欲しいとのこと)が、雨だから黙って寄らずに帰ったらちゃんと覚えていて「コンビいかなかったね」と悲しそうに言われた。「雨だから行けなかったよ、また行こうね」と言うと納得したようだったのでほっとした。サイは未だにコンビニのことを「コンビ」と呼ぶ。こういう独特の呼び方は可愛いので特に直さない。

プリキュアの曲を聴きながら夕食を食べた。「このブロッコリー全部食べたらアイス食べていいよ」と言ったらいつも残す野菜を必死に食べていた。食べ終えた食器も運んでくれた。アイス効果抜群。毎日この作戦を実行するにはできるだけ小さいアイスを常備しておくのがいいかもしれない。お風呂で水鉄砲をした。水を補充するのが早いと怒られる。お風呂上りに昨日の話を思い出して「おしりのくすりかった?」と聞いてきた。「まだ買ってないよ、どこに売ってるんだろうね」「サイくんがおしごとからもらってきてあげるよ」「…う、うん、ありがとう」サイは今何の仕事をしているのだろう。


5月31日(木)
朝。昨日繰り返し聴いたことでプリキュアの曲をわりと覚えたのでミュージカルっぽく歌い踊りながら起こしてみたが眠かったのか反応は薄かった。でもにやっと笑ってくれた。コーンフレークとバナナ。

自転車に乗っていると急に「あおのしんごうがピカピカしたらきいろになるんだよね!」と言われる。「うんそうだよ。サイくんすごいね、そんなことも知ってるんだね。誰に教えてもらったの?」「カキモリさん」「えっ誰それ」「おしごとにいるおじさん」「えっ…」そんな名前の先生も知り合いもいないので完全にサイの空想上の人物だと思われるがカキモリさんが気になる。私は仲良くなれるだろうか。

帰り道、雨が心配だったが降られずに済んだ。夕焼けがきれいだった。くすんだ青い空に太陽が沈んでいき、下の方は絵の具で塗ったような鮮やかなオレンジ色だった。サイに「きれいだね」と言うと「おれんじいろだー!」と喜び「あそこにいきたい」と言われる。サイは蟻の巣に入りたいし夕焼けの中に飛び込みたいし、きれいだな面白いなと思ったものには何でも身体ごと向かって行きたくなるのかもしれない。それは可笑しいようで未知のものを己の身体で確かめてみたいという人間の本質をついている気がする。大航海時代の人だって海の向こうに何があるか分からないから船に乗って行ってみようと思った分けだし。分からない時はそこに行って確かめてみないと分からない。サイはいつもそういうことを教えてくれる。

夕食は手抜きで焼きそば。でも私は焼きそばが好きだ。お好み焼きも好きだ。美味しくできてサイもよく食べてくれたので、我ながら焼きそばの達人かもしれないと自惚れた。食後にまたアイス。最近アイスをお互いに少し齧った後、「あれ?アイスが減ってる!誰が食べたんだろう?」「サイくんのもない!」「アイスお化けかな?」「うん、アイスおばけだ」という白々しい演技を二人で毎回やるのが何故か定番化している。「アイスお化けかな」のところが一番演技力が問われる。サイはアイス食べたさが過ぎて、夕食前に昨日の残りの野菜を冷蔵庫から勝手に出して食べていた。「野菜を食べるとアイスを食べる資格が得られる」と早くも学習して先回りしていた。なんと賢い子なのだろう(親バカ)。「ほらみて!!」と空のお皿を見せて俺はやったった感を見せつけてきたのがめちゃくちゃ可愛かった。

 
6月1日(金)
いつもより1時間くらい早く目が覚めたサイに「おきちゃった!」と言われたが「大丈夫だよ、まだ朝じゃないよ」と言った後、徹底して寝たふりをしていたらまたすーっと眠ってくれてほっとした。サイは今日もサイダーの瓶で牛乳を飲んだ。飲み口ぎりぎりまで入れないと怒る。ぎりぎりまで入れて運ぶと満足そうににやにやしていた。

打ち合わせで求められていることがよく分からず困る。何か指示された場合にはっきりしないまま仕事を進めていき、後で相違があるのが本当に嫌なので相手が何を求めているのか最初からきっちり確認しておきたい。上司でも誰でもよく分からないと思ったら質問するし、おかしいと思ったら遠慮なく意見するのでやりにくい奴だと思われているかもしれない。性格なのか、つべこべ言わずにやる、というのがどうもできない。入社して何年も経つのにまだ人に指示されたことをやっているのもどうなんだろうと電車に乗りながら考えた。

帰りに時間があったのでずっと憧れていて行ってみたかった古着屋さんに寄り、可愛いワンピースを買った。夏休みみたいなワンピース。早く着たいな。古着はもちろん、置いてある小物も全部可愛くてうっとりした。どこかの国のお土産品らしい、透明のプラスチック容器の中に水が入ってピンクと水色のイルカがぷかぷか浮かんでいる置物を気に入ったが売り物ではなかった。でもいつか売り物になるかもしれないからまた見てみてくださいね、と店員さんに優しく言われた。基本的に対面の買い物が苦手なので店員さんが優しいと救われたような気持ちになる。


6月2日(土)
また朝からサイと頑張った。希望が見えた。でもその希望は同じくらいかそれ以上の不安を内包している。きっとうまくいくと信じたいしサイに不安な素振りを見せたくないが正直押し潰されそうだ。などと考えながらサイと行ったことのない公園でおにぎりとゼリーを食べた。広くて緑がたくさんで天国みたいな公園だった。青空から降り注ぐ日差しがきつかった。よく分からない鳥が鳴いていた。少し年上の小学生くらいの子が数人、給水場所の水を真上に吹き出させたりお互いに向けたりして服を濡らしてゲラゲラ笑い転げていて、あぁいつかこんなことあったなと懐かしくなった。私が過去にそういう経験をしたのか、ひとつの光景として傍観していたのかそれは定かでないが。サイは羨ましそうに少年達を眺めていた。彼らが去った後、一人で蛇口をひねって水を吹き出させ少し服を濡らしてにやにやと満足そうにしていた。そこに絶対入れないけど自分もやりたい気持ち、分かるなぁとサイの濡れた服に失笑しながら思った。それからサイは誰かが乗り捨てたキックボードに執着していた。知らないお兄ちゃんのだから触っちゃダメだと言っても聞かず、元あった場所から動かして乗っていた。「サイくんのなの」と言って持ち帰ろうとするので説得するのが大変だった。帰宅して昼寝。手抜きの夕食。うまくいくのだろうか。全部ダメになって地獄を見るのだろうか。やるしかない。


6月3日(日)
最近週末は私のやるべきことに付き合わせて、サイをどこにも連れて行ってあげられていなかったと思い、今日は余計なことは考えずサイとサイの好きなことをして遊ぼうと決めた。一日くらい何も考えない日にしたかった。前に行きたいと言っていたので、東京ドームの近くでやっているルパンレンジャーVSパトレンジャーのヒーローショーのチケットの当日券を起床直後布団の中で購入。普段ライブに行っているおかげで、スムーズにEチケットを取ることができた。出発して最寄駅まで歩いていると「ルパンレンジャーみたくない」などと言われて困ったが本心でなさそうで安心する。後楽園に着いたら先に昼食を食べることにした。サイはショーのことで頭がいっぱいでお昼ごはんに関心がなさそうだった。なので目についたパン屋のテラス席で食べた。パンを選びながら「あぁビール飲みたいな、でも今さらお店変えられないし…」などと一人で悶々としていると何とビールがあった。アンデルセン最高。子連れの外食は食べたいものを基準にお店が選べず、大抵パン屋やチェーンの軽食になる。でもそういうところにもちょっとしたアルコールを置いてくれたら嬉しい親は少なくないのではないだろうか、と思うのは私だけだろうか…などと考えながらテラス席にサイと座りビールを飲んだ。ジェットコースターで悲鳴を上げる人達を眺めながら飲むというのは新鮮だった。それから二人でショーの会場に向かう。

会場は東京ドームの側にあり、座席数も多くて予想上にしっかりとした屋内型施設だった。有料の握手券があったのでサイが喜ぶだろうと思い課金。500円。撮影券は売り切れだった。握手券にはサイン付とあったので何だろうと思っていると、厚いブロマイドのような紙にレンジャーのサインが筆っぽい文字で印刷されていた。複数でルパンレンジャーなのに「ルパンレンジャー」って書いてあるの、どう考えてもおかしくないか。「The Beatles」って書いてあるようなものだなと思うと笑えた。人だかりがあったので待っていると、入場開始前にルパンレッドとパトレン3号(ピンク)が現れる。サイは放心状態みたいな顔で見つめていた。いい場所にいた子ども達は接触していた。二人のレンジャーは入場の時にも入口にいて、入場する子ども達とハイタッチしてくれた。サイはピンクとタッチした後、なぜかレッドとはハイタッチせずスルーしていた。後で聞くと、タッチしたかったが他の子が来てタイミングを失ったと言っていた。そういうこと、あるよね。

座席に着いて待っているとレンジャーの容器に入ったポップコーンを売る人がまわってきてサイにねだられる。でも終わった後に絶対何か欲しがるだろうと予想し買わなかった。子どもはすぐに飽きるのでゴミになりそうなものはなるべく買わない、を最近のモットーにしている。ショーは30分ほどの短いものだったがなかなか見応えがあった。私もこういうのは初めて観た。いや幼少期に観たのかもしれないが記憶にない。運動神経が悪いため、戦うヒーローの動きが昔から憧れだった。特に女の子のレンジャーが好きだった。かっこいいなぁと眺めていた。サイも集中して観ていた。ルパンレンジャーに扮した敵がパトレンジャーを騙し攻撃するという設定などなかなか面白かった。敵が本当の姿を現すシーンで、テレビならデジタル処理できるが舞台なので暗転して役者がさっと入れ替わるところとか、アナログな演出がよかった。10メートル以上ある高所から舞台に開いた穴に飛び込んだり、ワイヤーアクションがあったり、消えたレンジャー達が突如客席の上から舞い降りてきたりエンターテイメントとしても楽しめた。サイもテレビとは違う臨場感のあるレンジャー達を見て、声を上げることはないが真剣に見つめていた。

終演後、再びBGMと共にレンジャー達が登場して舞台上に一列に並び順に握手会となった。握手の様子は撮影して良いとのことだったのでサイが握手していく様子を動画で撮影した。その時も後で動画を見ても、サイは終始無の表情で少しも嬉しそうな気配がなく、一体どこを見ているのか空虚を見てできるだけレンジャーと目を合わせないようにし、工場で弁当を詰める人のように流れ作業的に握手していた。その様子が可笑しくて私はにやにや見ていた。どんな心情だったか聞くと緊張していたとのことだった。好きだと目を合わせられないの、分かるなぁと思った。

握手会後、緊張が解けたのか始まる前にサイが目をつけていたお土産屋に直行し、たくさんのレンジャーグッズが並ぶ中、ルパンレッドが持っている何とかトリガーというよく分からない武器を別売パーツと共に買わされた。今日は何か買ってあげようと決めていたので値段は気にしないようにしていたが、欲しいと言われた合体するロボットはさすがに高すぎたので断った。子どもに武器を買い与えることに最初は抵抗があったが、レンジャーになりたい純粋な気持ちを優先し変な拘りを失くすことにした。店を出てサイは玩具を早く開封したくて、私は喉が渇いていたので二人で無言で彷徨い、良い感じの場所がなくサイのイライラがピークに達した時、飲み物のスタンドを見つけたのでタピオカミルクティーとオレンジジュースを買い日陰に腰掛けた。サイは早速開封した何とかトリガーに別部品をセットし、攻撃音を口から発しながらレンジャーになりきって満足そうにしていた。サイは合体とかカスタムとかそういうのが最近好きだ。私は機械物や立体物が苦手なので何がどうなっているのかよく分からなかった。疲れたのではしゃぐサイの横でタピオカを噛みながらタピオカってこんな味だったけと考えつつぼんやりしていた。

それからラクーアのお店をちょっと見たいなと思い「お買い物に着いて来てくれる?」と聞くと意外にも機嫌良く「いいよ!」と答えてくれたのでこういう風に二人で出かけられるようになるとはなぁと少ししみじみした。いいよと言ったもののサイは店内で走り回ったり声を上げるので落ち着いて見られなかった。でもクレアーズで一緒にこれ可愛いねと言いながらイヤリングを選んだり(サイも欲しいと言われたが今日は玩具を買ったので説得して辞めさせる)、三足千円の靴下屋でそれぞれ好きな靴下を選んだりデートみたいで楽しかった。今まではどこかに連れて行くという感覚が大きかったが、だんだん一緒に楽しんでいると思う瞬間が増えてきた。当然いつか親と並んで歩くのが恥ずかしくて出かけるのを拒否される日がやって来るだろうが、それまではこうやって一緒に楽しみを共有したい。

最後にずっと乗りたかった観覧車にでも乗ろうかなと思ったら乗り場まで行く途中で拒否される。私達は意見の合わないカップル…。じゃあ帰ろうかと思ったらサイは何かしたかったらしくゴネ始めて駅まで歩かない。「ぽよんぽよんのやつやりたいー」と言われ何かと思ったら、ラクーアの広場で体験できるワイヤーで釣って空中に高く飛べるトランポリンのことだった。まさかと思い「ルパンレンジャーがやってたから?」と聞くと「うん」と答える。サイはショーの感想をほとんど言わなかったが彼なりに感動していたことがこの時初めて分かった。体験料の千円は高いなと思ったが、サイが自発的に何かやりたいと言ったのは初めてだった気がしたのでやらせることにした。サイの前の少し大きなお姉ちゃんは空中に飛ぶのが怖かったようで途中で辞めていた。怖がりのサイはどうかな、本当に大丈夫かなと見るとやる気に満ちた顔をしていた。まもなく順番が来て一人でトランポリンまで行き、係のお兄さんにワイヤーとヘルメットを装着してもらう。それからポーンポーンと空高く舞い始める。最初は真顔だったが、空高く飛んだ時、サイは満面の笑みをしていた。こんなに笑っているサイは見たことがないというくらい楽しそうだった。にーっと笑いながら空高く、それこそレンジャーのように飛ぶサイを見て、私は幸せで満ち足りた気持ちになったと同時に僅かに寂しさを感じ、なぜか涙が込み上げてきた。サイは今日の日のことをいつか忘れてしまうだろうが、私は死ぬまで覚えていて年老いても思い返したりするのだろうなとも思った。

電車に乗って帰宅し、夜まで眠って夕食を食べてまた眠った。楽しかったね。君は君だけの楽しみをこれからもっと見つけてほしい。私も見つけるから。