カニ日記

息子の成長と日々の記録

新しくやってきたクマの名はQちゃん

最近、保育園の後、家に帰らず夜の公園でサイと遊ぶのが慣習化している。二人ともお腹が空くし、その後の時間がずれるし、何より寒いから正直私は早く帰りたいが、サイがどうしても行きたいと言う。サイは「がらがらすべりだい」と呼ぶローラー滑り台がお気に入りで、それをサイと同じように公園に通うのが常になっている同じクラスの男の子YくんとZくん(仮)と三人で滑ったり登ったりするのがたまらなく楽しいらしい。私は最初YくんとZくんのお母さんを全然知らなかったので公園で人見知りして、あまり会話をしなかった。でも二人のお母さんはずいぶん前から夜の公園に来ているらしく仲が良いらしかった。毎日通ううちに二人と少しずつ話すようになり、とてもいい人達だと分かった。Yくんのお母さんはいつもにこにこしていて、Yくんにとても優しい。そしてちょっとオタクっぽい(「働く細胞」というアニメが好きらしい)。詳しくはわからないが。Zくんのお母さんは男性のように短髪でいつもエプロンをしている。何かお店をされているのかもしれない。二人とも化粧気がない。それからもう一人。このお母さんのお子さんは姉妹で、同じ保育園だが学年が違うのであまり話したことはない。でもとても気を遣ってくれるし明るい。大きな体でがははと豪快に笑うアニメから出てきたみたいな人だ。でもがさつではない。私は二人に何と思われているかわからないが、いつも疲れて一人でぼんやりベンチに座ったりしているのでそういう人だと思われているかもしれない。三人はしているかもしれないが、私はそれぞれのお母さんとお互い必要以上の会話はしないので家や職業や家族構成を聞かれることもない。それが楽だ。すぐ「旦那さんは…?」とか「家どのへん?」とか気軽に聞いてくる人がちょっと苦手なのでちょうど良い。三人のお母さんはとても子どもを心から愛しているのがいつもよく伝わってきて、サイにも優しい。子ども達はほとんど照明のない真っ暗な公園できゃーきゃー行って走り回ったり滑り台をして遊んでいる。時々知らない老人もいる。早く帰りたい、なんて言う人は一人もいない。だから申し訳なくて私は帰りたいと誰にも言えない。

 

10月10日(水)
昼。会社の先輩と週一外ランチの日。ちらし寿司を食べつつひたすらサンリオの話。私たちは80年~90年代のキャラクターをサンリオは今後積極的に商品化すべきだと数年前から熱く語っていたので、最近それが現実になり喜んでいる。サンリオ世代(30代~)はお金があるからその世代が好きだったキャラクターグッズをリバイバルすれば売れると考えたのかもしれない。その戦略にまんまとハマりサンリオショップに行くと悶えている私。たあ坊やタキシードサムも好きだが興奮してグッズを買い漁るほどではない。でもダークホースであるマロンクリームを出されると困る。いや困らない。マロンクリームはあまりにも思い入れがありすぎる。ノスタルジーが大爆発を起こす。小学校低学年の時、みんなキティやキキララが好きだったが私はマロンクリームが好きだった。マロンクリームが他のキャラクターに比べて田舎臭いと薄々気づいてもやっぱり好きだった。あの花柄が。あのPINKHOUSEのような90年代特有の重苦しいロマンチックさが。最近買ったお気に入りのマロンクリームのポーチを先輩に見せたらすごく良いねと褒められた。先輩はセブンドワーフという小人のキャラクター(かわいい)が好きなのでお互いの好きなキャラクターが今後どんどんグッズ化すればいいねという話になった。私の一番の推しのタイニーポエムはほとんどリバイバルされていないので推し続けることが大切だ。お寿司屋さんはいつも誰もいないがとても落ち着く。

お迎え後、薬局で買い物、その後いつもの公園。いつものメンバー。私はお昼のちらし寿司が足りなかったのか、お迎え時点で猛烈に空腹を感じたためベンチに座り薬局で買ったじゃがりこを食べ始めたが他のお母さんは誰一人お腹が空いたような素振りを見せたり飲食している人はおらず、私は何かいけないようなことをしている気がしてお母さん達に見られないようにこっそり食べた。夜風が最高だし、ここに缶ビールがあればなぁと考えたが、じゃがりこで気まずいのだからビールなんて飲めるわけないよな、とも思った。子どもにおやつを食べさせても自分は絶対食べたないし、なぜ他のお母さんはあんなに「いいお母さん」でいられるのだろうと不思議だった。お腹が空くとおやつを食べてすぐビール飲みたくなる私がおかしいのだろうか。

サイが寝る前に洗濯機のスイッチを押したが、干そうとした瞬間雨が降り始める。天気予報を見ない自分が悪いが悲しい。こんなに山盛り洗濯しなければ良かったという後悔と絶望で干し始めるまでに時間がかかり、結局干し終えるのに1時間以上かかった。半分残していたハーゲンを食べて寝た。アリスのやつ。紅茶味が好きだ。


10月11日(木)
朝バタバタ。何となく雨が降りそうな予感がしてサイに新しい長靴を履かせ傘を持って行かせる。連休中に伊勢丹で買ったグレーの長靴がかっこいい。私も同じものが欲しいくらいだ。その前に履いていたカエルの顔がついた長靴から急に大人になった感じ。

夜。雨は降らなかった。勘が外れたが降るよりは降らない方がいい。今日も公園に行きたいと言われ、空腹で死にそうになるのが嫌だったのでサイと富士そばに行き先に夕食を食べた。チーズダッカルビが果たして何なのかわからないままチーズダッカルビ丼セット(サイは冷やしうどんしか食べないのでいつもセット)というのにしたらチーズダッカルビは辛くて、追加でビールの食券も買った。サイに「ビール飲んでいい?」と聞くと「いいよ」と大人みたいな口調で言われたのでいいということにした。

食べ終えて公園に行くとやはりいつものメンバーがいた。「食べて来たんです」と遅れて来た理由を言うと「えぇーすごい!」「もうごはんができてるなんてすごいですね」と言われて恥ずかしくなり「いや、ふ、ふじそばで…」と小声で言った。ビールを飲んだことは黙っておこうと思った。空腹を満たして遊ぶと心の余裕ができ、早く帰りたいと空腹でイライラすることもなくお互い楽しかった。帰ってお風呂に入って寝るだけだしこれもたまにはいいかもしれない。


10月12日(金)
あまり記憶がない。だし巻き卵を作った気がする。肉まんを食べたような気がする。サイは中の具が「おにくとたけのこががったいしてるのがいやだ」と言って、外の皮だけ食べた。タケノコみたいな食感がある野菜が嫌いらしい。レンジャーの影響で合体という言葉をやたらと使いたがる。肉とタケノコが合体したロボットを想像したらちょっとおかしくて笑った。Zくんが持っていたプリキュアのケース入りグミを買わされた。中にハート型のピンクのグミが入っていた。私が桃が好きなのでサイはパッケージのイラストを見て「ももだよ!」と嬉しそうに教えてくれた。プリハートみたいでかわいい。アイスも食べた。


10月13日(土)
昼前に待ち合わせしてAちゃんと下北沢で遊んだ。最高に楽しかった。サイはAちゃんが好きなのでテンション上がりすぎて駅で待ち合わせした時からもう落ち着きがなく走り回っていた。Aちゃんがおかゆのカフェに連れて行ってくれた。Aちゃんはいつも私の好きそうなお店を会う前から考えてくれていて、それを事前にわざわざ言われることもないが「こっちだよ」と道案内してくれて、着いて行けば安心みたいな空気があり、絶対的信頼を寄せている。だから店が分からなくて歩き続けて空腹で悶々としたことが一度もない。とても気が利く。私はこういう段取りが根本的にできないからできるAちゃんを心から尊敬している。カフェはおしゃれな感じで、サイが騒ぎそうな予感がしたので入店する時に一応「子ども大丈夫ですか?」と聞いたら快く応じてくれた。いい店だ。しかも奥の広いゆったりしたソファ席を案内してくれた。蛍光灯ではない照明の具合がとても好きだなと思った。Aちゃんが連れて行ってくれるお店はいつも幸せな気持ちになる。

昼食後、ガレージで開かれていた古本と雑貨のマーケットに行った。古本市自体久しぶりでわくわくしたがサイがいて途中トイレを探しに行ったり(漏れ事件があり悲惨だった)全然落ち着いて見れなかったのでじっくり見るのは諦めて気になる本をさっと選んで購入した。私が過去何度か配送で本を売った横浜の古書屋さんが出店していると行く前に知り、これは挨拶したいと思っていた。買い取りの時は着払いでいいのでメールでやり取りしているが店主さんがとても丁寧な方だ。私が売る本を一冊一冊よく見て値付けしてコメントしてくださるし、私の売った本で私がどんな人物か想像までして聞いてくれる。古いイギリスの絵本が入っていたからそういう研究をされていたのですか、子育て関連の本が入っていたからお子さんがいらしゃるのですか、とか。オンラインショップで売っている古書のラインナップも素晴らしく、古書への愛に溢れている。買った本は丁寧に梱包されて手紙付きで届く。私のせいでメールのやり取りが途中で途切れてしまっていたから、いつもありがとうございますと口頭で伝えたかった。広くない会場にその古書屋さんの出店ブースを見つけ、店主らしき人がいたので「いつも買い取っていただいている者なのですが…」とおずおず話しかけたら笑顔で「そうなのですね、ありがとうござまいます!よろしければお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか…?」と感じよく尋ねてくださった。店主の男性は想像していたより若い方だった。名前を言うと「あぁ、〇〇様!先日はありがとうございました」とすぐに分かってもらえた後、サイを見やって「あ、やはりお子様がいらっしゃるのですね」「はい、メール返せずすみません…」「いえいえ、今おいくつですか」などと話してくださる。店主にも小さなお子さんがいて、今奥様が授乳をされに行っているということだった。「どこに行ったかな」と気にしてくださったがサイがぐずついたので奥様が戻って来るのを待たずにご挨拶してその場を離れた。ネットでやり取りしていた人に会えると嬉しいな。しかも約束したわけではなくこんな形で会えるとは。いい本屋さんだと改めて分かったので次もまたここに売りたいし、買いたい。それからいくつか見てまわったが昼食をまともに食べなかったサイの機嫌が悪くなってきたので終了。

収穫は手品や漫画の古本数冊とかわいいロシア雑貨の店で一目ぼれしたアンティークのクマのぬいぐるみ。テディベアはあまり買わないが、あまりの可愛さに一目ぼれした。目が少し物憂げで、口元の毛がわしゃわしゃしている。店主は感じが良い女性で、私が値段で迷っていたら値下げしてくれた上におまけに古いロシアのバッジを二つ選ばせてくれた。お腹にプロペラをつけて空を飛ぶおじさんのバッジが気に入ったのでそれを選ぶと「これはロシアの絵本に登場するキャラクターなんですよ」と教えてくれる。名前を聞いたのに失念してしまった。ロシアにはチェブラーシカやミーシャ以外にも変てこでかわいいキャラクターがたくさんいると知った。ロシア行きたいなぁ。Aちゃんもカード類など色々買っていた。マーケットはお店の人と話すのが楽しい。普段話すのが苦手な私でも興味のある分野なら楽しく話せる。古本とクマが入った大きな紙袋を持ってマーケットを出た後、サイゼリアでお茶した。サイは二人で食べようと思って頼んだアイスを魔法みたいに一瞬で食べて(その前に巨大なプリンも食べたのに)私が食べる隙を与えなかった。

夕方Aちゃんと別れた後、何軒か古着屋を見てまわったが買いたいほどいい古着はなく、サイも私もだんだん疲れてきたしすっかり暗くなったので通りがかったたこ焼きスタンドでたこ焼きを食べることにした。サイに「サイくんたこ焼き食べられる?」と聞くと(前食べなかったので)、「うん、サイくんたべれるよ。もうおにいちゃんだからね」とお決まりのセリフを言う。「おにちゃんだからたこやきたべれるんだよ」だって。どうだろうと思ったけど私もお腹が空いていたので8個入りを一つ買い、外に設けられたテーブルで食べた。ドリンク持ち込み不可で、しかも水がなくサイが飲める飲み物が売ってなかったのでどうしようかなと戸惑っていたら「ないしょね」とたこ焼きを焼いていたおばちゃんが自分用?の大きなペットボトルから紙コップに水をいれてくれた。助かる。悪いと思ったので私はビールを買った(いや飲みたかっただけ)。たこ焼きは鰹節がたっぷりかかって美味しかった。熱いから割って冷ましてサイにあげるとふーふーして美味しそうに食べていた。二人で竹串でたこ焼きをつつくなんて、成長したなぁとしみじみした。「おにいちゃんになった」って本当だな。そうやってあっという間に大きくなるんだろうな。それから駅に向かい電車に乗って帰宅。

最寄駅に着いたらサイが公園で滑り台をしたいと言った。小腹が空いて来たので近くで唐揚げを4個買って公園へ行った。サイが暗闇で遊ぶ様子を眺めつつ私はベンチに腰かけて揚げたての唐揚げをむさぼっていた。近くにはカップルが何組か座っていちゃついていた。平日は子供が遊んでいるが、土曜だとカップルの場所になるのだなと初めて知る。匂いでムードを壊して申し訳ないと思いつつも唐揚げは美味しい。サイも合間合間に私のところに来て食べていた。それから帰宅して就寝。楽しかったね。私たちはいつもこんな風に遊んで暮らしている。気まますぎて、子育て本に載っているような規則正しい食事や生活ができているとは胸を張って言えないが、毎日が楽しい。


10月14日(日)
朝からどんより曇り空。でもまだ雨は降っていない。Aちゃんにお土産でもらったかわいいトトロのシュークリームを二人で食べた。Aちゃんはいつもかわいいものをくれる。なんて気が利くのだろう。あまりにかわいくてサイと二人でそれぞれのトトロを見つめて「た、たべられないね…」と固まってしまった。食べたけど。美味しかったけど。

ルパパトとプリキュア。洗濯と片付け。昼過ぎマクドナルド、のち、商店街で買い物。日曜は判を押したように大体これを繰り返している。肌寒く気分的にマクドナルドを食べたくなかったので「ラーメンにしない?」と提案するも拒否される。ハッピーセットが欲しいということだった。ルパパトとプリキュアのおまけももう終わりだろうし、と我慢して行く。サイはプリキュアハッピーセット、私はえびフィレオと珈琲をいつものテラス席で。私たちのお気に入りの席。店内は混んでいても裏口のこのテラス席はなぜかいつも空いている。食べながら二人で電柱の上の方にいるカラスを眺める。「なんでおそらにとべるの?」と聞かれたので「羽があるからだよ、すごいよね」と言うと「えぇサイくんもおそらとびたい~」と言われる。「飛びたいねぇ」とカラスの黒い体を眺めつつ答えた。カラスって本当に頭から尻尾の先まで真っ黒だなと思った。途中でいなくなり、サイはどこに行ったのか気にしていた。

商店街へ。八百屋さんの夫婦は奥さんがすごく怖そうで、レジの故障で操作がうまくいかなくなった旦那さんが奥さんを呼んだらイラついていた。でも仕方ないわねぇという感じもして、本当は奥さんは旦那さんを愛しているのだろうなと内心でにやにやした。結局レジは外国のサッカーチームのユニフォームを着てピアスをした若い男の子が来て簡単だよという感じで直した。息子さんなのだろうか。奥さんと旦那さんと男性の顔を見比べたが真相はわからなかった。その後、魚屋で新鮮そうな鮭の切り身(安い!)としらすを購入。サイが「いいおさかなだねー」と興奮していたら知らないおばさんに「(品定めして)えらいわねぇ」とにこにこ言われる。サイは何しても知らない人にすぐ褒められる。私は自分が幼少期、同じように大人に褒められた記憶がないのでそれはサイの才能かもしれない。世の中を生き抜く力が私よりずっとありそう。

魚屋さんを出たら商店街のスピーカーから何やらおじさんの声が聞こえてきて、フリーマーケットの案内のようだった。「(商品との出会いが?)一期一会でございます。ぜひこの機会にお立ち寄りください」という言葉がやけに心に沁みた。本当だよな、人も一期一会だなと感じた。フリーマーケットを見ようとしたら、何やら絵が飾ってあるスペースがあり、よく見ると出張絵画教室とのことだった。有料だがキャンバスに絵を描いたりアクセサリーを作れるということだった。サイに聞いたらやるということだったので、500円でエコバックに絵を描く体験をすることにした。スペース内に入るとテーブルでは既に小学生くらいの女の子が二三人、アクリル絵の具で絵を描いていた。サイはたくさんいる大人達や自分より歳上の子ども達を前に固まっているようだった。無表情のまま汚れ防止のエプロンを着せられ、開始。最初はやる気がない不良みたいに筆を持つ手が進んでいなかったが、だんだん好きな色を筆に取り、バッグにぺたぺた塗り始めた。いいぞと思っていたら男性の先生が「ん?何を描いているのかな?先生に教えてくれる?」とか「こんな風に塗ってごらん」とサイの筆を持って言うものだから、サイはまた固まってしまう。そういうのやめてほしいなと思う。いや、絵画教室だから仕方ないのか…。サイは何かする時はわりと一人の世界に入りたいタイプなので、干渉されることを嫌がる。サイが混ぜたり作る色を見ていた先生によるとサイは緑や茶色の自然物の色が好きらしいということだった。先生は好きになれなかったが、それは新しい発見だった。いつも二人で植物や空を見ているからかもしれない。途中から私もやりたくなり塗り始めたが、サイが横で手伝ってよ~と言ってきたりして集中できず、思うように描けず塗り重ねていたら変なものができあがった。先生は私にまで「これは雲ですか?ならば下に影を描いた方がいいですよ」とかアドバイスしてきて嫌だった。わかっとるわい。私まで反抗期の中学生みたいになってしまった。小学生の時行っていた絵画教室はよかった。ほとんど干渉されなかったから。ただ描くことができる場所。先生は基本放置で、色とかどうしたら良いかわからないときだけ助けてくれた。今日の先生は高校生の時、私がデッサンができないことで酷く叱ってきた美術部の先生を思い出して気分が悪くなった。絵画教室も様々だが、ここにはサイを行かせたくないな。もやもやとした気持ちのまま終えると外は暗くなっていた。放置していた切り身が大丈夫かやや心配になりながら帰宅。

鮭のバターポン酢焼、味噌汁、トマト、だし巻き卵。いつも朝食みたいな晩御飯。寒くなってきたので沸かしたお風呂がすぐ冷める。冷めることを想定して熱めに入れてもサイが気分が乗らないとすぐ入ってくれない。フタを買わないと。物件を選ぶ時、追い炊き機能がないお風呂はキツイなぁと正直思ったが他の条件を取ったので我慢した。完璧な物件なんてない。

 

なんてことない日々だがやたらと日記が長くなってしまった。そういえばこの前の週の運動会のことを書いていない。毎日バタバタ。そうしている間にも冬は着実にやって来る。冬の空気が好きだ。 

 

カレーを作る度にいずみちゃんを思い出すだろう

眠る前は一日の疲れがピークに達しているので毎日日記をつけるのが思いの他難しい。あれもこれも書き留めていたいことはあるのだが。もうすぐ4歳になるサイの言動が本当に面白い。意表を突くような語彙やフレーズを突然言うので笑いが絶えない。サイが最近好きなフレーズは「どんどん大人になる」。「サイくんどんどんおとなになってるからね!」と度々言っては自分の身長が伸びたことを私に確認させ、もう赤ちゃんでないことをやたらとアピールをする。そして半年前や去年の記憶を回想する時に「あかちゃんのとき」と言う。「あかちゃんのときこれかいたんだよね」「あかちゃんのときあそこいったよね」など。まだまだ子どもなのに、今はすっかり大人に近づいていると思い込んでいるところが可愛くて笑ってしまう。でも確かに成長している。知ってるよ。

 

 

9月14日(金)

有給を取り横浜美術館まで行き、モネの絵と海を見た。小雨だったのでどんより曇ったグレーの空だったが、ずっと向こうまで広がる海を見ると心が晴れた。幼少期から海が見える環境で育ってきたからか、定期的に海を見ないと気が滅入る。そこが東京が今も好きになれない理由の一つだ。横浜はいい。千葉もいいかもしれない。とにかく海か川か何かしらの水がないと息ができなくなる。魚か。

 

モネの絵はこれまで何度か観たことがあったが展覧会で初期の作品から追って観たのは初めてだった。モネは好きな画家の一人だ。一番好きなのはルノワールだが私は印象派が好きらしい。絵画の専門的な知識はないので、色同士が光を含み曖昧に混ざり合う感じが単純にいいなと思う。モネの作品自体の展示点数は多くないものの、別々の年代にか描かれた絵は目の前に立ってじっと向き合うと胸の奥に迫ってくるものがあった。いつもそこまで意識しないが、作品の解説に書かれた制作年からモネがそれを描いた時に何歳だったか計算しながら観るようにしたら、あぁこの時今の私と同じくらいだな、あぁこの時は晩年か、などと後で年表で見たモネの人生を自分も辿っているような気になった。最近インスタントに共感したり感動できるものが世に溢れ無意識のうちに五感が鈍っていたが、こういう展示に足を運んで自分の眼で観なければ絶対に得られない感情があることに気付いた。夕方お迎え。久々にリフレッシュできた。私にはこういう日が必要だ。

  

9月16日(日)

サイとHさんと三人で川崎のドラえもんミュージアムに行った。半年前に「行きたいね」と約束してから伸ばし伸ばしになっていたが、ようやく実現した。時間が経っても約束を守ろうとしてくれる人が私は好きだ。ほぼ初めてのHさんにサイは最初緊張していたがHさんが目線を合わせて話しかけてくれたり笑いかけてくれたおかげですぐに心を開いた。ドラえもんミュージアムへは5年前に一度行った以来。その時サイはまだ生まれていなかった。前回と同じように駅からめちゃくちゃかわいい藤子仕様のラッピングバスに乗ってミュージアムに向かった。サイの推し(?)のエスパー麻美のバスが来てテンションあがる私とサイ。麻美かわいい。

 

サイは展示コーナーに入る前に貸してもらった電話のような子ども用の音声案内に夢中だった。原画に合わせた立体的な人形が子どもでも見易い低い位置のガラスケースに入っていて、サイはそれを夢中で覗いていた。子連れあるあるだが、順路の途中でサイが急にトイレに行きたくなったりして、ゆっくりは見れなかったがHさんは微塵にもイライラした素振りを見せずなんてすばらしい人なんだろうと感動していた。5年前は気付かなかったが、サイと一緒に行くとミュージアムが子どもにとても配慮した場所であることが分かった。その立場になってみて初めて見えることは案外多い。川崎市の支援があるのか、完全バリアフリーで子ども用トイレもあり掃除が行き届いていて設備がとても綺麗で気持ち良かった。こういう部分は案外子連れで出かける時に重要だ。子ども向けを謳っている施設でもトイレなど細かな部分が使いにくい場所はたくさんあるので、ドラえもんミュージアムみたいな場所が今後もっと増えていくといいなと感じていた。しかも某ミュージアムと比べると入場料が安すぎる。それでこの綺麗さ。やっぱり川崎市が絡んでいるのかな。

 

展示をさっと観終えて屋外のドラえもんの人形やどこでもドアや土管が置かれて自由に遊べるエリアに出るとサイはやっと出番が来たという感じでぐるぐると全力で走り回っていた。5年前に妹と来た時に恐竜にまたがったのび太ドラえもんの人形の前に立って撮ったので、今度は同じ場所でサイと並んで撮ろうと思ったらサイは落ち着きなく走り去ったので仕方なく一人でそこへ立ち、Hさんに撮ってもらった。帰って5年前の写真と見比べてみたら老けてはいたが5年前と表情が同じだった。サイははしゃぎすぎて派手にこけて肘をまあまあ深く擦りむいた。最近はあまりこけることはないので余程興奮状態だったのかもしれない。痛い痛いとテンション急降下するサイに声をかけていたらスタッフのお姉さんがどこからかやって来て、消毒したり絆創膏を貼って処置してくれた。なんという。そして痛かったけどがんばったね、とドラえもんのシールをくれた。感動した。カフェも待ち時間は別の場所で過ごして順番が来たら登録した番号に電話がかかってくるシステムで、ぐずる子どもを宥めて店の前で待つ必要もない。なんというストレスフリーな場所!しかも楽しい!カフェの飲み物は可愛かったし空間広めでゆっくり休むことができた。怪我して凹んでいたサイも元気を取り戻す。

 

面白かったのがHさんが藤子に関してはまあまあオタクだと思っていた私よりずっと藤子オタクで、私の知らないマイナーなキャラクターや話を教えてくれたのが楽しかった。Hさんはスタイルがよくてめちゃくちゃ仕事ができそうな美人なのに中身がすごいオタクなので大好きだ。好きなものが似ているというか、共通の好きなものが多い気がする。いつも穏やかで優しくてすーと流れる小川みたいな人だ。こんな人と結婚したい!といつも思うので旦那さんが羨ましい。売店に売っていた頭につけるタケコプターが欲しいと騒ぐサイを何とかごまかして宥めてミュージアムを出た。駅までバスがあるのもありがたい。まだ少し時間があったので、その足で上野に向かった。サイは電車の中で俺の家に来ないか、おもちゃがいっぱいあるよなどどHさんを口説いていた。大人の女性をプラレールや絵本で落とそうとしているのが面白すぎて笑った。

 

ポエトリカルジャムという詩の朗読イベントが上野水上公園で観覧無料で行われていて、我が敬愛する町田康さんが初めて出演されるというのでどうしても見たかった。Hさんの旦那さんも朝から行っているというので私達も行くことに。こういうイベントは初めてだったが言葉が次々に飛んでくる感じで歌のライブとはまた違って新鮮だった。町田さんはトリなのでサイがそれまで待てないと思い、時間を潰すために一旦退場した。晩御飯を食べられて入り易そうなお店がなかったので(居酒屋の勧誘がしつこくてHさんと二人でうんざりした、初対面なのに距離感を考えず踏み込んでくる男は怖い)、スーパーで適当に買って会場前で食べることにした。サイはピクニックと喜んでいた。

 

お酒(サイはジュース)と割引になったお惣菜を買って会場すぐ側の池の前に腰かけた。すっかり日が落ちた空にぼんやり光る蓮がずっと奥まで広がっていて、この世じゃないみたいだった。私はこういう外の何でもない場所で飲むお酒が大好きだ。Hさんがそれが好きな人でよかったなと考えていた。サイはHさんと一緒に蓮の池に枝を投げたり、レンジャーになりきって台詞を叫び続けたり、元気が有り余っていた。私はそんな光景を見ながら今日は良い日だったなと思いながらビールをちびちび飲んでいだ。再入場すると町田さんが始まる前にサイは寝てしまった。町田さんは石牟礼道子さんの詩を静かに朗読された。一日の疲れがすーっと浄化されていくような素晴らしい朗読だった。終演までいて電車に乗って帰宅。サイはその間も寝ていたので駅から抱えて歩かねばならぬ、なかなかきつかったがゆっくり歩いた。こんな時誰かいればな、と少し思った。帰宅後サイを何とかお風呂に入れすぐに寝かした。少し遅くなったけど楽しかったね、Hさんありがとう。

 

9月17日(月)

朝から雨。一日ルパパトやプリキュアを観てゆっくり過ごした。夕方になってスーパーに行って出たところでゲリラ豪雨。少しの距離だったがレインコートも意味ないぐらい全身びしょ濡れになった。帰って少し経つと止んだ。そういうものだ。夏の終わりだ。

  

9月18日(火)

大好きな人の誕生日。しかし去年に続き私はお祝いに行けなかった。いつも通りの火曜日。朝からどんよりと気分が重かった。退社後、駅に着いて自転車を漕いでいたらぽつぽつ雨が降り出し、保育園に着いた頃にはざあざあ降りの大雨に。昨日より激しい。レインコートも傘もなかったのでしばらく保育園で待った。他の親子も待っていた。だが一向に止まない。園庭の土が波打つほど激しく雨が降る中、帰れず何組もの親と子が入口に増えて行く。連休明けの疲れで放心状態みたいな親と雨の異様な光景にはしゃぐ子ども。サイもわざと濡れに行ってキャーキャーとはしゃいで騒いで、風邪を引くから辞めさせたかったがなかなか聞かない。こういう時、女の子はじっとしている。女の子の方が成長が早いというのは3歳児を見ているとよく考える。女男関係ないかもしれないし男の子にも大人しい子はもちろんいるが、呆れるくらい馬鹿なことをしているのは総じて男の子が多い気がする。激しく降る雨はなかなか降りやまず、濡れるのを諦めて嵐の中に突入して帰って行く親子もいた。でもMちゃん親子と私達だけ「もう少ししたら止むかもしれないし待ってみましょう」と帰らずに待った。私は待つのはそんなに嫌いではない。Mちゃん(プリキュアに憧れている女の子)はいつもにこにこしている。「いつもにこにこしてますね」とお母さんに言うと「そんなことないですよ」と言っていたので家では大変なのかもしれない。Mちゃんのお母さんの無理に明るくしようとしないちょっと疲れたおじさんのような表情とテンションが好きで見かけたら嬉しくなる。4人でお腹空いたね~などと言いながら外も寒いので園の玄関で絵本を読む。サイもMちゃんも食べ物の絵本を持って来る。あー寿司食べたい…。Mちゃんのお母さんは絵本を見ながらMちゃんに「お腹が空いてるんだねぇ、ひもじいねぇ」など励ますように言っていた。園内の電気も消され園児は他全員、先生もほとんど帰ってしまい、たった4人だけ宇宙船に取り残されたような気持ちになった。結局1時間待ったところで残っていた先生に「そろそろ帰ったら?」と言われて追い出されるように園を出た。先生も帰りたいよねそりゃあ、すみませんという気持ちで出たら雨はほとんど止んでいた。よかった。待った甲斐があった。くたくたで帰宅して焼くだけのピザを食べた。サイは空腹を通り越したのかあまり食べなかった。サイが寝たら好きな人の誕生日を祝えなかった哀しみや他の不安や憂鬱が一気に押し寄せて布団の中で泣いた。大人なのに泣くなんて。

 

9月21日(金)

別府へ。朝サイは保育園。その間に準備して昼寝後お迎え。一旦帰宅して急いで出発。早くもサイの上着や現地の時刻表をメモした紙を忘れ物をしたことに気付く。前もって念入りに用意するのに肝心なところでダメになるタイプ。バタバタして成田行きのスカイライナー乗り過ごす。払い戻しできず買い直し。先が不安。スカイライナーでサイはまあまあご機嫌。おやつを買う時間もなく二人で空腹に耐える。成田着。別府行の飛行機が遅れている。なんや急がんでよかったんやんか、どっと押し寄せる疲労。成田は羽田より遠い。空港からターミナルまでも遠い。予定より1時間ほど遅れて搭乗。その前におにぎりやサンドイッチをサイと食べる。飛行機の中でサイはほとんど寝てくれていた。無事に別府着。夜遅いのに友達のSちゃんが明日運動会だというのに息子を連れて大分空港まで迎えに来てくれる。義理堅い。サイと友達の息子ぶんくんは約一年ぶりなので、サイは空港でぶんくんに会う前、ぶんくんに電話するなどと言って公衆電話をがちゃがちゃ言わせていたのに、対面するなり緊張で固まる。車内で二人はほとんど話さなかった。Sちゃんのおかげでバスに乗るよりずっと早く宿に到着。いつも本当にありがとう。シャワーを浴びて倒れるように二人で眠る。

 

9月22日(土)

別府で迎える朝。サイとホテルで簡単に朝食を済ませ、駅まで歩いてバスに乗る。駅では何かのイベントが行われていたようで露店が出ていた。バスに乗ったら道路沿いにキラキラと光る海が見えてとてもきれいだった。急に旅先に来た実感が湧く。大分バスの車内シートが可愛くて、ワンピースにしたら良いだろうなぁとぼんやり考えた。降ります、のボタンも見たことない古いデザインでかわいかった。「うみたまご」という水族館に到着。9時の開館に間に合わせるはずがなんやかんやで遅れて10時すぎに到着。その後11時20分のバスで別府に戻ると決めていたので焦る。うみたまごの隣には高崎山があり、猿がいるようだった。バスを降りたらすれ違った若い子のグループが「まずはサルみようよー!!」と元気よく言っていて、サルでこんなに元気になれるなんてこの子達はきっといい子なんだろうなと考えた。うみたまごに入るとすぐに外から何か声がすると思ったらちょうどオットセイのショーが始まるところだった。間に合ってよかった。ペリカンのショー(前座?)の後、オットセイのいずみちゃんはどこからどうやって現れるのだろうと思っていたら左手の方から係のお姉さんについて自分でのしのしと歩いて来た。詳しい体重は忘れたが、ものすごい巨大な身体だ。昨晩友人が「オットセイのショーはね、大きいなって感想だったよ、ははは」と言っていたまさにその通りだった。いずみちゃんはよく訓練されているようで、まるでお姉さんの言っていることが分かるかのように頷いたり首を振ったりしていた(ような素振りをした)。それに会場が湧いていたが私は何となく全力で笑えなかった。いずみちゃんの意思はどこだろう、などと余計なことを考えてしまったためだ。サイは興味深そうに目を丸くして集中していた。

 

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最近色々と傷心することがあり、これ以降の日記を書くのが止まってしまった。でも水族館の後に行った地獄めぐりは面白かったし大森さんのライブはここまで来て本当によかったと思わせるものだった(感想を書くのも止まってしまったままツアーも始まってしまったが書こうとは思っている)。みうらじゅんが紹介していたのを見てからずっと気になっていた「毎日が地獄です」Tシャツも思わぬ形で購入することができた(上に家宝になった)し、寝てしまった16キロのサイを抱っこしてホテルまで歩いたりなかなか大変だったが良い旅だった。忙しいなか空港まで送り迎えしてくれた友達Sちゃんにも感謝の気持ちしかない。私は別府が好きだ。海と山と温泉の煙を眺めていると自分でもほとんどそうと意識することがないくらい自然にノスタルジーが溢れ出して、浸かってなくとも温泉に入ったような気持ちになる土地だ。来年もまた行きたいし、この先も死ぬまで行き続けたいなと思っている。

夏のおわりのビールとかき氷

秋の気配。そろそろ夏も終わりか。生活が少しずつ落ち着いてきたので日記を再開。

8月24日(金)
お昼に仕事の出先でたまたま入ったイタリアンのお店がとても美味しかった。広い店内で動き回る店員さんが気取り過ぎずかといって感じ悪くもなく、ほどよい距離感で見放されていて、スパイスやハーブが利いたピザや癖のあるチーズが和えられたパスタは普段食べ慣れていない外国の味がして、私はたった今イタリアの観光地にいるのでは、旅行三日目で少し疲れが出てきた頃で明後日帰国するのでは、ここはガイドブックに載っていないが地元民の評価が高いと噂の食堂では、と錯覚した。一緒に食べていた人にそれを言うと分かったような分からないような感じだったが「荷物になるからおみやげは明日買った方がいいですね」と言うと「そうですね」と乗ってくれて嬉しかった。いつもお弁当かコンビニなので、たまに外で食べると嬉しい。まだまだ蒸し暑い。

夜、一度家に帰って簡単にごはんを食べてからサイと近所の盆踊りに出かけた。駅前広場の中心に櫓が設置され、広場の端にかき氷やたこ焼きの屋台が数軒出ている小さな規模の盆踊り。ビールが売っていないことに気づき飲みたいなぁとそわそわしていたら、広場の向かいの居酒屋さんが盆踊りに合わせて持ち帰りビールなるものを350円で提供していた。やったー、生ビール久しぶり!!サイがかき氷を欲しそうに眺めていたので一つ買った。蛇口のついた透明の箱に入った赤や黄色や青の色鮮やかな科学的な色をしたシロップが味の表記と共にずらっと一列に並んで屋台の光で照らされて発光していて、夢の中でいつか見た光景のような、この世のものでないくらい美しかった。サイと一緒に蛇口を捻って色んな味のシロップを少しずつかけた。サイのカラフルなかき氷と私の透明カップに入った生ビールをコツンとぶつけて乾杯した。ああ夏。周りを見渡すとビールを飲んでいる人は誰もおらず、土地柄なのか、と小さくなっていたら赤ちゃんを連れたお母さんが私と同じ生ビールを飲んでいて仲間を見つけたような気持ちになり心の中で乾杯した。抱っこひもをしたお父さんと赤ちゃん、浴衣を着た美しい青年、生き生きした表情のおばあちゃん達、櫓の周りでぐるぐる周りながら踊る人を見ていたら人の原始的な衝動のようなものを見た気がして、胸がしめつけられてその光景を見ながら急に泣きそうになった。今まで盆踊りを見てこんな気持ちになったことはなかった。アンパンマン音頭が始まって、サイに踊るか聞いたらそれまで張り切っていた割りにいざとなると怯んで踊りたくないと言った。だから子ども達が踊る様子を二人で外から眺めた。子どもだけもらえるお菓子をもらって帰ろうとしたらサイがスーパーボールすくいがやりたいと言って聞かず、あー絶対ゴミになるなーと思ったが体験料だと思ってOKした。水の中を流れるプールのようにぐるぐる泳り続けるスーパーボールがキラキラして綺麗だった。サイは慎重に掬って大漁だったがそれは練習で本番では一掬いよと店のおばさんのルールを守って一回だけにした。家に帰ってピンクのボールがかわいいね、と言って二人で眺めた。踊ったわけではないしただ外でビールを飲んだだけだがこの夏初めて夏らしいことができた気がした。


8月25日(土)
午前中、洗濯掃除。昼、Kくんのお母さんが遊ぼうと誘ってくれたので図書館。数か月ぶり。先日生まれたばかりのKくんの弟に初めて会った。抱かせてもらうといい匂いがして暖かくて「赤ちゃんは無条件でかわいい」という忘れかけていた感覚が蘇ってきて変な声が出た。私が笑いかけると歯のない口を開けて笑ってくれた。あああかわいい。サイは私が赤ちゃんを抱いているのを見て嫉妬しているようだった。その後マクドナルド。子連れ外食はファミレスかファーストフード店くらいしか行き先がない。

別れてスーパーと商店街に寄る。魚屋さんが改装中で閉まっていた。残念。八百屋さんでトマトととうもろこしと梨を買う。商店街の入り口にある入ったことのない昔からありそうな本屋さんに入ってみたら、置かれている本のラインナップが最高で「あぁ~~いいよいいよ~」と心の中で絶叫していた。店は狭く置かれている冊数は多くないが、漫画棚には萩尾望都高野文子杉浦日向子つげ義春が数冊ずつ置いてあり、文学棚には町田康の『ギケイキ』がありうおおおおとなった。版元から送られてくる新刊を何となく並べるのではなく、ちゃんと売りたい本を置いている感じが最高だなと思った。こういう街の書店に数年に一度出会うことができると書店で本を買う意味を見出せて嬉しくなる。スタンプカードも作ってもらった。サイが欲しいと言った『おしりたんてい』と私は日記特集の『kotoba』という雑誌を買う。初めて買う雑誌だし雑誌にしては高かったが日記を書くことと読むことについて作家を挙げて書かれていて、これは読みたいと思った。カルチャー誌というのだろうか、こういう雑誌が最近どんどん廃刊になっているのが寂しい。ネットで記事を読むより紙を指でめくりながら読む方が何となく私には合っている気がする。とはいえ贅沢できないから今後は本当に必要だと思うものだけ買わなくてはいけない。

帰って布団で寝転がりながら『おしりたんてい』を読んで昼寝。『おしりたんてい』はアニメで先に知った。本は途中迷路やクイズもあって小学生低学年向けのようでサイには少し難しかったようだが喜んでいた。ポプラ社なので構成がゾロリに似ている。アニメの声を真似して低い声で読んだら喜んでくれた。しかしおしりをそのまま顔面にしたキャラクターってアラレちゃんのニコチャン大王以来の衝撃では…。子ども達の間で流行っているらしいが、子どもはおしりがとにかく大好きなのでそりゃあ受けがいいに決まっている。でもおしりたんていは下品な発言はせず、常に紳士な態度(そしてなぜか七三分け)なのでNHKでもアニメ放映できるのだろう。夕食は冷やしうどん。手抜き。


8月26日(日)
ルパトレンジャーは相変わらず面白かった。圭一郎がジャングラーの攻撃で記憶を失くしそれを皆で取り戻す話。最近観始めた人に理解してもらえるよう、という大人の事情か回想が入って過去の放送の映像が多く流れた。サイは過去に観たものを覚えているようだった。圭一郎役の俳優さんの劇画みたな表情がいいし、他の俳優さんの演技も素晴らしく、撮影が進んで最初よりお互い息が合っているのが伝わってきて嬉しくなる。戦闘シーンももちろんかっこいいがレンジャーの時は違う俳優さん(多分)なので、変身前の素の時の彼らが何気ない会話したり花火を見ているシーンが個人的にぐっとくる。仲が良いのに深く交わり過ぎない絶妙な関係を保つ彼らがいる世界が終わってしまったら悲しいなと既に最終回のことを考えて寂しくなってしまった。はなのおばあちゃんが出て来るプリキュアもよかった。はな(キュアエール)は人や物に感銘を受けると「めっちゃいけてる~!」と言うがその言い方が好きだ。真似して叫びたくなる。


8月27日(月)
朝からサイとクッキーを食べた。挨拶用に買って余ったやつ。私はクッキーが好きなのでサイが起きる前にも台所で立ったまま2枚食べたことはサイには内緒だ。サイは珈琲味の茶色いクッキーを「これはおかあちゃんね、おとなだから」と私にくれ、自分はピンク色のジャムがついたクッキーを選んでいた。

夕食は昨日の残りの親子丼。昨晩食べてお弁当にもしたのでさすがにもう飽きた。でも雨が降りそうだったので別の食材やおかずを買いに行けなかった。サイは昨日と同様拒否したので(あんなに大好物だったのに…涙)、ポケモンカレーに親子丼の具をちょっと混ぜてごまかした。私も味を変えたくて親子丼の上から余ったポケモンカレーをかけてみたらまあまあ美味しかったが甘すぎたのでもう少し辛いカレーが食べたいなと思った。サイは人参を食べると約束してアイスを食前に食べたのに、人参を食べなかった。叱りたくなくて「えぇーかなしいな」と残念そうに言うと二つ三つ食べてくれたので合格とした。

夕食後、雨が降り出し雷がゴロゴロ鳴っていた。サイと布団でシェルターを作って隠れて「わーこわい!にげろ!」と言って遊んだ。

さくらももこさんが亡くなったと知り驚く。乳がんだったとのこと。他人事とはまったく思えず最近さぼってしまっていた検診に近いうちに行こうと改めて思ったり、自分が今死んだらサイはどうなるのだろうとすごく考えた。『永沢君』を本棚から取ってめくっていたらサイは「たまねぎくんだー」と喜んで読み始めた。読むとはいえ文字が読めないので絵を眺めるだけだが。私が一週間ほど前にその時既にさくらさんが亡くなっていたとは知らずサイが初めて『ちびまる子ちゃん』を手に取り読んでいたので「これは永沢君、たまねぎみたいでしょ」と教えてあげたことをちゃんと覚えているようだった。サイが自分の好きな漫画を手に取ったのとその作家が亡くなった時期が偶然重なったのは不思議だがそういうものなのかもしれない。亡くなった知らせを受けて急にこの作品が好きだと主張したり想いを綴るのは鳥肌が立つというか違和感がある気がするが、さくらさんについて思うことがたくさんあるので気持ちの整理がついたら追悼の意を込めて書きたいなと思っている。朝までぐっすり寝た。


8月28日(火)
朝起きてドンドンという音がしていたので「おまつりかな」とサイは私に聞いたがそれは近くの中学校(?)でサッカーを練習している音だった。こんなに朝早くから偉いなぁとかつて自分も若かった時が遠い過去のように思えた。今日は顔の調子がまあまあよかった。とはいえそれは自分の中でのこと。よく眠った上に雨あがりの湿気で肌がいつもより乾燥しておらず髪が落ち着いていただけかもしれない。最近化粧を薄めにしている。日焼け止めと下地の上に薄くリキッドを塗りフェイスパウダーでおしまい。目はマスカラとシャドウはせずアイラインのみ。忘れた時にキオスクで適当に買ったレブロンの赤リップは皮が剥けないし取れにくくて発色がいい。伊勢丹に行きたい。秋色の口紅がほしい。基礎化粧品は面白くないが、色つきのメイクは絵の具を選ぶみたいにわくわくする。仕事以外何も予定はないがお気に入りのワンピースを着たら気分が上がった。

帰りにコンビニに寄ったらサイはプリキュアのぬりえが欲しいと言って聞かなかったので数日間おやつを買わないという約束で買った。帰宅したらいつも食べるおやつも食べずテーブルに座ってぬりえに没頭し始めた。買ったぬりえにおまけでついてきたルパパトのぬりえをしていて、色も綺麗でものすごく上手に塗れていたので驚いた。数か月前まで枠内に違う色を塗ることが理解できず癇癪を起していたサイが今ではこんなに…と思うと涙ぐんでしまった。「ないちゃうよ~」と言うと「おかあちゃんのことすきだからなかないでよ」と言われた。夕食ができても「たべない」の一言で締め切りに追われた漫画家のように集中していた。だからテーブルの隅にごはんを置いて「先に食べるね、サイくんのはここ置いとくね」と断って自分だけ食べていたら「うん」と言いまだ塗っていた。嵌らないと注意力散漫だが嵌ると物凄い集中力を発揮するところが私に似ている。サイは色鉛筆を握りながらもう片方の手で食事していて本当に忙しい漫画家のようだったので笑った。自分の親は食事のマナーに厳しかったのでこんなこと絶対許されないだろうが、私はサイが今したいことが周りの迷惑にならないならできるだけ優先させてあげたいので塗りたいなら好きなだけ塗ればいいと思った。食事を終えてもサイはまた塗り絵をしていた。すごいね~と褒めると満足そうだった。鉛筆削り(ハンドルの)の使い方を初めて教えたら興味津々でやりたがり、何度か一緒に削った後は自分で削っていた。削れた部分が落ちて溜まっていくのを「きれい~」「あかいいろだ~」「あおいね~」と眺めていた。結局お風呂に入った後も布団の上に色鉛筆を持ち込んだくらいだった。


8月29日(水)
サイは朝起きるなり、怖い夢を見たと言って泣いた。どんな夢か聞いたら私が車に乗ってぶおーんとどこか遠いところに走り去ってしまう夢らしい、。「大丈夫、絶対どこにも行かないよ」と抱きしめた。それから朝ごはんにバナナを二本食べた。私はいただいたスコーン。保育園に行きたくない、家でぬりえをしたいから手伝って欲しいとぐずられたので「帰って来てからしよう」と宥めたが納得いかないようだった。どうしてもぬりえをしたいと言ったので「保育園に持って行ってもいいんじゃない?」と提案すると「せんせいにだめっていわれちゃうよ」と言うので「大丈夫、先生には話しておくから」と言うとそこまでするのもなと思ったらしく結局諦めた。持って行くならそれでもいいと思ったのだが。

昼休みに入ったことのない雑貨屋さんになんとなく入ってみたら店のマダムが偏った趣味で選んだらしい雑貨が自分の好みドンピシャであれもこれも欲しくなった。ネコのスリッパやアンティークの食器、人魚のブローチ、美しい包み紙の外国の石鹸…どれも欲しかったが、我慢して週末に結婚パーティーがある知人のお祝いにプレゼントを買って店を出た。ほくほくした気持ちになった。

お迎え。サイは私に見せようとブロックで作ったトラックとクレーンを解体せずに置いておいてくれたらしい。でも見せずに教室を出てしまったため何か私に言いたそうにもじもじしていた。どうしたの?と聞いていると先生が出てきて「サイくん、ママに見せるんじゃなかったっけ」と言ってくれたのでサイはほっとしたようだった。ちゃんとタイヤもついていてすごい。見せようと置いててくれたなんてああ本当にかわいい。見せた後は意外にあっさりとブロックを解体して箱に入れているのを横で待っている間、教室に担任の先生がいたので「急にぬりえが好きで没頭して食事中もやるくらいなんですけど保育園でもやってるんですか」と聞いてみたら「そうなんですよ、こんな感じのをやっています」とぬりえの用紙を見せてくれた。それから、「これは私達が普段つかっている道具箱なんですけど」と先生がそれぞれ使っている道具箱を指さして「この箱についている顔は実は全部サイくんが描いたんです」と教えてくれた。箱には丸く切った紙にそれぞれの先生の似顔絵が描かれていて、どれも目や口のバランスに変化があり表情豊かでひとつひとつ違った。私はサイがここまで絵が描けると知らなかったので心底驚いた。「ええ!!?サイくんがこれ全部描いたの?」と聞くとサイは照れくさそうに頷いた。知らなかった。いつの間にこんなに絵が上手に…。涙が込み上げてきたが先生の前で泣くのは恥ずかしいので我慢して「すごいですねー」と笑ってごまかした。サイはいつも私に「○○かいて~」と言い自分は描かずに私が絵を描くのいつも隣で見ていた。それをずっと見ていたからだろうか。サイは絵を描くのは嫌いだとずっと思い込んできた。まだまだ知らないサイがいることが私は嬉しくて驚いたし、もっと色んなサイを見つけたいと思った。

百均、薬局、スーパーに寄って帰宅。百均にハロウィンの飾りが売っていて「はろうぃんだね」と教えてくれた。サイは何でも知ってるなぁ。夕食、入浴、就寝。サイが寝た後アイスを食べようと思っていたが朝まで寝てしまう。


9月1日(土)曇り時々雨
Nさん・Hさん夫妻の結婚パーティーに呼んでいただいたのでサイと参加した。パーティーは難しいかなと思っていたら小さな温泉をまるごと貸し切った気取らない宴会で子どもも大歓迎と夫妻から聞いていたので参加することにした。いつもは乗らない東急池上線に乗り会場の最寄駅で下車する。池上線の車両で偶然知り合いに会い、ほっとする。サイは知り合いの気を引こうと車内でも駅に着いてからもテンションが異様に高かった。「やまんばがくるよ」と言ってもなかなか大人しくしてくれなかった。保育園で読んでもらった絵本で山姥が出てきたらしい。どんな話か知らないが我が家では「普段は富士山に住んでいてサイが悪いことをしたときに怒って下山して家まで来る」という設定にしている。なぜ富士山かというとサイの知っている唯一の山が富士山だから。

夫妻の結婚式の写真を次々に映しながらNさんがスライドショー的にコメントしたり(これがめちゃくちゃ面白かった)、ケーキ入刀の代わりにスイカ割りをしたり、アンケート用紙に書いた質問に二人で答えたり、参加者飛び入りのカラオケ大会が行われたり、宴会の最初から最後まで二人の人柄が溢れ出るあたたかくて緩やかな時間だった。Nさんの友人の狐火さんという方が朗読調のラップを披露していた。狐火さんのライブを観たことはなかったので嬉しかったが途中サイがトイレに行きたいと言い全部は聴けなかった。詩やラップの世界に詳しくないが、元々音楽より本の方が親しみ易い私にとって、台詞が語られるように歌われるこのような音楽のスタイルは馴染み易く興味深かった。狐火さんのパフォーマンスや歌詞はこれまで生きてこられた情景や感情が高音で炙り出され言葉が次々と浮かび上がるのが目に見えるようでひりひりした。私も他の人も皆惹きこまれるように聞き入っていた。

会場の温泉は絨毯に染みついた子どもの頃知っていたような匂いや籐で編まれた椅子、そこへ降り注ぐ光、瓶ビールとコップを出してくれるエプロンをつけたおばちゃん達の人柄の良さ、そのどれもが愛おしく、大いに盛り上がる宴会のふとした瞬間に歴史の陰にすっと入り込みたった一人で埋没できるような不思議な心地良い暗さがあった。大人数の集まりが苦手でパーティーなど避けて生きてきた私でも居られる場所だった。そういう場所をお祝いの場として選んでくれた二人に愛おしさを感じた。参加者が楽しそうに酔って笑ったり歌ったりしている様子をサイといることであまり酔わずにいた私は少し離れて座って微笑ましく眺めていた。そういう私みたいな人は何人かいた。自由だった。日も暮れて窓の外がすっかり暗くなった頃、集合写真を撮って解散した。傘がなかったので降り出した雨が止むのをロビーで待っているとまたどこか遠い旅先に来た錯覚がした。帰りの電車でたまたま狐火さんと一緒になり、宴会中に伝えられなかったライブの感想など伝えた。行きと同じようにサイのテンションは爆上げで落ち着きがなかったが最寄駅で降りる直前に電池切れになり突然パタンと眠った。駅を降りてサイを起こし、富士そばへ行き二人で並んでそれぞれうどんとラーメンを食べた。ラーメンは初めて食べたが美味しかった。そして居心地が良い。富士そば愛してる。帰宅してサイは体力の限界という感じですぐに眠った。私は何だか眠れず二人からもらった手紙を読んだり電話したりしてから明け方眠りに就いた。


9月2日(日)雨時々曇り
ゆっくり起きてプリキュアとルパパト。友達にもらったお花が可愛い。サイと一緒に「おいしい~?」と話しかけながら水をやった。遅めのお昼でマクドナルド。テラス席しか空いていなかったが暑くなくて気持ち良かった。毎年食べ逃していたが五年越しくらいで念願の月見バーガーを食べられて満足。これで無事に秋を迎えられるかも。私は早々に食べ終えたがサイは玩具の組み立てに夢中で結局食べ残したチーズバーガーを私が無理矢理食べた。その後買い物。鮭を買いたかったが商店街の魚屋はまだ改装中だった。店の前で「あーまだかー」と独り言のように言うと知らないおばさんが「私も毎日来てるのよね、でも○日からだって!」と声をかけてくれた。八百屋でこないだ買って甘くて瑞々しかった梨を二つ。私は帰って昼寝したかったがサイは公園に行きたいと言い、しばらく滑り台や遊具で遊ぶ。サイは自分より幼い子に「あぶないよそこは」「ほらやってごらん」などしきりに話しかけてお兄さん面をしていた。

帰って夕食前に昼寝し出したサイは夕飯ができても起きず私は一人で先に食べた。いつも眠る時間になっても起きず何も食べていないのが少し心配だったが起こすのもなと思い様子を見つつ放っておいた。生まれた直後からよく眠る子だった。産院を退院して3日後くらいから夜泣きはあったが夜から朝まで何時間も眠ることもあり、いい子だなと思っていたら検診で助産婦さんに「それはダメです、起こして授乳しなさい」と怒られてたのがどうも納得いかなかった。眠っている人を起こすことがどうしてもできない。

思いも寄らず静かな夜を迎えたので前野健太さんのラジオ「前野健太のラジオ100年後」をじっくり聴くことができた。歌詞の朗読コーナーが特によく、偶然にも大森さんの『死神』が朗読されていた。今まで名前と顔くらいしか知らなかったが前野さんの語り口や話に感動し、その余韻のまま公式サイトに上がっているMVを全て観た。曲もすごく気に入って久しぶりにはまりそうな人に出会えたことで気分が高揚した。しかしあの色気はなんなんだ。好きになってしまう。ファンは前野さんのことをマエケンと呼ぶらしい。長年のファンからすれば今更魅力に気づいたのかという感じだろうが私はいつだって人より何歩も遅い。まだまだ知らない人が世の中にたくさんいる。知らずに死ぬのはとても悲しい。だから人生もそろそろ折り返し、ぼんやりしてないでアンテナをぴんと張っておかないと。結局サイは夜中に一度起きた後またすぐ眠り明け方まで起きなかった。土曜日の疲れがたまっていたのかもしれない。朝、少し肌寒かったので湯を溜めて二人で浸かってから新しい一週間を迎えた。


嫌なことを一掃したいが終戦後の地雷のように残り続ける。しかし平穏な毎日が過ごせることが今は嬉しい。今まで何気なく聞いていたプリキュアのキャッチフレーズが最近胸に響く。「輝く未来」だなんて小学生の書初めかよと最初は思ったけれど未来が輝きを失って朽ち果てていたら悲しい。とはいえ天地創造や他力本願でなく自己発電で輝かせなけばいけないし結局キラキラの尺度は自分でしか判断できない。平成最後なんて言っている場合ではなく、もっと尺度の大きな、いつだって人生が終わる可能性と共に生きているという気持ちが最近ずっとある。だからしたいことは今しないと。などと考え自転車を漕ぎながら台詞を空に向かって叫んでみる。

なんでもできる、なんでもなれる、輝く未来を抱きしめて。

サンドイッチとか火星とか終戦とか

7月30日(月)
休みを取り朝から家電を買いに行く。買ったのは冷蔵庫・洗濯機・電子レンジ・炊飯器・掃除機・扇風機・テレビ・レコーダー。家電にこだわりがないのでそれぞれ5分ぐらいで決める。型落ち品や中古品も入れて大分安く抑えた。好きな洋服だと迷ったりするが、興味がないものに対しては決めるのが早い。担当してくれた中国人と思わしき店員さんはとても真面目そうで仕事ができそうだった。

お昼にローストターキーのサンドイッチを食べた。美味しかった。私はパンがトーストされているタイプの温かいサンドイッチが好きだ。ターキーを食べると留学中ホームステイしていた家でクリスマスに食べたチキンを思い出す。パサパサしていてあまり美味しくなかったのに肉の味がなぜか忘れられない。張り切っていたホストマザーの表情も何年経った今でも頭に焼き付いている。

夕食はサーモンのソテー、卵焼き、トマト、とうもろこし、ごはん。サイは鮭が好きなのでよく食べてくれた。おいしいねって笑い合った。


7月31日(火)
近所に住んでいる友人とある要件で数日前からやり取りをしていて、帰りの電車に乗りながら「またごはん食べに行こうね」と社交辞令でなく本当に行きたいなと思って返したら「今日はどう?」と聞かれて急遽会う事に。近所なのにずっと会わなくて連絡も取らなくて、思えば約一年ぶり。ふとしたタイミングで唐突に誘ってくれる人が私は好きだ。ちなみに関西人の「また」は「二回目」という意味ではなく、「今度」の意。無意識につかうとよく勘違いされる。帰宅して急いで晩御飯を作ってから家を出る。友人と一緒に友人行きつけのごはん屋さんでたくさん(全部美味しい!)頼んでお腹いっぱい食べてからコンビニで金麦を買い公園で飲んだ。夜は外で発泡酒を飲むのが結局一番心地良いのではないかと思う。私はその子が好きな人の話をするのを横でずっと聞いいて、苦しくなったり嬉しくなったりした。友人とまたね、と言って別れた帰り道、初めて火星を肉眼で観た。赤く光っていて、火星って本当に赤いんだなと驚きつつ人が人を好きになる気持ちは何よりも尊くて美しいなと思った。夜に人に会えるのもこれで当分ないだろうな。


8月1日(水)
今日から8月。この暑さは尋常じゃない。どこか地球外に来たようだ。保育園に行くと園児の圧倒的人気を誇るかわいいC先生が窓ガラスの内側にピンクの大きな模造紙を貼っていて、そこに緑のクレヨンで何やら描いていた。興味深そうにそれを見つめる子どもたちと一緒に私も見守った。先生が「これは海なんです…ピンク色しかなくて…」とはにかみながら教えてくれたのが可愛かった。ピンク色の海。いいなぁ。泳ぎたいなぁ。

夕方お迎えに行くと、朝は何もいなかったピンクの海に折り紙でできた鮮やかな魚やイカやたこがたくさん泳いでいた。サイはどこかに走り去っていなくなったので誰もいない教室で私は一人子ども達の描いた不思議な顔をした生き物たちがゆらゆら泳いでいるのを見ていた。サイは園庭で走り回ったり滑り台を逆走してはしゃいでいた。ねだられてコンビニでアイスを買った。

帰宅して汗だくだったので嫌がるサイをこわいトカゲが来るよ!と騙し騙し(最近トカゲに怖がる)二人でシャワー。昨日の残りの焼きそば。サイはあまり食べずトマトだけ。食後にアイス。ルパトレンジャーを観てから就寝。先にシャワーを浴びると時短になる。


8月2日(木)
夜中に起床して明け方まで荷造り。眠くなり二度寝したらいい時間にサイに起こされる。いつもなかなか起きないのに今日は「はやくおきてよ!」と叱られどちらが親か分からなかった。サイは昨日はあまり食べなかったメロンをおかわりした。C先生がいて紙の魚を持っていたので「すごくいいですね、ここにもっと魚が増えるんですか」と聞くと「いえ、残った魚は魚釣りにするんです」と教えてくれた。「イカとかたこもいてかわいいですね」と言うと「どこかにサイくんが作ったのもありますよ」と教えてくれる。でも先生は覚えていないようでサイに「どれかわかる?」と聞くとサイはピンクの海の中から「これ!」と自分が作ったたこを指さして教えてくれた。間抜けた顔でかわいかった。

今日は一段と温度が高く日差しがきつい。アスファルトからの照り返しがすごくて、これから私は炙り焼きにされて巨人に提供されるのではと思った。お昼に好きなハンバーガー屋さんでサンドイッチを食べる。月曜日にサンドイッチを食べたらここのサンドイッチが食べたくなったから。今日の日替わりはハムとアボガドだった。やったー。ハンバーガー屋さんは夫婦で経営されていて、男の子が一人いる。ふと店内を見るとサイよりもう少し大きい小学生くらいの男の子がお母さんにエプロンをつけてもらっていた。夏休みだからお店を手伝うらしかった。その姿を見て、あれ、ついこの間まで赤ちゃんだったのになぁと親戚のおばさんのように驚く。この子がまだ赤ちゃんで厨房でハンバーガーのパテを焼くお母さんの背中に負ぶわれていた姿が思い出された。会計時にお母さんに聞くと今小2らしい。ひええ。「赤ちゃんだったのに」と私が言うと笑っていた。あの時0歳だったとするともう7年も経ったのか、信じられない。二十代以降自分自身の中で時間の経過をあまり感じなくなった。頭の中で考えていることもずっと変わらない。なのに子どもがわっと成長しているのを見ると時間の経過が確かにあったことを急に実感してドキドキする。サイを見ていてもそう。夜中にカメラロールでサイが小さかった頃の写真を見ているとあれこんな小さかったのに(物理的な意味で)と自分だけ時間軸から置いていかれてしまったような寂しさを僅かに感じる。小学生になったサイはどんな風だろうか。今よりもっと色んな場所に一緒に出掛けられるだろうか。美術館とか博物館とかプラネタリウムとか。寂しいなんて言ってる場合じゃない。楽しみだ。


8月8日(水)
サイは朝手紙を渡してくれた。どこからか持ち出したらしいサンリオの封筒の中にルパンイエローのカードが一枚だけ入っていた。「わーありがとー!!」と言うと「おしごとにもっていってね」と嬉しそうにする。サイは私が好きな人や物をよく覚えていて、時々こうやって喜ばせようとしてくれる。可愛い。


8月15日(水)
終戦記念日。私にとっても冗談抜きで終戦。自分の人生の中で色んな時代があるとするならば、ひとつの時代が終わった。朝から困らないよう事前に自分で紙にメモしていた通りに一つずつ動いてお昼を過ぎた頃に無事全部を終えた時はこれまで一度も感じたことのない、言葉にならない達成感を感じた。

数日間手伝いに来てくれていた母が新幹線で地元に帰るので見送りに東京駅まで一緒に行き、大丸に入っているイノダコーヒーでビーフカツサンドとビールを頼んだ。窓際の席で東京のビル群をぼんやりと見下ろしながら食べたビーフカツサンドは今まで食べたカツサンドの中で一番美味しかった。以前京都に行った時、イノダコーヒーで絶対食べようと目論んでいたのだがいざメニューを開くと今これを食べるべきでないような気がして、その時は結局ハムサンドを食べた。ハムサンドも美味しかったがこの二千円もするカツサンドをしかるべき時が来たら絶対食べようと心の中で誓った。イノダはきっと関西人からしたらベタな喫茶店だし、今更取り立てて観光で行く場所でもないかもしれないが私はずっと大好きだ。あの雰囲気が。東京駅にあることは知っていたがタイミングを失ってまた今度でいいか、を繰り返していた。今日は絶対忘れられない日になるであろうと思ったので、ずっと食べたかったものを食べた。イノダが好きな母も気に入っていた。自分の分は自分で払うつもりだったのに母はこれからがあるでしょうと奢ってくれた。それから地下でお菓子を買って「サイくんと食べて」と持たせてくれた。母を見送った後、再び大丸に戻ってずっと欲しいと思っていたが買いに行く時間がなかったかわいいネコのリップを買った。ケースも、口に塗るリップの部分も猫の形になっている。とにかくかわいい。

夕方、お迎え。サイはMちゃんという今まであまり絡んだことのない子と園庭で追いかけっこのようにけらけら笑いながら走り回っていて、お盆だからか園庭には二人しかいなくて恋人同士みたいだった。走り疲れたサイが「つかれたからやすもうよ」とラブホテルに分かり易く誘う男のような口調でMちゃんを手を導いて二人で花壇の前で腰かけていた。Mちゃんのお母さんと初めて話した。Mちゃんはプリキュアが好きらしい。「うちの子も好きですよ」と言うと「へぇ男の子でも好きなんですね」と驚かれた。Mちゃんと共通の話題ができたと嬉しくなった私は「プリキュアすきなの?」とMちゃんに話しかけて推しを聞こうとしたら(おばちゃんはルールーが好きだよ、まで言う準備をしていた)Mちゃんは満面の笑みで着ていたワンピース風のTシャツをまくってプリキュアのシャツを見せてくれた後またサイと走り去った。お母さんによると、Mちゃんはプリキュアになりたいらしく、そういうワンピースっぽい服を着たり、髪を伸ばしているらしい。普段サイといると髪を結わいたり一緒にかわいい服を選んだりすることがないので女の子もいいなと思った。ないものねだりだが。

帰宅して夕食準備をしている間にサイは母がくれたお菓子を二つも食べた。それからこないだ気に入って買って届いたばかりの小さな白い天板のテーブルに二人で向かい合って座り、乾杯した。今日は記念日だからちょっと高いビールをコンビニで買ってみたらクセのある味で、普通にスーパードライでよかったなと思った。卵焼きが綺麗に焼けた。食後にサイとアイスを食べた。それから布団を舟に見立てて魚釣りごっこをした。めちゃくちゃ楽しかった。釣竿が欲しいというのでそこらへんにあった紐を渡したらミニカーとマクドのチラシをそのまま先端に結び付けるように指示された。雑な餌だ。「さめがきたぞー」と言ったあと自分で鮫になったり忙しかったが楽しかった。その後お風呂に入って寝た。サイは今日もルパンイエローとパトレン2号の人形をお風呂に入れて泡だらけにしていた。私は明け方まで眠れなかった。東京駅を歩いた時に受けたあの生暖かい風の感覚とその時の気持ちを一生忘れないだろうな、などと考えていた。


海が見たい。揺らめく水面や画用紙みたいな空がずっと向こうの先まで続いているのを見るといつも安心する。

暗闇で光るプラスチックのティラノサウルスみたいに今日と明日とそのまた先を

楽しそうに見えるが嫌な部分を排除して書いているのでけっしてそういう分けではない。でもサイと交わした会話や嬉しいと思った瞬間はこんな時だからこそ記録しておきたい。

 

7月23日(月)
今後の人生を左右する重大なことが決まった。地獄の修行のように人生最大の苦難が訪れている。でもやるしかない。苦しくて深夜に好きな人にメールした。プライベートなことは言わないと決めていたのについ送ってしまった。夜中なのに数分後「お疲れ様」とすぐ返ってきてやっぱりすごい人だなと思った。みんなが好きな可愛くてかっこよくて美しい人。だけど私が好きな人。私は友達と呼べる人や信頼できる人がほとんどいない。子どもの頃から一人で行動することに慣れてきたので他者と一緒に何かするという概念がそもそもあまりない。だから集団行動ができない。大勢の飲み会が未だに苦手。SNSで誰かが誰かと遊びに行ったというような投稿をみると別に何とも思わないが、なるほどそういうことがあるのかと別世界の出来事ように感じる。でも全くいない分けでない。数少ない大切な人はいる。本当に少ないから一生付き合っていくのだろうなと思う。今まで話を聞いてくれた人、心配してくれた人、遠くから見守ってくれている人、心からありがとう。


7月24日(火)
サイは最近片方ずつ違う種類の靴下を履いて登園するのにはまっている。彼なりのおしゃれなのかもしれない。だから今日はどれにしますか、と聞く。最近のお気に入りはピューロランドで買ったピンクのマイメロ靴下。マイメロを履いて行ったら好きな女の子に褒められたらしい。

夕方駅から保育園に向かう途中、私のことが大好きなKくんとすれ違ったので「Kくん~♡」と呼びかけたらめちゃくちゃ嬉しそうにしてくれた。か、かわいい。Kくんは自転車風のバイクに乗っていた。横にはおじいちゃん。アイコンタクトして再び漕ぎ出すと背後から「サイくんママ~~♡」と聞こえたので止まって振り返るとKくんが止まってこちらを振り返っていた。本当にかわいいなもう。Kくんが成人したら絶対Kくんとサイと三人で飲むって私は決めている(勝手に)。その頃行きつけになっているであろう街の小さな飲み屋に行って「二人とも好きなの頼みな」とか威勢よく言って好きな女の子の話とか聞きたい。「それはちょっと距離置いた方がいいんじゃない」とか日本酒と焼き鳥を挟んでアドバイスしたい。お節介婆。若い子の恋愛の話を聞くのがとにかく好きだ。相談してくれるような若い人は実際周りにいないが。


7月25日(水)
朝家を出る時、サイに「きょうぜったいおむかえきてね」と言われたので「うん絶対行くよ」と約束した。絶対なんかないけれど言いたい時はある。夕方お迎えに行ったら実際そんなに嬉しそうではなかったが最近サイは照れ隠しをする。二人で保育園の入り口においてある虫かごに入った蝶のさなぎを観察した。昨日青虫だったのがさなぎになっていて、でもまださなぎになったばかりで半分くらい身体が青虫の緑色でもう半分くらい白い殻になっていた。その混ざり合っている感じがグロテスクで異様で、生き物ってすごいなと単純に思った。サイは給食サンプルを指さしてその日何を食べたかいつも教えてくれる。おやつに枝豆を食べたらしい。「枝豆嫌いでしょ食べられた?」と聞くと「うん」と自信満々だった。園庭をぐるぐる走り回ってから帰宅。子どもは本当に意味なく走る。

「汝、我が民に非ズ」のファーストアルバム『つらい思いを抱きしめて』が届いた。9月の発売に先駆けてライブ会場でのみ先行販売とのことだったが、調べたらネットでも販売していた。ライブに行けないので嬉しい。こういうのをサーチする能力だけは私はずば抜けている。サイは自分のルパンレンジャーパンツが届いたと思って勢いよく段ボールを開封したがパンツでないと分かるとがっかりしてCDを投げ捨てる。食後にアイスを食べた。サイは私が早く食べ過ぎるといけないと、いつも途中で私の食べかけのアイスを「もっといてあげるよ」と奪ってそれを持ちつつ自分のアイスを食べる。謎のお節介。


7月26日(木)
通園途中にサイが鼻血を出す。子どもの血って綺麗だなと鼻を拭きながら思った。

サイとサイゼリヤで食べて帰る。行く途中自転車で坂道をくだったら気持ち良かった。二人で「さんぽみち」を歌う。サイは「蜘蛛の巣くぐって」のところがいつも「果物くぐって」になる。サイはお子様ランチ、私はイカのマリネ、お子様ポテト、旨辛チキン、ワイン。いつも同じものばかり食べている。帰りにスーパーに寄るとルパトのプラモデルの最新シリーズ、エックスが出ていたので、そのうちの一つ「エックストレインシルバー」を買う。生鮮コーナーにあるテレビでレシピ動画が流れていて、サイはそれを見つけると「みて!すごーい!」と私の腕を引っ張る。サイは料理に興味津々である。時々手伝わせているうちに生卵だって上手に割れるようになった。「サイくんはお料理好き?」と聞いたら「うん!」と興奮気味に答え、美味しそうだねと言い合いながら画面の中で我が家で作ることのない分厚いステーキが出来ていく様子を二人で見守った。それから果物コーナーでいつものようにゼスプリのキウイくんに話しかける。キウイくんはキウイの身体をした兄弟のぬいぐるみで私達のお気に入り。行く度に話しかけて癒されている。今日はハイタッチした(動かしているのは私だが)。サイは喜んで売り物のキウイを「はいどうぞ」と甲斐甲斐しくキウイくんに食べさせていた。共食い…。キウイくんのぬいぐるみが欲しすぎて、ネットで調べたらどこかから流れたものが入手可能だと分かった。兄弟で四千円で販売されていて、高いか安いか分からないままこれ以上ぬいぐるみを増やしていいものかと保留にしている。帰り道空を見上げると満月が綺麗だった。「月がきれいだよ、見える?」と聞くと「うん、あかるくて、つきがサイくんのおうちまできたらあさになっちゃうね」とサイは言った。急に秋のように涼しくなった。エアコンを久しぶりにつけなかった。

ルパンエックスのプラモデルを組み立てる。小さくて難しかったが完成したらかっこよかった。サイも喜んでいた。残りも順に買ってロボットを完成させたい。いつだったか遠い過去、ディアゴスティーニの暗闇で光るティラノザウルスを毎週組み立てて完成させるのが楽しみだった。CMで見て安かったという理由で恐竜がそんなに好きでもないのに創刊号を買ってティラノザウルスの顔ができたら思いのほか嬉しかった。身体も見たい完成させたいと思って親に嫌がられながら毎週買ってもらった。ティラノザウルスの最後のパーツの号に次のトリケラトプスの断片がついてきたがそれ以降続くと困るからもう辞めろと言われた。確かにこういうのは終わりがない。不明瞭なものが手を加えることでだんだん確かになっていく過程が私はけっこう好きらしい。ジグソーパズルや塗り絵も好きだ。数学も好き。サイの組み立て好きは私の遺伝かもしれない。

いつもの寝室とは別の部屋に二人で一枚の布団を敷いて寝た。「ほいくえんみたい~」とサイは喜んでいた。


7月27日(金)
やるべきことを少しずつこなしているつもりだが思うように進まない。もう金曜日だ。朝から涼しくて気持ちが良い。クーラーをかけて寝なかったら急に体調が良くなった。暑すぎると仕方ないが私の身体はクーラーとの相性が悪いらしい。サイもまったく起きて来なかった。出発直前にサイがざーっと漏らしてしまい、下着もズボンを取り替えたり床を拭いたり時間がなくなって焦った。普段ならイライラすることはないが、急いでいたのでサイにイラついた態度を見せてしまい、申し訳なかったなと思って後でごめんねと言った。言い訳かもしれないが子どもがいると時間通りに動くことが本当に難しい。会社はその辺を考慮してくれるようになればいいのになと甘いことを考えてしまう。なんとか遅刻せずに出社。


7月28日(土)
朝からサイと美容院に行った。電車に乗って表参道まで。数か月前から私が担当してもらっている人にサイは初めて切ってもらう。前の美容師さんが美容師を辞めるということで姉妹店の今の美容師さんに変わった。何もない限り同じ美容師さんに切り続けてもらいたいタイプなので、地元にいた時はずっと同じ人(女性)に切ってもらっていたし、上京してから9年ほどその辞めた人(男性)に切ってもらっていた。今の美容師さんになる時、合わなかったらどうしようとドキドキしていたが、とてもいい人だったので安心した。まず見た目が私が好きな感じで服装もお洒落(白いTシャツに無地のパンツ、みたいなさらっとした格好)で、話していて始終穏やかで苦にならない。冷静で礼儀正しく、淡々としていて場を盛り上げるような感じではないがそこがいい。髪を切ってもらう時に「最近どう?」とか馴れ馴れしく聞かれると嫌悪感を感じてしまうので。またカット技術が優れていて私が「スケボーに乗ってる中学生みたいな感じにしてください」と無理のあるオーダーをしても馬鹿にして笑ったりしないで、それはどういうイメージなのか真剣に聞いてなりたい感じの髪型にしてくれるので信頼できるなと感じている。前髪が特に良い感じ。こちらが話す内容を理解して共感してくれるのも嬉しい。サイも気に入ったようで最初は緊張していたが途中から自ら話しかけて美容師さんを驚かせていた。美容院を出て「またあのおにいちゃんにきってもらいたいな」と言っていた。サイがそういうことを言うのは珍しい。近くにある私が好きなパン屋のテラス席でサイと向かい合って食べた。気温がいつもより低く、「ピクニックみたいだね」とサイは喜んでいた。私はハートランドを飲んだ。それからフライングタイガーで新しい家に敷くマットを買った。そう、来週サイと新しい家に引っ越しする。かわいい家にしようねと言ったら「かっこいいいえにしたい!」と言われたので「かっこよくてかわいい家」にテーマが決まった。サイはタイガーで買ったピンクの300円のサングラスをかけてパリピみたいにテンション上げ上げで帰ったが疲れたのか電車で熟睡した。帰りに雑貨屋でマイヤーのフライパンが半額で4千円だったので、高いか安いか分からないが深さもあり良いと思って買った。フライパン一つあれば当分なんとかなるだろう。家に帰ってマットを広げたら想像以上に派手だった。サイはマットの上に載ってけらけら笑っていた。


7月29日(日)
朝から荷造りと断捨離しまくる。捨てる時は案外迷いがないタイプなのでじゃんじゃん投げ捨てる。ゴミ袋の塊が次々と出来て、私はこんなにもたくさんのゴミと暮らしていたのかと恐ろしくなる。本も全部は持っていけないから持って行く本、売る本、捨てる本に分ける。それでも段ボール5箱以上になる。サイと夕方スーパーに行ってまたルパンエックスのプラモデルを買う。キウイくんにも挨拶した。

 

やるべきことが簡単ではなく苦しいけど苦しいと言ってる場合ではない。ひとつずつやるしかない。そんな日々。

花火がみたい

クレヨンしんちゃんの声優交代がまだ受け入れられないでいる。今の声優さんだってなんとかしんちゃんを演じようとしているのだ。だから批判はしたくないが子どもの時から聞いていた声が突然変わった衝撃は大きい。

 

7月9日(月)
帰宅して家に入る前、サイに突然「おかあちゃんのおねがいごとしといたよ」と言われる。「えぇありがとう~何お願いしてくれたの?」「おかあちゃんにかわいいおけしょうがいっぱいとどきますように!って」私は最近何でもネットで買うので欲しいものは玄関から届くシステムだとサイは思っている。私が化粧している時いつもうっとりした顔で化粧品を触っているので「何かキラキラしていいもの」と思っているのかもしれない。サイは七夕の短冊に書く時に何が欲しいか聞いても自分が欲しい物は言わなかった。優しいなぁ、ありがとう。

日曜日から作っていたルパンカイザーのプラモデルが完成した。できたダイヤルファイター(ルパンレンジャーの乗り物)を合体してルパンカイザー(ロボット)ができるとサイは大喜び。ガチャガチャより少し単価が高いが自分で組み立てる楽しみがあるし細部までよく出来ているので今までガチャガチャしていたのが何だったのだろうと反省。サイは何か組み立てるのが好きなのでプラモデルに興味津々だ。私が難しいところをやり、できそうなところをサイに手伝ってもらう。プラモデルがこんなに楽しいとは知らなかった。カチッと小さい部品同士がはまって次第に形が出来上がるのが余りにも快感なのでもっともっと組み立てたい。寝る前にベッドの上で動物や変装ができるアプリで自撮をして遊んでから寝た。サイは変身するのが大好きだ。夜中に起きてやりたいことがあったが朝まで寝てしまう。

 

7月10日(火)
朝ごはんに今年初スイカ。サイは器用に種を避けて食べていた。残ったスイカの汁を牛乳と混ぜて満足そうにしていた。ルパンカイザーのプラモデルを持って登園。

夜、新宿タワレコにて大森靖子さんのアルバムリリース記念イベント。イベント前にお気に入りの花屋さんに寄り、『クソカワPARTY』のイメージでお花を選んでプレゼントしたら思いのほか喜んで下さった。花屋さんで花束を買う時間がどうしようもなく好きだ。その花屋さんに置いてある花は好きな感じの色や種類の花が多い。そして他のお店より断然安くて鮮度が良い。花が生き生きしている。束ねたロン毛でタンクトップの独特の見た目をした男性が多分店長で、最初は抵抗があったが見た目とは裏腹に驚くほど花束を作るセンスが良いし優しい。同じお店でももう一人いる若い女の人が作るのと全然違う。女の人はやや冷たくて、その人が作る花束もあまり好きではない。でもその女の人に練習させるためか最近店長はあまり作ってくれなくなった。今日はたまたま女の人が外出するタイミングだったため、ロン毛店長だった。やったー。私がこの花は絶対に入れたいんです、でもこれも入れたいと言うといい感じにアレンジしてくださり、更に友達にもあげようともう一つ頼んでもまたいい感じの花束を作ってくれた。

大森さんは「ドライにするね」と言ってくださり、帰りながら大森さんが以前気に入った紫陽花と赤い花を吊るしてドライフラワーにしたというライブのMCでされていた話を思い出しじわじわと嬉しくなった。朝からあることで沈んでいたが、好きな人に会うと自分でも驚くほど生きている実感を得られる。


7月11日(水)
サイはポケモンパンについていたピチュウのシールに喜ぶ。保育園で縁日ごっこをするらしく、また甚平を着て行く。今日は嫌がらず着てくれた。Amazonで届いた漫画を開けていたら「おかあちゃんえほんかいすぎ!」と言われる。サイは漫画のことを絵本と呼ぶ。確かに買い過ぎかもしれない。甚平姿の写真を撮ろうとしたら変顔ばかりされたが撮影には応じてくれる。

昼休みに銀行に行く途中、横断歩道のところで花屋のロン毛店長が買ったお弁当を下げてお店に戻るところを目撃した。弁当が入ったビニール袋と束ねられた髪を見つめながら「昨日はかわいいお花ありがとう、おかげで喜んでもらえました」と心の中でお礼を言った。ひとつ頑張ったことがあったので、ミニストップで静岡クラウンメロンソフトを買った。予想以上に美味しかった。持ち帰りにすると傾かないよう紙のスタンドに入れ溶けないよう上から最中のフタを被せてくれ配慮が細やかだなと思った。ちょっと暑かったが公園で座って食べた。スーツの男性が何人か放心していた。蝉が鳴いている。まぎれもない夏が来た。

帰宅するなりサイは縁日ごっこで買った品物を一つ一つ袋から出して嬉しそうに見せてくれた。紙皿でできたカメ、発砲スチロールでできた魚、ネコのお面…最近すっかり幼児らしさが抜けて言動が大人と変わらなくなってきたがこういう時は実に子どもらしいなと感じる。また自撮アプリで遊んでから寝た。


7月12日(木)
帰りにローソンをまわってルパトレンジャーとプリキュアのスタンプラリーをしてから回転寿司を食べて帰った。サイは納豆巻、たまご、海老、穴子といういつものラインナップ。穴子のことを「おさかな」と言う。シャリを少し残したのでそれは私が食べる。私はサーモン、焼きサーモン、炙りサーモン、アボガド巻、炙りしめ鯖。寿司屋でもらった棒付き飴の棒をふざけて口に入れて危ないので注意するとサイの機嫌は最悪に。とにかく私が怒る素振りを見せるといつもスイッチが入る。機嫌を直してもらおうとコンビニに寄るもギャン泣き。折り紙が欲しいというので許可したらプリキュアの玩具付お菓子も欲しいと駄々をこねられ二つは買えないと断ると更に絶叫泣き。アイスで気を逸らそうとするもダメ。無理矢理お菓子を辞めさせて帰宅。まだギャーギャー泣いていたので、とっさに置いてあった大森さんのアルバムについてきたナナちゃんのキーホルダーと生写真を見せたら握りしめて泣き止む。それでもアイスをくれず独り占めしようとするので放っておいたら案の定途中からお腹いっぱいになって私にくれる。入浴後、就寝。


7月13日(金)
今後に関わる重要な要件があったので午前休。もう後には戻れない。色々と分刻みでハシゴしていたら午後の出社時間ぎりぎりになり会社の最寄駅の小諸そばであなご天ざる蕎麦を一気食い。いつ行ってもこの小諸そばには女性客がいない。なぜだ。急いでいたのに前に並んだおじさんが食券機の前で5分くらい悩んでなかなかボタンを押さなかったので心の中で「早くしてくれ~」とせっついてしまった。おじさんは食べたいものがなかったのかもしれない。私は普段のろのろしているが、食券を買うのとSuicaのチャージについてはめちゃくちゃ動作が早い自信がある。いかに後ろの人に早いなと思わせるか、と自分の中でゲームをしている。

夕方お迎え。サイと昨日とは別のローソンに行く。スタンプがないな~とサイと探していたら小学生くらいの男の子が「こっちにありますよ」と律儀に教えてくれる。教えてくれた通り、レジ横のポットの隣に追いやられるようにあった。「ありがとう」と言った。初対面時や仲良くなっても敬語を自然に遣う人が私はけっこう好きなのだが(友達が旦那さんと敬語で会話していてあぁいいなと思った)、敬語を使う小学生男子には特にグッとくる。サイもそうなってほしいな。今は下品な言葉を毎日絶叫しているのでその道へは遠いが。晩御飯は冷やしぶっかけうどん。ローソンで買ったサラダチキンとトマトと揚げ焼きしたオクラをのせた。うどんを氷で冷やそうとしたらサイは冷凍庫が製氷皿を出して率先して手伝ってくれる。製氷皿から氷が外せず苦戦していたので捻るとうまく取れるよと教えると不思議そうにしていた。数日前から製氷皿にやたら興味を示しているので、ブロックの感覚なのかもしれない。サイは冷たいうどんや冷麺なら食べてくれるが素麺は食べない。覚えておこう。


7月14日(土)
暑すぎて昼間は結局どこにも出かけなかった。サイが昼寝から起きて陽が沈んでから昨日とはまた別のローソンに行く。これでスタンプが4つ揃った。プリキュアとルパトレンジャーのシールをもらうと満足そうにしていた。帰りに猫がいてかわいかったので、サイが持っていたメロンパンナのぬいぐるみ(あちゃ)を動かして「ひゃあぁぁぁ~かわいい~~」など声を出していたら暗くて見えなかったが猫の世話をしている人が側にいることに気がつき、あ、しまったと思った。失笑されて恥ずかしかったので退散。今日も冷やしうどん。


7月15日(日)
朝からピューロランド。今日で三回目。三回とも同じ人と。初めて行った時は確かサイがお腹にいる時だった。前回は3歳になる前だったのでチケット代がかからなかった。今回初めてチケット代がかかる。あの時お腹にいたサイが…と感慨深かった。総選挙でシナモンロールが優勝した関係で、白と青の無地を組み合わせた洋服で行けばチケットがかなり安くなると事前に公式サイトで知ったので私もサイもそうした。サイにはユニクロで買ったサンリオのキャラクターが大集合しているめちゃくちゃかわいいTシャツを着せた。「次から無地でお願いしますね」と言われたが柄がサンリオだったからかギリギリOKだった。中に入り、今日の目的であるサイとクロミちゃんの接触のために有料予約券を入手しなければならないので係の人にどこでもらえるか聞いた。やや年配のスタッフはとても親切で、やっぱサンリオ最高と序盤から気分が良くなる。ディズニーランドの接客も素晴らしいがそれとまた違う。もっとこう、商店街のおばあちゃん的な接客というか。距離は近いが礼儀があって。伊勢丹の接客に近いかもしれない。サイが好きなクロミマイメロの友達で、ドクロがついた黒い頭巾を被ったうさぎだ。詳しく知らないが、愛くるしいマイメロに比べてちょっとダークで性格が捻くれていそうな感じ。目つきが可愛い。サイに言われるまで私もそんなに注目したことがなかった。キティやシナモンではなくクロミを推すサイはなかなかいいセンスをしているなと親バカながら思っている。海の家を模したスペースに時間交代で着ぐるみと一緒にゲームができて、更に課金すれば接触が可能ということだった。海の家は昨日始まったばかりだったので長蛇の列ができていて、これを並ぶのかと列が苦手な私はめげそうになったがサイの夢のためと思って我慢して1時間くらい並んだ。しかし整列の途中で接触券は人気のキャラクターから売り切れていき、クロミは最後まで残っていたがあと5人くらいでやっと買えるという時に売り切れて買えなかった。悲しかった。子ども優先してほしいなと少し思ったが大人だって会いたいし課金するのに大人も子どももないかと落ち込んだ。サイに「クロミちゃんに今日は会えないよ」と伝えた。残念そうにしていたが、気分を切替えるためにレストランでかわいいごはんを食べたら落ち着いたようだった。昼食後、パレードが始まったが前回見たのと同じだったし人が多すぎたので後ろの方からチラ見した。でもいい感じにスペースが空いていたので意外によく見えた。ちょうどクロミちゃんが通ったのでサイを肩車した。サイは喜んでいた。接触できないけど推しが踊るところを見られてよかった、と私も安堵した。もうこの辺り全てがオタクの考え方だ。ピューロランドはアイドル文化をうまく取り入れているのでオタクは馴染易い世界だと思う。その後「KAWAII KABUKI ~ハローキティ一座の桃太郎~」を鑑賞。これも大分並んだ。サイはその間ぐずらず偉かった。ずっと観たいと思っていた「かわいい」と歌舞伎が融合したミュージカルは想像を上回るぶっ飛び具合と面白さで私はげらげら笑っていた。隈取したキティやシナモンのビュジュアルがまずすごい。サイも受けていた。歌舞伎は詳しくないが、松竹が監修しているらしいのでなかなか本格的だと思えば急に激しいダンスが繰り広げられたり、この真面目なのに狂っている感じがサンリオの「かわいい」だなと思った。歌舞伎に圧倒されたのであとはカフェで休んだりゆっくりしていた。サイがやりたがったのでキティのポップコーンマシンをしてからピューロランドを出た。駅に向かう途中、空に目をやるとピンク色とブルーグレーが曖昧に混ざる空に猫の目のような細い三日月が浮かんでいた。美しかった。

同行者と別れて帰宅する途中、サイが寝てしまったので一人でサイと荷物を抱えて駅の階段を上がり下がりしなくてはならず体力的に相当きつかったがこんなことでしんどいと思ってはいけないと耐えた。サイは私の推しTiny Poemのプラスチックチェスト(初めて現行商品を見たので即買いした、ちなみにTiny Poemは総選挙68位)を「これサイくんの!」と言って奪い、サイに買ったキティちゃんのドールハウスの家具を嬉しそうにチェスト詰めていた。アクセサリー入れにしようと思ったのに、まあいいか。最近かわいいものがサイと取り合いになる。シャワーを浴びて就寝。


7月16日(月)
サイと昨日観れなかったルパトレンジャーとプリキュアを観る。ルパトレンジャーはルパンブルー(宵町透真)に焦点を当てた回だった。ジャングラー(悪者)がブルーの料理を食べて美味しすぎて悶絶しているところとか、げらげら笑った。エックス登場以来、劇的に面白くなった。強化アイテムが多すぎて何が何か分からずついていけなくなってきたので本があれば調べてみたい。ルパンブルー役の濱正悟さんの低い声が好きで台詞を真似したらサイは喜んだ。顔もけっこう好きかもしれない。調べたらエイベックス所属だった。濱さんはカレー好きらしい。プリキュアも面白かった。えみるとルールーが登場するだけで血圧が上がる。ギターの音色で攻撃するってどう考えてもカッコ良い。パップルが元気そうでよかった。週に一度の楽しみ。

暑くて昼から缶ビールを開けた。昼食後サイと昼寝。結局陽が落ちるまで出られなかった。夕食は冷蔵庫の残り野菜カレー。これからの問題が多すぎる。昔から真面目に生きてきたつもりなのになぜこんなことになってしまったのだろうか。サイとレンジャーやプリキュアを観たり二人で美味しいねって食べて楽しく暮らしたいだけ。普通に生きたいだけ。普通に。多くを望んでいないのにその普通が遥か遠くにある。誰にも頼らないと決めている。死ななければ大丈夫。意外に根性あるよね、と昔から言われてきた。あと少しだ。人混みは嫌いだが季節が終わる前に打ち上げ花火が見たい。まだ見たことないサイにも見せてあげたい。何と言うだろうか。

フルーチェつくりたいこの夏こそ

またしばらく日記を放置していた。
その間に実家に帰省したり夏が到来したり。毎日蒸し暑い。すでに夏バテ。夏の果て。湿度が低くて海が見える外国に行きたい。村上春樹の『スプートニクの恋人』に出て来るところ、あれはどこだったけ。あそこに行きたい。

 

6月18日(月)曇り
朝から大阪で大きな地震地震があったからと言っていちいち騒いだりしない。余程でない限り地元の家族や友人へ安全確認もしない。阪神淡路大震災を経験したからか、地震は特別なことでないと身体に染みついてしまっているのかもしれない。サイはEテレに突然出た「地震が来ます」の音と警告表示を見て笑っていた。別に不謹慎だと叱るべきことではない。「地震」という言葉も概念も知らない子どもにとってはおかしな音が鳴り変な表示が出ている、という事実がそこにあるだけだ。逆に地震があったからといって急に禍々しい音が鳴りテレビは中断され粛々としなければいけない、大人は急に深刻そうな態度を取り、思い出したように災害時の心得を発信するような世の中の空気がどうしても耐えられない。揺れている街の映像を見て「ばあばのお家は大丈夫かな」と独り言のように言うと「ばあばともうあそべなくなるかな」と少し心配そうにしていた。「大丈夫だよ」と言った。

ニュースで9歳の女の子が倒壊したプールの壁に挟まれて亡くなったと知った。苦しい。高齢の方だったら亡くなってもいいという分けではないが、どうしてもサイが生まれてから子どもが亡くなったニュースに敏感になってしまう。その女の子は翌朝、地震が起こって死んでしまうことを知らないまま、いつも通り宿題をして晩御飯を食べて眠って朝起きて支度をして学校まで歩いていて突然九年か十年生きた人生の終わりを迎える。と想像したら苦しくてなぜこの子は死ぬ必要があったのかと悔しくなる。かと言ってテロで外国の子どもがたくさん亡くなっているニュースに対しても毎回同じ感情を持つかと問われればイエスと言えない。状況が想像できる子の死にだけ苦しさを感じる自分の都合の良さに更に苦しくなる。


6月22日(金)
退社後本屋さんに寄り先輩におすすめしてもらった高橋久美子さんの『いっぴき』を購入。少し読んだら面白くて買ってよかったなと思った。週末Aちゃんの家に持って行く美味しそうなおつまみを買った。箱も可愛い。でもお祝いはこれと言って良いものが見つからなかった。焦って変なものを買いたくないので辞める。ただでさえ暑いのに大森さんのLINELIVEを観たら体温が上がってすごい汗をかいた。好きな人が出ているテレビや配信を観るといつも心拍数が上がる。これは昔から。目の前にいるより画面越しの方がなぜかドキドキする。


6月23日(土)
雨。昼前、サイと出発し公園に併設されている行ったことのない喫茶店に行ってみた。私はたらこスパゲッティ、サイは食べたいと言ったハヤシライスをほぼ一人で完食した。雰囲気も良くて安くて美味しかったので「ここいいねぇ」と二人でへらへらしていた。サイは後ろの席の女性二人組の一人がもう一人の話を聞きながら相槌を打っている様子を真似して「んーんーんーって言ってるね」と私にいちいち教えてくれた。観察力が凄まじく、見たことをすぐに声に出して報告するので当人に聞こえていないかと冷や冷やする。サイはハヤシライスのルーでTシャツを汚していて指摘すると笑っていた。汚れてはいけない服なんてほとんど着せたことがないので、汚れても特に気にしない。昼食前の機嫌は最悪だったが食後は一変して機嫌が良く「お腹空いてたんだね」と言うと「そうだよ、もうサイくんないてないでしょ」とドヤ顔で言われる。だんだんとやり取りが大人同士のようになってきた。私も子どもだと思って接していない。お笑いの相方って感じ。

それから駅まで歩き電車に乗って数駅隣のわりと大きな駅に行く。ダイソーに行きたかったというただそれだけなのに雨も降って道もよく分からないし着くまでに疲労した。サイはダイソーの化粧品や美容関連グッズのフロアでサンリオの商品や細々した小物をみて「ひゃあ~かわいい~!!」と高い声を上げて大喜びしていた。その様子を見て40代くらいの女性が微笑んでいたらサイは「おばさん!」と指差して大きな声で叫んだので気まずくなって別の場所に逃げた。すいません、って言うのもなんか違うかなと思って逃げた。何歳であれ女性に目の前で「おばさん」呼ばわりしないよう教育が必要だ。要らないものを手に取って「これいるよね?」と聞いてくるので戻すのが大変だった。おもちゃのフロアで何でも好きなのを選んでいいよと言うと迷いに迷ってハンバーガーのままごとセットを選んだ。レジの近くにフルーチェが売っていた。小さい頃フルーチェを食べたいといくら騒いでも親は買ってくれなくて、拗らせて大人になったら絶対自分で作って思う存分食べるぞと思っていたが実際大人になるとなぜか手に取らなかった。でもサイと作ると楽しいかなと思ってひとつ買ってみた。ついにこの夏フルーチェへの憧れが昇華されるのか。疲れたのでサンマルクで二人でひとつ、サイが選んだベリーのパフェを食べた後、スーパーで買い物をして帰宅。サイは不二家にいた触るとしゃべるペコちゃんに興味津々だったが、照れていた。最近大人の女性に照れるが、ペコちゃんにまで照れるとは。触っているとペコちゃんが「きみの誕生日はいつ?教えて!」「外から帰ったら手は洗った?」など脈略のないことを唐突に言うのでシュールだった。サイは「3月だよ」などと間違って答えていた。駅構内のお店でセールをしていたがサイがマネキンのスカートの中に頭を突っ込んでパンツを履いているか確認してゲラゲラ笑ったり、走り回ってすぐどこかに消えるので全然落ち着いて見れず結局何も買わずに帰った。

サイは夕方から20時すぎまで昼寝して、全然起きなかったので不安になったらようやく起きて、ご機嫌で晩御飯を食べた。鮭のバター醤油焼きが美味しくできた。


6月24日(日)
日曜日のプリキュアがいつの間にか二人の楽しみになっている。プリキュアが始まる前に朝ごはんも済ませ、万全にして備える。今日は先週プリキュアになったえみるとルールーが色々と葛藤しつつプリキュアとしての道を進もうとする回だった。二人の絡みが百合っぽいので毎回ドキドキする。ルパンレンジャーはルパンXとパトレンXという両方になれる新しいキャラクターが登場する。怪盗と警察のどちらの味方が分からず、ルパトレンジャー達を翻弄している感じが最高に面白かった。変身シーンもカッコ良かった。すぐにXの玩具のCMが流れ出すのがニクいなぁと思いつつ、なぜか私が欲しくなった。シルバーとゴールドって色がいい。私が「エックスカッコいいねぇ初めて登場したねぇ」と興奮していたらサイは「これしってるよ、サイくんのえほんにのってた」と大人みたいな表情で冷静に言い放ち、今月号の『おともだち』を見せてくれる。本当だ。一緒に見ていたのに何も気付かなかった。サイの記憶力と観察力は本当にすごい。

昼過ぎ、去年結婚したAちゃんの家にサイと遊びに行った。普段乗らない電車に乗り私がうまく乗り換えができなかったせいで予定より遅れてしまった。サイはお腹が空いて機嫌が悪くなった。東京にもう10年くらいいるのに、どうして電車にうまく乗れないのだろうか。路線検索で調べても自分がどこにいるか分からず気付いたら乗り換え駅を過ぎているなんてことがよくある。

Aちゃんの家は色調が統一されていて(真似したい…)置いてある家具や小物が全部かわいくて、でも生活の営みが感じられて外国のアパートメントのようで居心地が良かった。イギリスに留学していた時ホームステイしていた家を思い出した。Aちゃんはおつまみを作ってくれていたり、成城石井で買ったというラベルが可愛い色んな種類のビールやお酒を用意してくれていて、全部美味しくて楽しかった。サラダのドレッシングが美味しかったので作り方を聞いたらビールを飲みつつすぐレシピをラインしてくれてAちゃんのこういうところが私は好きだなと思った。持て余していたサイのためにネットフリックスでピングーを流してくれて、そのピングーが今のCGでなく初期のクレイアニメだったので二人で興奮した。クレイアニメのピングーはあまりにもかわいい。ピングーが伸び縮みするのが面白かったのか、サイもげらげら笑っていた。サイは私とサイで行く前にケーキ屋さんで買って持って行ったケーキを食べたくて、Aちゃんに「はやくケーキだしてよ」とせがんでいた。いかにも子どもらしい。あー帰りたくないなと思ったけれど泊まるわけにも行かないので夕方ごろ、そろそろ帰ろうかなと思っていたら事件があった。むっ臭いなと思っていたら大変なことになっていた。サイはしたことが恥ずかしかったのか隠して見せてくれない。結局シャワーを借りてサイを洗ったり、今日に限ってサイの着替えがなくAちゃんの服を借りたり散々だった。でもAちゃんは全然嫌な素振りを見せず優しかった。サイを自分の好きな場所に連れて行くことはやっぱりまだ難しいなと反省した。

落ち着いてからAちゃんに駅まで送ってもらい三人で最寄駅まで歩いた。サイはAちゃんのグレムリンTシャツをワンピースみたいに着て歩いていた。夕方の生温い空気が気持ち良かった。それからAちゃんと別れてバスと電車に乗って帰宅した。サイは眠気で機嫌が悪くなり、バスの中でわんわん叫び泣いた。窓の外の景色で気を逸らしたり何を言っても泣き止まず、どうしようもなかった。終点で降りる時、乗客の冷たい視線を感じた。
機嫌直しに本屋で粘土を買って帰宅。夕食後、Aちゃんにもらった花束を生けた。可愛い。遊びに行ってお花を持たせてくれるなんて、Aちゃんがやっぱり好きだなと思った。サイと粘土でお寿司を作ってから寝た。


6月25日(月)
サイは疲れていたのかいつもの時間になっても起きず私はどうしても寝ている人を起こせないのでどうしようと思っていたら出発時間を迎えてしまい半休を取った。サイを保育園に連れて行くともうすぐ始まるプールに備えて着替えの練習をしていた。着替え用のスナップがついたタオルを肩に巻くよう先生は子ども達に指示するも、子ども達は男の子も女の子も素っ裸ではしゃいだり、裸で立ったままぼんやりしている子もいた。なぜ無理矢理隠すことを覚えさせるのか私には分からなかった。そういうのは自然に覚えていくものじゃないだろうか。サイは園に着くのが遅く、乗り遅れていたのでその様子を部外者のように眺めていた。

帰宅したら暑くてどうしても我慢できずビール缶を開けた。それからお気に入りの白シャツや白いブラウスを一気に洗濯した。襟や袖をごしごし洗うのが気持ち良い。洗濯している間に録画したまま観ていなかった大森さんが出演したハロプロ特集の「関ジャム」を観た。高橋愛さんの話になると泣いた。ハロプロがやっぱり好きだなと思った。大森さんが歌いながら解説されていたのがさすが歌手という感じだし、言葉だけではピンとこないが音で聴くと説得力があってよかった。松岡茉優さんが冒頭で「あっつー!」と言われていたのは分かるなと感じた。好きなものや人の話になると私も体温が一気に上昇して変な汗をかく。松岡さん好きだなぁ。『万引き家族』観たいなぁ。

この日差しの中出勤するのが億劫になり、結局一日休んだ。でもこれと言って大して何もしなかった。夕方お迎えに行ってサイと帰宅。西日が綺麗だった。あまりに綺麗だったので『死神』の歌詞のように、西日に「やりつくしたか」って言われている気持ちになった。自転車に乗りながら私がプリキュアの歌を歌っていると「うるさーい!」と叱られた。そのサイの声が建物に反響して二重に聞こえたのを面白がってサイは何度も叫んだ。「おそらからサイくんのこえがするよね」「うん」「ひこうきのひと、びっくりしちゃうかな」「そうだねぇ」サイと会話するのが最近本当に楽しい。お風呂上りにまたサイと粘土をした。いくら軍艦のいくらの粒を丸めてつくったら「すごいーじょうずー!」と褒められた。サイは何か形作るよりも色の違う粘土を捏ねて混ぜたら何色になるのか一通り試して、カラフルな大小の球体がいくつもできていた。それを並べて「これはうちゅう!きゅーれんじゃー!」と言っていた。キューレンジャーを一度も観たことないのに好きなのはなんでだろうか。レンジャーの名前とか、やけに知識もある。サイはカメレオングリーンが好きらしい。更に球体を爪楊枝に刺して団子にしていた。濁った紫や茶色の毒々しい団子ができていた。ナナちゃんを作ったら「うわぁーナナちゃんだー」と言い愛おしそうに眺めていた。サイの足の裏にたくさん粘土が貼り着いていて、取ってあげるとくすぐったそうに笑っていた。


6月26日(火)
朝、起こそうかと思ったタイミングでサイが起きてくれた。自分で起きると機嫌がいい。私がトイレに行っている間にサイは私とサイのさくらんぼをちゃんと洗って皿に並べていた。ヨーグルトも冷蔵庫から出していた。なんて偉い子だ。天才か。私がさくらんぼを口に入れようとすると「たねあるからね」と教えてくれる。わざと種があるのを知らない顔をして口にいれ、サイがこいつ種を飲み込むんじゃないだろうなと不安そうにしたところでぺっと種を出して見せるとげらげら笑っていた。二人で笑っていたら「サイくんとおかあちゃん、きょうからなかよくなったね」と言われたので更に笑った。「えっ生まれた時からけっこう仲いいでしょ」と返すとにやにやして「うん、なかよしだよね」と言った。可愛い。本当に可愛い。

夕方、お迎え。サイは園庭に出て全速力で走り回っていた。わけもなく走る、ということを子どもはよくするが大人はしない。当たり前だが。でも大人は何をするにも目的を持とうとし過ぎなのではないか、とこういう姿を見ているとよく感じる。「早く帰ろうよ~」と言っても「まだはしりたいんだ」と『炎のランナー』の主人公みたいなことを言ってくるからそう言うなら走りたいだけ走ればいいよと思ってぼんやり見ていた。犬みたいに走り回っていた。帰り、自転車に乗りながら大きい声を出して反響させ、「そらからサイくんのこえきこえるねぇ、ひこうきのなかのひとびっくりするよねぇ」と昨日と同じことを言った後、「おかあちゃんのうたにもびっくりしちゃうよ」と言われる。「おかあちゃんの声そんな大きいかな?」「うん」。自分の声が空まで届いていると考えたら可笑しいなと思ったその空が綺麗だった。雲と空の青がまだらに混ざり合って。スーパーに寄って帰宅したらいつもより少し遅くなった。サイがうどんが食べたいと言うので冷やしうどんとおかずという謎の夕食になった。私はうどんの代わりにビール。食後にサイだけアイスを食べた。入浴後、就寝。風が強く吹いて気持ちの良い夜だった。可愛いと思って買った新しい下着が自分にはあまり似合わなくて悲しくなった。


6月27日(水)
朝起きてすぐ、サイが私のスマホのSiriで呼び出して『流星ヘブン』を流した。ピアノの音が寝起きには心地良いということに今日初めて気づいた。一緒に歌っていたら「おかあちゃんはうたわないで!」とキレられたので黙っていたら、布団に頬杖をついて大森さんの声に耳を傾けていた。可愛い。それからプリキュアのテーマソングを呼び出して流す。好きな曲を聴いて起床するのは目も覚めていいかもしれない。コーンフレーク。最初、え、またかと嫌そうにされたが「これ昨日買った新しいコーンフレークだよ」と言うと食べる気になったようだった。粘土のお寿司のネタが壊れた(自分で壊した?)ことを気にして作り直すように言われるが時間がないので今日の夜やろうね、と約束した。

帰りにタワレコに寄り大森さんのアルバムを予約し、チャットモンチーの最後のアルバムを購入した。暑すぎてノースリーブになったがノースリーブで街を歩いたことがほとんどないので悪いことをしているような気がした。レースが気に入って買ったそのブラウスを見てサイに「(レースの)カーテンとおんなじだね」と言われた。好きなレースの系統がカーテンでもブラウスでも同じらしい。早くも夏バテで夕食をあまり食べられなかった。サイもあまり食べなかった。やはりうどんの方がいいのか。お風呂に入り、サイの機嫌が急に悪くなったので、浴槽の真ん中に蓋を置き両端の隙間を空けてそこに一人ずつ入ってパーティーみたいにしたら予想外に喜んで機嫌を直して笑ってくれた。サイが寝た後、考え事をして眠れずソファに横たわっていたらいつの間にか寝落ちしていて大森さんが夢に出てきて絵を描いてくれた。優しかった。明け方、手と足の爪にネイルをした。手はほぼ透明のパールのような色、足はオレンジ。


6月28日(木)
好きな人に会うから持っている中で一番お気に入りのワンピース(伊勢丹で清水買いしたルル・ロジェッタ、ルルが最近気になる、AWも可愛い予感しかない)に帰省した時に一目惚れして即買いした子どもが履くようなラメ入りビニールサンダル(これは激安)に少し前に買ったクマのおっきなイヤリング。はぁかわいい(服と靴とアクセサリーが)。と思っているとまるで自分がかわいいような錯覚になるので好きなものを纏うのはいいかもしれない。

などと調子に乗っていたら大森さんに全然うまく話せなくて落ち込んだ。ちゃんと話そうと思って手紙もお土産も持たずに行ったら変な間ができてしまい嫌われているんじゃないかとさえ思ってしまった。好きな人にもっと笑ってもらえるような気の利いたことが言いたい。面白くなりたい。面白いおじさんになって「うけるー!」って言われたい。会った方何人かがアクセサリーやサンダルを「かわいい」って褒めてくれたのが嬉しかった。かわいいって言ってくれた人がかわいいし、全員数日以内に必ず良いことが訪れるでしょう、と心の中で予言した。頼んだ豚丼がオーダーミスで来なかったため、空腹と悔恨でふらふらになりながら改札をくぐったらホームでたまたま一緒になった大森さんファンの方々と話していたら癒された。幼少期の記憶の話になり、みなさん覚えていますか?と聞くとあまり覚えていない人と覚えている人と。人に寄るのかもしれないし、男女で違うのかもしれない、ということを聞き興味深かった。サイは今経験していることを大人になって完全に忘れてしまうのだろうか。あの時、宙を舞うルパンレンジャーを一緒にみたことも、それに憧れてトランポリンで空を飛んだことも。帰ってから大森さんと撮った写真を見たらそこに写った私は何一つかわいくなく生酢を飲んで我慢している老婆のようでまた病んだ。全然眠れず明け方ようやく寝た。


6月29日(金)
サイは今日プールがある。Amazonで頼んだ水泳帽が間に合ってよかった。サイの希望でピンクの帽子。何でもAmazonで頼むのでヤマトの人がほぼ毎日うちに来る。暑い中申し訳ないのでなるべくまとめて頼んだ方がいい。水曜日だったかヤマトの人がクロちゃんという猫の着ぐるみを連れてサイの保育園に出張交通安全教室としてやって来たらしく、クロちゃんに会ったと喜んでいた。クロちゃんをググったらめちゃくちゃ可愛くて私も会いたいと思った。それ以来ヤマトのトラックについている黒猫を見ると「あっクロちゃんいたよ!」と教えてくれる。

午後半休。神保町へ。じりじりと日差しが暑い。ボンディでカレーを食べ、みわ書房で集めているロアルド・ダールの旧訳本(帰って本棚を見たら持っていた、がーん)、同じビルの漫画専門店(永久に見ていられそうなお店)で手塚治虫の『ルードウィヒ・B』というベートーベンの生涯を描いた漫画を購入。手塚治虫は作品数が多すぎて把握しきれていないし全部集めるのは大変そうだから面白そうだなと直感で思ったものを少しずつ買って読むようにしている。手塚作品で特に好きなのは『ぱるぼら』と『MW』。昨日ロフトの二階席の漫画棚から何となく手に取って読んだ岩館真理子の『冷蔵庫にパイナップル・パイ』がなんだこれはというくらい面白かったのであったら欲しいと思ったがそれは売っていなかった。Amazonで頼もう。こうやってどんどん漫画が増えていく。恐ろしい。それから書泉グランデへ行き大森さんのおすすめ本が並んだ棚を見に行く。好きな人が本を刊行して書店で棚が作られておすすめ本と並んでいる光景がたまらなく愛おしい。余計なお世話だがせっかくの選書だからレイアウトとかもっとこうしたいなと妄想した。書店でアルバイトをしていた大学生の時、棚を作るのが何よりも好きだった。バイト先の店長がやる気がなく、学生の私に自由に選書して棚作ってよと言ってくれた時が一番わくわくした。好きな本を並べたら返品不可の版元が入っていて怒られたり。思い入れのある絵本を置いたら買ってくれた人がいてレジ打ちしながら泣きそうに嬉しかったり。大森さん選書本(『生活』という漫画が面白そうだった)と迷って、結局三冊目の『超歌手』を購入。サイン本を持ち歩くのが気がひけたのでこれで心置きなく持ち歩けるしボロボロになるまで読める。何回も何回も読みたい。

夕方、駅に着いて保育園まで自転車を漕いでいると夕方の生温い風が顔に当たって気持ち良かった。サイとサイゼリアで食べて帰る。100円グラスワインがいつだって正義。お子さまランチがリニューアルされていて、グミの代わりにプリンがついていたのでサイは喜んでいた。ちょーだいと言うといつもくれないのに一口くれた。私は旨辛チキンとイカのマリネ。サイと冷たいかぼちゃのポタージュ。二人で真剣に間違い探しをしたり美味しいねっていいながら食べた。帰宅してからスーパーで買ったルパンレンジャーのプラモデルのようなものを組み立てた。子ども用とはとても思えないほど難しかったがサイは組み立てるのを楽しんでいたし完成するとしっかりした作りだったのでまた買ってもいいかなと思った。大森さんのLINELIVEを途中まで観てから寝た。サイは「おーもりさーん」と画面の中の大森さんに必死に話しかけていたし、大森さんが少し前のレコーディング映像に副音声でコメンタリーをしているのを観て「おおもりさんっていっぱいいるのかな、どっちがにせものかな」と真剣な顔で言ってきて可愛いなと思った。プールはどうだったか聞くと、「プールさん~~」とみんなで呼ぶとカラフルな飾りを身体につけたプールさん(先生)がやってきてそれに揉まれて遊んだ、と一生懸命説明してくれた。プールの擬人化とは、なんて面白いのだろう、私もプールさんと戯れたいと思った。多分来週からが本番でイメージをつかむ練習だったのかもしれない。問題は何一つ解決していないし夜中になると不安に押し潰されそうになるが、愛おしい嬉しいと思うその瞬間がどこかへ飛んで行ってしまわないよう掴んで抱き締めておきたい。と思った日だった。


6月30日(土)
朝ご飯、洗濯のち出発。サイと朝から頑張った。サイもだんだん慣れてきてくれてぐずることが少なくなった。暑くてすぐにバテてしまった。希望が見えた気がした。昼過ぎに終わり、サイがハッピーセット食べたいというのでマクドナルドのテラス席で食べた。サイはおもちゃが欲しかっただけでほとんど食べず結局私が食べた。レモン味の裏・コークが美味しかった。テラス席は日光が当たらず時々風が吹いて心地良かった。サイが隣の席の女の子が食べているのを見てアイスを欲しがったのでまた買いに行く。帰宅してシャワーを浴びてクーラーをかけた部屋で昼寝。夏はこれに尽きる。夕食は豚肉とズッキーニの塩麹焼き、トマト。今度は湯に浸かってから就寝。サイに欲しいと言われたのでルパンレンジャーの枕を買ったら喜んでいた。こういうキャラクターがプリントされた派手な枕が懐かしい。私は眠れず明け方まで雑誌を読んだり考え事をして起きていた。夏の夜明けが好きだ。


7月1日(日)
もう7月だなんて。早いなぁ。日曜日の楽しみはプリキュア。サイと本気で毎週観ている。今回は敵のパップルが印象的な回だった。パップルはクライアス社の社員だがいつも発注したオシマイダーをプリキュアに倒されて上司や同僚に見下されている。おまけに好きな人にも振り向いてもらえず…悪役は悪役でも一人の人間として描かれていていいなぁと思った。バブルキャラ(?)のパップルはいつも面白い感じだが彼女にも悲哀があり最後に自らオシマイダーになることで自分を終わらせようとする。切ない。でも愛のプリキュアであるえみるとルール―(キュアキュアアムール)が彼女の心の中まで入り込んで抱き締めて寄り添う。そこには敵とか味方とかなく。あぁぁー。素晴らしい回だった。いつもオシマイダーが消える時に言う「やめさせてもらいます」という台詞がなく、すぅーと空に上がって消えていくパップルが折り合いをつけた上で消えるという感じで良かった。次回予告ではぐたんが連れ去られたのをサイはずっと気にしていた。プリキュアの余韻がすごかったのでもう一度観てルパトレンジャーは観なかった。

簡単なお弁当を作って図書館へ。公園よりは暑さがマシだろうと思ったから。飲食可能なスペースでサイとお弁当を広げて食べた。私はこっそり家から持ってきた缶ビールを飲んだ。別に禁止とはどこにも書かれていないのでこそこそ隠す必要はないのだが、酒類が一切売っていない公共図書館で飲酒する恥ずかしさみたいなのを少しだけ感じた。じゃあ飲むなよという感じだが。それから児童書コーナーでサイが紙芝居を読んでくれたり幼児雑誌を読むのを横で座って見ていたが横で半分寝ていた。神保町もだし、本がたくさんある場所が落ち着くなぁと思った。サイと玩具で遊んでいると「お腹空いた」とリュックからお菓子を出して食べようとするので止めてまた飲食スペースに行った。でも席が空いていなかった。私はアイスが食べたかったがサイが苺ショートを食べたいと言うので併設されている喫茶店でケーキを二つ買い外のテラス席で食べた。テラス席が好きだなと自覚している。日陰があったので助かったがじりじりと暑かった。隣に父と小学生くらいの息子の親子がいて、お父さんが缶チューハイを飲んでいて親近感を覚えた。「この後、自転車乗りに行きたい」「えー今日はやめとこう。おまえプールもしてきたんだろ今日、疲れてないのか」「全然。疲れてるのはお父さんでしょ!」「・・・・」という会話が聞こえてきて微笑ましかった。

サイと再び室内で遊んだ後スーパーに寄って帰宅。プリキュアのビニールバッグがついている『たのしい幼稚園』最新号を買わされる。帰宅してシャワー。サイは夜まで昼寝をしていた。食べたいと言った素麺を嫌がり、ごはんがいいと言われたので出したらそれも食べなかった。炭水化物を最近食べない。OLか。入浴後、就寝。サイはプリキュアのバッグを大事そうに持って寝た。


例年よりも早すぎる梅雨明け宣言。大嫌いな夏が呼んでないのに遊びに来た親戚のようで戸惑いつつ、秋が来る頃には心から笑えるようになりたい。