カニ日記

息子の成長と日々の記録

黄金とかつけるから後でしんどくなる

黄金週間という輝かしい名の休暇が終わった後の絶望が余りにも大きいのでいっそのこと初めから存在しない方がよかったんじゃないかと思えてくる。
バタバタしていた一週間のため記憶が曖昧な日もあるが、覚えている限りのことを記しておく。

5月1日(月)
何を食べたか何をしたか記憶にない

5月2日(火)快晴
一日有休を取って、サイには保育園に行ってもらった。
自分は休んで保育園に預けていることに後ろめたさがない分けではないし、批判もあると承知だが、半年に一度くらいこのやり方で自分の時間を持ち、用事を済ませたり、観たい映画を観たりしている。

この日は翌日から帰省する夫の地元の家族親戚に渡す菓子折りの買い物がメインで、A嬢とずっと行きたかったお店でお昼ごはんを食べることもできた。A嬢は買い物に付き合ってくれたばかりか、重い荷物まで持ってくれてこんなにいい人と巡り会えて私は幸せ者だと思った。買い物を終えてお茶しようとした時夫から連絡があった。夫は、なぜ前日に買うのか私には全く理解できないが、帰省するのに着て行く洋服を買いたいから仕事が終わったら連絡すると言われていた。私がまだ洋服屋にいなかったあるいは向かっていなかったことで機嫌が悪くなった。少し遅れるから先に行ってほしいと電話口で言うと更に怒った。時間通りに進まないとか、私が決まった場所に待っていないとか予定調和でない事が起こると夫はいつも機嫌を悪くする。私は実家の家族が互いに自由な感じだったからか、予定がずれても全く平気でむしろ自分の時間が増えてラッキーぐらいの考え方なので理解できない。
A嬢に気を遣わせた上、全然落ち着かないお茶をして別れた。すごく申し訳ないことをしてしまったと思っている。せっかく楽しかったのに一気に鬱が押し寄せた。と、ここまでサイと何の関係もない夫への愚痴を書いているが一応後のことに関係するので記しておく。
結局夫はサイズの問題で洋服が変えず更に機嫌が悪くなった。私はまだ別の用事があったので保育園のお迎えに行く夫と別れて重い荷物を抱えて電車に乗った。最後の用事を済ませたらデパ地下でサイの好きなエビフライをたくさん買って急いで帰宅した。

二人は既に家に戻り、私がまだ帰って来ていなかったことで夫の機嫌は空腹を伴い最悪になっていた。(こまめに連絡はした。)色々と苦言を言われたので、そもそも買い物が大変だったと言い返すと「別に何でもよかったのに」と言われてカチンときた。味にうるさくすぐ文句を言う義母のことで悩んだり店を選んだ苦労も知らずに、じゃあ自分で買いに行け、と思ったことがそのまま口に出てしまい喧嘩になった。サイの前だとか気にせず大きな声で頭に浮かんだことをぶつけた。それでも言い合いは収まらなかったので私はエビフライをゴミ箱に投げ入れて寝室へ行った。サイにご飯を食べさせたりお風呂に入れたりする普段の大変さを夫一人で味わえばいいと思った。何度か夫が寝室へ来て態度を急変させて謝り戻って来いと言われたが、もう怒りというより気力がなく布団を被って無視し続けた。夫は諦めて来なくなり、リビングから聞こえる音から判断してサイはご飯を食べさせてもらっているようで安心した。食事が済み、夫はずるい手段を使った。サイだけを寝室に入れた。サイは横たわる私を心配そうに見て、「パジャマここにあるからね、絵本ここにあるからよんでね」と優しく声をかけてくれた。2歳児に慰められて恥ずかしいような自分が情けないような気持ちになり涙が止まらなかった。そして「お母さんちょっとしんどいから寝てるね」と言うとサイは「わかった!」と明るく言い部屋を出たかと思うとまた部屋に入ってきて心配する、を繰り返していた。

急に大人のようになったなと思っていると、次の瞬間、我慢していた何かが崩壊するように突然顔を歪めてわーと泣き出した。「おとうさん、おとうさん」と狂ったように叫びながらわんわん泣いていた。私は大変なことをしたと思ってサイを抱きしめてごめんねごめんねと謝った。
夫への気持ちがどうであれ、二度とサイにこんな姿を見せてはいけない、こんな思いをさせてはいけないと思った。
夫がどこかに買い物へ行っている間にサイと二人でリビングへ戻ると捨てたエビフライが台所に置いてあり、サイと二人で床に座って箱のまま食べた。サイは必死になってむしゃむしゃ食べていた。私も必死で食べたら胸やけがした。


5月3日(水)快晴
新幹線で夫の地元に帰省。義両親とサイは年に一度会うか会わないかで、二人ともスマホを持っていないので私の両親とするようにテレビ電話もできない。だから義両親と会うとサイはものすごく人見知りする。案の定会った瞬間固まっていた。それでも電話で何度か話して声を覚えているので少し経つと打ち解けたらしい。実家に行く途中で美術館に寄った際、義両親は車で待っていたのだが「○○(土地名)のじいじは?」とサイは早速気にしていた。美術館は人が少なくて廻り易く建物の周りも自然がいっぱいでサイも楽しそうだった。
美術館の後、夫が高校生の時よく行っていたらしい美味しいアイス屋でアイスを買い、車でみんなで食べた。私はスペシャルという4種も盛られたアイスをサイと奪う合うように食べた。今まであまり食べさせてこなかったのだが、自分が食べる時に少しずつあげているうちにサイはアイスの味を覚えそれがものすごく美味しいことに気付いたらしい。
家に着くとおばあちゃん(サイにとっては曾祖母)が待っていてサイを見てものすごく喜んでくれた。よく来たね、大変だったろうと気遣ってくれた。私は義実家の家族は嫌いではないが何だか話が噛み合わず、おばあちゃんと話すのが一番好きだ。結婚前に初めて会った時はキツイ方言で何を言っているか全く理解できなかった。まるで外国語だった。私が慣れたのか今では7割くらいは理解できる。仏壇のおじいちゃんに線香をあげるのを見ていたサイにこうやってやるんだよと手を取って教えてくれた。サイは仏壇のろうそくから誕生日ケーキを連想して、手をたたいたり何かめでたいものだと思っているようだった。サイのことを「可愛いねぇ、いい子いい子」と何度も言って頭を撫でてくれた。義実家でそんなに褒めてくれるのはおばあちゃんだけだ。サイも満更でないようでおばあちゃんに懐いていた。

家の近くの外国みたいに大きくて広いスーパーで食材を買い込んで戻り、晩御飯を食べ始めた頃、夫の友人夫婦がビールを持ってやって来た。夫婦の旦那さんの方が夫の友人で私達の結婚式でスピーチをした程、夫とは旧い仲らしい。この友人は面白い人でお酒が苦手で素面なのに最初から最後まで酔っ払いのようなテンションで捲し立てるように話す。この日も一滴もアルコールを摂取せず、緑茶を飲みながら芸人のように話し続けていた。奥さんは大人しいが大酒飲みでいつもにこにこしている。いい夫婦だなと思う。サイはマシンガントークに圧倒され黙りこくっていたが寝る前にようやく打ち解けていた。サイが寝てもまだ宴会は続き正直私も退散したいと思ったがそんな思いと相反してコップに酒が注がれ続けた。


5月4日(木)快晴
いつも聴いている大森さんのラジオを聴き忘れた、と朝起きて気が付いた。もはや曜日感覚がない。朝食を食べ、出発。たぬきケーキを買い、観光地である公園の前で降ろしてもらう。途中で夫が高校時代に部活仲間とよく行っていたという変な名前がついた焼肉屋さんの前を通りかかり、まだあったのか、あそこの食べ放題は安くてと夫は一人ごちていた。私がこの公園に来るのは今回で三度目でサイとは二度目である。まだ桜が残っていて、きれいだった。色んな種類の桜を眺めたり、サイの写真を撮ったり、パンを食べたりしてのんびりと過ごした。つい二日前、もう一緒に暮らせないと思ったほどの夫への不信感はこの土地に来てから次第に薄れていった。だからと言って忘れてはいなかった。時間に追われなくなって気持ちに余裕が生まれたというのはあるかもしれない。
その後、夫の妹夫婦と落ち合って一緒にお昼を食べた。夫婦には姉妹と1歳に満たない男の子の三人の子どもがいて、サイの唯一の従姉妹になる。二番目のSちゃんはサイの一つ年上。会うのは二度目だが前回会った時サイはまだ小さかったので忘れているだろう。昼食後、眺めのいい場所に行き、みんなで動物を観たり散歩したり公園で遊んだ。弟がいるものの普段妹の立場でいるところに突然サイが来たものだからSちゃんは俄然張り切ってお姉さん役を務めていた。サイはSちゃんにずっと手を引っ張られていた。二人は手をつないだまま走ったり、しゃがんで草を毟ったり、始終楽しそうにしていた。私に似て運動音痴なサイは途中からSちゃんの活発さに着いて行けず途中で止まったり弱音を吐いていたが「ほら!あるくよ!たって!」とSちゃんは容赦なかった。兄弟のいないサイは自宅ではマイペースに行動し、保育園でもいつも同じ年くらいの子としか交わる機会がないので、この時は弟として叱咤されたり手を引かれて相当にリズムが乱されていた。見ている側としては面白かった。本人にとっても新鮮な体験だったよう。夜までその乱れは続き、サイは郷に入れば郷に従えとついに諦めたのか途中から姉妹と一緒に飛び跳ねたり叫んだりして異様なテンションだった。姉妹達が帰った後、さすがに疲れたのか倒れるように眠った。


5月5日(金)曇り
朝から大福をたらふく食べた。例の素面でよく話す友人が本当に美味しいと薦めていたので義両親が買って来てくれていた。疲れているのかサイはなかなか起きてこなかった。
帰り支度をしていたらおばあちゃんが来たので二人で少し話をした。おじいちゃんと初めて出会った時、一目見て格好良いと思ったからこの人と結婚しようと思ったという話や、おじいちゃんがとても頭がよかった話をしてくれた。サイのことを本当に可愛いとまた言ってくれた。方言が分からなくて聞き取れないところもあった。通訳してくれる夫がいなかったので愛想笑いでごまかしてしまった。おばあちゃんとサイで写真を撮ろうと言ったらおばあちゃんは照れて断ったけれど、せっかくだしと言うと被っていたミッキーのニット帽とエプロンを恥ずかしそうに脱いで撮ってくれた。(確かにイケメンだった)おじいちゃんが亡くなってからおばあちゃんは元気がなくなっていた。でもサイを見て喜んでもらえてよかった。
おしゃべりな友人が来た日の夜、おばあちゃんが台所で立ってこっそり泣いていたのを私は見た。
お土産を買い新幹線に乗り東京へ戻った。帰宅後、洗濯だけしたら力尽きて横になっていた。夫は仕事でいなかった。サイは全く疲れた素振りを見せず、私が寝てばかりいて遊んであげなかったので怒っていた。
この日は結婚式を挙げてからちょうど4周年(入籍日は別)だったのだが、私はすっかり忘れていて夫が花を買って帰ってきて思い出した。子どもの日だというのにサイに何もしてあげられなかった。


5月6日(土)晴れ
サイはいつも6時すぎ、遅くとも7時前には起きてもし私が寝てれば起こしてくれるのだが、この日は二人で8時前まで寝ていた。慌ててゴミを出し遅めの朝ごはん。洗濯をしてスーパーに行き公園に行くといういつもの土曜午前の過ごし方。平常に戻った。公園でサイは噴水に入りたいと言ったので、靴を脱がせて入らせると足の感覚に戸惑ったのかその場からほとんど動かなかった。子どもと水遊びしていたスタイルの良いギャルママが持った水鉄砲に見とれていて、貸してあげるよと言われたのに固まっていた。昼寝はいつもより短く、おやつにゼリーを食べた。
私は一日遅れでこどもの日と結婚式4周年のお祝いをしようとAmazonで届いたばかりの天ぷら鍋で春巻きを作った。帰省先で夫の友人宅を訪問した際、山菜の天ぷらとビールがさっと出てきたのに感激して帰りの新幹線で発注した天ぷら鍋。山菜の天ぷらを出してくれた奥さんはできる妻という感じで、部屋はきれいに整えられ子どもの教育も行き届いている感じがした。私達が行った段階で既に酔っていたご主人が、私が時々ライブに行くという話をした時「俺が稼いでいるから妻に不自由はさせてない(とまでは言ってないけどそんな感じのことを)」と言ったのでちょっと嫌な気持ちになって奥さんに「夜とか出かけたくならないですか?ストレスとかたまらないですか?」とこっそり聞いたら「そういうのはない」と返されたので私は一生この奥さんみたいになれない気がした。そんな思いもあり発注した天ぷら鍋。
慣れないことをしたので時間がかかりいつもより遅い夕飯となった。さすがフライパンとは違う、春巻きは美味しかった。サイはこいのぼりの形をしたご飯に喜んでくれた。


5月7日(日)晴れ、夕立あり
午前中、どうしても行きたいところがあったので夫にサイを見てもらいさっと用事を済ませる。昼は公園でみんなでお弁当を食べた。夫が仕事に行った後、サイと私は公園に残りシャボン玉をした。最初は力いっぱい吹きすぎて全然できなかったのが、だんだん上手に吹けるようになってきた。きれいにシャボン玉ができるとサイも満足そうだった。サイは集中するとそればかりやるので、液がなくなるまでずっとシャボン玉をしていた。帰宅後昼寝。昼寝から起きて、雑誌の付録を一緒に作りそれで夕飯が遅れた。慌てて肉じゃがを作った。もらったじゃが芋が大量にあり、それが主食の民族のように朝も夜も芋ばかり食べている。肉じゃがにベーコンを入れると美味しいと発見した。
サイは雑誌の付録のお医者さんセットをえらく気に入ってぬいぐるみに注射したり聴診器を当てていた。


こんな感じで終わった黄金週間。

旅行とか行きたかったな。