カニ日記

息子のことを中心とした

感情のええじゃないかとその後

金曜日からの出来事は書きたくなかったけど忘れないために書く。どうしても抽象的な表現になってしまう場合があるかもしれない。

6月23日(金)天気不明
リフレッシュがきいたのか、目覚めもよかった。午前中は仕事がはかどった。お昼休憩で卵サンドを頬張っていた時、小林麻央さんがお亡くなりになったことをネットニュース(何となく記事を開けなかった)で知った。それからしばらく何も手に着かなかった。フロアの人は話題にしている人はいてもさほど悲しそうにしておらず、いつもと変わらずお弁当を食べて別の話題で談笑したり、雑誌を読んだり見た感じは普段と何も変わらない昼休みの光景だった。感情の強要はしたくないし、全ての人の気持ちが顔に表れるとは決まってないとは分かっていても、この「いつもと変わらない」がどうしても理解できなかった。堪えきれずに涙も少し出てしまったし、歯磨きでもしようとトイレに行くと仲の良い人にたまたま会った。彼女にぶつけるように「みんなおかしくないですか」と聞いた。私の口ぶりにちょっと困ったような顔をしたが「私は悲しいよ。うん、おかしいよね」と落ち着いて共感してくれた。私自身の「かなしみ」は悲しいというより、麻央さんのブログに繰り返し書かれていた「生きること」への強すぎるほどの意志が最後は成就しなかったことに対して悔しさを感じていたように思う(あとから海老蔵ブログに「肉体は失われた」と書いてあるのを読み、そうだよなとまた悔しさ募った)。人と話しても気持ちを切替えられなかった。その後、どちらも仕事関連で「怒り」、「喜び」の感情を起こさせる出来事が大波のようにやってきて感情フォルダが飽和状態になった。なったかと思うと突然風船が割れるように弾け飛んで虚無のようなものが訪れた。こんな感覚は初めてで不思議だった。「怒り」が鎮まった後、「喜び」に対応するのに注力し麻央さんのことは考えないでいた。

終業少し前に仕事が落ち着き、入社以来よくしてくれている母親より年上の女性社員さんのところへお遣いに行くと、いつものように「元気?子ども最近どう?」と静かに聞いてくれた。嘘がつけないので、「いや、今日はちょっとだめで・・」「どうしたの?」「あの、麻央さんのニュースで・・」「・・・??」「お亡くなりになって」「え、うそでしょ!?」というやり取りをした。その方は社内でもちょっと特殊な仕事をされているのでネットをほとんど見ないようで、知らなかったようだ。物凄くショックを受けた顔をしていた。「ご存じでないとは知らず、言ってしまってすみません」と言うと「ううん、そうか、辛いよね、子どもまだ小さかったよね」と目に涙を溜めて言った。それを見て私も泣いた。「みんないつもと何も変わらなくて、普通に笑っているのがどうしても分からなくて」とつい言うと、「え、なにそれ、そいつら全員おかしいよ、感情がないんじゃないかな」と言ってくれ、お昼に「病院出たってことでもう分かるよね」と笑っていた人が感情がないかどうか私には分からないがどうにも理解できなかったため、その日初めて共感してくれる人に出会えたと思って救われるような思いがした。ありがとうございます、と言いその人の席から去った。

定時に退社し、お迎えに行くとサイは金曜日と分かっているのかいつもより嬉しそうだった。どの子も嬉しそうでまだ外も一向に暗くならないので園庭ではしゃいでいた。サイと仲良いYちゃんのお母さんと並んで遠くではしゃぐ子ども達を眺めながら、今日長かったなぁと考えていた。海老蔵さんのことが一瞬頭に浮かんだがサイを連れて帰ることで必死だったのでそればかり考えなくて済んだ。それからYちゃんのお母さんに話しかけ、週末Yちゃん親子と公園へ行き、初めて我が家に来てもらうお誘いをしていたのを再確認した。他のお母さんどころか他人をまだ家に招いたことがなかったが、この人なら来てくれたら嬉しいかもとお誘いした。麻央さんのことは何となく言わなかった。

サイと帰りにドラッグストアに寄り、ビール二缶とよく知らないくせにサイが欲しがった「ねるねるねるね」二つ(Yちゃん来るかなと思って)買い物カゴに入れて、あとこれもサイが欲しがった調理不要なミートボールも買った。
帰った瞬間、サイと手を洗ってからご飯の用意もせず、ビニール袋からビール缶を一つ取り出して立ったまま一気に半分ぐらい飲んだ。冷凍してあったお好み焼きとミートボールとトマトを食卓に並べサイと二人で食べた。お好み焼きを食べるサイの顔を見ていたら、それまで大丈夫だったのに突然涙が溢れてきた。麻央さんの二人のお子さん何歳だったけと考えてしまうともう止まらなくなった。サイの前では泣きたくなかったのに止まらなかった。サイが「おかあさんだいじょうぶ?」と心配したので「目にゴミはいっちゃったよー」と言ったり、「見てよこの顔~面白くない?」と顔をつぶして変顔をして取り繕った。涙が余計に出てきた。食後はなるべくサイに顔を見せたくなくて、私も考えたくなくてサイの好きな「にこにこぷん」や「あんぱんまん」を観た。お風呂でまた泣いたけどお風呂だからサイにはバレなかった。そういえば誰かが「泣く時は湯船で泣くのが一番いい」と言っていたのを思い出した。お湯で流すとすこしすっきりしてもう泣かなかった。サイといつものように歌を歌いながら寝た。また涙が出てきたが暗がりだからバレなかった。サイはすぅーっと寝て、私は全然眠れなかった。Kはまだ帰ってこない。

真っ暗で静かだった。静寂が怖くなり、サイの横で寝ながらイヤホンで好きな音楽を再生した。それから友人にメールしたり、大好きな方に超長文でただ今日何があったかをひたすら説明したDM(受け手は迷惑甚だしいと後で自省)を送った。送ったら満足して何もせず天井を見つめて音楽を聴いていた。涙がすうーと流れ出て、仰向けに横たわったまま静かに泣き続けた。涙がずっとずっと止まらなくて他人事のようにわぁすごいなと思っていたら枯れたのか急に出なくなった。頭ががんがん痛かった。だからイヤホンを外して寝た。眠れず麻央さんのことや色々なことを考えていたらいつの間にか少し寝ていた。何時か分からないがKは帰ってきて風呂場で寝ていたようだった。


6月24日(土)晴れのち曇り
少しだけ眠ったようで変な夢を見て起きたら頭が痛かった。Kは再び出勤したらしく、いなかった。目が腫れていて顔がむくんでいるのが分かったが、あれだけ涙を流したからか精神的には落ち着いていた。
朝食後、ニュースは見たくないなと思い、サイがこれ観たいと言った幼児雑誌の付録についていたDVDを流した。私がちょっと別の場所に行った時に突然、サイの今まで聞いたことないような異様な泣き声、「こわいーー!!!」という声が聞こて来たので、慌てて駆け付けた。ちょうどDVDが終わりテレビモードに切り替わって、ニュース映像を観たらしかった。すぐに消したからほとんど観ていないが、病院にいた麻央さんの姿写真だったようだ。「こわいこわい」と大泣きするサイをぎゅっと抱きしめて「こわくない、こわくないんだよ、この人可愛いんだよ、可愛い人なんだよ、おかあさんと同じなんだよ」と私も泣きながら必死で言った。朝のニュースは誰が観るか分からないのに、視聴率優先でこれでもかと心苦しくなる写真の数々を流すテレビ。嫌なら観なければよいがあのような海老蔵さんや二人のお子さん達への取材の仕方含めマスコミのやり方が残酷すぎて理解できなかった。2歳半のサイにはまだ死を理解させる必要もないと思ったし、うまい対応ができなかったため、再びDVDを再生した。

その後、DVDにも飽きたようだったので洗濯物干しがまだ途中だったが「じゅーすやさんつくって」というサイのリクエストに応えて紙にジュース屋さんを描いて、ジュースやお金を別に紙で作って動かして遊べるようにした。思いの他気に入っていたようだった。

昼食(ファミレスに行きたいと行ったから準備したら行きたくないし外に出たくないと言われて結局家で食べた)後、昼寝をさせようとするも暑くてなかなか寝てくれない。寝室とは別の部屋にサイと私の敷布団を敷くとサイは喜んで転がった。それでも「おとうさんいない」とまだずっとぐずっていた。Kにテレビ電話しても落ち着かずだんだん疲れてきたので、「お父さんは海苔巻きおじさんと戦っているんだよ」と適当なことを言った。「のりまきおじさん?」と不思議そうにしていたので、「眠ってない子がいると海苔とご飯を両手に持ったおじさんが窓から入ってきてサイくんを海苔巻きにしてしまうんだよ。高い窓でもジャンプしてくるよ。」と教えると怖がっていた。自分でもけっこう怖いなと思った。怖いだけだとあれなので、「怖いおじさんがサイくんを食べようとするのを止めるためにお父さん頑張ってるんだよ」というと納得したようだった。そうこうしていたら眠ってくれた。稲荷おじさんというのがいてもいいなと思った。

寝かしつけに時間がかかったため今からYちゃん親子の訪問に備えて片付けるのは無理だと判断してYちゃんのお母さんに断わりの連絡を入れ直接公園集合にしてもらった。サイが起きて公園へ行った。Yちゃんと遊ばせる。Yちゃんのお母さんに麻央さんのことを聞いてみたがあまり話が続かなかったので辞めた。Yちゃんはサイに比べて運動神経がよく、それはもっと小さい頃から顕著で、一人で滑り台を滑ったり高い所へ登ったりしていた。小さな子にはまだ早い遊具にも器用に登っていた。好きなんだろうなと思った。サイは私に似たのか運動音痴でYちゃんがおいでよ~と言っても登れなかったり、滑り台も上まで上がっただけで滑るのを辞めたりした。いい時間になったのでごはんを食べようとファミレスへ行った。

Kも合流して(Yちゃんのお父さんは仕事)食べたい物(私は肉とビール)を食べた。サイとYちゃんは横並びに座って楽しそうにしていた。Yちゃんがお父さんと家でよくやっているという口食べ(「わんわん物語」の要領)でポテトを咥えてサイの方を向いても、サイには何の事かさっぱり分からないようで動揺していた。Yちゃんは「なんだつまんないの、まあいいや」という感じだった。女の子の方が大人になるのが早いとはよく聞くが本当だなと実感した。サイが大人になっても同じように女性を前にして動揺している姿がつい思い浮かんでにやにやしてしまった。

帰宅してお風呂、就寝。

6月25日(日)雨
明け方起きたら朝なのに外が暗かった。湿気があって不思議な感じだった。朝食後、準備。Kにサイを見てもらい美容院。上京以来通い続けている美容院なので気が楽。店の雰囲気が可愛くて店員さんがみなおしゃれで優しいので気に入っている。美容師さんとは深い話をする分けではないが、お互いの家族の話などよくする。とても腕がいいので、実家に帰ると母に「いい髪型」でなくなぜか「うまいなぁ」と褒められる。伸びることを想定して一ミリ単位で切ってくれるのがまたすごい。老い対策について盛り上がり、プラネタリウムやこないだ観た映画についてべらべら話した。

美容院後、小学6年生以来ぶりにラフォーレのSWIMMERへ行った。地下へ降りて行く感覚が足で覚えていてぞくぞくした。時間もなかったので、とにかく可愛いと思ったものはカゴに入れ、今までありがとうの気持ちも込めて大量に買った。SWIMMERを出たらトイレに行きたかったが時間がなかったので我慢してお昼も買わずに電車で帰った。

 

帰宅するとちょうどKがサイを寝かしつけたとこだった。冷凍食品を食べていると、ごとっという鈍い音と共にサイの泣き声が聞こえた。あー、と思って見に行くとベッドから落ちていた。私なら落ちないよう周りにクッションを置いたり万全にするのに、Kはそういう所がツメが甘い。サイは眠いけど起きてしまったことで機嫌が最悪。抱っこしたり色々して再び寝かせようとしたがだめだった。もう起きると言ったのでリビングへいってもここで寝ると言い、布団を敷いたら眠れなくて泣き出したり散々だった。疲れた。サイが話したいというのでKに電話してもすぐ切られた。はぁ疲れた。みんなお母さんはすごい。

夕方、イヤイヤで行きたくないというサイをようやく宥めてスーパーへ行ってサイのお菓子と夕飯の材料を買った。入り口にある花をみて、家の花は枯れてるなぁ明日帰りにお気に入りの花屋さん行こうかなと考えていたら、サイが向日葵とバラが入った花束がほしいと言った。黄色と濃いピンクで派手な感じだった。家の中が殺伐としていたし、たまにはこういうのもいいかなと思ってカゴに入れた。手持ちが足りなくなりそうだったので最初カゴに入れていたアイスや菓子パンを辞めた。

公園に寄ってサイとおやつを食べた後帰宅。夕食、お風呂、就寝。

感情のジェットコースターのような週末だった。ジェットコースターは嫌い。乗る人がいたら座って下から眺めながらメロンソーダ飲んで待っているタイプ。

 

金曜日にたくさん泣いてから、牛乳を飲んだ後のコップのようにかなしみの膜みたいなのが胸に張られて取れない感じがする。食べたいのに食欲がない。