カニ日記

日記のような記録

おおきくなったらなんになろう

日記をさぼっていたら年が明けてしまった。年末、ろくに掃除もせずやるべきこともせずだらだらと過ごした。大晦日は帰省土産や必需品の買い物をして蕎麦を食べて久しぶりにテレビを少し観てからいつも通りお風呂に入り、寝る前にらくがき帳にサイと動物の絵を描いた。サイはいつの間にかブタの絵まで描けるようになっていたので感心した。サイと布団に入って寝落ちして起きたら新しい年になっていた。絵を描いていたからか絵の上手い人の横で四苦八苦しながら猫のスケッチをする初夢(初夢の定義が分からないが元旦にかけて見る夢でいいなら)を見た。


1月1日(月)元旦
Kの地元に帰省。上の方の寒いところ。寒いのが苦手なのと穏やかに過ごしたかったので帰省を反対したが、Kはサイにどうしても雪を見せたいと言って聞かなかった。最近何事にも反発する力が劣ってきたため、どうでもいいやと思って放っておいたら日程が組まれていた。

飛行機で着くと義両親が空港まで迎えに来てくれた。車で実家に行くといういつもの流れ。雪は降っていなかったが辺り一面雪景色。実家に着いてお昼ごはんを食べた後サイを昼寝させようとしたが寝ず、私だけが寝ていた。そうすると姪っ子達がやってきて寝ていられなくなった。急に起きて出て行ったので義兄にぎょっとされた。サイは兄弟がいないので姪っ子達に会うと喜ぶ。
部屋で少し遊んだ後、全員完全防備になりソリやシャベルを各々持ち庭に出て雪遊びをした。よく考えたらこういうことをするのは初めてだ。サイももちろん初めてで、最初は積もった雪の上を歩くのを怖がっていた。が次第に楽しくなってきたようだった。義父らが雪の塊を二つ重ねて雪だるまの基礎を作ったが顔をどうしたらよいか分からない感じだったので耳をつけてナナちゃん雪だるまを作ることにした。大まかに雪を固めてから手やシャベルで細かく削っていく作業が思いの他楽しく、姪達のことを忘れて一人で作業に没頭した。雪像作りがこんなに楽しいとは。初心者だから上手くいかないところも多かったがとにかく楽しかった。そういう仕事をしたいとさえ思った(素人の考え)。完成するとサイだけ喜んでいた。ナナちゃんを知らない残りの人はただすごいね~という感じだった。写真を撮っていると姪達がシャベルを持って来て雪だるまに攻撃し始め、ナナちゃんは瞬く間に破壊された。味方であるはずのサイまで途中から破壊行為に加担。がーん。義父は哀れみの目でこちらを見ていた。

冷えてくたくたになった身体で部屋に戻り、それからは酒と海鮮が無限に出てくるエンドレス宴会。最後まで付き合っていると大変だと過去何回かで学んでいたので序盤で離脱して姪達と遊んでいた。そういえば昔からこうやって親戚達が集まる宴会があれば途中で抜け出して子どもだけで遊んでいたなと思い出した。飲食や理解できない話に没頭する大人達から隔離されたヘンリー・ダーガーの絵みたいな子ども達だけの世界が好きだった。普段サイと過ごしているので女の子が新鮮だった。今どきの女の子が何に興味があるのか知りたくて「今好きなものは何?」と聞いてみたりした。にゃんこスターが好きということだったが私は顔ぐらいしか分からず盛り上がらなかった。それから姉妹のお姉ちゃんの方が遠慮がちに「ねえ、携帯もってる?」と私に聞いたのであーあれだなと分かった。雪遊びの時、最後に自撮りアプリで撮ったら思いの他喜んでいたのでそれをまたやりたいということだった。再びアプリを起動させ姉妹と私で自撮りをしそれに落書きやスタンプをして遊んだ。大盛り上がりだった。そういうの好きだよね、分かるよ、おばちゃんもプリクラができた時嬉しかったもん、と思ってにやにしていた。姪達の落書きやスタンプの世界観が子どもならではというか、自由で奇抜で面白くてみんなでゲラゲラ笑った。
姪達が帰るとどっと疲れてサイと朝まで寝た。


1月2日(火)
朝食を食べた後、義父とKとサイと私の四人で近くの温泉に行った。サイは初めての温泉。Kがサイを連れて行ったので私は一人でゆっくり入ることができた。隣の男湯からサイの「おかあちゃーんどこー?」という叫び声が何度も聞こえてきた。雪見風呂もいいなぁと思って露天風呂に行くと寒すぎてお湯がただの水になっていたので慌てて中の湯に戻った。上がって髪を乾かしていると地元の人と思わしき60代くらいのおばさまに話しかけられた。方言が分からず聞き返すと私の持っていたmina perhonenのバッグの刺繍は自分で刺したのかという質問だった。「いえ、買ったものです」と答えると「そんなのどこに売ってるの、珍しいわねぇ」とまた聞かれたため正直に「東京で買いました」と答えたら「ここの人じゃないでしょ」と言われた。それで自分がここにいる経緯を簡単に説明した。するとおばさまは目を細めながら「江東区には亀井堂があるでしょ」と言ったが分からなかったので申し訳ない気持ちになって「私は東京の人間じゃないんです」と言う必要もない言い訳をした。いまだに東京について何も知らないんですと心の中で付け加えた。皆川さんデザインの物を着用していると高確率で50-60代の女性にそれは手作りかと尋ねられる。手作業であると思われるのはある意味皆川さんが望むことかもしれない。(*あとでよくよく考えると「江東区には亀戸があるでしょ」だったと気づいて恥ずかしくなった。でも亀戸にも詳しくない。)

お湯を出たらビールが飲みたいなと考えていたが既に出た義父らがジュースを飲んで待っていてそういう感じじゃなかったので空気を読んで諦めた。サイがアイスを食べたいと騒いだので一つ買って車で食べた。それから水辺の方に行き、白鳥を観に行った。たくさんいるはずらしいが1羽しかいなかった。あとは鴨がたくさんいた(私は白鳥の子どもだと勘違いしていた)。車が岸部に着いた途端、鴨達がいっせいに水辺からトコトコ歩いて集まってきたのが面白かった。戻る途中で三人でラーメンを食べた。人気店らしく食べログのポスターが貼ってあった。こういうのを貼るところがこの土地っぽいなと思った。魚で取った出汁のスープは美味しかった。お湯に入って食事したら身体が暖まって睡魔が押し寄せてきたのでサイを寝かせるという名目で昼寝した。サイは実際寝ずにどこかへ行ってしまったけど誰も来ないのでこっそり一人で寝ることに成功した。ストーブで暖まった部屋で毛布にくるまって遠のく意識の中ぬくぬくしていたらKにいつまで寝てるんだ起きろ10分後に出発だと叩き起こされた。悲しかった。それからまた姪っ子達と合流し地元の民芸館に行った。行ったけど寒くて何を見たかあまり覚えていない。夕方家に戻り今度は肉と酒の宴会。焼かれる肉をアサヒスーパードライで流しながらひたすら食べ続けた。また早々に離脱して、というかこれ以上食べられませんと思い日本酒を飲みながらテレビを観ていた。NHKBS1でやっていたネパールの生き神クマリのドキュメンタリーが面白かった。義父は他のチャンネルを観たそうだったが気を遣ってくれた。3歳でこれから神として生きる女の子と初潮を迎え人間としての生活に戻る12歳の少女の様子が描かれていた。クマリについて個人的に興味が湧いたので本があれば読んでみたいと思った。それが終わったらドバイの砂漠にある戦争支援物資を提供する非営利団体の倉庫の様子を伝えるドキュメンタリーになった。そこで働く人は前は一般企業で働いていたらしく、「会社の利潤を追求するために働くことに疲れてしまったんです。それに比べて今の仕事はやりがいがあります。」と言っていた。あー、分かるなーと思った。利潤とかもういいよ。仕事の事を思い出して嫌になってきたので観るのを辞め、サイと寝た。


1月3日(水)
朝食を食べバタバタと荷物をまとめて東京に戻った。帰りは新幹線。昼から缶ビールを飲みながら雪景色を眺めるのは悪くなかった。サイは珍しく大人しくしていてくれたので本を読むことができた。家に帰って荷物を整理したり、年賀状を書いたり(今年は来たものに返すスタイル)した。年賀状に筆ペンでベタ塗りしているとKが「そんな使い方するな、どういうつもり」と激怒した。塗っていたのは一枚だけだったし意味が分からなかった。それからもサイが悪さをしたときに私がトイレに行っていたら「トイレなんか行くな」と理不尽なことでKは責め続けてきて、あーまた始まったとうんざりした。嫌な気持ちで入浴後、就寝。あまりにも絶望的な気持ちになっていたので友達に相談したら的確かつ前向きなことを言ってもらえて少し安心して眠れた。


1月4日(木)
サイは保育園初め。サイには悪いが私はもう一日冬休み。朝から年末に観たくて観れなかった映画「勝手にふるえてろ」を観て、デパートのセールで靴と靴下をそれぞれ2足ずつ買った後、別の映画館に行き「ギフテッド」を観た。映画館をハシゴしたのは初めてだったがどちらも面白い映画だった。感想をまた書きたい。急いで電車に乗りお迎えに行き帰宅して夕食。いただきものの良い豚肉があったので肉じゃがにした(本当はハヤシライスがよかったけどルーがなかった)。観た映画のことを考えながら入浴後、就寝。


1月5日(金)
仕事初め。サイと「生きてるパンをつくろう」をやけ気味に熱唱しながら保育園まで自転車を走らせた。あけましておめでとうございます今年もよろしくお願いします、がいつまで経ってもうまく言えない。年末年始に人のいなかったフロアは冷え切っていて末端冷え性には厳しかった。寒さのせいか単なるやる気のなさか完全に集中力を欠いてしまった。
お迎え、夕食(肉じゃがの残りに卵とチーズを入れたらダッカルビみたいになった)、入浴、就寝。


1月6日(土)
朝ごはん、洗濯のちサイを耳鼻科に連れて行く。年末に予防接種した場所だったので「ちゅうしゃしない?」と怯えていた。鼻を吸われて大声で泣いて身をよじっていた赤子時代が嘘のように大人しく座っていた。耳鼻科の後、駅前のパン屋でサイとそれぞれ好きなパンを食べる。小さなテーブルを挟んで二人で向い合せに座り、私がキャベツをこぼしているとサイが「こぼれてるよ」と指摘してくるなど付き合って5年になるカップルという感じだった。ついこないだまで小さくて何もできなかったのに今や大人みたいに椅子に座って食べたりパンをちぎって私に分け与えてくれるなんて何とも不思議だなぁと思った。
その後公園へ行った。以前Yちゃんと行った立派なすべり台がある公園。はしゃいで滑るサイを遊具に座って部外者的な目線でぼーっと眺めていたら「ままもきてよ」と催促されたため、サイの後に続いて何度も滑る。追いかけっこみたいにしたら喜んでいた。それから砂場で遊んだ。元々置いてある誰の物か分からないスコップや型がある。途中からサイより少し大きい男の子が来て、サイが手に持っていたスコップを何も言わず奪い取ったので「だめだよ」とその子を制止した。砂場や公園では知らない子ども同士が居合わせて独特の世界が生まれる。遊具や場所を巡って問題も起こる。大人はできる限りその世界に参加してはいけないと私は思っていて、問題がどうしても解決しないときやどう考えても一方が悪い反則行為があった時のみ介入する。試合の監督のような。大体の場合、各チームの監督(親)はチームの選手(我が子)が違反している時に笛を鳴らすのが暗黙の了解となっているが、どういう分けだかサイのスコップを奪った子の親が見当たらなかった。それで私は相手チーム(他人の子)を注意することになった。後で探してみると父親は砂場から離れた場所で子ども達を見もせずに呑気に柔軟運動をしていた。近くにいなくてもいいからちゃんと見てなさいよと私はその父親に少し苛立った。その後も観察しているとその父親は二人いる子どもを完全に放っておいて体操をしたり老人と話し込んだりしていた。だから構ってもらえない子どもが私のところに何度も来た。あー。

そういうことでやや疲れて、買い物をしてサイと夕方まで昼寝した。夕食はハヤシライス。夜Kは飲み会で遅くなる(そういう時はいつも明け方帰宅)と聞いていたのでサイが寝たら一人の時間を満喫しようと思っていたのに10時半頃酔って帰宅した。居間に携帯を置いたままだったので取りに行くと「なに!?」とイラついたように言われる。こっちの台詞だよ。新年で飲み過ぎたのかいつも以上に酔っている気がした。Kがずっと居間で倒れているせいで寝室から出られずやりたいこともできないで悶々としているうちに眠ってしまった。


1月7日(日)
朝食、洗濯。Kが思いつきで「アンパンマンミュージアムにいこうか」とサイに言い、サイはその気になってしまった。私はお正月疲れでAMに行く体力など到底ないから行きたくないと言うと二人で行くと言ってKはサイを連れて横浜まで行った。ゆっくり部屋の掃除でもするか、と思っていたら友達とタイミングが合い、パフェを食べに行くことになった。等々力という初めて行く場所だった。「などなどちから」だと思っていたら違った。電車の中で到着時刻を確認し合っていると友達と自分が全く同じ電車に乗っていることに気づき、お互い何号車に乗っているか聞き合ったりして嬉しくなった。一杯3000円もする紅白をイメージした洋梨のパフェは食べたことのないものだった。瑞々しい洋梨ゴルゴンゾーラジェラート洋梨のソルベ、カモミールジュレが融合してとてつもない化学反応を起こしていた。パフェというよりこれは思想だなと思った。思想を食べている。季節で変わるらしいのでまた来てみたいなと思った。その後二人で行く宛もなくただ話しながら街を歩きまわった。人は目的なく歩くことが出来る人とそうでない人の二種類に分けられると思うが、私は行き先も気にせず一緒に散歩してくれる人が本当に好きだ。自由が丘まで何駅か歩き続け途中気になったお店を覗いたり観察した。最後にのぞいた、おじさんが一人でやっているどこかの国の人が作ったフェルト製品が並ぶ怪しいお店でフェルトのバッグとネズミのキーホルダーを買った。近日閉店につき半額ということだったが定価が分からないのでそれも怪しい。とても楽しい一日だった。

帰宅するとサイは興奮状態でアンパンマンショーを再現していた。夕食は昨日の残りのハヤシライスと散歩途中で買ったコロッケ。入浴後、就寝。サイはAMで色々な着ぐるみが現れても頑なに距離を置いていたらしく、なぜか聞くと「きゅー(抱きつくの意)したくなかったの」と言っていた。成長して着ぐるみにむやみやたらと接触するのが照れ臭くなったのかもしれない。


1月8日(月)
明け方まで何をするわけでもないのに夜更かししたせいで朝なかなか起きられずにいたらKが起きろ起きろと煩かった。朝食、洗濯。朝から天気悪。
なので今更ながら大掃除的なことをする。掃除というよりただ要らないものを捨てまくっただけ。昼うどん。午後からサイと昼寝。私は途中で起きて買ったまま読めないでいたBRUTUS 1月号「危険な読書」を読む。町田康のインタビューを中心に興味深い頁ばかりだった。読みたい本にペンで印をつけたがほとんどが絶版だった。夕方サイ起床。サイがダイニング椅子を勝手に移動させたのでそのままサイの頭にバンダナを巻いてあげてお店屋さんごっこをした。椅子の向こうから私がすみません~と言いサイが応じる、みたいな。ほとんどエアでやったけど楽しかった。夕食はハヤシライスがまだあったのでそれをソースに変えてハンバーグにした。サイはよく食べてくれた。Kはスープの味が薄いと文句を言っていた。無視した。入浴後、就寝。

数日前からあることでコミュニケーションがうまく図れず、自己嫌悪になっている。昔から容姿に自信がないがそれはどうしようもないとして、発言や言動で人に不快感を与えたり迷惑かけたくないようにといつも願っている。のに、うまくいかない。結局一切人と関わることを辞めた方がいいのだろうか思い湯船で泣いた。ふとサイに「おおきくなったら何になりたい?」と聞いてみた。少し考えて「アンパンマン!」と返ってきた。「そっか~、アンパンマンみたいに優しくなれるといいねぇ」「うん」それから、絞り出すようにサイは私に「ママはもうおっきいけどなにになりたいの?」と聞いた。聞かれると思わなかった。私がもう大人だということもサイは分かっている。「ママもアンパンマンかなぁ」「えー、カレーパンマンにしなよ」「う、うん」
小さい頃から何になりたいか明確に分からないまま大人になってしまった。サイの言うとおり大きくなってしまってるけど今から何かになれるのだろうか、間に合うのだろうか。

『おおきくなったらなにになろう』

(サイが最近よく保育園でやっている手遊び歌)
大きくなったらなんになる 大きくなったらなんになる 1のゆびでなんになる チクッとちゅうしゃの おいしゃさん.
大きくなったらなんになる 大きくなったらなんになる 2のゆびでなんになる かみのけきります とこやさん.
大きくなったらなんになる 大きくなったらなんになる 3のゆびでなんになる クリームまぜるよ ケーキやさん.
大きくなったらなんになる 大きくなったらなんになる 4のゆびでなんになる みんなをまもるよ おまわりさん.
大きくなったらなんになる 大きくなったらなんになる 5のゆびでなんになる どすこいどすこい おすもうさん.