カニ日記

日記のような記録

春に翻弄されるのも悪くない

3月25日(日)快晴 8分咲き
好きな人に一月ぶりに会うことに緊張し明け方3時に目が覚めそのまま眠れないで起きていたら朝になった。朝になって眠くなったがサイが起きて寝ることもできない。朝食洗濯掃除のち近所の公園にサイと出かける。桜の木の下でコンビニや売店で買ったたこ焼きや焼きそばを食べた後、二人でシャボン玉をした。サイは飽きもせず手元と洋服をシャボン玉液でべとべとにしながら3本分くらいシャボン玉を吹き続けた。私が吹くとシャボン玉ができる前に邪魔をして壊そうとしてくる。サイは自分の小さなシャボン玉に不服そうだったので、私がゆっくり息を吐くとこんな風に大きくなるよと見せるとサイも真似をしてふぅーっとゆっくり吹く。大きなシャボン玉ができると嬉しそうだった。それにしても吹くのが随分うまくなった。最初は吹くか吸うのかさえ分からなかったのに。それから噴水が抜かれている岩場で探検隊ごっこをした。その後滑り台。私は日光に当たり続けてだんだんバテてきたがサイは遊びを辞める気配が全くなかったので「ねぇ、アイス食べない?」とサイの大好物で釣る作戦に出た。それまで何を言っても聞かなかったサイは「アイス」というキーワードで目を輝かせ滑り台を即離れた。大成功。セブンティーンアイスの機械には行列ができていた。ほとんどのアイスが売り切れで前にいた兄弟と思わしき子ども達が「あれこれもない」「あれ?」と×印がついていることにも気付かず押し続けていた。幸運にもサイの好きなバニラは残っていた。日陰に二人で並んで腰掛け二人でひとつのアイスを食べた。あっと言う間になくなった。アイスで満足したサイはすんなり帰宅に応じてくれた。
 
くたくただったので少しだけ昼寝しようと思いサイと一緒に布団に入ったら、次に起きた時には出発時間だった。外で流れる帰りましょうの音楽で起きた。あーやってしまった。サイはまだ気持ちよさそうに寝ている。慌てて準備していたらKが帰宅したので交代で出発。出際に「おかあちゃん、出かけて来るね」と言うとサイは家着から着替えた私をじっと見つめて悟り、怒った顔をして黙り込んでしまった。置いていかれると思って拗ねたようだった。こんな寂しそうな顔は初めてなので戸惑った。「ごめんね、帰ってくるからね」と抱き締めて後ろ髪引かれる思いで家を出た。本当は休みの日の夜は出かけたくない。もうサイのこんな顔は見たくない。
 
大森靖子さんのファンクラブイベント続・実験室へ。大森さんがとにかく可愛かった。チェキ会でうまく話せなかった。いつものことだけど今日は特に酷かった。言うことを考えて何度も頭の中で繰り返していたのにいざ対面すると真っ白になって。帰りの電車で嬉しい幸せな気持ちと自己嫌悪がぶつかり合っていた。好きな人と話すのになぜみんなあんなに冷静でいられるのだろう。好きな人に会えるってそれだけで一大事件だ。今日も可愛かった。遠くから目が合うとにーっと笑ってくれた。帰宅してぼんやりした後お風呂に入って寝た。
 
 
3月26日(月)
サイは私が食べようとした桃のヨーグルトを「ダメ!サイくんの!」と奪って食べる。物は何でも好きに手に入るわけではないと教えたいが、兄弟がおらずこういう時に競り合う相手もいないのでどう教育すべきか悩ましいところではある。私が競り合ってもなんだか違う気がするし。そこは保育園や学校で気づいてもらうしかないのか。月曜日なのでバタバタ登園。新年度に備え、新しい部屋に移動し今度は出入り口に近いので廊下を歩く手間が減る。それだけで時間短縮になっている気がする。
昼、同じ年頃の子どもを持つお母さん社員さん達とランチ。もうすぐみんな違う支店に行ってしまう。誰も同じ境遇の人がいなくのは少しだけ不安だ。明日休むのでお迎えを代わってもらい少し残業して帰宅。サイは先にごはんを食べていた。夕食後、サイとお互いのお尻を先にタッチした方が勝ちという謎の遊びをゲラゲラ笑いながらやった。お尻とおっぱいがサイの最近の一番の興味対象らしく毎日触ってくる。私が逃げるとひーひー笑って追いかけて来る。サイが逃げて私が仰々しく追いかける。ドタバタとトムとジェリーみたいだった。入浴後、就寝。
 
 
3月27日(火)快晴 9分咲き
朝。やや寝坊。みかん味のヨーグルトがイマイチだったのか半分食べたところで「よるにおいとく」と言う。私が残った食べ物を次に回す時にサイに言うのをよく聞いて覚えていたようだ。一日有休を取っていたのでまあいいかという意識でいたら出発がいつもより1時間遅れる。サイが「こっしーやってない」と言ってたが時間がずれているので終わっていた。「おかあさんといっしょ」を観ていた。9時すぎに保育園に着くとほとんどの子が既に登園していて教室内は動物園状態だった。え、こんなに煩かったけと驚くほどぎゃーぎゃーしていた。まあ一人でも相当煩いので納得したが先生はすごいなとしみじみ思った。「おうちが~」「あれが~」と次々に子ども達が話しかけていてもちゃんと優しく対応していた。今年のクラスの先生は皆とてもいい先生だが、来年は先生一人当たりの園児数も増大する上に新しい先生になるから少し不安もある。
 
サイと別れて午前中、某所で某相談。このために休みを取った。具体的なアドバイスをもらえて前向きになれた。これを頑張ろうという強い意思も芽生えた。何にもやらないことには何にも始まらない。相談を終え外に出るとほぼ満開に咲き誇る桜が美しかった。外国人が写真を撮っていた。私も撮ろうと背後に接近して撮っていたら気付かなかったらしく振り返って驚かれる。桜を撮るのは難しい。カメラに収めると何か色褪せてしまい、眼で見たような光景が撮れたためしがない。
 
午後、さいあくななちゃんの展示を見に新宿から小田急に乗り岡本太郎美術館へ。感想や気持ちを綴っていたら長くなったので別途。
夜、お迎え。野菜の甘辛卵とじ、しらすごはんという質素な夕食。サイは私が見ていない一瞬にシラスをパックごとひっくり返し中身を全部自分のお茶碗に山盛り入れていて、「わぁ!かけすぎだよ」と驚くと怒れらていると感じ取ってわんわん泣いた。別に怒っているわけではないのになぁ。難しい。入浴後、就寝。布団に入って『おおかみと七ひきのこやぎ』を読んだ。おかあさんヤギはおおかみが寝ている間にお腹を切り裂いて食べられた子ども達を救出し代わりに重い石を詰め、そのせいでおおかみは井戸に落ちて死ぬ。知っているはずだったけど改めて読むとおおかみが可哀相に思えてきた。サイも「なんでおおかみさんいしいれられちゃったの?」とおおかみに同情していた。私はその気持ちが大切だと思ったので「おおかみは子ヤギを食べちゃったけどおかあさんヤギがおおかみのお腹に石を入れたのはよくないね」と思ったことを返したら納得していたようだった。
 
 
3月28日(水)快晴 満開
これぞ春という陽気。サイは起きる直前、突然「あははははー」と起きている時と変わらず大きな声で笑った後またすーっと眠った。寝言だったらしい。何の夢を見ていたのだろう。パンとバナナと牛乳。バタバタと出発。新しい教室になりサイがコップやタオルを自分で設置してくれるようになったのでとても助かる。保育園ではほとんど漏らすことがなくなったのでオムツも持っていかなくなって楽になった。それは赤ちゃんの時から思っていたけれど成長するにつれて荷物が減る。もちろん嬉しいのだけど私が数年前と変わらずぼんやりしている間に着実にサイは大きくなっていて驚かされるし僅かに寂しい。
 
出社して午前中外出。気持ちが良い天気。打ち合わせなのに眠くなってしまった。退社後、会社の近くを歩いて満開の桜を見る。夜空に浮かぶ白い桜はこの世のものでなく、いつか見た夢のような光景だった。地面から自ら根を引き抜いて今にもずずずずと歩き出しそうだった。怖くて美しい。当たり前だが生き物なのだなと思った。遠くに月が見えた。写真に撮ったが眼で見たようには撮れず後で見たら夜空にポップコーンがはじけているようだった。この光景を切り取ろうとすること自体間違っているのかもしれない。駅の雑貨屋で一目惚れしたクジラのぬいぐるみを買った。眼が半開きでなぜかもしゃもしゃのヒゲがあり絶対におじいちゃんだと思ったら「赤ちゃんクジラ」とタグに書いてあった。でもどう見てもおじいちゃんだ。
 
 
3月29日(木)快晴 満開 
春だ。サイが気持ち良さそうに寝てなかなか起きないので「新しく来たクジラちゃんいるよ!見てみる?」と言うと飛び起きた。ちょっと奇妙な顔つきだったので気に入るか不安だったがとても気に入ったようでひゃーと言って抱き締めた後一緒に朝ごはんを食べていた。「クジラちゃんパン食べるのかな」と聞くと「くじらちゃんパンきらいなんだって。バナナとぎゅうにゅうがすきなんだって」と自分のコップに入った牛乳を飲ませてあげていた。それから机の上に置いていたキャラメルコーンの小袋を勝手に開けて食べ、「くじらちゃんこれもすきなんだって」と言う。「え、キャラメルコーンも好きなんだ!というかそれ全部食べたらダメだよ」「うん、ばななとぎゅうにゅうときゃあめるこーん」それって本当はサイが好きな物じゃないだろうか。バナナと牛乳とキャラメルコーンが好きなクジラ。サイはメロンパンナとクジラちゃんを両手に抱いて登園。自転車に乗っているとクジラちゃんはヒゲが風でなびくのを嫌がっているとサイは教えてくれた。
 
夜、お迎え。サイの入園以来ずっといた園長先生が3月末をもって退職される。園長先生はとても優しく可愛らしくサイにも他の生徒にもいつも名前を覚えて話しかけてくれた。入口には季節折々の綺麗なお花や飾りがいつも飾ってあった。そういうのが好きな人なんだろうなと思っていた。サイは美しく飾られた花を見る度に「おかあちゃんのすきなおはなだね」と教えてくれた。保育園の雰囲気はこの園長先生によるものが大きいと思っているからいなくなるのはとても寂しい。別の保育園に変わってしまうくらいの動揺と不安がある。お母さん達からの信頼も厚いので、皆次々に挨拶していた。私も話したいと思ったが人がたくさんいたので遠目から見ていた。こういう時に気後れしてしまいいつもうまく入れない。昔からずっとそうだった。サイと自転車に乗って帰宅。コンビニでサイはお菓子を我慢できた。偉い。
 
帰宅即ビール。飲みながら料理するのが好きだ。夕食はしらすとチーズのオムレツ(サイが卵を割ってかき混ぜてフライパンに入れた、しらすとチーズめちゃくちゃ美味しい!)、トマト、ミートボール。夕食後、サイは「くだものやさんごっこ」をしたいと言い、いつか私がしたようにダイニング椅子を一つ運んできて空洞になっている背もたれに自分でハンカチをかけた。それからもう一枚ハンカチを持ってきて頭に巻いてくれと言われた。果たしてそれが果物屋さんの正しい姿なのか分からないが赤ずきんというか真知子巻にしたら喜んでいた。それでハンカチの奥からいらっしゃいませーと声をかけてくれたので「桃下さい~」と言うと私が以前作った紙でできた桃をくれた。顔がついているのとないものがあったので、ないものには描くように言われる。入浴後、就寝。シャーリー・モーガン作/エドワード・アーディゾーニ絵『あめあめ ふれふれ もっとふれ』を読む。読む本はいつもサイが選んで保育園から借りて帰る。わりと絵本には詳しいと思っているがまだまだ知らない絵本がある。『あめあめ ふれふれ もっとふれ』も初めて知ったが挿絵も言葉もとても好きな感じだった。なかがわちひろさんの訳がよかったのかもしれない。手前味噌だが、読み聞かせが随分上手くなってきた気がする。登場人物ごとに声色や抑揚を変えると楽しい。あと台詞には感情を込めること。とにかく役になりきりその場面に身を投じる。雨で外に出られない子ども達が窓の外を眺めながら色々と妄想する話だった。やや話が長かったので私の方が先に眠くなり読みながら全然関係ない言葉を口走ったりして何度もサイに「ちゃんとよんで!」と注意される。サイも眠そう。なんとか最後まで読み終えて絵本を閉じたらサイは即寝。とうに終わったのに未だ観れていない三回分の『anone』を観たかったが私も眠気に負ける。
 
 
3月30日(金)快晴 肌寒い
昨日までと打って変わって寒い。花冷えというやつだ。朝ごはんのあんぱんを割って「くりーむがよかったなぁ」とつぶやく。え、餡子好きじゃなかったっけと思いつつ子どものブームはすぐ去ることを改めて実感する。昨日コンビニで買ったブルガリアヨーグルトを二つの器に分けて入れてくれる。全然こぼさなくて上手に入れられるようになったなぁと感心。やりたがっているし料理もどんどん手伝ってもらおう。
 
お昼休み、そうだ園長先生に花を贈ろうと急に思い立ち、持参したおむすびを3分くらいで食べて会社から少し歩いた場所にあるお気に入りの花屋さんに行った。今日は予約なしでは難しいと最初言われとても忙しそうだったが諦めきれずお願いすると特別に作っていただけることに。好きな人には好きな花屋で買いたい。サイが好きなピンク色で小さな花束を作ってもらう。自分のものでなくても花屋で色んなお花を見たり花束を持って歩いているだけで嬉しい。ありえないくらい大きな花束をいつか誰かにあげてみたいしもらってみたい。時代が変わり技術が発達してどんどん色んなことが簡素化されても、花を贈る文化だけはずっと残り続けて欲しいなと考えていた。それから、普段あまり行けないミニストップで「完熟あまおう苺ソフト」を買い、公園のベンチに座って食べた。空気は冷たく肌寒いけれど日差しがぽかぽかと気持ち良かった。桜の花びらが空を舞っていた。右隣の男子高校生は塩むすびを食べていた。左隣のおばあちゃんは何もせずただ桜や空を眺めていた。私は綺麗なピンク色をしたアイスを食べながら色々なことを考えていた。静かだった。外に公園で過ごすのは気持ち良いので昼休みにまた来ようと思う。
 
夜、お迎え。園長先生に挨拶する。昨日と同じように園長先生に挨拶している数組の親子がいた。話している親子の後ろで話が終わるのを待ちつつサイに「園長先生に花束渡してね」と言うとサイは使命感に燃え、親子に割って入って渡そうとしたので「まだだよ、順番ね」と制止した。こういうところがいかにも子どもらしくて良い。前の親子が去るとサイは少し恥ずかしそうに花束を渡した。私は園長先生がいてくれたことでサイというより自分がどれほど救われたか安心していられたか、思いの丈を伝えた。クラス最後の日なので、保育園の廊下は挨拶する親や先生でざわついていた。私が数日前に出た貼紙通知をちゃんと見てなかったせいで見落としていたが、担任のK先生(MJ似の一番歳上の先生)が別の園に転勤で今日で最後だと知る。お花も手紙もない。しまった。とにかく挨拶はしようとサイと先生にお礼を言う。サイは照れて話の途中でどこかに消える。状況を呑み込めていないようだったので「K先生と今日でもうお別れなんだよ」と教えると「なんで?」「別の保育園に行くんだよ」「……Kせんせいにえをあげたい」紙がない。仕方なく私の鞄に入っていた画用紙の切れ端と保育園にあったマジックを渡すとサイは廊下の床に座ってアンパンマンのような顔を描いた。それを持ってまた教室に入り奥で書き物をしていたK先生に渡す。K先生は驚いたような顔をして喜んでくれた。涙目だった。本当はもっとちゃんと用意できればよかったのだけど。改めてお礼を言い先生がサイに向き合おうとするとサイは教室の扉まで逃げ背中を向けチラチラこちらを見てスカしたような顔をしていた。完全に照れ隠し。それで先生はまた涙目になった。サイらしいなと私も思った。いつもより遅めに園を出て帰ろうとしたらサイは誰もいない暗い園庭から明かりがついた教室の窓の側まで一人歩いて行き、中にいるK先生をじっと見ていた。私はあえて一緒に行かず離れて見ていた。しばらくして中にいる先生が気づき泣きそうな顔でサイに手を振った。サイは最後の別れが済むと満足そうに私のところに来た。サイなりのやり方。春は出会いと別れだなとしみじみ感じながら自転車を漕ぐ。月が綺麗だった。

帰宅して夕食。豚肉と小松菜の卵炒め、トマト、ごはん。食後、『ぐるんぱのようちえん』。私も好きな絵本なので張り切って読む。入浴後、就寝。


3月31日(土)快晴 散り始め
春の陽気。朝ごはん、掃除洗濯。サイと歩いて公園へ。桜がはらはら舞っていて美しかった。そういえば春らしい写真を撮っていなかったと気付きサイに桜の前に立ってもらいiPhoneを向けるも歯を剥き出して変顔ばかりされる。公園は花見客で大混雑。この同じ場所で人が誰もいない真夏の炎天下、たった二人でピクニックしたなと急に思い出す。売店で適当に買ったものを誰かのシートとシートの間のスペースで食べる。大きなシートを広げて無人で場所取りされている部分がけっこうあり、昼間いないのなら昼間は他の人に譲ればいいのになぁと少し思う。でも見えていないだけで実は透明な人達が今そこで宴会していたらと想像して面白くなった。幽霊のお花見。

それからサイとTSUTAYAに行ってマクドナルドでアイスとポテトを食べた。食べ終わってサイはこんなアイス食べたくなかった、バニラアイス(公園のセブンティーンアイス)がよかったと急に騒ぎ出す。収集つかずそのまま手を引いて歩き始める。サイは歩きながらわんわん泣き叫んでいだ。あー仕方ないなと思っていたらいつも通る川が流れている橋に差し掛かり、二人で「あっ」となった。川がピンク色だった。よく見ると桜の花びらが水面にびっしり浮かんでいた。絵本みたいになんとも不思議な光景でサイと私はしばし無言でその光景に見惚れた。サイは泣き止んだ。「ピンクだね〜」と言い、また歩み出した。春がサイを泣き止ませた。

再び公園で遊んだ後帰宅してサイは昼寝。私はまともに食べなかったので急にお腹が空き、いただいたおやつを食べた。サイはまもなく起きた。夕食は買ったもので手抜き。入浴後、就寝。


4月1日(日)快晴 桜吹雪
お花見シーズンもいよいよ終わりか。朝からサイと電車に乗り、去年も行ったお花見に出かける。もうベビーカーなしでどこにでも行けるようになった。駅で友達と待ち合わせしてスーパーで買い物してバスに乗って向かう。スーパーで食品を触ったり走り回ることもなくなった。成長したなぁ。バス停や着いてからも迷い辿り着くまでに相当時間がかかったので知っている人の顔が見えた時はほっとした。主催のSさんが着いて荷物も置かないうちからビールはここにあるよと教えてくれて、私が今ビールを飲みたくて仕方ないことをよく分かっている人だなと思った。陸に上がると死んでしまう魚のような顔をしていたのかもしれない。

大勢の大人達に圧倒されて最初は靴を脱いでシートに座ることさえしなかったサイだが、サイに優しく接してくれた人達のおかげで次第に打ち解けて笑い声を上げていた。全く去年と同じだ。サイはギターを弾かせてもらったり、食べ過ぎて膨らんだお腹をふざけて見せびらかしたり大人達に混ざって楽しそうにしていた。私の方が多分うまく混ざれておらず、シートの端の方で飲んだり食べたりしていた。それでも好きな人達とゆっくり会話して楽しかった。サイは人見知りが激しいが慣れると愛嬌を振りまくのて世渡り上手というか私よりずっとうまくやっていけそうだ。ギターを弾いて好きな歌を歌う人がいたり辺りを散歩したり眠る子がいたり自由な空気が流れていた。花びらがブルーシートの上の食べ物や人の頭に舞い落ちていた。サイは花びらを「はる」と呼び必死に集めていた。

暗くなり解散してまたバスに乗って帰宅。サイは帰りの電車で寝てしまい抱えたまま家まで歩いた。夕食後、入浴。布団の上でかるたをした後パタンと就寝。楽しかったね。

 

去年のお花見以来一年ぶりに会えた人や久しぶりに会えた人がいて嬉しかった。こうやって季節が巡り春に桜が咲き、花見という大義名分のもと何となく同じ場所に集まって同じ景色を見ながら話したり笑ったりしてそれぞれまた元の生活に戻っていくって何だかいいなと思った。冬が終わり春が来ると植物が芽生え生き物が動き始めて私も毎年少し浮き足立ってそわそわする。外に出かけたくなるしその時にしかない美しい時間を好きな人と共に過ごしたくもなる。訪れる春はあと何回だろうか。また来年。