カニ日記

日記のような記録

湯会の後みたいな気分で最期を迎えたい

4月2日(月)快晴 葉桜

明け方起きてサイが寝ているのと反対側に頭をもたげて日記を書いたりしていた。だんだん気温が高くなり、素足で布団に触れるのが気持ち良い季節になってきた。布団からシンクロの選手みたいにぴんと足を出して布団の外側の冷たい部分を探るのが小さい頃から好きだった。あっここいいぞと見つけたらそこも次第にぬるくなるのでまた新たな冷たい場所を探す。それを繰り返す。素足の遊牧民

 

夜中に鼻詰まりで起きてぐずったこともあり、サイがなかなか起きないので先に着替えて朝ごはんも食べてから起こす。クジラちゃんが「すー」という効果音と共にサイのところに泳いでいく様子を見せたら喜んでくれたが眠いと言いなかなか布団から出てくれない。出発十分前にようやく起きてくれて朝ごはんを食べさせつつ同時に着替えさせるという荒業で急ぐ。今日から自転車は後ろ乗せ。後ろに重心がいくのでいつもの感覚と違ってフラフラする。後ろにいるサイは楽しそうだった。「大丈夫?え、大丈夫?」と誰に言っているのか分からない私の声だけが響いていた。トゥクトゥクを運転したことも乗ったこともないがきっとこういう感じだろうと勝手に想像した。保育園に着くと新しい園長先生が出迎えてくれて私もサイも少々戸惑いつつ挨拶。どんな人かまだ分からないが明るい人という印象だ。前の園長先生は明るい反面どこか物憂げな印象があったところが個人的に好きだった。

 

昼。最近行っていなかったお気に入りのパン屋に行く。職場から少し歩くので寒い時は億劫になる。パン屋の近くに怖そうなおばさんがやっている強気(穴が空いた汚いズボンが1800円もするなど値付けが堂々としている)なリサイクルショップがあって、店の奥にいる巨大なホワイトタイガーのぬいぐるみ(通称・虎夫、パン美人命名)がいるかどうか私は前を通る度にさりげなく店内をのぞいて確認している。一時見かけなくなって売れたかと思ったが、虎夫(とらお)は今日も同じ場所にいた。少し前は売り物のパナマハットを被らされるなどおばさんに弄ばれていて心配したものだが今日は何も被っていなかった。虎夫がいつか誰かに買われて欲しいのか欲しくないのか自分でもよく分からない。ビルとビルの隙間にある公園で買ったパンを食べた。スーツを着た男性の先客が二人いた。この公園は実は夢で見た幻ではないかと思うくらい喧噪の中にひっそりと存在しているがちゃんと実在する。

 

夕食は冷凍餃子、ベーコンとブロッコリーのオムレツ、トマト。帰宅して夕食準備しながらビール一缶飲み終えてしまった。これを毎日続けていると知らぬ間に太るので要注意。夕食後、サイと「パンツまてまてゲーム」(サイ命名)をする。「パンツまてまて~」と歌いながら(ちゃんとやらないと叱られる)交代で逃げたり追いかけたりして先にお互いのパンツに触った方が勝ちという意味不明の遊び。入浴後、就寝。

 

 

4月3日(火)曇り

日の出が早くなってきたのに従い、サイの起床時間も早くなってきた。サイは先に起きて居間に行ってしまった。私はすぐ布団から出られずしばらくしてから行くとサイは自分が食べるバナナを剥いて輪切りにし皿に載せていた。すごい。私が珈琲を飲むと思って珈琲ポットまで用意していた。すごい。早起きしたので余裕があった。サイはカーズのレゴをしていた。レゴを持っているが『カーズ』の映画を観たことがなく「みたい」と言うので先日観せたらそこまで興味を示していなかった。車にそれほど興味がないらしい。ピクサー作品が好きな私もあまり面白さが分からなかった。幼少期(今でもだが)激しく車酔いした記憶が蘇るので車を見ると少し気分が悪くなる。サイは基本的に私が嫌いなものは好きではないのだろうか。そういうの良くないと思うが車に乗る機会もない。

 

夜、お迎え。玄関にはうーぱーちゃんに代わっておたまじゃくしの水槽が置かれていた。十数匹のおたまじゃくしがひらひらと元気に泳いでいた。小学生の時に性教育のビデオで観た無数の泳ぐ精子を思い出した。そんなことを思い出すのはおかしいかもしれないが思い出してしまうから仕方がない。

 

サイと私は帰宅直後にそれぞれヨーグルトとビール。夕食はレトルトのハンバーグとブロッコリーの卵炒め。夕食後アンパンマン。今からこういうシーンになるよと事細かに解説してくれる。サイはこの週末、お花見でよくしてもらったCちゃんに会えるのを毎日楽しみにしている。「Cちゃんいるかな」と今日も聞かれた。入浴後、就寝。Amazonで届いたサイの無地Tシャツにアップリケをしたかったが眠気に負ける。

 

 

4月4日(水)晴れ 暑い

サイは今日もいつもより1時間くらい早く起きた。私はもっと寝ていたかったが「きてよ~」と言われたため自分が持って行くお弁当を作る。朝から弁当作りなんて偉いなと思ったがやっている人は毎日やっている。かりかりベーコンのチャーハン。サイが味付きご飯を嫌がるので最近食べていなかったが、そうだ私はチャーハンが好きだった。

 

夜。夕食。暑くてフライパンを使いたくなくて簡単に済ます。数年前に買ったが旅先で一度来ただけでなぜそれを買ったのか自分でも全然分からない無数のバレリーナが全面プリントされた派手なTシャツを着ていたらサイが「このひとはほかのひととちがうね」とバレリーナの柄を指さして分析していた。目新しいものに敏感に反応するしいつもよく観察している。入浴後、アンパンマンを観て就寝。ホラーマン可愛いなと改めて思った。今日は財布を家に忘れて来たがお弁当があったので助かった。こういう時のために折った千円札をどこか(定期入れなど)に入れているという人を聞いたことがあるがそうした方がいいかもしれない。

 

 

4月5日(木)曇り 肌寒い

今日もサイは早起き。私が眠くて起きられずサイは先に一人で台所に行って何かしているなと思ったら「わーん」と泣き声。様子を見に行くと食パンを袋から出そうとしたが袋がうまく開けられず無理矢理出そうとした食パンが千切れたことで泣いていた。「おかあちゃんがこれ食べるから大丈夫。サイくんはきれいなやつ食べたらいいよ。」と言うと落ち着いた。自ら朝食を準備していたなんて偉すぎる。余裕があったのでベーコンと目玉焼きも焼いたがサイはベーコンだけ食べたので私が目玉焼きを2枚食べた。

 

夜。今日も手抜きごはん。20時からEテレハートネットtv』に大森さんが生出演されるのでいつもより早めにお風呂に入る。私がテレビを観てサイをあまり構わなかったことでサイは機嫌が悪くなりわざと他のチャンネルに替えたり泣いたりした。オリンピックのフィギアを観ていた時もそうだった。普段サイが起きている時間はサイが好きな番組やDVD以外観る習慣がないので受け入れられないのかもしれない。しかも大森さんが出ていないVTRの時など「おーもりさんどこ?」とイラつき「また出てくるから」と宥めるのが大変だった。サイにとって大森さんはテレビの向こう側にいる遠い人というより会って触れ合える人という感覚が強いためテレビの向こう側にいるのが不思議だったようだ。ぐずり続けて15キロの幼児を赤子のように抱いたまま観た。重かった。

 

集中して観れなかったが昨年8月31日に放送された内容に似た構成だった。主に明日から新学期を迎える十代向けの番組だったが、私が十代の頃はこういう番組はなかったように思うし、何よりインターネットが当たり前でない時代だった。その時とは確実に変わった現在、私の想像を超える恐ろしい闇がきっと存在するはずだ。そんな闇に苦しむ十代の誰かがたった30分間のテレビ番組で救われるかどうかそれは私にも分からないが、生きることを明日からも続ける可能性がひとつでも残るといいなと願った。この手の番組はサイが生まれてからどうしても親目線で観てしまう。サイが将来「学校に行きたくない」とか「死にたい」と訴えた場合あるいは訴えなくてもそんな気がすると悟った場合に私は何が言えるのか、また誰かが学校に行くことや生きることを辞めたくなる要因を作る側の人間になったら私はどうすべきか、そういうあらゆる状況を想定してしまう。被害者になるばかりとは限らない。殺人だって起こす可能性だってある。親子とはいえ別の人間なのだから絶対なんてない。親としてどこまで何ができるのか、サイが生まれた時いや妊娠した時からずっと考えている。

 

番組終了後、就寝。十代なんて遠い昔に終わったはずなのに番組を観たら当時のトラウマがじわじわとぶり返してきて苦しくなり、後でもう一度観ようと思って撮っておいた録画を観るのを何となく辞めた。番組の最後に新曲(番組のために今朝書き下ろしたばかりと後で知った)をカメラの向こう側の一人一人に訴えかけるよう歌われいていた大森さんはとても美しく目が合う度にドキドキした。

 

 

4月6日(金)晴れ 暖かい

サイはまた今日も私より早く起きて台所へ行き、何かしているなと思って様子を見に行ったらサイと私のお皿にそれぞれ焼く前の食パンとその上に冷蔵庫から出した生のベーコンを一枚ずつのせていた。生のベーコン…。正しく朝食の準備ができたぞというサイの達成感に満ちた表情と生のベーコンが食パンにのっている様子があまりにも愛おしく、ありがとうと言ってぎゅっと抱き締めた。それから「これはちょっと焼いとこうか」とプライドを傷つけないようベーコンをさっとフライパンで焼いてトーストしたパンにのせた。それをサイがテーブルまで運んでくれた。一緒に暮らしている感がすごい!育てているという感覚がどんどんなくなる。サイは自分で用意したトーストは食べずバナナを食べた。だから私が食パンを2枚食べた。また太る。確か10年くらい前、何かのダイエット番組で子育て中のお母さんが「いつもこういう感じなんです」と子どもが残した分も合わせて山盛りのパスタを食べている映像がダメな事例として紹介されていて、その時はお母さんって大変だなとぼんやり観ていたが、サイが残したものを食べる度にその映像を思い出す。

 

登園。玄関のおたまじゃくしは数日のうちにも日に日に大きくなっている。私はカエルが苦手なので、この子達はもうすぐカエルになるのかと思うとちょっとぞっとした。サイは私が「おたまじゃくしはカエルになるんだよ」と教えたのを覚えていて見る度に聞いてくる。

 

お昼。久々にパン美人と食べる。可愛いお菓子をくれた。真面目にお金の話。化粧品に月々これくらいかかっているのだけどどうかと聞くとやはり同じくらいで倹約しなくてはいけないが年齢の問題もあるし特に基礎化粧品にかかる分はどうしようもないという話になる。歳をとるとお金がかかる。前会った時(二週間くらい前)より凛として見える!言われて単純に嬉しかった。

 

夜。お迎えを代わってもらい、町田康さんの新著『湖畔の愛』サイン会へ。新宿紀伊国屋町田康さんは生きている中では一番好きな作家。初めて読んだのは大学生の時で、片想いしていた人が読書マラソンで感想を書いていたのを購買で見つけて気になって読んでみたのがきっかけ。その後好きな人とは何も起こらず、でもその人はどうでもよくなるくらい町田さんの小説が面白くて没頭し作品を片っ端から読んだ。サイン会は行けたら毎回行くようにしている。今や大御所と言われる作家であろう町田さんは今でも新刊が出ればほぼ毎回サイン会を開いてくださる。そんな作家は他にいない。だから私も死ぬまで永久に行こうと思う。いつも物凄く緊張するため挨拶だけで何も話せない。でも今日は話したいと思い、震えながら小声で「先日ライブに初めて行きました、とてもよかったです」と伝えると署名を書いていた神妙な顔つきが急に緩み「ほんまに?6月にあるからまた来てな」と笑顔で言われる。ひいいいい。3月に町田さんが近年されている音楽活動「汝、我が民に非ズ」のライブに初めて行った。歌う姿をちゃんと観たのは初めてだったが小説に通じるような美しさがあった。また聴きたい。6月頃待望のアルバムも出るらしく楽しみだ。いつか大森さんと対バンして欲しい。夢。かっこよかったなというぼんやりした頭で下に降り、『フィルカル』最新号を買い店を出る。と、紀伊国屋地下でビールセット千円という幟を見つけ、もうそれを見たら吸い込まれるように入店してしまい一杯だけ飲んで帰宅。

 

サイを寝かしつけて、それからお風呂に入ろうとするが自分一人だとだらけてしまってなかなか入れない。気合を入れてようやく入浴し、サイが明日着て行くTシャツにアップリケをする。無音で数時間集中。器用ではないがこういう作業は嫌いではない。途中で眠くなりうとうとしながら縫っていたら朝が来た。

 

 

4月7日(土)雨時々曇り 寒いが中は暑くて熱い

最後の仕上げをしているとサイが起きたので布団の上で作業(去年と同じ…デジャヴ…)。サイは玉止めした糸をはさみで切るのをやりたいと言い張りきって切る。やっと完成。朝食後準備して湯会へ出発。友達との待ち合わせに30分ほど遅れるが友達も遅れてちょうど同じ時間になる。よかった。新小岩駅からのバスの中でサイはずっと「ちんちん!」と絶叫し乗客に失笑されていた。私はビールを飲むことしか頭になかった。

 

会場である東京天然温泉古代の湯に到着。受付に並んでいる間、テンションの上がったサイは落ち着かず走り回ったり展示物に触れ気が気でなかった。ようやく中に入り食べ物を調達し他のお子さん連れの方と合流して3階の食堂で乾杯。盛り上がっているライブ会場のある4階と違い、食堂フロアはおじいさんおばあさんが多くいてこれぞ温泉施設というまったりした空気が流れていた。昼間から湯に入って一杯なんて平和そのものではないか。人見知りしてゲームコーナーに逃げてなかなか着席しなかったサイはアイスを買うとようやく落ち着いた。最後はアイスでも何でも落ち着いてくれるなら何でもいいやの気持ち。たことイカのから揚げが美味しかった。嬉しくてみんなでたくさん頼んでいたら偶然会った大森さんファンの知り合いに「あ、宴会してる」と言われる。そうだ、これは宴会だ。楽しい以外の感情がなかった。親としてちゃんとしておかないといけないからと飲むか迷うけどやっぱり飲もう!と飲んでいた方がいて、何も考えずに真っ先に飲んでいた私は少し恥ずかしくなった。普段からそういうことを考えたことがなかった。サイはあんなに会いたいと毎日言っていたCちゃんにかまってもらえたのに照れて顔を背けていたが途中から抑えていたものを解放するようにCちゃんにべったりだった。

 

それからサイと二人で大宴会場に行った。出店が目当てだった。出店者一覧で見てから気になっていた、にどみさんがいらっしゃったのでサイと私の似顔絵を描いていただく。とても優しくて可愛らしい方だったし描いてもらった絵も本当に可愛かった。それから、大橋裕之さんのお客さんが空くのを待って、大橋さんにも似顔絵を描いていただいた。漫画が好きで憧れていたのでお会いできて嬉しかったがとても緊張した。似顔絵を描いてもらう間、あの漫画のような目でじっと見つめられたのでつい目を逸らしてしまった。大橋さんの作品はこの目力と観察力で作られているのかとしみじみ考えた。爆音の中、漫画が好きだということを伝えた。Tシャツを買ってサインをお願いしたら、Tシャツのイラストに合わせてマジックで小さな絵を描き加えてくださり感激。「僕の名前書いていいですか?」となぜか聞かれ、サインだから当然なのに謙虚な方だなと思った。舞い上がってTシャツを受け取った後、代金を払うのをすっかり忘れたまま去ったことに途中で気づいて戻る。写真は嫌だけど好きな人に描いてもらう似顔絵は好きだ。お二人に描いていただいた絵は一生大事にしたい。

 

3階に戻ると宴会は終わったようで他の方が綺麗に片付けをしてくださっていた。勝手な行動をして申し訳なかったなと感じた。それから皆で4階に上がり、大森さんのランチェキ(初めてのランダムチェキ!)を買ったり知り合いに会って話したりして相変わらず楽しかった。会った人は皆漏れなく楽しそうで、それが私には一番嬉しかった。ランチェキを子どものようにお互い見せ合ったりして、子どもの頃妹とお互いが当たったセーラームーンのカードダスを見せ合いっこした記憶が蘇った。

 

まもなくライブが始まり、大森さんが去年と同じように旗を持って登場される。大森さんはチェキと同じミニスカート、ビスチェ風トップス、くるぶし靴下という最強可愛いコーディネートだった。靴下可愛すぎる。大森さんの靴下だけで卒論が書けそうだ。あぁ楽しい、いいなぁと思って聴いていたらあっという間にライブが終わった。日記に書けない嬉しいこともあったし途中涙も流した。久しぶりにライブを聴いた!という実感があった。誰かと感想を言い合うのも違う気がして、サイと二人だけでライブ会場向かいの軽食スペースに行き、サイはアイス(本日二本目)、私は冷えた缶ビールを飲みながらお互い無言で先ほどの余韻に浸っていた。

 

印象的だったのは、大森さんが宴会場の中央で歌われていた時、私はステージから全体を俯瞰するように観ていたのだが、さっきまで出店ブースに座られていたはずの大橋裕之さんが輪になっている観客の後ろの方に立って大森さんが歌う様子をじっと見られているのに気付いた。似顔絵を描いてくれた時と同じ吸い込まれそうな目で瞬きせずに。私はその姿に見入ってしまい大森さんを観るのを一瞬忘れるほどだった。そして大橋さんの漫画と大森さんの歌は通じるものがあるなと考えた。二人ともこの世界で真ん中に立てない人のことをそっと掬ってくれる。

 

全ての出演者が終わった後はDJの音楽でみな楽しそうに踊っていた。私はクラブとかそういう場所には行かない(初めて行ったのは海外留学していた二十歳の時でそれはもうすごい体験だった。別記したいくらい面白い。)のでどうしたらよいか分からず後方に座って踊る人達を眺めながらビールを飲んでいた。でもそれがすごく楽しかった。私は自分が入れなくても人が楽しそうにしているところを見るのが好きだということに気付いた。楽しそうだったら何でも言いという訳ではなく、多分自分がそこに入りたいなと潜在的に思っている時にそう思うのだろう。サイも踊りはしないが楽しそうに観ていた。私達はそういうところが似ている。

 

終了後、3階のゲームコーナーでサイは大人達に太鼓の達人や他のゲームで遊んでもらっていた。古代の湯のこのゲームコーナーが私はとても好きだ。最近の機械はないが、懐かしいゲームがたくさんある。今やネットや家庭でゲームができる時代だからゲームセンターに行く人は少ないかもしれないが、古いゲーム機のデザインや安っぽい音楽、機械に百円玉を投入してあっけなく終る感じとかもう全て愛おしい。中でもエアホッケー(というのか)が小さい時とにかく好きで、ダイエーなどで見かける度に親にねだっていたが毎回はさせてもらえずたまに百円もらえると妹と大興奮してやった記憶がある。あるのを見つけて誰かやってくれないかなと可愛い女の子を誘ってみたら一緒にやってくれて嬉しかった。サイにやらせたら守備ができず、すとーんと盤(?)が一直線にゴールに入っていき、その様子を見て私はげらげら笑っていた。

 

ひとしきり遊んだ後、湯に入る皆と別れて会計を済ませて二人でバスに乗って帰った。出口付近で再びにどみさんに会い、ご挨拶して下さる。サイがにどみさんのバッジをTシャツにつけていたので喜んで下さり、「これは暗闇で光るんだよ」と教えてくれた。バスがなかなか来なかったために駅に着くといい時間になり、サイが空腹でぐずり出したので駅前のガストで私はラーメン、サイはお子様ランチを食べた。ファミレスで二人で向かい合って食事できるようになるなんてね、としみじみした。電車に乗って帰宅。サイはずっと機嫌がよく元気だった。帰宅後、サイが見たいと言うので、部屋を真っ暗にしてにどみさんのバッジが光る様子を見て二人で笑った。お風呂で突然わんわん泣き出したと思ったら風呂からあがった途端に裸のままぱたんと眠った。疲れたよね、でも楽しかったね。

会いたいなと思っていた人にも会えたしとてもいい日だった。最期死ぬ時はこういう楽しい気分のまま死にたいなと思った。また来年。

 

 

4月8日(日)晴れ

楽しい余韻が続く休日。朝起きて片付け(荒れていた)、洗濯。Kくんのお母さんから「遊びませんか?」と連絡が来た。普段人から誘われることがほとんどないので、自分ではなくサイが誘われたとしてもただただ嬉しい。サイと自転車で出発。途中でおにぎりとから揚げを調達して待ち合わせ場所の図書館の横にある公園へ。雨の日に図書館に何度か行ったことはあるが、この公園は初めて。芝生が広くて木がたくさんありとてもいい公園だった。Kくんはサイが保育園に入った数か月の時からずっと一緒だ。先に着くとサイはKくんがいつ来るかいつ来るかとそわそわしていた。

 

Kくんが来てサイがここがいいと言った場所で買ったものを食べる。Kくんのお母さんは近所のスーパーで色々買ってきてくれた。サイとKくんが喧嘩しないようおやつや飲み物は同じものを二つずつ。サイ達が途中で遊具のところまで行ってしまったので近くのテーブルに移動し仕切り直す。サイとKくんははしゃいで鳩を追いかけたり枝やどこかに落ちていた手袋を振り回していた。私はKくんのお母さんと初めてゆっくり話した。色々な話をした。何かの話の続きだと思っていたら急に「初めて会った時(3年前)からずっとサイくんのお母さんと仲良くなりたいと思ってて」と照れながら言われる。三年越しでそんなこと言ってくれるなんてそれ自体がもう可愛すぎて泣きそうだ。誰かに好きだとか仲良くなりたかったとか言うことはあっても言われることなんて滅多にないのでドキドキした。私でよいのでしょうか、という気持ちにもなった。Kくんのお母さんは豪快でまだ離乳食を食べたことがないKくんに焼肉を食べさせたエピソードを私は気に入っている(過去日記参照)。豪快で何でもいいよという感じだけどとても気が利く方で他のお母さんと群れずにいつも一人でいて何となく陰がある。よく笑って話が面白い。私の好きなタイプでないか。そしてKくんも実は私のことが好きでずっと話しているとお母さんは教えてくれてまた嬉しくなる。人に好かれることがないので嬉しくて戸惑ってしまった。Kくんのお母さんは二人目を妊娠してもうすぐ生まれる。性別は聞いていないそうだ。お酒が好きなのでノンアルコールを毎日飲んでいると教えてくれた。また飲めるようになったら一緒に飲みましょうと約束して別れた。声をあげて走るKくんの背中を見て、サイとKくんが成人したら乾杯したいなと一人妄想していた。その時私はかなりの歳だ。それを考えたら一瞬ぞっとしたが長生きしなければ。

 

スーパーで買い物をしてから帰宅しサイは昼寝、私はアイスを食べた。パルムの香るベリーショコラが美味しすぎるのでスーパーで見つけて複数買いした。夕方、サイ起床。テレビでYoutubeを観る。誰かが撮ったアンパンマン着ぐるみショーの動画。それから夕食。鯵の蒲焼と出し巻卵。鯵を焼いていると美味しそうで休肝日にするはずが発泡酒を開けてしまう。夕食後、サイとアンパンマンショーの動画を観ながら踊り狂う。湯会の影響で現場ロスになっている。ライブはもちろん、アンパンマンミュージアムでさえ行きたくなってきた。現場にいる臨場感や気分の高揚は何にも替えがたい。入浴後、就寝。私達は暗闇でにーっと顔を見合わせるのが好きだ。楽しい週末を終え、さあ明日からまた。