カニ日記

息子の成長と日々の記録

新緑の眩しさがクラウチングスタート

4月9日(月)

朝。パンとバナナ。月曜日のバタバタ登園。おたまじゃくしは更に成長していた。口をぱくぱくし動かしているのもはっきり見える。ここまでくると両生類なんだなと感じる。ソメイヨシノはほとんど散ってしまい新緑がどんどん伸びている。この屈託のない瑞々しい緑色よ。私が何を考えていてもいなくても新緑の季節はやってくる。あっという間に夏が来るだろう。

 

夜。しらすと新たまねぎのチャーハンと冷奴。大量のしらす消費メニュー。ポン酢で味付けして隠し味に少しバターを入れてみたら驚くほど美味しくて自画自賛。しらすはバターやチーズと合うらしい。旬のうちにしらすメニューの研究を続けたい。味付きご飯が嫌いなサイは食べず冷奴だけ食べた。SBのチューブ入り刻み青シソがとても使える。入浴後、就寝。サイが寝た後、布団で音楽を聴いていたら心地よくていつの間にか寝てしまっていた。音楽で入眠すると安眠できる気がする。特にアコースティックギターの音が良い。

 

 

4月10日(火)

朝。クロワッサンとバナナ。サイのバナナブーム再興か。傷んで変色した部分は食べない方がいいと言ったら「だいじょうぶよ」と平野レミのような言い方で言われる。「黒く傷んだ部分」=「腐敗している」とサイは分かっておらず何度言っても他と違う色をしているから特別で良いものだと思い込んでいる。真っ黒だとさすがに止めるが許容範囲かなと思いそのまま食べさせる。

 

昼。せっかく作ったお弁当を家に忘れてきたので久しぶりにフレッシュネスバーガーで食べた。フレッシュネスのポテトは美味しい。行く途中に数か月前に開店した激安定食屋があり、そこに行列ができていた。たまに外に立っている店主は何やら主張したそうなおじさんで、トタンでできた店の外壁の至るところに派手な色の紙に太字で書いたメニューと価格が貼られている。この感じなんだろう、意識高い系、いや意識溢れ出ている系というのだろうか。どうだ良いだろうと強く主張してくるものが私はやや苦手なのでいつもおじさんと目が合う度に「絶対入らんぞ」という顔をして前を通り過ぎる。繁盛しているから無意味な抵抗。

 

夜。サイが食べたいと言い回転寿司へ。サイがいなり寿司の皮だけ食べているのを見て、浜崎あゆみが寿司のネタ部分しか食べないといつかMステで話していたのを急に思い出す。サイは店の壁にかかった数字が寿司になっている時計を見つけて喜ぶ。会計時に寿司の形をした飴をもらい喜ぶサイ。飴は困ると思ったが店の好意を無碍にできない。家に帰る途中、公園で大学生の集団が花見(?)をしていた。なぜ大学生と分かるかと言うとこの時間に私服で酒を飲んでいるからきっとそうだと思った。あと見た目が若くて醸し出される空気が学生だった。集団が少人数グループに分かれ男女で話している姿が眩しかった。自分の学生時代にこういう経験が皆無だったので絵に描いたような光景を見ると嬉しいような苦しいような気持ちになる。帰宅後、サイは寿司の飴をがしがし齧っていた。虫歯が心配だったが止められなかった。入浴後、缶チューハイをごくごくと水のように飲んだ。就寝。サイが寝た後またビール。

 

立候補した覚えがないのにいつの間にかなっていた保育園クラス委員に関するメールが数件来ていて、とりあえず見なかったことにする。

 

 

4月11日(水)

朝。怠い身体。昨晩飲み過ぎたかもしれない。サイが寝起きで「かわいいおかあちゃん」と言ってくれる。なんと。バタートーストとキウイ。キウイの皮を剥くのが面倒で半分に切ってスプーンで食べてみるか聞くとそうしたいと言うので渡すがやはりうまく食べられず結局皮を剥いた。剥いて渡すと「すごいね」と魔法を見たように喜んでくれた。

 

出社前にコンビニに寄った際、財布を家に忘れて来たことに気付く。サザエさん。スイカのチャージが少しあったのと持参したおにぎりがあったので助かった。財布がないということはお金を遣わないということなので究極の節約方法かもしれない、と前向きに捉える。

 

夜。夕食は鶏胸肉とブロッコリーオーロラソース和え、トマト。サイは珍しくよく食べてくれた。オーロラソースに牛乳を入れて予め温めるとまろやかになって美味しい。一度しかやってないが海老でやっても美味しかった。海老は高い。あと火を通すと悲しいほど縮む。ああ大きな海老が食べたい。入浴後、就寝。いくつか嫌なことがあった。外からは見えない脂肪のように蓄積していく。二人一組でやるクラス委員の相方のお母さんから何件もラインが届いていたのに全然返せなかった。

 

 

4月12日(木)

早朝に起きたがクラス委員の案件に取り掛かれず。でもやるべきことは分かった。いつもこうやって事態を飲み込むまでに時間がかかる。興味がないことに対しては特に。入社して初めて配属された部署から次の部署へ異動になった際、厳しかった部長が新しい部長に「この子は何かに適応するまでに人一倍時間がかかります。でも慣れたら能力を発揮してくれると思います。」と私を紹介していたのがずっと忘れられない。本当にその通りで、自分でも信じられないほど適応までに時間がかかる。でも慣れると面白いように自分の中に嵌って楽しくなる。学生時代のバイトも慣れて楽しいと思うまでに相当時間がかかり、それで先輩や店長をイラつかせることが度々あった。やるべきことに手をつけないままぼんやりしていたら昨日の色々がじわじわと押し寄せてきて、朝から自己嫌悪になる。天気のせいにしたくても、できない時がある。サイが起きてくれたので一瞬忘れて朝ごはんや支度。することがあれば余計なことを考えずに済む。

 

夜。新玉ねぎと人参と挽肉のオムレツとトマトと冷奴。卵が多すぎるのかフライパンが寿命なのかうまく巻けなかった。悲しい。サイは冷奴ばかり食べてオムレツを食べてくれなかった(一丁くらい食べた)。オムレツの具にもSBのチューブ青じそを入れたらガパオ風になり美味しかった。使える!夕食後、お風呂を洗っていたらサイがスイッチを押したいと来る。その後、風呂場の鏡を画面に見立てて自撮りごっこをして遊ぶ。サイはうさちゃんピースもできる。げらげら笑って楽しかった。

 

入浴後、布団の上で二人で大森さんの新作アルバムレコーディング風景の生配信を観た。「おーもりさんはどうしてひとりなの?」としきりに聞かれる。レコーディングの様子は初めて見たので興味深かった。一度録った音にキーの異なる歌声を何度も重ねて録音したりサビのギター演奏を試行錯誤するなど、地道な作業を経て音源は完成する。大森さんは以前、盤の制作をお墓に埋めるような感覚とおっしゃっていたが、音源には生のライブとは違う美学や面白さがあるなと考えさせられた。画面の向こうの大森さんはキャンバスに絵の具を塗り重ねていくように歌声を重ねていた。魔法みたいだった。最後数分のところでサイの眠気が限界に来たため中断。

 

サイは「おんがくはまほーではない」と何度も繰り返し歌ってから寝た。サイが『音楽を捨てよ、そして音楽へ』を歌うところを初めて聴いた。「音楽」と「魔法」という言葉を発しているのを聞いたのも初めて。サイは私が教えなくとも好きなものや関心あるものは勝手に覚えていく。意味を分かっていなくとも、二つの単語を初めて覚えたのが大森靖子さんの歌だったなんて嬉しい。

 

 

4月13日(金)

寝坊。サイも夜更かしさせたせいでなかなか起きられず今日は休みかと聞かれる。ごめん。私は朝食パス。サイは勝手に冷蔵庫から出して蒸しパンを食べた後、もっと何か食べたいと言われたのでパン美人にもらった一本堂のレーズン食パン。苦手なレーズンを器用に取り除いてお皿の隅に寄せていた。その後、冷蔵庫の加熱用チーズとバターを取り出し「これ食べたい」と言う。夜にこれで何か作るから今は勘弁して欲しいと訴えるも不服そう。バターの美味しさに目覚めてしまったらしい。しかしサイの食欲はすごい。留まるところを知らない。

 

昨日聴いた新曲が脳内でリピートされつつ出勤。アルバムが本当に楽しみ。勤務中、窓の外に気配を感じていよいよ気がおかしくなったかと思ったら窓清掃の人だった。近々大規模な引っ越しがあるので清掃業者が入っているようだ。窓の内側から窓を拭く人の足元を眺めつつどうか落ちませんようにと願う。昨日失くしたと思ったイヤホンは給湯室にあった。

 

夜。昨日のオムレツの具の残りをごはんにかけ目玉焼きをのせてガパオライス風に。本物のガパオライスがよく分からない。入浴後、就寝。

 

 

4月14日(土)曇り

昼前に待ち合わせし、友達親子とフルーツパーラーへ。フルーツサンド、ハムと卵のサンド、苺パフェ、プリン・ア・ラ・モードと食べたいものを全部頼んで食べる。サイが店内で大声を出していたので注意される。絵本や子ども用食器を貸してくれたり気を遣ってくれたが、長居していた分けでもないのに1分おきくらいに空いた食器がないか確認しに来られて何だか落ち着かなかった。それでもサイと友達の娘Yちゃんが満足そうに食べていたのでよかった(サイの食べるスピードの速いこと!)。子ども達は特にプリン・ア・ラ・モードが気に入ったようだった。一方で私はあまり味わった気がしなかったので、改めてサイ抜きでゆっくり来たいなとも思った。その後、近くのアンパンマンショップやおもちゃ博物館へ行った。サイはYちゃんとおもちゃ博物館の庭園にある水の抜かれたプール(?)で走り回っていた。Yちゃんがくじらちゃんを可愛がってくれて嬉しかった。夕方、電車に乗って帰宅。サイは家に着くまでぐずらなかった。偉い。疲れたので夕食は買ったものや適当に調理したもので簡単に済ます。入浴後、楽しかったねと言い合って就寝。

 

私はサイが寝た後、何にも怯える心配がなく久々に朝まで一人時間を満喫できた。ビールを飲みながらアンパンマンショップで買った幻の漫画『アンパンマン初期作品集』(アンパンマンが子どもに嫌われている描写とかめちゃくちゃ面白い)を読んだり、録り貯めたドキュメンタリー番組を視た。『ラストアイドル』という大森さんが審査員を務めているアイドルのオーディション番組も初めて観た。ずっと観たかったのにタイミングを失ってここまで観ずにきてしまっていた。ちょうど第3期が始まったばかりだった。オーデション番組が好きすぎて、昔は食いつくように色んな番組を観ていたのだが(特に留学中に見た『Xファクター』が面白かった、優勝したレオナ・ルイスの歌が上手すぎて震えた…)、なぜか観ていると少し苦しくなり、若い頃に比べて一人の人間が優劣をつけられる姿を直視できなくなったのかもしれない。出演者が自分より歳下だということも関係している気がする。昔観た番組(番組名失念)で、足の脛に錘を落とされてどういう反応をするかという審査があったが、ライバル二人が一人はわざと大げさに痛がる、一人は黙って表情すら変えず堪えるという真逆の反応をしていて、それがずっと忘れられない。

 

明け方布団に入った。最初は裸だったアンパンマンがテレビのヒーローに憧れてあの衣装をジャムおじさんに作ってもらったなんて知らなかったな。

 

 

4月15日(日)雨時々曇り

朝ごはん。私はパン美人にもらったレーズンパン。サイはチーズトーストとキウイ。半分に切ったままスプーンで上手に食べていた。学習能力がすごい。朝食後サイがアンパンマンを観ている間に掃除、断捨離。迷いなくどさどさと捨てたら気持ちが良い。大事なものだけ残る。昼、地獄のように恐ろしいことがあった。絶望の淵。

 

気分転換に午後からサイと二人で出かける。公園を経由してTSUTAYAに行き、サイはアンパンマンの映画(選ぶ基準がロールパンナちゃんがパッケージにいるかどうからしい)、私はケン・ローチの『わたしはダニエル・ブレイク』を借りた。ケン・ローチは好きな映画監督の一人。イギリス映画が好きだ。それからスタバに行き、サイはお子さまミルク(レシートにそう書いてあるのが可愛い)、私は「アーモンドトフィートリプルチョコレートフラペチーノ」という名前だけで胸やけしそうなやつを発注する。年齢を弁えず未だにスタバの新作に果敢にも挑戦している。そしてたまに失敗する。気分が沈んでいたのでこういう過剰に甘そうなものを摂取したかった。会計時に「席の確保はお済でしょうか」と店員さんがわざわざ聞いてくれて「大丈夫です」と豪語したのに、座ろうと思っていた席は別の人に座われていた。トレーを持って右往左往していたら知らないおじいちゃんが「席ないのか?」と聞いてきて「ないです」と答えると、鞄で席取りされている空席を見て「このかばんは野郎だな」とか「こっちはどうだ」とかなぜか必死になって店内を歩き回って探してくれた。結局買ったものを紙袋に入れてもらい広場のベンチで食べた。サイは私のフラペチーノの上にのった生クリームを欲しがったのでストローですくって口に入れると幸せそうな顔をしていた。二人で食べようと思って買ったチョコレートワッフルをサイがぽろっと食べこぼしたらどこからか鳩がやって来て器用に咥えて去って行った。それを二人で見逃さなかった。サイはTSUTAYAでやったルパンレンジャー(多分一回しか観たことがないのにやりたがった)のガチャガチャで出た黄色い乗り物を果たしてそれが何かはっきり分からないまま鳩(敵?)に向けて追いかけていた。たくさん走って疲れたので帰宅して晩御飯まで二人で昼寝。夕食後、就寝。

 

 

嬉しいことも嫌なこともあり週末の天気のような週だった。あぁ大きな海老フライが食べたいな。たっぷりのタルタルソースに沈めて齧り付きたい。高校生の時、授業中お腹が空くと、よくノートの端にシャーペンで食べたい物の絵を描いていた。できるだけ本物みたいに。かつ丼とかオムライスとか。だから海老フライの絵を描こう。