カニ日記

息子の成長と日々の記録

小学生二人組の夏休みみたいな年末年始

12月31日(月)
夕方まで掃除。大掃除というよりただの掃除。部屋が久しぶりに綺麗になった。たくさん捨てた。いつのまにかサイが着られない服が思っていた以上に増えていた。夕方から歩いて買い物に行き、ピザを食べながら「大晦日だよドラえもん」。紅白が始まるとサイは「カモンベイビー(サイはそう呼ぶ)いつやるの」と何度もしつこく聞いてくる。「サイくんカモンベイビーすきなんだよ!」「うん、そうだね」というやり取りを何度もした。9時半頃DA PUMPが出ると満足そうにしていた。紅白前の番組でISSAさんが「今年USAを何度くらい歌われましたか」という問いに「わからないですね」と答えていたのがかっこいいなと思った。長年やってきて、一曲がヒットしてあまり呼ばれなかった歌番組で急に引っ張りだこになり同じ曲ばかり歌わされるのはどういう感情だろうと考えていたが嫌な顔はしていなかった。レコ大で他の曲も歌っていて、踊りも歌も昔と変わらずすごくてプロだなと感心した。

年越しそばも食べず静かに新年を迎えた。サイが寝た後、友達とだらだら電話しながら「ゆく年くる年」を観ていたら年が明けた。だから寂しくはなかった。


1月1日(火)快晴
朝早く起きて池袋でサイと『仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』。朝イチの上映。売店で生ビールを買う。サイは予告を観て音の大きさや映像の迫力に圧倒され「こわい」と言っていたが本編が始まると引き込まれていた。映画はめちゃくちゃ面白かった。途中泣いていた大人は私だけだろうか。感想を別途書きたいくらいだ。観終わってサイは「こわくなかったよ」とにっこりしていた。それならよかった。数年前は朝から晩まで泣いていた子とこうやって並んで二人で映画が観れるようになるなんてなぁ。西武の屋上で私はポテトとビール、サイはアイス。パンフレットを見ながら二人で感想を言い合った。

それからなんとなく巣鴨に寄った。きっと神社は混んでいるだろうし、絶対に初詣に行きたいというわけでもなかったがサイにお正月らしい空気を感じてもらいたいなと思ってなんとなく。とげぬき地蔵へ向かう商店街はたくさんの人で溢れていた。餅や甘酒を求める人や店先で売る人。元旦の空気だった。お参りをしたあと、二人で笑いながら頭に煙を浴びて、サイがやりたいというので人生で初めて射的をやった。ルパパトで圭一郎と魁利が射的をするシーンがあって、それを思い出してやりたくなったらしい。1回500円。高い。怪しげなアジア人のおじさんから受け取った射的銃はずっしりと重かった。先端にコルクをセットして回転する台に乗ったお菓子をめがけて発射する。私はこういうのが苦手なのでうまくできなかった。サイが持ちたがったので支えるようにしたら、サイが打った球がミルキーの箱に当たった。すごいなぁ。それからマクドナルドで休憩。外国人男女二人ずつの4人組がいて、そのうちの一人の女の子がコンビニで買ってきたヨーグルトをけだるそうに食べていて私がドキドキした。冬なのにみんな薄着だなとしげしげ眺めてしまった。

帰りに元旦から開いているSEIYUでサイの靴下とサイが欲しがっていたガイムアーマーのソフビ人形をお年玉で買う。レジでサイに千円札を渡すと満足そうに支払っていた。最近お金を触りたがる。地下でパック入のお寿司と大根とキャベツを買い、一駅分歩いて帰った。リュックの野菜がずっしり重かった。日が沈みかけていたが空気は澄んでいて気持ちよかった。サイはずっと『U.S.A.』を踊りながら歌っていた。最初は歌だけだったのに年末から歌番組などで繰り返し観るうちにサイのパフォーマンスはアップデートされていた。おせちもお雑煮も食べず、正月らしいことはしていないが二人きりの時間は自由でひそやかで楽しかった。サイと歩きながらこの感じはなんだろうと考えたら、小学生の時に放課後知らない道を探検した時の気持ちを思い出した。


1月2日(水)快晴
サイが仮面ライダーの別のソフビ人形が欲しいというので、昼過ぎから後楽園へ出かけた。二人で銀だこ(と私はビール)をそこら辺に座って食べた後、シアターGロッソ横のショップでカブトの人形を買う。これもお年玉で。サイは昨日かった人形と合わせて二体を大事そうに手に持つ。「観覧車に乗りたいなぁ」と言うと毎回拒否していたのに「いいよ、かんらんしゃのろうよ」と機嫌良く言ってくれる。二人で乗り場までウキウキで階段を上った。天気が良く空は澄み渡り、観覧車日和だった。列に並んでいよいよ次の番という時、いきなり「じゃあ撮りますので」と記念写真を撮られた。誰かが乗って降りたばかりの動く観覧車に遅れないよう乗り込んでドアが閉められて突然しんとする。この感覚久しぶりだ。私たちが乗ったその小さな空間はゆっくりと上がっていく。窓からの眺めは絶景と言うよりはどこもかしこもビルだらけだった。スカイツリーも見えた。これが東京だ。二人で遥か下に見えるウォーターボートの水を見てはしゃいだ。私が窓からの風景やサイの写真を撮っているとサイは「ビデオとってよ!」と動画撮影を求めてきて、言われるがまま動画を撮影した。サイは手に持った二体の仮面ライダー人形を何やら動かして紹介していた。きっとYoutuberになりきっているのだろう。最近こんなことをよくする。観覧車は乗った場所まであっという間に戻り、出口で紙のフォトフレームに入った最初に撮った写真を見せられる。私もサイも急に撮られてびっくりしたみたいな変な顔をしていたが、サイと映っている写真が嬉しくて買ってしまう。

それから東京ドームシティに入っている駄菓子屋さんに行った。それぞれかごを持ち、好きなお菓子を選んだ。選びすぎるサイに「もうそれで終わりだよ」と言うと、サイも真似して「ママもかいすぎ、おわりだよ」と言う。一緒に駄菓子を選ぶなんてやっぱり小学生の友達同士みたいだ。赤ちゃんだったサイの精神年齢がだんだん私に追いついてきて、子どもといるという感覚がどんどんなくなる。帰りにサイが千円以上のレシートで一回できるガラガラとまわす福引がどうしてもやりたいというので、本屋ではたらく乗り物が工作できる本を買い、一回福引をした。何も当たらなかったがまわして納得したようだった。

観覧車に乗る前に撮った写真を改めて見て変な顔してるねぇと二人で笑った。サイは「だってきゅうにとられたんだもん」と最もなことを言っていた。私は顔が丸かった。ビールを連日飲みすぎていることにここで初めて気づいて反省。


1月3日(木)極寒
二日間遊んだので一日家でゆっくりした。洗濯、掃除。サイとAmazonプライム仮面ライダー。電王と鎧武とオーズとカブトを最初から少しずつ観た。サイは鎧武とオーズがお気に入り。鎧武はフルーツの鎧がかっこいいし、オーズがコインで返信するのもかっこいい。オーズの主人公が「生きるのにちょっとのお金と明日のパンツがあればいい」って言ってるのがなんか良いなと思った。悪者が人間の欲望から生まれているというのもまた良い。お昼はインスタントラーメン。サイはハムと焼きのりを自分でかざって「うさぎちゃんラーメン」を作り、マロンクリームのぬいぐるみに見せていた。外ではもうお兄ちゃんだからかわいいものは好きじゃないとか言って強がっているが、毎晩メロンパンナとマロンクリームのぬいぐるみを抱いて眠っているのを私だけが知っている。サイのひみつだ。それから自転車で買い物。いつもの魚屋と八百屋は正月休みで閉まっていた。「あー閉まってるー」と言うと「ほらね」と言われた。すっかり暗くなったが公園で遊んでから帰宅。晩ごはんはぶり大根。


1月4日(金)快晴
サイは保育園初め。私は上野まで行き東京都美術館の「ムンク展」へ。入るのに30分以上かかるほどの盛況ぶりだった。ムンクの絵は生で観るのはもちろん、『叫び』くらいしか作品を知らない状態だった。画家はたいていそうなのかもしれないが、ムンクはこれまで観たどの画家よりも孤独な人に思えた。カメラによる自撮りを好んでいたらしく、自画像も多かった。友人の恋煩いや死など、描かれるテーマがとにかくどれも暗く、観れば観るほどムンクのことが好きになった。若くして家族を無くしたり、恋人と別れる際に指を失うほどの発砲事件に発展したり、精神病棟に自ら入院したり、さまざまな転機があり、その度に作風が変わり、彼の人生が芸術と密接であることを目の当たりにした。同じモチーフを執拗に繰り返し描いたり、描かれた人物が死神のようであったり、一見非現実的であるようで描かれているのは空想のものではなく現実だった。彼にはそう見えていたのだと思う。物販はビニール人形やブローチなど叫びグッズで溢れていたが、ムンクはこれを見たらどう思っただろうかなどと考えた。笑っただろうか。

夕方、お迎え。昨日のぶり大根。新春特番でドラえもんとしんちゃんがなくてがっかり。


1月5日(土)快晴 春みたいな天気
朝からパン美人と公園でサンドイッチとビール。サイは初めて変身ベルトを外に持ち出した。公園でベルトを組み立てて装着していた。朝の公園は空いていて気持ちよかった。この公園はすてきな人に教えてもらったお気に入りの公園なので好きな人としか行かないと決めている。都会にあるとは思えないほどのんびりできる。サイとパン美人と三人でシーソーをする。それからアイスを食べてからパン美人と別れた。買い物して帰宅。三日目のぶり大根。


1月6日(日)晴れ
久々のプリキュア、ジオウ、ルパパト。ジオウが面白かった。新たに加わったパラレルワールドの要素。ウォズもシノビもかっこいいので目が離せない。サイが面会をしている間にセールを見てまわる。伊勢丹に行ったが良いなと思うものはセールでも高かった。ジルサンダーのコートがかわいかった。でもこれを今ここで買うのはどうなんだろうと躊躇した。サイと公園で遊んでから帰宅。サイのリクエストで麻婆豆腐。七草がゆからほど遠い。明日から仕事なのが嫌で最後の悪あがきのように深夜3時くらいまで夜更かししたら朝起きるのが辛かった。当たり前。