カニ日記

息子の成長と日々の記録

肉と雪と三人のひげおじさん

2月8日(金)
母が今日から東京に滞在。サイのお迎えに行ってもらう。夜、Fさんと会う。初めて二人きりで会った。私が肉を食べたいとラインしたらその3分後に予約してくれたお店のカウンター席に二人で並んで座った。予約ありがとうと伝えたら「肉が食べたいという気迫がものすごく伝わってきて、予約しなかったら刺されるんじゃないかと思った」と笑われた。恥ずかしい。クリームチーズと鶏肉のパテ、ローストビーフ、ラム肉のグリル、牛タンのアヒージョ、手製ソーセージ、牛すじ肉のパイ包み焼き…あらゆる肉料理をお腹いっぱい食べた。全部びっくりするくらい美味しくて私は何か口にする度においしいおいしいとそれしか言語がなくなった人みたいに言い続けていた。「あーこれも食べたいな、いやでもこれも気になるなー」と私が迷っていたらFさんは全部頼んでくれた。パイ包み焼きが焼ける様子を二人でカウンターから眺めた。焼けたパイが運ばれてきて、私がパイを崩すという大役を担ってよいかスプーンを握ったまま躊躇していたら「ほら」と優しく言ってくれた。私が渡した誕生日プレゼント(渡すタイミングを計るのが苦手すぎて待ち合わせの駅で会った瞬間に押し付けた)を開けてから、Fさんはそっと紙で包まれた箱を鞄から出して私にもくれた。私がないから欲しいと言っていたコーヒーミルだった。私たちは誕生日が近い。すぐに時間が来てしまい、最寄駅まで一緒に電車に乗ってくれて、改札で別れた。Fさんはいつも別れる少し前、寂しそうな顔をして何も話さなくなる。だから私もあまり話さないようにした。そして私はFさんのことが好きだなとようやく自覚した。

帰宅したらサイはお風呂上りでご機嫌だった。三人で二枚の布団で寝たから少し狭かった。いつもと寝る向きが変わって旅先に来ているような変な気分になった。窓から入り込む冷気が寒かった。サイと母の寝息が聞こえていた。ついさっきなのにずっと前みたいな出来事の余韻に浸りつつ眠った。


2月9日(土)
朝起きて窓の外を覗くとたくさんではないが、はらはらと雪が降っていた。雪が道や屋根に積もり明るくて眩しい。昼前、母と一日違いの飛行機で着いた妹も家に来てそれから四人で出かけた。サイは外を歩きながら、「みちがしろい!」「あっ!はっぱもしろい!」「くるまもしろい!」と雪が積もった様子を興奮しながら実況してくれた。最初ルミネで昼ごはんを食べようとしたら子どもが入りにくそうな若者をターゲットにしたおしゃれカフェみたいなお店ばかりで全員で戸惑って、結局隣の東武のレストランフロアに行った。エレベーターを降りたら不二家のレストランがあり、サイもペコちゃんのお子様ランチが食べたいと言うのでそこで食べることにした。私の知っている不二家と違って店内はブルーのクロスで統一され高級感があった。四人掛けのテーブルに、サイが母と私が妹と向かい合うような形で座った。

小学生低学年くらいの頃、母と妹と三人で元町の中華街の近くにある不二家によく行ったのを思い出した。震災の少し前、80年代後半から90年代初めくらいまできっとその時代のどこの家庭もそうだったように我が家はバブルの名残でそこそこ裕福だった。週末は母と妹と三人で電車に乗って元町や三宮に出かけてデパートの玩具売り場で何か買ってもらうのがお決まりだった。そしてなぜかお昼ごはんは元町の不二家で食べると決まっていた。私はいつも目玉焼きハンバーグを、母はいつもたらこのスパゲッティを食べた。母は母の母、つまり私の祖母に小さい頃よく不二家のお菓子を買ってもらったらしい。それで親しみがあったから私たちをよく不二家に連れて行ったのかもしれない。

食事が出てくるまでの間、私が思い出したように、母や妹も昔三人で出かけた時の懐かしさに浸っているようだった。私は帆立と海老のドリア、妹はナポリタン、サイはお子様カレーを頼んだ。母はやっぱりたらこのスパゲッティを頼んでいた。昔と味が変わった、あの時より食べやすくなったと言っていた。母は嬉しそうだった。こういうこと、もっとしなくてはいけないのではないか、と突然感じた。母を全面的に好きじゃないし価値観が合わないしこの先絶対一緒に暮らしたくないけど、この人は何年後かそう遠くない先に、彼女の人生を終えてこの世界からいなくなるのだなということを当たり前だが急に実感した。

予定があるという妹と別れて三人でデパートをふらふらしてから夕方帰宅。晩ごはんは私が作った。白身魚のパン粉焼き。母は肉が食べられない。ちょっと味付けが薄かったがおいしいと言っていた。母は今日から妹と泊まるので夕食を食べ終えるとホテルに帰って行った。妹はどこに行ったのかわからない。昔からそういうところがある。


2月10日(日)
ルパパト最終回。感想は別途書きたい。終わり方がとてもよかった。サイとパジャマのままルパパトを見てたら母がホテルからやって来て、「テレビ観てないで準備しなさいよ」と言ってきた。「いや、最終回やから」と言っても事の重大さをわかってもらえなかった。サイの髪が伸びすぎていたので美容院。私の通っている美容院は乗り換えが面倒で駅からも遠いのでサイを連れて行くのがいつも一苦労だ。でもサイも美容師さんに懐いているし、他に良い店も思いつかない。母がいて助かった。いつもサイとそうするようにモスカフェに入ったらメニューに肉のバーガーしかなく、母は食べるものがないと困ってケーキを食べていた。ちょっと悪かったと思ったが表参道にはモスくらいしか入れそうな店がなかった。子連れで食事するのはなかなか大変だ。

三人で来ても美容師さんは特に気にする様子もなかった。「あれ、今日はお母さんも一緒ですか!?」とかわざわざ聞いてこない。察してくれる。そういうところが好きだ。カット中、サイは相変わらず固まっていた。私は前髪だけ切ってもらった。「いつまでこうやって一緒に美容院とか行けるのかなーと思います」と私が言うと美容師さんは「二十歳くらいでも母親と来ている人がいますよ」と教えてくれた。二十歳のサイを想像した。まさか一緒に髪を切りに行くことはないだろうが、良い関係でいたいなとは思った。サイがビールが飲めるようになる頃、私はもう初老だ。バラバラに暮らしているかもしれない。それから反抗期の話をした。美容師さんにも反抗期はあったらしく、意外だったので「なさそうに見えますがあったんですね」と言うと「きっとあった方がいいですよ、ありましたか?」と聞かれたので「アイロンとか投げてました」と答えた。反抗期、人に当たれなくて色んなものをぶん投げていた。親も教師も、周囲の大人が全員憎くて嫌いだった。自分のことも嫌いだった。自分のいる場所が怖かったのだと思う。今もまだ怖いけれど怖いなりに逃げる方法はあると学んであの時よりはやっていけるようになった。

ずっと母と過ごして疲れてしまったので、サイが寝た後、Fさんに電話した。明け方までなんと4時間も話してしまった。電話の最後の方で、お互いに好きだということを初めて確認した。そして私たちはこれから付き合うことになった。Fさんが私のことを好きだとわかって「で、どうしたいですか?」と問うと「え、付き合うということではないの?」と驚かれた。そういうものなのか。私はその辺りがよくわからない。人と人が定義された関係を持たず、ただ好きでいる状態ということもあるのかと思ったから。それに私はこんな状況だ。きっと世間ではひとり親が恋愛なんてすべきでないと思われている。親の恋愛は子どもを犠牲にするという考え方をする人がいたら、その人は何を以て自分以外の人にそれを正論として振りかざせるのだろうか。わからない。わからないけどわからないなりに模索していきたい。サイのことが大切なのは誰に言うまでもない。その上で私は自分の大切をできる形で守っていきたい。


2月11日(月)
母と妹は朝からクラシックのコンサートへ行ったらしい。サイは面会。私は一人で銀座に行き、松屋のバレンタイン催事を覗いたあと、自分にしては珍しく食べログで調べたラーメン屋に行ってみた。まあまあ美味しかった。それから三越のバレンタイン催事に行ったら松屋より混んでいた。色んなお店で試食して美味しかった、世界各地のカカオ豆を使ったチョコの詰め合わせをあまり何も考えず一箱買った。それは自分用にすることにした。人気がないお店で他に人がいなかったからか、他のお店に比べて、販売員のおばちゃんが親切だった。夕方にパティシエが来るからサイン入れられますけど、と何度も言われた。夕方まではいられないしサインにもあまり興味がない。その後も試食し続けて何が良いのかわからなくなってきて、人混みにも疲れてきたので地下のお菓子売り場まで降りて、ドゥバイヨルで箱が美しいナッツやオレンジピールのチョコの詰め合わせをFさんにひとつ買った。それから教文館に行き、面白い絵本があったのでチョコと一緒にあげようと思って買った。それからクライドルフの花の精たちが行進する美しいポストカードを部屋の壁に飾ろうと思って一枚買った。

急いで帰宅して、荷物を置いてから約束の時間に駅までサイを迎えに行った。お菓子やなんかをたくさん買ってもらったサイは興奮状態で口数が多かった。魚屋さんに寄って油ののった鮭を買う。サイは面会で疲れたのか、私が離れていたことが嫌だったのか、夜愚図っていた。面会の時に一緒にいられないのは申し訳ない。でも待ち合わせだけで気分が悪くなるので私にはそれが精いっぱいだ。普段サイといるのが当たり前すぎて、面会の時いきない一人になるとぽっかり穴が空いたような虚無感に襲われるので、できるだけ街に出かけたり予定を作って時間を埋めるようにしている。

深夜、またFさんと3時間くらい電話した。これから付き合うことに対する本音や不安を話したら「大丈夫だよ」って言ってくれた。お湯みたいな人だ。


2月12日(火)
一日中眠かった。パン美人にFさんのことを話したら喜んでくれた。少し早いバレンタイン、と言ってラスクをくれた。気が利くなぁ。私の周りは気が利く人ばかりだ。

疲れて中華屋さんで持ち帰り餃子。火曜は持ち帰り餃子が安い。電源オフモードでレジでサイと餃子を待っていたら「あれ、サイくんのお母さんですか?」と聞かれた。誰かわからなくてぼんやりしていたらZくんのお母さんだった。Zくんはハーフでお父さんが外国人(イケメン)。どんなお母さんだろうと思っていたらよく街で見かける気が強そうな外国人の妻ではなく、とても大らかそうな人だった。化粧気はないが美しかったのでお母さんも外国の血が入っているかもしれない。Zくんはあまりみんなと一緒にいない。みんながおやつを食べていてもわっと寄って来ないし、一人で遊んでいることが多い。前に体操をボイコットしているのを見た。でも笑う時はよく笑うし子どもらしい一面もある。きっと良いご両親なのだろう。髪が長くて女の子みたいにかわいい。「Zもここに連れて来ようと思ったんですけど一人でして」とお母さんは言うとまた店を出ていなくなった。私とサイはぱっと受け答えができず、ぼんやりしていた。

帰宅して晩ごはん(サイがまただし巻きを作ってくれた)を食べて大森さんのラインライブを途中まで聴きながら洗濯・洗い物をしてお風呂。また怒涛の日常が戻って来て疲れた。植物が見たい。花畑か植物園に行きたい。早く春が来てほしい。


2月13日(水)
目覚ましをかけ忘れたが目覚めたら起きる時間だった。ぐっすり眠った。サイはパンダの顔のパンを「かわいそうでたべれない~」と言っていたわりに真ん中から半分に割っていた。着替えるのにパジャマを脱がそうとしたら「じぶんでやるから!」とキレられた。それならその方がいい。助かる。でも気分によっては「はやくきがえさせてよ~」とキレられる時もありなかなか難しい。泣き叫んでいた数分後に笑っていることもあるくらい子どもは気分屋である。でもその気分を全て外に出すか出さないかで大人だって大して変わらないと私は思っている。泣いたり笑ったり忙しいサイを見ていると以前より自分が冷静でいられるようになった気がする。成長させてもらえている。

昼はアジフライ定食を食べた。夜は歯医者だからしっかり食べておこうと思った(ら結局予約を一日間違えていて受付で冷たく突き返された)。地元の実家からほど近い会社が今の仕事に少し似ている職種を募集しているのを転職サイトでたまたま見つけて、気になったので問い合わせした。会社のサイトを見たら一人一人顔写真・生年月日・実名とともに社員紹介していて、どうしてもそれだけが理解できなかった。でもどんな会社か調べてみないとわからない。

お迎えに行くとZくんのお父さんとタイミングが同じになり、サイとZくんが作ったブロック作品(親に見せようと置いてあるが先生は早く片付けたい)を片付けるように言われZくんのお父さんも私も手伝った。「昨日お母さんに会いましたよ」と心の中で声をかけたがZくんのお父さんが日本語を理解するかわからなかったので結局黙っていた。お父さんはZくんに英語(かイタリア語?)で話していた。Zくんは保育園では日本語で話しているからなるほど、バイリンガルはこうやってできてくのかと勝手に感心していた。

昼に転職のことを考えたからか、先のことに対する不安が急に押し寄せてきて、体調不良も相まって夕食後どんよりとした気持ちだった。あまりにも疲れていたので、サイに「ママ、先にお風呂先に入ってるから後で来てね」と言って熱めのお湯に浸かっているとサイはちょうどいいタイミングでご機嫌で脱衣所にやって来て一人で服を脱いで風呂場に入ってきた。嫌がるのに無理矢理連れて行って熱いお湯に浸からせたり、落ち着くのを待って冷めかけのお湯(なんとうちには追い炊き機能がない)に浸かるよほどいいやり方なのではと思った。だんだんそうやって成長していく。サイはサイの、私は私の意思を尊重したまま二人でうまくやっていきたいなと思っている。

「今日はあまり元気がない」とFさんにラインしたら残業から帰宅してすぐ電話してくれて、その優しさだけで救われた。無責任なことは言わず「がんばってるね、えらいね。なんにも的確なこと言えなくてごめんね」と謝られた。いつもえらいねって言ってくれる。幼少期から何をしても親からほとんど褒められたことがなく批判ばかりされ続けて大人になった私にはこの肯定にとても救われる。Fさんが電気毛布の使い方にこだわりがあるらしく、そのどうでもいいようなよくないような話を聞いていたら穏やかな気持ちになった。いつもありがとう。


2月14日(木)
世間ではバレンタインデーらしいが、私にとっては歯医者に行く憂鬱な日だ。過去二年連続で反応が薄かった上にそのことで余計なストレスを感じるのも嫌なので今年から上司へのバレンタインは今年から廃止。お昼にパン美人にコンビニで買ったラムレーズンのチョコをあげたら先に食べていいよと言われ、人にあげておきながら自分で食べた。問い合わせた地元の会社からはまだ返事がない。

夜、歯医者。今日は麻酔なし。痛くなかった。予約を取る時、「あの先生(麻酔が効いてないまま神経を拷問みたいに削った人)はもう嫌です」と院長に言ったら「そうだよね」と分かってくれた。治療中、サイは大人しくトムとジェリーを見て待っていた。スーパーに寄って、気になっていたたこ焼き屋さんで初めて買った。メニューを見て15個買おうとしたら焼けているのが13個しかないというので13個買った。それからサイが「バレンタインチョコレートかいたい~」と何度も言ったがサイにあげるチョコを特に用意していなかったので、二人でサイお気に入りのお菓子屋さんに寄った。サイはバレンタインの意味をきっと理解していないが「よくわからないがチョコを食べる楽しい日」と認識しているらしい。チョコを欲しがったが洋酒が入っていたので焼き菓子にさせたらそれも洋酒が入っていて、結局洋酒なしのマドレーヌとスイートポテトを一つずつ買った。「おしりたんていのスイートポテトだね」と嬉しそうに包みを持っていた。

帰宅してたこ焼きを食べた後、サイが律儀にお子様ランチ用の新幹線にのせ満足そうに運んできたマドレーヌとスイートポテトを半分ずつ食べた。サイはちょっとかわいく飾り付けしたり、お菓子をきれいにお皿に盛ることにすごくこだわる。私がクレヨンをちゃんとその色の場所にしまわないと怒る。その辺り、雑な私と性格が全然違う。誕生日にしか使わない新幹線プレートを使いたがったのは特別感を演出したかったのかもしれない。こうやって、他人にはきっと取るに足りない自分たちにしかわからない特別を日々の生活の中作っていけたらいいな。スーパーで買ったバブを早く湯舟に入れたいからとしきりにお風呂がたまったかどうか確認していた。

サイが寝る時に着る、もこもこの白いスリーパーをそれを着た時のサイが子熊みたいだから「くま」と呼んでいて、「くま」のファスナーを私がやろうとしたら自分でできる!と怒った。でも私でもやりにくいくらいなのでなかなかできず眠気も相まってもどかしそうにしていた。「やろうか?」と言うと「できる!」と格闘の末、時間をかけてジップの接続(あの下の部分のカチャってやるところ)に成功した。布団に潜って涙を流しながら「サイくんじぶんでやりたかったの」と訴えた。「そうだよね、やりたかったよね、ごめんね」と頭を撫でているとすーっと眠った。サイの意思とかやりたいと思う気持ちとかなるべく尊重したいがつい手を貸してしまったり時間がなくて私がやってしまったりする。でもサイにはサイの信念がある。頭を撫でて背中をトントン叩いていたら私も寝てしまい、数十分後目覚めた。布団をかけていなかったので寒かった。それから洗濯機から出してかごに入ったままになっていた大量の洗濯物を干してから寝た。


2月15日(金)
朝サイがなかなか起きないので、昨日お風呂上り裸のままパジャマを着なかったサイに「すっぽんぽんのすけ」と呼んだ名残でまた「ぽんのすけ~」と呼ぶと笑っていた。家を出て出発する前、マンホールを突然気にして、「このしたにはなにがあるの?」と聞いてきた。下水と書いてあったので「トイレのお水とかが流れてるよ」と教えた。「どこにいくの?」と聞かれたので「このお水は汚いから工場できれいにしてから海にいくよ」と不確かながら言うと納得して「しんちゃんでみたよ、しんちゃんのパパがお水と一緒に流れていったんだよ」と教えてくれた。美容院で観たクレヨンしんちゃんにヒロシが下水道に流されるシーンがあったらしい。サイは最近図鑑も好きだし色んなことに関心がある。そして私の知らないうちにどんどん知識を蓄えている。


2月16日(土)
朝ごはん、洗濯。サイがガンバライジングカード(データを読み込んでゲームができる進化型カードダス)がやりたいというので池袋のビックカメラ。西口だし穴場かもと思ったらまあまあ空いていて二回できた。レジ横にあったカードを欲しがったので「これを買ったら今日は何も買わないよ」と念押しして買った。その後別のおもちゃを欲しがったが約束は約束だから買えないと言うと最初は不機嫌だったが納得して諦めていた。そこまで欲しくなかったのかもしれない。その後、南池袋公園。芝生が開放されていた(ついに!)。出店があったから人がたくさんいた。コーヒー屋さんで珈琲でも買おうかと思ったが一杯ずつハンドドリップで淹れるため行列していて、諦めて隣のクラフトビールにした。「珈琲買おうと思ったら混んでいたのでビールにしました 笑」と店の人に言って、笑ってくれるかと思ったら無反応だった。芝生に直接座ってサイはアイス、私はビール。まだまだ寒いが日が当たると気持ち良い。その後すべり台。公園の出口にあった花屋さんでミモザのブーケを買って、屋上に行った後近所で唐揚げを買って帰って帰宅。ミモザはドライにしようと思って逆さまにしてカーテンレールに吊るした。


2月17日(日)
やや寝坊してプリキュア仮面ライダー、戦隊。プリキュアのララちゃんかわいい。今のところ一番好き。

すき家でお昼ご飯。食べていると突然サンタクロースみたいに立派な白い髭をたくわえた外国人の体格の良いおじさんが三人入店し、店内に明らかにそれまでと明らかに違う緊張感が張りつめた。おじさんの一人は楳図かずおのTシャツを着ていた。英語メニューをもらって、何を食べるか三人であれやこれや相談していた。どうやら初入店らしく、メニューを見てチープとか言っていた気がする。サイは絵本から出て来たみたいなおじさん達を凝視し、「がいこくじんだね」と小声で私に言った。「サイくんも外国に行ったら外国人だよ」と言うとわかったようなわかっていないような反応だった。横目で見たらマグロ丼をスマホで撮影していた。

それからサイと一駅分あるいて、少し大きめのスーパーに行く。いつものスーパーより安くて新鮮だったが広い分歩き回らないといけないし人が多くて疲れた。サイがりんごを二個も買いたいというのでかばんは野菜や果物でずっしり。更に本屋に寄り、気になっていた川上未映子さんの新作が載っている「文學界」を購入し、さらにずっしり。サイにねだられて仮面ライダーの本も買わされる。買いたくなかったが買わなければ愚図って家まで歩いてくれなさそうだったので仕方なく。帰ったらへとへとでやや眩暈。サイが本を読んでいる間、私は畳んだ布団の上で30分ぐらい寝ていた。サイに起こされて起きたら日が暮れていた。体力のなさを実感する。寝たい時に眠れたらどんなに良いかと思うがそんなこと考えていても仕方がないので重い腰をあげ、晩ごはんのシチューを作る。

ごはんをマロンクリームの形にしたら喜んでくれたが、煮え切らなかった玉ねぎが気に入らなかったらしく、ぐちゃぐちゃに潰したりかきまわして遊び食べし始める。途中で席を立つ。私はサイに食べろと強く言わない代わりにサイがごちそうさまを言うまで席を立たないと決めているので戻ってくるまで自分が食べた空のお皿を前にしてぼんやりしていた。「たべないの?」と聞くと「たべるから!」と怒っていた。野菜だけ食べてね、と言うと嫌々ながら口に押し込んでいた。サイがシチューがいいって言ったのにそんなにまずそうにされると悲しくなる。大方食べたところでもういいよと言い、ぐちゃぐちゃに混ぜられた冷たいシチューを私は黙々と口に運んだ。「サイくんが残したらこれはゴミになっちゃんだよ」と言うと前にEテレで残飯が餌になるという番組を観たのを覚えていたらしく、「どうぶつさんがたべるの?」と聞くから、「違うよ、捨てられちゃうよ」と言った。食べ物を無駄にすることの意味をまだあまりわかっていないようだった。でも私は「世界には食べられない子もいて…」みたいなことはあまり言いたくない。サイが美味しくないと思うのは自分にも非があるような気がするから。お風呂、就寝。


2月19日(月)
月曜はなかなか布団から起き上がれない。Fさんからおはようのライン(毎朝必ず送ってくれる、優しい)が来てやっと起きれるという有様。サイもなかなか起きてくれずギリギリまで寝かせてあげる。寝ている人を無理矢理起こすのが苦手だ。起こされることほど不快なことってないと思う。当人は眠いから寝ているわけで。だから起こされたという気分にならないよう、本人の意思で起きる気になれるように、なんとか持っていく。テレビをつけて「あ、びーすけ(ピタゴラスイッチのサイの好きなビー玉の冒険)やってるよ!」とか「ねえ、バナナたべる?」とか。

お昼ごはんに会社の近くにあるかわいいパンとケーキのお店で買った。ここのパンは全部おいしい。特にシナモンロールとチョコチップパンがおいしい。お店の人がものすごく丁寧な接客なのにけっして馴れ馴れしいわけではない絶妙な距離感も好きだ。対面販売が苦手だがここなら買える。好きになったお店に通いすぎると必ず潰れるジンクスが私にはある。だから本当は毎日通いたいぐらいだが毎日は行かない。

夜ごはんは昨日のシチュー。昨日嫌がったのでサイのお皿に玉ねぎが入らないように気をつけた。サイは食べたいと言ったリンゴをシチューにつけておいしいおいしいとご機嫌だったが、私の真似をして自分でシチューに投入したごはんがシチューと混ざるのを嫌がり手が止まる。理不尽だが「自分でやったでしょ」は通じない。仕方なく私がそれを食べ、サイには新しいシチューを入れる。食後サイとゴロゴロして遊ぶ。二人で犬になりきってワンワン言っていたらもっとかわいい声で言ってよと言われた。とにかく眠くて洗い物、お風呂、洗濯のち就寝。サイが寝たら起きようと思っていたが起きられなかった。朝まで眠る。


2月19日(火)
朝からどんより曇り空。サイは「おしっこもれた」と言い、私の布団に入ってくる。でももう起きる時間だよ。布団を干すと雨が心配だったのでドライヤーで乾かす。着替えのズボンを自分で履けた。先に朝食を食べ終えて洗面所で化粧をしていると「サイくん、クイズできたよ」と「みいつけた!」で正解したことを得意気に報告しに来てくれる。サイはクイズや迷路が好きだ。バタバタ出発。