カニ日記

息子の成長と日々の記録

絵をみにいくためだけに今日があってもいい

7月18日(火)晴れ時々豪雨
寝起きでサイの機嫌は最悪だった。連休明けで嫌だなぁという私の気持ちを察したのかもしれない。保育園に着いて預ける時も教室の前で泣き喚き、Mちゃんをはじめ他の子どもは「サイくんないてるなぁ」という感じでぽかーんとした顔で傍観していた。さすがにこの年齢で別れ際に泣いている子は少ないし、サイも普段は名残惜しそうにはしても泣くまではしない。たまらなくなって抱きしめたりしても様子は変わらず先生が困ったような顔をしていた。こんな日はもう仕事なんか行きたくない、だからと言って連休明けに休むわけにも行かないので先生に抱き上げられて泣き続けるサイに後ろ髪を引かれつつ保育園を出た。辛いが割り切りも必要。

夕方。お迎えに行こうと駐輪場から出たらアスファルトが見えないほど地面が緑の葉っぱで埋め尽くされていた。幻想的で異様で葉っぱの青々しい匂いが鼻についた。ジブリの何かで見た光景のようだった。すごいなぁと思いながらいつも通る割と急な坂道を下っていたら濡れた葉にタイヤがとられてブレーキが全く利かず激しく転倒。あっと思った瞬間にはもう地面にぶっ倒れていた。体中痛くて、ああ、やってしまったと思いながらしばらく横たわっていたら通りがかった親切な方が自転車を起こしてくれたり立ち上がるのを手伝ってくれた。笑う場面じゃないのに、すみませんすみませんとへらへら力なく笑っていた。優しそうな青年が「これ」と私のものじゃない濡れた靴下まで差し出してくれたので、また力なく笑って「あ、これは違います、すみません」と断ったり、とにかくどこのから来たのか分からない洗濯物やら植物が落ちていて地面は大変なことになっていた。葉っぱが両腕に纏わりついたまま立ち上がってズボンを見ると膝に修復不能なくらいの大穴が空いていて、空いた穴からべっとりとした血が覗き見えた。肘からも血が。ひー。とにかくお迎えに行きゃなきゃとそのまま保育園に向かった。先生や他のお母さんに同情された。

私の肘の血を見てサイは「アンパンマンばんそうこうあげようか~?」と心配してくれた。気持ちは嬉しいがそんなものでは間に合わないので薬局に寄り「絆創膏はどこですか!?」と必死の形相で店員に尋ねてキズパワーパッド大を購入。サイは必死な私を置いてお菓子に心奪われていた。とにかく早く帰りたかったので普段なら辞めさせるどうでもいい菓子も買ってしまった。帰宅後、サイがお菓子に気を取られている間に消毒して処置。縫う必要はなさそうでよかった。しかし膝から変な液が溢れてきて覆いきれなかった。とにかくご飯食べさせなきゃと思ってカレーを温めて食べさせた。お風呂がまた大変だったが何とか済ませてどっと疲れてサイと就寝した。こういう時に限ってKはいない。

夜中に起きて、とんでもなく嬉しいニュースを知った。妄想が現実になっていた。嬉しくて嬉しくて泣いた。しーんと静まり返りエアコンの低い音だけする暗い居間でiphoneを手にし、そこに一際明るく示された美しい事象が今この世界で本当に起こっている事だと信じられず何度も画面を見て泣いた。いやいやこれは現実だという実感がじわじわと湧いてくると、世の中捨てたものじゃないなぁ、いい事があるなぁと小学生のように思った。転んで血を流して痛がっている場合ではない。


7月19日(水)
仕事帰りに伊勢丹に寄る。解放区に好きな人達が一緒に作り上げた商品が美しく並んでる光景やポップの文字は夢で見たそのままだった。人がそれらの商品を買い物する様子を見たくて、知ってる人誰か来るかなと思ったが誰にも会わなかった。地下に降りて夕飯用の惣菜を調達。Kの誕生日。喜ばせたくないし誕生日なんか絶対祝いたくないと思っていたので何もせずスルーするか迷って、でもサイとケーキを食べる約束をしていたからケーキと小さなお花だけ買った。お花をサイからKに渡してもらった。Kはサイに誕生日の歌を歌わせていた。でも私はおめでとうと言わなかった。サイはスーパーのお惣菜の春巻きが大好物なのに、高い春巻きを散々いじくった挙句食べずに皿に放置していた。「ごちそうさま」と言われたが、捨てるのは悔しいしもったなく思い水を吸ってべちゃべちゃになった海老春巻きを私は必死で食べた。


7月20日(木)晴れ きれいな青空
Zepp Diver Cityにて大森靖子さんツアーファイナル。半休にするか迷って午前中に済ませたい用事もあったので一日休みを取った。朝から干しても干しても全然減らない大量の洗濯物を干し終え、服はあるのに着たい服がなくて泣きそうになって、伊勢丹で購入した大森靖子さん×縷縷夢兎コラボキャップ(それ自体は死ぬほど可愛い)を自分の頭に被ったら20年ぶりのキャップ姿を人に見られるのが怖くなってきて、でも人と約束していたし銀行に行かなきゃいけなかったから予定より大幅に遅れて銀行に向かった。銀行での用事は窓口のお姉さんが優しくて思っていたより早く済んだ。でも友人との約束をダメにした。

自己嫌悪に苛まれながらも進まなきゃ動かなきゃととりあえず電車に乗った。乗り換えのために新橋駅で降りた途端、猛烈にお腹が空いたので新橋駅前ビル1階にある喫茶店「ポンヌフ」で瓶ビールとナポリタンを頼んでゆっくり胃に収めた。ずっとずっと来たかったけど定休日などでタイミングが合わずようやく来れた。「ポンヌフ」は夏休みに親戚の家に泊まりに来て涼しい部屋で花柄のグラスで出された麦茶を飲んでいるかのような居心地の良さだった。実際に飲んでいるのはビールだが。ランチタイムを外したからか、店内は静かで穏やかで誰の目線も気にならなかった。大きな窓から明るい光が差し込んでいた。従業員のおばさま達が集まって置き忘れられた名刺入れの主を探していた。おばさまの一人が名刺に書いてあった何かの番号に電話したがつながらず、別の、おそらく職場の番号にかけていた。「ポンヌフって言うんですけど」「パピプペポのポです」その電話しているおばさまを他のおばさまが囲んで心配そうに見つめていた。素晴らしいお店だと思った。レジのおじいちゃんがスローモーションみたいで、お金を受け取るのもお釣りを数えるのもコマ送りのようで愛おしくなった。

再びゆりかもめに乗って台場駅へ。物販を済ませTシャツに着替えてからライブまで同行者を待って時間を過ごす。同行者が到着してライブ会場入り。ライブ開始。史上最高のライブだった。涙が止まらなかったり口を開けたまま茫然としたり酷い顔をしていたと思う。音楽というより、自分の人生を劇やミュージカルにしたものを走馬灯みたいに次々と目の前で観せられているような感じだった。誕生、怒り、喪失、再生を経て、未来への希望を残してライブは終了した。記憶が消えないうちに感想をまとめておきたいが余韻に浸りすぎてまだそれすら出来ずにいる。大森さんってとにかく歌が上手いなと思った。あとは何でこんなに可愛くて綺麗なんだろうって思った。そういう当たり前の、別に今気づいたことでないことばかり小学生の感想文みたいに考えていた。人前で泣いた姿を最近は観客に見せなかった大森さんがMCで泣かれていた。あの姿は一生忘れないだろう。

終演後打ち上げ。夢みたいに楽しかった。みんな若くて可愛いのに自分みたいなおばさんにも親切だった。愛おしかった。人に終電を調べてもらって(いつも終電を確認するのが本当に苦手)帰路が同じ人達と途中まで一緒に帰った。いい歳して大学生みたいに駅まで走ったりしてそれも楽しかった。嘘みたいに楽しくて幸せでずっと笑っていた。


7月21日(金)晴れ
腑抜け。サイは昨日の夜Kと二人で相当寂しい思いをしたのか、保育園の教室に入る直前に突然「おかあさんきょうおしごといかないで」と小さな声で言い泣いた。そんな風に言われたのは初めてだったので胸にずんとしたものが降りてきて苦しくなった。一人で楽しい思いをして笑っててごめんねごめんねと心の中で謝って抱きしめた。泣いているサイを先生は抱き上げて、それでもサイは泣いていて私は保育園を出た。好きでもない仕事をしに何のために職場に行くのかもはや分からない。


夕方迎えに行くとサイは機嫌はよかった。保護者達が出す金曜日の空気を感じ取っているようだった。他の人でしている人はあまり見かけなし、先生はまたやってるなって感じで笑っているが、私は送迎時毎日必ずサイを抱きしめる。それで償いになる分けではないけどサイの体温に触れたら自分が救われるから。いつまでやらせてくれるか分からないけど。サイと帰りに気になっていた和菓子屋に寄る約束を朝していたので、約束通り初めて入る和菓子屋に寄り、豆大福とすあまと赤飯のおむすびを1個ずつ買った。そしたら豆大福を一つおまけしてくれた。

帰宅してサイがそれを食べたいと騒いだのでそれらを晩御飯にした。Kがいたら絶対に怒られるやつ。私は豆大福でビールを飲んだ。豆大福は半分個したので一つ残して「これは明日食べようね」と言うと納得していた。入浴、就寝。

サイが寝た後、ツイッターで嫌なことがあった。所詮SNSだけど思い当たる原因が自分だから一気に自己嫌悪の大波が押し寄せた。謝るべき人には一人ずつ謝った。SNSごときに惑わされる自分も嫌だし、人に迷惑かけるのも嫌だし、ほんとにSNSなんかクソだ消え失せろと思った。そんなもの存在しない時代に戻りたい。


7月22日(土)晴れ
いつものように朝ごはん、洗濯、サイと遊ぶ、昼ごはん。お昼に買い物に行けず、冷凍庫を漁ったら義母から送られてきた高級な肉があったので何も考えずフライパンで焼いて解凍した白米にどんと乗せてサイと食べた。サイは肉巻おむすびにした。おむすびはすぐ解体された。

昼食後、布団の上で二人でごろごろ遊びながら昼寝。サイは機嫌よく大きな声で何か話したり歌ったりして転がったり私に激突したりしていたが突然静かになりぱたりと寝た。その寝顔が死ぬほど可愛かった。

 

サイが昼寝から起きたらサイをベビーカーに乗せ、浅草橋までさいあくななちゃんの合同展示を観に行った。サイがなかなか起きなくて出発がぎりぎりになった。私も嫌なことを引きずって準備が進まなかった。でもななちゃんが閉館までいますから、子連れでも大丈夫と言ってくださったので、間に合わず観れなくてもとにかく浅草橋まで行こうと思った。駅に着いてからも道を正反対に進んだりして、閉館時間をとっくに過ぎた。なんとか会場まで辿り着くと、入口のビニールの暖簾越しにななちゃんが立っていた。全身汗だくでお土産も買えず「遅くなってすみません」とただ言い訳する私に優しく微笑んで「来てくれてありがとう」と言ってくださった。もうそれだけで泣きそうだった。私のせいで遅れたのにななちゃんはギャラリーの方に聞いてくださり時間は大丈夫だからゆっくり観ていいと言ってくださった。他にも数人いた。サイと二人でギャラリー内を眺めた。サイは初めての絵のある空間に興奮して色んな部屋を出入りしたり絵を指さしたり、ななちゃんの作品を観て「うわー」「かわいいね」「きれいだね」と言っていた。サイはななちゃんに会った瞬間人見知りしていたが、優しく接してくださったのですぐに壁をなくし、私がびっくりするくらいななちゃんに懐いていた。二人がソファに座って話してる光景を私はただただ嬉しくてぼんやり眺めていた。
二つの作品で迷ってサイがこれがいいと言った絵を買った。そういえば生まれて初めて絵を買った。値段がついてないものだったのに、いいですよとつけてくださった。自分が作品買うことで自分以外の人の眼に触れることがなくなるのはとても残念だが、あの絵を毎日眺めたいと思った。ななちゃんにお礼を言いギャラリーを出たら陽が暮れかかっていた。サイは余程楽しかったらしく、「ななちゃんはどこ~?」と泣きそうな声で叫んでいた。

夜。遅くなったので外食を提案したら受け入れられた。近所の個人経営の焼肉屋に行った。ちょっと高いけど美味しかったし親切だった。昼も夜も肉ばかり食べた。サイは帰り上機嫌すぎて連れて帰るのが大変だった。胃が重い。


7月23日(日) 曇り
前から決まっていた出かける予定があった。行きたいけれどまた人に迷惑かけたらと思うと無理かもしれないと昨日の夕方まで考えていた。でも夕方出かけて芸術に触れて私は救われた。サイも喜んでいた。だから今日も力を振り絞って出かけた。出かける前Kに部屋が汚いけどいつ片付けるんだと言われたが無視した。結果としては本当に楽しかった。サイも心の底からはしゃいでいた。でもまた好きな人に嫌な思いをさせていたらどうしようという思いも浮かんだ。今後一切どこにも出かけず誰にも会わずにひっそりと死んでいった方がいいのではないかと思い始めた。いや、それだとサイが可哀相だ。だめだだめだ。サイのために出かけて毎日生き続けなければ私もサイも廃人になってしまう。
帰宅してどっと疲れて買い物に行けず、また冷凍庫の肉を焼いた。肉ばかり食べて何になるんだろう。胃もたれした。ビールを飲んだ空き缶1缶をKが帰宅するまでに捨てるのを忘れて見つかった。どうしよう怒られると思ったが怒られなかった。でも夕食をあまり食べないでいると「ビールのんだからでしょ」と嫌な感じで言われた。そういうところが嫌いだ。いちいち言わなくていい。

サイと入浴後、貧血でしんどくてサイの就寝準備は全部Kに任せた。貧血をすぐ起こすからお風呂も温泉も実は苦手。

濡れた髪も乾かさず布団に転がった。Kの下手な歯磨きを嫌がるサイの断末魔の叫びが聞こえてきた。ごめんねサイごめんね。サイが寝室にきてそのまま深夜まで一緒に寝た。深夜に起きてまた嫌なことを考えた。

実生活でも逃げ場でも何もかも崩壊し腐敗していて、そもそも全ての原因が自分にある、自業自得だと考えると自分の存在がゴキブリが這い回るゴミ屋敷みたいに思えてきて、何にも可笑しくないのにゴミ屋敷の中に入れないニュースを思い出して可笑しくなった。好きなものまで壊してしまってこの先もうどうしたらよいか分からない。今一番救いが欲しいのに自ら救いを破壊して拒否している。

買った絵が早く届いてほしい。救いがほしい。

パディントンみたいに生きたい

7月3日(月)
サイは朝起きるなり粘土をやりたがる。朝ごはんにさそっても気がない感じ。よほど好きなのだろう。私が手伝えないのでうまくいかず癇癪を起したりしていた。私も手伝えなくてもどかしい。何とか宥めてテーブルに座らせて朝ごはん。別に食べなくてもいいけど後でお腹が空くと可哀相だと思って食べさせた。出際も粘土に執着して、結局通園かばん(アンパンマンのボロボロの手提げ。通園と言っても本当の大きな通園かばんは私が持つのであくまでサイがおこわだり私物を持ってためのかばん)に色ごとにケースに入れた粘土を詰めて通園。

夜。帰宅後、サイと二人でシャワーのちビール(飲酒はもちろん私だけ)。しんどかったのでレトルトのカレー。まあまあ美味しい。食後また粘土。きれいな粘土も残り少なくなったし昨日みたいに型を使わず、小さい食べものをたくさん作った。ゆで卵やサンドイッチを作って切って中身を見せたら大喜びしていた。ぼうっと観ていたわりに覚えていたらしい、おねんどお姉さんによる粘土テクが役立った。

サイが寝た後、届いたばかりの新しい上履きを取り出した。ずっとサイズオーバーなのに気づいていたがなかなか買えなかった(Amazonでクリックするだけなのに)が、いよいよ親指も曲がってきつそうだったので週末に発注した。他の子の靴と分からなくなるのもあれだし、なんか描いてあげようと思って何がいいか聞いたら「てんどんまんとかぁしどん(滑舌悪いがかまめしどんの意)」とリクエストされたので眠気に負けそうになりながらアクリル絵の具を引っ張り出してきて描いた。アンパンマンは大体描けるようになったと思っていたが微妙な表情で変わってしまうのでこの二人(特にかまめしどん)を描くのは難しい。


7月4日(火)曇り時々豪雨
朝起きてきたサイに、「ほら!みてみてー」と上履きをサプライズで見せたが予想外に反応が薄かった。ぼそっと「カレーパンマンアンパンマンがいい」と言われた。まあ推しキャラがその時の気分で変わるのは分かっていたから別にいいけど。

家を出るまでサイの機嫌は最悪。朝ごはんも途中で「もういらない」とパンの入ったお皿を押しやったり空のお皿を床に投げつけていた。家を出る時間になっても床に寝転がり「いきたくない~」の一点張り。額に手を当てると熱はない。しかし会社に遅れてしまうので、無理矢理抱えて玄関まで連れて行き、無理矢理自転車に乗せるとぎゃーぎゃーと断末魔の叫び。私が何か虐待でもしているような感じ。自転車に乗りながら「おかあさんきらい~」と叫び続けていた。「そうか、じゃあいいよ」と言うと「おかあさんすき~」と一変した。可愛いなぁと思って「おかあさんもね、サイくんのことす・・」と言いかけたところで「きらい!」追い打ちをかけるように言われた。知恵がついてきて、イヤイヤも更にレベルアップした感じがする。

夜。雨降る中、好きな人達とファミレスでご飯を食べた。たくさん声を出して笑って、心から楽しかった。帰宅後大きな喪失感。


7月5日(水)晴れ
朝。起きた時からサイの機嫌はよかった。私と顔をくっつけて目をぱちぱち開いたり閉じたりして笑っていた。教室の入り口でもまあまあすんなり別れられた。七夕の願い事を短冊に書いてください、と先週末先生から用紙を渡されていたが今日もまた持ってくるのを忘れてしまった。確か去年は「毎日たくさん笑ってすごせますように」と書いた。私も怒ったり悲しんだりしないで、毎日笑って過ごしたい。ある年齢を過ぎてから自分の人生が終点に向かって着々と進んでいる気がして、ふとした瞬間とてつもない不安に駆られる。勤務中、ちょっとしんどくなったので海老蔵ブログを開いた。「この絨毯好きなんです。なんの意味もないですが、好きなものがあるのは嬉しいことです。」と書いてあったのがいいなぁと思った。歌舞伎座の7月公演がまだ空きがあると書いてあったので、観に行きたい。

夜。サイとKが帰ってくる前にファミチキと金麦1缶。飲んだ缶はすぐに捨て飲んでない風を装った。夕食を作りながら台所でKに改めて大事な話をした。さすがに考え込むかなと思ったら普通にごはんをもりもり食べていた。どういう神経をしているのだろう。私はあまり食べられなかった(ファミチキ食べたからか)。夕食後また粘土。追加でAmazonで発注した粘土が届き、私が食器の片付けをしているとサイは待ちきれんという感じで箱を破壊して粘土を取り出していた。箱に写真が載っていて作れと命令された、カニとどんぐりと雪だるまとお米を作った。見本通り全部顔をつけた。日本のものって何でもすぐ顔をつけたがる。粘土を捏ねるところや目鼻の貼付けなどはサイにやってもらった。可愛くできてサイも満足そうだったのでよかったなぁおほほと思っていたらいきなり全部ぐちゃっと握り潰した。一生懸命作った子達は見るも無残な姿に。潰した自分に腹が立ったらしく、そこからサイの機嫌は最悪。大声でわんわん泣き続けた。
何とかお風呂に入れ、就寝。Kは思い悩む様子もなくサイの隣で鼾をかいて寝ていた。

歴史に残るであろうライブへは行かなかった。私は音楽への入口が針穴くらいしかない。それを広げてくれたのが大森靖子さん。先週分のラジオを聴いて寝る前に短冊のことを思い出し(あとで見たら連絡帳に早く持ってこいと催促メモが貼ってあった)、結局去年と同じ言葉を書いた。来年くらいになると本人の希望が出て来るかもしれないけど今はよく分からないので私の希望を。トイトレは停滞しているし、イヤイヤは再興してきたけど、毎日げらげら笑っているのがいいよね、やっぱり。


7月6日(木)曇り
サイはいつもより一時間早く起床。眠いので横たわっていたら「ねぇ、おきてよ~」とキレられたのでぎりぎりまで粘ってから起き上がった。さくらんぼとパン。さくらんぼが足りなかったようで追加オーダー受ける。つい飲み込むこともあるが、種取りがまあまあうまくなってきた。早起きした(させられた)ので時間に余裕があった。サイが気に入っている新幹線の靴下を履かせると「いたい~サイくんあしおっきくなったから」と自己申告されて、確かにそんな感じだったので別のに履き替えさせた。上履きのことでもそうだったけど、よほど体型が変わらない限り大人はサイズオーバーで着れなくなるとかないから、子ども服のサイズはつい意識がまわらなくなることがある。あれはいつ買ったやつだっけ、いつまでも同じサイズな訳ないよな、と思った。トイトレやる気促進のためにアンパンマンの踏み台(立ってする用、1500円高い)を買った。喜んで見てはくれたが台に登ってはくれない。失敗。次の手を打たねば。絶対的存在であったアンパンマン一族の力がもしや衰退してきたのかと一抹の不安を感じる。

お迎え後帰宅。サイは朝保育園にアンパンマンのパックジュースを持って行ったが、私の言いつけを守り外では空けず帰宅するなり飲んだ。うさぎ椅子(サイがテレビを観たり作業をする時に座る小さいオークの椅子。背もたれがうさぎ)に座って飲むよう言うとちゃんと守って一気に吸引していた。晩御飯は有り合わせ。味はまあまあ美味しい。私の皿にだけ温泉卵を載せたらすかさずチェックされ、「さいくんもたまごたべたいー!」と言われたのでもう1個卵を冷蔵庫から出し固めの卵をレンジで作って載せたら大喜び。熱い熱いと言い黄身をスプーンで突っついたり掬ったりして満足そうにしていた。それもすぐ食べ終え、私の分の卵も欲しがった。「これはお母さんのだからね」と言って少しだけあげた。少ないと怒るかと思いきや納得したようだった。
夕食後、粘土。リクエストのコアラと「サイくん」を作った。途中でうんち。匂いで分かる。粘土してる途中でオムツ替えしたくないなと思った。本当に最近全然教えてくれなくなったし、トイレでできていたのが嘘のようだ。完全に赤ちゃんに戻ってしまった。しかもうんちしたのが恥ずかしいのか何なのかオムツを替えることさえ嫌がる。入浴(暑かったので湯船にお湯を溜めなかったら不思議がっていた)後、就寝。


7月7日(金)曇り
朝。今日は七夕なので浴衣や甚平を着て行く日。サイの通っている保育園は親参加型の行事もほとんどなく、手作りグッズの用意も最低限にしてくれているので私のような超ずぼら且つコミュケーション消極型の人間にも安心設計。同じ認可でも運動会の手作り弁当見せ合いなど数々の拷問が待ち受けている園もあるそうだから、今の園に入れてラッキーだった。そんな園が唯一「こうしてください」というのが七夕で毎年6月終わり頃「7/7は七夕祭りをします。浴衣や甚平を着て来れる人はそうして下さい」と張り紙が出る。無理強いせず、「着て来れる人は」がいいなと思う。実際洋服の子もいるが、ほとんどの子が浴衣や甚平。いつもと違う出で立ちで少し嬉しそうに見える。親は浴衣を着せるからと言って会社の始業時間がずれる分けでないので、みんな大変だなといつも思う。サイは三回目。今年は去年買った甚平(一昨年のは一回でアウト)があるので引っ張り出してきてそれを着せた。ズボンのウエストがぎりぎりだし丈がちょんちょんだったが何とか入ったので大き目を買っておいてよかったなと思った。女の子はもちろん、男の子もみんなトンボやスイカやカラフルな柄を着ているが、サイの浴衣はゲキシブ。生成に薄いグレーの和刺繍。完全に私の好み。まあ、いつか自己主張する時が来るまでは親の好みを着せてもいいかな、と思っている。ゲキシブ柄が不満なのかサイのテンションは特に高くはなかったが嫌がりはしなかったのでほっとした。私も浴衣欲しい。渋い柄のやつ。いい帯も欲しい。着て行くところはないけれど。

終業後お迎え。やはり甚平はぴちぴち。サイは一人ずつ持ち帰り用に分け与えれ、短冊やおそらくサイ手づくりの飾りがついた笹の葉をぶんぶん激しく振り回していたら、私の苦手な上品親子(多分前述)が呆れて横目で見ていた。親は子に似るんだろう、私がいつも家の中でふざけているのでサイもだいたいいつもふざけている。
サイは帰宅後も笹を振り回していた。雑に扱うから持ち手が弱くなって機嫌が悪くなった。甚平を脱がす前に数枚写真(最近、サイは写真に写る時はわざと変顔をする)を撮った他は七夕らしいことは何一つせず、あり物で夕食を済ませバタバタお風呂に入れて就寝。金曜だと一人でもまだ頑張れる。

 

7月8日(土)晴れ

Kは早朝からキャンプに行ったとかで昨日から顔を合わすことなくいなくなっていた。キャンプって何やねん。飯盒炊飯か。中学入学してすぐ全員ダサいジャージ着用で行かされた合宿で飯盒炊飯で炊いた硬いごはんに野菜生煮え水入れすぎのシャバシャバカレーをかけて、よく知らない人達と黙って食べて、案外美味しいんだなと思った記憶、この人達の中に自分と仲良くなれる人はいるのかなと考えていた記憶が蘇る。私がいた学年は後に語り継がれるほど荒れ狂っていて悲惨だった。みんな今は何をしてるんだろう。一人バイク事故で死んだというのは聞いた。

 

夏バテなのか貧血なのか朝からフラフラでサイの相手が十分にできず、思い悩むこともあり母にテレビ電話した。両親はスマホの画面越しに動いたり話したりするサイを久々にみて喜ぶ。母は心配性なので本当は言いたくなかった。案の定心配していたが割と冷静なアドバイスをくれ確かになと思うと幾分気が楽になった。

スーパーに行き、もっと食べなきゃの思いでとにかく好きなものを食べようと思ってカルピスの原液、信玄餅アイス、ローストポーク、唐揚げ、桃など購入。鯵が安い。

サイが公園で食べたいと言うので一端帰宅して買ったものを冷蔵庫に入れてから唐揚げやトマトやお昼用に買った巻き寿司をカバンに入れ シートを持っていつもの公園へ。暑いからって親の都合で子どもの希望叶えないのはダメだと自己暗示し炎天下の中出かけたら、先月まで弁当を食べる家族連れがひしめき合っていた場所に人っ子一人いなかった。鳩が数羽いて、数人が遊具で遊んでいた。この炎天下でそりゃそうか。私は阿呆か。サイと二人で阿呆みたいな顔をして、日陰になっていた大きな木の下にシートを広げて座って持ってきたものを食べた。この暑さでもサイの食欲はとどまることなく見ていて気持ちがよい。私もまあまあ食べた。日陰で直射日光が当たらず生温いが風が吹いて気持ちよかった。周りに本当に鳩しかいないからサイは「わるいぴっぴ」にアンパンチで対抗したり警戒心強めだった。静かでサワサワと木々の葉が揺れる音が聞こえてサイと地球が滅亡する直前にピクニックしてるみたいな気持ちになった。

食べ終えて遊具で少し遊んだが暑さが異常で危ないのでもっと遊びたいというサイを宥めて強制帰宅。帰宅後サイは昼寝。その後ペンパルに電話した。ペンパルとは基本手紙でのやり取りなのでLINEはお礼など取り急ぎ伝えたい時にしかせず、電話はまずしない。でもしたかった。してよいか聞いたら快諾してくれた。産後辛かった時に一度電話したので多分二回目。なかなか会えないけど面白くて優しくて本当に素晴らしい人だ。サイが起きるまでの一時間もなかったがゆるゆると雑談して救われるような思い。ぼやけていた視界も戻ってきて元気になった。

昼寝後サイと桃を食べた。まだ甘くないがサイは喜んでほとんど一人で食べていた。外は暑そうだったので家の中でパディントンのDVDを観たり、お絵描きや踊り。サイが踊っている合間にローストポークとロング缶をお供に夕食準備。二人分だと少なくて作るのも楽。いつもより早めに夕食。鯵の蒲焼が美味しくできた。サイは手品のように目を離した隙にあっという間に鯵を胃に納めていた。早めにお風呂。最近産後並みに抜け毛がやばい。ハゲそう。

ゆったりした土曜の夜。サイが寝た後信玄餅アイスを食べた。

 

7月9日(日)晴れ

暑い。食欲のためにも早く秋が来て欲しい。

洗濯していたらサイがレゴを積み上げてお花を作って「ぷれぜんと!」とくれた。嬉しくてあけびの入った花瓶の隣に飾ったら返してくれと言われたから返した。昼前にK帰宅。昼ごはんを食べずして再びいなくなった。サイと二人でキーマカレーを食べた。少しでお腹いっぱい。サイと昼寝。なかなか寝付かない。昼寝後お絵描きなど。粘土は飽きたのか君。

 

夕方帰宅したKと交代し新宿へ。まこりんの初主演映画鑑賞と舞台挨拶とサイン会。そういえば舞台挨拶って初めてだ。俳優さん達が撮影の話をするのがとても興味深かった。憎らしい悪人役の俳優さんが物凄くいい人そうで、俳優ってすごいなと当たり前のことを思った。まこりんに初めて会えて気持ちが高まり思わず泣いてしまったら優しくハグしてくださった。映画は本当に今まで私的感情を理由にまこりんの出演作を観れなかったけど、もっともっかまこりんの作品を観たいと思った。特にスクリーンで。トイレに行ったら酷い顔をしていた。映画館を出てラストシーンを思い返しながら新宿駅へ向かった。ベルクで一杯だけビールを飲んで帰宅。帰宅したらサイはお風呂上がりだった。私もシャワーを浴びてサイと一緒に布団に入った。サイとKが寝た後、テレビを観たり漫画を読んだりして就寝。

 

音楽でも映画でも絵画でも、自分が生きているのと同時代に生まれる芸術作品を自らの身体を以ってして現在進行形で体感できるということは本当にすごいことだなと改めて感じた。死ぬまで生き物のように変わりゆく芸術を目撃したい。芸術と生活は常に隣り合わせだと信じていたい。

 

いつもこんな顔をしてたのか

6月26日(月)雨時々曇り
色々あったが、気合を入れて一週間スタート。サイは朝から義母が先週送ってきた果物ゼリーを食べたいと騒いだ。わりと量があるし朝ごはんとしてはどうなのかなと思ったが食べたいと言ったので仕方なかった。色んな味から迷いに迷ってさくらんぼ(冷蔵庫に本物のさくらんぼもあるのに)が入ったゼリーを選んで蓋をめくって渡すと嬉しそうに食べていた。私も一緒に食べるよう強要されたため、あまり気分が乗らなかったが一番食べ易そうな梨のゼリーを食べた。サイは梨も欲しがったので半分食べたところでそれもあげた。朝からゼリーとか、いつ何を食べるか(おやつは絶対15時と決まっていた)に厳しかった自分の母親に言ったら怒られそうだなと思った。でも私は私のやり方でやっていく。もう食べたことない人はいないんじゃないかと思うぐらい有名な「ゼリーのイエ」のゼリーを最近ツイッターで見かけたが、ずっと食べたいのに食べたことない食べ物の一つ。お取り寄せしたらサイは絶対喜びそうだなと思った。愉しみができた。
雨なのでフル装備登園。脱いだり着たり繰り返して本当に障害物競争かスパイ大作戦の気分。河童は究極にダサいしサンバイザーで頭痛いし朝から疲れる。

夜。Kにお迎えを頼み、スーパーに寄って帰宅。二人より早く帰ってきたのにすぐ夕食作りに取り掛かれず、部屋の電気もつけずにスーパーのパンコーナーに2割引き(160円!)で置いてあって買った美味しそうなフライドポテト(ピザハットのポテトに似てる)をつまんだ。思いの他美味しかったので止まらなくなり結局全部食べた。まもなく二人が帰宅したがサイが近所にたくさん咲いている紫陽花を見に行きたいと言ったらしく、荷物だけ置いて二人はまた出かけた。最近休みの度に「紫陽花見に行こうよ」とあじさいデート?に誘って二人で見に行っていたが、サイが関心を持っているかどうかよく分からなかったので、自分から見たいと言うなんて嬉しかった。私がお花に対して可愛いねと言ったり愛でている様子を普段から見せているからか、サイもお花が好きなようだ。花が好きな男性はいい、すごくいい。假屋崎だれそれがいいという意味でなく。ちなみに最初サイは紫陽花が「おじさん」に聞こえていたようだ。ずらっと横一列に並んでいるおじさんをサイと見に行くと考えたら可笑しかった。挽肉と野菜を炒めてごはんに乗せ、その上から目玉焼きも乗せた。サイは目玉焼きというか卵がかなり好きなようでそれだけ先に食べてしまい「もっとたまごたべたいのー!!」と欲しがっていた。


6月27日(火)
朝。パンとキウイ。ゴールドだと思って買ったのに切ったらグリーンだった。ショック。メロンパンナちゃんと同伴登園。

出社してすぐ、海老蔵ブログにアクセスした。ずっと見るのが怖かったけどようやく開いた。麻央さんが亡くなって約一週間が経つが、悲しみで満ちているかと思いきや意外なことに明るく活動的な内容だった。しかも、ものすごい更新頻度だった。海老蔵氏は公演を一日も休まず稽古に励み、お子さんも麻央さんが亡くなった翌々日には舞台に立ったと書いてあった。信じられない。打ちひしがれてぼーっとして生きる気力を無くしていたのは私だけだった。彼らは闘いを終えた後再び休むことなく闘い始めていた。ブログに書かれていることが本音とは限らないし無理をして書いている可能性もあるが、この「生きている」感じが全面に溢れ出ているブログがとても心地よかった。

アメブロはアクセスすればするほど書いた人が儲かるしくみなので嫌な人のアメブロは見ないようにしている(嫌なら見ないのは当たり前か)。海老蔵さんと二人のお子さんはお金にはまず困らないだろうから金銭目当てで更新しているのではないと分かっているし、「更新しすぎ」という批判の声があることに対しても自らブログの中で弁明されていた。頻繁に更新して何が悪いのと私は思う。「更新しすぎ」と言う人はこれまで一度も、文字化したものを不特定多数の誰かへ向けることで自己や物事を客観視し状況に立ち向かおうとしたことがないし、する必要もないのだろう。私は彼のブログを今後毎朝PCを立ち上げてすぐ見ることに決めた。海老蔵さんが苦悩している様子、麻央さんが好きだったピザを子ども達にリクエストされて苦手ながらも一緒に食べている様子、お子さん達の様子、稽古の様子、どんなにつまらないことで一日に何度更新したってかまわない、彼や子ども達が生きていることが私を生きさせる。上のお子さんがお花を床に並べている写真が印象的だった。

夜。K不在。私は昨日の昼に食べようと日曜の夜準備したが持って行くのを忘れて、くやしいことに今日も忘れた挽肉と野菜を炒めてご飯にかけた弁当を食べた。サイに食べさせてお腹を壊すと大変だと思い、サイはごはん、納豆、トマト、ハムエッグ、とうもろこし。朝ごはんみたい。夕食後、「おじさんみたい~」と言われ何かと思ったら「Mr. Bean」のことだった。
昼休みに明日の朝食用にお気に入りのパン屋で買った食パンその他を忘れてきたことに気が付いた。まあごはん食べればいいか。


6月28日(水)
朝。パンがなければお菓子を食べればいいじゃないをサイに内緒で実行した後、サイに「パンないんだけどごはんでいい?」と聞いたら「いやだ!」と拒否された。他に何もなかったので、ゼリーとキウイ(昨日の残り半分)を食べさせた。まあ炭水化物一食ぐらい抜いても仕方ないか。
トイレトレーニングが一向にうまくいかない。成功すればアンパンマンのシールがもらえる制度にも飽きてしまい(だいたいコンプリートしたから?)、トイレにすら行ってくれなくなった。「あのー、サイくん、トイレ・・いってみる?」と恐る恐るトイレの話題を出した途端に不機嫌になり、「あとで!」とか反抗期の男子かって感じ。なので最近はおしっこもうんこもオムツ中でしておまけに教えてくれない。前はちゃんと便座でできていたのに逆戻りして泣きそう。夜泣きの次ぐらいにトイトレが辛い。次の手を打たないとと思いつつ、平日朝一人でバタバタしすぎて何もできていない現状。

出社して即、海老蔵ブログ。救われるような思い。
今日はパフェの日らしく、それを知ると俄然パフェが食べたくなった。でも行く人が見つからず、一人でもパフェを食べに行きたくて、大好きなフクナガに行くことにした。退社直前、昔よく飲んでいたけど子どもが生まれてから疎遠になっていた別の階の先輩のことが急に頭によぎり、ダメ元で聞いてみたら「胃もたれだけどいいよ」と言ってくれた。私はこの先輩のこういうところが好きだ。疎遠になった理由は先輩が子どもほしくてできなくてずっと悩んでいて、私は私で子どもの話をするのが悪いなと思っていたらだんだん距離が開いた。社内でたまにすれ違うくらいだったので、久しぶりにゆっくり話した。季節限定のアメリカンチェリーのパフェ(見た目からしてもうやばい、至福の塊)を堪能しつつ、仕事や家庭のお互いの近況を話した。ついサイの話をしてしまって、すみませんと言ったら全然いいよと言ってくれた。食べ終わって駅までの道すがらに突然、先輩が妊娠中であると告げられた。ただただ嬉しかった。ゆで卵野郎の話(まだ根に持ってる)とか他の余計な話をしてしまったから、言い出しにくかったんだろうな。先輩は不安で仕方ないと言っていた。これからちゃんと赤ちゃんが育つか、無事に生まれてくるか、保育園は入れるか、仕事は続けられるか。あんなに妊娠を望んでいた先輩は一瞬寂しそうな表情を見せた。

でも私も一緒だった。とにかく不安だった。不安で不安で、ベタにたまごクラブを買ったり、妊婦はどうあるべきかネットで調べまくったり、マタニティ関連の漫画本を買い漁って読んだりしていた。未知の領域への不安に対して知識でカバーしようとしていた。今考えたらちょっと必死すぎだった。生まれてみれば不安になる暇はほとんどないし子どもの方が強いから大丈夫だった。生まれてからは参考書もほとんど読むことはなかった。「絶対にだいじょうぶですよ」と私は先輩の目を見て言い、駅で別れた。

帰宅するとちょうどKとサイが晩御飯を食べ始めるところで私はパフェを平らげたにも関わらず、Kが買ってきた太巻寿司を大量に食べた。何も言わないKに「いや、パフェ食べたかってん」と弁明すると「前からずっと言ったよね」とだけ言われた。こんなに食べたのは数日ぶりだ。甘い物を先に食べて胃を刺激するのはいいかもしれない。ご飯を飛ばして直接甘い物を身体に入れることで疲れも癒されたし、いいことずくめ。ご飯(作るのは放棄)に間に合えば問題なさそうだし、月に一度くらいこれをやろうと決めた。

文通相手から素敵な小包と手紙が届いていて、食後サイと取り合い(本当に熾烈な争い)になりながら開封した。前にも送ってくれて私が好きだと言った美味しいお菓子と、未来少年コナンのイカしたTシャツが入っていた。「ほら、飛行機だよ~」と言ってもサイの関心はお菓子へ向かっていた。可愛いのにな。目を離した隙にサイが手にしていたビスケットの袋をぶちまけて大惨事。入浴後、就寝。


6月29日(木)
今日は一か月に一度の愉しみの日なので予定より早く目覚めてしまった。サイはいつもの時間くらいに起床。パン、アンパンマンチーズ。さくらんぼはいらないと言われた。キャンディ包みされたチーズをサイはいつもうまく取り出せなくて、ここ数日、フィルムを十分に開かず齧り付いてしまいチーズがフィルムの中に残ったりしてそれに苛立っている様子だった。手伝おうとしても拒否されるので少し勿体ないが手助けせず放っておいて後からこうやって開くんだよとキャンディ包みの外し方を教えていた。すると、今日突然きれいに剥がすことに成功したらしく、丸いチーズを嬉しそうに手にしていた。「みてー!できたよ」とサイは喜んで私に教えてくれた。「ええ、すごい!!すごいね!!できるようになったんだね!」と空前絶後の大道芸を見たぐらいに褒めちぎった。するとにやにやして満更でもないという顔をしていた。できないことは余程問題がない限りは無理に手を貸さず、できるようになった時の喜びをサイと一緒に共有したいと思っている。私が食べているのを見てさくらんぼも結局食べた。

出社して海老蔵ブログ。私はアクセスし続ける。気に入って買った着丈が長い派手なワンピースを着て行ったらK原(上司)に「スー●ーフ●イみたい」と茶化されて、彼女は嫌いではないが、そう言われるとそんな気がして脱ぎ捨てたくなった。
打合せで一人暴走列車な人がいて、周りが何を言っても言い訳のような反対意見を行って激走していた。話し合いはまとまらない。こういう人って自分の発言で他の人がどう思うかとかいちいち胸のうちに手を置いて考えたりしないんだろうな。

夜。Kに頑張ってもらい大森靖子さんのファンクラブイベント。ゲストを交えたトークでは色々と興味深い話が聞けた。最後の「好きなことを仕事にすることについてどう思うか」という質問に対する回答が非常に納得できた。自分のやっている仕事内容が最近あまり好きではないから、「好き」を仕事にしている人はどんな感じなんだろうとずっと考えていた。「苦しいやしんどいも好きの一部だけど、全然やりたくないこともしないといけない」と大森さんはおっしゃっていた。好きなことが仕事だとしても、当然嫌な部分もあるのだなと納得した。どんな仕事でも嫌なところはある。
終電で帰宅。楽しいだけに帰宅後の脱力感がすごい。


6月30日(金)
朝。眠いのに早めに目が覚めた。眠くて二度寝。起床。サイはパンが気に入らなかったのか牛乳に浸して食べていたが、浸し方が悪くテーブルに牛乳が広がっていた。拳を牛乳の入ったコップに入れたり出したりして遊んでいたので注意した。朝はサイの機嫌が悪くなって「ほいくえんいかない」などと言われるともう一貫の終わりなので、もっとちゃんと叱るべきなのに機嫌が悪くなるのを恐れてできていない時がある。そういうのは自分本位なので辞めないとなと思うけどなかなかできない。

サイはお買いものと称してままごとの果物や食べ物が入ったスーパーの袋を両手に持って登園した。この、「登園おこだわり」は1歳くらいからずっとで、アンパンマンの小さいおもちゃだったりぬいぐるみだったり、とにかくサイの中で今日これを持っていなかければ一日が始まらないという物があるらしい。急かして「もうそんなのいいから早くして」なんて言うと怒り狂うので時間がない時も泣きそうになりながら待っている。最近は家を出る少し前に「準備できた?」と声をかけておくようにしている。準備って全部要らないものだけど。園では教室の中に私物を持ち込んではいけないので、教室の前で私が預かる。これが素直に預けない時もあり、先生も困っているしまた大変。

出社。海老蔵ブログ。最近麻央さんのブログを引用されているがそれは何となく開けない。
ずっと眠くて、一日中睡魔と闘っていた。本当に眠い時は眠いと感じることもなく、無意識のうちに眠りに落ちている感じ。恐ろしい。

退社後、サイを迎えに行って廊下の窓から覗くと(いつもすぐ教室に入らないで窓から少し覗き見ている)絵本を読んでいた。窓越しに私の視線に気づく時もあれば気づかない時もあり、今日は絵本に集中していて気づかなかった。(気づいたら手を振って変顔をして応対。)同じように絵本を読む友達と並んで椅子に座って一ページ一ページ機嫌よくめくっていた。先生に言われてようやく気が付いた。絵本を放り出して向かって来ようとしたが、先生に宥められ絵本を棚に戻してからやってきた。いつも洋画に観る離れ離れになった恋人達が久方に再会するかのごとく大げさにサイとハグをする。

週末なので引き出し整理をしに本当の教室(お迎え時間が遅いためサイを迎えにいくのは別の部屋)に行くと、サイと仲の良いAくん(美少年)とお父さんがいてサイの機嫌は更に爆上がった。「Aくん~」と言いながら抱きつき、Aくんも「サイくん~」と言い二人はぎゅーっと抱き合うと勢い余ってよろめき机の角にぶつかって、床にごろごろ転がり、それでもそのまま二人は笑いながら抱き合っていた。私とAくんのお父さん(この方だけ「お疲れ様です」の代わりにいつも「こんばんは」と言われる、いつもスーツでなくラフな私服を着ている)は失笑して無言で見守っていた。テンションMAXのサイとAくんは教室に置いてある備品を触ろうとしたので注意した。全然聞く耳持たず。Aくんのお父さんはAくんに甘いのか叱っているのを見たことがない。へらへらと力なく笑っていた。Aくんはお父さんに無理矢理抱きかかえられ、じたばたしながら教室を出た。サイとAくん、こないだ公園で遊んだIくんが悪がきトリオという感じ。三人寄ると大変だ。

玄関ではYちゃんがサイを待っていた。お母さんに聞くと一緒に帰りたいらしい。テンションがおかしいサイはいくら教えてもYちゃんが待っていることに気づかず、玄関で飛び跳ねながらスリッパを荒らしたり借りて帰る絵本を吟味したりそっちのけだった。せっかく晩御飯でも一緒にと思ったがこれ以上待たせる訳にもいかないので、Yちゃんとお母さんに「待っていただいていたのにすみません」と謝ったら力なく笑っていた。Yちゃんは「あいつ馬鹿なことしてんなぁ」という顔をしていた。しびれを切らしたYちゃん親子は帰ってしまい、他の子も次々帰っていくのにまだサイは玄関で絵本を借りる借りないでぐずっていた。何を言っても帰ろうとしてくれず、意固地になるので放っていたら全員帰ってしまい最後になった。それでもまだ帰ろうとしてくれない。色々な先生が帰り際に声をかけたり手伝ってくれ、何とか保育園を出たものの、庭園でも反抗して砂を触って帰りたくないとぐずり、園を出た頃には私はくたくただった。自転車を走らせると「Yちゃんとごはんたべたかった~」とぽつりと言った。もう遅いよ。大人になってもそんな感じで女性を逃してそうだなと思った。
疲れて近所のファミレスでごはん。帰宅後お風呂、就寝。


7月1日(土)雨時々曇り
朝から雨が降ったりやんだりだったが、パン美人とお出かけ。二人でずっと行きたいと話していたお店があったので本気を出して中目黒まで行った。もしかしたら中目黒はサイが生まれてからは初めてかも。目的地に着くと何とあろうことか、機械の故障で今日は営業停止ですと言われた。がーん。パン美人と落ち込みながら適当に見つけたうどん屋さんでお昼。適当に入ったわりに美味しかった。さすが中目黒と二人で言い合った。それからぶらぶら気になるお店を散策し、途中でベビーカーに乗ったサイは寝て、私はパン美人と色々話しながら歩き続けた。

最終目的地の恵比寿にある私の好きな洋服屋(パン美人が一緒に行きたいと言ってくれていたので)に向かう時、坂道をふぅふぅ登っていたら「藤井四段ばりの前傾姿勢!」と言ってげらげら笑ったあと私を気遣って交代してベビーカーを坂の上まで押してくれた。なんていい人なんだろう。一生この人を大事にしようと思った。洋服屋では生涯のお気に入りとなりそうな美しいワンピースに一目惚れして、そこそこの値段だったが試着したら更に欲しくなり思い切って購入した。いつどこに着ていくのか分からないがとにかく見惚れる美しい服。会計の間、起きてぐずったサイをパン美人は見てくれていた。ありがとう。


駅でパン美人と別れ、私はサイとアトレの屋上庭園に行った。お腹が空いたのでサイとパン美人にもらったパンを食べて、サイは走り回ったり、私がディーン&デルーカで買ったミントソーダを苦いと言いながらけっこう飲んでいた。何と言ったらいいのか、サンフランシスコガールズって感じの薄着で長髪の8歳くらいの少女達が5-6人くらいで遊んでいて、離れたところで娘を放置して喋っている親達もやはりサンフランシスコママって感じだった。その少女達の輪にサイは入りたかったらしく、そろりそろりと近づいたものの、少女達はサイの存在を気に留めることもなくだるまさんが転んだのような遊びをしていた。リーダーっぽい顔をした少女がポケットからハイチュウを取り出して皆に配ったらサイはリーダーを食い入るように見つめて側に寄った。リーダーは一瞥をくれることもなくお構いなしだった。輪に入れなかったことと、お菓子がもらえなかったことで泣きそうになりながらサイが私のところに戻ってきた。無言だったけど気持ちは十分に分かったので、サイの訴える瞳を覗いてただうなずいた。その後もしばらく屋上にいた。寝転がって一緒におじさんみたいな形の雲を見たり、サイが私をiphoneで撮ってくれた。後で見たらまともに写っているのが一枚だけあり、私はサイにいつもこんな顔をしてたのかと初めて知った。気が抜けてとろんとしたような今まで見たことのない顔だった。

屋上から階下に戻ると眼鏡屋さんを見つけたため、今の眼鏡は瀕死だし新しいのを作ろうと急に思い立ち、サイが触ろうとするのであまり吟味できず、とにかく曲がらない眼鏡を選んで検査などしてもらった。できるのを待っている間サイは本屋さんで絵本を読んでいた。眼鏡が出来て本屋を出ようとすると、アンパンマンの本が欲しいと言い、まあいいかと思ってレジに行く途中、突然カラフルな粘土で弁当が作れるキットを見つけ、やっぱりこれがほしいと本をすぐに諦めた。思ったより安かったのでOKした。粘土セットの支払をして袋に入れてもらうと嬉しそうに抱えていた。眼鏡を受け取ったら時間が遅くなったので、そのままアトレで晩御飯を食べた。照明がやや暗いムーディーな店内でサイと横並びの席に通されて笑った。でも実際はサイがお茶をこぼしたり奇声を上げたりして全然落ち着かなかった。帰宅してお風呂、就寝。
粘土をやりたいやりたいと騒いだが明日やろうと宥めるのが大変だった。


7月2日(日)晴れ、暑い

来客の予定だったが一方的に決められて来て欲しくなかったから嘘をついてドタキャンした。

朝起きた瞬間、サイは「ねんどやりたい」と言った。余程やりたかったのだろう。Kはまだ帰ってきていない。木曜の夜に、土曜日仕事終わりで友達と飲むから朝帰りになると言われた時、あり得ないと思ったが、サイが起きるまでに始発で帰ってきたらいいよと許可した。全然守ってくれていない。サイが起きてしばらくしたらKが帰宅。約束と違うことを責めたら「そんな約束してない」とかわされた。いつもこんな感じで約束を守らないので、契約書書かせればよかった。選挙。帰宅後洗濯掃除。サイとKは公園。

二人が昼過ぎに戻った時、大量の洗濯物を干すのに時間がかかりまだ部屋の片付けに取り掛かれないでいると部屋に入るなり「うわ、汚い。何やってたの」とKの機嫌が悪くなった。朝帰りのくせに。お昼は作ったけどその後喧嘩をした。なんでこんな人と結婚したのか悲しくなったので、先が不安だなどと思ったことを口にして、どう思うか意見を求めたら「そんなこと言ってないでとにかく部屋を片付ければ?それで全て解決するよ」と真顔で言ってきたので、人生の選択を誤った気がして悲しくなった。解決するならおまえがやれよ、と思った。

昼寝後、サイと粘土。サイは昨日から意欲を見せていたが、やり始めると始終楽しそうで、ものすごい集中力を発揮していた。おやつも忘れるほどだった。途中まで手伝ってできそうな所をやらせたら満足そうだった。

粘土をやり続けたいサイをなだめてKはサイとスーパーに出かけて私はその間猛烈に部屋を片付けた。帰宅後ごはん。ごはん開始が15分遅れて文句を言われた。持って来てと言われて渡したソースが違うと文句を言われた。堆積していく悲しみ。
二人が寝た後、サイと作った粘土のお弁当をぼーっと眺めながらおねんどお姉さんって可愛いなって考えてたはずなのに、いつの間にか今までの自分の人生について考えていた。

明日は月曜日。

感情のええじゃないかとその後

金曜日からの出来事は書きたくなかったけど忘れないために書く。どうしても抽象的な表現になってしまう場合があるかもしれない。

6月23日(金)天気不明
リフレッシュがきいたのか、目覚めもよかった。午前中は仕事がはかどった。お昼休憩で卵サンドを頬張っていた時、小林麻央さんがお亡くなりになったことをネットニュース(何となく記事を開けなかった)で知った。それからしばらく何も手に着かなかった。フロアの人は話題にしている人はいてもさほど悲しそうにしておらず、いつもと変わらずお弁当を食べて別の話題で談笑したり、雑誌を読んだり見た感じは普段と何も変わらない昼休みの光景だった。感情の強要はしたくないし、全ての人の気持ちが顔に表れるとは決まってないとは分かっていても、この「いつもと変わらない」がどうしても理解できなかった。堪えきれずに涙も少し出てしまったし、歯磨きでもしようとトイレに行くと仲の良い人にたまたま会った。彼女にぶつけるように「みんなおかしくないですか」と聞いた。私の口ぶりにちょっと困ったような顔をしたが「私は悲しいよ。うん、おかしいよね」と落ち着いて共感してくれた。私自身の「かなしみ」は悲しいというより、麻央さんのブログに繰り返し書かれていた「生きること」への強すぎるほどの意志が最後は成就しなかったことに対して悔しさを感じていたように思う(あとから海老蔵ブログに「肉体は失われた」と書いてあるのを読み、そうだよなとまた悔しさ募った)。人と話しても気持ちを切替えられなかった。その後、どちらも仕事関連で「怒り」、「喜び」の感情を起こさせる出来事が大波のようにやってきて感情フォルダが飽和状態になった。なったかと思うと突然風船が割れるように弾け飛んで虚無のようなものが訪れた。こんな感覚は初めてで不思議だった。「怒り」が鎮まった後、「喜び」に対応するのに注力し麻央さんのことは考えないでいた。

終業少し前に仕事が落ち着き、入社以来よくしてくれている母親より年上の女性社員さんのところへお遣いに行くと、いつものように「元気?子ども最近どう?」と静かに聞いてくれた。嘘がつけないので、「いや、今日はちょっとだめで・・」「どうしたの?」「あの、麻央さんのニュースで・・」「・・・??」「お亡くなりになって」「え、うそでしょ!?」というやり取りをした。その方は社内でもちょっと特殊な仕事をされているのでネットをほとんど見ないようで、知らなかったようだ。物凄くショックを受けた顔をしていた。「ご存じでないとは知らず、言ってしまってすみません」と言うと「ううん、そうか、辛いよね、子どもまだ小さかったよね」と目に涙を溜めて言った。それを見て私も泣いた。「みんないつもと何も変わらなくて、普通に笑っているのがどうしても分からなくて」とつい言うと、「え、なにそれ、そいつら全員おかしいよ、感情がないんじゃないかな」と言ってくれ、お昼に「病院出たってことでもう分かるよね」と笑っていた人が感情がないかどうか私には分からないがどうにも理解できなかったため、その日初めて共感してくれる人に出会えたと思って救われるような思いがした。ありがとうございます、と言いその人の席から去った。

定時に退社し、お迎えに行くとサイは金曜日と分かっているのかいつもより嬉しそうだった。どの子も嬉しそうでまだ外も一向に暗くならないので園庭ではしゃいでいた。サイと仲良いYちゃんのお母さんと並んで遠くではしゃぐ子ども達を眺めながら、今日長かったなぁと考えていた。海老蔵さんのことが一瞬頭に浮かんだがサイを連れて帰ることで必死だったのでそればかり考えなくて済んだ。それからYちゃんのお母さんに話しかけ、週末Yちゃん親子と公園へ行き、初めて我が家に来てもらうお誘いをしていたのを再確認した。他のお母さんどころか他人をまだ家に招いたことがなかったが、この人なら来てくれたら嬉しいかもとお誘いした。麻央さんのことは何となく言わなかった。

サイと帰りにドラッグストアに寄り、ビール二缶とよく知らないくせにサイが欲しがった「ねるねるねるね」二つ(Yちゃん来るかなと思って)買い物カゴに入れて、あとこれもサイが欲しがった調理不要なミートボールも買った。
帰った瞬間、サイと手を洗ってからご飯の用意もせず、ビニール袋からビール缶を一つ取り出して立ったまま一気に半分ぐらい飲んだ。冷凍してあったお好み焼きとミートボールとトマトを食卓に並べサイと二人で食べた。お好み焼きを食べるサイの顔を見ていたら、それまで大丈夫だったのに突然涙が溢れてきた。麻央さんの二人のお子さん何歳だったけと考えてしまうともう止まらなくなった。サイの前では泣きたくなかったのに止まらなかった。サイが「おかあさんだいじょうぶ?」と心配したので「目にゴミはいっちゃったよー」と言ったり、「見てよこの顔~面白くない?」と顔をつぶして変顔をして取り繕った。涙が余計に出てきた。食後はなるべくサイに顔を見せたくなくて、私も考えたくなくてサイの好きな「にこにこぷん」や「あんぱんまん」を観た。お風呂でまた泣いたけどお風呂だからサイにはバレなかった。そういえば誰かが「泣く時は湯船で泣くのが一番いい」と言っていたのを思い出した。お湯で流すとすこしすっきりしてもう泣かなかった。サイといつものように歌を歌いながら寝た。また涙が出てきたが暗がりだからバレなかった。サイはすぅーっと寝て、私は全然眠れなかった。Kはまだ帰ってこない。

真っ暗で静かだった。静寂が怖くなり、サイの横で寝ながらイヤホンで好きな音楽を再生した。それから友人にメールしたり、大好きな方に超長文でただ今日何があったかをひたすら説明したDM(受け手は迷惑甚だしいと後で自省)を送った。送ったら満足して何もせず天井を見つめて音楽を聴いていた。涙がすうーと流れ出て、仰向けに横たわったまま静かに泣き続けた。涙がずっとずっと止まらなくて他人事のようにわぁすごいなと思っていたら枯れたのか急に出なくなった。頭ががんがん痛かった。だからイヤホンを外して寝た。眠れず麻央さんのことや色々なことを考えていたらいつの間にか少し寝ていた。何時か分からないがKは帰ってきて風呂場で寝ていたようだった。


6月24日(土)晴れのち曇り
少しだけ眠ったようで変な夢を見て起きたら頭が痛かった。Kは再び出勤したらしく、いなかった。目が腫れていて顔がむくんでいるのが分かったが、あれだけ涙を流したからか精神的には落ち着いていた。
朝食後、ニュースは見たくないなと思い、サイがこれ観たいと言った幼児雑誌の付録についていたDVDを流した。私がちょっと別の場所に行った時に突然、サイの今まで聞いたことないような異様な泣き声、「こわいーー!!!」という声が聞こて来たので、慌てて駆け付けた。ちょうどDVDが終わりテレビモードに切り替わって、ニュース映像を観たらしかった。すぐに消したからほとんど観ていないが、病院にいた麻央さんの姿写真だったようだ。「こわいこわい」と大泣きするサイをぎゅっと抱きしめて「こわくない、こわくないんだよ、この人可愛いんだよ、可愛い人なんだよ、おかあさんと同じなんだよ」と私も泣きながら必死で言った。朝のニュースは誰が観るか分からないのに、視聴率優先でこれでもかと心苦しくなる写真の数々を流すテレビ。嫌なら観なければよいがあのような海老蔵さんや二人のお子さん達への取材の仕方含めマスコミのやり方が残酷すぎて理解できなかった。2歳半のサイにはまだ死を理解させる必要もないと思ったし、うまい対応ができなかったため、再びDVDを再生した。

その後、DVDにも飽きたようだったので洗濯物干しがまだ途中だったが「じゅーすやさんつくって」というサイのリクエストに応えて紙にジュース屋さんを描いて、ジュースやお金を別に紙で作って動かして遊べるようにした。思いの他気に入っていたようだった。

昼食(ファミレスに行きたいと行ったから準備したら行きたくないし外に出たくないと言われて結局家で食べた)後、昼寝をさせようとするも暑くてなかなか寝てくれない。寝室とは別の部屋にサイと私の敷布団を敷くとサイは喜んで転がった。それでも「おとうさんいない」とまだずっとぐずっていた。Kにテレビ電話しても落ち着かずだんだん疲れてきたので、「お父さんは海苔巻きおじさんと戦っているんだよ」と適当なことを言った。「のりまきおじさん?」と不思議そうにしていたので、「眠ってない子がいると海苔とご飯を両手に持ったおじさんが窓から入ってきてサイくんを海苔巻きにしてしまうんだよ。高い窓でもジャンプしてくるよ。」と教えると怖がっていた。自分でもけっこう怖いなと思った。怖いだけだとあれなので、「怖いおじさんがサイくんを食べようとするのを止めるためにお父さん頑張ってるんだよ」というと納得したようだった。そうこうしていたら眠ってくれた。稲荷おじさんというのがいてもいいなと思った。

寝かしつけに時間がかかったため今からYちゃん親子の訪問に備えて片付けるのは無理だと判断してYちゃんのお母さんに断わりの連絡を入れ直接公園集合にしてもらった。サイが起きて公園へ行った。Yちゃんと遊ばせる。Yちゃんのお母さんに麻央さんのことを聞いてみたがあまり話が続かなかったので辞めた。Yちゃんはサイに比べて運動神経がよく、それはもっと小さい頃から顕著で、一人で滑り台を滑ったり高い所へ登ったりしていた。小さな子にはまだ早い遊具にも器用に登っていた。好きなんだろうなと思った。サイは私に似たのか運動音痴でYちゃんがおいでよ~と言っても登れなかったり、滑り台も上まで上がっただけで滑るのを辞めたりした。いい時間になったのでごはんを食べようとファミレスへ行った。

Kも合流して(Yちゃんのお父さんは仕事)食べたい物(私は肉とビール)を食べた。サイとYちゃんは横並びに座って楽しそうにしていた。Yちゃんがお父さんと家でよくやっているという口食べ(「わんわん物語」の要領)でポテトを咥えてサイの方を向いても、サイには何の事かさっぱり分からないようで動揺していた。Yちゃんは「なんだつまんないの、まあいいや」という感じだった。女の子の方が大人になるのが早いとはよく聞くが本当だなと実感した。サイが大人になっても同じように女性を前にして動揺している姿がつい思い浮かんでにやにやしてしまった。

帰宅してお風呂、就寝。

6月25日(日)雨
明け方起きたら朝なのに外が暗かった。湿気があって不思議な感じだった。朝食後、準備。Kにサイを見てもらい美容院。上京以来通い続けている美容院なので気が楽。店の雰囲気が可愛くて店員さんがみなおしゃれで優しいので気に入っている。美容師さんとは深い話をする分けではないが、お互いの家族の話などよくする。とても腕がいいので、実家に帰ると母に「いい髪型」でなくなぜか「うまいなぁ」と褒められる。伸びることを想定して一ミリ単位で切ってくれるのがまたすごい。老い対策について盛り上がり、プラネタリウムやこないだ観た映画についてべらべら話した。

美容院後、小学6年生以来ぶりにラフォーレのSWIMMERへ行った。地下へ降りて行く感覚が足で覚えていてぞくぞくした。時間もなかったので、とにかく可愛いと思ったものはカゴに入れ、今までありがとうの気持ちも込めて大量に買った。SWIMMERを出たらトイレに行きたかったが時間がなかったので我慢してお昼も買わずに電車で帰った。

 

帰宅するとちょうどKがサイを寝かしつけたとこだった。冷凍食品を食べていると、ごとっという鈍い音と共にサイの泣き声が聞こえた。あー、と思って見に行くとベッドから落ちていた。私なら落ちないよう周りにクッションを置いたり万全にするのに、Kはそういう所がツメが甘い。サイは眠いけど起きてしまったことで機嫌が最悪。抱っこしたり色々して再び寝かせようとしたがだめだった。もう起きると言ったのでリビングへいってもここで寝ると言い、布団を敷いたら眠れなくて泣き出したり散々だった。疲れた。サイが話したいというのでKに電話してもすぐ切られた。はぁ疲れた。みんなお母さんはすごい。

夕方、イヤイヤで行きたくないというサイをようやく宥めてスーパーへ行ってサイのお菓子と夕飯の材料を買った。入り口にある花をみて、家の花は枯れてるなぁ明日帰りにお気に入りの花屋さん行こうかなと考えていたら、サイが向日葵とバラが入った花束がほしいと言った。黄色と濃いピンクで派手な感じだった。家の中が殺伐としていたし、たまにはこういうのもいいかなと思ってカゴに入れた。手持ちが足りなくなりそうだったので最初カゴに入れていたアイスや菓子パンを辞めた。

公園に寄ってサイとおやつを食べた後帰宅。夕食、お風呂、就寝。

感情のジェットコースターのような週末だった。ジェットコースターは嫌い。乗る人がいたら座って下から眺めながらメロンソーダ飲んで待っているタイプ。

 

金曜日にたくさん泣いてから、牛乳を飲んだ後のコップのようにかなしみの膜みたいなのが胸に張られて取れない感じがする。食べたいのに食欲がない。

たまには星座をみにいこう

6月20日(月)晴、蒸暑い
朝。昨日疲れてしまったのか寝る時間は遅くなかったのにいつもの時間になっても珍しくサイは起きてこなかった。なので先に準備を済ませ、ぎりぎりまで寝かせてあげることにした。それでも朝ごはんを食べないで登園するのは可哀相だと思い、食べる時間くらいの余裕は残して起こした。寝ているサイをほとんど起こすということをしたことがないので、「もっとねたい~」と機嫌が悪かった。頼まれない限り寝てる人を起こすのはあまり好きじゃない。たまにKがいつもの時間に起きてなさそうでも特に起こしたりしない。社会人だし遅刻しても自己責任。なんで起こしてくれなかったの?と言われたこともない。余裕をみたはずなのに、サイはまだ眠そうでいつもより食べるスピードが遅かったり、途中でうんちをしたりそれでオムツを取り替えてお尻を拭いたり時間はどんどんなくなった。着替えさせてバタバタ登園した。今日はメロンパンナちゃんが同伴。

夜。会社で朝イチで嫌なことがあったのと、大勢が集まるのに冷房が全く効いてない部屋に立たされて暑さで吐きそうになったダブル悪で食欲があまりなかった。帰りながら冷蔵庫に良品週間に買った無印の冷汁の素があったことを思い出し、冷汁なら食べられそうと思った。ボウルに液と刻んだ茗荷と適当につぶした豆腐を入れておしまい。何て簡単なんだろう、火も使わないから去年の夏も一昨年前の夏もこればっかり食べてた気がする。きゅうりと紫蘇がなかったのでKに買ってきてもらって入れた。あと肉屋で鶏天も買ってきてもらった。サイは薬味が嫌かなと思ってサイの分だけ薬味を抜き代わりにカニかまを入れた。「なにこれー」とカニかまを触って珍しそうに眺めていた。カニだと言って先生や周りに「サイくん、おうちでいつもカニたべるよ」など言われてしまっても大変なので「おさかなだよ」と本当のことを言った。魚の姿と違うからか「おさかな~?」と不思議そうにしていた。食欲ない時にも食べられる冷汁なのに私はほとんど食べられなかった。帰りながらあれだけ飲みたいと思っていたビールも飲まなかった。Kがほとんど全部平らげた。

夕食後、1月に引っ越してから我が家初のGが出た。Kが発見して変な叫び声を上げていた。男気なく私に殺させようとしたので「初めに見つけた人が最後まで面倒みるのがルールでしょ」と押し付けた。Kは慣れてなさそうな手つきでGジェットを噴射。実は私はG処理に関してはかなり自信がある(気分悪くする人がいるかもしれないので理由は書かないでおく、聞きたい人がいたら聞いてほしい)のだが存在が嫌いで見たくないので関わりたくなかった。手間取っていたので食器洗用洗剤を持って応戦した。トドメにはこれが一番利く。黒々としてかなり大きいGだった。大きい方が外から来る系で安心だけど。ようやく始末したKが生気のない顔で戻ってきた。情けない。サイは遠くから見ていて気になっていたようだけど何となく殺しているところは見せなかった。「むしさんは?」と聞かれたので「外にいっちゃったよ」と言った。Kは「G-SHOCK」と急につぶやき、面白かったので私が爆笑したら力なく笑っていた。

二人が寝た後、大森さんが作ったゆるめるモ!の新アルバム収録曲「うんめー」のMVを観たら自分でも信じられないぐらい涙がぼろぼろ出てきて観終わって大森さんに感想を言おうと思っただけでまたぼろぼろ泣いてしまった。落ち着くために歌詞を紙に書き写した。とてもいい曲だった。少し大きくなったサイがもし学校やどこかで嫌なことがあった時、この曲を聴かせてあげたい。


6月21日(火)晴、蒸暑い
朝。写真を撮ろうと思って布団の上で我が家のぬいぐるみを大集合させたら並んでいる様子が最高に可愛くてサイと二人でげらげら笑った。サイは私が5年くらい前に買った嫌な思い出のつきまとうけっこうリアルな鰐のぬいぐるみを特にかわいいかわいいと言い抱きしめていた。私も鰐のぬいぐるみを気に入っているし鰐に罪は全くないので捨てたりは絶対しない。目につくところからは少し遠ざけてしまうが、こうやって時々可愛がる。サイはその鰐のぬいぐるみ、通称「わにちゃん」を抱いて登園した。好きな漫画、岡崎京子のPINKみたいでいいなと思った。わにちゃん(を動かす時)は結構がらがらした声で喋る。

私は昔からとにかくぬいぐるみが好きだ。所詮布の塊に過ぎないともちろん頭では理解しているが、どうしても生きているように接してしまう。一人で部屋にいる時に話しかけるとかは流石にしないが、子ども(もしくは人)相手だとぬいぐるみを動かしていくらでも話せる。小さい時から母はぬいぐるみを動かして私やきょうだいに話していた。もちろん普段の母とは普通に話していたが、本当に大事なことや言いにくいことはぬいぐるみに言わせていた。それぞれ声や性格を変えてぬいぐるみ達(を動かす母)は私に接してきた。関西弁、関東弁も性格に応じて使い分けられていた。どこの家庭でもそれが当たり前に行われていると思っていたものだから、人にぬいぐるみの話をしたら気味悪がられて初めて「うちの家」が特殊だと気が付いて驚いた。きょうだいも同じことを言っていた。この話は書くと長くなるので後日。

夕方。今日のお迎え担当はKだったはずが、「取引先につかまった」とLINEが入った。だから鐘と同時に退社して駅まで走ってサイを迎えに行った。サイを迎えに行くといつものように犬のように飛んできた。わにちゃんは年配の保育士に人気だった。サイは機嫌が良く校庭で飛び跳ねてなかなか帰ろうとしてくれなかった。耳鼻科へ連れて行きたかったのでなんとか自転車に乗せて園を出た。耳鼻科に行く途中、運送会社のトラックが止まっていて、車体の横か後ろから白い煙がもうもうと上がっていた。なんか様子がおかしいと思っていたら煙は更に増え、焦げたような匂いがした。あ、これ危ないかもと思い、その道を通るのを辞め反対側へ行った。付近の人は怪訝な顔をしていた。結局トラックはどうなったのか分からないが、爆破か炎上するかと思った。二人で死ぬかもと思い咄嗟に逃げた。何もなかったかもしれないがサイだけは死なせてはいけないとドキドキした。サイを産んでから危険察知センサーみたいなのがかなり敏感になってしまった。
耳鼻科で遅くなったので帰り道の食堂でサイと二人で食べて帰った。カオマンガイと一瞬迷ったけどビールも頼んだ。サイの水と乾杯した。サイはお子様ランチ的なのを食べて喜んでいた。5名くらいの真面目なおじさん集団(なんやそれ)もビールを飲んでカオマンガイを頼んでいた。「今、若い女の子に人気らしいよ」とうきうき言っていて同じものを食べてる私は「若い女の子」になった気がして嬉しくなった。「どこの国だっけマレーシアだっけ」とカオマンガイ談義は続いていた。

コンビニへ寄ってから帰宅。お風呂を入れようと思っていたらKが帰ってきてお風呂を代わってもらった。普段は私がサイと入るがたまにはいいかと思って。そしたら風呂場から鳴き声が聞こえてきてサイはすがるように出てきた。Kは多分洗い方とか慣れていないのだと思う。Kとサイが寝て、私はシャワーを浴びて部屋を最小限に暗くして静寂の中、水をお供に心の整理(部屋は汚い)をしてから寝た。思考や雑念が渦巻いている時は文字にして打ち込むことが私には合っているらしい。

6月22日(水)
朝。K休。サイはさくらんぼの種を飲み込む快感?を覚えたらしくわざと飲み込んでいた。心配していたらKは「でるんだからいいんじゃないの」と呑気だった。
昼。前は同じ場所にいて別の支店に異動になった人が仕事でこちらに来たらしく久しぶりに会った。悪い人ではないが、その人が開催する飲み会に行くと自分以外にがんがん酒を飲ませて潰した挙句、酔った人々を盗撮し自分のSNSに載せる。だから飲み会は行かないか、どうしても行く必要がある時は心を鬼にして、飲んだふりをして別の空グラスに入れたりして酔わないようにする。それはどうでも良いとして、その人(素面の時は普通にいい人)に「Iくんが少し前に辞表を出したがっていた」と聞いた。Iくんはその人の元部下で、今は違うけど同じ支店で働いている。Iくんは私より3つくらい後輩で、普段はぼーっとしてナマケモノみたいなのに仕事になると頭がキレてこちらの思うことを先読みした働き方をする。入社して間もない研修期間の頃、Iくんが仕事できすぎて私の用意した練習用業務が物足りなさそうだったのを覚えている。その支店では、よからぬ者達によって優しい人がどんどん潰されているとか辞めたとか飛ばされたとかあまりいい噂を聞かない。信じられないようなパワハラは揉み消されていた。でもIくんは強いから大丈夫かなと思っていた。様子を聞いて泣きそうになって社内メールをした。

夜。知り合いに急ぎで渡すものがあってお互い終業後待ち合わせして軽く食事をした。私の大好きな場所。ここには好きな人としか行きたくない。サイのお風呂&寝かしつけがあったので1時間くらいだったがたくさん話せて嬉しかった。そういえば土曜日にあったばかりなのに喋りたいことが山のようだった。テイクアウトしたアイスを一緒に食べながら駅に向かって別れた。家に帰るとKがサイをお風呂に入れ始めてくれていて、サイの嫌がる声が聞こえた。私が帰って来て救いを求めるように、サイはカラスの行水で風呂場から飛び出してきた。「こわかったねぇ」と言ってタオルにくるんで抱きしめた(Kには私がそうやってサイを父親嫌いになるよう洗脳しているといつも言われる)。歌いながら入眠。私は少しだけ寝て起きて大森さんの深夜ラジオを聴いてから寝た。


6月23日(木)曇り
朝起きて貧血で顔面蒼白。最近食事を十分にとってなかったのと昨日夜更かしした自分に責任はある。メンタル的には問題ないがふらふらで出社。出社したがやっぱりムリと思って一応上司に打ち明けた。帰っていいよと言われたが朝やらねばならない仕事があったので午後休を申請した。データ入力と打ち合わせをしたら即退社。

家に帰って寝たかったが、常に近所の動向をチェックしている監視おばさんに「この人子ども保育園行かせて家で休んでるわ」と思われるのが嫌で、思いついたのが好きだがサイが生まれてから行けてなかったプラネタリウムだった。映画のように必死になって観ずに何なら寝てしまってもいいかもしれないと思った。上映が始まり、もたれ具合がちょうどいい座席、貸出の気持ちいいブランケット、最新技術を駆使した半球スクリーンに投影される映像(こんなにすごいって知らなかった)、某好きな女優のぼそぼそとしたナレーションと音楽、なんか漂う癒し系の匂い(ヒーリング効果のためそういう香りを出しているらしい)で完璧最高だった。天国。開始間もなく眠くなってきて、でも予想以上にプログラムが面白かったので半分寝ながらもぼーっとして観聴きしていた。「昔の人は星を頼りに航海していました」、というどこかで聞いたはずの解説に自分でも驚くほど感動して(女優さんの声の効果絶大)、気が付いたら泣いていた。さすがに声を出して泣かないがひたすら静かに涙が流れていく感じだった。冬の空で大森靖子さんの曲にもなっている「オリオン座」が見えて、あぁーとまた涙が出てきた。なぜかこれまでの人生の良かったこと悪かったことが溢れてきて、ちょっと眠くて意識が朦朧としていたので死ぬ前ってこんな感じかなと思った。上映が終わり明るくなったら、隣の知らない人は何事もないような顔をしていた。「(映像がきれいすぎて)気持ち悪くなった」と言っている人もいた。泣いているのが自分だけなのが恥ずかしくて急いでハンカチで拭いて平気な顔で出た。

帰ろうと思ったら外でビールを飲んでいる人が見えて、吸い込まれるように入店して外の座席に座りビールを一杯だけ頼んだ。風が気持ちよかった。涙を流したからか目を休めたからか気持ちと頭がすっきりしていた。少しだけ洋服屋を覗いていつもの時間に仕事帰りのような顔をしてお迎えに行った。Kが帰宅して「ビール飲む?」と聞かれ「いや、いいよ」と答えたら驚かれ三回も確認された。別に怒らないと思うが、半休を取って出かけたことは何となく秘密にしようと思った。
夜、暑くてサイがなかなか寝付かなかった。

卒論は2万文字、一週間は8747文字

6月12日(月)曇り
朝。目覚めた瞬間、気温や外の明るさで「あ、寝坊したかも」と何となく感じた。リビングに行き時計を見るとやはり寝坊していた。慌てて朝ごはんの準備をし、サイが食べている間に着替えたりサイの洋服を準備した。いつもは側で食べる様子を見守っているが放置したばかりに戻ると牛乳をテーブルのマットにこぼし、それを手で広げて遊んでいた。こぼれた牛乳の染みを見て「ミッキーみたい~」とへらへらしていた。私が一緒に笑ってくれると思っていたらしく、叱ったら不意打ちを受けた顔をした。もうやらないようにと低い声で言ったら「うん」と反省していた。私がサイが生まれる前に買ったジンジャーブレッドのぬいぐるみ(通称ジンジャーちゃん)を抱いて登園。


帰りの自転車に乗りながらぶつぶつジンジャーちゃんに話しかけていた。夜はK不在。夕食は冷凍してあったチキンライスに焼いた卵を載せてオムライス風。人参とケチャップでアンパンマンの顔にしたらサイは喜んで、顔を壊すのが嫌なのかもったいぶって食べていた。暴食を止めるには何でもアンパンマンの顔をつけるのがいいかもしれない。夕食後、甘えてきかと思うとわんわん泣き続けてぐずっていた。体が熱かったが体温を計ると平熱だったので眠かったらしい。保育園での昼寝が短かったのかもしれない。ベッドに連れていくと案の定いつもよりすーっと入眠した。


6月13日(火)小雨 寒い
明け方喉が痛くて起きた。空気清浄器を付け忘れていた。布団に入りながらラジオを聴いて会社の美人にもらったパンを2個食べた。サイはいつも起きる時間を過ぎてもまだ寝ていた。やはり昨日の昼寝が短かったのだろう。キウイを切って全部サイのお皿に入れたら一切れだけ私に分けてくれた。「たべてね」と大人みたいな顔で言われた。今まで全部独占していたのが最近少しずつ自分の分を「分け与える」ということを覚えてきたらしい。ぬいぐるみ二三人(体?)に見えない「エアお菓子」を分け与える姿も時々見られる。今日もジンジャーちゃんと登園。教室に入ると「ジンジャーブレッドだ」と先生が言い、それを聞いて他の子も物珍しそうに集まってきた。他の子に奪われると思ったのか素直に私に預けた。

夜。サイは昨日と同様機嫌が悪い。コンロに立って焼きそばを作っていたらくっついてきて危なかったのでKに代わってもらった。先週の懇談会でどの子も家でイヤイヤが酷いのに保育園で泣くことはなかったり、家で何も食べない子が保育園では好き嫌いなく食べるという話が多く、聞いたお母さんは皆驚いていた。「園では我慢しているのですが家では甘えたくてぐずることがあると思います」と言われてからあまのじゃくに納得し少し可哀相に思っている。甘やかしてはいけないけど家がサイにとって自然でいられる場所でありたい。食後もぐずっていたのでKはテレビをつけたらいいと言ったが何となくテレビに頼りたくなく、ソファから滑り落ちるふりをしてサイに助けてもらう遊びをしたり、空き箱をテレビに見立ててぬいぐるみを動かしたりしたら泣き止んで嬉しかった。あとは「大きなかぶ」の蕪役になってサイに引っ張ってもらって床をずるずる這っていた。Kは失笑していた。書くと阿呆みたいだが必死。親は子に受けてなんぼだと思っているし子どもの前で恥なんて一切存在しないので新人芸人並にいつも体当たりで何でもやりますの精神でいる。途中から失笑していたKに代わってもらい、テレビ禁止を条件にしたら箱でテレビごっこをして結構頑張っていた。サイの機嫌もよかった。


6月14日(水)
朝。Kがいたのでわりと余裕があった。Kがいつ休みなのかよく把握していないが時間になっても起きなければそうなのだと理解している。私が嫌いなさくらんぼを二人分器に入れたらサイが全部食べた。器用に種も取って食べていた。今日もジンジャーちゃんを抱いて登園。

夜。K不在。冷蔵庫に茹でたとうもろこしとブロッコリーが入っていたので助かった。あとハムエッグと納豆。朝ごはんみたいな夕食。夕食後、サイと二人で大森靖子さんやビートルズの曲をかけてひたすら全力で踊るという遊びをした。サイは大森さんの「ピンクメトセラ」を気に入ったようで私がティッシュの空き箱を切って子どもの日の帽子に張り付けたなんちゃって猫耳帽を被り、ペンライトを振りながら踊り狂っていた。私が踊りながら移動するとサイも着いてきて、二人で笑いながら色んな場所で足を踏み鳴らしたり手を振ったりして楽しかった。サイは勢い余りすぎて時々よろめいていた。いい運動になった。お風呂に入れて布団に寝かせると「おとうさんは?おとうさんは?」と言って泣き出し30分以上寝付かなかった。普段はこんなことないので驚いた。


6月15日(木)
朝。サイが寝ている間にラジオを聴こうと思ったものの、タイムフリーで聴き始めてすぐにサイが起きてしまい仕方なくそのまま流していた。「ピンクメトセラ」が流れて、サイはイントロですぐに「きのうのやつ!」と言った。そして踊ろうと思ったのか、猫耳を探し回って見つからないと機嫌が悪くなった。え、今!?と思ったけど落ちていた帽子を拾って渡すとペンライトを持って再び踊っていた。朝は時間がないから勘弁してほしいけど可愛かった。

夜。サイは帰宅すると空腹を我慢できなくてグミなど小さなお菓子を一つ食べる。今週は日曜日に買ったアンパンマンチーズがそれになっている。「おかあさんもたべる?」と言って私の分も出し、いらないと言っても口の中に入れてくる。半年ぐらい前にチーズを買った時も同じように夕食の前に欲しがり、椅子に座って食べるように促していたのだが、それを今も覚えているようでチーズを一個食べるために椅子に座りに行く。先週コンビニで買ったプリンも食べたがったが、「お父さん帰って来てからみんなで食べようね」と言うと大人しく従った。整骨院帰りのKが帰宅したら「肩いたいの?」「ぷりんたべよう」と大人みたいな口調で言っていた。夕食はささみに冷蔵庫にあったキャベツを千切りにしたものとチーズを入れたら不思議な味がした。Kは一口食べて「面白いね」と言った。面白い夕食。夕食後、三人で奪う合うようにサイが振り回してぐちゃぐちゃに混ざったプリンを食べた。空になってもサイはKと交互にもうないプリンを急いで食べるふりをして可笑しそうに笑っていた。


6月16日(金)曇り
朝。サイがいつもより早く起きて私が起きられないでいるとアンパンマンチーズを食べたいと言われダメだと分かっていたが残り2個しか入っていなかったので袋ごと渡しまた布団に入った。サイは2個とも食べていた。それでもぐずっていたので「今日サイくんとお母さんが着る服見てきてよ」と言ったら部屋を出てしばらくして戻ってきて、サイは引き出しから自分のTシャツを出し低い位置にかけてあった私のブラウスと一緒に持ってきてくれた。感心している場合でないが偉いなぁ。サイが選んでもってきてくれたブラウスを着て出勤した。

昼。虐待で娘を殺した母親に懲役13年の判決が下ったとニュースで見た。サイが生まれてから虐待のニュースがどうしても気になる。母親はどんな人なのか、Facebookの写真や子どもと写っているプリクラなどが公開されていると食い入るように見つめてしまう。皆育児に疲れたというより、私より綺麗で化粧をちゃんとしているし活発そうな感じがする。それでも子どもは殺された。記事を読むと虐待内容は信じられないぐらい惨いものだった。亡くなる直前の衰弱した娘を見て夫とLINEで笑いあっていたらしい。いつもそうとは限らないが虐待する母親は父親と共犯関係にあるというか我が子より夫を愛している感じがする。私にはそれが信じられない。こんなこと言ったら怒られるが、もしサイとKが同時に崖から落ちそうになって一人しか助けられないとすると迷わずサイを助けるだろう。など言っている場合ではなく、判決を受けた母親は今何を考えているのだろう。考えたところで亡くなった女の子は戻って来ない。

午後、仕事関連でセミナーというか勉強会に参加していつもより少し早めに直帰した。話が難しくてついていけなかったけど勉強になった。まだ明るいのが嬉しいと思っていたら空模様が怪しくてベランダの洗濯物が一瞬頭によぎったが、行く所があったので家に一度帰る選択肢は捨てた。セミナーで頭が疲れたので電車に乗る前に駅前のスタバに行った。「チョコレートブラウニーなんたら抹茶ショット」というのが看板に描かれていて、テイクアウトしてお店から出て一口食べた(飲んだ?)大学生らしき女の子達が「超おいしー♡」と声を上げていた。女の子達が手に持っているカップを見たらチョコレートケーキがどかんと丸ごと乗っていて何これ最高と思って迷わずそれを頼んだ。前の人も前の前の人も同じものを頼んでいた。店員の女の子は三回続けて慣れた手つきでケーキをフラッペに載せたり生クリームを絞っていた。一口食べたらブラウニー、生クリーム、抹茶の相性が最高でこれぞ幸せの極みと思った。食べ進めるとブラウニーが崩れフラッペと混ざってしっとりするのがまた美味しかった。1/3ほど食べたところで突然この味がキツく感じて胃が重くなってきた。美味しいのに苦しかった。え、そんなはずないと焦って周りを見渡したら若い子は嬉しそうに皆完食して一緒に別のケーキまで食べている人もいた。その瞬間、自分がこの子達とひとまわりくらい離れていてもう若くないという事実に気が付いた。自分がおばさんなのは分かっているはずなのに時々それを忘れてしまう。キラキラした大学生と同じ感覚に浸れるなんてとんだ勘違いだった。何とか食べ終わると急いで店を出て電車に飛び乗り原宿に向かった。

原宿へ行ったのは「さいあくななちゃん」の展示を観るためだ。時々ネットで見かけて気になっていたけれどネット上の画像ではよく分からず、実際見てもないのに好きか嫌いか判断したくなかった。自分の目で作品を観てみたかった。土日は予定が詰まっていたので、「どうしてもみたい絵がある」と言ってKにお迎えを代わってもらい行かせてもらった。駅に着いてギャラリーまでの道のりをグーグルマップで見ると竹下通りを抜けた方が早そうだったのでそうした。平日夕刻なのに竹下通りは人でごった返していて通り抜けるのが大変だったから後悔した。お台場かどこかで購入したのかタカ&トシのトシがいつも着てるライオンがプリントされた赤いTシャツを着ているアジア人観光客のおばさんがいた。おばさんは堂々としていてそれを昔から着ていたみたいによく似合っていた。パステルカラーの巨大な綿あめを持った外国人、自分の時代からは信じられないくらい大人びて見える高校生、よく分からない人、色んな人がいた。小学生の時、家族旅行で初めて東京に来て竹下通りを怯えながら歩いたことを思い出した。

ギャラリーに着くと展示室には先客がいてななちゃんと思わしき方に大きな声で一方的に話していた。「売れている草間彌生奈良美智でも必ずバックにサポーターがついていて何ちゃら」と言っていた。広くはないスペースだったので入口で待機し、その男性が話し終えて出るとようやく入ることができた。初めて作品と対面した。どう感じたかなどの感想は別途記述するとして(というか感想なんて野暮な気がする)辞めておく。誰も来ないのを良いことに長い時間展示室にいた。ななちゃんともたくさんお話しできた。人が来たので後ずさりしながらお礼を行って出た。ギャラリーを出ると外は真っ暗だった。本当に観てよかったなと思いながら、うっかり忘れていた父の日に父と義父に色サイズデザイン全てお揃いのTシャツを買って急いで帰宅した。サイはチラシをみて「なにこれー、おおもりさん?」と言っていた。髪型が似ているからそう思ったのかもしれない。ななちゃんの作品、サイにもいつか見せてあげたいな。


6月17日(土)晴れ
朝ごはん、洗濯。私が洗濯を干している土曜日の朝、サイはいつも前日放送分のアンパンマンを観る。やきそばパンマンが美味しそうだった。美味しそうだねぇと言ったらサイも「やきそばあんパンマン(ちょっと間違っている)かいにいきたい~」と言った。なので二人で自転車に乗ってここならあった気がするという美味しいパン屋さんに買いに行った。
期待してるんるんで入店したらやきそばパンは売ってなかった。サイと二人で気が狂ったみたいに「やきそばパンやきそばやきそば」とぶつぶつ言って店内をきょろきょろした。店員さんに聞いたら「そういうのはないです」と言われた。「え、今日だけないんですか?それともいつも作ってないんですか?」とやきそばパンがないと生きられない人みたいな感じで聞いたら若い店員さんはもうちょっと上の人に確認して戻ってきた。「そうですね、お作りしていないですね」と言われた。残念だったが仕方がないのでコロッケサンドとカツサンドと可愛い犬とうさぎのパンを買った。飲み物の冷蔵庫に行くと「サイくんこれね」と飲んだこともない豆乳を選んだ。私には「おかあさんこれね」とよく分からないオーガニックな珈琲牛乳を選んでくれた。豆乳大丈夫かなと思ったけどそれがいいと言うので買った。パッケージを眺めて「きのこのジュース」と勘違いしていた。

父の日の荷物をコンビニで送った後、いつもの公園へ行った。適当な日陰にピクニックシートを広げてサイと買ったパンを食べていると、目の端に保育園でサイが好きな◎ちゃんと◎ちゃんのお母さんが友達親子といるのが見えてげっと思った。いい人だけど◎ちゃんのお母さんが実はちょっと苦手。その友達のお母さんはもっと苦手。もしこちらに気付かれたら嫌だなと思って知らぬふりをしてサイと食べ続けて、そろりと後ろを振り返って見たら◎ちゃんのお母さんと思った人は全くの別人で友達親子も全然知らない人だった。先週もそうだったけど、私は保育園のお母さんに会うことを極度に恐れすぎている。食べ終わった後しばらくそのまま公園でサイと遊んでいた。1時間ぐらい遊んでいたら暑さで私が気持ち悪くなってきたので家に帰って二人でシャワーを浴びて昼寝。昼寝後、楽しい宴へ向けて出発。

以前みんなで築地に行った時にまぐろ料理の店の前を通りがかり、一同気になって改めてそのお店で会を開こうということになっていた。ここよさそう、となっても結局行かないで終わることが大半なのでちゃんと実現して嬉しい。きめ細やかで仕事のできる幹事様と優しい方々のおかげだ。Kは夜不在だったのでサイも連れて行った。最初は固まっていたサイも優しくて可愛いお姉さん方やぬいぐるみ、ある方がiphoneで流してくれた童謡やアンパンマンの歌のおかげで徐々に打ち解け、途中から飛び跳ねたり私のiphoneでめちゃくちゃな写真を撮ったり、「サイくんとってよ」と壁の前に立ち撮影の指示までしてきてテンションマックスだった。ぬいぐるみも童謡もあり可愛いお姉さん達にチヤホヤされながら美味しい料理に舌鼓を打つなんて幼児向け超高級ラウンジみたい。盛り上がる中、あまり遅いとよくないと思い先に失礼した。それまで笑って奇声を上げていたくせに、別れ際「サイくんバイバイ♡」とお姉さん達に言われてもズボンの両ポケットに手を突っこんでそっけない態度を取る塩対応には笑ってしまった。どこでそんなスマートなモテる男の技みたいなのを身に付けたんだろう。
せっかく機嫌が良かったのに出際に挨拶をした店主にいきなり抱きかかえられたのと飼っている犬が大きな声で吠えてきて、嫌がってるのに店主が無理矢理犬をサイに近づけようとしたのでサイは怖い嫌だと言ってわんわん大泣きした。好意のつもりだろうが、こう距離感なく寄ってくる人は勘弁してほしい。おかげで帰りは大変だった。帰宅後、超特急でお風呂に入れて就寝準備をした。いつもより一時間遅くなってしまった。布団の上で「おさかなおいしかったね。おなかとおしり、どっちがおいしいんだろうね。おもしろいね」と言ってからパタンと寝た。

私は何だか眠れず楽しかった思い出を反芻したり、この人のここが好きだなと考えたりしていた。


6月18日(日)曇り時々雨
眠れず遅くまで起きていたせいで寝坊した。今日はアンパンマンの握手会なのに。Kはこのために丸一日休みを取った。なぜ早起きの必要があるかというと、握手会に参加するには早朝から配る整理券(一グループにつき代表者一名がもらえばOK)が必要だからだ。知り合い家族と行く予定だったが、電話すると知り合いも寝坊したらしい。本気が足りない私達。父親達はそれぞれ急いで朝ごはんを食べて整理券配布場所に向かったが、着いた時には整理券は終わっていたらしい。それでもショー観覧の整理券はもらえた。みんな日曜なのに早起きしてすごい。子どもの夢の後ろには親の必死さが不可欠なのかもしれない。
11時すぎに知り合い家族と合流して一緒にお昼を食べた。空間を重視してバイキングにしたら落ち着かなかった。サイは黒いジュース飲みたいと紅茶をほしがって騒いだ。おまけにジュースのコップをひっくり返すし散々だった。知り合いの子はサイと生まれた日が半月違いで予定日は4日違いだった。何度か仲良く遊んだのにサイは忘れたのか固まっていた。実はKとは知り合い夫婦の結婚式二次会で出会った。そういう縁もありずっと仲良くしてくれている。家族ぐるみで付き合いがある人は稀なので大事にしなきゃなと思う。奥さんは二人目を妊娠中で来月予定日。もうすぐ生まれる赤ちゃんを大きなお腹越しに撫でさせてもらった。食後それぞれ別行動をして、整理券に書いてある時間に合わせてショーが開催される場所に向かった。

握手会の整理券を勝ち取った家族はステージに近い優先エリアにいた。子どもにアンパンマンのコスプレをさせたりしていて我々とは本気度合いが違った。間もなくお姉さんが登場して説明があった後アンパンマンバイキンマンの着ぐるみが子ども達の掛け声と共に飛び出してきて始まった。今出るぞという瞬間、サイはそわそわしていた。大森さんを待つ私と一緒だ。私より年上であろうお姉さんの甲高い声と語尾をやたらと伸ばした話し方が気になってショーに集中できなかった。Kはどう思っているかなと思って横を見たら寝ていた。サイがどんな顔をしていたかよく見えなかったが、一緒に踊ろうよのコーナーになってもサイは固まったままステージを見つめていた。ショーはあっという間に終わり、握手会の前にアンパンマン達はさっさと捌けてしまった。
会場を離れ「握手会、残念でしたね」などと言いながらエレベーターを待っていたらいきなり係のお姉さんが来て道を空けて下さいと言った。えっと思って顔をあげたら目の前の業務用扉が少し開いていた。ああ、これチャンスやんと思ったら予想通りアンパンマンバイキンマンが二度目の会場の掛け声でどわっと飛び出してきて、扉の真ん前にいたサイと知り合いの子をちらっと見て手を振ってから去っていた。思わぬ形で出待ちになりラッキーだった。

みんな疲れてその後すぐ解散した。サイは帰りの電車で相当機嫌が悪く、途中で欲しがったセブンティーンアイスを与えたが食べ終えるとまた機嫌が悪くなった。何してもぐずって車内でわぁわぁ騒ぐので何かないかなとiphoneを出しメモ帳のお絵かき機能を触らせたらようやく落ち着いた。サイの向かいに座っている男の人を描けと命令されたので描いた。なのでメモ帳には知らない人が難しい顔で俯いて音楽を聴いている謎のスケッチが残っている。何とか家に辿り着いたらどっと疲れがきて私もKも放心していた。あんなにぐずっていたサイは家に入った途端、急に機嫌が良くなりショーの再現をしたりアンパンマンの台詞を絶叫したりテンションが高かった。顔を交換する時の効果音を歌わされてタイミングが遅れると怒られた。

ふと父の日なのにKに何も用意していないことに気が付いた。自分の父親でいっぱいいっぱいだった。どうしようもないので正直に謝って晩御飯好きなもの作るから言ってよとリクエストを促した。「からあげ」と返ってきたが揚げ物なんて勘弁と思ったので「お好み焼きとかどう?好きでしょ」と冷蔵庫にあったキャベツを使うために強制的にお好み焼きになった。じゃあ聞くなよという感じ。まあまあ美味しくできたお好み焼きとKが買ってきた刺身を食べた。食後、サイがショーの内容を記憶していて話し出したので、ショーのお姉さんの台詞をモノマネしたらげらげら笑って大受けした。調子に乗って2回目をしたら更にツボにはまったようで、終わる度に「もういっかい!」と言われ計50回ぐらいやらされた。お風呂でもやらされてまだ笑っていた。
サイが寝た後、何だか眠れず「父の日やし私が洗濯とか掃除するから寝ていいよ」とKに提案すると「なにそれ怖い」と言われた。家事をやると言って怖いと言われる妻って一体と思った。日中たくさんの人といたので一人になりたかったのもある。のそのそ家事をしながらお礼をしたり返事をしたりしていた。

芸術から始まる濃くて甘美な週末だった。
父のTシャツは母の方が「変なTシャツ(オタT)しかなかったから助かる」と喜んでいた。

それにしてもこの日記長すぎる。8747文字。論文か。

何でも分かってるような顔しないでよ

6月5日(月)
お迎えに行くと空は暗く今にも雨が降り出しそうだったので、どの親御さん達も蜘蛛の子を散らすように大慌てで帰って行き、私も世界が破滅するぞという気持ちで自転車を全力で漕いで帰宅した。「雷さん来ちゃうとおへそ取られるからね、急いで帰るよ」と帰りながら話していたからか、家に着いてから空がゴロゴロ鳴り始めるとサイは雷をものすごく怖がって怯えた表情で私にぴったりくっついて離れなかった。私が夕食を作るためにサイから離れると同じ表情でネコの巨大ぬいぐるみをずっと抱きしめていた。まもなく雷は落ち着いた。

夕食後、妹におめでとうを伝えるために実家にテレビ電話をした。妹が帰宅する前は練習で母相手にハッピバースデーの歌を自信あり気に歌っていたのだが、妹本人が帰宅していざ歌うとなると恥ずかしがって声は小さいし私の膝に顔を埋めて最後まで歌いきらなかった。人見知りとも違う、「恥ずかしい、照れ臭い」という感情が芽生えたようで微笑ましい。
保育園で誕生日の子がいる日は偽のケーキ(知り合いの子が通っている資金がある園ではちゃんと本物が出てくるらしい)を囲んで歌を歌い、偽のろうそくを吹き消して毎回お祝いしているものだから、誕生日=ケーキという図式が頭の中にあるらしく、「サイくんもケーキたべたいー!」と騒いでいた。「サイくんの誕生日はまだだよ」と言っても誕生日が生まれた日であることすら知らない彼に誕生日が一年に一回しかないのを理解させるのは難しく、不服そうだった。いっそのこと『不思議の国のアリス』に出てくる「何でもない日おめでとう」の歌でも歌おうか。英国BBCミュージカル版のアリスが大好きで小さい頃VHSが擦り切れるほど観た。DVDに変換したくて実家から持って来てはいる。最高に面白いのでサイに観せてみよう。

6月6日(火)
朝。少し肌寒い。アンパンマンのTシャツを着たいと騒いだが半袖だったので、長袖を着るよう説得するのが大変だった。キャラものの洋服には手を出さないと決めていたが、やなせ先生の絵ならいいかと思って買ったらサイは予想以上に気に入っている。あとは父がめちゃくちゃ趣味の悪いアンパンマンの派手なTシャツを送ってきて「げっ」と思ったがサイは相当気に入っている。そうやって着せるものはだんだんどうでもよくなる。

夜。町田康さんの新著サイン会。サイと同じくらいの子どもを連れた人もいた。優しさとこちらの内面を見通すような力強さを併せ持つ眼差しにいつも卒倒しそうになる。男の人に対して「この人カッコいい!きゃー」などと思うことはあまりないのだが、この方だけは例外で兎に角格好良い。ベテランになってもずっと変わらない態度。町田さんの書く字が好きなので見惚れるように筆の運びを眺めていた。新刊の『ホサナ』は分厚くてまだ読み始めたところなので感想が言えなかった。(子育てと関係ない話をつい長々書いてしまった)

帰宅するとサイはちょうどお風呂から上がったところで、機嫌がよかった。髪を乾かしていつものようにベッドで一緒に歌いながら寝た。「さくらんぼパイ」の歌が最近お気に入りらしい。

6月7日(水)
朝。久々に休みのKがいたので助かった。サイを任せていつもより10分ぐらい長く寝てから起きて台所へ行くとKは私のお弁当を作ってくれていた。家が汚なすぎると言われた。蕎麦屋の出前のように「今日片付けるからさ」と言い訳した。私が昨日買った可愛い兵隊の形をしたパンを箱から出すとサイは大喜びだった。口がなかったので「おくちがないねぇ」と覗き込んで言っていた。私が目を離した隙に人形の頭は鮫に喰いちぎられたようになっていた。サイはそれからお土産の鮎焼きもKと半分ずつ食べた。「お魚だよ~」と言っても形に興味を示さず食らいついていた。中に入った求肥餅を勘違いして、「チーズがはいっているねぇ」と嬉しそうにしていた。Kがいるとサイは出かける前もぐずることなく機嫌がいい。アンパンマンを歌いながら踊っていた。最近はお気に入りのメロンパンナのぬいぐるみを必ず連れて登園する。いつもクラスの入り口で別れ際に私とハイタッチをするが、今日は(私が動かした)メロンパンナともしていた。
夜。帰ったら余りの汚さを見兼ねてKが掃除してくれたらしく部屋がきれいになっていた。サイはいつも以上の食欲であっという間に自分の分を食べ終えるとKの皿から素手で鷲掴みにしていた。私の皿からはしなかった。炒め物にサイの大好物のソーセージが入っていて、それをもっと欲しがるのを分かっていたので私は危機を感じ、自分の皿のソーセージだけ先に急いで食べたから私の皿はサイの関心対象から外れていたのだと思う。サイはソーセージをなぜか「ポッテト」と呼ぶ。「ポテットほしいーー!」と絶叫していた。ポテトのことも「ポテット」と呼ぶ。

6月8日(木)
午後から保育園の懇談会だったが半休では開始時間に間に合あわないので一日休みを取った。朝いつもの時間にサイを保育園に送ってから急いで電車に飛び乗り映画館に向かった。数時間一人になる時間ができたら映画や美術館に行くことが多い。そんな時しか行けないから。BABEL展と迷って、BEAMSでチラシをもらって気になっていたマイク・ミルズの「20センチュリー・ウーマン」という映画を観た。マイク・ミルズだし(偏見)、BEAMSが映画とコラボしてTシャツやバッグを販売していたので絵になるおしゃれ系映画かなと最初は感じていたのだが、チラシを読んだら俄然興味が湧き、調べたら朝の上映があるのを知ってこれは行くしかないと思った。
平日朝イチの映画館はほとんど人がおらず貸切状態だった。14歳の少年と母親含む彼を取り巻く三人の女性を中心としたひと夏の物語。確かに映像は綺麗で光の取り入れ方とかうっとりするぐらい美しかったが、何より出てくる俳優が全員魅力的で素晴らしかった。特に主人公ドロシアが息子に「何でも分かってるような顔しないでよ」と言われた時の顔が好きだ。母子が互いに距離感を計ろうとする姿に無意識のうちにサイと自分を重ね合せて観ていた。アメリカの時代背景もきちんと描かれていて音楽の使われ方もよかった。はっきりとした結論や分かり易い主張があるわけではないのに観終わった後、自分の中に蟠っていたどろどろした感情がすぅーと溶けていき、胸がストンとした。今何かに対してモヤモヤしている人は何も考えずこの映画を観てほしい、そんな映画だった。後から見たレビューで「ドラマ性に乏しい、退屈」と低く評価している人がいたがドラマ性がないのがいいところなのになと思った。あと、エル・ファニングが何から何まで可愛すぎて惚れた。好きなシーンや台詞がいっぱいあったのでDVDが出たら何度も観てみたい。「この世界の片隅に」と全然話は違うのに、あの映画を観た時と似たような感情が湧いた。自分が今まで生きてきたことについて、これから死ぬまでの人生について考えてしまった。
映画の世界にひきずられながらラーメンを食べて保育園に向かった。

懇談会では、冒頭に子ども不在の中、親だけで「きゃべつのなかから青虫でったよ~」を振りつけ付で繰り返し歌わされた(最初はうっと思ったけど途中からどうでもよくなり同調した)後、園での普段の様子をスライドショーで見せてもらった。数々の遊びや運動に勤しむサイの姿を観て、家にいる時よりも充実している感じがした。サイくんは男子用トイレで立ったままトイレができると先生から褒められ、知らなかったので驚いた。保育園ってすごい。自己紹介を経てそれぞれ自分の子の悩みを発表し先生や他のお母さんがそれにコメントした。トイレトレーニングとイヤイヤ期の話が多かった。他のお母さんの話を聞いているとサイはまだ大人しい方なのかもしれないと思った。終了後、サイが仲の良い男の子Uくんと一緒に近所の公園に行き、ビスコを食べたり(その前に保育園でもおやつを食べていた)鳩を追いかけて走り回ったり落ち葉でお店屋さんごっこをした。二人は生後半年頃から同じクラスで玩具を奪い合ったりしていたのでそれを思い出すとしみじみした。保育園のお母さん達は皆忙しそうなので今まで遊びやお出かけに誘ったことがなく、Uくんとも初めて遊んだけどサイが本当に楽しそうだったのでまた遊んでくれたらいいなと思った。帰りにスーパーに行くと二人が試食を勝手に食べたり走り回ったりして大変だった。
Uくんに会って触発されたのか、夜は久々にあまのじゃく先生登場。

6月9日(金)
朝。サイはヨーグルトを容器のまま食べたがるが1個だと多いので、半分私のお皿に移してから渡すと減らされたことに怒って「もうたべない!」と言い始めた。あー、またかと思って「じゃ、お母さん先に食べるね」と一人で食べていたら「ちょっとだけたべるよ」とやって来て、座らせると普通に食べ始めた。前にもこんなことがあったけど可笑しい。

夜。K不在。支払があったのでコンビニに寄ったらいつも買うアンパンマングミが売っておらず、ゼリーを欲しがって、でもやっぱりプリンにするとゴタゴタして帰りが遅くなった。冷凍していたパスタがあったので助かった。実家にテレビ電話。サイが実家の家族と話している間に洗い物・お風呂の準備など。いつものように歌を歌いながら入眠。数日前から「あんまり冷たくしないでね、サイダ~」という謎の歌を振りつけ歌をよく歌っている。親バカだがそれを歌う時のサイはめちゃくちゃ可愛い。

6月10日(土)
朝。すてきな人と一緒に出掛けた。私の周りには子どものいない知り合いしかほとんどいないので、気が付くと子ども連れでも嫌な顔をしない人とばかり遊んでいる。この人、あまり子ども好きそうじゃないなと思うと悪いような気がして疎遠になってしまう。かくいう私も自分や友人の子はもちろん可愛いと思うが元々子ども自体あまり好きではなかった。
友人がいて興奮状態だったらしく、レストランで椅子を蹴ったり大声を出して落ち着きがなかった。こういう時の叱り方がまだ分からない。怒ると余計に泣いて絶叫する。サイの大好物である海老が入ったメニューを頼んだら案の定海老ばかり欲しがった。いつもこのレストランでは出際に籠を持ったお姉さんが来て籠から好きな玩具を一つくれるのでサイはそれを覚えていて出口に向かいながら大声で「おもちゃもらえる」などと言って恥ずかしかった。声を聴いたのかお姉さんが出口で籠を持って待っていた。サイはいつも欲しい玩具を即決するのに欲しいものがなかったのか迷いに迷っておもちゃのカメラを選んだ。それを予想以上に気に入り、その後行ったデパートの屋上で「はいちーず!かしゃ!」とカメラの音声まで自分で言いながらずっと私と友人を撮影していた。どこかでカメラをなくしてから眠気も伴い機嫌が悪くなった。サイが昼寝している間にアイスを食べようと思ったら店に着いた途端タイミングよく起きたのでサイと争うようにアイスを食べた。サイはアイスが大好きで見ると目の色が変わる。私もサイと同じくらいの頃、アイスが大好物だったと母親から聞いた。帰宅後、カメラは私のカバンから見つかった。一緒に探してくれた友人に申し訳ないことをしたと思っている。
夜はバジルが大量にあったのでガパオライス。サイはバジル抜き薄味。まあまあ美味しくできた。


6月11日(日)
朝。Kにサイを外に連れて行ってもらい、その間に私は掃除洗濯等済ませて後から公園で合流して皆でピクニックする予定だった。ピクニックに持って行く弁当が暑さで傷むと困るからと途中で一回Kとサイが帰宅した。サイは新しいホームセンターに連れて行ってもらったらしく、風船をもらって機嫌がよかった。再び二人は公園へ出かけて行った。Kから「公園に◎◎ちゃんとお母さんがいたよ」とLINEが来た。◎◎ちゃんは同じクラスの女の子ですごくしっかりして可愛らしい。保育園で会う度に「あ、サイくんのおかあさんだ!」と言ってくれる。お母さんも美人で服装もきっちりした方で◎◎ちゃんに教育や躾がきちんと行き届いている感じがする。優しくて感じの良い方なのに私はいつも無意識のうちにこの親子と距離を置こうとしてしまう。この親子がいると聞いただけでろくに化粧もせずに外出しようとしていた私は会うのが億劫になり出かける準備ができなくなってしまった。ピクニック辞めて家で食べないかと提案するとサイがこんなに楽しみにしているのに、とKに怒られたので最低限の化粧をして弁当とシートを持って出かけた。Kは私に気を遣ったのか人がいつもと違うほとんどいない場所にシートを敷いた。周りに人が少なかったので鳩が集まってきた。私はKが買ってきた弁当を食べる気がせず公園の売店で買ったたこ焼きをつまんだら後でお腹を壊した。◎◎ちゃん親子には会わなかった。帰宅後昼寝。Kは仕事。

昼寝後、サイと二人でスーパーに行った。アンパンマングミが欲しいというので持たせたら「いらない(別のお菓子がいい)」と泣き喚いた。別のお菓子はサイにはまだ早いお菓子だったのでこれはダメと言うとわんわん泣いた。冷凍コーナーのアンパンマンポテトの前を素通りしたら更に火がついたように泣き喚いた。店内の人が皆こちらを見ていたが、こういう時はどうしようもないので何もせずとにかくレジを済ませて出ようと思っていたらおばあさんが寄ってきてサイに向かって「どうしたの?なんで泣いてるの?お店の中では泣いちゃダメなんだよ」とやや怒りながら言った。サイは一瞬静かになり怯えた顔でおばあさんを見て更に泣いた。おばあさんは煩い子を親が放置している、私が何とかせねばと思ったのだろう。私の方は一切見ていなかった。それが私はすごい嫌だった。悪いのは分かっているし申し訳ないと思っている、でもこちらにも理由があるから直接サイに言うのは辞めて欲しい。これ以上騒がれては困るとすがるような思いで陳列棚を見るとアンパンマンのチーズがあり、買いたくなかったがこれで泣き止むならと咄嗟に掴んで持たせたらあんなに何をしても泣き続けていたサイは嘘のようにぴたっと泣き止んだ。笑ってさえいた。子どもの感情は単純で複雑だ。おばあさんの一言で自分の子育てが全否定された気がして減った鬱がまた一気に元に戻った。
帰りに暗くなるまでサイと走り回って遊んだ後帰宅して夕飯を作り始めたら、Kに最近夕食が遅いと文句を言われた。お腹の調子はまだ悪い。