カニ日記

息子の成長と日々の記録

引っ越し

海の側に引っ越しした。自分が人生第何章目を迎えたのかわからないが、たくさんの環境が変わって今までの登場人物もみんないなくなってしまった。だからカニ日記は一旦終了し、下記に引っ越す。タイトルは最初にブログをしていた時につけていた名前と同じ。カニ日記は育児日記を基本としていたが今後はこれまでどおりサイのことはもちろん、他のことも綴っていきたい。誰も見ていないかもしれないのにここにそんなことを書く意味があるのかないのか。

https://soundsofsea.hatenadiary.jp/

いつか猫と暮らしたい

7月13日(土)
今日も図書館のおはなし会。今日は海の絵本。「うみきりん」という話がよかった。カウンターに行くとまたCさんがいて嬉しくなった。雨が途中で降ってきて慌てて帰宅。


7月14日(日)
用事を済ませた恋人が池袋まで来てくれたので、三人でお昼を食べた。その後、西武のペットコーナーで猫を見た。違う種類の子猫が数匹いて活発に走り回ったり飛び跳ねたりして本当にかわいかった。よく観ていると猫によって全然性格が違うことに気づいた。それからサイがガンバライジングカードをしたいと騒ぐので電気屋さんに行った。ゲームをしたら気が済んだようで何も欲しがらなかった。偉い。スーパーで買い物して帰宅。乾杯してビールを飲みつつ晩ごはん。昨日作っておいたラペとポテトサラダ、漬けておいて焼いたスペアリブ、タコときゅうりのマリネ、ピザなど。ちょっと飲みすぎた。恋人がパスタを作ってくれる予定だったが満腹で作れなかった。みんなでアイスを食べてトランプをした。サイは記憶力がいいので神経衰弱でぶっちぎり優勝だった。そもそも酔っ払いが勝てるわけがない。サイが寝る頃、恋人は私の本棚から読みたい本をあれこれ抜き取ってずっしり抱えて帰って行った。本棚が溢れているからどんどん持って行ってほしい。


7月15日(月)
遅めに起きて洗濯をして、駅前でラーメンを食べてから、サイとポケモンスタンプラリー。途中でサーティワンアイスを食べた。スモールトリプルを半分こ。駅にあったポケモンのガチャガチャで「デデンネス」というピカチュウに似たかわいいポケモンが当たり、サイは気に入っているようだった。私がデデちゃんと呼んだらけらけら笑っていた。スタンプラリーは景品がもらえる6個を目指していたが、盛況なのか各駅ごとに行列ができていて何十分も待たなければいけなかったので、疲れてしまい結局5つしか押せなかった。あとひとつはまた今度。

晩ごはんは昨日の残りの食材で海老とアスパラのクリームパスタ。美味しくできたが作りすぎた。サイも私もお腹いっぱい。冷えた白ワインによく合った。楽しい一日だった。どんどん出かけやすくなって、サイの成長を感じる。


7月16日(火)
晩ごはんはオイルサーディンの炒飯。野菜なしにしたらサイはまあまあ食べてくれた。食後、サイが仮面ライダーを観ている間にマエケンのラジオを聴きながら明日のカレーを作る。「池袋で」という曲がとてもよかった。
それからサイとトランプ。トランプ遊びが気に入ったらしいので、帰りにコンビニでリュウソウジャートランプを買ってあげた。ババ抜きをした。が、カードがうまく持てないとイライラしていた。裏側の数字がすぐこちらに見えてしまう。サイはどうやら言葉より数字が好きらしい。簡単な足し算もできる。

寝る前に恋人と電話。私は自分の声が吐きそうなほど嫌いで、小学校の時に薄暗い廊下で「ごんぎつね」の朗読を録音したのを再生して聞き、いつも自分で聞いている声ではなく他者に聞こえる自分の声を初めて知り衝撃を受けて以来、ずっと声にコンプレックスを持ち続けていた。だから人と話す時はつい小声になるせいか、よく聞こえないと言われる。でも恋人はいつも私の声が好き、かわいいと言ってくれる。素直に受け取れないが、好きな人が好きだと言ってくれるならそれでいいのかもしれない。


7月17日(水)
お昼に最近できたイタリアンのお店で、しらすと生のりのペペロンチーノを食べた。生パスタだからとても美味しかった。カウンター席と調理場の距離が近く、作っている様子が初めから終わりまでよく見えた。先輩が「こんなに近くで見れることってないよね」と言った。確かに。見ていると簡単で、私でも作れそうな気がしてきたが、そう言ったら目の前でフライパンをゆすっているセレクトショップの店員みたいなシェフに丸聞こえになってしまうので黙っていた。

私は生海苔が好きだ。5年くらい前に生のりのクリームパスタやピザをごちそうしてくれた今は亡きIさんのことを思い出した。その時Iさんが「彼女に店の洋服を端から端まで買ってやるんだ」、と言い、奥さんがそれを聞いてにこにこしていたことなど思い出した。Iさんは美食家かつ浪費家で、財力にまかせて好きなものを食べ好きなものを好きなだけ買えることをよく自慢していた。その数年後、癌であっという間に亡くなった。こうやってふとしたきっかけで、亡くなった人のことを時々思い出す。

昨日作ったカレーがあったので晩御飯はすぐ食べられた。サイはカレーに生卵を入れて嬉しそうにしていた。食後にチューペット


7月18日(木)
朝からどんよりしていたので昨晩干した洗濯物を慌てて室内に取り込む。案外大丈夫だったりするかもしれないが、降らないと高を括って雨に濡れたら悲しい。結局帰宅までに雨は降らなかったが相変わらず空はどんよりしていた。スーパーで買い物して帰宅。昨日のカレー。今日もサイは生卵入り。

一週間ぐらいかけて吟味して選んだ、恋人の誕生日プレゼントをネットで買った。本当は実物が見たかったが実店舗は遠く、行ける時がない。人のプレゼントを選ぶ時はいつもものすごく迷うが、結局最後は自分がいいと思ったものにしてしまいがち。全然ほしくないものは買う勇気がない。喜んでもらえるといいな。

夜になると急に蒸し暑く、サイも私もTシャツを着ないまま寝た。途中、蚊に何か所も刺されて目が覚めた。蚊の音が苦手。サイが途中でトイレと言って起きたが、そういう時私はぱっと目が覚める。我ながらすごい。


7月19日(金)
今日も蒸し暑い。久しぶりに日差しを見て、夏!という感じがした。最近涼しかったので夏だということを忘れかけていた。午後から白金台に外出した。ブランド買い取りの店がよく目についた。空いていそうで、かつ美味しそうなタピオカ屋さんを見つけたが入店する勇気がなかった。本当はタピオカ好きなのにタピオカ屋さんでタピオカドリンクを買う自分が恥ずかしくていつも躊躇する。並ぶのも嫌。それで結局、タピオカフラッペというやつをファミマで買った。でも飲んでから私はビールの方が飲みたかったということに気づく。仕事中に飲めるわけはないが。くたくたで帰宅。

洗濯したり買い物したり

7月6日(土)どんより曇り
朝ごはん、片付け、掃除。昼になってお腹が空いたので、冷やし中華とチーズ入りだし巻き。私はハムと焼いたズッキーニをのせた。出際まで洗濯物を外に干す。室内干しが嫌いだ。時間が経っても乾いたような乾いていないようなよくわからない感じがどうも嫌だ。いつまでもはっきり言わない人もちょっと苦手。「竹を割ったような性格」とパン美人に言われて初めて、自分がわりと物事に対して白黒はっきりしたがる性格だと気づいた。見えないものが次第にクリアになっていくのが好きだ。だから数学の問題を解くのが好きだった。何の話?
雨が止み、次にまた降るまでの時間を狙って外に干す。狙いが外れて濡れてしまうことも多々ある。

おはなし会の時間に合わせて図書館に行く。Cさんが働いていた。CさんとはAちゃんを通じて数年前に一度会った方で、美人で立ち居振る舞いがすーっとしていてとても感じが良い。会った後もメールで何度かやり取りしていた。ラインじゃなくてメール。読書家で私の知らない作家を教えてくれる。三年ぶりくらいに再会した。この図書館で働いているのを聞いていて一度だけ見かけたが仕事中で話しかけられなかった。「お久しぶりです」と声をかけるとあっと驚いた顔をして「今日は私が担当なんです」と言われる。サイを見て大きくなったと感心していた。Cさんは読み聞かせがとても上手で私まで聞き入ってしまった。Cさんにスタンプをまた一つ押してもらったサイは嬉しそうだった。終わった後、少し話して、今度ごはんでも一緒に食べましょうと言って別れた。

図書館を出て近くの公園で少し遊んだ後、いつも自転車で行く距離を歩いて商店街まで行き、本屋でてれびくん最新号を買ったあと、八百屋と魚屋をはしごして、珈琲屋で恋人と自分の分の豆を二袋買い、スーパーで桃を買い、寿司屋で巻き寿司を買い、肉屋でメンチカツをふたつ買った。肉屋で風船をもらったサイはご機嫌だった。
サイが家の近くの公園に寄りたいと言うので荷物をベンチに置いてサイを遊ばせる。お腹が空いたので揚げたてのメンチカツを頬張ったら美味しかった。コロッケを食べないサイも食べていた。私は図書館で借りた本、サイはてれびくんをそれぞれ読んだ。お母さんグループが幼稚園がどうたらと話していた。雨が降らなくてよかった。

帰宅して、今すぐ付録をつくれと騒ぎ立てるサイをなだめてとりあえずお風呂、晩ごはん。公園でメンチカツを食べてしまったので、豆腐サラダがメインの寂しい晩ごはんになった。ズッキーニをお味噌汁にしたら美味しかった。金曜日飲みすぎた気がしたので、今日はなんとなく禁酒した。食後、約束通り付録づくり。今月はリュウソウゴールドなりきりセット。やや難しかったので苦戦。疲れた。サイは本物さながらのお面と銃に大喜び。紙なのによくできている。


7月7日(日)雨
サイと恋人と三人でIKEAに行った。久々のIKEA。サイが生まれてから行ってなかったので連れて行くのは初めて。サイは入口にあるタッチパネル式のゲームを見つけ、家具を完成させるゲームやお絵描きゲームに熱中していた。なかなかその場を離れず私はやきもきしていたが、恋人は微塵にもイライラした表情や素振りを見せなかった。サイがゲームに苦戦していたら一緒になってやっていた。

フードコートでお昼を食べた。真ん中の小さなキッズスペースをカウンターが円形に取り囲んだ座席があったので、そこで食べることにした。さすが北欧。この席を設計した人はすばらしい。子どもは食事する時、早々に食べ終えるので同じ席にじっと座っていられない。ここだと中で遊ぶ子どもを眺めながらゆっくり食事することができる。小上がりになった真ん中のスペースで遊ぶ仕様なので、どこへ行ってしまったか不安になって食事に集中できなかったり、慌てて喉が詰まるということもない。日本の企業も見習ってこういうフードコートをどんどん作ってほしい。おしゃれで居心地の良い座席ももちろんいいが、子連れの大人はきっと、人並みのスピードで食事することを何よりも求めている。サイが生まれる前は考えもしなかったが、自分がその立場になって初めて子どもと過ごしやすい空間設計が気になるようになった。子ども優先でも大人優先でもなく、どちらも満足できる、それが一番良い。IKEAやるなぁ。

IKEAにはビールがあるのが嬉しい。ビール愛好家なのに今日は飲めない(運転するから)恋人の前で嬉々として飲むのはさすがに気が引けると思い、遠慮していたら「美味しそうだよ、飲んだら?」とにこにこ言ってくれた。でも席について飲む前にグラスごと倒して全部流れてしまった。あーあやってしまった…と海になったビールを紙ナプキンで拭いていたら、「買ってこようか?」と言われる。悪いから「いや、いいよ」と断ったが私の顔を見て恋人はさっと消え、また行列に並びに行った。自分のごはんが冷めてしまうのに。こういうことをされると、泣いてしまう。びっくりするくらい優しい。お礼を言うと「だって、これから飲もうって時に飲めなくなるなんて悲しいよね…」と言われた。ありがとう。いつも前向きで、一緒いると不安や悩みがすーっと消えていく人。

帰りに駐車場が渋滞していて、乗ってから出るまでに一時間くらいかかった。全然動かなった。サイは寝てしまい、スマホの電波も繋がらなかった。恋人と色んな話をした。そういう時間も案外いいものだ。私の希望で回転寿司屋に行くつもりが、サイが途中で漏らしてしまったので着替えを買いにショッピングセンターに寄り、西松屋へ駆け込む。遅くなったので、お寿司は諦め、同じ建物内で晩ごはんを食べ、1階のスーパーでそれぞれ気になったワインを一本ずつと明日の食料を買って家まで送ってもらった。夜の高速道路はキラキラしてきれいだった。いい日だった。

雨が降ろうが槍が降ろうがビールはおいしい

6月23日(日)
夕方、ちょっと離れたスーパーまで買い出し。暗くなるまでサイと公園で遊ぶ。本気で追いかけっこをしたら疲れた。三十路にはきつい。すべり台は楽しい。

マエケンのラジオに投稿したメッセージを番組冒頭で読んでもらえた。二回目!嬉しい!
自分の書いた文が読まれるのはやはり恥ずかしいが言葉を拾ってもらえたり、コメントしてもらえたのが嬉しすぎて声を挙げてしまうほどだった。永久保存しようと思い、深夜3時ぐらいにPCを立ち上げ、「どがらじ」というラジオを録音するソフトをダウンロードし(検索したらそれでできると知った)、機械操作苦手な私にしては珍しくiphoneへの保存に成功した。それを何度も聴いてにやにやした。お守りのように大事にしたい。


6月24日(月)雨時々曇り
有休を取り、恋人に会った。ちょうど一週間くらい前、電話で告白され、私たちは付き合うことになった。高速バスでやって来くる恋人を東京駅まで迎えに行った。方向音痴の私でもバス停がわかったと自信満々で待っていたら、そこは乗り場だった。慌てて移動。いいタイミングで恋人が到着。中央線で吉祥寺に移動し、まめ蔵のカレー(ともちろんビールも)を食べ、お互いの好きなお店でそれぞれ新しい服を買い、古本屋へ寄り、いせや本店(公園口いせやは日曜は休み)の2階で焼き鳥をつまみつつ少し飲んだ。また中央線に乗って新宿まで行き、最後に私の大好きなベルクで立ったまま締めのビールを飲んで別れた。最初から終わりまでずっと楽しくてずっと笑っていた。とてもいい日だった。恋人とは、こんな人が実在するのかと未だに信じられないほどすーっと気が合うし、一緒にいるだけでただただ愛おしい。相手に求めるものが何もないし求められることもない。とにかく事故や病気をしないよう毎日気を引き締めて生活したい。とびきりかわいいワンピースを買ったから着るのが楽しみ。

サイがYくんと食べて帰りたいというので富士そばで食べて帰った。二人とも興奮して騒ぎすぎて鎮めるのが大変だったがお腹が空いていたのかよく食べていた。


6月25日(火)
帰りはまたYくんと一緒。少し歩いては立ち止まり、突然何かが憑依してライダーになりきって交戦、を繰り返すため、5分の帰路が30分くらいになる。二人は最近ダンゴムシ探しにも夢中なので、道路脇にしゃがんで一生懸命二人で土をほじくっている。少し前まで昆虫を怖がっていたのにサイは最近虫が好きになったらしく、アリやダンゴムシやクモを見つけてはこちらがびっくりするくらい躊躇いなく触る。ホームセンターに行った時にカブトムシが売っていてほしいと言われたが、世話できる自信がなく止めた。私は虫が大の苦手なので家に持ち込まれるとたまったものじゃないが、生き物に興味があることはいいことだし、私でも大丈夫な範囲で何か飼えればいいなと思う(でも怖い…)。

私たちの家の前でYくん親子と別れた。サイはYくんがうちにきてほしい、と言うが今の家の狭さで暴れん坊の男児二人が遊ぶにはちょっと厳しいかもしれない。
遅くなったので、サイは冷やしうどん、私は冷凍パスタ。しらす入りだし巻き。食後、サイが仮面ライダーを観ている間に明日食べる分の野菜入り肉みそを作る。サイが保育園で漏らしたらしく、これでもかと大量の洗濯物。気を失うように就寝。


6月26日(水)
お昼は先輩と週一ランチ。老夫婦がやっているひっそりとしたお寿司屋さんでちらし寿司を食べた。先輩はオリンピックのチケットが当たったそうだが、私は応募すらしていない。今になって観たくなってきた。昔からいつもこうで、文化祭でも体育祭でもみんなが盛り上がっている時に一線置き離れた場所から傍観するが、実は参加したくて悶々としているうちに終わってしまう。我ながら面倒な奴だなと思う。果たして今から応募できるのだろうか。観れるとしたら、陸上か格闘系が観たい。

お迎え。今日はYくんが先に帰ってしまったらしく、サイはIちゃんと二人で帰ることになった。Yくんとコンビの時よりずっとずっと大人しい。Iちゃんと手をつないで、奇声もあげず、ちゃんと真っ直ぐ歩いている。なぜ女子がいるだけでこれほどまでに態度が変わるのか。気を遣っているのか、びびっているのか、あるいは、「かっこいいクールな俺」を見せようとしているのか。理由は何にせよ、大人しければ車道に飛び出しそうになって大声を出したりハラハラすることもないから安心だった。

恋人と電話してから寝た。好きしかない。


6月28日(金)
めちゃくちゃ仕事が忙しい日だった。ラスト30分が特に。金曜日は翌日に持ち越せないので何とか終わらせようと必死になる。必死になりすぎて、何をどうしていたかほとんど記憶がない。夕方、来週退社される長年お世話になったMさんが挨拶に来られたので、昼休みに買った紫陽花の花束を渡した。花を人に贈るのが好きなのに、いつもうまく渡せない。おずおずしてしまう。それに今日はなんとしても仕事を終わらせなければという焦りがあり、Mさんへの態度にも出てしまっていたかもしれない。

いつもの電話を一本乗り過ごし、くたくたでお迎え。帰宅してビール飲みながらドラえもんとしんちゃん。この時間が一番平和。しんちゃんは私の好きなセールスレディー、売間久里代の回だった。そういえば飛び込み営業の訪問販売って最近見ない。


6月29日(土)雨ぱらぱら
雨が降ったりやんだり。マクドナルドでお昼。少し小雨だったがいつものテラス席で。隣の席の老夫婦はそれぞれ無言で新聞を読んでいて、こういう夫婦とてもいいなと思った。サイはハッピーセットマクドナルドの店員になれるインカム付きサンバイザーが当たり、ご機嫌でそれをつけてマクドナルドごっこをしていた。親バカかもしれないがサイはこういうのがよく似合う。

それから図書館。サイは昆虫、私は魚、それぞれ好きな図鑑を読んだ。サイと「11ぴきのねこ」のかるたをした。取り札を取るのはサイ一人だが、私とどっちが早く取れるかやろうと言われる。私は読み札を読んでいるのですぐわかるが、サイが見つかりそうになるまでわからないふりをした。おはなし会が始まって、図書館員の人が数冊の絵本と紙芝居を読んでくれた。かこさとしの「ろくがつろくちゃん」という話がちょっと怖くて面白かった。サイは首から下げられるスタンプカードをもらって、ひとつ押してもらって嬉しそうだった。買い物して帰宅。


もう6月がおわりだなんて。あっという間に夏がくる。サイと花火をする約束をしている。夏が待ち遠しい。

われらは愉快なサーカス団

6月10日(月)
昼から大雨。今日は傘をちゃんと持ってきたぞ!と自信満々でいたら次第に雨は強くなり、折り畳み傘では太刀打ちできない降水量だった。一回帰宅して自転車を置いて歩いてお迎えに行くか迷ったが強行突破でそのまま迎えに行く。自転車を漕ぐようになってから適当に買ったポンチョは機能面でやや問題があり、なぜかいつも中に雨が入ってくる。そしてずぶ濡れになる。サイにもレインコートを着せてから自転車に載せる。

買い物できなかったのでサイは冷蔵庫にあった焼くだけのピザトースト、私は冷奴とアボガド。日曜日にSAで買った「よし子のにんにく味噌」という味噌を冷奴に載せたらめちゃくちゃ美味しかった。アボガドにつけてみても美味しかった。これは使えそう。よし子が誰かわからないが、ラベルを見る限り農家のおばあちゃんらしい。よし子、いいぞ、ありがとう。


6月11日(火)
お迎えに行きながら今日は外で食べよう、と思っていたらお迎えのタイミングがYくんと一緒になった。今日は外で食べるよと言ったらサイがYくんに「ラーメンやいこう!」と誘ってしまったため、Yくん親子といつもの中華屋で食べて帰ることになった。二人がはしゃいで騒ぎすぎて店のお姉さんに「お静かに願います」と言われる。サイは私と二人の時はそこそこ大人しいが、好きな友達といる時は嬉しいのかふざけて大はしゃぎする。「店で大きい声出したらだめだよ」と何度言ってもあまり効果がない。Yくんのお母さんは基本的にYくんを叱らないのでどうしたらいいかわからなくなる。子どもがもっと自由にごはんが食べられる場所があったらいいけれど、自宅と公園以外考えられない。噂に聞く子ども食堂、今度行ってみようか。

帰宅したら明日食べるカレーを作るつもりがサイをけん制するのに疲れて気力がなくなる。サイを暗闇で寝かしつけながら「なんであっちのへやでんきついてるの?」「え、これからママはまた起きてカレーつくるんだよ」「え、いまから?(できるの?という疑念)」「う…うん」数分後。しーん。「あれ、カレーは?」「え、いや、もうちょっと休んでからにする」という会話をしているうちに案の定サイと寝てしまい、夜中に起きても台所に行く気がせず諦める。雨で洗濯物もどんどん溜まっている。


6月12日(水)
その方が余計なものも買わされないし効率的だと気づき、先にスーパーに寄り超特急で買い物してからお迎えに行く。お迎えが遅れるといつもサイに怒られるが、好きなMちゃんKちゃんが一緒だったのでご機嫌だった。三人でけらけら笑いながら坂をくだっていく。親たちはそれを自転車で追いかける。いつものように神社に寄る。MちゃんとKちゃんのお母さんは習い事の話をしていた。Mちゃんはスイミング、Kちゃんは体操をしているらしい。二人の会話になんとなく入れなくて、少し離れて聞いていた。サイは何がしたいだろうか。

私は幼少期、絵画、スイミング、新体操、英語を習っていた。そして科学と学習という学研の雑誌も購読していた。今考えるとまあまあ英才教育だが、当時はただそういうものだと思って特に何の疑念も抱かなかった。楽しかったのもあるし、あまり楽しくなかったものもある。でも今色々なことに興味があるのはこれらの習い事がきっかけになっているのかもしれない。そう考えるとお金を代償にしてでもサイにはサイが好きなことを、もっと経験させてあげたい。

やっと明日晴れそうなので、帰宅して溜まっていた大量の洗濯。多すぎて全部入らない。その間にカレーを作る。野菜を刻んでいたら「なにしてるの?」とサイに聞かれたので「カレー作ってるんだよ、昨日できなかったから」と言い訳のようにぼやくと「ああ」とわかったような返事をされる。私たちは親子なのに時々対等な夫婦みたいだし友達みたいでもある。不思議な関係だ。サーカス団の団員同士、が一番適切な表現だと私は思っている。

サーカスといえばこの夏、木下大サーカスが埼玉にやってくるらしく気になっている。小さい頃、母親に妹と連れられて木下大サーカスを観に行った記憶が未だに残っている。保育園にあったチラシを見せてサーカスを知らないサイに教えたら「ぞうさんがいるの!?」と少し興味を示していた。手品や奇術、サーカスが私は昔からとにかく大好きだ。観る人を楽しませたいために、生きていくのに別に必要でない、言わば無駄なことに時に命を危険にさらして取り組んでいるところにロマンを感じる。

マエケンラジオを聴きながら大量の洗濯を干し終えたところで、力尽きて寝た。前野さんが好きだと言っていた有楽町にあるジャポネというお店(前から気になっていた…!なんでいつも前野さんは私の好みをピンポイントでついてくるのか…)のジャリコというスパゲッティが食べたい。きっとあの店はパスタじゃなくてスパゲッティ。相変わらず面白かった。


6月13日(木)
久々の快晴。朝からまた洗濯。

サイは今日もお迎えが一緒になった子たちと列になって帰り、いつものように神社にお参りする。サイとYくんが騒いでいたら女子に「じゅんばんぬかししないで」「いいかげんにして!」と怒られていた。それでも二人はへらへらしていた。男はつくづく阿呆な生き物だなと彼らを見ているといつも感じる。阿呆でい続けると生きる上で損することがあるかもしれないが、誰も傷つけない。阿呆でいること、これは案外大事だ。

サイが寝てから好きな人と電話した。9時半から深夜2時までなんと4時間半も話してしまった。ずっと楽しくてずっと笑っていて、なぜこんなに話すことがあるのか自分でも不思議だった。2時を過ぎいよいよ明日に差し障るから大変だ、となり電話を切ったが延々と話していられそうだった。


6月14日(金)
夜更かしのせいで眠く、視界がぼんやりしていた。目覚ましが鳴る前に「ねえ?おきないの?」とサイに起こされる。サイはぱちっと目を開けて起きると同時にいつも何か私に語りかけてくる。今日は仮面ライダーの夢を見た話をしてくれた。寝ぼけた発言をしたり「うーん」とか絶対言わない。「あのさ…」と目を開けた瞬間に始まるので笑ってしまう。脳が若いのかもしれない。昼頃までよく晴れていて、雲が大きくもくもくと美味しそうだった。

お昼は好きな先輩二人とハンバーガー屋さんへ行った。ゴミの仕分けの話、家賃の話、会社の話などなど。会社に対して抱いていた違和感や疑念が先輩たちと同じで安心した。状況に耐えられない時は自分が変わるしかないのだと改めて感じた。

朝観たEテレの「デザインあ」でたこ焼きが分解される映像に触発されたらしく、サイがたこ焼きが食べたいと言うので夜に買いに行く約束をしていた。帰りには私はすっかり忘れていたが、家に帰る途中で「たこ焼きたべたい」とまた言われ、「あーそうだったね」と一度買ったことがある駅の近くのたこ焼き屋まで自転車を走らせる。少し丸顔の愛想のいいお姉さんが一人でやっていて、カウンター席のある小さな店内でたこ焼きとおつまみで飲めるようになっている。おじさんが何人か飲んでいた。うわ、いいなぁと思いつつ、持ち帰り用の窓からたこ焼き10個お願いする。「3分ほどかかります」と言い、お姉さんは店内のおじさんたちにイカの塩辛を提供する傍ら、窓側のたこ焼き機で私たちのたこ焼きを焼いてくれた。サイはそれを見たがったが背が届かなかったので抱きあげた。二人でじーっと観察していたらお姉さんがふふふと微笑んでくれた。私もたこ焼きやたい焼きが焼けていく様子を眺めるのが昔から好きだった。「おうちでも作るのですか?」と聞かれたがうちには機械がない。焼きあがった大きなたこ焼きがぼすぼすと白いトレーに入られて、たっぷりのソースと青のり、かつおぶしがかけられるところまで二人で見届けた。お姉さんがなんでたこ焼き屋をやっているか、いつか聞いてみたいなと思った。私も将来こういう感じの、ちょっと飲めて持ち帰れるたこ焼き屋さんがやりたいなと妄想した。
熱々のたこ焼きを受け取ったサイは「いいにおいがする~」と満足そうだった。

ドラえもんとしんちゃんを観てげらげら笑いながら晩御飯。ドラえもんジャイアン誕生日記念の特別編で、ドラえもんの道具で歌が上手くなってしまったジャイアンが生放送の歌番組出演にスカウトされてしまい、道具の効果切れで恐ろしい顛末を想像したドラえもんのび太は全力で阻止しに行くという話だった。ジャイアンの歌声がテレビ放映で広がったら「ニッポンのピンチだ!」とドラえもんが深刻な顔で叫ぶところで爆笑した。どんなに地盤が揺れて耳を塞がれても自分の歌がみんなに愛されていると信じて疑わずリサイタルを遂行する愛すべきジャイアン

今日はいいことがあった。Aちゃんの予定日が6月だったことをお迎えに行く前「あ、そろそろかも」と唐突に思い出し、最後に会ってから二か月ぶりに「赤ちゃんもしかしてもう生まれた?」とラインしてみた。そうしたらなんと、今日の昼に生まれたとのこと!今日の今日だったから驚いたし嬉しかった。単なる偶然かもしれないし、この世界にやってきた赤ちゃんの生命力が病院から私の元まで空気を伝達してやってきたのかもしれない、と一人で都合良く考え、感極まって自転車を漕ぎながら泣いた。Aちゃんが赤ちゃんの写真を送ってくれた。生まれたての赤ちゃんのかわいさよ。非情なのか、人の子どもが生まれても特に何も感じないことが多いが、Aちゃんの子どもは自分の子どものようにとにかく嬉しい。赤ちゃんに早く会いたいな乾杯、と思ってビールを飲んだ。Aちゃん本当におめでとう。


6月15日(土)
朝から雨。いかにも梅雨ですよ、という天気。それならそうと洗濯を諦め、室内の掃除に専念する。カレーの残りでお昼ごはんを食べた後、サイがお絵描きしたいというので絵具と筆を出して二人で好きなものを描く。私はアクリル絵の具で保育園の着替えバックに仮面ライダーフォーゼを描いた。絵描いてるときは何にも考えなくていいからただ楽しい。それからサイが見つけ出した「あまちゃん」のDVDを観て(このドラマはやっぱり面白い)、さすがにずっと室内に居れなくなってきたので小雨になったのを確認してカッパを着て図書館まで歩いて行く。子どもコーナーで絵本や紙芝居を読んだあと、本を借りて図書館を出た。図書館の近くの入ったことないが気になっていた手芸屋さんが開いていたので入ってみる。やや古いかわいいボタンやアップリケが大量に売っていた。サイのTシャツにつけようと、恐竜と新幹線のアップリケを買う。また行こう。

それから唐揚げ屋で出来立ての唐揚げを買ってからスーパーに寄って帰宅。サイがテレビを観ている間に缶ビールを開け、まだ温かい唐揚げをこっそりひとつ食べた。こういうことが私の幸せを構成している。晩御飯はサイは希望の冷麺、私は豆腐とアボガドとレタスのサラダ。よし子のにんにく味噌でドレッシングを作ったらめちゃくちゃ美味しかった。あまりにも万能なので二個くらい買えばよかった。

夜サイが寝てから、また好きな人と電話した。なんと5時間半も話してしまったのが自分でも信じられない。相手にとって多分どうでもいい話(私がサンリオをいかに好きかという話とか、お菓子の話とか、よし子の味噌の万能さとか)をしてもうんうんと興味深そうに聞いてくれて、ありがとうと思った。「非常に」とか「とても」とか、最近書き言葉でしか遣われないようなきれいな言葉を会話の中でも自然に遣うところがこの人の魅力のひとつだなと話しながら思っていた。


6月16日(日)
夜更かししてなかなか起きられないでいたら8時頃サイに起こされる。あ、プリキュア観なきゃと思って急いでテレビをつけたらゴルフ大会の模様が映し出され、プリキュア仮面ライダーもレンジャーもないと知る。がーん。久々に静かな日曜日。すっかり晴れて風が吹いて気持ちの良い天気。たくさん洗濯する。

昼頃、駅前でうどんを食べてから新宿。伊勢丹でAちゃんのお祝いを買いたかった。が、サイがカードゲームをやりたいと言うのを優先してビックロに寄り、ゲームが済んだらその上のGUでサイの洋服や私の部屋着を買い、そこで時間切れ。急いで表参道まで移動し、二人並んで順番に髪を切ってもらう。移動で疲れたのと睡眠不足で待っている間本気で寝てしまって恥ずかしかった。

そのあと、暑くて嫌がるサイを励ましながら岡本太郎記念館まで歩いて行き、さいあくななちゃんの公開制作を見学した。巨大なキャンバスに向き合うななちゃんの姿が目に入った瞬間、つい話しかけそうになったが、ななちゃんはこちらに背を向け集中して制作していた。「お声かけはご遠慮ください」と書いてあることに気づく。

他にも見学している人がいたが、誰も話すことなく、静寂の中大人も子どももじっとななちゃんがキャンバスに向かう様子を見つめたり撮影していた。さいあくななちゃんが描く様子を見るのは先日渋谷のヴィレヴァンで観て以来二回目だったが、あの時よりずっと大きい壁一面のキャンバスだったし、あの時は1時間くらいだったけど今回は企画中(一週間くらい?)毎日書き続けているようだった。行ったのは夕方だったので、もう今の時間は描いてないかもしれないと少し思ったがそんなことはなかった。ということはななちゃんは朝から閉館まで毎日ずっと描いているのだろうか、などと目の前の現在進行形で変化する生き物のような作品を眺めながら考えた。

さいあくななちゃんの作品には多くの色や筆跡が重ねられているため、一見無秩序に塗られたり描き殴られているように見えるかもしれないが実ははっとするほど繊細で美しい均衡が存在すると私は思っているのだが、それは頭で考えた結果、というよりななちゃんのその瞬間瞬間の感覚からダイレクトに生まれている気がする。と言葉にするとつまらないが、ななちゃんがピンクのヘッドフォンをして筆を持って広いキャンバスの前を動いて色んな態勢で塗り重ねていく様子はとても美しくその光景自体が作品みたいだった。人が生きているとはこういうことだなと胸が熱くなった。サイと私は岡本太郎の作品である穴が空いた椅子に座って眺めていた。サイは前にワークショップをやってもらった時とは違うななちゃんの様子に少し戸惑っているようだったが騒ぐことはなくななちゃんを見つめていた。永遠にキャンバスの前にいたいと思ったが、大人しくしておかないといけない空気にやがて耐えられなくなったサイが移動したがり、常設展をさっと観たあと外に出た。

帰る前にひと息、と思い敷地内のカフェに立ち寄る。太郎の彫刻作品や並んだ緑溢れる庭が眺められる窓側の席にサイと並んで腰かける。私はハイボール、サイはリンゴジュース。サイが何か食べたいというのでチーズケーキも頼んだ。甘さ控え目のお酒によく合う味のチーズケーキだったがサイは美味しい美味しいとよく食べていた。夕方の風が吹いて気持ち良く、ここが都心の街中だと忘れてしまうくらい静かで、とても居心地の良い時間だった。サイと並んでお酒を飲んだりケーキを分け合ったりデートみたいなことができるようになったんだなとしみじみした。記念館を出たら近くのバス停から渋谷駅までバスに乗り、電車に乗って帰宅。少し疲れたけど楽しい一日だった。

こうやって私とサイの思い出が少しずつ積み重なっていくことが嬉しい。片親だとできないこともあるからサイがかわいそう、みたいに母親に言われたのがどうも理解できない。かわいそうなんて思いたくない。二人だけではできないこともあるかもしれないが、私たちは私たちなりに、好きなことを全うしたり笑い合ったりして楽しく生活している。これから夏がやってくる。花火もしたいし海も見たい。楽しみだ。

高校生ごっこ

しばらく日記をつける気にならなかったが再開できた。いつの間にか、春が終わり夏が始まっていた。

 

6月5日(水)
貧血と夏バテ(早くも?)で視界がぼんやりしたままフラフラでお迎えに行く。冷蔵庫に水とビール、冷凍庫に冷凍ごはんがなかったことを思い出し、スーパーまで自転車を走らせる。スーパーの隣の活気のない寿司屋で巻き寿司を買ったあと、スーパーで水や明日の分の食糧を買ってずっしり重い。家に着いた時には疲れ切っていた。私が元気ないとサイは敏感に感じ取って機嫌を損ねる。
重い荷物を抱えて「ママね、具合悪いんだ」と言うと「え、なんで?なんとかしてよ!」と一層イライラされる。サイがいつも優しいことはわかっている。でも私が弱っていると不安になるらしく大抵不機嫌になる。あーだれか助けてくれーと思いながら、エレベーターのない小さなマンションの最上階までのぼる。慣れたけどやはりきつい。身体が汗でべたべたする。サイも暑そう。

二人とも最低のテンションで家に着き、サイはお腹が空いているようだったので海苔巻きを食べさせる。私は一刻も早く汗を流したかったので「ママお風呂はいってるね」と言って食べているサイを残して風呂場に行く。すると途中で機嫌を直したサイがやってきて、結局一緒に入る。「もうたべちゃったよ」と嬉しそうにしていた。ほっ。私は風呂上りにサイの残りのごはんの用意をしながらビールを一気に飲んだ。やっと疲れが少し取れた。だし巻きがうまくできたのでサイに「きれいにできたね」と褒められる。

食後の片づけをして、乾いた大量の洗濯物を畳んで引き出しにしまう。サイはその間リュウソウジャーのワークブックのシールを貼るページだけ喜んでやり、そのうち眠くなったらしく寝た。今日の洗濯物をベランダに干し終えたところで体力の限界。サイと二人暮らしするときに適当に買った中古の安い洗濯機で雨の日以外毎日洗濯している。洗濯なんて本当は大嫌い。フルタイム労働のワンオペ育児は過酷だが、助けてくれる人がいるわけではないので自分でやるしかない。寝る前に妹の誕生日を祝うのを忘れていたことを思い出し、適当な祝い方でごめん、と思いながらラインする。


6月6日(木)
6月6日に雨ざあざあ降ってきて~という絵描き歌があるがよく晴れていて日差しがきつい。梅雨はいつくるのだろうか。

サイは最近保育園から帰る時、自転車に乗らずに歩いて帰りたがる。それはお迎えの時間が重なった同じクラスの他の子達と一緒に歩きたいからで、彼ら彼女らは横一列に手をつないだり縦に並んだりして、坂道をけらけら笑いながら嬉しそうに下って行く。そして坂の途中にある小さな鳥居に必ず立ち寄って一人一人参拝する。意味をわかっているのかいないのか、順番に鐘を鳴らし手を叩いてお辞儀をする。それが楽しくて仕方ないという風に。親たちはそんな光景を今日もまた…と眺めつつ横に自転車を停めて無言で待っている。以前「なかにはなにがはいってるの?」サイに聞かれたので「かみさまがいるんだよ」と答えたら「え、この中に?」と不思議そうにしていた。

子ども達は使命のように今日も鳥居に寄った。その後ろで日が沈んでいくのが見える。こんなに毎日欠かさずお参りしていても、いつか彼らはすっかり忘れてしまうだろう。この光景がとても美しくて、写真に収めたいと思うがそれも違う気がして私は目によく焼きつける。けらけら楽しそうな彼らの姿を私は何十年後か年老いたときに思い出すのだろうか。

夕食はカジキのソテー、キャベツ、豆腐、だし巻き卵、それに私はビール、サイはバナナ(ごはん切れ)。
ネットで買った漫画がたくさん届いて嬉しかった。


6月7日(金)
いつくるのかななんて思っていたら雨が降り出し、ついに梅雨入りしたらしい。ドラえもんとしんちゃんを観つつ昨日届いた漫画を読む。翌日のことを何も考えなくていいから金曜日の夜が一番ほっとする。


6月8日(土)
朝からどんよりしていたが雨は降っていない。Sちゃんに会いたいなと思っていたら「今日どうかな?」と連絡が来て嬉しくなる。SちゃんIちゃんと池袋で待ち合わせしてミルキーウェイでお昼ごはんを食べる。Iちゃんは入口から「おほしさま~」と喜んでいた。対するサイは「オレはかわいいものにいちいち反応なんてしないぜ」という風にクールを装っていたが、食べたがって頼んだミルクレープが運ばれてくるとにやにやしてがっついていた。Iちゃんが頼んだイチゴパフェをちょっともらう。甘くて直球の、小さい頃デパートの大食堂で食べたパフェあるいは学生の時に挑戦した巨大パフェと同じ味がした。

ミルキーウェイはガラス張りになっているので席から外の様子がよく見える。たくさんの人が横断歩道を行き交っていた。サイがトミカを持っているのと同じバスが何台も通り過ぎる。カラスが信号に止まっている。食べ終えて暇そうだったサイは窓の外を眺めていた。「カラスが信号の上にいるでしょ」「え、どこ?」「ほらほらあそこ」「あー」と会話をしてもたせるも、Iちゃんとともに次第に落ち着いていられなくなったので店を出た。Sちゃんも私も次はゆっくり来たいなと思ったに違いない。サイはいつかここに女の子を連れて来ることがあるのだろうか。いやサイが大きくなるまでこの店は存続しているのだろうか。などとぼんやり考えていた。

すぐ横のサンリオショップに寄ったのち、サイが仮面ライダーのゲームがしたいと言うので向かいのゲームセンターに入る。ここにはないとわかっていたが納得させるために入った。サイとIちゃんはお金を入れてない状態のマリオカートの運転席に並んで座りひとしきり遊んだあと、太鼓の達人を6回くらいした。サイの好きな仮面ライダーの曲があったので喜んでいた。一年ほど前にやった時は全然できてなかったが、意外に上手に叩けていた。
プリクラの機械が目に入ったので「プリクラ撮りたいかも…」とおずおずSちゃんに言うと「撮ろうよ」と静かに乗ってくれる。サイも「しゃしんとる!」と意外に乗り気だった。プリクラ機の部屋がどうなっているのか、興味深そうにのぞいていた。若い子ばかりいるプリクラ機コーナーで気後れしながら空いている機械にお金を入れて中に入る。記念写真的な簡易的なのをのぞけば、ラクガキできるプリクラなんて十年以上ぶりだ。連写されていくカメラに向かってみなでキャーキャー言いながらそれらしいポーズで撮った。今のプリクラは目が大きくなると知っていたが実際に自分やサイの顔がそうなっているのを見ると大笑いしてしまった。かわいいのか何なのかよくわからない。サイは意気揚々とスタンプでクマ耳など飾り付けしていた。出来上がったプリクラをSちゃんが切り分けてくれた。それを受け取った時、うまく言えないが何とも言えない嬉しさがこみ上げた。このプリクラを誰に見せるわけでもないが、嬉しくてお守りみたいにずっと持ち歩いている。

その後いつもの屋上で子ども達を遊ばせつつSちゃんと並んでお酒を飲んだ。たくさん歩いた後のビールは美味しい。私は今好きな人がいることをSちゃんに話した。いつも異性関係がうまくいかないからどうせまたうまくいかなんじゃないかと不安に思ってることとか。Sちゃんの過去の話も聞いた。高校生みたいにこうやって話せる友達が私にいてよかったなとしみじみした。お酒飲んでるし子どもいるし三十もとっくに過ぎて輝かしい高校生からは程遠いけど、高校生になりたい瞬間が私にもある。ミルキーウェイに行ってプリクラも撮って、楽しい一日だった。

幸福感が後押ししたのか、夜サイが寝たあと、好きな人に初めて電話してみた。かける前は死ぬほど緊張したけど、話し始めたらなんてことはなく、会話のすべてがただただ楽しくて気が付いたら3時間も話していた。


6月9日(日)
好きな人とサイと三人で我が愛するマエケンが出演するステージを観るために長野の富士見高原に行った。と書くと自分でも混乱するほど唐突すぎて意味不明なのだが、事実として朝から長野へ行き、夜に帰って来た。起こった出来事が大きすぎて今はまだ文字にできないのでそれはまたいつか。

少なくとも土曜の夜に勇気を出して電話した時点ではまさか翌日会うとは全く思ってなかったし、長野に行くなんて微塵にも思っていなかった。電話口で行こうかと言われた時は冗談かと思った。夜中に慌てて準備しながら、まだ信じられなかった。朝起きたらホットケーキを焼いて、洗濯して掃除してサイと公園に行ってカレーを作るいつもの日曜日をするつもりだった。人生何が起こるかわからない。私も楽しかったが、私以上にサイが楽しそうだったのが何より嬉しかった。

---------------------

翌朝起きて布団の中でぼんやり起こった出来事を振り返ると、もうこれで死ぬのではないかというくらい幸せな経験をしたという実感がじわりじわりと湧いてきて、死ぬかどうかはさておき、とにかく今日からがんばって生きようと強く思った。何もかも夢の中の出来事だったのではないかとさえ思うが、帰りに買ったお土産はちゃんと冷蔵庫にあるし、好きな人のことをもっと好きになった。

しまった、これは育児日記だった。いや育児日記と決まっているわけではないので、別に何を書いてもいいのだが、こんな歳にもなって好きな人が…などとつらつら書いている自分がやや恥ずかしい。公開されている以上、一体何人がこの日記を読んでくれているのか知らないが誰かが読んでくれているかもしれず、もしサイの日々の成長を楽しみに読んでくれている人がいるとしたら、こいつは何を色惚けたことを書いて、と思われるかもしれない。でも、誰かを好きだと思う感情に久々に、いや初めて、真正面から向き合えて(今のところ)肯定できている。私は今、女子高生なのかもしれない。何を言っているのだろうか。いつ死ぬかわからない三十代の会社員で母親だ。

自分みたいな人間が幸せになるのは大罪、という幼少期からべったりついて離れない呪いをいい加減剥がしてしまいたい。べりべり剥がして海に流してしまいたい。幸せがいつから怖くなったのだろうか。

新緑のきせつ、到来

4月15日(月)
眠れなかったせいで朝から眠い。でも先週ひどかった貧血や眩暈は落ち着いた。

お迎え後、薬局に寄って買い物して帰ろうとするとサイが突然トイレに行きたいと言い、思い当たる場所がなかったので薬局の向かいの中華屋に急いで駆け込む。無事トイレを借り、入店してしまったため何か持ち帰りで買って帰ろうと思うもサイがここで食べたいと言い、結局食べて帰る。月曜から外食してしまった。まあ、いいか。仕方ない。レモンサワー、モヤシ炒め、餃子。サイはラーメン。モヤシ炒めが油でベタベタであまりおいしくなくて悲しかった。帰宅して仮面ライダー。鎧武とフォーゼ。


4月16日(火)
気温が高かった。晩ごはんは照り焼きチキン、新玉ねぎと人参の味噌汁、トマト。照り焼きチキンのたれを配合をあまり考えず適当にしたら美味しくできた。酢を入れた方がいい。あと外側の皮を最初にパリパリに焼いた方が肉が柔らかくなる。サイもよく食べてくれた。食後、パルムのバナナ味(おいしい!)を半分個して食べて仮面ライダー。フォーゼとダブル。ダブルかっこいい。ダブルは二人で一人のライダーなので、身体の右側と左側で半分ずつ違う色をしている。どっちが何色なのかとサイに何回も聞かれるがよく分からない。サイが寝た後、コジコジを少し読んでから寝る。仙人のような人がコジコジに怒って「罰としてお前の好きなものを消してやろう」と言った時、コジコジが「ぜんぶだよ」と言ったら仙人も含めて世界が全部消えかかっていったのが印象的だった。


4月19日(水)
晩ごはんは冷蔵庫にあるもので済まそうと思い、ソーセージ、新じゃが、新玉ねぎを甘辛く煮たものを卵とチーズでとじた適当丼。サイはまあまあ食べてくれた。私はごはんの代わりにビール。最近毎日飲んでいる気がする。ダメだ。食後、サイがいらない発砲スチロールと段ボールで工作を始めたがガムテープがなくマスキングテープで留めたため、うまくいかず癇癪を起こす。「明日ガムテープ買いに行こう」となんとか宥める。布団に入った瞬間眠気に襲われてすーっと眠る。


4月18日(木)
今日も朝から暑い。サイは半袖。「ママは半袖じゃないんだね」と言われる。スーパーで買い物してから帰宅して郵便受けを開けると、白い封筒に大きく”Rock’n Roll Forever‼”という文字とギターの絵。あっと声が出た。予約していたさいあくななちゃんの画集が届いた。字を見る限り、封筒に書かれた住所や宛名、絵はななちゃんが書いてくれたらしかった。嬉しくてそのまま本棚に飾る。本はずっしりとしていて、紙の質も良く、文字もたっぷりでものすごい読みごたえがありそうだった。少しだけ見て、時間をかけてゆっくり見ようと思いまた封筒に戻した。こういう本を作ってくれる人がいてよかったなと嬉しさを噛み締める。スーパーで買ったメンチカツの油が悪かったのか、横になってもずっとお腹が変な感じだった。


4月19日(金)
やっときたドラえもんとしんちゃんの日。食後、サイは筆ペンで何枚も絵を描いた。スーパーでもらってきた「お母さんの似顔絵を描こう」と書かれた紙にも私も顔を描いてくれた。どんどんうまくなる。ペン先が潰れてしまうほど筆圧が強い。子どもらしい。色んな画材で描いてサイが好きな画材を見つけられたらいいなと思う。


4月20日(土)
サイと会社のMJ部の人たちと一緒に科学未来館に行った。お昼は新橋のポンヌフで食べようと予定していたら臨時休業だったため、ニュー新橋ビルのFujiという喫茶店に入った。Fujiは奥に富士山の大きな写真が飾ってあり、お店の人はサイにも親切でとても居心地がよかった。結果オーライ。科学未来館では重機展がやっていて、サイはまあまあ喜んでいた。それから常設展をぼんやりと見てまわり、アイスを食べ、ASIMOのショーを見てから未来館を出た。それからお台場まで行ってガンダムを見た。サイはかっこいい~と重機展のときより興奮していた。やはり働く車より巨大ロボが好きなのかもしれない。月島まで移動し、みんなでもんじゃを食べて帰った。もんじゃの具を自由に5種類選べるスペシャルメニューがあったので、組み合わせをみんなで悩んで考えて具を変えて三回頼んで、大いに盛り上がった。歩き回って疲れたけど楽しかった。


4月21日(日)
いつもの日曜日。ジオウは未来編を経て過去ライダー登場編に最近また戻り、面白くなってきた。ツクヨミ回だった。アギトのことはあまり知らなかったがかっこいい。次回予告で響鬼が登場し、響鬼が好きなサイは喜んでいた。たしかに音楽のライダーってかっこいい。あと主人公がおじさん(細川茂樹)なのもいい。

片付けをしていたら遅くなったので簡単にお昼ごはんを食べてから選挙に行き、公園をはしごした。最初の公園を出てからマクドナルドとコンビニに寄り、ハッピーセットと缶ビール。それから別の普段あまり行かない公園に行き休憩。満開だった桜はすっかり新緑に変わり、青々とした葉が気持ち良かった。サイはすべり台を面白がり、何度も繰り返し滑っていた。すべり台というのは登って滑る、というただそれだけに楽しさがありそれだけのために存在するところがいいなとサイが生まれてから感じている。たかが遊具とはいえ、良いすべり台、悪いすべり台がある。良いすべり台は傾きが絶妙ですーっと降りていくが悪いすべり台は摩擦が生じて滑りにくい。プラスチックより、石やアルミ(金属?)の方がよい気がする。すべり台評論家になったところでどうしようもないわけだが、サイといるとこんな、どうしようもない知識が増えていく。楽しい。
スーパーで買い物して帰宅。さすがに疲れた。晩御飯は焼きそば。サイはおやつを色々食べていたのであまり進んでいなかった。


********************

Fさんとは物理的な距離からだんだん心まですれ違うようになり、結局別れてしまった。ただ、一緒に過ごした時間が極端に少なかったため悲観していない。Fさんと私の間にあったのは最初から最後まで友情ですらなかったのかも、と後々考えたがもうよく分からない。別れてから一度も連絡を取っていないが、登録したままになっていたSNSに近況報告のようなことが書いてあった。元気ならそれでよい。人が人とうまく噛み合わなかった、ただそれだけのこと。それにしても、異性を好きになる感覚がいよいよ麻痺してきている気がする。今のサイとの二人の生活が楽しいので問題ではないが、この人と一生添い遂げたいと思える人にもし出会えたら、それはそれで幸せなことなんだろうなと想像する。

小学生くらいの時、夢で見たのだったかそれは定かでないが自分の脳内だけに幻想のような男性がいて、その人にいつか会えると想い焦がれていた。顔は発光してよく見えないが、優しくて穏やかで横にいるだけで幸せな気持ちになる。私と彼は教室の一番後ろの席で隣り合わせに座っている。その顔の見えない人は大人になったら実体として目の前に彗星のごとく現れ、彼と結婚して幸せな人生を送るのだろう、と恋を経験したことのない私は根拠もなく思い込んでいた。それから今まで色んな男性に出会ったが、あの夢の人とは決定的に違う。当たり前だ、あれは幻想だ。それでも、彼がいまだに私の知らない世界のどこかにいるのではないかと期待している自分に時々気づいてぞっとする。あの教室の光景が頭の片隅に残像として染みついている。来るはずのない人を待ちながら死を迎えるのだろう、と最近よく思う。この話は誰にもしたことがない。馬鹿みたいだし、こう文字にすると気持ち悪いから。そんな風だから今まで真っ当な恋愛ができなかったし人を心から愛せないのかなとは薄々感じている。

育児日記のはずなのに、全然関係ないことを書いてしまった。いけない、いけない。