カニ日記

息子の成長と日々の記録

パディントンみたいに生きたい

7月3日(月)
サイは朝起きるなり粘土をやりたがる。朝ごはんにさそっても気がない感じ。よほど好きなのだろう。私が手伝えないのでうまくいかず癇癪を起したりしていた。私も手伝えなくてもどかしい。何とか宥めてテーブルに座らせて朝ごはん。別に食べなくてもいいけど後でお腹が空くと可哀相だと思って食べさせた。出際も粘土に執着して、結局通園かばん(アンパンマンのボロボロの手提げ。通園と言っても本当の大きな通園かばんは私が持つのであくまでサイがおこわだり私物を持ってためのかばん)に色ごとにケースに入れた粘土を詰めて通園。

夜。帰宅後、サイと二人でシャワーのちビール(飲酒はもちろん私だけ)。しんどかったのでレトルトのカレー。まあまあ美味しい。食後また粘土。きれいな粘土も残り少なくなったし昨日みたいに型を使わず、小さい食べものをたくさん作った。ゆで卵やサンドイッチを作って切って中身を見せたら大喜びしていた。ぼうっと観ていたわりに覚えていたらしい、おねんどお姉さんによる粘土テクが役立った。

サイが寝た後、届いたばかりの新しい上履きを取り出した。ずっとサイズオーバーなのに気づいていたがなかなか買えなかった(Amazonでクリックするだけなのに)が、いよいよ親指も曲がってきつそうだったので週末に発注した。他の子の靴と分からなくなるのもあれだし、なんか描いてあげようと思って何がいいか聞いたら「てんどんまんとかぁしどん(滑舌悪いがかまめしどんの意)」とリクエストされたので眠気に負けそうになりながらアクリル絵の具を引っ張り出してきて描いた。アンパンマンは大体描けるようになったと思っていたが微妙な表情で変わってしまうのでこの二人(特にかまめしどん)を描くのは難しい。


7月4日(火)曇り時々豪雨
朝起きてきたサイに、「ほら!みてみてー」と上履きをサプライズで見せたが予想外に反応が薄かった。ぼそっと「カレーパンマンアンパンマンがいい」と言われた。まあ推しキャラがその時の気分で変わるのは分かっていたから別にいいけど。

家を出るまでサイの機嫌は最悪。朝ごはんも途中で「もういらない」とパンの入ったお皿を押しやったり空のお皿を床に投げつけていた。家を出る時間になっても床に寝転がり「いきたくない~」の一点張り。額に手を当てると熱はない。しかし会社に遅れてしまうので、無理矢理抱えて玄関まで連れて行き、無理矢理自転車に乗せるとぎゃーぎゃーと断末魔の叫び。私が何か虐待でもしているような感じ。自転車に乗りながら「おかあさんきらい~」と叫び続けていた。「そうか、じゃあいいよ」と言うと「おかあさんすき~」と一変した。可愛いなぁと思って「おかあさんもね、サイくんのことす・・」と言いかけたところで「きらい!」追い打ちをかけるように言われた。知恵がついてきて、イヤイヤも更にレベルアップした感じがする。

夜。雨降る中、好きな人達とファミレスでご飯を食べた。たくさん声を出して笑って、心から楽しかった。帰宅後大きな喪失感。


7月5日(水)晴れ
朝。起きた時からサイの機嫌はよかった。私と顔をくっつけて目をぱちぱち開いたり閉じたりして笑っていた。教室の入り口でもまあまあすんなり別れられた。七夕の願い事を短冊に書いてください、と先週末先生から用紙を渡されていたが今日もまた持ってくるのを忘れてしまった。確か去年は「毎日たくさん笑ってすごせますように」と書いた。私も怒ったり悲しんだりしないで、毎日笑って過ごしたい。ある年齢を過ぎてから自分の人生が終点に向かって着々と進んでいる気がして、ふとした瞬間とてつもない不安に駆られる。勤務中、ちょっとしんどくなったので海老蔵ブログを開いた。「この絨毯好きなんです。なんの意味もないですが、好きなものがあるのは嬉しいことです。」と書いてあったのがいいなぁと思った。歌舞伎座の7月公演がまだ空きがあると書いてあったので、観に行きたい。

夜。サイとKが帰ってくる前にファミチキと金麦1缶。飲んだ缶はすぐに捨て飲んでない風を装った。夕食を作りながら台所でKに改めて大事な話をした。さすがに考え込むかなと思ったら普通にごはんをもりもり食べていた。どういう神経をしているのだろう。私はあまり食べられなかった(ファミチキ食べたからか)。夕食後また粘土。追加でAmazonで発注した粘土が届き、私が食器の片付けをしているとサイは待ちきれんという感じで箱を破壊して粘土を取り出していた。箱に写真が載っていて作れと命令された、カニとどんぐりと雪だるまとお米を作った。見本通り全部顔をつけた。日本のものって何でもすぐ顔をつけたがる。粘土を捏ねるところや目鼻の貼付けなどはサイにやってもらった。可愛くできてサイも満足そうだったのでよかったなぁおほほと思っていたらいきなり全部ぐちゃっと握り潰した。一生懸命作った子達は見るも無残な姿に。潰した自分に腹が立ったらしく、そこからサイの機嫌は最悪。大声でわんわん泣き続けた。
何とかお風呂に入れ、就寝。Kは思い悩む様子もなくサイの隣で鼾をかいて寝ていた。

歴史に残るであろうライブへは行かなかった。私は音楽への入口が針穴くらいしかない。それを広げてくれたのが大森靖子さん。先週分のラジオを聴いて寝る前に短冊のことを思い出し(あとで見たら連絡帳に早く持ってこいと催促メモが貼ってあった)、結局去年と同じ言葉を書いた。来年くらいになると本人の希望が出て来るかもしれないけど今はよく分からないので私の希望を。トイトレは停滞しているし、イヤイヤは再興してきたけど、毎日げらげら笑っているのがいいよね、やっぱり。


7月6日(木)曇り
サイはいつもより一時間早く起床。眠いので横たわっていたら「ねぇ、おきてよ~」とキレられたのでぎりぎりまで粘ってから起き上がった。さくらんぼとパン。さくらんぼが足りなかったようで追加オーダー受ける。つい飲み込むこともあるが、種取りがまあまあうまくなってきた。早起きした(させられた)ので時間に余裕があった。サイが気に入っている新幹線の靴下を履かせると「いたい~サイくんあしおっきくなったから」と自己申告されて、確かにそんな感じだったので別のに履き替えさせた。上履きのことでもそうだったけど、よほど体型が変わらない限り大人はサイズオーバーで着れなくなるとかないから、子ども服のサイズはつい意識がまわらなくなることがある。あれはいつ買ったやつだっけ、いつまでも同じサイズな訳ないよな、と思った。トイトレやる気促進のためにアンパンマンの踏み台(立ってする用、1500円高い)を買った。喜んで見てはくれたが台に登ってはくれない。失敗。次の手を打たねば。絶対的存在であったアンパンマン一族の力がもしや衰退してきたのかと一抹の不安を感じる。

お迎え後帰宅。サイは朝保育園にアンパンマンのパックジュースを持って行ったが、私の言いつけを守り外では空けず帰宅するなり飲んだ。うさぎ椅子(サイがテレビを観たり作業をする時に座る小さいオークの椅子。背もたれがうさぎ)に座って飲むよう言うとちゃんと守って一気に吸引していた。晩御飯は有り合わせ。味はまあまあ美味しい。私の皿にだけ温泉卵を載せたらすかさずチェックされ、「さいくんもたまごたべたいー!」と言われたのでもう1個卵を冷蔵庫から出し固めの卵をレンジで作って載せたら大喜び。熱い熱いと言い黄身をスプーンで突っついたり掬ったりして満足そうにしていた。それもすぐ食べ終え、私の分の卵も欲しがった。「これはお母さんのだからね」と言って少しだけあげた。少ないと怒るかと思いきや納得したようだった。
夕食後、粘土。リクエストのコアラと「サイくん」を作った。途中でうんち。匂いで分かる。粘土してる途中でオムツ替えしたくないなと思った。本当に最近全然教えてくれなくなったし、トイレでできていたのが嘘のようだ。完全に赤ちゃんに戻ってしまった。しかもうんちしたのが恥ずかしいのか何なのかオムツを替えることさえ嫌がる。入浴(暑かったので湯船にお湯を溜めなかったら不思議がっていた)後、就寝。


7月7日(金)曇り
朝。今日は七夕なので浴衣や甚平を着て行く日。サイの通っている保育園は親参加型の行事もほとんどなく、手作りグッズの用意も最低限にしてくれているので私のような超ずぼら且つコミュケーション消極型の人間にも安心設計。同じ認可でも運動会の手作り弁当見せ合いなど数々の拷問が待ち受けている園もあるそうだから、今の園に入れてラッキーだった。そんな園が唯一「こうしてください」というのが七夕で毎年6月終わり頃「7/7は七夕祭りをします。浴衣や甚平を着て来れる人はそうして下さい」と張り紙が出る。無理強いせず、「着て来れる人は」がいいなと思う。実際洋服の子もいるが、ほとんどの子が浴衣や甚平。いつもと違う出で立ちで少し嬉しそうに見える。親は浴衣を着せるからと言って会社の始業時間がずれる分けでないので、みんな大変だなといつも思う。サイは三回目。今年は去年買った甚平(一昨年のは一回でアウト)があるので引っ張り出してきてそれを着せた。ズボンのウエストがぎりぎりだし丈がちょんちょんだったが何とか入ったので大き目を買っておいてよかったなと思った。女の子はもちろん、男の子もみんなトンボやスイカやカラフルな柄を着ているが、サイの浴衣はゲキシブ。生成に薄いグレーの和刺繍。完全に私の好み。まあ、いつか自己主張する時が来るまでは親の好みを着せてもいいかな、と思っている。ゲキシブ柄が不満なのかサイのテンションは特に高くはなかったが嫌がりはしなかったのでほっとした。私も浴衣欲しい。渋い柄のやつ。いい帯も欲しい。着て行くところはないけれど。

終業後お迎え。やはり甚平はぴちぴち。サイは一人ずつ持ち帰り用に分け与えれ、短冊やおそらくサイ手づくりの飾りがついた笹の葉をぶんぶん激しく振り回していたら、私の苦手な上品親子(多分前述)が呆れて横目で見ていた。親は子に似るんだろう、私がいつも家の中でふざけているのでサイもだいたいいつもふざけている。
サイは帰宅後も笹を振り回していた。雑に扱うから持ち手が弱くなって機嫌が悪くなった。甚平を脱がす前に数枚写真(最近、サイは写真に写る時はわざと変顔をする)を撮った他は七夕らしいことは何一つせず、あり物で夕食を済ませバタバタお風呂に入れて就寝。金曜だと一人でもまだ頑張れる。

 

7月8日(土)晴れ

Kは早朝からキャンプに行ったとかで昨日から顔を合わすことなくいなくなっていた。キャンプって何やねん。飯盒炊飯か。中学入学してすぐ全員ダサいジャージ着用で行かされた合宿で飯盒炊飯で炊いた硬いごはんに野菜生煮え水入れすぎのシャバシャバカレーをかけて、よく知らない人達と黙って食べて、案外美味しいんだなと思った記憶、この人達の中に自分と仲良くなれる人はいるのかなと考えていた記憶が蘇る。私がいた学年は後に語り継がれるほど荒れ狂っていて悲惨だった。みんな今は何をしてるんだろう。一人バイク事故で死んだというのは聞いた。

 

夏バテなのか貧血なのか朝からフラフラでサイの相手が十分にできず、思い悩むこともあり母にテレビ電話した。両親はスマホの画面越しに動いたり話したりするサイを久々にみて喜ぶ。母は心配性なので本当は言いたくなかった。案の定心配していたが割と冷静なアドバイスをくれ確かになと思うと幾分気が楽になった。

スーパーに行き、もっと食べなきゃの思いでとにかく好きなものを食べようと思ってカルピスの原液、信玄餅アイス、ローストポーク、唐揚げ、桃など購入。鯵が安い。

サイが公園で食べたいと言うので一端帰宅して買ったものを冷蔵庫に入れてから唐揚げやトマトやお昼用に買った巻き寿司をカバンに入れ シートを持っていつもの公園へ。暑いからって親の都合で子どもの希望叶えないのはダメだと自己暗示し炎天下の中出かけたら、先月まで弁当を食べる家族連れがひしめき合っていた場所に人っ子一人いなかった。鳩が数羽いて、数人が遊具で遊んでいた。この炎天下でそりゃそうか。私は阿呆か。サイと二人で阿呆みたいな顔をして、日陰になっていた大きな木の下にシートを広げて座って持ってきたものを食べた。この暑さでもサイの食欲はとどまることなく見ていて気持ちがよい。私もまあまあ食べた。日陰で直射日光が当たらず生温いが風が吹いて気持ちよかった。周りに本当に鳩しかいないからサイは「わるいぴっぴ」にアンパンチで対抗したり警戒心強めだった。静かでサワサワと木々の葉が揺れる音が聞こえてサイと地球が滅亡する直前にピクニックしてるみたいな気持ちになった。

食べ終えて遊具で少し遊んだが暑さが異常で危ないのでもっと遊びたいというサイを宥めて強制帰宅。帰宅後サイは昼寝。その後ペンパルに電話した。ペンパルとは基本手紙でのやり取りなのでLINEはお礼など取り急ぎ伝えたい時にしかせず、電話はまずしない。でもしたかった。してよいか聞いたら快諾してくれた。産後辛かった時に一度電話したので多分二回目。なかなか会えないけど面白くて優しくて本当に素晴らしい人だ。サイが起きるまでの一時間もなかったがゆるゆると雑談して救われるような思い。ぼやけていた視界も戻ってきて元気になった。

昼寝後サイと桃を食べた。まだ甘くないがサイは喜んでほとんど一人で食べていた。外は暑そうだったので家の中でパディントンのDVDを観たり、お絵描きや踊り。サイが踊っている合間にローストポークとロング缶をお供に夕食準備。二人分だと少なくて作るのも楽。いつもより早めに夕食。鯵の蒲焼が美味しくできた。サイは手品のように目を離した隙にあっという間に鯵を胃に納めていた。早めにお風呂。最近産後並みに抜け毛がやばい。ハゲそう。

ゆったりした土曜の夜。サイが寝た後信玄餅アイスを食べた。

 

7月9日(日)晴れ

暑い。食欲のためにも早く秋が来て欲しい。

洗濯していたらサイがレゴを積み上げてお花を作って「ぷれぜんと!」とくれた。嬉しくてあけびの入った花瓶の隣に飾ったら返してくれと言われたから返した。昼前にK帰宅。昼ごはんを食べずして再びいなくなった。サイと二人でキーマカレーを食べた。少しでお腹いっぱい。サイと昼寝。なかなか寝付かない。昼寝後お絵描きなど。粘土は飽きたのか君。

 

夕方帰宅したKと交代し新宿へ。まこりんの初主演映画鑑賞と舞台挨拶とサイン会。そういえば舞台挨拶って初めてだ。俳優さん達が撮影の話をするのがとても興味深かった。憎らしい悪人役の俳優さんが物凄くいい人そうで、俳優ってすごいなと当たり前のことを思った。まこりんに初めて会えて気持ちが高まり思わず泣いてしまったら優しくハグしてくださった。映画は本当に今まで私的感情を理由にまこりんの出演作を観れなかったけど、もっともっかまこりんの作品を観たいと思った。特にスクリーンで。トイレに行ったら酷い顔をしていた。映画館を出てラストシーンを思い返しながら新宿駅へ向かった。ベルクで一杯だけビールを飲んで帰宅。帰宅したらサイはお風呂上がりだった。私もシャワーを浴びてサイと一緒に布団に入った。サイとKが寝た後、テレビを観たり漫画を読んだりして就寝。

 

音楽でも映画でも絵画でも、自分が生きているのと同時代に生まれる芸術作品を自らの身体を以ってして現在進行形で体感できるということは本当にすごいことだなと改めて感じた。死ぬまで生き物のように変わりゆく芸術を目撃したい。芸術と生活は常に隣り合わせだと信じていたい。