カニ日記

息子の成長と日々の記録

仮面ライダーマリカの美脚と性格が悪いと自覚していそうな性格の悪さが好き

1月22日(火)
午後から休んでサイの保護者面談。先生の顔をじっと見て話したことがなかったのでつい目を逸らしてしまう。未だに自分が親の立場で話したり聞いたりすることに慣れない。家でどんな様子か話すと保育園の姿とは全然違ったようで驚かれる。家では意思が通らないと大声で泣きわめいたり怒って私を叩いてきたりすると言うと信じられないという感じだった。保育園では優しくて女の子に言い負かされているらしい。偏食について言おうとしたら先に向こうから「サイくんはよく食べますよね」と言われてぎょっとする。「いや、全然食べないですよ」と言うと「豆以外は何でも残さず食べますよ」と言われる。たった30分間で深い話もできず、家と保育園の相違をお互いに確認して終わった感じだった。もう慣れたがサイについて本気で話せる人が私にはいない。面談後、サイの教室に迎えに行くとちょうど昼寝から起きたところだった。せっかくなのでおやつを見学させてもらってから帰ることにした。

私が教室に入った瞬間、何人も子どもたちが集まってきて「ねえねえサイくんのおかあさん、ぼくのズボンはサイくんとおなじなんだよ、でもきょうはちがうけどね」「〇〇ちゃんのコップはプリキュアでね」「〇〇くんはトミカシンカリオンがね…」「サイくんのおかあさん!なんでいるの?」などと人生最大のモテ期かと思うほど次々に話しかけてくる。片手間でサイの話を聞くことに慣れている私でもさすがに4、5人の話を同時に聞くことは困難だった。これは聖徳太子でも難しいと思う。4歳児の話すことは脈略がなく、話す相手に対して今これを言うと相手はどう感じるか大人のように話す前に考えない。躊躇いがない。剥きだしの思考が至近距離から直球でぶつかってくるのが私には気持ち良い。私は自分が子どもだからか子どもと話している時が一番うまく話ができる気がする。「へぇ同じズボン持っているだね」「あ、でもこのコップにはルールーとえみるいないね」「いっぱい持ってるんだね」「今日はね、早く来れたんだ」などとこちらも何も考えず応えられる。それが十何人でしかも食事や着替えの様子も見るなんて保育士さんは本当に大変だなと思うが、話すだけなら私にもできる気がする。そんな甘くないと思うが子どもと話す仕事があればしたいな。大人よりよほど話が通じる。サイは決められた席に座り女子に囲まれてふざけながらおやつを食べていた。こういう子、クラスにいたなと思った。家とは違う姿だった。

おやつを食べ終えると出航する人のように他の子に手を振って見送られながらサイと保育園を出た。自転車の電池切れだったので歩いて駅まで行き、電車に乗ってなんとなく谷中に行ってみた。日暮里駅でサイが集めているキン肉マンのスタンプをした後、ゆうやけだんだんの方に歩いて行く。休日は人が多かったが平日なので人がほとんどいなかった。気になる雑貨屋をサイとのぞく。店で商品を触ろうとしてしまうが、前ほど落ち着きなく騒いだりしなくなった。友達にお土産を買った。自分にも買った。だんだん日が暮れてきて、途中のお惣菜屋さんで唐揚げを買いまた駅まで戻る。サイが漏らしてしまって着替えがなく色々大変だったけどたくさん歩いた。夜から歯が痛くなってサイの相手をあまりできなかった。ズキズキ脈打ってる感じ。


1月23日(水)
週に一度の仲の良い先輩と外ランチの日。ハンバーガー屋さんでハムとアボガドのサンドイッチを食べた。ずっと仮面ライダーの話をした。
歯が痛みが治まらず仕事にも集中できないので歯医者に予約の電話を入れる。

お迎えに行って「ママ歯が痛いから今から歯医者行かなきゃいけない」と言うと保育園の友達に「いまからはいしゃいくよ!」と絶叫していて恥ずかしかった。遅い時間の予約しか取れなかったため、ファミレスでサイだけ食べさせる。私は飲み物だけ。サイは私が食事していないことで具合が悪いと感じ取ったらしくいつも残しがちなお子様ランチを野菜もひとつ残さず綺麗に平らげた。食べ方もいつもと違った。「どうしたの?」と聞くと「ママないちゃうから」と言った。子どもなりに考えたのかもしれない。食べ終えるとアイスが食べたいと言うので全部食べられたし時間もまだあったので頼む。アイスも美味しそうに完食した。レジ横に売っていたゲイツの弓矢を欲しがるも「今日は歯医者行くからお金置いとかなきゃいけないんだ」と言うと「サイくんがまんするからね、がまんしたらあしたかうよ」と言う。いつも欲しいものは買えるわけじゃなく我慢しなきゃいけないと言い聞かせているのでそういうことを言ったらしい。

検索して口コミできれいで先生が優しいと書いてある歯医者にした。予約時間より早めに着くと受付の人は冷たくて感じが悪かった。入口のテレビでカーズが流れていたが終わってメニューモードになっていた。再生してとは言いにくいけどサイは一人で何もなく待っているのかわいそうだなと思っていたら先生が来て再生してくれる。サイが「おとならないね」と言ったのも聞き逃さず音を出してくれる。気が利くがやってやったぞ感もあり、親切なのに僅かに怖いものを感じた。そういう先生なのかもしれない。

個室なので診てもらっている間サイは受付のソファに一人で待っていた。レントゲンの前後にサイに「大丈夫?」と聞いたら「うん」と言うものの不安そうにしていた。レントゲンを撮り終えて個室に戻るとまたDVD(処置室でも観れる)が止まっていたので「すみませんがつけてください」と言った。結局、親不知の虫歯ということが判明。来週抜くことに。歯に薬を詰めてもらっている間「お口頑張ってあけようね~」「もうちょっと舌ひっこめてね~」と4歳児に言うように言われて、複雑な気持ちになった。でも痛いか頻繁に聞いてくれたり(これまた子どもに言うように)腕は良さそうで安心した。痛くないのが一番なので、性格はこの際どうでもいい。抜歯の予約を取る時に「一時間くらいかかるけど息子さん待っておけるかな」と言われる。連れて来るなと言われているような気持ちにもなったが預けられる人もいないので仕方がない。不安な顔をしていたからか「大丈夫ですよ、スタッフがみたりできますので」と言われる。

スーパーで買い物して帰宅。私だけ冷凍パスタを食べようとしたらサイもお腹が空いたと言いおにぎりと蒸しパン。よく食べるなぁ。我慢していて疲れたのか寝る前にちょっとしたことがきっかけで大泣きする。今日頑張ったねと抱きしめる。いつもより早めに倒れるように眠った。ありがとうサイ。どっと疲れたが歯は薬のおかげで痛くなかった。


1月24日(木)
帰りながら鎧武のテーマソングを歌っていたら「そういうのじゃない!」とキレられる。サイは音楽的才能が私より圧倒的に優れているので私が適当に歌って音程や歌詞を外すといつも嫌がる。

サイと鎧武を二話観てから寝た。少しずつ観ているが街を支配するユグドラシルという会社の本当の目的がはっきり明かされなかったり組織内で裏切りや抗争があり非常に面白い。単に悪と戦って終わりではなく「人間は力を手にすると化け物になるのか」など台詞も良い。他のシリーズも気になる。仮面ライダーを知らずに生きていたなんて人生損していた気がする。サイはお腹の調子が悪かったようで大量の汚れた洗濯物がリュックに詰め込まれていた。見たらそんなに汚れていない。ズボンとトレーナーが三組以上。大量の洗濯物を干してから就寝。


1月25日(金)
やっと金曜日。金曜恒例、ピザ食べながらドラえもんとしんちゃん。サイのお腹のことを忘れてピザを食べさせてしまったが大丈夫だった。しんちゃん観る度に、みさえは最高の女性だなと感じる。しんちゃんにボロクソ言われてるが子ども二人も産んでいるとは思えないくらいかわいいしスタイルがいい。


1月26日(土)
サイがライドウォッチを買いたいというので昼前、電車に乗ってイトーヨーカードーへ行った。まず最上階のうどん屋に行った。地元のジャスコにも入っているうどん屋で、小学生くらいの時に母とよく行ったなぁと思い出す。その店に親になった自分とサイがいるなんて不思議だなと思いながらうどんをすすった。サイはよく食べた。その後玩具・文具売り場へ。目当てのはなかったが別の欲しかったライドウォッチが売っていて大喜び。会計前にサイの靴下も見ておこうと靴下コーナーに行き後ろを振り返ったらサイがいない。あれまたどこか行ったかなと探すも姿が見当たらない。棚をひとつひとつ覗いてみるもいない。声もしない。少し焦る。もしサイが誰かに連れ去られていたら。ぐるぐるまわっていたら、靴下コーナーの近くに大粒の涙で頬を濡らしたサイが世界の終わりを見たような顔で立っていた。「ごめんね」と抱きしめる。何事もなくてよかったが、ちゃんと手をつないでおかないとなと反省した。サイは少し怒っていた。

それからゲームコーナーに行き、仮面ライダーの、ブットバソウルというメダルのゲームとガンバライジングカードというカードのゲームをする。一回百円。カードのゲームは何組も並んでいて人気だった。前にいる小学生くらいの子どもはカード入れのようなものに束になったカードを入れていた。サイは初めてなので持っていない。サイは得意気にゲームする小学生の横で悔しさと憧れが混ざった表情をしていた。サイの番がきて、出て来たカードを一枚だけ置いてゲームを始めると横で「初心者だ」と馬鹿にしたように小学生が言った。私は苛立ち「(熟練した君とは違って)まだ子どもだからね、初めてやるんだよ」とその子に言った。あっそという顔をされた。なんだか悔しかった。三枚のカードを組み合わせて戦うゲームなのに一枚しか持っていなかったのですぐに負けた。サイも横で小学生に馬鹿にされて悔しそうにしていたのでゲーム機から退散して玩具売り場でそのゲームのカードが三枚入ったものを買った。サイの悔しさが紛れたようで満足そうにカードを眺めていた。「これであのゲームできるね」と嬉しそうだった。「そうだね、次は三枚並べられるね」とサイとの間に小学生に見下された悔しさを晴らす同盟のような気持ちが芽生えた。街や公園でサイが少し年上の子に馬鹿にされて不安になると私も同じ気持ちになる。苦手だったクラスメイトに勝てなかったような気持ちになる。サイと一心同体なんて思っていないが、時々サイは私だし、私はサイだ。サイの眼球を通した世界が見える。

地下のスーパーで買い物をし、疲れたので横にある持ち込み可能なイートインコーナーでひとつ買ったアイスをサイと二人で食べた。夕方のイートインコーナーはペットボトルの飲料を机に置き一人で放心している中年男性、子どもがこれから塾なのかかつ丼を食べさながら親はエクレアを食べている親子、昼ごはんにしては遅く夜ごはんにしては早い大きなピザとナスの天ぷらを食べている年老いた母親と中年くらいの歳の娘、女子高校生グループなど、色んな人がいた。場全体に活気がなく皆疲れたようで楽しそうな表情の人は一人もいなかった。このイートインコーナーで買った総菜やおやつを食べることに浮足立っている人など一人もいないのだということを肌で感じた。私たちもその一員だ。ピザと天ぷらを食べている親子の娘が買った天ぷらをレンジで温めすぎたのかパックが歪み湯気が出ていて熱そうだなと私は眺めていた。そしてこの人たちはどういう暮らしをしていてこれまでどういう人生を辿ってきたのだろうかと想像した。私とサイは静かにアイスを食べ終えるとこの世界の端っこのような独特の空気に耐え切れず退散した。サイも空気を読んだのか騒ぐことはなかった。

それからユニクロに寄る。サイは子ども服のチュールスカートを欲しがった。買ってあげたかったが金銭的に余裕がなく「いいね、かわいいね」と言った。以前スカートが欲しいと言っていたが保育園に行くうちに恥ずかしいと思うようになったらしく最近は言わなくなった。でも、まだ忘れていなかったようで嬉しかった。いつか買ってあげたいな。外に出ると冷たい風が吹き荒れていた。風が嬉しかったのかサイのテンションは高かった。電車に乗って帰宅。買った鮭を南蛮風に焼いたら美味しかった。


1月27日(日)
Hug!っとプリキュア最終回。ハナが出産するシーンがわりと凄まじい感じでリアルで、さすがプリキュアだなと感じた。色々と深い意味がありそうで理解できないところもあった。プリキュア達が武器も使わず体当たりで戦う姿がいつも好きだった。あんな風にかわいくて強くなりたい、いつもそう思ってきた。最終回では、未来は定められたものではなく自分自身の選択や周囲にいる人によって過去はいかようにも変えられるというメッセージが込められているように感じた。次のトゥインクルプリキュアも楽しみ。ジオウ、ルパパトも面白かった。ルパパトはいよいよ最終回に向けて佳境に入ってきた感じ。来週会えるかと思うとドキドキした。洗濯、掃除。

サイがおにぎりを食べたいというので昼ごはんは簡単に家で済ます。それから約束していた通り、近所の公園へ。途中でサイが最近お気に入りのお菓子屋さんでそれぞれ食べたい焼き菓子を買い、ドトールでコーヒーをテイクアウトした。寒かったが天気が良くて気持ちよかった。公園についてコーヒーを飲み始めると保育園で同じクラスのIちゃんが公園にいるのを見つけた。サイが「あれIちゃん…?」と私に聞いてきたがよく見えず「そうじゃないかな、見てきたら?」と言うも恥ずかしがって動こうとしない。結局Iちゃんが先に気づいてこちらに来てくれ、それでようやく「ああやっぱりIちゃんだったんだ」と二人で気づいた。私たち親子はいつもこう積極性に欠ける。離れたところにIちゃんのお母さんが立っていた。Iちゃんのお母さんは明るく誰とでも話すタイプではなく、何を考えているのかよくわからない人だ。私とサイに気づいているようだったが遠くから見ていた。コーヒーを持ったまま近づくのも変かなと思い、私は飲んでいたコーヒーを急いで飲み干し食べかけのレモンケーキを喉に押し込んだ。近づいて挨拶すると軽く目を合わせただけだった。別に機嫌が悪いわけではなくそういう人なのだ。私も陽気に挨拶できるタイプではないのでわかる。Iちゃんはサイが持っていた変身ベルトに夢中だった。サイは得意気だった。それから二人で鳩(敵?)を追いかけていたが、Iちゃんは途中で疲れたのか戻ってきて座っていた。サイは仮面ライダーになりきり。相変わらず鳩を追いかけまわしていた。

Iちゃん親子と別れ、サイと普段行かないスーパーに行ってみた。生鮮が充実していた。肉が食べたいなと思って、オージービーフを一枚買った。それからお気に入りのケーキ屋さんで好きなケーキをひとつずつ買った。夜は私だけ肉を焼いて食べた。塩コショウして焼いただけなのに最高に美味しかった。焼く前に切り込みをちゃんと入れることと、常温にしておくことがポイントだとわかった。サイは肉は要らないと言ったのでスーパーで買った冷凍のチキンカツ。それから二つのケーキにろうそくを立てて部屋を真っ暗にしたらサイがハッピーバースデーを独唱して一日早い誕生日を祝ってくれた。動画を必死で撮った。二人きりだけど、ぬいぐるみ達がたくさんお祝いにかけつけてくれた(らしくテーブルが渋滞していた)。ここ数年、誕生日に何の喜びも見出さなくなってきた。死に近づいているだけだ。めでたくもなんでもない。でもこうやって必死にろうそくを吹き消して一緒にケーキを食べてくれるサイがいることが嬉しい。ありがとう。

もっと強くなりたい。もっと強くてかっこよくなって仮面ライダーみたいに戦いたい。「ママ、仮面ライダーになれるかな」と言うとサイはいつも「ももになりたいの?」と聞く。桃は鎧武に出てくる女ライダー、仮面ライダーマリカのモチーフ。鎧武の中で唯一の女ライダーで、歴代仮面ライダーシリーズの中でも数少ない女ライダー。マリカは悪の組織の秘書をしている。いつもミニスカートにヒール。とんでもない美脚の持ち主でとんでもなく強い。性格が悪いが信頼していた上司に裏切られると急に気弱になったり、敵であるはずの別のライダーにときめいたりかわいい一面もある。あんな風になりたい。