カニ日記

息子の成長と日々の記録

息をしているだけで季節は巡るし食べていれば体重は増える

3月2日(土)快晴
サイとFさんと三人で代々木公園でピクニックをした。前日にある程度準備しておいたお弁当(肉巻きおにぎり、コールスロー、キャロットラペ、チーズ入りだし巻き、ジャーマンポテト)とシートとテーブルを持って大荷物でバタバタ出発。代々木公園でフードフェスみたいなのがやっているらしかったのでメインとなるおかずはそこで買おうと考えていたが、会場の様子を上からのぞくとバーゲン会場のように大勢の人が密集していた。すぐ近くに広い公園があるのに人々は小さなテントの中でひしめき合うように麺をすすったり何かを口にしていた。その光景を見て、今ここへ行くのはよそうとFさんも私も感じて、公園の方へ引き返した。サイはフードフェスの会場の端に佇む、空気で膨らんだ巨大なペンギンを見て、「あのペンギンにはいりたい~」と切望していたが「あとでいこう」と何とか気を逸らす。

ピクニックは楽しかった。Fさんが買ってきてくれたアップルシードルがおいしかった。Fさんが凧揚げをする様子を座ったままぼんやり眺めたりみんなでシャボン玉をした。Fさんが持ってきた折り畳みコンロ(びっくりするほどコンパクト!)でお湯を沸かしてサイがアンパンマンうどん(数日前テイクアウトの寿司屋でねだられて買わされたやつ)を食べたり、コーヒーを淹れてもらったりした。やっと渡せたチョコレートをFさんはスナック感覚で次々口に入れていき、それ高いチョコだから大事に食べてくださいよなんてまさか言えずチョコはあっという間になくなった。

撤収してゴミを捨てる時、ゴミ箱を漁っているおじさんに遭遇した。良い悪いではなく、ああ今の季節だと拾う食べ物が腐らなくていいんだなとふと考えた。Fさんはおじさんを見て、嫌がるでも笑うでもなく「将来の自分かもしれない…」とポツリと言い、確かにそうだなと思った。残飯を真剣な表情で拾うおじさんが自分と全く別の次元にいる人とは思えなかった。

帰りに再びフードフェス会場に寄るとまだ人が多かった。ちょっと何か食べようかと思ったが、チケット制で面倒になり辞めた。約束通りサイは空気で膨らんだペンギンの中に入った。一回300円。誰も他にいなくて貸し切り状態でサイは中で飛び跳ねたり走ったりしていた。それから横にあった空気で膨らんだすべり台もやりたいというのでまたチケットを買う。えらく急な勾配の滑り台だったためやりたいと言ったわりにサイは少し怖がっていた。落ちるように滑ってきた後、びびったのか登らずその場に留まっていたが係のお姉さんに促されまた滑りに行った。お尻から転がるようにストンと落ちてきた。

途中の駅で降りて、適当なお店でからあげ定食を食べて帰った。席がゆったりしていたのでサイは食事の途中で眠ってしまった。駅で別れるまでずっとFさんが荷物を持ってくれていた。Fさんは東京をしばらく離れるので当分会えなくなるから楽しい一日になってよかった。


3月3日(日)雨
昨日とは打って変わって朝から雨。いつもより少し早く起きたのでサイとホットケーキを作る。サイは生地を混ぜるのや、フルーツを切って盛り付ける役を買って出る。包丁遣いがうまくなってきた。サイはハサミや包丁が好きだ。幼少期の私よりずっと器用。卵も潰さず上手に割れる。ホットケーキ食べながらプリキュア仮面ライダー、戦隊。プリキュアはキュアセレーネが登場して嬉しかった。キュアミルキーもかわいいから推しを決めかねているがセレーネの圧倒的な美しさに胸打たれた。まどかがプリキュアになった後、厳格な父親に嘘をつくというシーンもよかった。

お昼は外食しようと思っていたらサイがおにぎりでいいと言うので鮭おにぎりとサイが作った卵焼き。それからだらだら準備して近所の図書館に初めて行ってみた。サイはダウンの内側にお気に入りのぬいぐるみ、あーちゃを忍ばせて行った。恥ずかしいらしくあーちゃを保育園には連れて行かないが、こうやって休みの日に時々連れ出している。胸がふくらんでゴリラみたいになっていたからか、「ゆきやまのおうさま、おうおうおうー!」と絶叫していた。よくわからないが、歯医者で観たトムとジェリーに出て来たらしい。私が面白がっていると道の上で何回も繰り返し叫んでいた。家から図書館までは短い距離だったが、サイが傘をさすのを途中でやめたり、雨の中歩くのは少し大変だった。図書館は子ども用のスペースがあり、快適だった。サイはアンパンマンの紙芝居を取り出すと私に読んでくれ(とはいえ文字が読めないので絵を見て適当にストーリーを話す感じ)、その次は私が読んだ。サイはあーちゃと図書館にいた、ぐるんぱとはらぺこあおむしのぬいぐるみをテーブルに並べて聴衆に見立てていた。少し経ってサイが飽き始めたので、近くのマクドナルドでお茶。また雨の中歩いて、スーパーで買い物して帰宅。

晩ごはんは冷蔵庫の野菜もりもりカレー。全部角切りにしたら煮えるのが早かった。食後、二人で仮面ライダードライブとフォーゼを観た。入浴後、就寝。私はその後、録画していた「漂流家族」を少し観てFさんと電話してから寝た。そういえばひなまつりらしいことは何一つしなかった。


3月4日(月)雨
昼は以前お肉を食べに行った人たちとパン美人と四人でチベット料理。豚肉とじゃが芋のスープと蒸しパンみたいなのを食べた。あれやこれや話す。食べすぎて午後、眠くなる。

晩ごはんは二日目のカレー。おいしい。酢、ごま油、醤油で適当に漬けておいた大根も美味しかった。カレーだと温めるだけですぐ食べられるし洗い物も少ないので労力がかなり減る。それにサイもよく食べてくれる。サイはデザートに昨日食べなかった雪見だいふくを食べたが、餅が嫌だったのか中身のアイスだけ食べて皮を私にくれた。


3月5日(火)快晴
仕事で、先週行った性格の悪い窓口の女のところにもう一度行かないといけなくて憂鬱だった。待っている人がいなかったので取った番号札をカウンターに置くと、受け取るのに少し遠かったのか「これ、とっていいの?」(なぜかため口)と鼻で笑うように聞かれた。標準で怒っている。私にだけかもしれない。わざとかと思うくらい嫌味っぽい態度を取って来る人、大人になってからあまり出会わなくなったが、昔学校の先生でこういう人いたなと思い出す。「人に優しく」という考えがおよそないのかもしれない。もはやドラマの役どころかと思えてくるくらい、徹底的に嫌な感じだ。こういう相手には感情を無にして接することにして、必要以上の表情と発言を表さないように努めた。申請していた書類を問題なく受け取り帰社。電車を乗り間違えたりして疲れる。もう二度と行きたくない。移動中、文學界に載っている川上未映子さんの新作『夏物語』を読む。これは…面白い…!!描写が丁寧で引き込まれる。

晩ごはんは三日目のカレー。サイは今日もよく食べてくれた。「たまねぎががりがりじゃないからいい」と褒められた。全部小さな角切りにしたらよく煮えて嫌がらなかった。メモ。野菜は小さくすること。食後、サイの好きな実験番組、「すイエんサー」を観た。内容も面白いが、ダイスケお兄さんとアサコさんのコンビが好きだ。


3月6日(水)曇り
お昼は近所のハンバーガー屋さんでハンバーガー。今日はパイナップルが入っていた。先輩と仕事の話。

お迎え後、歯医者。久しぶりに麻酔をしたら気持ち悪くなった。オリジン弁当で買って帰る。手持ちが少なくおかずが十分に買えなかったのでチーズ入りだし巻きだけ作る。サイはおにぎりの中の鯖の切り身だけ丁寧にとってお皿の端にのせ、最後に食べていた。いつもより時間が遅かったため、「ガールズクラフト」というサイの好きな、身近なものでアクセサリーや雑貨を作るEテレの番組が終わっていて悲しんでいた。「ママ、はいしゃのにおいしてる」と嫌がられた。自分でも気分が悪くなった。歯医者に行くとあの匂いで全ての気力が失われる。どっと疲れて入浴後、死にそうになりながら大量の洗濯物を部屋の中に干し、布団の中で大森さんが出ていた依存症イベントのアーカイブ映像を観ながら気絶するように眠る。


3月7日(木)
雨が降って寒かった。晩御飯は煮込みうどん。


3月8日(金)
ドラえもんとしんちゃんの日がまたやってきて、ほっとする。この時間が一番安らぐ。いつもどおりピザ。サイは番組最後に流れるドラがおじゃんけんの歌が好きでよく歌っている。


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最近、世間のスピードから自分がどんどん遠ざかっている気がする。新しい情報や知識が身体にすっと入らなくなってきて、でも溢れる速度は緩まないから、まったく知らない世界で迷子になっているような心地がする。老化への第一歩なのか。それでも時間はどんどん進む。季節は巡る。