カニ日記

息子の成長と日々の記録

たまには傘持って踊りたい

5月8日(月)晴れ
命にしても何にしても永遠に続くものなどこの世になく、長い休暇も多分に漏れず終わりが来る。
確か穂村弘さんが、ブルーマンデーについて最初は日曜日のサザエさんが始まる頃から不安になっていたのがだんだん前倒され、今や木曜日ぐらいから不安になる、というようなことをエッセイに書かれていて正にそれと同じ気持ち。GWが始まる時からもう不安だった。
仕事に行きたくない私と同じようにサイも朝、「こうえんいく」「ほいくえんいきたくない」「○○せんせいこわい」と発言していた。私が会社に行くのは生活のためだが、サイは保育園に行かされているだけでありそこに必要性は全くない。だから行きたくないと言われるといつも心苦しい。

4月からずっとさぼり続けてようやく作った(といっても支給された厚紙にボンドで貼っただけの)連絡帳カバーを見て喜んでくれ、保育園バッグに入れないで自分で持っていく、先生に見せると言ってくれた。サイはいつも大したことのない些細なことでも大喜びしてくれるのでこんなことでごめんねといつも思う。もし私がインスタでよく見かけるような手作りお菓子や料理、手芸の達人だったらサイはどんな反応をしていただろうか。絵や工作は好きだが手芸や料理は苦手で苦痛でしかない。でもサイのためならフェルトでままごとセットを作ってあげたり、Tシャツに好きなキャラクターを刺繍してあげたり、可愛いちぎりパンを作ってあげたい。あげたいけれどそれはいつも想像上で終わる。例の山菜の天ぷらを出してくれた奥さんの家に、紙でできたアンパンマンや食べ物など明らかに手作りと分かる凝った作品が山ほど置いてあり、私は「これ作ったんですか」と目に入る度にしつこく尋ねた。全部支援センターで作ってもらったんですよと聞くと妙に安心した。
お菓子作りこそしなかったが手芸好きな母は私が小さい頃洋服や色々なものを作ってくれた。キティちゃんの絵が編みこまれたセーターを着た自分の写真を見ると、一体どうやって人間の手でこんなものを作り出せるのか不思議な気持ちになる。母と同じようにはなれないが絵を描いたり私は私のできることするしかない。

夜、サイはお医者さんセットの聴診器を私のお腹やお尻にあててはしゃいでいた。へそに注射してくれた。ままごとの食べ物でお弁当を作ってくれた。最初は機嫌よくやっていたが弁当箱にきっちりはまらないと嫌になって全部投げつけていた。


5月9日(火)曇り
朝。サイは2歳になった頃からトイレトレーニングを始めたが、なかなかうまく進まない。トイレにサイが好きなポスターや絵を貼っってイメージから改善しようとするも、気が乗らないとトイレにすら行ってくれない。なので汚い話だが大便に関しては今にも出そうな顔をしている時に急いで便座に座らせる。あまり強制的だと嫌がられるので「キラキラのすごいシールあげるから行こう」と誘拐犯のように誘った。今日は間に合って便座でできた。よかったねぇー偉いねぇと言っていたら遮るように真顔で「きらきらのしーるは?」と聞かれた。実は口から出まかせだったので慌ててシールを探した。たまたまそういう感じのものが見つかってよかった。サイは光る宝石のようなシールに喜んで大事そうにしていた。
その後私がトイレに入っていたら覗いてきて大人みたいな顔で「きらきらのしーる、もってこようか?」と聞いた。最近サイは私がトイレに行く度にかけつけてシールが欲しいか尋ねてくれる。「うん、ありがとう」と言うといつものように「まってて!」とやけに自信満々にドアを閉めどこかへ行った。

仕事で夕方、自分の関わったものでは入社以来最も大きな案件が舞い込み動揺する。決まればすごいことなのだが、私も上司も極度のマイナス思考のため「こんなうまい話あり得ない、最後に何か起こってダメになるかも」と暗くなっていた。そんな我々と相反して部長をはじめ、周りは喜び騒いでいた。そんな最中、先方にろくに返事もせず(翌朝確認したら上司がやってくれていた)、私は退社しサイのお迎えに向かった。夫は出張で不在なので私が行かなければサイは保育園に取り残される。こんなこと口が裂けても会社では言えないが、どんなに大きな案件があってもサイのお迎えが最優先である。

迎えに行くとサイはいつも通り主人が迎えに来た犬のようにすっ飛んで来て、園庭で走り回ったり砂に絵を描いてから帰路についた。先生にサイくん連絡帳カバーに大喜びで見せてくれましたよ、と言われる。通園途中いつも通りかかる和菓子屋さんがあり、「あそこのおやつ」と私が最初に呼んで以降、サイも店名のように呼んで前を通る度に「あそこのおやつかいたい」と騒ぐ。金曜日や給料日後に寄ることもあるが今家には帰省先で買ったお土産がいっぱいあるので「あれ?やってないね、今日はもう売ってないねぇ」と適当に言って通りすぎたら「やってるー!あるー!」と激怒しぐずった。だんだんと適当さが通じなくなってきたが応じていても大変なので断り方を考えないといけない。
帰宅後、機嫌直しに家にあった饅頭をサイと半分ずつ食べたら満足したようだった。


5月10日(水)雨
雨の日は嫌だ。自転車にカバーをつけたり、ダサすぎて最新ファッションかと思う雨具をフル装備したり、かばんが濡れないようにしたり、通園するだけで朝からたくさんの気を遣いEPが一気に減る。今日は小雨だったのでまだいい方。大雨の時は本気で仕事を休みたくなる。最近サイが濡れないようにするカバーをなくして、ベビーカーのカバーで無理矢理代用している。やはり無理があり走っている途中でめくれ上がった。誰に似たのかサイは下げているかばんの持ち手が捻じれたり、ままごとの野菜がうまく箱には入らなかったり、均等や美を保っているものが崩れるのを一番嫌がるので案の定機嫌が悪くなった。でもそのまま走り続けた。雨は嫌だ。

夜。夫の仕事に余裕があった日だからか先日のことを悪いと思っていたのか、自由時間をもらえ、素敵な人達と夢のような時間を過ごし絡まっていた紐が少し解けた気がした。(日記の中で夫って書くのは何だか嫌なので今度からアルファベットでKとすることにしよう。)ストレスを溜めて鬱々としてるのは家族に悪く当たってしまう可能性がある上に翌朝以降の生活にも悪影響しかない。たった一晩出かけるだけで明日から頑張ろうと思えるのだから全国の夫達は一晩だけ家事や育児を頑張ってたまには妻に一人だけの、妻でも母でもない時間を与えるべきだ。いや、母親たるもの子どもからひと時も離れてはいけないという人や、山菜天ぷらの奥さんみたいに別に出かけたいと思わない人もいるだろうから、これはただの持論だけど。

5月11日(木)快晴
朝から夏のように暑い。ドクターイエローがプリントされた半袖Tシャツを着せようと出したら思い違いで長袖だった。暑いから辞めようかと言うとサイは見てしまったためにドクターイエローがいいと主張した。サイはドクターイエローのことを舌足らずのせいで「ドクターエロ」と言う。それではただのエロいおっさんで医者かどうかも怪しい。仕方ないのでそれを着せて行き保育園で半袖に着替えさせてもらうよう先生に伝えた。大森靖子さんが息子に危険さえなければ自由にさせてあげたい、とラジオでおっしゃていたがその通りだと思う。命の危険と周囲への迷惑さえなければできる限りサイの「おこだわり」に応じたいと日々思っている。晴れの日に長靴を履いたっていいし、オムツをデコりたいと言われれば応じる。と言いつつ壁に落書きすると叱るし、夕飯前にお菓子食べたいと言われると断る。躾とこだわりは違うのでその辺りは弁える必要がある。


夜。退社後昼休みに美味しいパン屋さんで買った週末分のパンと同僚にもらったパンを会社に置き忘れてきたことに気が付き、一端お迎えに行った後駅でKと交代し再び会社へ戻る。退社する時はいつもサイの顔を浮かべてうきうきなのに、夜に会社に戻るのって例えそれが仕事でなくてもなんと暗い気持ちになることか。
帰ったらサイとKはKが作ったパスタを食べていて私も食べる。美味しいのだけど何味かよく分からない。


5月12日(金)晴れ
夜、明日から両親が来るのに備えテレビ電話など。

5月13日(土)雨
サイと一緒に寝てしまい、明け方起きて部屋の片づけをしていたらKが起きてきて二人でがたがたうるさくしていたので、日が昇らないうちにサイは起きてしまった。Kは会社に行き、私はひと眠りしたかったので起きたいというサイを宥めて8時頃まで寝る。おそらくサイは途中寝たり起きたり。最近寝ていて足で蹴られたりするのが本気で痛い。負傷するレベル。起きてから「今からじいじばあば(私の両親)来るから会いに行こうね」と言うとサイは飛び跳ねてうきうきしていた。


天気はよくなかったが早く着いたのでみんなで築地へ行った。団子屋さんで雑煮と団子を食べる。知らない外国人観光客がライカでサイを撮ってくれる。父とKとはそこで別れそのあと三人で銀座へぶらぶら。ぶらぶらと言っても天気は一層悪くなり休み休みで辿り着いた。自分では普段買わないちょっと高い店でサイの洋服を買ってもらう。その後電車を待っている時、これからもらう年金の額がものすごく少ないという話を聞き申し訳ない気持ちになる。それでもサイのために何か買うのが母の愉しみらしい。
好きな洋食屋さんで三人でお昼を食べ(雨だから空いていた)、デパートの子どもの階で絵本を読み、天気が悪いのでKにサイをピックアップしてもらいそこから2時間ほど母と二人になった。いつもそうだが、それまで一緒にいたサイが突然いなくなるといなくなった感がすごくある。サイのことは大好きだしずっと一緒にいたいけれど離れた瞬間自由だ!とミュージカルの主役みたい踊りたくなる。母と二人で絶対幼児が入店できない店で普段なら食べない高いパフェを発注し美味しい美味しいと堪能する。

夜はみんなで家の近くの和食屋さんで晩御飯。初めて行ったけど本当に美味くて両親もサイも満足していた。買い物して美味しいもの食べてサイをみてくれる人がたくさんいるってなんという余裕。たまにはいいよね、傘持って踊りたいよねと思いながら寝た。

 

5月14日(日)

午前中はゆっくりして(うちの両親は朝からそんなに食べない派なのにKに叩き起こされてちゃんとした朝ごはん作るよう命令されたのがちょっと嫌だった)、みんなで薔薇の綺麗な場所へ出かける。ここで薔薇を見るのが毎年の楽しみなのだけどとにかくものすごい人でみんな薔薇好きなんだな、と思う。一昨年はまだ歩けず、昨年はよちよち歩きだったサイは今では走り回る。お花が最近好きなので喜ぶかと思いきや砂利を拾って遊んだり「いちごわすれた」などといつか苺を持ってきて食べた記憶など思い返し薔薇はどうでも良さそうだった。動き回ってじっとしていないので写真も撮れなかった。

昼食を食べて両親はまた地元へ帰って行った。

 

帰宅後、なぜか疲れていたので母の日ということもあり晩御飯を作ってほしいとKに頼んだら快諾してもらえた。自分でも作り方がよく分からないビーフストロガノフをリクエストしたらちゃんと完成していた。お風呂もKに代わってもらい深夜に一人でゆっくり入った。

 

日記を書き初めてから思うけどたった一週間って色々あるもんだな。

 

金曜日の夜、サイとKはいつもより少し帰りの時間が遅かった。「ただいまー」と帰ってきたサイの手には花束らしきものがあったけれど私は何にもピンとこなかった。普段ならこういうのにすぐ勘付く方だけど、ああ、お花買ったのか、と普通に思った。Kがサイの後ろから何か言い、サイがもじもじしながら小声で「おかあさんありがとう」と言って持っていた花束をくれた。私の一番好きなマトリカリア。リボンも何もついてない茶色い紙に包まれた小さな花束。言葉にならないほどの嬉しさとよく言うが本当にそんな感じだった。玄関でサイをぎゅーっと抱きしめてありがとうと言ったららちょっと照れたような満足そうな顔をしていた。その後Kからも自分では絶対買わない色のハンカチと靴下をもらった。もちろん嬉しかったけどサイにもらった時の気持ちとは比べものにならなかった。どっちも代金を支払ったのはKなのに申し訳ないほど。
そういえばサイに何かもらったのは初めてだ。食べかけのパンや床に落ちていた糸くずは日常でもくれるが、贈り物をもらったのは初めてだ。赤い顔して永遠に泣き続けていた子が今や照れながらお花をくれるなんて、嗚呼。


嬉しくて嬉しくてずっと棚に飾った花を眺めている。

黄金とかつけるから後でしんどくなる

黄金週間という輝かしい名の休暇が終わった後の絶望が余りにも大きいのでいっそのこと初めから存在しない方がよかったんじゃないかと思えてくる。
バタバタしていた一週間のため記憶が曖昧な日もあるが、覚えている限りのことを記しておく。

5月1日(月)
何を食べたか何をしたか記憶にない

5月2日(火)快晴
一日有休を取って、サイには保育園に行ってもらった。
自分は休んで保育園に預けていることに後ろめたさがない分けではないし、批判もあると承知だが、半年に一度くらいこのやり方で自分の時間を持ち、用事を済ませたり、観たい映画を観たりしている。

この日は翌日から帰省する夫の地元の家族親戚に渡す菓子折りの買い物がメインで、A嬢とずっと行きたかったお店でお昼ごはんを食べることもできた。A嬢は買い物に付き合ってくれたばかりか、重い荷物まで持ってくれてこんなにいい人と巡り会えて私は幸せ者だと思った。買い物を終えてお茶しようとした時夫から連絡があった。夫は、なぜ前日に買うのか私には全く理解できないが、帰省するのに着て行く洋服を買いたいから仕事が終わったら連絡すると言われていた。私がまだ洋服屋にいなかったあるいは向かっていなかったことで機嫌が悪くなった。少し遅れるから先に行ってほしいと電話口で言うと更に怒った。時間通りに進まないとか、私が決まった場所に待っていないとか予定調和でない事が起こると夫はいつも機嫌を悪くする。私は実家の家族が互いに自由な感じだったからか、予定がずれても全く平気でむしろ自分の時間が増えてラッキーぐらいの考え方なので理解できない。
A嬢に気を遣わせた上、全然落ち着かないお茶をして別れた。すごく申し訳ないことをしてしまったと思っている。せっかく楽しかったのに一気に鬱が押し寄せた。と、ここまでサイと何の関係もない夫への愚痴を書いているが一応後のことに関係するので記しておく。
結局夫はサイズの問題で洋服が変えず更に機嫌が悪くなった。私はまだ別の用事があったので保育園のお迎えに行く夫と別れて重い荷物を抱えて電車に乗った。最後の用事を済ませたらデパ地下でサイの好きなエビフライをたくさん買って急いで帰宅した。

二人は既に家に戻り、私がまだ帰って来ていなかったことで夫の機嫌は空腹を伴い最悪になっていた。(こまめに連絡はした。)色々と苦言を言われたので、そもそも買い物が大変だったと言い返すと「別に何でもよかったのに」と言われてカチンときた。味にうるさくすぐ文句を言う義母のことで悩んだり店を選んだ苦労も知らずに、じゃあ自分で買いに行け、と思ったことがそのまま口に出てしまい喧嘩になった。サイの前だとか気にせず大きな声で頭に浮かんだことをぶつけた。それでも言い合いは収まらなかったので私はエビフライをゴミ箱に投げ入れて寝室へ行った。サイにご飯を食べさせたりお風呂に入れたりする普段の大変さを夫一人で味わえばいいと思った。何度か夫が寝室へ来て態度を急変させて謝り戻って来いと言われたが、もう怒りというより気力がなく布団を被って無視し続けた。夫は諦めて来なくなり、リビングから聞こえる音から判断してサイはご飯を食べさせてもらっているようで安心した。食事が済み、夫はずるい手段を使った。サイだけを寝室に入れた。サイは横たわる私を心配そうに見て、「パジャマここにあるからね、絵本ここにあるからよんでね」と優しく声をかけてくれた。2歳児に慰められて恥ずかしいような自分が情けないような気持ちになり涙が止まらなかった。そして「お母さんちょっとしんどいから寝てるね」と言うとサイは「わかった!」と明るく言い部屋を出たかと思うとまた部屋に入ってきて心配する、を繰り返していた。

急に大人のようになったなと思っていると、次の瞬間、我慢していた何かが崩壊するように突然顔を歪めてわーと泣き出した。「おとうさん、おとうさん」と狂ったように叫びながらわんわん泣いていた。私は大変なことをしたと思ってサイを抱きしめてごめんねごめんねと謝った。
夫への気持ちがどうであれ、二度とサイにこんな姿を見せてはいけない、こんな思いをさせてはいけないと思った。
夫がどこかに買い物へ行っている間にサイと二人でリビングへ戻ると捨てたエビフライが台所に置いてあり、サイと二人で床に座って箱のまま食べた。サイは必死になってむしゃむしゃ食べていた。私も必死で食べたら胸やけがした。


5月3日(水)快晴
新幹線で夫の地元に帰省。義両親とサイは年に一度会うか会わないかで、二人ともスマホを持っていないので私の両親とするようにテレビ電話もできない。だから義両親と会うとサイはものすごく人見知りする。案の定会った瞬間固まっていた。それでも電話で何度か話して声を覚えているので少し経つと打ち解けたらしい。実家に行く途中で美術館に寄った際、義両親は車で待っていたのだが「○○(土地名)のじいじは?」とサイは早速気にしていた。美術館は人が少なくて廻り易く建物の周りも自然がいっぱいでサイも楽しそうだった。
美術館の後、夫が高校生の時よく行っていたらしい美味しいアイス屋でアイスを買い、車でみんなで食べた。私はスペシャルという4種も盛られたアイスをサイと奪う合うように食べた。今まであまり食べさせてこなかったのだが、自分が食べる時に少しずつあげているうちにサイはアイスの味を覚えそれがものすごく美味しいことに気付いたらしい。
家に着くとおばあちゃん(サイにとっては曾祖母)が待っていてサイを見てものすごく喜んでくれた。よく来たね、大変だったろうと気遣ってくれた。私は義実家の家族は嫌いではないが何だか話が噛み合わず、おばあちゃんと話すのが一番好きだ。結婚前に初めて会った時はキツイ方言で何を言っているか全く理解できなかった。まるで外国語だった。私が慣れたのか今では7割くらいは理解できる。仏壇のおじいちゃんに線香をあげるのを見ていたサイにこうやってやるんだよと手を取って教えてくれた。サイは仏壇のろうそくから誕生日ケーキを連想して、手をたたいたり何かめでたいものだと思っているようだった。サイのことを「可愛いねぇ、いい子いい子」と何度も言って頭を撫でてくれた。義実家でそんなに褒めてくれるのはおばあちゃんだけだ。サイも満更でないようでおばあちゃんに懐いていた。

家の近くの外国みたいに大きくて広いスーパーで食材を買い込んで戻り、晩御飯を食べ始めた頃、夫の友人夫婦がビールを持ってやって来た。夫婦の旦那さんの方が夫の友人で私達の結婚式でスピーチをした程、夫とは旧い仲らしい。この友人は面白い人でお酒が苦手で素面なのに最初から最後まで酔っ払いのようなテンションで捲し立てるように話す。この日も一滴もアルコールを摂取せず、緑茶を飲みながら芸人のように話し続けていた。奥さんは大人しいが大酒飲みでいつもにこにこしている。いい夫婦だなと思う。サイはマシンガントークに圧倒され黙りこくっていたが寝る前にようやく打ち解けていた。サイが寝てもまだ宴会は続き正直私も退散したいと思ったがそんな思いと相反してコップに酒が注がれ続けた。


5月4日(木)快晴
いつも聴いている大森さんのラジオを聴き忘れた、と朝起きて気が付いた。もはや曜日感覚がない。朝食を食べ、出発。たぬきケーキを買い、観光地である公園の前で降ろしてもらう。途中で夫が高校時代に部活仲間とよく行っていたという変な名前がついた焼肉屋さんの前を通りかかり、まだあったのか、あそこの食べ放題は安くてと夫は一人ごちていた。私がこの公園に来るのは今回で三度目でサイとは二度目である。まだ桜が残っていて、きれいだった。色んな種類の桜を眺めたり、サイの写真を撮ったり、パンを食べたりしてのんびりと過ごした。つい二日前、もう一緒に暮らせないと思ったほどの夫への不信感はこの土地に来てから次第に薄れていった。だからと言って忘れてはいなかった。時間に追われなくなって気持ちに余裕が生まれたというのはあるかもしれない。
その後、夫の妹夫婦と落ち合って一緒にお昼を食べた。夫婦には姉妹と1歳に満たない男の子の三人の子どもがいて、サイの唯一の従姉妹になる。二番目のSちゃんはサイの一つ年上。会うのは二度目だが前回会った時サイはまだ小さかったので忘れているだろう。昼食後、眺めのいい場所に行き、みんなで動物を観たり散歩したり公園で遊んだ。弟がいるものの普段妹の立場でいるところに突然サイが来たものだからSちゃんは俄然張り切ってお姉さん役を務めていた。サイはSちゃんにずっと手を引っ張られていた。二人は手をつないだまま走ったり、しゃがんで草を毟ったり、始終楽しそうにしていた。私に似て運動音痴なサイは途中からSちゃんの活発さに着いて行けず途中で止まったり弱音を吐いていたが「ほら!あるくよ!たって!」とSちゃんは容赦なかった。兄弟のいないサイは自宅ではマイペースに行動し、保育園でもいつも同じ年くらいの子としか交わる機会がないので、この時は弟として叱咤されたり手を引かれて相当にリズムが乱されていた。見ている側としては面白かった。本人にとっても新鮮な体験だったよう。夜までその乱れは続き、サイは郷に入れば郷に従えとついに諦めたのか途中から姉妹と一緒に飛び跳ねたり叫んだりして異様なテンションだった。姉妹達が帰った後、さすがに疲れたのか倒れるように眠った。


5月5日(金)曇り
朝から大福をたらふく食べた。例の素面でよく話す友人が本当に美味しいと薦めていたので義両親が買って来てくれていた。疲れているのかサイはなかなか起きてこなかった。
帰り支度をしていたらおばあちゃんが来たので二人で少し話をした。おじいちゃんと初めて出会った時、一目見て格好良いと思ったからこの人と結婚しようと思ったという話や、おじいちゃんがとても頭がよかった話をしてくれた。サイのことを本当に可愛いとまた言ってくれた。方言が分からなくて聞き取れないところもあった。通訳してくれる夫がいなかったので愛想笑いでごまかしてしまった。おばあちゃんとサイで写真を撮ろうと言ったらおばあちゃんは照れて断ったけれど、せっかくだしと言うと被っていたミッキーのニット帽とエプロンを恥ずかしそうに脱いで撮ってくれた。(確かにイケメンだった)おじいちゃんが亡くなってからおばあちゃんは元気がなくなっていた。でもサイを見て喜んでもらえてよかった。
おしゃべりな友人が来た日の夜、おばあちゃんが台所で立ってこっそり泣いていたのを私は見た。
お土産を買い新幹線に乗り東京へ戻った。帰宅後、洗濯だけしたら力尽きて横になっていた。夫は仕事でいなかった。サイは全く疲れた素振りを見せず、私が寝てばかりいて遊んであげなかったので怒っていた。
この日は結婚式を挙げてからちょうど4周年(入籍日は別)だったのだが、私はすっかり忘れていて夫が花を買って帰ってきて思い出した。子どもの日だというのにサイに何もしてあげられなかった。


5月6日(土)晴れ
サイはいつも6時すぎ、遅くとも7時前には起きてもし私が寝てれば起こしてくれるのだが、この日は二人で8時前まで寝ていた。慌ててゴミを出し遅めの朝ごはん。洗濯をしてスーパーに行き公園に行くといういつもの土曜午前の過ごし方。平常に戻った。公園でサイは噴水に入りたいと言ったので、靴を脱がせて入らせると足の感覚に戸惑ったのかその場からほとんど動かなかった。子どもと水遊びしていたスタイルの良いギャルママが持った水鉄砲に見とれていて、貸してあげるよと言われたのに固まっていた。昼寝はいつもより短く、おやつにゼリーを食べた。
私は一日遅れでこどもの日と結婚式4周年のお祝いをしようとAmazonで届いたばかりの天ぷら鍋で春巻きを作った。帰省先で夫の友人宅を訪問した際、山菜の天ぷらとビールがさっと出てきたのに感激して帰りの新幹線で発注した天ぷら鍋。山菜の天ぷらを出してくれた奥さんはできる妻という感じで、部屋はきれいに整えられ子どもの教育も行き届いている感じがした。私達が行った段階で既に酔っていたご主人が、私が時々ライブに行くという話をした時「俺が稼いでいるから妻に不自由はさせてない(とまでは言ってないけどそんな感じのことを)」と言ったのでちょっと嫌な気持ちになって奥さんに「夜とか出かけたくならないですか?ストレスとかたまらないですか?」とこっそり聞いたら「そういうのはない」と返されたので私は一生この奥さんみたいになれない気がした。そんな思いもあり発注した天ぷら鍋。
慣れないことをしたので時間がかかりいつもより遅い夕飯となった。さすがフライパンとは違う、春巻きは美味しかった。サイはこいのぼりの形をしたご飯に喜んでくれた。


5月7日(日)晴れ、夕立あり
午前中、どうしても行きたいところがあったので夫にサイを見てもらいさっと用事を済ませる。昼は公園でみんなでお弁当を食べた。夫が仕事に行った後、サイと私は公園に残りシャボン玉をした。最初は力いっぱい吹きすぎて全然できなかったのが、だんだん上手に吹けるようになってきた。きれいにシャボン玉ができるとサイも満足そうだった。サイは集中するとそればかりやるので、液がなくなるまでずっとシャボン玉をしていた。帰宅後昼寝。昼寝から起きて、雑誌の付録を一緒に作りそれで夕飯が遅れた。慌てて肉じゃがを作った。もらったじゃが芋が大量にあり、それが主食の民族のように朝も夜も芋ばかり食べている。肉じゃがにベーコンを入れると美味しいと発見した。
サイは雑誌の付録のお医者さんセットをえらく気に入ってぬいぐるみに注射したり聴診器を当てていた。


こんな感じで終わった黄金週間。

旅行とか行きたかったな。

よく晴れた週末の記録

4月29日(土)快晴のち曇り
マリーアントワネットの助言に従い、パンがなかったので前に買って置いてあった米粉ミックスでホットケーキを焼いた。米粉は好きだけどこれに関しては普通の方が美味しい気がした。サイはホットケーキが大好物なので特に気にせずガツガツ食べていた。父親の分も奪っていた。

この日はアンパンミュージアムに行くとサイと約束していたが夫が仕事関連のイベントを観に某デパートに行きたいと言い、延期になった。横浜のアンパンマンミュージアムは今10周年を迎えており、それを記念して特別なショーが行われているらしい。保育園でもらったチラシ(園の入口に区やその他のイベントのチラシが置いてあるのだが、アンパンマンミュージアムのチラシが稀にあり、サイはそれを見つけ出すのが異常に早い)によるとオールスターが登場する豪華なショーが今だけ行われているらしい。
ショーというのはキャラクターの着ぐるみがお姉さんと寸劇したり歌って踊ったりするものなのだが、平常時は出し惜しみしているのか、アンパンマンとあと2キャラクターくらいしか出て来ない。サイは色々な所で行われ誰かが撮影したアンパンマンショーの動画をYou tubeで繰り返し観るほどなので、もしかするとアニメより実写版が好きなのかもしれない。前回行った時は目をキラキラさせて喜んでいたのでオールスターによる豪華なステージを見せてあげたかった。アンパンマンショーは子どもにとっては普段CDで聴いている歌手のライブに行くような感覚なのかもしれない。

目的地のデパートに着くとたまたま夫の仕事関連の知り合いが子どもを連れているところに遭遇した。奥さんは別の場所で友人とランチをしている(できた夫だ)とのことで、そのまま我々三人と彼と彼の子どもの5人で屋上でお昼を食べることになった。私は買い出し係になり急いでデパ地下に行き惣菜やビールを買い込んだ。外で食べるご飯は美味しい。ほろ酔いで子どもと走り回って遊んでいたら奥さんが追加のビールを持って(できる妻だ)やってきてみんなでまた乾杯した。自由に呑んだり子どもも遊べる屋上って最高かもと思った。こういう、誰もが満足する場所は意外に少ない。奥さんとは同じ業種の夫を持つ立場として色々と話せて楽しかった。
みんなでアイスを食べて解散した。

夜は家にある野菜やベーコンを市販の生地に載せピザを作って食べた。ピザが好きなサイは喜んで勢いよく食べ、皿の分がなくなるともっとくれもっとくれと騒いでいた。ピザのチラシが好きで捨てようとすると怒られる。
食後急激に眠気が押し寄せ、サイとお風呂に入って出たところで力尽きた。サイも日光に浴びて疲れたようですーっと眠った(らしい)。夜泣きも全くなかった。


4月30日(日)快晴
朝から私とサイは美容院の予約を入れていた。一度私が切ったらあまりに出来がひどすぎて母親に虐待レベルだと言われて以降自分が切る時に連れて行く。が、昨日のはしゃぎすぎが影響して全員で寝坊してホームアローン状態になった。結局間に合わず私だけ先に出て、後でサイを連れて来てもらうことにした。

私が切り終えた頃、夫とサイが来たので私は店を出た。いつもは二人でサイが切ってもらうところを見守るのだが4-5回目だし特にいなくても大丈夫かなと思ってその間に行きたいパン屋やその他用事を済ませる。切り終わってサイに会ったら、一体夫はどう言ったのか、サイの前髪が短すぎておかしいことになっていて立ち会わなかったことを後悔した。短く切ると顔の丸さが際立ち、太っているのが強調された気がした。「食いしん坊」感も増した。

その後子連れに優しいお店でお昼を食べ、私はまだ用事があったので二人で先に帰ってもらった。私は観たかった展示を観たり、もうすぐ帰省する時に渡す姪っ子二人のプレゼントを買った。自分が小さい頃、親戚から全然好きじゃない上にひどく子ども扱いされたプレゼントをもらったのがすごく嫌だった記憶があるので、姪達に何かあげる時は事前リサーチを徹底して行うようにしている。最初の頃はサンリオだったのが、もう飽きたらしく今回のリクエストはすみっこぐらしとディズニープリンセス。ディズニーはいいとして、「すこっこぐらし」なるものを全然知らないのでググった。小学生の間で流行っているらしい。その通り、売場にはJSが群がっていた。その群れを掻き分け私は汗をかきながら姪が欲しいアイテムを探した。確か数年前は「ほっぺちゃん」をリクエストされ、吐きそうになりながら竹下通りを彷徨い辿りついた専門店でJSに圧倒されながら何がよいのか分からないものを買った。あの時のほっぺちゃん、どこへ行ったんだろう。子どもは好きなものが変わり易い。

最寄駅について公園の前を通ると二人が子供用のお家みたいな休憩するところにいてサイは私に気付いて嬉しそうに手を振った。やっぱり顔がまんまるだった。仕事に行く夫と交代し、手を繋いで家に帰った。

サイとみかんゼリーと油を使っていないごぼうチップス(ややダイエット意識)を食べ、午前中タイガーで買った子ども用ギターで一緒に遊んだ。弾き方がまだよく分かっていないようだったが、弦をはじくと音が鳴ることは理解し楽しそうに演奏していた。アンパンマンをリクエストされ、私が弾けないでいると少し機嫌が悪くなった。


洗濯をした後、サイとスーパーに行き帰りに公園に寄るいつものコース。暗くなるまで遊んで帰宅する。春巻きを作りたかったのに皮を買い忘れたことに気づき、具になるはずだったささみやバジルを適当に炒めた。あとはタコとトマトのマリネ、春キャベツのスープ。サイはキャベツが嫌いなのか汁だけ飲んだ。
夕食後、突然どっと疲れが押し寄せて電池切れになってしまった。サイは元気そうだった。サイを何とかお風呂に入れた後一緒にそのまま朝まで寝てしまった。
そのため、道重さんが特集された番組を観逃したどころか録画もし忘れた。がーん。

拝啓 あまのじゃく先生

4月24日(月)晴れ

保育園の連絡帳にも書かれていたが最近あまのじゃくが多い。「公園行こうか」に「いきたくない!」とか「ごはん食べようか」に「たべない!」とか。とにかくこちらの提案と逆の態度を取る。本心でないのは分かっているからあまり大らかに捉えたい。まあ大人でもそういう時あるし。
天下のあまのじゃく先生も食欲には勝てないらしい。晩御飯食べようと声をかけたらまた始まった。こういう時は否定すると余計ひどくなるのでそのままにしておくか同調するのが一番いい。「あ、そう。じゃあ別に食べなくていいよ~」と言い、ぐずっているのを無視しわざとらしく美味しい~と言いながら自分だけ黙々と食べ始めた。サイは口を歪めながらながら「たべない!!いらない!!!」と食器を押しやったりしていたものの結局しばらくすると好きなトマトから食べ始め、どんどん他の物にも手をつけて食べていた。可笑しかったのがサイが自分で食べてしまってほとんどお皿に残ってないのに、そうなってもまだ「たべないの~!」と叫んでいた。食べないって、もうないやんかと内心で突っ込みを入れた。『不思議の国のアリス』にそういう話あったような、なかったような。満腹になると(その後追加でじゃが芋も食べた)、機嫌がよくなりほっとした。

日中会えない平日は毎日聞くようにしているのだが「今日は保育園で何したの?」と聞くと少し考えて「のりまき!」と元気よく返ってきた。「え、海苔巻き作ったの?」「うん」「どんな海苔巻き?」「のりのなかにおにぎりいれて~」「え、おにぎり?」「うん、おにぎりいれて~、なっとういれて~、ハンバーグいれて~、おにくいれて~はいどうぞってしたらいらないって」おにぎり入りなんてすごい海苔巻きだ。「誰が?」「○○くん(仲良い子の名前)!」「へぇー○○くんはいらないって言ったのか~」「うん」「ははは、面白いね」「ははははは」
よく分からないけど面白い。

寝る前もあまのじゃくが発生し、いつも寝る前に一緒に色んな歌を歌うのだけど「じゃあもうおやすみしようか」と言うと「まだうたいたいの!」と無理矢理引退させられる歌手のようにキレた。歌い続けた後、結局眠気に負けて寝た。

4月25日(火)晴れ 少し寒い
朝。サイはパンなど好物を包丁で切り分けるといつも怒る。丸ごと噛り付きたい主義らしい。うっかり6枚切の食パンを買ってしまったばかりに(普段は8枚切)、さすがに一枚食べさせたら多いなとしれっと半分にしたら見つかって「きらないでー!」と怒り出した。仕方ないので半分に切った食パンを横長にしてお皿に立てて、自分でも全く意味不明だと思いながら「あ、見て!お家みたいじゃないこれ?すごーい!」と苦し紛れの策を取ったら「ほんとだ!おうちみたい~」と意外にも喜んだ。この手が通用しなくなるのは時間の問題。
落ちたみかんの粒を気にしていたので「このちっちゃな中にみかんのジュースがはいってるんだよ」と言うと口に入れて確かめ満面の笑みで「ほんとだー」と喜んで散らばった粒をかき集めていた。

保育園に迎え行くと担任の先生が「あまのじゃくが突然なくなったんです!本人にあまのじゃくもう辞めたのって聞きました。」

あまのじゃくって意志で辞められるものなのか。

夜。あまのじゃく先生再来。保育園で我慢していたからか更にひどくなっている。
食事の途中でサイが「もうたべない、いやだおりる」と言い出したのでベビーチェアから下ろすと「たべるの!おりたい~(上りたいの意)」と泣き叫び、再び椅子に座らせると「いやだおりる!!」、下ろすと「たべる!!」の永遠繰り返し。どうすればよいのでしょうか、という感じ。最後は私の膝の上で食べた。食べることが好きだから食事の時に愚図ることは今ままで滅多になかったのだけど心が発達過程にあり自分でうまくコントロールできていないのだろう。
一日中もう死ぬのかなと考えていたのでミサイル落ちなくてよかった。平和が一番。

 

4月26(水)晴れ、少し寒い
朝。いつもサイが起床時間前に目覚めて「おきてー!」と起こしてくれるので最近は目覚ましをかけたことがない。でも5時前とか、異様に早く起こされる日があって、もうちょっと寝させてほしいなという時はベッドでほとんど寝ていながら「起きてますよ」感をどれくらい出せるかが睡眠を延長させる勝敗の分かれ目になる。なので横になりながらぬいぐるみを動かして話したり(決して手を抜いてはいけない、演技力が問われる)、かくれんぼしようと提案して自分は布団に隠れて寝たり(バレやすい)、どれだけ時間を稼げるかが重要なポイントとなる。で、今朝は布団を適当に壁みたいにして、「おうちみたい~」と言ったら喜んだので衝立風にしたら「とんとん」とノックの音を声にだして「だれですかー?」と言ったりしていた。衝立のこちらで私は応答しながら寝ていた。これって昨日の食パンと同じ発想だなと我ながら情けなくなった。

夜。週の中ごろは夫婦共々結構疲れるので近所の食堂で外食することを提案したらOKが出た。サイを保育園に迎えに行き夫が店に来るまでの間、サイと二人で店の前のショーケースのサンプルを眺めて「どれにする?」「えーと、サイくんはー、おこまんち(お子様ランチ)!くまさんのやつ」「おかあさんはどれにしようかなぁ」とビール飲みてぇと思いながら白々しくも優しいお母さんって感じで言ったら考えてることがバレたのか「おかあさんはビールでしょ」とジョッキのサンプルを指さして言われた。たまに大人みたいな口調になる時があるのでどきっとする。
外食は出費だしサイに食べさせる野菜の量も家に比べ減るけど後片付けも必要なく、帰ったら即お風呂に入って寝るだけなので全員ストレスフル。たまにはいいかなと思う。
寝かしつけながらそのまま一緒に少し寝て、夜中に起きてクロワッサンにアイスを挟んだやつ(最近はまっている)を食べ、毎週水曜のお楽しみ、大森靖子さんの深夜(今だけ)ラジオを聴いて寝た。大森さんがラジオで

4月27日(木)曇り
朝。またいつもの作戦で起こされてからも睡眠時間を伸ばす。半分寝ながらサイに「今日お迎え行くからね」と言うと何か勘違いしたのか「サイくんもいくー!」とやや怒って言い、「え?サイくんがお母さんお迎えに来てくれるの?」「うん、いくよ(得意気)」「自転車と電車どっちで来るの?」「でんしゃ」「電車で来てくれるの?」「うん、いく」という会話をした。小さなサイが一人で電車に乗って職場まで私を迎えに来る姿を想像したら可笑しかった。今は何でも私がやって「あげる」関係だが、やがていつの日か立場が逆転してサイにやって「もらう」日が来るのかなと思うとちょっと悲しくもなった。

夜。夫不在。サイが赤ちゃんの時はいない日は大変だったが最近は夜だけだったら二人でやるのにももう慣れてきた。三人より精神的に楽だったりする。一日中となると体力的に追いつかなくなる。私が落ち着いているからか、あまのじゃく先生は現れなかった。最後まで食べてごちそうさまも言えた。うさちゃんピースを教えたら喜んでやってくれた。激カワ。親バカ。

 

4月28日(金)晴れ

朝。美人にもらったドライフルーツとナッツのぎっしり入ったハードパンを自分用に切っていたら「サイもたべたい」と言うので一切れあげた。苦いっていうかなと思ったら美味しい美味しいと食べていた。私はこういうハードなフルーツパン、大人になって初めて美味しいと思ったからサイは大人だなーと思った。ぽんかんもサイ一人で半個食べた。

保育園に行くまでアンパンマンの「ロールパンナのひみつ」というロールパンナ誕生の時のDVDを観ていた。少し前にテレビでもロールパンナの回があって面白かったので誕生の時の映像をちゃんと観たい(観せたい)と思っていたところ、出先のブックオフでたまたま見つけた。サイはこのDVDを最近よく観ている。ストーリーというよりだいたい主要なキャラクターが全員出てくるのがいいらしい。1994年の放送らしく今のアンパンマンとアニメの雰囲気が違っているのも良い。今のはわりと画面が明るくて騒がしい感じだが、昔のは色のトーンも暗めで落ちついている印象。あと声優が違うからかバタコさんが今よりちゃきちゃきしている。ロールパンナについては思うことが多いので内容についてはまた別に触れたい。

夜。久しぶりに出かける予定があったのでサイに会えず。男二人であまのじゃく先生に対処してくれてたらいいけど。 

 

日曜日まで書きためて更新するつもりだったけど長くなったのでここまでで区切ることにする。こういう日記は毎日更新するのか一週間単位か果たしてどっちがいいのだろうか。

 

さ、週末週末。黄金週間。

大切が消えないようにするための日記

唐突に息子の成長日記をつけようと思った。

 

生後まもない頃に産婦人科から言われてつけていた毎日の睡眠や授乳を記したメモと保育園に行き始めてから毎日先生に渡す連絡帳以外きちんと記録らしいものをつけたことがない。日記を始めようとノートを用意するところまではしたが白紙のままだ。

でも毎日新鮮で予想外の姿を見せてくれる息子の言動を何かに書き留めておかなければやがて自分の記憶が薄れていつかこの大切は消えてしまうと怖くなった。

本来、子の成長記録なんて人様に見せるものではないかもしれないが人間の性というか私の性格上、公開ブログなら続くかもしれないと思った。

できれば武田百合子の日記みたいに客観的に書いていきたい。必然的に子どもと関係ない話も混ざってしまう可能性はあるが基本的に子どもの話。IDは大好きな大森靖子さんの子育てツイッターアカウント名を真似た。

本名以外あり得ない、別名で呼ぶなんてできないと思っていたため、ブログやツイッターでも「息子」としか書いたことがない。
ただ、ないのも不便だったので、仮に「サイ」ということにしておく。サイは生まれる前に呼んでいた名前で、いわゆる胎児ネーム。由来は細胞の「細(さい)」。最初に妊娠が分かってエコー画面で見せてもらった時、あまりにも小さくてこりゃあ細胞だなと思ってから生まれて名前をつけるまでずっと「さいちゃん」と呼んでいた。
サイは現在2歳半の絶賛イヤイヤ期男児。食べることにとにかく目がない生まれついての食いしん坊。趣味はパズルと食べ物のチラシを眺めること。
生まれてから今までのことは改めて後日まとめるとして、以下直近の日記。月曜から金曜までの一週間ずつ載せていくようにしたいがとりあえずこの週末の話。

 


4月22日(土)

素敵な朝ごはん企画に参加させていただく。築地は久しぶり。

サイは初めて見る市場と大人達にやや戸惑っていたがお店に入って食べ物が出てくると平常運転になった。場内にあるトミーナで名物ワタリ蟹のパスタなど。保育園のマークがカニなのとエビカニクスの影響で蟹には思い入れというか親しみがあるらしく、パスタの上に乗った蟹の殻を欲しがった。蟹はとうに死んでいるのに目を見つめたり話かけたりしていた。最後は殻を食べようと噛り付いていた。パスタは本当に美味しく朝からワインを飲んでしまった。店の人は子ども用のコップに水を入れてくれたり親切だった。外食した時に子連れで嫌な顔されるとどんなに美味しいものでも一気にまずくなるからよかった。

市場を出た後、歩いて銀座に移動して屋上で茂助の団子を食べた。サイが一番好きな食べ物は多分パンと団子なのでとにかく飲み込むように食べた。口に持っていった瞬間、手品みたいにすぐなくなった。ライスミルクが売ってたので買って飲ませてみたら気に入ったようでこちらも一気飲み。それでも食べ足りなそうにし、後ろでガラス隔てて食事している知らないご婦人方のごはんまでエアーでぱくぱく食べる真似をし始めて恥ずかしかった。

帰りに愚図ったのでアンパンマンの人形が出るガチャガチャをしたらおむすびまんが当たって嬉しそうに眺めていた。よかったね、と言うとにこにこして「よかったねぇ」とサイも言って家につくまで機嫌がよかった。


4月23日(日)
清水買いした新しいソファが届いた。サイは早速嬉しそうに座っておもちゃを並べていた。
天気がよかったからか、いつもより長く昼寝してくれた。しばらく一緒に寝てしまい、途中ではっと起きて部屋の片付もせずクロワッサンを温めて買った記憶はないが冷凍庫にあったハーゲンのトリプルショコラを挟んで食べた。今サイが起きて中断したらアイスが溶けてしまって大変だと思って飲み込むように食べた。でもそれからしばらく起きなかった。何これーっていうぐらい美味しかったのでもう少しゆっくり食べればよかった。
昼寝後もまあまあ機嫌よく、一人で絵本をめくりながら声に出して読んでいた。読んでいた、といってもまだ文字は読めないので、ページの絵に合わせ私が読み聞かせした時の台詞を思い出し充てているらしい。全部正解ではないが大体合っている。すごい記憶力。しかも私が読んだ声の調子をそのまま再現している。

一緒におやつのカステラを食べた後、スーパーに行きがてら近所にある好きな古本屋さんに二人で行った。サイは外の100円棚にあったアンパンマンのシールブックを欲しがったけどシールがないと分かると残念そうにし、「シールないからやめよう」と言うと大人しく戻しに行った。

サイのアンパンマンを見つける能力はFBI並みにずば抜けていて、どんなに他の物と混ざっていても、どんなに遠くからでもいつもすぐに発見する。代わりに「わにわにのおふろ」を買った。私はいつか書評で読んで気になっていた松浦理恵子の「犬身」(最近の刊行だと思ってたら10年も前だった)、大好きな馬場のぼるが挿絵の「ぴかくんめをまわす」(こどものとも)、話が面白そうな絵本、雑貨を買った。散財。天気が良いと買いすぎる。

その後スーパーに行ってメカジキをカゴ入れたら「持ちたい!」と騒がれた。豚肉のパックに指をつっこんでビニールを破ったので叱った。ビールを買おうとしたら「ビールかっちゃだめ!みんなのだよ!」と止められた。「のみすぎだよ!」と言われなくてよかった。スーパーの出口で母の日のチラシが置いてあって花贈らなきゃと思い出した。そのチラシにケーキが載っていたのでサイは欲しがった。

暗くなりかけていたが公園で遊びたいと行ったので寄ったら誰もいなくて、車の危険もなさそうだったので思う存分二人で走り回った。「つかまえた、やろう~」と言われて何かなと思ったら鬼ごっこの要領だと分かった。きゃあきゃあ喜んで、時々つまずきながら一生懸命走っていた。

行きたいところへは行けなかったが平和な週末だった。