カニ日記

息子の成長と日々の記録

上手くないけど手品が好き

7月31日(月)夏を恨むような暑さ
朝。寝坊したかと思ったらちょうどよい時間だった。サイはアンパンマンのスティックパン(通称:おいしいぱんこ)。とりわけ美味しいものでないのにスーパーに行く度に買わされる。恐るべしアンパンマンの力。やたら高い「めばえ」だって、アンパンマンをメイン付録にしときゃ売れるだろって企画されてそう。実際買ってしまうのだけど。「おいしいぱんこ」はフ○パンで、何となく体に悪そうだから気休めに野菜味を買っている。

そういえばフ○パンのパンって昔、パッケージの裏におっさんみたいな妖精のイラストと横に電話番号が書かれていて、電話したら民話が聞けるヨって妙に明るい感じで書いてあったの今も続いているのだろうか。謎の「民話」がずっと気になっていたけど有料(確かけっこう高い) だったから親には絶対に電話するなと言われた。電話したら即課金っていうのが何か怖くてでも電話してみたくてたまらなかった。小学生の時、誰かが拾って持ってたピンクダイヤル(死語?)が書かれた紙みたいなぞくぞく感。大人になったことだし、もしまだあったら勇気を出して「民話」を聞いてみたい。

夕方お迎え。最後組が集められた教室に迎えに行くといつもすっ飛んで来るのに今日は窓越しに目が合っても素っ気なく「あ、来やがったな。しゃーない、帰るか」という態度でゆっくりとこちらに向かって来る。珍しい。着替えストックの確認をしようとサイの教室に入ろうとしたら閉まっていた。サイが壁に飾ってある作品観たいと言うので抱き上げて二人でにやにや窓から覗くと困ったような顔をした園長先生と若い先生が数人いて、真ん中に女の人が倒れていた。先生と目が合って気まずかった。見てはいけないものを見てしまった感じ。廊下にいた先生に聞くと保護者のお母さんが倒れたらしい。園長先生が忙しそうに電話をかけていた。無事だといいけど。サイのためにも自分が倒れないようにしなきゃなと強く思った。

サイがプリンを買いたいと騒いだためコンビニに寄る。プリンを欲しがっていたのにアンパンマンチョコレートを買おうとする。ごはん前に食べさせたくないので溶けちゃうよなど適当な理由をつけて辞めさせると10円カルパスを選んだ。帰宅したらKがいた。サイとKがシャワーを浴びている間に台所で立ったままファミチキとビール。最近ほぼ毎日食べているから店員に顔を覚えられていそう。冷蔵庫にあった材料がピザの具のようだったのでそれらを炒めて適当に味付けして卵でとじてごはんに乗せた。けっこう美味しくできたがピーマンが入っていたためサイはあまり進んでいなかった。

シャワーの後サイは自ら「お兄さんパンツ」(トレパン)を履きたいと言ったので履かせていた。自分から履きたいと言ってくれたのが嬉しかった。すると夕食後にうんちをした。別になんてことない事なのにその後をKに頼んだのが間違いだった。普段の朝いないKはほとんどサイのオムツを替えることがない。だからたまにはやってほしいなと思い頼んだが私が呼んだ時点でKの機嫌は「なんで俺が」と最悪で、替えている途中でサイがまた排泄し出したらしく「たすけて!」と大声で叫んだ。私は全然平気なので、「ほい」と出たのを紙でつかんでトイレに流したがKは手についたのを気持ち悪がったりしてイライラしていた。「なんでするって分かってたのにパンツなんか履かせるの?」だの「パンツは捨てよう」だのサイのいる前でサイを傷付けるような発言をした。「洗えば汚れはすぐ落ちるし私が洗うから」と言うと「どうせ朝までやらないで置いとく癖に」とか「なんで替えのトイレットペーパーこんなに並べてんの?」(私が出し過ぎた)とか今関係ないことまで暴言を吐いて攻撃してきた。Kは潔癖な上、自分が決めた配置や法則が少しでも変わるとキレる。ここで私までキレたらサイが可哀相だと思い堪えて黙っていたら、続けて、今は何も関係ない私の行動を批判して追撃してきた。なんでこの人、いつもイライラしてるんだろう。子どものうんこぐらい「わー、でちゃった」って笑えばいいのに。サイに向けたくない嫌な感情のミサイルは内臓にずんずん撃ち込まれた。


8月1日(火)曇り時々雨
今日からもう8月か。サイは「おいしいぱんこ」とメロン。義実家から届いたメロン。切るのを面倒臭がって朝食べないでいるとKが夜冷蔵庫をチェックして「たべなかったのメロン?たべてよ」と言ってくるから今日は食べた。切り分けるの大変なんだよ。家を出る間際、サイは「本日の玩具」をかばんに詰め出し、急に「じんじゃーちゃんがいない!」と騒ぐので時間がないのに寝室までぬいぐるみを取りに戻った。サイの登園おこわだりに応じなければ家を出られなくなり余計遅れるので「もういいから早く!」とは言えない。

半期が終わったので朝礼。最初は真面目に聞いていたが途中から嫌いなおっさんが話し出したのでミュートして並んでいる人の顔を眺めていた。順に眺めながら、この人は好きやなぁ、あぁこの人嫌い、「好き」「嫌い」「嫌い」「好き」と心の中でつぶやいていたらけっこう自分は人に対して好き嫌いがはっきりしていることに気付いた。そういうの怖いな。

退社したら大雨。今日はKがお迎え。自転車カバーを忘れたのでサイが濡れないか心配だった。帰宅すると玄関にずぶ濡れの二人がいた。濡れているのが気持ち悪かったようでサイは目で訴えてきた。保育園バッグもびしょびしょだった。私だったらゴミ袋で覆うのに。二人がシャワーを浴びている間に缶ビールとアメリカンドック(店員にファミチキBBAと認識されるのを回避するため)を一気に食べた。缶は急いで捨てた。それからレトルトのカレーを温めて(サイは+牛乳)、足りない具を炒めた。目玉焼きも焼いた。二人が風呂から上がり夕食。レトルトなのにカレーだったからかKの機嫌がよかった。サイは味付きのご飯があまり好きじゃないので進んでいなかったが最後は全部平らげた。

夕食後サイは木琴を叩いたりタイガーで買ったおもちゃのギターをかき鳴らした。お風呂に入ろうと思ったらKはコンビニへ行った。だから大森さんのCDをかけて二人で踊って歌ったら楽しかった。サイの寝かしつけを自然な感じで(動画観たいと言うとどうせ文句言われるから)Kに頼んで、よしいい感じだと生中継ラインライブを観始めた。3分くらいして「○○ちゃーーん」とサイが叫ぶ声がして視聴中断。あー無念。サイは都合のよい時だけ私を「ちゃん」付けで呼ぶ。恋人か。すぐ寝かせてまた観ようと思ったら結局1時間半くらい寝てくれなくて、寝た時には当然終わっていた。しかもあると思っていた再放送がなかった。がーん、がーん。

悔しいから大量の洗濯物を部屋に干しながら先週の大森さんのラジオを聴いた。恥ずかしい内容の投稿をしてしまって聴いていられないくらいだったが、好きな人が好きな人の話をするっていいなと思った。大森さんの声を聞いたら元気になったしやっぱり好きだなぁ会いたいなぁ聴きたいなぁと思った。干し終わったらKが起きてきたので寝た。


8月2日(水)涼しい 秋
能面みたいな顔の女が死んでも追いかけて来る恐ろしい夢を見て全身汗びっしょりで起きた。やや寝坊。サイはすやすや寝ている。あー起きなきゃと思っていたらけっこう大きな地震があった。夜中にもあった。さっとサイに手を添えたがサイは揺れでも起きずまだ寝ていた。急いで朝ごはん。私が食べようと思っていたファミマで買ったバナナのパンケーキを欲しがった。クリームが挟まっていたがまあいいかと思ってあげた。食べた後、サイはギターを鳴らしながら謎の自作の歌を歌っていた。「あるとこ(ろ)に~なにもありませんでした~」とやや哲学的な歌詞だった。その後は「たこの足~しょくぱんまんの足~カレーパンマンの足~…」と足の歌(?)を歌っていた。歌の最後はいつも「ちゃんちゃん!」で終わる。「あるとこに」ってもしかして「ドグマ・マグマ」かなと思ってCDをかけたら大喜びで踊ったり歌っていた。「非国民的ヒーロー」を最後まで聴き終らないうちにもう家を出る時間になったのでCDを止めたら「もっとうたいたかったのに~!」と叫ばれた。「お母さんだってもっと聴きたいよ、でも行かなきゃ」と宥めて出発。自転車に乗せた時、かばんの中に玩具を入れ忘れたと騒いだが時間がないので出発。

夕方お迎え。座って「はじめてのおつかい」を読んでいた。家ではテレビばかりでほとんど絵本を読まなくなったが園では読んでるんだなぁと思った。その反動で家ではテレビを観たがるのかもしれない。雨が降りそうだったので急かして帰宅したら最高記録が出た。缶ビールを飲みつつ、日曜日に買っておいたイシイのミートボールを温めて、自分の分は肉ときのこを炒めた。帰宅して少しぐずっていたが「今日ミートボール食べようよ、サイくん好きでしょ」と言ったら「みーとろーぶ!みーとろーぶ!」と急に元気になり自ら冷蔵庫を漁っていた。こんなもので喜ばせてごめんよ。仮にサイが「みーとろーぶたべたよ」などと先生に言って「へぇ、サイくんの家はミートローフなんて手の込んだ料理を、すごいわねぇ」となったら大恥だ。

夕食後、7月に買った絵が届いた。待ちに待ったあの絵。サイは「ななちゃんのえ、はやくみたい!」と騒いでいた。ミートボールのたれや納豆で汚れたら大変だと思い二人でいつもより念入りに手を洗ってから開けた。開ける前に「触ったらダメだよ」と私が何度も言ったらサイはちゃんと守ってくれた。「すこしだけ、ちょんってさわっていい?」と聞かれたからいいよというと指先で絵に触れた。絵はギャラリーで観た時よりもっともっと美しく見えた。なんというか生活感溢れる家庭に突如きらめく宝石が降ってきた、という感じで異質な光を放っていた。わぁーーーと言い二人で眺めた。ただ一つ残念なことに、絵が真ん中辺りで真横に折れ曲がっていてくっきり折れ目がついていた。ギャラリーで観た時はなかったから梱包の厚紙が薄く、外からの圧力で梱包ごと折れてしまったらしい。届いた瞬間、嫌な予感がした。普通の商品ならクレームとかあまりしないが、本当に気に入った作品だったし、作家が命を絞って生まれた芸術作品が第三者のミスで傷付けられたのがどうしても耐えられなかったため、できるだけ怒りを表さないよう送付元のギャラリーに状況を説明するメールをした。すると謝罪と共に「返金しますので着払いで送って下さい」とすぐ返事がきた。えっそうじゃない。運命的に恋をして買った作品だから返品なんかする分けない。そんなことしたらななちゃんに失礼だ。なんとか元に戻してほしいだけなのに。嬉しさと悲しさが混ざったまま、絵を補強して元の梱包に戻した。サイは自分の絵を壁に貼る感覚で、絵をどこに貼るか考えていたらしく「ななちゃんのえ、どこいっちゃったの~?」と残念そうにしていた。「額がまだないから待ってね」と言うと「ピンポンくるかな~」と返ってきた。何でも欲しい物は玄関から自然に届くと信じているらしい。

テレビを少し観て入浴。アンパンマンの映画を観たいからと言ってお風呂に入りたがらなかったので、床に落ちていた「オーボール」をつかんで「これ、お風呂に持っていったら面白そうじゃない?水に浮かべて遊ぼうよ」と適当に言うと乗り気になってくれた。オーボールはサイが生後半年くらいで物をつかむのに興味を示し出した頃に買った穴の開いたボール。そんなのがなぜ転がっているかというと、最近サイは懐古主義なのか段ボールに入れてある赤ちゃん時代の玩具を引っ張り出して遊んだり保育園に持って行ったりする。赤ちゃんの玩具を手にサイが登園すると先生はぎょっとするけど。浴槽につかってオーボールをキャッチボールみたいにお互い投げ合ったらよく分からないけどめちゃくちゃ楽しくて二人でげらげら笑った。笑い過ぎて口が疲れた。

子どもと接する時は、「意味不明でも子どもの世界観に合わせて楽しむプレイ」ができるかどうかにかかっている気がする。意味やルールなんて考える必要はない。例えば、サイと外で食事をしていてどこにもないのに「いすのしたにあんぱんがあるよ」と発言したことがあったが、一瞬ん?と思っても否定せず「えぇ!あんぱんあるの?どこだろ~」って一緒に椅子の下を探すプレイが求められる。私は普段からぶっ飛んだ事ばかり妄想しがちなのでそういうのは楽しい。意味不明な行動でも全肯定してノリを合わせ、ダメと言うのは人を殴ったり食べものを投げ捨てたりした時に取って置く。

入浴後、約束通り映画を観て髪を乾かして布団へ。「ぴかくんめをまわす」の挿絵にサイが適当に台詞をつけて読み聞かせしてくれた。布団の上で上げた両足を勢いよく布団に急降下させたり(親バカだけどサイがやると足が短くてパンダみたいでめちゃくちゃ可愛い)、抱き合ったり(急に要求してくる)、ぶつかり合ったり(痛い)、一通り二人ではしゃいだ後各々就寝。


8月3日(木)曇り 涼しい
明け方、目が覚めて居間にいくとKが帰宅している気配がしたが音はしない。いつものように酔っ払って脱衣所で半裸で寝ていた。目覚めて居間に入ってきたKはまだ酔っている様子でうんざりした(しょうがないなぁとかでなく本気で嫌悪感)。そのまま出社した模様。今日も飲み会らしい。私は二度寝

朝起きたらサイもちょうど起きた。ベットに転がっていたら「はやくおきようよ」と催促された。メロンを切ると嬉しそうにお皿を運んでくれた。メロンを食べ終えていきなり、「おかあさんはにんきある?」と唐突に聞かれた。サイから質問されることってあまりないから驚いた。「人気」なんて言葉いつの間に覚えたのだろう。「え、お母さんはね~人気ないよ。サイくんは?」「にんきあるよ!(即答)」「へぇ~人気あるの?」「うん」「どうして?」「だいじょうぶ?ってするから」「え、お友達に大丈夫?って聞いてあげるの?」「うん」「それは人気あるかもねぇ」「へへへ~」という会話をした。「人に優しいのはいいことだよ。みんなに優しくしてあげてね」と言うと「うん」と笑顔だった。私の幼少期とはタイプが違うのかもしれない。いいことだ。私はいつも「人気者」と呼ばれる人達のことを羨望と嫉妬が混ざった眼で陰から見ていた。

60代後半の祖母が3歳の孫を車内に5時間放置して熱中症で亡くなったニュース。幼稚園送迎を忘れて別の用事を済ませ、そのまま孫を車内に残したのを帰宅したと書いてあった。過去にも似た事故(事件?)があったのを何度か覚えている。ニュースを見る度に何時間も灼熱の車内でチャイルドシートに固定されたまま動くこともできず叫んでも誰にも助けられず衰弱していく幼い子のことを想像してしまい心が締め付けられる。そしてどうしてもサイに置き換えて考えてしまう。3歳だと自意識があるので、どうして自分が置き去りにされたのか考えただろう。苦しい。

夕方、お迎え。今日はぐずらず園から出てくれた。最近他のお母さんはビーサンを履いている人が多い。一体何の仕事なんだろう。お互いの職業は余程親密でなければ聞かないし誰が何とか変な噂もない。我が子を帰らせるのが大変なので皆それどころでない。園庭に出るとサイはボール置き場からボールを勝手に出して転がして遊んだ。それを見て他の子も次々に真似した。こういうのはよくあるがサイが原因なのでボールを戻すよう注意して他のお母さんに「すみません、うちが出したせいで」と謝った。みんな「そういうことあるよね」という顔をしていた。薬局に寄る。カニカマを買わされる。焼き飯でも作ろうかと思ってハムも買う。

帰宅して目を離した隙にサイはハムを勝手に開けて食べていた。多分カニカマが開かなかったからだろう。「勝手にだめでしょ、一枚だけだよ」というと「うん」と頷き、悪戯が見つかった猿みたいな顔をしていた。その後、やはりカニカマが食べたかったらしくパッケージを持って来て開けるよう急かされた。開けると自分の分を一本取り出し私の分も渡されたのでビールも開けてつまみにした。焼き飯は嫌だというのでハムエッグにした。自分のだけ半熟にした。自分はごはんにハムエッグを乗せてKが買ったらしい「辛くないラー油」をちょっとかけて食べた。サイはあと、とうもろこしとトマト。また朝ごはんみたい。

夕食後、入浴。また今日もオーボール合戦をした。入浴後、就寝。なかなか一緒に来なかったので、私が居間の電気を消して「いくよ~」と先に寝室に行くと泣き出して、あぁ失敗したと思った。それから30分くらいぐずっていた。ぬいぐるみ作戦もだめだったので、「あ、面白いお話してあげるね」と「サイくんとズボンちゃん」という適当に思いついたタイトルを言ったものの、何も中身がないので話しながら先のストーリーを決めた。面白くないし意味不明だなと思ったがサイはけっこう喜んでくれた。そしたら「サイくんとパンダちゃん」がいいと言われたのでそれも適当に考えながら話した。パンダちゃんのお母さんはおにぎり屋さんで働いているという設定にした。話しているうちに先に自分が眠くなり話がいい加減になってきたらサイは怒り出した。それから30分ほどぐずって最後はトントンと背中を叩いてあげるとぐずりつつも眠った。私も力尽きて眠った。


8月4日(金)曇り
明け方、がたがたという音と眩しい光(Kはいつも人が寝てるとか時間とか一切気にせず煌々と電気をつけ音を立てる。母が泊まりに来た時あまりに異様だから泥棒かと思ったと言われた)で目が覚めた。3時。寝る前に洗濯機のスイッチを押したことを思い出しぞっとする。放っておくわけにもいかないので音楽を聴きながらのそのそと干す。みうらじゅんいとうせいこうのラジオを聴こうと思ったがいつの間にか番組は終了していた。がーん。干し終わったら一瞬見かけたKはまた仕事に行ったらしくいなかった。

スマホの画面が割れて、割れたところが剥がれて中身の電子部品?みたいなのが見えてきたからいよいよ新しいのに替えなければならない。でも過去に一度だけやったアップデートが面倒でずっとやれていない。iCloudというやつを一度登録したら次回以降は自動で更新されているのだろうか。分からない。アップデートする前にとにかく写真を整理しようと思って、サイの赤ちゃん時代の写真とか可愛い女の子の写真とか一枚一枚眺めていたらあっという間に朝になった。

サイが起きたので寝室に行き二人でごろごろ遊んでいたら思いのほか時間がなくなった。時間がないのにサイはテレビを観ていたから「サイくん、早く!」といつもよりキツめに言い放ったら敏感に感じ取って「ままいやだ」と言われた。ごめん。いつもの倍速で自転車を漕いだら小道から出てきた人に衝突しそうになった。謝って急ぐ。保育園でも超特急でサイを教室に入れる。こういうの嫌だなぁ、みっともないし恥ずかしい。ギリギリ電車に間に合ったけど化粧もしてないし髪もボサボサ。格好も変。嗚呼。

夜。Kにお迎え他を頼んで楽しみにしていた予定。金曜日の夜に出かけるのは久しぶり。こういう日に限って沼から上がりたてみたいな顔をしている。好きな人と会って話すのは楽しいが顔を見られるのが物凄く嫌なので本当はいつだってお面をつけたい。予期せぬこともあったがとにかく終始楽しかった。「モンマルトルの焼き鳥屋(何それ)が舞台の男女をテーマにしたフランス映画がもしあったら」という話をしたが店内が騒がしすぎて何も伝わらなかった。それがまた楽しかった。

百均で買った手品を見せたら喜ばれたからいつでも持ち歩きたいなと思った。自分が笑ってしまって真剣にできなかったけど手品って成功すると驚いてもらえるし、失敗してもげらげら笑ってもらえて何にせよ人を喜ばせるから好きだ。子どもの頃、その不思議さに魅了されデパートの実演コーナー(長いこと居て最後買わなかったら機嫌悪くさせるやつ)に通い詰め、大きくなったら手品師になりたいと思っていた。友達もあまりいなかったから一人部屋に籠って手品の練習をしていた。練習した成果を家族に見せたが下手すぎてすぐにタネがバレて笑われた。大人用のものを使っていたから難しかった。何年か没頭したが、やがて手品は摩訶不思議な現象なんかじゃなく手先の器用さと技術に全てかかっていて、不器用な自分には観る方が楽しいと確信し夢を諦めた。サイは保育園の何かの会で手品を観て目を丸くしてたらしいからサイにもみせてあげたいなぁ。また練習しよう。


8月5日(土)晴れ 水風呂に飛び込みたい暑さ
友人が嬉しいお誘いをしてくれたので朝から池袋へ行った(別ブログのとおり)。催事の後は屋上でお昼を食べた。サイは汗を掻きつつ好きな遊具に興じていた。風もあるし思ったほど暑くないと最初は思ったが時間が経つとじりじりと暑くなり建物内に入った。デパートは空調もよいし遊べる屋上もあるしオムツ替えの場所もあるし玩具売り場もあるし自分の買い物もして帰れるから子連れには最高の場所だと思う。小さい頃、母親はたまに私ときょうだいを連れてデパートに出かけた(特別だから「おでかけ」と呼んでいた)が、そういう訳だったのかもしれない。昔よくあったデパート最上階にある大食堂を最近見かけなくなってきてちょっと寂しい。色んなメニューがあって私達はお子様ランチ、母は蕎麦や和食など食べていた記憶。その後サンリオでお菓子買ってもらって。

友人はKと違って混雑した場所を歩いたり私の要領が悪いせいで予定がうまくいかなくてもイライラした様子を一切見せなかった。だからずっと心地良かった。身体は疲れても精神的には疲れなかった。本当に素晴らしい人だ。Kなら今絶対にぶちギレポイントだっただろうなと何度も考えた。キレられる度に耐えるのが日常になっていたがそれって異常かもしれない。

夕方友人と別れた後、パン美人が池袋までパンを届けに来てくれた。地元に帰省して戻ってきた彼女は、私が好きな造形パンをそこでしか買えないからと買って帰ってくれた。すごい可愛いパンだった。しかも山盛りたくさん。「たくさんありがとう」と言うと「一種類だけ売り切れてて買えなかったんだよね」と残念そうにしていた。パン美人は顔も美人だが性格も美人だ。こんな人と結婚したいといつも思う。サイもパン美人が大好きなのでにやにやしていた。

帰宅して、夕食。れんこんが大量にあるので、切ったレンコンに味付けした挽肉を挟んで他の野菜と一緒に焼いた。毎年夏は火を使いたくなくてオーブン料理ばっかりになる。料理というより切って突っ込むだけというか。肉を練るのが面倒で適当にしたら荒い感じで美味しかった。サイは一緒に焼いたアンパンマンソーセージを食べていた。入浴、就寝。


8月6日(日)晴れ じりじり焼けるような暑さ
パン美人にもらったパンをサイに見せたら喜んでいた。でもサイはデラウェアの皮を剥くことに夢中になっていた。一房分を全部剥いてからスプーンで掬って食べていた。少しちょうだいよと言うとダメッと言い全部食べていた。私はパンを食べた。


家族で美容院。Kまで同じ所で切っているのがちょっと嫌だが、担当者が違う。サイの髪は私が二度ほど切ったら虐待だと母に言われる程の酷い出来で、それ以来自分が行く時に連れて行くようにしている。私が切ってもらっている間、サイは美容院にインテリアとして置いてある玩具で遊ばせてもらっていた。美容院はシャンプーとか最高だし数少ない癒しスポットなので家族で行くのはあまり好きでないがたまには仕方がない。サイは前回私がKに頼んだせいで奇抜な髪型にされていたので、今回は普通でいいですと強調した。そうしたら美容師さんは「じゃあ星野源みたいな感じにしますね」と答えた。星野源って普通の髪型なのか。それにしても2歳で星野源ってどうなのよと思った。サイは前髪もだが後ろ髪が相当伸びていたので前髪だけ先に切ると既視感があった。こういう髪型できっと余った親のヘアカラーで茶色く染めてる子どもたまにいますよねと美容師さんに言うとげらげら笑って「子どもは絶対染めない方がいい」と言っていた。確かに染められて幼い子の髪や頭皮が傷むのは可哀相だし親のエゴの犠牲のような気がする。子どもの髪は本当に美しいから。
私はこの人の髪型可愛いなと思って画像を集めていた髪型が某若者に人気の歌手と同じだと最近知った。「もしかしてあの髪型って流行っているんですか?」と美容師さんに聞いたら「もうそりゃあ」大流行らしい。それを聞いて辞めた。私はいつも何も知らない。

昼食後(入ろうと思った美容師さんお薦めのお店は列になっていて即諦めた)、サイはベビーカーに乗るとすぐ昼寝し始めたので、家に帰らず家の近くの駅で降り、ベビーカーでも入り易く空いているスタバに行った。家に帰ると帰宅した段階でベビーカーから下ろす時にどうしても起こすことになり機嫌が悪くなり大変だから帰りに寝た時はいつもこうする。気になっていた新しい何とかライムフラペチーノを頼むか迷って、以前抹茶のを食べきれなかった時のことを思い出し辞めて夏に好きなクールライムにした。フラペチーノを頼むか迷って店員さんに「これって量多いですよね」と聞き困らせてしまった。知るかよ老人かよ、と後で自分で思った。クールライムを飲んで少し休んでいたらサイが起きたので牛乳を買った。高いけどちゃんと蓋もつけてくれるしサイも私と同じ容器で嬉しそうだった。サイはマンゴープリンも食べたいと言ったので私はあまり好きでなかったがそれも買った。二つスプーンをもらって二人で分けて食べた。なんかデートみたいだなと思った。いつまでもこうはできないから今ぐらいは。

自宅付近に戻り、夏休みだけやっている室内で遊べる涼しいスペースで絵を描いて遊んだ。サイは私にも塗り絵の紙をくれて、面白かったので夢中でやっていたらサイは私の真似をして塗りたがった。でも使い慣れていない色鉛筆はサイには持ち方と力加減が難しかったようで、うまく塗れずに癇癪を起していた。面白くなかったようで途中で飽きて絵本を読んでいた。
遅くまでそこにいたので帰宅してシャワーを浴びたら買い物に行く時間がなくなった。冷蔵庫にはレンコン、かぼちゃ、玉ねぎがあったので火を使いたくないはずなのに天ぷらしか思いつかなかった。天ぷら粉を作ろうと思って袋入の小麦粉を出して少し離れて戻ったらサイが小麦粉を袋ごとひっくり返して大惨事だった。奥の方に置いたはずなのに手が届く身長になったんだなぁ。などと感心している場合じゃない。サイは床にぶちまけた大量の小麦粉の側に立ち竦み、こちらの顔色を窺っていた。パディントン並の事故なのでさすがにヤバいと思ったのかもしれない。ここでキツく叱ったらダメだと思ったから「うわー大変。勝手に触ったらだめだよ~」と嘆くとサイは「うん」と言い、ごめんなさいは?と聞くと普段なら絶対謝らない男なのに小さな声で「ごめんなさい」と言った。その後、悪いという意識があったのかいじけて寝室に行った。見に行くと拗ねた様子で寝転がっていた。が、少し経ったらいつもの様子で居間に戻って来た。

Kが帰宅して天ぷらだと言うと機嫌がよかった。揚げているとサイが周りをちょろちょろして怖いし暑くて死にそうだったけど美味しかったからたまにはいいかもしれない。Kは食べ過ぎて気持ち悪いと言っていた。私は無理矢理食べないでお腹いっぱいになるとすぐ食べるのを止める、そうすると休んでいる間にKが残りを全部食べるという図式。サイはあまり好きでなかったらしく、衣をはがして食べていた。

今日も陽を浴びて顔がひりひりしていたのでお風呂上りに即パックをした。パック姿のまま声をかけるとサイは私に気付き、一瞬え、誰?という顔をした後怯えて「ええーん、こわい~!!!」と本気で泣き出した。「ほらお母さんだよ、怖くないよ」と必死に弁明したら泣き止んで「おかあさんなの?おばけじゃない?」と何度も何度も聞かれた。そのまま布団に行くと「おばけじゃない?」とまだ聞かれた。今までで一番怖がらせてしまった。確かに怖い。

いつでも笑っていたいよね

7月24日(月)
朝。サイは週末からアンパンマンの映画(一作年の魔法のランプのやつ)を繰り返し観ることにはまっている。きっと私が週末映画に連れて行かなかったから「俺はこんなに映画好きなんだぜ」というアピールかもしれない。家を出る時間になってもなかなかテレビから離れてくれず困った。時間がないので無理矢理連れて行く。自転車に乗りながら「おかあさんおしごといかないで~」とまた言われた。これ言われたら本当に辛い。教室の前でも泣いてぐずりにぐずり一生の別れみたいになった。自営業でもしようかなもう。起業しようかな。~でもしようかなという軽い気持ちでできる訳ないが今の会社からいつ戦力外通告受けるか分からないし(私の入社前にひどいリストラがあったそう)、一度真剣に調べてみたいなとは思っている。何にせよお金が要る。「おしごといかないで」の一言でそういうところまで考えてしまった。

夕方。家の冷蔵庫がすっからかんなのでスーパーに寄った。Kの気分に何でも対応できるよう、何日か分の食料を買い込む。帰ってきたKに「きょうはなに?」と何よりも食が大事みたいに聞かれてムカついた。「別に決まってないよ」と選択肢を与えたら何故か冷凍餃子になった。私は冷やし中華が食べたかった。

サイには餃子は味濃いと思いハムエッグを焼いた。そういえば小さい頃、自営業で料理が苦手な祖母の家に夏休み一人で泊りに行った時、ハムエッグと納豆が夕食に出てきたのを突然思い出した。でもけっこう美味しくて家ではそんなの晩御飯に出て来なかったから嬉しかった。ちなみに祖父は一応和菓子職人だった。父が跡を継いでちゃんとしてたら私もその道へ行ったのか行かなかったのか。サイは黄身を残して私にくれた。けど絶対後から欲しがるなと思って食べずに皿の端に置いておいたら案の定欲しがった。そういう予測、Kにはきっとできない。入浴後、またアンパンマンの映画を観てから就寝。粘土はどうした君。

サイと少し寝て深夜に起きて作業。


7月25日(火)曇り じっとりする暑さ
朝。サイは今朝もアンパンマンの映画。今日も入口で「おかあさんおしごといかないで」と泣いた。ごめんねと思いながら先生に日中の様子を尋ねたら「え、教室では笑ってますけどねぇ」と言われその姿を想像すると余計辛くなった。

昼休み。延命治療を断念し尊厳死が決まったイギリスの赤ちゃんのニュースを読んで苦しくなる。人の死って自由だけど不自由だ。

夕方お迎え。いつものように教室の前でサイを抱きしめる。Aくん(イケメン、サイと悪ガキコンビになりがち、Aくんのお父さんは甘い)がお父さんに抱っこしてもらい廊下に天井から下げてある動物の紙風船を触っていたのを見て、サイもやりたがる。抱っこして紙風船に触れると満足そうだった。その後Aくんが抱っこしてもらって帰ってるのをみて「サイくんもだっこー!」とねだられた。

コンビニに寄る。カニかまとファミチキと明日のパン。帰宅後、夕食準備。冷やし中華。サイはカニかまが異常に好きらしく(また一瞬のブームか)、帰宅した瞬間5本くらい食べた。どれも同じなのに「サイくんがえらべるー!」と自分で選びたがった。冷やし中華の麺があまり好きでなかったようで手で掴んで握り潰していた。夕食後、日曜日に愚図って買っためばえの付録で遊ぶ。入浴、就寝。


7月26日(水)雨
朝。寝坊。身体に違和感。急いで準備して保育園に行き最寄駅に着いた時にはぎりぎり間に合う電車の時間を過ぎていた。遅刻するのが嫌で体調も変な感じだったので午前休の連絡をした。家に帰って熱を測ると38度もあった。普段意識していないけどわりと熱や痛みにはわりと強い方らしく、なんか気のせいかもしれないけど変だなぁと思うと大体熱が出ている。しんどいなと思ったら39度超とか。帰宅したら安心して、雨だから洗濯もせずソファに寝転がっていた。昼になっても熱が下がらず一日休みの連絡をする。少し食べて寝る。何時間も寝ていたらしく起きたら陽が暮れかかっていた。慌てて散乱した部屋を掃除する。まもなく二人が帰ってきた。

夕食の用意ができなかったのでKに買って来てと頼んだ。なぜかKは私の食べられない唐辛子たっぷりの激辛棒棒鶏や苦手なレバーを買って来た。よくみるとKの好物(で私の嫌いなもの)ばかりだったので、おまえそれ自分が食べたいもんやろって心の中でキレたが顔には出さず、ただ食べずにいると「なんで食べないの!?」とむっとして聞かれた。辛いもの全般無理なの知ってて嫌がらせかなと思った。「食べなきゃ治らないよ」と言われたので内心で呆れながら一口だけ食べたら辛くて泣きそうだった。Kは冷蔵庫の中に昨日飲みきれなかったビールが入っているのを見つけて「なんでビールなんか飲んでるわけ?」って口調を強め怖い顔をして聞いてきた。体調不良で飲むわけない。何をしていてもわざと怒らせようとしているのかと思う行動ばかり。

夕食後、私が布団で寝ていてお願いしたはずなのにKはサイの相手をしてくれなかったため、サイは寂しかったのか私のところに一人で来て抱きついたり突撃したり(2歳児の力はこんなに強いのかと思うくらい痛い)大きな声で騒いだりして今日だけは勘弁してほしかった。体当たりを避けるべく、ねぇ絵本読んでよ、と言うとサイは使命感に駆られたのか絵本を探してきて枕元でアンパンマンの絵本を読んでくれた。Kは一体何をしているのだろうか。叫ぶこともできないので色々を諦めたが限界がきて家の中なのに電話した。夜中起きると嘘みたいに熱は下がっていた。知恵熱だったのか。


7月27日(木)曇り
朝起きたらKがいたので驚いた。休みらしい。私は朝友人に渡したい物があるから朝マックの約束をしていて、サイも連れて行かなきゃいけないのは楽しそうだけど大変だなと思っていたからおおラッキーと思ってKに保育園を頼んだ。一人だとなんて身軽なんだろう。テラス席で待っていたら友人がやって来て、30分もない短い時間ながら色々と話した。私達以外はビジネスマンの二人組や男性お一人様が座っていた。短いのにけっこう濃い話をした。あー、やっぱり私この人が好きだなぁと思った。駅の入り口(ああ優しい)まで一緒に来てくれて別れた。朝から人に会って話すのっていいなと思った。朝活に嵌る人がいるわけだ。

お腹も気持ちもいっぱいで電車に乗っていつも通り仕事。

夕方。休みなのでKに買い物とお迎えを頼む。晩御飯はKの独断でチャプチェ。あまり食欲が湧かず、もずく酢と豆腐を食べた。もずく酢はいつでも味方。サイの機嫌よかった。Kが海苔を持って来たのを見て、サイは私にお茶碗に残ったごはんで「さんかくおにぎり」と「まるのおにぎり」を作るよう要求してきた。げっ面倒臭いなと思ったがラップを持ってきて小さい△と○のおにぎりを作って海苔を巻いて渡したら満足そうにしていた。
明日から小旅行。旅行の準備をしておいて欲しいと頼んだのに全くされている気配がなかった。聞いたら何もしていないとのこと。夕食後、サイはまたアンパンマンの映画。


7月28日(金)雨時々曇り
軽井沢1日目。朝起きて準備していないことに気づき慌てて準備する。Kがスーツケースを拒否したので大きい布鞄に何でも詰めたら恐ろしいほど重くなった。新幹線。いつもはもったいないから膝の上だが最近暴れがちなので、サイの席も一席取ったら広さが全然違って本当に取ってよかったと思った。軽井沢駅着。サイは改札を出たところにある軽井沢と何の関係もない300円もするガチャガチャを目ざとく見つけてやりたがる。過去に同じシリーズを義父が勝手に二回もやらせたが中身の玩具にはすぐに飽きて投げ捨てていたから絶対にやりたくなかった。「やらないよ、高いしね」とスルーしたら「たかいのやりたい~」と騒ぎ出し、それから30分くらいガチャガチャのところへ走って行ったり泣いて騒いでぐずり続けた。

何とか駅前のレンタサイクルのお店まで辿り着く。子連れだと何でもない工程にものすごいパワーと時間を要する。レンタサイクル屋で子ども乗せ付電動と普通のママチャリを借りた。私は電動を選んだらいつも乗っているのと違い過ぎてなかなかうまく進めなかった。その姿を見てKがイライラして文句を言った。そういう時に笑ってほしい。何とか目的の駐輪場まで辿り着いたが行く予定のレストランはそこから10分歩いて行く必要があった。サイが走り回るのと空腹でKの機嫌は最悪だった。空腹でキレるのはいつもだから分かっていたがまだ11時代だ。
レストランに着いたらKは仕事の電話をし始めたので、私が適当に選んでオーダーした。料理は丁寧で美味しかった。サラダが美味しかったので中に入っていた食材をメモした。Kは酒を飲んで美味しいものを食べたら一気に上機嫌になった。サイは運動していないからかいつも程食欲がなかったがパンが来たら目を輝かせていた。食事に飽きたサイが店内で走り回ろうとして大変だったので退散した。

食後、歩き出したら昔のキャラクターものを扱うリサイクルショップとアンティークショップの中間みたいな面白そうなお店があった。古いアンパンマンがたくさんあったので、おお入ろうと思ったらサイを連れたKは遠く先にいた(歩くのが早すぎる)。これを逃すと次いつ来るか分からないと思って入店し、お店の中を少し見てにこにこぷんのコップとアンパンマンの人形を買って出たらKから着信が2回もあった。合流して謝ると怒られた。サイに買ったアンパンマンの指人形を渡すと喜んでいた。その後、最初から行くと予告していたレースのお店に入って5分くらい見ているとKが我慢できなくなり、「まだなの!?」「早くして!!」と苛ついて何度も聞かれた。旅行に来てまでイライラされるのが悲しかった。
その後ジェラート屋さんがあったので美味しそうだから食べようよと言って買って三人で食べた。サイは嬉しそうに食べていた。食べ終わってKは「珈琲ソフトが食べたかったのに」と吐き捨てるように言った。サイは珈琲無理だし、別に両方食べたっていいやんかと心の中で思った。あー、もう本当に嫌。楽しくない。珈琲ソフトで有名なお店へ向かった。食べたかったものを食べたらKの機嫌は少し直った。その後「夜飲むワインが買いたい」と言い出したため、ワインが売っている店に入ったら買いたいものがなかったらしくまた機嫌が悪くなった。

雨が降りそうだったので駐輪場に戻り、自転車に乗り「旧三笠ホテル」まで行った。木々の緑が綺麗だったのに、のぼりの坂道と凸凹道が辛くサイクリングを楽しむ余裕はなかった。後ろ乗せをしたのは今回の旅行が初めてで姿が見えないのが不安だったので、何度もサイに「だいじょうぶ?」と声をかけた。眠いのかあまり返事はなかった。しかし漕いでも漕いでも着かない。途中、目の端に別荘が何軒も建っているのが見えた。まさに「カルテット」の世界やなぁとぼんやり思った。しかしあの人達、週末ごとに東京の職場と別荘を行き来していたけど、それって結構大変だなと思った。まあドラマやけど。「旧三笠ホテル」にようやく辿り着くとサイはパタンと寝た。サイが寝たから交代で見ようと提案するとKはむっとして、建物に入らずサイを抱いてベンチで座っていると言い張った。せっかく来たのに。まあいいかと思って一人で中に入った。想像以上に見ごたえがあった。部屋の中や廊下に配置された家具や装飾品の子細を観察したり、写真を撮ったりした。建物内の塗装にメインで使われているくすんだピンク色と窓の外の鮮やかな緑色のコントラストが美しかった。これがピンクじゃなくて寒色系だったら緑とぶつかり合うから設計した人はよく考えたもんだなと感心した。感心していると昼寝から起きた(起こされた?)サイとKが階段を上ってやって来た。交代しようと思っていたのに。サイは部屋がたくさんあるのが面白かったのか興奮状態で部屋を出入りした。高そうな調度品を破壊しないかドキドキした。

旧三笠ホテルを出た後は疲れていたので予定を変更し宿に戻ることにした。途中で地元の牛乳と珈琲牛乳の自販機があり、美味しそうだったので自転車を停めて寄った。珈琲牛乳を買って牛乳も買おうとしたら何度お金を入れても戻って来て買えなかった。諦めて珈琲牛乳を2本持って戻ったら、Kは「え、なんで珈琲牛乳買ってんの?俺は牛乳が飲みたいって言ったでしょ」と私が酷い悪事を働いているかのような感じで物凄く怒り出した。機械がおかしくて牛乳が買えなかったことを言い訳してもむすっとしていた。この瞬間、単純でつまらない原因だけど何かがかっちり決まった気がした。パズルの最後のピースが嵌るように。「あはは、珈琲ばっかりだね」って笑ってくれる人はここにはいない。

Kが手配した宿は2階建ての小さなログハウスで1階が畳で2階にベッドが3台あった。陰気な感じで照明も暗かったが清潔だった。カップルにはいいかもしれない。どっと疲れたので珈琲牛乳を一気飲みした後一人で2階に上がりしばらく寝させてもらった。サイとKは1階にいた。1時間ほど経ってKが晩御飯来たよ!と何度も呼ぶので階下に降りた。小さなテラスにBBQセットが設置されていた。外の席に食器や途中で買った野菜を運び、Kは肉を焼き始めた。焼けた肉を小さく切ってサイのお皿に入れたがサイは食べずにミニトマトと付いてきた焼きおにぎりばかり口に入れていた。信州牛らしい。美味しいけれどお腹いっぱいになり箸を休めていたらKに「食べないの?食べないの?」としつこく聞かれた。Kはご機嫌で肉を焼き続け食べ続けた。ルームサービスのワインを2本も頼んでいた。サイが寝たら話したいことがあると行く前から言っていたからえっと思い「話したいことがあるからあんまり飲まないで」と言うと「わかったわかった」と返ってきた。その返事で、ああもう今日は話せないなと感じた。案の定、食べ終わって少しテレビを観て(ドラえもんとMステを久々に観た)、サイとお風呂から出た直後、Kはサイをほったらかしにして私が二人がお風呂に入っている間に敷いた布団に大の字になって寝た。起こしても起きなかった。話したいのにいつもこうやって話せない。私も急いでお風呂に入りサイと自分の髪を乾かしてサイを寝かした。サイは昼間私が買った指人形のうちおむすびまんが見つからないと騒いでなかなか寝てくれなかった。明日絶対探すからと何とか言い聞かせて寝かせる。Kは起きる気配がないし、私も疲れたので寝た。


7月29日(土)おもに雨
軽井沢2日目。明け方目が覚めた。二人はまだ寝ている。2階に上がってチケットを取ったりした後、昨日自分が起きたままになっていたベッドに再び潜り込んで寝た。少し寝たら朝ごはんが運ばれてきた音がして起きた。フードコートで呼ばれる時と同じ音だった。自家製らしいパンと卵と昨日買ったケーキなどを外のテーブルに並べる。サイはご機嫌だったが途中でアンパンマンが観たいと騒ぎ出した。あれは録画だからここでは観れないよと言ってもよく分かってもらえなかった。サイが部屋の中でテレビを観ていたのでテラスでKに思っていることなど少し話す。部屋に入ると相手にしてもらえなかったからかサイがぐずった。ごめん。
チェックアウトした瞬間、大雨が降ってきた。呼んでもらったタクシーに乗るだけでびしょびしょに濡れた。目的の「ペイネ美術館」があるタリアセンという施設に辿り着いた時には雨は更に強くなっていた。タクシーの運転手は降りる際、濡れている私達を憐れむこともなく、前を見て一切手伝ってくれなかった。雨に濡れたことでKの機嫌は最悪になった。雨に濡れても家族で笑い合いたいな、と心の中で思ったがすごいイラついているのが分かった。イラついてベビーカーのカバーもちゃんとつけてくれなかったから荷物も全部濡れた。「ていねいにていねいに」というアンパンマンに出てくる鉄火のマキちゃんの弟子、こまきちゃんの言葉が浮かんだ。施設に着いて私が傘を閉じるタイミングが遅いと「なにやってるの!」とキレられた。チケット売り場で複数施設が巡れるお得なチケットがあると言われたため、「わたしは軽井沢高原文庫にも行きたいけど(Kは一切興味ないと最初から言っていたので)、その間二人でどこかで待っててもいいよ」と言うと「はあ?どこで待つわけ?」と言われた。もう嫌だ。帰りたい。

施設の敷地内に入ってもずっと機嫌が悪かったため、もう限界だと思い、「帰るね」と言って出口に向かった。「はぁ?」という声が背中から聞こえてきた。歩きながら、そうだサイを連れて帰らなきゃと思って引き返した。引き返したらまた何か言ってきて、もうこれ以上やり合うのが馬鹿馬鹿しくなりKを無視してベビーカーを押した。結局、帰らずにペイネ美術館に行った。Kは美術館内でもサイが落ち着かないので「人に迷惑だ」とずっとイラついていた。

ペイネの絵が好きだ。結婚式にも使った。しかし険悪な空気の中、愛に満ちた絵を観るなんてこんな皮肉はない。それでもペイネの絵は素晴らしかった。幸せそうな男女の絵とか添えらえたポエムとか、一見目を瞑りたくなるほどの甘ったるい愛を描いているようだが、色合いや彼の描くモチーフはどこか影があってシニカル。そういう所が好きだ。初めて観た「ノアの方舟」というタイトルがついた絵が素晴らしかった。方舟に乗っている動物たちが全員地獄へ行くみたいな表情をしていた。パネルにはペイネと奥さんの出会いのエピソードも書いてあった。踊っていてペイネが奥さんの足を踏んでしまったのが仲良くなったきっかけらしい。いいなぁ。

Kはサイがじっとしていないのに耐えられなくなったから(サイは楽しそうだったのに)と言って、雨も止んだしサイと池のボートに乗ってくると言い出て行った。それはいい。物販でポストカードを買い外に出てペイネの絵をモチーフにした銅像を眺めていたらKから電話がかかってきた。「ボートに乗ってる姿を撮ってくれ」と言われた。なので池まで近づいて撮った。もっとこっちから撮れとボートの中から指示された。サイははしゃいでいるという程ではないがまあまあ嬉しそうだった。二人がまだボートに乗っていたので先に食堂に行くからと電話して、人がまばらな広い食堂で珈琲を飲みながら二人を待った。もっとゆっくりでいいのに10分ぐらいして二人はすぐにやってきた。

昼食後、サイと少し遊んでからタリアセン敷地内にある「睡鳩荘」(別称:旧朝吹山荘)に向かった。ヴォリーズの建築。この別荘の持ち主、朝吹氏の娘は文学者の朝吹登美子で、朝吹登美子は芥川賞作家の朝吹真理子の叔母にあたるらしい。だから色んな関連書籍が売っていた。幼少期のものから年頃ものまで登美子の写真が飾ってあって、何というか何も困ったことないような伸び伸びとした表情をしていた。こんな別荘もあるし、お金があるっていいことなんだなとしみじみ感じ、私がこの家系に生まれていたらどうなったかなと想像した。お金があるからと言って、太宰みたいになる場合もある。
睡鳩荘の帰り道、サイと陸上に上がっていたカモを眺めて話しかけた。大人しくて全然逃げなかった。

軽井沢高原文庫。結局全員で行った(が途中でKはサイといなくなった)。野上弥生子展をしていた。恥ずかしながら野上弥生子を初めて知った。夏目漱石の門下生と結婚したり、漱石と縁があるらしかった。執筆メモや手紙を見ていたら面白くて作品を読んでみたいと思った。が、売店には売っていなかった。

タクシーに乗り、今回高すぎて泊まれなかったからお茶だけでもしようと万平ホテルへ。着いたらサイは寝始めたので、喫茶室に入ってからKと話をした。今までで一番思っていることを真剣に話した。伝わったか分からないが、前よりも100歩くらい前進した。でも簡単に越えられない新たな壁を作ってきた。卑怯だ。アップルパイとフレンチトーストを食べたが話をした後だったからか何も美味しく感じなかった。Kは「(食べる前に)写真を撮らなくていいのか」と聞いてきた。結局一つも分かっていないのかもしれない。サイが起きたのでホテル内を見て回った。泊まったら素敵なんだろうなと思った。ミュージアムに展示されていたすずらんがデザインされた昔のティーカップが売店で復刻版として売っていて欲しかったが我慢した。

受付でタクシーを呼んでもらい軽井沢駅に向かった。新幹線に乗り東京へ戻る。サイはKが買ったさけるチーズを細く割くのにはまってそれで時間が持った。帰宅。入浴。入浴後また嫌な態度を取られた。二度とイライラしないって約束したばかりなのに。約束と違い過ぎて笑いが込み上げてきた。笑っていたらKは一層キレた。サイが困って泣き出したのでごめんね、と謝って抱きしめた。サイは小さな声で「おとうさんがおこってこわい」と言った。ごめんね、サイ。

7月30日(日)雨時々曇り
普通の生活に戻る。朝ごはん、洗濯、Kとサイが出かけている間に掃除、昼食作り。お昼ご飯を作っている途中でコンビニに行きたいと言うと「やることやってから行ってよ」と言われた。Kが昼からビールを飲んでいいか聞いてきたので「じゃあ寝かしつけやってよ~」と軽い感じで言うと「仕事いかなきゃいけないの!」と逆切れされた。ムカついたから私もビールを飲んだ。サイを寝かしつけるもなかなか大変。途中で水が飲みたいというので台所へ行くとKはまだいた。仕事行くんちゃうんかい。ようやくサイは寝た。疲れて私も少し寝た。途中で起きて作業をしたらサイもすぐに起きた。二人でスーパー。魚が食べたかったので魚が安いちょっと遠いスーパーに行った。ポイントカードを作ろうとサービスカウンターに行ったら対応してくれた女の人は丁寧だった。よかったなぁと思って帰ろうとした瞬間、「さて」と図太い声が聞こえてきて、え、誰と思ったら同じ人だった。どこからこんな声が。隣で怯えて立つ新人バイトさんと思わしき女の子に対しての声だった。さっきの声と全然違うやん。私が見ているのに気付かず女性は「○○さんは、・・」と図太い声で女の子に説教を始めた。それが表情含めてすごい嫌な態度だったのでウンザリした。あそこまで態度の違う人は初めて見た。人間って怖いなって思った。私は初バイトの和菓子屋で根性の曲がった悪魔みたいなおばさんに毎日虐められて辛かったから(なぜか一年も働いた)、自分が下の子に何か教えたりする時、絶対に高圧的な空気を作らないよう心掛けてきた。女の子に幸ありますように。人には優しくありたい。

遅くなったがKは帰って来ていなかった。7時頃今から帰ると電話があった。Kが帰宅して晩御飯。買い物(別に今日買わなくていい物)をしたから遅くなったらしい。そんなことで私は怒らないぞ、という気持ちでへぇと言った。入浴。風呂に入りながら「東京タラレバ娘」最終巻を読む。最終巻と知らずに読んでいたら急に終わりに向かっている感じがして驚いた。やや無理矢理感があったが、「人の幸せを願いたい」とはいい終わり方だと思った。サイと布団の上で転がったりして楽しく遊びながら就寝。さて明日からまた一週間。

 

 

耐え切れないことがあった翌日、SNSにうんざりしツイッターのアカウントを消した。アプリも消したら正直寂しいが不思議と清々しい気持ちになった。最近、会いたい人に会って食事したり時間を共有するうちに、好きな人と(ビール飲んで)同じテーブルで同じ皿の料理を突っついてどうでもいいことや真面目なことを話したり、ゲラゲラ笑い合ったりすること以上に尊くて美しいことはないと気が付いた。

同じ時代に生きている限り、意思さえ合えば本当に会いたい人にはどこかで必ず会える(はず)。

絵をみにいくためだけに今日があってもいい

7月18日(火)晴れ時々豪雨
寝起きでサイの機嫌は最悪だった。連休明けで嫌だなぁという私の気持ちを察したのかもしれない。保育園に着いて預ける時も教室の前で泣き喚き、Mちゃんをはじめ他の子どもは「サイくんないてるなぁ」という感じでぽかーんとした顔で傍観していた。さすがにこの年齢で別れ際に泣いている子は少ないし、サイも普段は名残惜しそうにはしても泣くまではしない。たまらなくなって抱きしめたりしても様子は変わらず先生が困ったような顔をしていた。こんな日はもう仕事なんか行きたくない、だからと言って連休明けに休むわけにも行かないので先生に抱き上げられて泣き続けるサイに後ろ髪を引かれつつ保育園を出た。辛いが割り切りも必要。

夕方。お迎えに行こうと駐輪場から出たらアスファルトが見えないほど地面が緑の葉っぱで埋め尽くされていた。幻想的で異様で葉っぱの青々しい匂いが鼻についた。ジブリの何かで見た光景のようだった。すごいなぁと思いながらいつも通る割と急な坂道を下っていたら濡れた葉にタイヤがとられてブレーキが全く利かず激しく転倒。あっと思った瞬間にはもう地面にぶっ倒れていた。体中痛くて、ああ、やってしまったと思いながらしばらく横たわっていたら通りがかった親切な方が自転車を起こしてくれたり立ち上がるのを手伝ってくれた。笑う場面じゃないのに、すみませんすみませんとへらへら力なく笑っていた。優しそうな青年が「これ」と私のものじゃない濡れた靴下まで差し出してくれたので、また力なく笑って「あ、これは違います、すみません」と断ったり、とにかくどこのから来たのか分からない洗濯物やら植物が落ちていて地面は大変なことになっていた。葉っぱが両腕に纏わりついたまま立ち上がってズボンを見ると膝に修復不能なくらいの大穴が空いていて、空いた穴からべっとりとした血が覗き見えた。肘からも血が。ひー。とにかくお迎えに行きゃなきゃとそのまま保育園に向かった。先生や他のお母さんに同情された。

私の肘の血を見てサイは「アンパンマンばんそうこうあげようか~?」と心配してくれた。気持ちは嬉しいがそんなものでは間に合わないので薬局に寄り「絆創膏はどこですか!?」と必死の形相で店員に尋ねてキズパワーパッド大を購入。サイは必死な私を置いてお菓子に心奪われていた。とにかく早く帰りたかったので普段なら辞めさせるどうでもいい菓子も買ってしまった。帰宅後、サイがお菓子に気を取られている間に消毒して処置。縫う必要はなさそうでよかった。しかし膝から変な液が溢れてきて覆いきれなかった。とにかくご飯食べさせなきゃと思ってカレーを温めて食べさせた。お風呂がまた大変だったが何とか済ませてどっと疲れてサイと就寝した。こういう時に限ってKはいない。

夜中に起きて、とんでもなく嬉しいニュースを知った。妄想が現実になっていた。嬉しくて嬉しくて泣いた。しーんと静まり返りエアコンの低い音だけする暗い居間でiphoneを手にし、そこに一際明るく示された美しい事象が今この世界で本当に起こっている事だと信じられず何度も画面を見て泣いた。いやいやこれは現実だという実感がじわじわと湧いてくると、世の中捨てたものじゃないなぁ、いい事があるなぁと小学生のように思った。転んで血を流して痛がっている場合ではない。


7月19日(水)
仕事帰りに伊勢丹に寄る。解放区に好きな人達が一緒に作り上げた商品が美しく並んでる光景やポップの文字は夢で見たそのままだった。人がそれらの商品を買い物する様子を見たくて、知ってる人誰か来るかなと思ったが誰にも会わなかった。地下に降りて夕飯用の惣菜を調達。Kの誕生日。喜ばせたくないし誕生日なんか絶対祝いたくないと思っていたので何もせずスルーするか迷って、でもサイとケーキを食べる約束をしていたからケーキと小さなお花だけ買った。お花をサイからKに渡してもらった。Kはサイに誕生日の歌を歌わせていた。でも私はおめでとうと言わなかった。サイはスーパーのお惣菜の春巻きが大好物なのに、高い春巻きを散々いじくった挙句食べずに皿に放置していた。「ごちそうさま」と言われたが、捨てるのは悔しいしもったなく思い水を吸ってべちゃべちゃになった海老春巻きを私は必死で食べた。


7月20日(木)晴れ きれいな青空
Zepp Diver Cityにて大森靖子さんツアーファイナル。半休にするか迷って午前中に済ませたい用事もあったので一日休みを取った。朝から干しても干しても全然減らない大量の洗濯物を干し終え、服はあるのに着たい服がなくて泣きそうになって、伊勢丹で購入した大森靖子さん×縷縷夢兎コラボキャップ(それ自体は死ぬほど可愛い)を自分の頭に被ったら20年ぶりのキャップ姿を人に見られるのが怖くなってきて、でも人と約束していたし銀行に行かなきゃいけなかったから予定より大幅に遅れて銀行に向かった。銀行での用事は窓口のお姉さんが優しくて思っていたより早く済んだ。でも友人との約束をダメにした。

自己嫌悪に苛まれながらも進まなきゃ動かなきゃととりあえず電車に乗った。乗り換えのために新橋駅で降りた途端、猛烈にお腹が空いたので新橋駅前ビル1階にある喫茶店「ポンヌフ」で瓶ビールとナポリタンを頼んでゆっくり胃に収めた。ずっとずっと来たかったけど定休日などでタイミングが合わずようやく来れた。「ポンヌフ」は夏休みに親戚の家に泊まりに来て涼しい部屋で花柄のグラスで出された麦茶を飲んでいるかのような居心地の良さだった。実際に飲んでいるのはビールだが。ランチタイムを外したからか、店内は静かで穏やかで誰の目線も気にならなかった。大きな窓から明るい光が差し込んでいた。従業員のおばさま達が集まって置き忘れられた名刺入れの主を探していた。おばさまの一人が名刺に書いてあった何かの番号に電話したがつながらず、別の、おそらく職場の番号にかけていた。「ポンヌフって言うんですけど」「パピプペポのポです」その電話しているおばさまを他のおばさまが囲んで心配そうに見つめていた。素晴らしいお店だと思った。レジのおじいちゃんがスローモーションみたいで、お金を受け取るのもお釣りを数えるのもコマ送りのようで愛おしくなった。

再びゆりかもめに乗って台場駅へ。物販を済ませTシャツに着替えてからライブまで同行者を待って時間を過ごす。同行者が到着してライブ会場入り。ライブ開始。史上最高のライブだった。涙が止まらなかったり口を開けたまま茫然としたり酷い顔をしていたと思う。音楽というより、自分の人生を劇やミュージカルにしたものを走馬灯みたいに次々と目の前で観せられているような感じだった。誕生、怒り、喪失、再生を経て、未来への希望を残してライブは終了した。記憶が消えないうちに感想をまとめておきたいが余韻に浸りすぎてまだそれすら出来ずにいる。大森さんってとにかく歌が上手いなと思った。あとは何でこんなに可愛くて綺麗なんだろうって思った。そういう当たり前の、別に今気づいたことでないことばかり小学生の感想文みたいに考えていた。人前で泣いた姿を最近は観客に見せなかった大森さんがMCで泣かれていた。あの姿は一生忘れないだろう。

終演後打ち上げ。夢みたいに楽しかった。みんな若くて可愛いのに自分みたいなおばさんにも親切だった。愛おしかった。人に終電を調べてもらって(いつも終電を確認するのが本当に苦手)帰路が同じ人達と途中まで一緒に帰った。いい歳して大学生みたいに駅まで走ったりしてそれも楽しかった。嘘みたいに楽しくて幸せでずっと笑っていた。


7月21日(金)晴れ
腑抜け。サイは昨日の夜Kと二人で相当寂しい思いをしたのか、保育園の教室に入る直前に突然「おかあさんきょうおしごといかないで」と小さな声で言い泣いた。そんな風に言われたのは初めてだったので胸にずんとしたものが降りてきて苦しくなった。一人で楽しい思いをして笑っててごめんねごめんねと心の中で謝って抱きしめた。泣いているサイを先生は抱き上げて、それでもサイは泣いていて私は保育園を出た。好きでもない仕事をしに何のために職場に行くのかもはや分からない。


夕方迎えに行くとサイは機嫌はよかった。保護者達が出す金曜日の空気を感じ取っているようだった。他の人でしている人はあまり見かけなし、先生はまたやってるなって感じで笑っているが、私は送迎時毎日必ずサイを抱きしめる。それで償いになる分けではないけどサイの体温に触れたら自分が救われるから。いつまでやらせてくれるか分からないけど。サイと帰りに気になっていた和菓子屋に寄る約束を朝していたので、約束通り初めて入る和菓子屋に寄り、豆大福とすあまと赤飯のおむすびを1個ずつ買った。そしたら豆大福を一つおまけしてくれた。

帰宅してサイがそれを食べたいと騒いだのでそれらを晩御飯にした。Kがいたら絶対に怒られるやつ。私は豆大福でビールを飲んだ。豆大福は半分個したので一つ残して「これは明日食べようね」と言うと納得していた。入浴、就寝。

サイが寝た後、ツイッターで嫌なことがあった。所詮SNSだけど思い当たる原因が自分だから一気に自己嫌悪の大波が押し寄せた。謝るべき人には一人ずつ謝った。SNSごときに惑わされる自分も嫌だし、人に迷惑かけるのも嫌だし、ほんとにSNSなんかクソだ消え失せろと思った。そんなもの存在しない時代に戻りたい。


7月22日(土)晴れ
いつものように朝ごはん、洗濯、サイと遊ぶ、昼ごはん。お昼に買い物に行けず、冷凍庫を漁ったら義母から送られてきた高級な肉があったので何も考えずフライパンで焼いて解凍した白米にどんと乗せてサイと食べた。サイは肉巻おむすびにした。おむすびはすぐ解体された。

昼食後、布団の上で二人でごろごろ遊びながら昼寝。サイは機嫌よく大きな声で何か話したり歌ったりして転がったり私に激突したりしていたが突然静かになりぱたりと寝た。その寝顔が死ぬほど可愛かった。

 

サイが昼寝から起きたらサイをベビーカーに乗せ、浅草橋までさいあくななちゃんの合同展示を観に行った。サイがなかなか起きなくて出発がぎりぎりになった。私も嫌なことを引きずって準備が進まなかった。でもななちゃんが閉館までいますから、子連れでも大丈夫と言ってくださったので、間に合わず観れなくてもとにかく浅草橋まで行こうと思った。駅に着いてからも道を正反対に進んだりして、閉館時間をとっくに過ぎた。なんとか会場まで辿り着くと、入口のビニールの暖簾越しにななちゃんが立っていた。全身汗だくでお土産も買えず「遅くなってすみません」とただ言い訳する私に優しく微笑んで「来てくれてありがとう」と言ってくださった。もうそれだけで泣きそうだった。私のせいで遅れたのにななちゃんはギャラリーの方に聞いてくださり時間は大丈夫だからゆっくり観ていいと言ってくださった。他にも数人いた。サイと二人でギャラリー内を眺めた。サイは初めての絵のある空間に興奮して色んな部屋を出入りしたり絵を指さしたり、ななちゃんの作品を観て「うわー」「かわいいね」「きれいだね」と言っていた。サイはななちゃんに会った瞬間人見知りしていたが、優しく接してくださったのですぐに壁をなくし、私がびっくりするくらいななちゃんに懐いていた。二人がソファに座って話してる光景を私はただただ嬉しくてぼんやり眺めていた。
二つの作品で迷ってサイがこれがいいと言った絵を買った。そういえば生まれて初めて絵を買った。値段がついてないものだったのに、いいですよとつけてくださった。自分が作品買うことで自分以外の人の眼に触れることがなくなるのはとても残念だが、あの絵を毎日眺めたいと思った。ななちゃんにお礼を言いギャラリーを出たら陽が暮れかかっていた。サイは余程楽しかったらしく、「ななちゃんはどこ~?」と泣きそうな声で叫んでいた。

夜。遅くなったので外食を提案したら受け入れられた。近所の個人経営の焼肉屋に行った。ちょっと高いけど美味しかったし親切だった。昼も夜も肉ばかり食べた。サイは帰り上機嫌すぎて連れて帰るのが大変だった。胃が重い。


7月23日(日) 曇り
前から決まっていた出かける予定があった。行きたいけれどまた人に迷惑かけたらと思うと無理かもしれないと昨日の夕方まで考えていた。でも夕方出かけて芸術に触れて私は救われた。サイも喜んでいた。だから今日も力を振り絞って出かけた。出かける前Kに部屋が汚いけどいつ片付けるんだと言われたが無視した。結果としては本当に楽しかった。サイも心の底からはしゃいでいた。でもまた好きな人に嫌な思いをさせていたらどうしようという思いも浮かんだ。今後一切どこにも出かけず誰にも会わずにひっそりと死んでいった方がいいのではないかと思い始めた。いや、それだとサイが可哀相だ。だめだだめだ。サイのために出かけて毎日生き続けなければ私もサイも廃人になってしまう。
帰宅してどっと疲れて買い物に行けず、また冷凍庫の肉を焼いた。肉ばかり食べて何になるんだろう。胃もたれした。ビールを飲んだ空き缶1缶をKが帰宅するまでに捨てるのを忘れて見つかった。どうしよう怒られると思ったが怒られなかった。でも夕食をあまり食べないでいると「ビールのんだからでしょ」と嫌な感じで言われた。そういうところが嫌いだ。いちいち言わなくていい。

サイと入浴後、貧血でしんどくてサイの就寝準備は全部Kに任せた。貧血をすぐ起こすからお風呂も温泉も実は苦手。

濡れた髪も乾かさず布団に転がった。Kの下手な歯磨きを嫌がるサイの断末魔の叫びが聞こえてきた。ごめんねサイごめんね。サイが寝室にきてそのまま深夜まで一緒に寝た。深夜に起きてまた嫌なことを考えた。

実生活でも逃げ場でも何もかも崩壊し腐敗していて、そもそも全ての原因が自分にある、自業自得だと考えると自分の存在がゴキブリが這い回るゴミ屋敷みたいに思えてきて、何にも可笑しくないのにゴミ屋敷の中に入れないニュースを思い出して可笑しくなった。好きなものまで壊してしまってこの先もうどうしたらよいか分からない。今一番救いが欲しいのに自ら救いを破壊して拒否している。

買った絵が早く届いてほしい。救いがほしい。

パディントンみたいに生きたい

7月3日(月)
サイは朝起きるなり粘土をやりたがる。朝ごはんにさそっても気がない感じ。よほど好きなのだろう。私が手伝えないのでうまくいかず癇癪を起したりしていた。私も手伝えなくてもどかしい。何とか宥めてテーブルに座らせて朝ごはん。別に食べなくてもいいけど後でお腹が空くと可哀相だと思って食べさせた。出際も粘土に執着して、結局通園かばん(アンパンマンのボロボロの手提げ。通園と言っても本当の大きな通園かばんは私が持つのであくまでサイがおこわだり私物を持ってためのかばん)に色ごとにケースに入れた粘土を詰めて通園。

夜。帰宅後、サイと二人でシャワーのちビール(飲酒はもちろん私だけ)。しんどかったのでレトルトのカレー。まあまあ美味しい。食後また粘土。きれいな粘土も残り少なくなったし昨日みたいに型を使わず、小さい食べものをたくさん作った。ゆで卵やサンドイッチを作って切って中身を見せたら大喜びしていた。ぼうっと観ていたわりに覚えていたらしい、おねんどお姉さんによる粘土テクが役立った。

サイが寝た後、届いたばかりの新しい上履きを取り出した。ずっとサイズオーバーなのに気づいていたがなかなか買えなかった(Amazonでクリックするだけなのに)が、いよいよ親指も曲がってきつそうだったので週末に発注した。他の子の靴と分からなくなるのもあれだし、なんか描いてあげようと思って何がいいか聞いたら「てんどんまんとかぁしどん(滑舌悪いがかまめしどんの意)」とリクエストされたので眠気に負けそうになりながらアクリル絵の具を引っ張り出してきて描いた。アンパンマンは大体描けるようになったと思っていたが微妙な表情で変わってしまうのでこの二人(特にかまめしどん)を描くのは難しい。


7月4日(火)曇り時々豪雨
朝起きてきたサイに、「ほら!みてみてー」と上履きをサプライズで見せたが予想外に反応が薄かった。ぼそっと「カレーパンマンアンパンマンがいい」と言われた。まあ推しキャラがその時の気分で変わるのは分かっていたから別にいいけど。

家を出るまでサイの機嫌は最悪。朝ごはんも途中で「もういらない」とパンの入ったお皿を押しやったり空のお皿を床に投げつけていた。家を出る時間になっても床に寝転がり「いきたくない~」の一点張り。額に手を当てると熱はない。しかし会社に遅れてしまうので、無理矢理抱えて玄関まで連れて行き、無理矢理自転車に乗せるとぎゃーぎゃーと断末魔の叫び。私が何か虐待でもしているような感じ。自転車に乗りながら「おかあさんきらい~」と叫び続けていた。「そうか、じゃあいいよ」と言うと「おかあさんすき~」と一変した。可愛いなぁと思って「おかあさんもね、サイくんのことす・・」と言いかけたところで「きらい!」追い打ちをかけるように言われた。知恵がついてきて、イヤイヤも更にレベルアップした感じがする。

夜。雨降る中、好きな人達とファミレスでご飯を食べた。たくさん声を出して笑って、心から楽しかった。帰宅後大きな喪失感。


7月5日(水)晴れ
朝。起きた時からサイの機嫌はよかった。私と顔をくっつけて目をぱちぱち開いたり閉じたりして笑っていた。教室の入り口でもまあまあすんなり別れられた。七夕の願い事を短冊に書いてください、と先週末先生から用紙を渡されていたが今日もまた持ってくるのを忘れてしまった。確か去年は「毎日たくさん笑ってすごせますように」と書いた。私も怒ったり悲しんだりしないで、毎日笑って過ごしたい。ある年齢を過ぎてから自分の人生が終点に向かって着々と進んでいる気がして、ふとした瞬間とてつもない不安に駆られる。勤務中、ちょっとしんどくなったので海老蔵ブログを開いた。「この絨毯好きなんです。なんの意味もないですが、好きなものがあるのは嬉しいことです。」と書いてあったのがいいなぁと思った。歌舞伎座の7月公演がまだ空きがあると書いてあったので、観に行きたい。

夜。サイとKが帰ってくる前にファミチキと金麦1缶。飲んだ缶はすぐに捨て飲んでない風を装った。夕食を作りながら台所でKに改めて大事な話をした。さすがに考え込むかなと思ったら普通にごはんをもりもり食べていた。どういう神経をしているのだろう。私はあまり食べられなかった(ファミチキ食べたからか)。夕食後また粘土。追加でAmazonで発注した粘土が届き、私が食器の片付けをしているとサイは待ちきれんという感じで箱を破壊して粘土を取り出していた。箱に写真が載っていて作れと命令された、カニとどんぐりと雪だるまとお米を作った。見本通り全部顔をつけた。日本のものって何でもすぐ顔をつけたがる。粘土を捏ねるところや目鼻の貼付けなどはサイにやってもらった。可愛くできてサイも満足そうだったのでよかったなぁおほほと思っていたらいきなり全部ぐちゃっと握り潰した。一生懸命作った子達は見るも無残な姿に。潰した自分に腹が立ったらしく、そこからサイの機嫌は最悪。大声でわんわん泣き続けた。
何とかお風呂に入れ、就寝。Kは思い悩む様子もなくサイの隣で鼾をかいて寝ていた。

歴史に残るであろうライブへは行かなかった。私は音楽への入口が針穴くらいしかない。それを広げてくれたのが大森靖子さん。先週分のラジオを聴いて寝る前に短冊のことを思い出し(あとで見たら連絡帳に早く持ってこいと催促メモが貼ってあった)、結局去年と同じ言葉を書いた。来年くらいになると本人の希望が出て来るかもしれないけど今はよく分からないので私の希望を。トイトレは停滞しているし、イヤイヤは再興してきたけど、毎日げらげら笑っているのがいいよね、やっぱり。


7月6日(木)曇り
サイはいつもより一時間早く起床。眠いので横たわっていたら「ねぇ、おきてよ~」とキレられたのでぎりぎりまで粘ってから起き上がった。さくらんぼとパン。さくらんぼが足りなかったようで追加オーダー受ける。つい飲み込むこともあるが、種取りがまあまあうまくなってきた。早起きした(させられた)ので時間に余裕があった。サイが気に入っている新幹線の靴下を履かせると「いたい~サイくんあしおっきくなったから」と自己申告されて、確かにそんな感じだったので別のに履き替えさせた。上履きのことでもそうだったけど、よほど体型が変わらない限り大人はサイズオーバーで着れなくなるとかないから、子ども服のサイズはつい意識がまわらなくなることがある。あれはいつ買ったやつだっけ、いつまでも同じサイズな訳ないよな、と思った。トイトレやる気促進のためにアンパンマンの踏み台(立ってする用、1500円高い)を買った。喜んで見てはくれたが台に登ってはくれない。失敗。次の手を打たねば。絶対的存在であったアンパンマン一族の力がもしや衰退してきたのかと一抹の不安を感じる。

お迎え後帰宅。サイは朝保育園にアンパンマンのパックジュースを持って行ったが、私の言いつけを守り外では空けず帰宅するなり飲んだ。うさぎ椅子(サイがテレビを観たり作業をする時に座る小さいオークの椅子。背もたれがうさぎ)に座って飲むよう言うとちゃんと守って一気に吸引していた。晩御飯は有り合わせ。味はまあまあ美味しい。私の皿にだけ温泉卵を載せたらすかさずチェックされ、「さいくんもたまごたべたいー!」と言われたのでもう1個卵を冷蔵庫から出し固めの卵をレンジで作って載せたら大喜び。熱い熱いと言い黄身をスプーンで突っついたり掬ったりして満足そうにしていた。それもすぐ食べ終え、私の分の卵も欲しがった。「これはお母さんのだからね」と言って少しだけあげた。少ないと怒るかと思いきや納得したようだった。
夕食後、粘土。リクエストのコアラと「サイくん」を作った。途中でうんち。匂いで分かる。粘土してる途中でオムツ替えしたくないなと思った。本当に最近全然教えてくれなくなったし、トイレでできていたのが嘘のようだ。完全に赤ちゃんに戻ってしまった。しかもうんちしたのが恥ずかしいのか何なのかオムツを替えることさえ嫌がる。入浴(暑かったので湯船にお湯を溜めなかったら不思議がっていた)後、就寝。


7月7日(金)曇り
朝。今日は七夕なので浴衣や甚平を着て行く日。サイの通っている保育園は親参加型の行事もほとんどなく、手作りグッズの用意も最低限にしてくれているので私のような超ずぼら且つコミュケーション消極型の人間にも安心設計。同じ認可でも運動会の手作り弁当見せ合いなど数々の拷問が待ち受けている園もあるそうだから、今の園に入れてラッキーだった。そんな園が唯一「こうしてください」というのが七夕で毎年6月終わり頃「7/7は七夕祭りをします。浴衣や甚平を着て来れる人はそうして下さい」と張り紙が出る。無理強いせず、「着て来れる人は」がいいなと思う。実際洋服の子もいるが、ほとんどの子が浴衣や甚平。いつもと違う出で立ちで少し嬉しそうに見える。親は浴衣を着せるからと言って会社の始業時間がずれる分けでないので、みんな大変だなといつも思う。サイは三回目。今年は去年買った甚平(一昨年のは一回でアウト)があるので引っ張り出してきてそれを着せた。ズボンのウエストがぎりぎりだし丈がちょんちょんだったが何とか入ったので大き目を買っておいてよかったなと思った。女の子はもちろん、男の子もみんなトンボやスイカやカラフルな柄を着ているが、サイの浴衣はゲキシブ。生成に薄いグレーの和刺繍。完全に私の好み。まあ、いつか自己主張する時が来るまでは親の好みを着せてもいいかな、と思っている。ゲキシブ柄が不満なのかサイのテンションは特に高くはなかったが嫌がりはしなかったのでほっとした。私も浴衣欲しい。渋い柄のやつ。いい帯も欲しい。着て行くところはないけれど。

終業後お迎え。やはり甚平はぴちぴち。サイは一人ずつ持ち帰り用に分け与えれ、短冊やおそらくサイ手づくりの飾りがついた笹の葉をぶんぶん激しく振り回していたら、私の苦手な上品親子(多分前述)が呆れて横目で見ていた。親は子に似るんだろう、私がいつも家の中でふざけているのでサイもだいたいいつもふざけている。
サイは帰宅後も笹を振り回していた。雑に扱うから持ち手が弱くなって機嫌が悪くなった。甚平を脱がす前に数枚写真(最近、サイは写真に写る時はわざと変顔をする)を撮った他は七夕らしいことは何一つせず、あり物で夕食を済ませバタバタお風呂に入れて就寝。金曜だと一人でもまだ頑張れる。

 

7月8日(土)晴れ

Kは早朝からキャンプに行ったとかで昨日から顔を合わすことなくいなくなっていた。キャンプって何やねん。飯盒炊飯か。中学入学してすぐ全員ダサいジャージ着用で行かされた合宿で飯盒炊飯で炊いた硬いごはんに野菜生煮え水入れすぎのシャバシャバカレーをかけて、よく知らない人達と黙って食べて、案外美味しいんだなと思った記憶、この人達の中に自分と仲良くなれる人はいるのかなと考えていた記憶が蘇る。私がいた学年は後に語り継がれるほど荒れ狂っていて悲惨だった。みんな今は何をしてるんだろう。一人バイク事故で死んだというのは聞いた。

 

夏バテなのか貧血なのか朝からフラフラでサイの相手が十分にできず、思い悩むこともあり母にテレビ電話した。両親はスマホの画面越しに動いたり話したりするサイを久々にみて喜ぶ。母は心配性なので本当は言いたくなかった。案の定心配していたが割と冷静なアドバイスをくれ確かになと思うと幾分気が楽になった。

スーパーに行き、もっと食べなきゃの思いでとにかく好きなものを食べようと思ってカルピスの原液、信玄餅アイス、ローストポーク、唐揚げ、桃など購入。鯵が安い。

サイが公園で食べたいと言うので一端帰宅して買ったものを冷蔵庫に入れてから唐揚げやトマトやお昼用に買った巻き寿司をカバンに入れ シートを持っていつもの公園へ。暑いからって親の都合で子どもの希望叶えないのはダメだと自己暗示し炎天下の中出かけたら、先月まで弁当を食べる家族連れがひしめき合っていた場所に人っ子一人いなかった。鳩が数羽いて、数人が遊具で遊んでいた。この炎天下でそりゃそうか。私は阿呆か。サイと二人で阿呆みたいな顔をして、日陰になっていた大きな木の下にシートを広げて座って持ってきたものを食べた。この暑さでもサイの食欲はとどまることなく見ていて気持ちがよい。私もまあまあ食べた。日陰で直射日光が当たらず生温いが風が吹いて気持ちよかった。周りに本当に鳩しかいないからサイは「わるいぴっぴ」にアンパンチで対抗したり警戒心強めだった。静かでサワサワと木々の葉が揺れる音が聞こえてサイと地球が滅亡する直前にピクニックしてるみたいな気持ちになった。

食べ終えて遊具で少し遊んだが暑さが異常で危ないのでもっと遊びたいというサイを宥めて強制帰宅。帰宅後サイは昼寝。その後ペンパルに電話した。ペンパルとは基本手紙でのやり取りなのでLINEはお礼など取り急ぎ伝えたい時にしかせず、電話はまずしない。でもしたかった。してよいか聞いたら快諾してくれた。産後辛かった時に一度電話したので多分二回目。なかなか会えないけど面白くて優しくて本当に素晴らしい人だ。サイが起きるまでの一時間もなかったがゆるゆると雑談して救われるような思い。ぼやけていた視界も戻ってきて元気になった。

昼寝後サイと桃を食べた。まだ甘くないがサイは喜んでほとんど一人で食べていた。外は暑そうだったので家の中でパディントンのDVDを観たり、お絵描きや踊り。サイが踊っている合間にローストポークとロング缶をお供に夕食準備。二人分だと少なくて作るのも楽。いつもより早めに夕食。鯵の蒲焼が美味しくできた。サイは手品のように目を離した隙にあっという間に鯵を胃に納めていた。早めにお風呂。最近産後並みに抜け毛がやばい。ハゲそう。

ゆったりした土曜の夜。サイが寝た後信玄餅アイスを食べた。

 

7月9日(日)晴れ

暑い。食欲のためにも早く秋が来て欲しい。

洗濯していたらサイがレゴを積み上げてお花を作って「ぷれぜんと!」とくれた。嬉しくてあけびの入った花瓶の隣に飾ったら返してくれと言われたから返した。昼前にK帰宅。昼ごはんを食べずして再びいなくなった。サイと二人でキーマカレーを食べた。少しでお腹いっぱい。サイと昼寝。なかなか寝付かない。昼寝後お絵描きなど。粘土は飽きたのか君。

 

夕方帰宅したKと交代し新宿へ。まこりんの初主演映画鑑賞と舞台挨拶とサイン会。そういえば舞台挨拶って初めてだ。俳優さん達が撮影の話をするのがとても興味深かった。憎らしい悪人役の俳優さんが物凄くいい人そうで、俳優ってすごいなと当たり前のことを思った。まこりんに初めて会えて気持ちが高まり思わず泣いてしまったら優しくハグしてくださった。映画は本当に今まで私的感情を理由にまこりんの出演作を観れなかったけど、もっともっかまこりんの作品を観たいと思った。特にスクリーンで。トイレに行ったら酷い顔をしていた。映画館を出てラストシーンを思い返しながら新宿駅へ向かった。ベルクで一杯だけビールを飲んで帰宅。帰宅したらサイはお風呂上がりだった。私もシャワーを浴びてサイと一緒に布団に入った。サイとKが寝た後、テレビを観たり漫画を読んだりして就寝。

 

音楽でも映画でも絵画でも、自分が生きているのと同時代に生まれる芸術作品を自らの身体を以ってして現在進行形で体感できるということは本当にすごいことだなと改めて感じた。死ぬまで生き物のように変わりゆく芸術を目撃したい。芸術と生活は常に隣り合わせだと信じていたい。

 

いつもこんな顔をしてたのか

6月26日(月)雨時々曇り
色々あったが、気合を入れて一週間スタート。サイは朝から義母が先週送ってきた果物ゼリーを食べたいと騒いだ。わりと量があるし朝ごはんとしてはどうなのかなと思ったが食べたいと言ったので仕方なかった。色んな味から迷いに迷ってさくらんぼ(冷蔵庫に本物のさくらんぼもあるのに)が入ったゼリーを選んで蓋をめくって渡すと嬉しそうに食べていた。私も一緒に食べるよう強要されたため、あまり気分が乗らなかったが一番食べ易そうな梨のゼリーを食べた。サイは梨も欲しがったので半分食べたところでそれもあげた。朝からゼリーとか、いつ何を食べるか(おやつは絶対15時と決まっていた)に厳しかった自分の母親に言ったら怒られそうだなと思った。でも私は私のやり方でやっていく。もう食べたことない人はいないんじゃないかと思うぐらい有名な「ゼリーのイエ」のゼリーを最近ツイッターで見かけたが、ずっと食べたいのに食べたことない食べ物の一つ。お取り寄せしたらサイは絶対喜びそうだなと思った。愉しみができた。
雨なのでフル装備登園。脱いだり着たり繰り返して本当に障害物競争かスパイ大作戦の気分。河童は究極にダサいしサンバイザーで頭痛いし朝から疲れる。

夜。Kにお迎えを頼み、スーパーに寄って帰宅。二人より早く帰ってきたのにすぐ夕食作りに取り掛かれず、部屋の電気もつけずにスーパーのパンコーナーに2割引き(160円!)で置いてあって買った美味しそうなフライドポテト(ピザハットのポテトに似てる)をつまんだ。思いの他美味しかったので止まらなくなり結局全部食べた。まもなく二人が帰宅したがサイが近所にたくさん咲いている紫陽花を見に行きたいと言ったらしく、荷物だけ置いて二人はまた出かけた。最近休みの度に「紫陽花見に行こうよ」とあじさいデート?に誘って二人で見に行っていたが、サイが関心を持っているかどうかよく分からなかったので、自分から見たいと言うなんて嬉しかった。私がお花に対して可愛いねと言ったり愛でている様子を普段から見せているからか、サイもお花が好きなようだ。花が好きな男性はいい、すごくいい。假屋崎だれそれがいいという意味でなく。ちなみに最初サイは紫陽花が「おじさん」に聞こえていたようだ。ずらっと横一列に並んでいるおじさんをサイと見に行くと考えたら可笑しかった。挽肉と野菜を炒めてごはんに乗せ、その上から目玉焼きも乗せた。サイは目玉焼きというか卵がかなり好きなようでそれだけ先に食べてしまい「もっとたまごたべたいのー!!」と欲しがっていた。


6月27日(火)
朝。パンとキウイ。ゴールドだと思って買ったのに切ったらグリーンだった。ショック。メロンパンナちゃんと同伴登園。

出社してすぐ、海老蔵ブログにアクセスした。ずっと見るのが怖かったけどようやく開いた。麻央さんが亡くなって約一週間が経つが、悲しみで満ちているかと思いきや意外なことに明るく活動的な内容だった。しかも、ものすごい更新頻度だった。海老蔵氏は公演を一日も休まず稽古に励み、お子さんも麻央さんが亡くなった翌々日には舞台に立ったと書いてあった。信じられない。打ちひしがれてぼーっとして生きる気力を無くしていたのは私だけだった。彼らは闘いを終えた後再び休むことなく闘い始めていた。ブログに書かれていることが本音とは限らないし無理をして書いている可能性もあるが、この「生きている」感じが全面に溢れ出ているブログがとても心地よかった。

アメブロはアクセスすればするほど書いた人が儲かるしくみなので嫌な人のアメブロは見ないようにしている(嫌なら見ないのは当たり前か)。海老蔵さんと二人のお子さんはお金にはまず困らないだろうから金銭目当てで更新しているのではないと分かっているし、「更新しすぎ」という批判の声があることに対しても自らブログの中で弁明されていた。頻繁に更新して何が悪いのと私は思う。「更新しすぎ」と言う人はこれまで一度も、文字化したものを不特定多数の誰かへ向けることで自己や物事を客観視し状況に立ち向かおうとしたことがないし、する必要もないのだろう。私は彼のブログを今後毎朝PCを立ち上げてすぐ見ることに決めた。海老蔵さんが苦悩している様子、麻央さんが好きだったピザを子ども達にリクエストされて苦手ながらも一緒に食べている様子、お子さん達の様子、稽古の様子、どんなにつまらないことで一日に何度更新したってかまわない、彼や子ども達が生きていることが私を生きさせる。上のお子さんがお花を床に並べている写真が印象的だった。

夜。K不在。私は昨日の昼に食べようと日曜の夜準備したが持って行くのを忘れて、くやしいことに今日も忘れた挽肉と野菜を炒めてご飯にかけた弁当を食べた。サイに食べさせてお腹を壊すと大変だと思い、サイはごはん、納豆、トマト、ハムエッグ、とうもろこし。朝ごはんみたい。夕食後、「おじさんみたい~」と言われ何かと思ったら「Mr. Bean」のことだった。
昼休みに明日の朝食用にお気に入りのパン屋で買った食パンその他を忘れてきたことに気が付いた。まあごはん食べればいいか。


6月28日(水)
朝。パンがなければお菓子を食べればいいじゃないをサイに内緒で実行した後、サイに「パンないんだけどごはんでいい?」と聞いたら「いやだ!」と拒否された。他に何もなかったので、ゼリーとキウイ(昨日の残り半分)を食べさせた。まあ炭水化物一食ぐらい抜いても仕方ないか。
トイレトレーニングが一向にうまくいかない。成功すればアンパンマンのシールがもらえる制度にも飽きてしまい(だいたいコンプリートしたから?)、トイレにすら行ってくれなくなった。「あのー、サイくん、トイレ・・いってみる?」と恐る恐るトイレの話題を出した途端に不機嫌になり、「あとで!」とか反抗期の男子かって感じ。なので最近はおしっこもうんこもオムツ中でしておまけに教えてくれない。前はちゃんと便座でできていたのに逆戻りして泣きそう。夜泣きの次ぐらいにトイトレが辛い。次の手を打たないとと思いつつ、平日朝一人でバタバタしすぎて何もできていない現状。

出社して即、海老蔵ブログ。救われるような思い。
今日はパフェの日らしく、それを知ると俄然パフェが食べたくなった。でも行く人が見つからず、一人でもパフェを食べに行きたくて、大好きなフクナガに行くことにした。退社直前、昔よく飲んでいたけど子どもが生まれてから疎遠になっていた別の階の先輩のことが急に頭によぎり、ダメ元で聞いてみたら「胃もたれだけどいいよ」と言ってくれた。私はこの先輩のこういうところが好きだ。疎遠になった理由は先輩が子どもほしくてできなくてずっと悩んでいて、私は私で子どもの話をするのが悪いなと思っていたらだんだん距離が開いた。社内でたまにすれ違うくらいだったので、久しぶりにゆっくり話した。季節限定のアメリカンチェリーのパフェ(見た目からしてもうやばい、至福の塊)を堪能しつつ、仕事や家庭のお互いの近況を話した。ついサイの話をしてしまって、すみませんと言ったら全然いいよと言ってくれた。食べ終わって駅までの道すがらに突然、先輩が妊娠中であると告げられた。ただただ嬉しかった。ゆで卵野郎の話(まだ根に持ってる)とか他の余計な話をしてしまったから、言い出しにくかったんだろうな。先輩は不安で仕方ないと言っていた。これからちゃんと赤ちゃんが育つか、無事に生まれてくるか、保育園は入れるか、仕事は続けられるか。あんなに妊娠を望んでいた先輩は一瞬寂しそうな表情を見せた。

でも私も一緒だった。とにかく不安だった。不安で不安で、ベタにたまごクラブを買ったり、妊婦はどうあるべきかネットで調べまくったり、マタニティ関連の漫画本を買い漁って読んだりしていた。未知の領域への不安に対して知識でカバーしようとしていた。今考えたらちょっと必死すぎだった。生まれてみれば不安になる暇はほとんどないし子どもの方が強いから大丈夫だった。生まれてからは参考書もほとんど読むことはなかった。「絶対にだいじょうぶですよ」と私は先輩の目を見て言い、駅で別れた。

帰宅するとちょうどKとサイが晩御飯を食べ始めるところで私はパフェを平らげたにも関わらず、Kが買ってきた太巻寿司を大量に食べた。何も言わないKに「いや、パフェ食べたかってん」と弁明すると「前からずっと言ったよね」とだけ言われた。こんなに食べたのは数日ぶりだ。甘い物を先に食べて胃を刺激するのはいいかもしれない。ご飯を飛ばして直接甘い物を身体に入れることで疲れも癒されたし、いいことずくめ。ご飯(作るのは放棄)に間に合えば問題なさそうだし、月に一度くらいこれをやろうと決めた。

文通相手から素敵な小包と手紙が届いていて、食後サイと取り合い(本当に熾烈な争い)になりながら開封した。前にも送ってくれて私が好きだと言った美味しいお菓子と、未来少年コナンのイカしたTシャツが入っていた。「ほら、飛行機だよ~」と言ってもサイの関心はお菓子へ向かっていた。可愛いのにな。目を離した隙にサイが手にしていたビスケットの袋をぶちまけて大惨事。入浴後、就寝。


6月29日(木)
今日は一か月に一度の愉しみの日なので予定より早く目覚めてしまった。サイはいつもの時間くらいに起床。パン、アンパンマンチーズ。さくらんぼはいらないと言われた。キャンディ包みされたチーズをサイはいつもうまく取り出せなくて、ここ数日、フィルムを十分に開かず齧り付いてしまいチーズがフィルムの中に残ったりしてそれに苛立っている様子だった。手伝おうとしても拒否されるので少し勿体ないが手助けせず放っておいて後からこうやって開くんだよとキャンディ包みの外し方を教えていた。すると、今日突然きれいに剥がすことに成功したらしく、丸いチーズを嬉しそうに手にしていた。「みてー!できたよ」とサイは喜んで私に教えてくれた。「ええ、すごい!!すごいね!!できるようになったんだね!」と空前絶後の大道芸を見たぐらいに褒めちぎった。するとにやにやして満更でもないという顔をしていた。できないことは余程問題がない限りは無理に手を貸さず、できるようになった時の喜びをサイと一緒に共有したいと思っている。私が食べているのを見てさくらんぼも結局食べた。

出社して海老蔵ブログ。私はアクセスし続ける。気に入って買った着丈が長い派手なワンピースを着て行ったらK原(上司)に「スー●ーフ●イみたい」と茶化されて、彼女は嫌いではないが、そう言われるとそんな気がして脱ぎ捨てたくなった。
打合せで一人暴走列車な人がいて、周りが何を言っても言い訳のような反対意見を行って激走していた。話し合いはまとまらない。こういう人って自分の発言で他の人がどう思うかとかいちいち胸のうちに手を置いて考えたりしないんだろうな。

夜。Kに頑張ってもらい大森靖子さんのファンクラブイベント。ゲストを交えたトークでは色々と興味深い話が聞けた。最後の「好きなことを仕事にすることについてどう思うか」という質問に対する回答が非常に納得できた。自分のやっている仕事内容が最近あまり好きではないから、「好き」を仕事にしている人はどんな感じなんだろうとずっと考えていた。「苦しいやしんどいも好きの一部だけど、全然やりたくないこともしないといけない」と大森さんはおっしゃっていた。好きなことが仕事だとしても、当然嫌な部分もあるのだなと納得した。どんな仕事でも嫌なところはある。
終電で帰宅。楽しいだけに帰宅後の脱力感がすごい。


6月30日(金)
朝。眠いのに早めに目が覚めた。眠くて二度寝。起床。サイはパンが気に入らなかったのか牛乳に浸して食べていたが、浸し方が悪くテーブルに牛乳が広がっていた。拳を牛乳の入ったコップに入れたり出したりして遊んでいたので注意した。朝はサイの機嫌が悪くなって「ほいくえんいかない」などと言われるともう一貫の終わりなので、もっとちゃんと叱るべきなのに機嫌が悪くなるのを恐れてできていない時がある。そういうのは自分本位なので辞めないとなと思うけどなかなかできない。

サイはお買いものと称してままごとの果物や食べ物が入ったスーパーの袋を両手に持って登園した。この、「登園おこだわり」は1歳くらいからずっとで、アンパンマンの小さいおもちゃだったりぬいぐるみだったり、とにかくサイの中で今日これを持っていなかければ一日が始まらないという物があるらしい。急かして「もうそんなのいいから早くして」なんて言うと怒り狂うので時間がない時も泣きそうになりながら待っている。最近は家を出る少し前に「準備できた?」と声をかけておくようにしている。準備って全部要らないものだけど。園では教室の中に私物を持ち込んではいけないので、教室の前で私が預かる。これが素直に預けない時もあり、先生も困っているしまた大変。

出社。海老蔵ブログ。最近麻央さんのブログを引用されているがそれは何となく開けない。
ずっと眠くて、一日中睡魔と闘っていた。本当に眠い時は眠いと感じることもなく、無意識のうちに眠りに落ちている感じ。恐ろしい。

退社後、サイを迎えに行って廊下の窓から覗くと(いつもすぐ教室に入らないで窓から少し覗き見ている)絵本を読んでいた。窓越しに私の視線に気づく時もあれば気づかない時もあり、今日は絵本に集中していて気づかなかった。(気づいたら手を振って変顔をして応対。)同じように絵本を読む友達と並んで椅子に座って一ページ一ページ機嫌よくめくっていた。先生に言われてようやく気が付いた。絵本を放り出して向かって来ようとしたが、先生に宥められ絵本を棚に戻してからやってきた。いつも洋画に観る離れ離れになった恋人達が久方に再会するかのごとく大げさにサイとハグをする。

週末なので引き出し整理をしに本当の教室(お迎え時間が遅いためサイを迎えにいくのは別の部屋)に行くと、サイと仲の良いAくん(美少年)とお父さんがいてサイの機嫌は更に爆上がった。「Aくん~」と言いながら抱きつき、Aくんも「サイくん~」と言い二人はぎゅーっと抱き合うと勢い余ってよろめき机の角にぶつかって、床にごろごろ転がり、それでもそのまま二人は笑いながら抱き合っていた。私とAくんのお父さん(この方だけ「お疲れ様です」の代わりにいつも「こんばんは」と言われる、いつもスーツでなくラフな私服を着ている)は失笑して無言で見守っていた。テンションMAXのサイとAくんは教室に置いてある備品を触ろうとしたので注意した。全然聞く耳持たず。Aくんのお父さんはAくんに甘いのか叱っているのを見たことがない。へらへらと力なく笑っていた。Aくんはお父さんに無理矢理抱きかかえられ、じたばたしながら教室を出た。サイとAくん、こないだ公園で遊んだIくんが悪がきトリオという感じ。三人寄ると大変だ。

玄関ではYちゃんがサイを待っていた。お母さんに聞くと一緒に帰りたいらしい。テンションがおかしいサイはいくら教えてもYちゃんが待っていることに気づかず、玄関で飛び跳ねながらスリッパを荒らしたり借りて帰る絵本を吟味したりそっちのけだった。せっかく晩御飯でも一緒にと思ったがこれ以上待たせる訳にもいかないので、Yちゃんとお母さんに「待っていただいていたのにすみません」と謝ったら力なく笑っていた。Yちゃんは「あいつ馬鹿なことしてんなぁ」という顔をしていた。しびれを切らしたYちゃん親子は帰ってしまい、他の子も次々帰っていくのにまだサイは玄関で絵本を借りる借りないでぐずっていた。何を言っても帰ろうとしてくれず、意固地になるので放っていたら全員帰ってしまい最後になった。それでもまだ帰ろうとしてくれない。色々な先生が帰り際に声をかけたり手伝ってくれ、何とか保育園を出たものの、庭園でも反抗して砂を触って帰りたくないとぐずり、園を出た頃には私はくたくただった。自転車を走らせると「Yちゃんとごはんたべたかった~」とぽつりと言った。もう遅いよ。大人になってもそんな感じで女性を逃してそうだなと思った。
疲れて近所のファミレスでごはん。帰宅後お風呂、就寝。


7月1日(土)雨時々曇り
朝から雨が降ったりやんだりだったが、パン美人とお出かけ。二人でずっと行きたいと話していたお店があったので本気を出して中目黒まで行った。もしかしたら中目黒はサイが生まれてからは初めてかも。目的地に着くと何とあろうことか、機械の故障で今日は営業停止ですと言われた。がーん。パン美人と落ち込みながら適当に見つけたうどん屋さんでお昼。適当に入ったわりに美味しかった。さすが中目黒と二人で言い合った。それからぶらぶら気になるお店を散策し、途中でベビーカーに乗ったサイは寝て、私はパン美人と色々話しながら歩き続けた。

最終目的地の恵比寿にある私の好きな洋服屋(パン美人が一緒に行きたいと言ってくれていたので)に向かう時、坂道をふぅふぅ登っていたら「藤井四段ばりの前傾姿勢!」と言ってげらげら笑ったあと私を気遣って交代してベビーカーを坂の上まで押してくれた。なんていい人なんだろう。一生この人を大事にしようと思った。洋服屋では生涯のお気に入りとなりそうな美しいワンピースに一目惚れして、そこそこの値段だったが試着したら更に欲しくなり思い切って購入した。いつどこに着ていくのか分からないがとにかく見惚れる美しい服。会計の間、起きてぐずったサイをパン美人は見てくれていた。ありがとう。


駅でパン美人と別れ、私はサイとアトレの屋上庭園に行った。お腹が空いたのでサイとパン美人にもらったパンを食べて、サイは走り回ったり、私がディーン&デルーカで買ったミントソーダを苦いと言いながらけっこう飲んでいた。何と言ったらいいのか、サンフランシスコガールズって感じの薄着で長髪の8歳くらいの少女達が5-6人くらいで遊んでいて、離れたところで娘を放置して喋っている親達もやはりサンフランシスコママって感じだった。その少女達の輪にサイは入りたかったらしく、そろりそろりと近づいたものの、少女達はサイの存在を気に留めることもなくだるまさんが転んだのような遊びをしていた。リーダーっぽい顔をした少女がポケットからハイチュウを取り出して皆に配ったらサイはリーダーを食い入るように見つめて側に寄った。リーダーは一瞥をくれることもなくお構いなしだった。輪に入れなかったことと、お菓子がもらえなかったことで泣きそうになりながらサイが私のところに戻ってきた。無言だったけど気持ちは十分に分かったので、サイの訴える瞳を覗いてただうなずいた。その後もしばらく屋上にいた。寝転がって一緒におじさんみたいな形の雲を見たり、サイが私をiphoneで撮ってくれた。後で見たらまともに写っているのが一枚だけあり、私はサイにいつもこんな顔をしてたのかと初めて知った。気が抜けてとろんとしたような今まで見たことのない顔だった。

屋上から階下に戻ると眼鏡屋さんを見つけたため、今の眼鏡は瀕死だし新しいのを作ろうと急に思い立ち、サイが触ろうとするのであまり吟味できず、とにかく曲がらない眼鏡を選んで検査などしてもらった。できるのを待っている間サイは本屋さんで絵本を読んでいた。眼鏡が出来て本屋を出ようとすると、アンパンマンの本が欲しいと言い、まあいいかと思ってレジに行く途中、突然カラフルな粘土で弁当が作れるキットを見つけ、やっぱりこれがほしいと本をすぐに諦めた。思ったより安かったのでOKした。粘土セットの支払をして袋に入れてもらうと嬉しそうに抱えていた。眼鏡を受け取ったら時間が遅くなったので、そのままアトレで晩御飯を食べた。照明がやや暗いムーディーな店内でサイと横並びの席に通されて笑った。でも実際はサイがお茶をこぼしたり奇声を上げたりして全然落ち着かなかった。帰宅してお風呂、就寝。
粘土をやりたいやりたいと騒いだが明日やろうと宥めるのが大変だった。


7月2日(日)晴れ、暑い

来客の予定だったが一方的に決められて来て欲しくなかったから嘘をついてドタキャンした。

朝起きた瞬間、サイは「ねんどやりたい」と言った。余程やりたかったのだろう。Kはまだ帰ってきていない。木曜の夜に、土曜日仕事終わりで友達と飲むから朝帰りになると言われた時、あり得ないと思ったが、サイが起きるまでに始発で帰ってきたらいいよと許可した。全然守ってくれていない。サイが起きてしばらくしたらKが帰宅。約束と違うことを責めたら「そんな約束してない」とかわされた。いつもこんな感じで約束を守らないので、契約書書かせればよかった。選挙。帰宅後洗濯掃除。サイとKは公園。

二人が昼過ぎに戻った時、大量の洗濯物を干すのに時間がかかりまだ部屋の片付けに取り掛かれないでいると部屋に入るなり「うわ、汚い。何やってたの」とKの機嫌が悪くなった。朝帰りのくせに。お昼は作ったけどその後喧嘩をした。なんでこんな人と結婚したのか悲しくなったので、先が不安だなどと思ったことを口にして、どう思うか意見を求めたら「そんなこと言ってないでとにかく部屋を片付ければ?それで全て解決するよ」と真顔で言ってきたので、人生の選択を誤った気がして悲しくなった。解決するならおまえがやれよ、と思った。

昼寝後、サイと粘土。サイは昨日から意欲を見せていたが、やり始めると始終楽しそうで、ものすごい集中力を発揮していた。おやつも忘れるほどだった。途中まで手伝ってできそうな所をやらせたら満足そうだった。

粘土をやり続けたいサイをなだめてKはサイとスーパーに出かけて私はその間猛烈に部屋を片付けた。帰宅後ごはん。ごはん開始が15分遅れて文句を言われた。持って来てと言われて渡したソースが違うと文句を言われた。堆積していく悲しみ。
二人が寝た後、サイと作った粘土のお弁当をぼーっと眺めながらおねんどお姉さんって可愛いなって考えてたはずなのに、いつの間にか今までの自分の人生について考えていた。

明日は月曜日。

感情のええじゃないかとその後

金曜日からの出来事は書きたくなかったけど忘れないために書く。どうしても抽象的な表現になってしまう場合があるかもしれない。

6月23日(金)天気不明
リフレッシュがきいたのか、目覚めもよかった。午前中は仕事がはかどった。お昼休憩で卵サンドを頬張っていた時、小林麻央さんがお亡くなりになったことをネットニュース(何となく記事を開けなかった)で知った。それからしばらく何も手に着かなかった。フロアの人は話題にしている人はいてもさほど悲しそうにしておらず、いつもと変わらずお弁当を食べて別の話題で談笑したり、雑誌を読んだり見た感じは普段と何も変わらない昼休みの光景だった。感情の強要はしたくないし、全ての人の気持ちが顔に表れるとは決まってないとは分かっていても、この「いつもと変わらない」がどうしても理解できなかった。堪えきれずに涙も少し出てしまったし、歯磨きでもしようとトイレに行くと仲の良い人にたまたま会った。彼女にぶつけるように「みんなおかしくないですか」と聞いた。私の口ぶりにちょっと困ったような顔をしたが「私は悲しいよ。うん、おかしいよね」と落ち着いて共感してくれた。私自身の「かなしみ」は悲しいというより、麻央さんのブログに繰り返し書かれていた「生きること」への強すぎるほどの意志が最後は成就しなかったことに対して悔しさを感じていたように思う(あとから海老蔵ブログに「肉体は失われた」と書いてあるのを読み、そうだよなとまた悔しさ募った)。人と話しても気持ちを切替えられなかった。その後、どちらも仕事関連で「怒り」、「喜び」の感情を起こさせる出来事が大波のようにやってきて感情フォルダが飽和状態になった。なったかと思うと突然風船が割れるように弾け飛んで虚無のようなものが訪れた。こんな感覚は初めてで不思議だった。「怒り」が鎮まった後、「喜び」に対応するのに注力し麻央さんのことは考えないでいた。

終業少し前に仕事が落ち着き、入社以来よくしてくれている母親より年上の女性社員さんのところへお遣いに行くと、いつものように「元気?子ども最近どう?」と静かに聞いてくれた。嘘がつけないので、「いや、今日はちょっとだめで・・」「どうしたの?」「あの、麻央さんのニュースで・・」「・・・??」「お亡くなりになって」「え、うそでしょ!?」というやり取りをした。その方は社内でもちょっと特殊な仕事をされているのでネットをほとんど見ないようで、知らなかったようだ。物凄くショックを受けた顔をしていた。「ご存じでないとは知らず、言ってしまってすみません」と言うと「ううん、そうか、辛いよね、子どもまだ小さかったよね」と目に涙を溜めて言った。それを見て私も泣いた。「みんないつもと何も変わらなくて、普通に笑っているのがどうしても分からなくて」とつい言うと、「え、なにそれ、そいつら全員おかしいよ、感情がないんじゃないかな」と言ってくれ、お昼に「病院出たってことでもう分かるよね」と笑っていた人が感情がないかどうか私には分からないがどうにも理解できなかったため、その日初めて共感してくれる人に出会えたと思って救われるような思いがした。ありがとうございます、と言いその人の席から去った。

定時に退社し、お迎えに行くとサイは金曜日と分かっているのかいつもより嬉しそうだった。どの子も嬉しそうでまだ外も一向に暗くならないので園庭ではしゃいでいた。サイと仲良いYちゃんのお母さんと並んで遠くではしゃぐ子ども達を眺めながら、今日長かったなぁと考えていた。海老蔵さんのことが一瞬頭に浮かんだがサイを連れて帰ることで必死だったのでそればかり考えなくて済んだ。それからYちゃんのお母さんに話しかけ、週末Yちゃん親子と公園へ行き、初めて我が家に来てもらうお誘いをしていたのを再確認した。他のお母さんどころか他人をまだ家に招いたことがなかったが、この人なら来てくれたら嬉しいかもとお誘いした。麻央さんのことは何となく言わなかった。

サイと帰りにドラッグストアに寄り、ビール二缶とよく知らないくせにサイが欲しがった「ねるねるねるね」二つ(Yちゃん来るかなと思って)買い物カゴに入れて、あとこれもサイが欲しがった調理不要なミートボールも買った。
帰った瞬間、サイと手を洗ってからご飯の用意もせず、ビニール袋からビール缶を一つ取り出して立ったまま一気に半分ぐらい飲んだ。冷凍してあったお好み焼きとミートボールとトマトを食卓に並べサイと二人で食べた。お好み焼きを食べるサイの顔を見ていたら、それまで大丈夫だったのに突然涙が溢れてきた。麻央さんの二人のお子さん何歳だったけと考えてしまうともう止まらなくなった。サイの前では泣きたくなかったのに止まらなかった。サイが「おかあさんだいじょうぶ?」と心配したので「目にゴミはいっちゃったよー」と言ったり、「見てよこの顔~面白くない?」と顔をつぶして変顔をして取り繕った。涙が余計に出てきた。食後はなるべくサイに顔を見せたくなくて、私も考えたくなくてサイの好きな「にこにこぷん」や「あんぱんまん」を観た。お風呂でまた泣いたけどお風呂だからサイにはバレなかった。そういえば誰かが「泣く時は湯船で泣くのが一番いい」と言っていたのを思い出した。お湯で流すとすこしすっきりしてもう泣かなかった。サイといつものように歌を歌いながら寝た。また涙が出てきたが暗がりだからバレなかった。サイはすぅーっと寝て、私は全然眠れなかった。Kはまだ帰ってこない。

真っ暗で静かだった。静寂が怖くなり、サイの横で寝ながらイヤホンで好きな音楽を再生した。それから友人にメールしたり、大好きな方に超長文でただ今日何があったかをひたすら説明したDM(受け手は迷惑甚だしいと後で自省)を送った。送ったら満足して何もせず天井を見つめて音楽を聴いていた。涙がすうーと流れ出て、仰向けに横たわったまま静かに泣き続けた。涙がずっとずっと止まらなくて他人事のようにわぁすごいなと思っていたら枯れたのか急に出なくなった。頭ががんがん痛かった。だからイヤホンを外して寝た。眠れず麻央さんのことや色々なことを考えていたらいつの間にか少し寝ていた。何時か分からないがKは帰ってきて風呂場で寝ていたようだった。


6月24日(土)晴れのち曇り
少しだけ眠ったようで変な夢を見て起きたら頭が痛かった。Kは再び出勤したらしく、いなかった。目が腫れていて顔がむくんでいるのが分かったが、あれだけ涙を流したからか精神的には落ち着いていた。
朝食後、ニュースは見たくないなと思い、サイがこれ観たいと言った幼児雑誌の付録についていたDVDを流した。私がちょっと別の場所に行った時に突然、サイの今まで聞いたことないような異様な泣き声、「こわいーー!!!」という声が聞こて来たので、慌てて駆け付けた。ちょうどDVDが終わりテレビモードに切り替わって、ニュース映像を観たらしかった。すぐに消したからほとんど観ていないが、病院にいた麻央さんの姿写真だったようだ。「こわいこわい」と大泣きするサイをぎゅっと抱きしめて「こわくない、こわくないんだよ、この人可愛いんだよ、可愛い人なんだよ、おかあさんと同じなんだよ」と私も泣きながら必死で言った。朝のニュースは誰が観るか分からないのに、視聴率優先でこれでもかと心苦しくなる写真の数々を流すテレビ。嫌なら観なければよいがあのような海老蔵さんや二人のお子さん達への取材の仕方含めマスコミのやり方が残酷すぎて理解できなかった。2歳半のサイにはまだ死を理解させる必要もないと思ったし、うまい対応ができなかったため、再びDVDを再生した。

その後、DVDにも飽きたようだったので洗濯物干しがまだ途中だったが「じゅーすやさんつくって」というサイのリクエストに応えて紙にジュース屋さんを描いて、ジュースやお金を別に紙で作って動かして遊べるようにした。思いの他気に入っていたようだった。

昼食(ファミレスに行きたいと行ったから準備したら行きたくないし外に出たくないと言われて結局家で食べた)後、昼寝をさせようとするも暑くてなかなか寝てくれない。寝室とは別の部屋にサイと私の敷布団を敷くとサイは喜んで転がった。それでも「おとうさんいない」とまだずっとぐずっていた。Kにテレビ電話しても落ち着かずだんだん疲れてきたので、「お父さんは海苔巻きおじさんと戦っているんだよ」と適当なことを言った。「のりまきおじさん?」と不思議そうにしていたので、「眠ってない子がいると海苔とご飯を両手に持ったおじさんが窓から入ってきてサイくんを海苔巻きにしてしまうんだよ。高い窓でもジャンプしてくるよ。」と教えると怖がっていた。自分でもけっこう怖いなと思った。怖いだけだとあれなので、「怖いおじさんがサイくんを食べようとするのを止めるためにお父さん頑張ってるんだよ」というと納得したようだった。そうこうしていたら眠ってくれた。稲荷おじさんというのがいてもいいなと思った。

寝かしつけに時間がかかったため今からYちゃん親子の訪問に備えて片付けるのは無理だと判断してYちゃんのお母さんに断わりの連絡を入れ直接公園集合にしてもらった。サイが起きて公園へ行った。Yちゃんと遊ばせる。Yちゃんのお母さんに麻央さんのことを聞いてみたがあまり話が続かなかったので辞めた。Yちゃんはサイに比べて運動神経がよく、それはもっと小さい頃から顕著で、一人で滑り台を滑ったり高い所へ登ったりしていた。小さな子にはまだ早い遊具にも器用に登っていた。好きなんだろうなと思った。サイは私に似たのか運動音痴でYちゃんがおいでよ~と言っても登れなかったり、滑り台も上まで上がっただけで滑るのを辞めたりした。いい時間になったのでごはんを食べようとファミレスへ行った。

Kも合流して(Yちゃんのお父さんは仕事)食べたい物(私は肉とビール)を食べた。サイとYちゃんは横並びに座って楽しそうにしていた。Yちゃんがお父さんと家でよくやっているという口食べ(「わんわん物語」の要領)でポテトを咥えてサイの方を向いても、サイには何の事かさっぱり分からないようで動揺していた。Yちゃんは「なんだつまんないの、まあいいや」という感じだった。女の子の方が大人になるのが早いとはよく聞くが本当だなと実感した。サイが大人になっても同じように女性を前にして動揺している姿がつい思い浮かんでにやにやしてしまった。

帰宅してお風呂、就寝。

6月25日(日)雨
明け方起きたら朝なのに外が暗かった。湿気があって不思議な感じだった。朝食後、準備。Kにサイを見てもらい美容院。上京以来通い続けている美容院なので気が楽。店の雰囲気が可愛くて店員さんがみなおしゃれで優しいので気に入っている。美容師さんとは深い話をする分けではないが、お互いの家族の話などよくする。とても腕がいいので、実家に帰ると母に「いい髪型」でなくなぜか「うまいなぁ」と褒められる。伸びることを想定して一ミリ単位で切ってくれるのがまたすごい。老い対策について盛り上がり、プラネタリウムやこないだ観た映画についてべらべら話した。

美容院後、小学6年生以来ぶりにラフォーレのSWIMMERへ行った。地下へ降りて行く感覚が足で覚えていてぞくぞくした。時間もなかったので、とにかく可愛いと思ったものはカゴに入れ、今までありがとうの気持ちも込めて大量に買った。SWIMMERを出たらトイレに行きたかったが時間がなかったので我慢してお昼も買わずに電車で帰った。

 

帰宅するとちょうどKがサイを寝かしつけたとこだった。冷凍食品を食べていると、ごとっという鈍い音と共にサイの泣き声が聞こえた。あー、と思って見に行くとベッドから落ちていた。私なら落ちないよう周りにクッションを置いたり万全にするのに、Kはそういう所がツメが甘い。サイは眠いけど起きてしまったことで機嫌が最悪。抱っこしたり色々して再び寝かせようとしたがだめだった。もう起きると言ったのでリビングへいってもここで寝ると言い、布団を敷いたら眠れなくて泣き出したり散々だった。疲れた。サイが話したいというのでKに電話してもすぐ切られた。はぁ疲れた。みんなお母さんはすごい。

夕方、イヤイヤで行きたくないというサイをようやく宥めてスーパーへ行ってサイのお菓子と夕飯の材料を買った。入り口にある花をみて、家の花は枯れてるなぁ明日帰りにお気に入りの花屋さん行こうかなと考えていたら、サイが向日葵とバラが入った花束がほしいと言った。黄色と濃いピンクで派手な感じだった。家の中が殺伐としていたし、たまにはこういうのもいいかなと思ってカゴに入れた。手持ちが足りなくなりそうだったので最初カゴに入れていたアイスや菓子パンを辞めた。

公園に寄ってサイとおやつを食べた後帰宅。夕食、お風呂、就寝。

感情のジェットコースターのような週末だった。ジェットコースターは嫌い。乗る人がいたら座って下から眺めながらメロンソーダ飲んで待っているタイプ。

 

金曜日にたくさん泣いてから、牛乳を飲んだ後のコップのようにかなしみの膜みたいなのが胸に張られて取れない感じがする。食べたいのに食欲がない。

たまには星座をみにいこう

6月20日(月)晴、蒸暑い
朝。昨日疲れてしまったのか寝る時間は遅くなかったのにいつもの時間になっても珍しくサイは起きてこなかった。なので先に準備を済ませ、ぎりぎりまで寝かせてあげることにした。それでも朝ごはんを食べないで登園するのは可哀相だと思い、食べる時間くらいの余裕は残して起こした。寝ているサイをほとんど起こすということをしたことがないので、「もっとねたい~」と機嫌が悪かった。頼まれない限り寝てる人を起こすのはあまり好きじゃない。たまにKがいつもの時間に起きてなさそうでも特に起こしたりしない。社会人だし遅刻しても自己責任。なんで起こしてくれなかったの?と言われたこともない。余裕をみたはずなのに、サイはまだ眠そうでいつもより食べるスピードが遅かったり、途中でうんちをしたりそれでオムツを取り替えてお尻を拭いたり時間はどんどんなくなった。着替えさせてバタバタ登園した。今日はメロンパンナちゃんが同伴。

夜。会社で朝イチで嫌なことがあったのと、大勢が集まるのに冷房が全く効いてない部屋に立たされて暑さで吐きそうになったダブル悪で食欲があまりなかった。帰りながら冷蔵庫に良品週間に買った無印の冷汁の素があったことを思い出し、冷汁なら食べられそうと思った。ボウルに液と刻んだ茗荷と適当につぶした豆腐を入れておしまい。何て簡単なんだろう、火も使わないから去年の夏も一昨年前の夏もこればっかり食べてた気がする。きゅうりと紫蘇がなかったのでKに買ってきてもらって入れた。あと肉屋で鶏天も買ってきてもらった。サイは薬味が嫌かなと思ってサイの分だけ薬味を抜き代わりにカニかまを入れた。「なにこれー」とカニかまを触って珍しそうに眺めていた。カニだと言って先生や周りに「サイくん、おうちでいつもカニたべるよ」など言われてしまっても大変なので「おさかなだよ」と本当のことを言った。魚の姿と違うからか「おさかな~?」と不思議そうにしていた。食欲ない時にも食べられる冷汁なのに私はほとんど食べられなかった。帰りながらあれだけ飲みたいと思っていたビールも飲まなかった。Kがほとんど全部平らげた。

夕食後、1月に引っ越してから我が家初のGが出た。Kが発見して変な叫び声を上げていた。男気なく私に殺させようとしたので「初めに見つけた人が最後まで面倒みるのがルールでしょ」と押し付けた。Kは慣れてなさそうな手つきでGジェットを噴射。実は私はG処理に関してはかなり自信がある(気分悪くする人がいるかもしれないので理由は書かないでおく、聞きたい人がいたら聞いてほしい)のだが存在が嫌いで見たくないので関わりたくなかった。手間取っていたので食器洗用洗剤を持って応戦した。トドメにはこれが一番利く。黒々としてかなり大きいGだった。大きい方が外から来る系で安心だけど。ようやく始末したKが生気のない顔で戻ってきた。情けない。サイは遠くから見ていて気になっていたようだけど何となく殺しているところは見せなかった。「むしさんは?」と聞かれたので「外にいっちゃったよ」と言った。Kは「G-SHOCK」と急につぶやき、面白かったので私が爆笑したら力なく笑っていた。

二人が寝た後、大森さんが作ったゆるめるモ!の新アルバム収録曲「うんめー」のMVを観たら自分でも信じられないぐらい涙がぼろぼろ出てきて観終わって大森さんに感想を言おうと思っただけでまたぼろぼろ泣いてしまった。落ち着くために歌詞を紙に書き写した。とてもいい曲だった。少し大きくなったサイがもし学校やどこかで嫌なことがあった時、この曲を聴かせてあげたい。


6月21日(火)晴、蒸暑い
朝。写真を撮ろうと思って布団の上で我が家のぬいぐるみを大集合させたら並んでいる様子が最高に可愛くてサイと二人でげらげら笑った。サイは私が5年くらい前に買った嫌な思い出のつきまとうけっこうリアルな鰐のぬいぐるみを特にかわいいかわいいと言い抱きしめていた。私も鰐のぬいぐるみを気に入っているし鰐に罪は全くないので捨てたりは絶対しない。目につくところからは少し遠ざけてしまうが、こうやって時々可愛がる。サイはその鰐のぬいぐるみ、通称「わにちゃん」を抱いて登園した。好きな漫画、岡崎京子のPINKみたいでいいなと思った。わにちゃん(を動かす時)は結構がらがらした声で喋る。

私は昔からとにかくぬいぐるみが好きだ。所詮布の塊に過ぎないともちろん頭では理解しているが、どうしても生きているように接してしまう。一人で部屋にいる時に話しかけるとかは流石にしないが、子ども(もしくは人)相手だとぬいぐるみを動かしていくらでも話せる。小さい時から母はぬいぐるみを動かして私やきょうだいに話していた。もちろん普段の母とは普通に話していたが、本当に大事なことや言いにくいことはぬいぐるみに言わせていた。それぞれ声や性格を変えてぬいぐるみ達(を動かす母)は私に接してきた。関西弁、関東弁も性格に応じて使い分けられていた。どこの家庭でもそれが当たり前に行われていると思っていたものだから、人にぬいぐるみの話をしたら気味悪がられて初めて「うちの家」が特殊だと気が付いて驚いた。きょうだいも同じことを言っていた。この話は書くと長くなるので後日。

夕方。今日のお迎え担当はKだったはずが、「取引先につかまった」とLINEが入った。だから鐘と同時に退社して駅まで走ってサイを迎えに行った。サイを迎えに行くといつものように犬のように飛んできた。わにちゃんは年配の保育士に人気だった。サイは機嫌が良く校庭で飛び跳ねてなかなか帰ろうとしてくれなかった。耳鼻科へ連れて行きたかったのでなんとか自転車に乗せて園を出た。耳鼻科に行く途中、運送会社のトラックが止まっていて、車体の横か後ろから白い煙がもうもうと上がっていた。なんか様子がおかしいと思っていたら煙は更に増え、焦げたような匂いがした。あ、これ危ないかもと思い、その道を通るのを辞め反対側へ行った。付近の人は怪訝な顔をしていた。結局トラックはどうなったのか分からないが、爆破か炎上するかと思った。二人で死ぬかもと思い咄嗟に逃げた。何もなかったかもしれないがサイだけは死なせてはいけないとドキドキした。サイを産んでから危険察知センサーみたいなのがかなり敏感になってしまった。
耳鼻科で遅くなったので帰り道の食堂でサイと二人で食べて帰った。カオマンガイと一瞬迷ったけどビールも頼んだ。サイの水と乾杯した。サイはお子様ランチ的なのを食べて喜んでいた。5名くらいの真面目なおじさん集団(なんやそれ)もビールを飲んでカオマンガイを頼んでいた。「今、若い女の子に人気らしいよ」とうきうき言っていて同じものを食べてる私は「若い女の子」になった気がして嬉しくなった。「どこの国だっけマレーシアだっけ」とカオマンガイ談義は続いていた。

コンビニへ寄ってから帰宅。お風呂を入れようと思っていたらKが帰ってきてお風呂を代わってもらった。普段は私がサイと入るがたまにはいいかと思って。そしたら風呂場から鳴き声が聞こえてきてサイはすがるように出てきた。Kは多分洗い方とか慣れていないのだと思う。Kとサイが寝て、私はシャワーを浴びて部屋を最小限に暗くして静寂の中、水をお供に心の整理(部屋は汚い)をしてから寝た。思考や雑念が渦巻いている時は文字にして打ち込むことが私には合っているらしい。

6月22日(水)
朝。K休。サイはさくらんぼの種を飲み込む快感?を覚えたらしくわざと飲み込んでいた。心配していたらKは「でるんだからいいんじゃないの」と呑気だった。
昼。前は同じ場所にいて別の支店に異動になった人が仕事でこちらに来たらしく久しぶりに会った。悪い人ではないが、その人が開催する飲み会に行くと自分以外にがんがん酒を飲ませて潰した挙句、酔った人々を盗撮し自分のSNSに載せる。だから飲み会は行かないか、どうしても行く必要がある時は心を鬼にして、飲んだふりをして別の空グラスに入れたりして酔わないようにする。それはどうでも良いとして、その人(素面の時は普通にいい人)に「Iくんが少し前に辞表を出したがっていた」と聞いた。Iくんはその人の元部下で、今は違うけど同じ支店で働いている。Iくんは私より3つくらい後輩で、普段はぼーっとしてナマケモノみたいなのに仕事になると頭がキレてこちらの思うことを先読みした働き方をする。入社して間もない研修期間の頃、Iくんが仕事できすぎて私の用意した練習用業務が物足りなさそうだったのを覚えている。その支店では、よからぬ者達によって優しい人がどんどん潰されているとか辞めたとか飛ばされたとかあまりいい噂を聞かない。信じられないようなパワハラは揉み消されていた。でもIくんは強いから大丈夫かなと思っていた。様子を聞いて泣きそうになって社内メールをした。

夜。知り合いに急ぎで渡すものがあってお互い終業後待ち合わせして軽く食事をした。私の大好きな場所。ここには好きな人としか行きたくない。サイのお風呂&寝かしつけがあったので1時間くらいだったがたくさん話せて嬉しかった。そういえば土曜日にあったばかりなのに喋りたいことが山のようだった。テイクアウトしたアイスを一緒に食べながら駅に向かって別れた。家に帰るとKがサイをお風呂に入れ始めてくれていて、サイの嫌がる声が聞こえた。私が帰って来て救いを求めるように、サイはカラスの行水で風呂場から飛び出してきた。「こわかったねぇ」と言ってタオルにくるんで抱きしめた(Kには私がそうやってサイを父親嫌いになるよう洗脳しているといつも言われる)。歌いながら入眠。私は少しだけ寝て起きて大森さんの深夜ラジオを聴いてから寝た。


6月23日(木)曇り
朝起きて貧血で顔面蒼白。最近食事を十分にとってなかったのと昨日夜更かしした自分に責任はある。メンタル的には問題ないがふらふらで出社。出社したがやっぱりムリと思って一応上司に打ち明けた。帰っていいよと言われたが朝やらねばならない仕事があったので午後休を申請した。データ入力と打ち合わせをしたら即退社。

家に帰って寝たかったが、常に近所の動向をチェックしている監視おばさんに「この人子ども保育園行かせて家で休んでるわ」と思われるのが嫌で、思いついたのが好きだがサイが生まれてから行けてなかったプラネタリウムだった。映画のように必死になって観ずに何なら寝てしまってもいいかもしれないと思った。上映が始まり、もたれ具合がちょうどいい座席、貸出の気持ちいいブランケット、最新技術を駆使した半球スクリーンに投影される映像(こんなにすごいって知らなかった)、某好きな女優のぼそぼそとしたナレーションと音楽、なんか漂う癒し系の匂い(ヒーリング効果のためそういう香りを出しているらしい)で完璧最高だった。天国。開始間もなく眠くなってきて、でも予想以上にプログラムが面白かったので半分寝ながらもぼーっとして観聴きしていた。「昔の人は星を頼りに航海していました」、というどこかで聞いたはずの解説に自分でも驚くほど感動して(女優さんの声の効果絶大)、気が付いたら泣いていた。さすがに声を出して泣かないがひたすら静かに涙が流れていく感じだった。冬の空で大森靖子さんの曲にもなっている「オリオン座」が見えて、あぁーとまた涙が出てきた。なぜかこれまでの人生の良かったこと悪かったことが溢れてきて、ちょっと眠くて意識が朦朧としていたので死ぬ前ってこんな感じかなと思った。上映が終わり明るくなったら、隣の知らない人は何事もないような顔をしていた。「(映像がきれいすぎて)気持ち悪くなった」と言っている人もいた。泣いているのが自分だけなのが恥ずかしくて急いでハンカチで拭いて平気な顔で出た。

帰ろうと思ったら外でビールを飲んでいる人が見えて、吸い込まれるように入店して外の座席に座りビールを一杯だけ頼んだ。風が気持ちよかった。涙を流したからか目を休めたからか気持ちと頭がすっきりしていた。少しだけ洋服屋を覗いていつもの時間に仕事帰りのような顔をしてお迎えに行った。Kが帰宅して「ビール飲む?」と聞かれ「いや、いいよ」と答えたら驚かれ三回も確認された。別に怒らないと思うが、半休を取って出かけたことは何となく秘密にしようと思った。
夜、暑くてサイがなかなか寝付かなかった。